JPH08273122A - 保護膜、保護膜の製造方法及び磁気ヘッド - Google Patents

保護膜、保護膜の製造方法及び磁気ヘッド

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JPH08273122A
JPH08273122A JP7068331A JP6833195A JPH08273122A JP H08273122 A JPH08273122 A JP H08273122A JP 7068331 A JP7068331 A JP 7068331A JP 6833195 A JP6833195 A JP 6833195A JP H08273122 A JPH08273122 A JP H08273122A
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武広 蛸島
Tomoo Otsuka
智夫 大塚
Hiromi Ebi
裕美 海老
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造コストが安くて長寿命な保護膜、保護膜
の製造方法及び磁気ヘッド。 【構成】 磁気記録媒体との摺動面12に、Cr及びN
を主成分とし、Hfの含有率が15原子パ−セント以下
にて含有する合金からなる保護膜を形成した磁気ヘッド
1。 【効果】 スパッタ法にて成膜したCrN膜よりも高い
膜硬度を有する保護膜を、単なるスパッタ法により成膜
できるので、耐摩耗性に優れ、また、保護膜を成膜する
際にスパッタリングに投入する電力を小さくすることな
く大きな成膜速度で成膜できることから、生産性が高
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クロム(以下、単にC
rという)及び窒素(以下、単にNという)を主成分と
する保護膜と、保護膜の製造方法及び磁気ヘッドに関す
るものであり、特にスパッタ法で成膜できる長寿命な保
護膜と、保護膜の製造方法及び磁気ヘッドに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】例えば、スペ−シングロスを抑えかつ耐
摩耗性を満足することが要求される磁気ヘッドの摺動面
の保護膜として、通常のスパッタ法により高硬度でかつ
耐食性に優れた膜として実現できると共に、下地の材質
によることなく下地に対して大きな密着力を有すること
から、Cr及びNからなる保護膜(以下、単にCrN膜
という)が開発されている(特開昭56−215643
号公報参照)。
【0003】CrN膜を磁気ヘッドの保護膜に応用した
一例を図に基づいて説明する。図6は、磁気ヘッドの概
略断面を示すものである。図6において磁気ヘッド21
は、高透磁率を有する物質からなるシ−ルドケ−ス2内
に、コイル3を巻回したボビン4と、パ−マロイやセン
ダストなどからなる磁気コア5とが内設されており、さ
らにシールドケース2内にボビン4、磁気コア5などを
封入・固定するためのエポキシ樹脂などからなる封入樹
脂層6が形成されている。磁気コア5の先端部近傍に
は、CuNiなどの非磁性体材料からなるギャップスペ
−サ7が介在されて磁気ギャップ8が形成されており、
一方、磁気コア5の基部の一部はボビン4に内挿されて
いる。
【0004】このボビン4には接続ピン9が設けられて
おり、この接続ピン9が、配線基板10に形成された回
路パタ−ン11と電気的に接続されている。また図6に
示すように、磁気テ−プなどの磁気記録媒体が摺動する
摺動面12は、磁気コア5の先端部とギャップスペ−サ
7と封入樹脂層6とが露出してなる面であり、異なる金
属層と樹脂層から構成されている。ここで、CrNから
なる保護膜13は、パ−マロイやセンダスト等の合金か
らなる磁気コア5との密着力が高いのはもちろん、シ−
ルドケ−ス2ならびに封入樹脂層6との密着力も大きい
ため、特に中間層を介することなく摺動面12上に直接
形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通常の
スパッタ法(以下、単にスパッタ法という)ではCrN
膜の硬度が高々70〜80GPa程度にしかならず、保
護膜としての十分な耐摩耗性を実現できないことから、
保護膜を得るのに際して、バイアス電圧を印加して行う
スパッタ法(以下、単にバイアススパッタ法という)を
適用することよって硬度を高くすることが試みられてい
る。
【0006】図7は、アルゴンガス(以下、単にArガ
スという)と窒素ガス(以下、単にNガスという)と
からなるスッパッタガス中のN2ガスの分圧比に対する
CrN膜の硬度の関係を、バイアス電圧を印加した場合
と印加しない場合について示すものある。このN2ガス
は、スパッタされたCrを窒化するための反応性ガスで
ある。図7において、「●」はタ−ゲットがスパッタさ
れる領域に磁場を形成しつつ高周波を印加してスパッタ
を行うスパッタ法(以下、単にRFマグネトロンスパッ
タ法という)により成膜したCrN膜の硬度を示し、
「○」はバイアス電圧を印加して行うRFマグネトロン
スパッタ法(以下、単にバイアスRFマグネトロンスパ
ッタ法という)により成膜したCrN膜の硬度を示す。
【0007】図7から明らかなように、バイアスRFマ
グネトロンスパッタ法により成膜されたCrN膜の硬度
は、110〜130GPaとなり、バイアス電圧を印加
しないRFマグネトロンスパッタ法によるものと比較し
て大幅に高くなる。図7では、バイアス電圧の有無によ
るCrN膜の硬度への影響をRFマグネトロンスパッタ
法に基づいて例示したが、一般のスパッタ法でも、バイ
アス電圧を印加するとCrN膜の硬度が印加しないもの
よりも高くなる。
【0008】ところで、CrN膜の成膜時にバイアス電
圧を印加すると、磁気ヘッドの表面が高温に加熱される
ので、冷却が不十分な場合、磁気ヘッドの表面温度が1
00℃を越えて摺動面を構成する樹脂に変形を与えるな
どの悪影響が生じるとともに、CrN膜が摺動面から剥
離しやすくなる、という問題が生じる。すなわち、成膜
中に磁気ヘッドの表面温度が約100℃以上になると、
摺動面におけるCrN膜は、室温と成膜中の温度との温
度差が大きくなり、摺動面の樹脂及び各合金の熱膨張率
の違いにより生じると考えられている内部応力が増大し
て、摺動面からのCrN膜の剥離が多発するようにな
る。
【0009】したがって、バイアス電圧を印加して高硬
度のCrN膜を成膜する場合、成膜中の磁気ヘッドの表
面温度を100℃以下に抑えるために、磁気ヘッドをで
きるだけ冷却し、かつスパッタリング時の投入電力を小
さくするので、CrN膜の成膜速度が小さくなって生産
性が低くなり製造コストが高くなる、という問題があ
る。
【0010】このように、従来のCrN膜からなる保護
膜、及びこの保護膜を形成してなる磁気ヘッドは、通常
のスパッタ法で成膜すると膜硬度が低くなり、耐摩耗性
など寿命の点で問題を生じやすく、一方、バイアス電圧
を印加してCrN膜を高硬度化を図ると、スパッタリン
グ時の投入電力を小さくする必要が生じて生産性が低く
なり、製造コストが高くなるという問題がある。本発明
は上記従来の課題を解決するものであり、スパッタ法で
バイアス電圧を印加することなく成膜できる寿命に優れ
た保護膜と、保護膜の製造方法及び磁気ヘッドを提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る保護膜は、CrおよびNを主成分と
し、ハフニウム(以下、単にHfという)を含有する合
金(以下、単にCrHfNという)からなり、クロムの
原子数とハフニウムの原子数との総数に対するハフニウ
ムの比率(以下、単にHfの含有率という)が15原子
パ−セント(以下、単にat%という)以下とするもので
ある。
【0012】ここでHfの含有率が15at%以下であれ
ば、膜硬度が従来のスパッタ法によるCrN膜よりも高
くなる。また、Hfの含有率が15at%を超えると、膜
硬度がスパッタ法によるCrN膜と同等以下となってし
まう。なお、Hfの含有率を4〜8at%とすると、Cr
HfN膜の硬度はバイアススパッタ法により成膜したC
rN膜と同等以上の硬度を有するものとなり望ましい。
【0013】また本発明に係る保護膜の製造方法は、C
r及びHfからなるタ−ゲットを用い、かつ窒素ガス
(以下、単にN2ガスという)と不活性ガスとからなる
スッパタガス中のN2ガスの分圧比を0.1以上にしてス
パッタリングを行うものである。スパッタガス中のN2
ガスの分圧比を0.1以上にすると、Cr及びHfが十
分に窒化されて、高硬度の窒化物であるCrNとHfN
が生成されると推定される。一方、N2ガスの分圧比が
0.1未満になると、タ−ゲットからスパッタされるC
rやHfの窒化が不十分となり、例えばCrの窒化物に
ついていえば、高硬度のCrNの他に低硬度のCr2
が混在するようになり、保護膜の硬度が低下して70G
Pa以下となる。
【0014】不活性ガスとしては、コストが安価なこと
からArガスが一般的に用いられるが、この他にヘリウ
ムガス、ネオンガス、クリプトンガス、キセノンガスさ
らにはラドンガスを用いることもできる。この保護膜の
製造方法において使用するタ−ゲットとしては、Cr及
びHfの合金からなるタ−ゲットが好適に用いられる
が、Hfの小片をCrタ−ゲット上に配置してなる複合
タ−ゲットを用いることもできる。
【0015】また本発明に係る磁気ヘッドは、磁気記録
媒体との摺動面に、Cr及びNを主成分とし、Hfの含
有率が15at%以下の合金からなる保護膜を形成したも
のである。Hfの含有率が15at%を超えると、膜硬度
が前記CrN膜よりも低くなってしまう。なお、Hfの
含有率を4〜8at%とすると、CrHfN膜の硬度はバ
イアススパッタ法により成膜したCrN膜と同等以上の
硬度を有するものとなり、長寿命化する点で望ましいも
のとなる。
【0016】
【作用】本発明に係る保護膜は、Cr及びNを主成分と
し、Hfの含有率が15at%以下としたものなので、通
常のスッパッタ法にて成膜したCrN膜の硬度よりも高
い硬度を有する膜としたものとなり、さらにHfの含有
率が4〜8at%であれば、バイアススパッタ法により成
膜したCrN膜と同等以上の硬度を有するものとなり、
かつ下地との密着力もさらに大きくなって望ましいもの
となる。
【0017】Hfの含有率を4〜8at%としたCrHf
N膜によれば、バイアススパッタ法により成膜したCr
N膜と同等以上の硬度を有する保護膜、すなわち耐摩耗
性に優れた長寿命な保護膜を、単なるスパッタ法にて成
膜できるので、スパッタリングに投入する電力を小さく
することなく大きな成膜速度で成膜できるため、従来の
バイアススパッタ法に比較して製造時間を大幅に短縮し
て生産性を高めることができる。
【0018】本発明に係る保護膜が従来のスパッタ法に
より成膜したCrN膜よりも高い硬度を有する理由は明
らかではないが、保護膜中のHfが窒化物となって結晶
粒を微細化しつつ結晶粒界などに析出することにより膜
の硬度が上昇し、またはHf原子が、膜中のCr原子と
置換しあるいは膜中に侵入して格子歪を生じることによ
って膜硬度が上昇することなどが考えられる。Hfの含
有率が4〜8at%では、このような膜硬度を増大するメ
カニズムが良好に働いて、バイアススパッタ法により成
膜したCrN膜と同等以上の膜硬度を有するようになる
ものと考えられる。
【0019】また、保護膜をスパッタ法にて成膜する本
発明の製造方法によれば、CrとHfとからなるタ−ゲ
ットを用い、かつN2ガスと不活性ガスとからなるスッ
パタガス中のN2ガスの分圧比を0.1以上として成膜す
るので、スパッタ法により成膜してなるCrN膜よりも
高い硬度を有する保護膜を得ることができる。
【0020】また、本発明に係る磁気ヘッドは、Cr及
びNを主成分とし、Hfの含有率を15at%以下とした
合金を保護膜として成膜したので、通常のスッパッタ法
にて成膜したCrN膜の硬度よりも高い硬度を有する膜
を保護膜として形成でき、耐摩耗性に優れたものとな
る。さらに、Hfの含有率を4〜8at%とした保護膜を
成膜してなる本発明に係る磁気ヘッドは、バイアスッパ
ッタ法により成膜したCrN膜と同等以上の膜硬度を有
する保護膜、すなわち耐摩耗性に優れた長寿命な保護膜
を、単なるスパッタ法にて成膜できるので、スパッタリ
ングに投入する電力を小さくすることなく大きな成膜速
度で成膜できるため、従来のバイアススパッタ法に比較
して製造時間を大幅に短縮して生産性を高めることがで
きる。
【0021】
【実施例】以下、実験デ−タに基づいて本発明の保護膜
の実施例を説明する。 (実施例1)まず、厚さ2mmφ4インチのシリコン基
板(以下、単にSi基板という)を準備し、その一方の
主面にCrHfN膜をRFマグネトロンスパッタ法にて
約1000オングストロ−ム(以下、単にAという)の
厚さにて成膜した。
【0022】本発明による保護膜を形成するにあたって
は、RFマグネトロンスパッタ装置(日本真空社製SB
H−3308機種)を用い、タ−ゲットとしてCrタ−
ゲット上にHfからなる□10mmの小片(以下、単に
Hfチップという)を配置した複合タ−ゲットを用い、
スパッタ圧力を5〜9mTorr,スパッタ投入電力を
500Wとし,基板温度を水冷にて100℃以下に設定
し、またN2ガスとArガスとからなるスパッタガス中
のN2ガスの分圧比を0から1.0の範囲内に設定した。
なおCrHfN膜を成膜するにあたっては、前記複合タ
−ゲットのHfチップの枚数を変えることにより、Cr
HfN膜中のHfの含有率を変化させた。
【0023】また比較例として、バイアスRFマグネト
ロンスパッタ法と、バイアス電圧を印加していないRF
マグネトロンスパッタ法とにより、CrNからなる保護
膜を前記Si基板の一方の主面に約1000Aの厚さに
て成膜した。このCrN膜の成膜にあたり、この成膜条
件を前記CrHfN膜の成膜条件と同様にした。なお、
バイアスRFマグネトロンスパッタ法で成膜したSi基
板の表面温度は約200℃となった。
【0024】このようにして得られた各保護膜につい
て、その膜構造及び格子定数をX線回折装置(理学電機
社製RU−200B機種)にて解析・算出し、膜硬度を
薄膜硬度計(NEC社製MHA−400機種)にて測定
し、膜組成をラザフォ−ド後方散乱測定装置(ヨ−ロッ
パハイボルテ−ジ社製1.7MVタンデトロンシステ
ム)にて解析し、また、摩擦係数及び剥離強度をスクラ
ッチテスタ−(レスカ社製CRS−2機種)にて測定し
た。
【0025】図1は、スッパタガス中のN2ガスの分圧
比とCrHfN膜の硬度との関係を、CrNHf膜中の
Hfの含有率をパラメ−タとして示すものである。また
比較例として、バイアスRFマグネトロンスパッタ法及
びRFマグネトロンスパッタ法で成膜したCrN膜の硬
度についても示した。
【0026】図1において、縦軸は膜硬度(単位:GP
a)を示し、横軸はN2ガスとArガスとからなるスッ
パタガス中のN2ガスの分圧比を示す。なお、参考とし
て右側の縦軸にビッカース硬度(単位:kg/mm2)によ
る目盛を付した。図中「○」はHfを含有しないCrN
膜でありかつバイアス電圧を印加せずに成膜したもの、
「◎」はHfを含有しないCrN膜でありかつバイアス
電圧を印加して成膜したもの、「▲」はCrHfN膜中
のHfの含有率が2.8at%のもの、「●」はCrHf
N膜中のHfの含有率が4.7at%のもの 、「■」はC
rHfN膜中にHfの含有率が14.6at%のもの、
「◇」はCrHfN膜中のHfの含有率が16.5at%
のものを示す。
【0027】図1から明らかなように、CrHfN膜中
のHfの含有率が15at%以下の保護膜の硬度は、RF
マグネトロンスパッタ法で成膜したCrN膜のそれより
も大きくなり、Hfの含有率が5%前後の保護膜の硬度
は、バイアスRFマグネトロンスパッタ法で成膜したC
rN膜と同等以上の硬度を有することが分かった。
【0028】本発明に係る保護膜が、従来のRFマグネ
トロンスパッタ法により成膜したCrN膜より大きな硬
度を有する理由は明らかではないが、保護膜中のHfの
窒化物が結晶粒を微細化しつつ結晶粒界などに析出する
ことにより膜の硬度が上昇し、またはHf原子が、膜中
のCr原子と置換しあるいは膜中に侵入して格子歪を生
じることによって膜硬度が上昇することなどが考えられ
る。また、Hfの含有率が4〜8at%では、このような
膜硬度を増大するメカニズムが良好に働いて、バイアス
スパッタ法により成膜したCrN膜と同等以上の膜硬度
を有するようになるものと考えられる。
【0029】なお本実施例ではタ−ゲットとして複合タ
−ゲットを用いたが、CrにHfを所定量含有させた合
金タ−ゲットを用いてもよいのはもちろんである。また
不活性ガスとしては、コストが安価なArガスを用いた
が、この他にヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガ
ス、キセノンガスさらにはラドンガスを用いることもで
きる。
【0030】また、スッパタガス中のN2ガスの分圧比
を0.1以上にするのが望ましい。すなわち、N2ガスの
分圧比を0.1以上にすると、Cr及びHfが十分窒化
されて高硬度の窒化物であるCrNとHfNが生成され
ることにより、RFマグネトロンスパッタ法で成膜した
CrN膜のそれよりも大きくなると推定される。一方、
2ガスの分圧比が0.1未満になると、タ−ゲットから
スパッタされるCrやHfの窒化が不十分となり、例え
ば保護膜中に高硬度のCrNの他に低硬度のCr2Nが
混在して硬度が70GPa程度に低下すると考えられ
る。
【0031】図2は、Hfの含有率に対するCrHfN
膜の硬度の関係を示すもので、スパッタガス中のN2
スの分圧比を0.4に固定したときのものである。図2
において、縦軸は膜硬度を示し、横軸はCrHfN膜中
のHfの含有率を示す。図2から明らかなように、Hf
の含有率が4〜8at%のCrHfN膜は、バイアススパ
ッタ法により成膜したCrN膜と同等以上の硬度を有す
るものとなることが分かった。
【0032】図3は、Hfの含有率が4.7at%のCr
HfN膜の回折強度を示すものである。図3において、
縦軸は回折強度を示し、横軸は回折角(2θ)を示す。
図3から明らかなように、Hfの含有率が4.7at%の
CrHfN膜の回折強度のパターンには、CrN(11
1)、CrN(200)およびCrN(220)のピ−
クがみられるが、Hfに関する明瞭なピ−クは見られな
かった。Hfの含有率が15at%以下のCrHfN膜に
は、図3に示す回折強度のパタ−ンと同様のものがみら
れた。
【0033】以上のことから、Hfの含有率が15at%
以下のCrHfN膜は、CrNの結晶を主成分とした膜
であることが分かったが、Hfがどのような物質形態で
存在しているかは明らかにはならなかった。
【0034】また図4において、(1)はHfを4.7a
t%含有するCrHfN膜の拡大断面模式図、(2)は
バイアスRFマグネトロンスパッタ法で成膜したCrN
膜の拡大断面模式図であり、そのいずれも走査型電子顕
微鏡(日本電子社製JSM−6320F機種)にて10
0,000倍で撮影した写真に基づくものである。図4
から明らかなように、(2)ではCrN膜は膜内が柱状
構造の粗い結晶構造になっており、またその表面に粗い
結晶粒界が露出してなるようにみえるのに対して、
(1)ではCrHfN膜の断面の結晶粒界が不鮮明でか
つ結晶粒が細かくみえ、その表面も極めて平滑になって
いるようにみえる。したがって、HfがCrHfN膜中
の結晶の微細化を促進しているように考えられる。
【0035】次に、CrHfN膜の耐摩耗性等寿命の評
価にあたり、Hfの含有率が異なる各保護膜について、
摩擦係数と、密着力を示す剥離荷重を測定した結果を表
1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1から明らかなように、Hfを含有する
ものは剥離荷重は53〜67mNとなり、バイアス電圧
を印加しまたは印加せずに成膜したCrN膜のそれより
も約25〜60%向上し、また、摩擦係数は0.109
〜0.142となり、CrN膜のそれよりも約8〜30
%小さな値となる。したがって、Hfの含有率が0.5
〜15at%のCrHfNからなる保護膜によれば、下地
との密着力が大きくなって下地から剥離しにくくなると
ともに耐摩耗性が良好となり、保護膜としての寿命を大
幅に向上させ得ることが分かる。
【0038】このように、本発明による保護膜は、Hf
の含有率が15at%以下では通常のスッパッタ法にて成
膜したCrN膜の硬度よりも高い硬度を有する膜とな
り、さらにHfの含有率が4〜8at%の膜は、バイアス
スパッタ法により成膜したCrN膜と同等以上の硬度を
有するとともに、このCrN膜と比較して、下地との密
着力がさらに大きくなって下地から剥離しにくくなり、
かつ耐摩耗性が良好となるので、保護膜としての寿命を
大幅に向上させ得るものであることが分かる。
【0039】また、以上に述べた特性を有する保護膜
は、バイアス電圧を印加することなく単なるスパッタ法
にて製造できるので、この保護膜を被覆する基材が樹脂
からなるものであっても、スパッタリングに投入する電
力を小さくすることなく大きな成膜速度で製造でき、特
に、高硬度の保護膜を成膜する場合には、その成膜に必
須となっていた従来のバイアススパッタ法に比較して、
製造時間を大幅に短縮して生産性を高めることができる
ものとなる。
【0040】(実施例2)以下、図と実験デ−タに基づ
いて本発明の磁気ヘッドの実施例を説明する。まず、磁
気ヘッドを準備し、その摺動面にCr及びNを主成分と
しHfを含有する保護膜(以下、単にCrHfN膜とい
う)をRFマグネトロンスパッタ法にて約1000Aの
厚さにて成膜するとともに、比較例として、前記磁気ヘ
ッドの摺動面を含む表面に、CrNからなる保護膜をR
Fマグネトロンスパッタ法とバイアスRFマグネトロン
スパッタ法にて約1000Aの厚さにて形成した。
【0041】保護膜を形成する前の磁気ヘッドの構造を
図5に示す。図5に示す磁気ヘッド1は、図6に示す磁
気ヘッド21において保護膜13が形成されていない点
だけが磁気ヘッド21と異なることから、以下、磁気ヘ
ッド1の構造の説明を省略する。本発明による磁気ヘッ
ドを作成するにあたっては、実施例1と同じ装置と成膜
条件にて、図5に示す磁気ヘッド1の摺動面12を含む
表面に保護膜を形成した。
【0042】磁気ヘッド1の摺動面12に形成した前記
保護膜について、耐摩耗性を摩耗試験で、耐磁粉付着性
を磁粉付着試験にて評価した。この摩耗試験では、20
℃で湿度50%の環境条件下(以下、単に20℃×50
%RHとあらわす)でテ−プ走行試験を行い、試験実施
後の保護膜表面の摩耗状態を観察することにより耐摩耗
性を評価した。また、磁粉付着試験では、65℃×50
%RHでテ−プ走行試験を行い、試験実施後の保護膜表
面の磁気テ−プから凝着する磁粉等の付着状態を観察す
ることにより耐磁粉付着性を評価した。このテ−プ走行
試験では、オ−ディオ用磁気テ−プをプ磁気ヘッドに対
して、1000時間摺動させることにより行った。なお
この際に、オ−ディオ用磁気テ−プを100時間毎に交
換した。
【0043】この評価結果を表2に示す。表2において
は、「○」は全く変化がみられないもの、「△」は若干
のキズまたは磁粉付着がみられるもの、「×」はかなり
のキズまたは磁粉付着がみられるものを示す。
【0044】
【表2】
【0045】表2から明らかなように、Hfの含有率が
15at%以下のCrHfN膜からなる保護膜は、RFマ
グネトロンスパッタ法で成膜したCrN膜と同等以上の
耐摩耗性と耐磁粉付着性とを有し、Hfの含有率が4〜
8at%の保護膜はバイアスRFマグネトロンスパッタ法
で成膜したCrN膜と同等以上の耐摩耗性と耐磁粉付着
性とを有するものであることが分かる。
【0046】したがって本発明による磁気ヘッドは、実
用に応じ得る性能をもつとともに、バイアス電圧を印加
することなく単なるスパッタ法にて製造できるので、ス
パッタリングに投入する電力を小さくすることなく大き
な成膜速度で製造でき、特に、高硬度の保護膜を成膜す
る場合には、その成膜に必須となっていた従来のバイア
ススパッタ法と比較して、製造時間を大幅に短縮して生
産性を高めることができるものとなる。
【0047】なお、本実施例では、CrHfNからなる
保護膜をオ−ディオ用磁気ヘッドに適用した例を示した
が、この他にビデオテ−プレコ−ダ、デジタルオ−ディ
オテ−プレコ−ダに用いられる磁気ヘッドをはじめ、フ
ロッピ−ディスク、ハ−ドディスク、磁気カ−ド等を用
いた磁気記録再生装置の磁気ヘッドや、さらには磁気記
録媒体としての磁気テ−プ、磁気ディスクに適用できる
のは勿論である。
【0048】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る
保護膜は、Cr及びNを主成分とし、Hfの含有率が1
5at%以下としたので、通常のスッパッタ法にて成膜し
たCrN膜の硬度よりも高い硬度を有する膜となり、更
にHfの含有率を4〜8at%にすると、バイアススパッ
タ法により成膜したCrN膜と同等以上の硬度を有する
ものとなり、かつ下地との密着力もさらに大きくなって
望ましいものとなる。
【0049】特にHfの含有率を4〜8at%としたCr
HfN膜によれば、バイアススパッタ法により成膜した
CrN膜と同等の硬度を有する保護膜、すなわち耐摩耗
性に優れた長寿命な保護膜を、単なるスパッタ法にて成
膜できるので、スパッタリングに投入する電力を小さく
することなく大きな成膜速度で成膜できるため、従来の
バイアススパッタ法に比較して製造時間を大幅に短縮し
て生産性を高めることができる。
【0050】また、保護膜をスパッタ法にて成膜する本
発明の製造方法によれば、CrとHfとからなるタ−ゲ
ットを用い、かつN2ガスと不活性ガスとからなるスッ
パタガス中のN2ガスの分圧比を0.1以上として成膜す
るので、スパッタ法により成膜してなるCrN膜よりも
高い硬度を有する保護膜を得ることができる。
【0051】また、本発明に係る磁気ヘッドは、Cr及
びNを主成分とし、Hfの含有率を15at%以内とした
合金を保護膜として成膜したので、通常のスッパッタ法
にて成膜したCrN膜の硬度よりも高い硬度を有する膜
を保護膜として形成でき、耐摩耗性に優れたものとな
る。
【0052】さらに、Hfの含有率を4〜8at%とした
保護膜を成膜してなる本発明に係る磁気ヘッドは、バイ
アスッパッタ法により成膜したCrN膜と同等以上の膜
硬度を有する保護膜、すなわち耐摩耗性に優れた長寿命
な保護膜を、単なるスパッタ法にて成膜できるので、ス
パッタリングに投入する電力を小さくすることなく大き
な成膜速度で成膜できるため、従来のバイアススパッタ
法に比較して製造時間を大幅に短縮して生産性を高める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1においてスッパタガス中のN2ガスの
分圧比とCrHfN膜の硬度との関係を、CrNHf膜
中のHfの含有率をパラメ−タとして示す図である。
【図2】実施例1においてHfの含有率に対するCrH
fN膜の硬度の関係を示す図である。
【図3】実施例1においてHfの含有率が4.7at%の
CrHfN膜の回折強度を示す図である。
【図4】実施例1において本発明の実施例を説明するた
めの保護膜の一例を示す模式断面図である。
【図5】実施例2において保護膜の形成に用いた磁気ヘ
ッドの概略断面図である。
【図6】従来例による磁気ヘッドの概略断面図である。
【図7】従来例のCrN膜の硬度に関する説明図であ
る。
【符号の説明】
1,21 磁気ヘッド 2 シ−ルドケ−ス 3 コイル 4 ボビン 5 磁気コア 6 封入樹脂層 7 ギャップスペ−サ 8 磁気ギャップ 9 接続ピン 10 配線基板 11 回路パターン 12 摺動面 13 保護膜
フロントページの続き (72)発明者 大塚 智夫 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 海老 裕美 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 中澤 由紀絵 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロム及び窒素を主成分とし、ハフニウム
    を含有する合金からなり、クロムの原子数とハフニウム
    の原子数との総数に対するハフニウムの比率が15原子
    パ−セント以下であることを特徴とする保護膜。
  2. 【請求項2】前記ハフニウムの比率が4〜8原子パ−セ
    ントであることを特徴とする請求項1記載の保護膜。
  3. 【請求項3】クロム及び窒素を主成分とし、ハフニウム
    を含有する合金からなる保護膜を製造するにあたり、ク
    ロムとハフニウムとからなるタ−ゲットを用い、少なく
    とも窒素ガスと不活性ガスとからなるスッパッタガスに
    おける窒素ガスの分圧比を0.1以上にしてスパッタリ
    ングを行うことを特徴とする保護膜の製造方法。
  4. 【請求項4】磁気記録媒体と摺動しつつ前記磁気記録媒
    体に磁束を与えて磁気記録を行いまたは前記磁気記録媒
    体からの漏洩磁束に基づいて磁気再生するための磁気ヘ
    ッドの前記磁気記録媒体との摺動面に、クロム及び窒素
    を主成分とし、ハフニウムを含有する合金からなり、ク
    ロムの原子数とハフニウムの原子数との総数に対するハ
    フニウムの比率が15原子パ−セント以下である保護膜
    を形成してなることを特徴とする磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】前記ハフニウムの比率が4〜8原子パ−セ
    ントであることを特徴とする請求項4記載の磁気ヘッ
    ド。
  6. 【請求項6】前記摺動面が、少なくとも軟磁性合金と樹
    脂とからなることを特徴とする請求項4または請求項5
    記載の磁気ヘッド。
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