JPH082718B2 - スエード調転写シート - Google Patents

スエード調転写シート

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JPH082718B2
JPH082718B2 JP63178728A JP17872888A JPH082718B2 JP H082718 B2 JPH082718 B2 JP H082718B2 JP 63178728 A JP63178728 A JP 63178728A JP 17872888 A JP17872888 A JP 17872888A JP H082718 B2 JPH082718 B2 JP H082718B2
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功 吉村
良明 青田
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、物品の表面にスエード調のツヤ消し塗膜を
成形するための転写シートに関する。
【従来の技術】 たとえばエアコンやテレビのような家電機器のキャビ
ネット類は、木質のものが好まれたり、メタリックなも
のが流行したりさまざまであるが、最近はツヤ消し、と
くにスエード調のものに対する要求がある。 これらのキャビネット類にツヤ消しの外観を与える手
段のひとつに、転写法がある。転写は、ブラスト加工と
かツヤ消し塗装のような面倒な工程を要することなく、
任意の対象に品質の安定したツヤ消し表面を与えること
ができるという点で、工業生産に有利な技術である。使
用する転写シートは、微細な凹凸を設けた基材フィルム
にインキを印刷してその凹凸を写しとるものや、いわゆ
る「マット材」を添加したインキを基材フィルムに印刷
したものなどである。 基材フィルムの凹凸を写すものは、凹凸が微細なだけ
にツヤ消しの程度に限界がある。マット材を添加する場
合は、シリカやポリエチレンの微粉末が使用されるが、
これらを含むインキを基材フィルムに印刷したものは印
刷層に弾力性がなく、曲面をもつ対象物に転写するのが
困難であるし、ツヤ消しの効果が小さく、見る方向によ
ってはツヤ消しにならない。 近年、着色ツヤ消し材として「ビーズ顔料」、すなわ
ち顔料の微粉末の外側を合成樹脂で被覆したものが使用
されるようになってきた。ビーズ顔料を添加した塗料
は、ツヤ消し効果が高く、どの方向からみてもツヤ消し
になっていて、ソフトな質感のスエード調塗膜を形成す
ることができる。被覆する合成樹脂に弾力のあるものを
採用すれば、ツヤ消し塗膜に物が当っても復元力があっ
て、外観上キズがつかないという利点がある。 ところが、このような塗料の塗装で品質の均一な製品
を得ることは難しいうえ、転写法にくらべると設備が大
がかりになる。
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、物品にどの角度からみても十分なツ
ヤ消し効果があり、印象がソフトで凹凸が大きいスエー
ド調の塗膜であって耐久性の高いものを、転写技術によ
り形成可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
この目的を達成する本発明のスエード調転写シート
は、代表的には第1図に示すように、基材フィルム
(1)上に、顔料の微粉末を弾力性のある合成樹脂で被
覆してなるビーズ顔料(21)であって粒径分布が5〜80
μmの範囲にあり、かつ分布の極大が10〜35μmの範囲
にあるものをビヒクル(22)に添加したツヤ消し塗料の
塗膜(2)、および接着剤の層(3)をこの順に設けて
なる。 基材フィルムは、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリアミド、アクリル、ポリカーボネー
ト、ポリアリレートまたはポリ塩化ビニルなどのプラス
チックフィルム、あるいはこれらを積層したフィルムを
使用する。塗膜を設ける面にあらかじめメラミン樹脂や
ウレタン樹脂をコーティングして硬化させ、転写後は基
材フィルム側へ残る離型層を設けておくと、転写時に基
材フィルムがはがれやすくて好都合である。所望により
基材フィルムにエンボス加工、ヘアライン加工、サンド
ブラスト加工、またはツヤ消し材練り込みなどの凹凸加
工を施しておくと、表面のツヤ消しとは別の模様をもっ
た塗膜を形成できる。 ビーズ顔料を構成する顔料は、Fe2O3、TiO2、CaCO3
キナクリドンなど常用の顔料であって、その微粉末の表
面を被覆する弾力性のある合成樹脂は、ポリウレタン、
アクリル樹脂、エポキシ、ポリエステル、ナイロン、フ
ッ素樹脂、塩ビ−酢ビ共重合体などである。その粒径
は、分布の範囲が5〜80μm、分布の極大が10〜35μm
の範囲から、形成しようとする塗膜の厚さによって選択
する。 ビーズ顔料の色は、所望に応じて選択すればよい。た
とえば、ほぼ無色透明なビーズ顔料を用いれば深みのあ
るツヤ消し塗膜ができるし、二色以上のビーズ顔料を組
み合わせても、変化に富んだツヤ消し面がつくれる。 ビヒクルは、通常のインキに使用しているものでよい
が、塗膜の風合いや強度を考えると、ウレタン系の樹脂
が好ましい。 接着剤は、アクリル、ポリスチレン、塩ビ−酢ビ共重
合体、ポリエステルまたはポリウレタンなど既知のもの
でよく、被転写材に応じてえらぶ。 転写時の基材フィルムの剥離を容易にするため、第2
図に示すように、基材フィルム(1)と塗膜(2)との
間に、転写後は被転写体へ移行する剥離層(4)を設け
てもよい。剥離剤は既知のものでよいが、転写後に保護
層として機能させるためには、耐摩耗性や耐擦傷性など
表面物性のすぐれたものを使用する。 転写体の表面物性の向上という見地から、ツヤ消し塗
料の塗膜にフッ素樹脂パウダー(一般に「テフロンパウ
ダー」と呼ばれる)を添加することが好ましい。転写後
は被転写体に移行して保護層となる剥離層を形成する場
合には、この剥離層にテフロンパウダーを添加してもよ
い。同様の効果は、電離放射線硬化性樹脂を用いて剥離
層を形成することによっても得られる。 同じく第2図に示すように、ツヤ消しの効果を高める
ため、塗膜(2)と接着剤の層(3)との間に隠蔽層
(5)を設けてもよい。隠蔽層は、従来と同様、アクリ
ル樹脂、塩ビ−酢ビ共重合体またはポリエステルなどを
使用し、チタンホワイトなどの隠蔽材を加えた通常のイ
ンキで形成すればよい。 本発明のスエード調転写シートは、基材フィルムに各
層を順に、既知の方法でコーティングすることにより形
成できる。ただし、塗膜の形成に当っては、比較的大き
い粒径のビーズ顔料を使用する場合には膜厚よりビーズ
顔料の粒径のほうが大きくなることがあるので、ロール
コート、リバースコート、キスコート、スクリーン印刷
など、それを可能にする手法をえらぶ。 なお、塗膜の形成は直接基材フィルム上で行なわず、
いったん別のプラスチックフィルム上で形成しておい
て、それを基材フィルムに移すことによってもよい。
【作 用】
ビーズ顔料をビヒクルに添加したツヤ消し塗料は、シ
リカ粉末など在来のマット材を用いた従来のツヤ消し塗
料にくらべて粒子の径が大きく、その大径の粒子が表面
に突出して凹凸を形成することによって、ツヤ消し効果
が出る。ビーズ顔料の径を前記した範囲にえらぶことに
よって、この凹凸は大きく、深いものになるからツヤ消
しの程度は十分である。顔料粒子は弾力性のある樹脂に
覆われているので、外力が加えられても、粒子が変形し
てそれを吸収し、外力がとり去られれば粒子の形状が復
元するから、ツヤ消しの外観が変化することはない。塗
膜は軟らかい感触をもつので、外観的にも触感的にも、
高級なスエード調の感じを出すことができる。 一般に、平滑な基材フィルム上に塗料の塗膜を形成し
たとき、その塗膜を転写して得られる表面は、基材フィ
ルムの表面に従って平滑で、光沢のあるものである。ビ
ーズ顔料を添加したツヤ消し塗料をフィルムに塗布した
ときも、同様になると思われていた。 しかし、発明者らが実験したところ、上記塗料の塗膜
を転写法で被転写体に設けた場合にも、吹きつけ塗装し
た塗膜と同様のツヤ消し効果が得られることが見出され
た。このような効果が得らえる機構は明らかではない
が、発明者らはつぎのように推測している。 そのひとつは、基材フィルムに塗膜を形成したとき
に、塗膜の内側面すなわち転写したときに被転写体側に
なる面に、ビーズ顔料による凹凸ができ、塗膜を転写す
ると上記の凹凸面が被転写体の平滑な面に密着する結
果、それまで平滑であった塗膜の外側面にその凹凸が移
動することである。 いまひとつは、基材フィルム上の塗膜から溶剤が揮発
してビヒクルが収縮して厚さが薄くなり、ビーズ顔料が
突出したかたちになって、塗膜の外側面に凹凸が形成さ
れるということである。 前記した、いったん別のプラスチックフィルム上に塗
膜を形成し、それを基材フィルムに移して転写シートを
製造する態様をとれば、上記第二の機構により当初から
凹凸をもつ表面が基材フィルムに面して転写シートがで
きるので、塗装によって設けた塗膜と同じようなツヤ消
し面を被転写体に設けることができる。 いずれにせよ、ビーズ顔料は塗膜の厚さに対して在来
のマット材よりは相対的に大きな径をもっており、それ
を使用することで転写によるツヤ消しが可能になったわ
けである。
【実施例1】 ポリウレタンで青色の顔料を被覆した、粒径分布が5
〜80μm、分布の極大が約30μmのビーズ顔料を含むツ
ヤ消し塗料を用意した。配合割合はつぎのとおりで、溶
剤は酢酸エチルとトルエンの1対1混合物を使用した。 ビーズ顔料 17重量部 ポリウレタン樹脂 13 〃 離型層を焼付けコーティングしてある厚さ25μmのポ
リエチレンテレフタレートフィルム「F100」(パナ
ック工業(株)製)を基材フィルムとし、その上に上記
塗料をリバースコート法で塗布して、厚さ40μmの塗膜
を設けた。塗膜の上に、同じ手法で、アクリル樹脂系の
接着剤を塗布して本発明の転写シートを得た。 この転写シートを用い、ABS樹脂板に塗膜をロール転
写した。転写温度は210℃である。 得られた成形品は、スエード調の深いツヤ消しの外観
をもったものであった。
【実施例2】 実施例1において、ビヒクルとしてポリウレタンに代
え電離放射線硬化型樹脂「ユピマー」(三菱油化ファイ
ン(株))を15重量部加えたほかは、実施例1と同じよ
うして基材フィルムに塗膜を形成した。紫外線を照射し
て塗膜を硬化させたのち、実施例1と同様に接着剤の層
を設けた。 この転写シートを用いて製造した成形品は、上記した
外観をもち、塗膜の表面物性がすぐれたものであった。
【発明の効果】
本発明の転写シートを用いれば、十分なツヤ消し効果
と軟らかい感触をもったスエード調の塗膜を、転写によ
り得ることができる。従って、テレビやエアコンの外装
を、気品のあるものにできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の代表的な転写シートを示す、模式的
な断面図である。 第2図は、本発明の好ましい態様の転写シートを示す、
第1図と同様な断面図である。 1……基材フィルム 2……塗膜 21……ビーズ顔料、22……ビヒクル 3……接着剤 4……剥離剤 5……隠蔽層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材フィルム上に、顔料の微粉末を弾力性
    のある合成樹脂で被覆してなるビーズ顔料であって、粒
    径分布が5〜80μmの範囲にあり、かつ分布の極大が10
    〜35μmの範囲にあるものをビヒクルに添加したツヤ消
    し塗料の塗膜、および接着剤の層をこの順に設けてなる
    スエード調転写シート。
  2. 【請求項2】基材フィルムと塗膜との間に、転写後は被
    転写体へ移行してその表面保護層となる剥離層を設けた
    請求項1のスエード調転写シート。
  3. 【請求項3】塗膜と接着剤の層との間に隠蔽層を設けた
    請求項1または2のスエード調転写シート。
  4. 【請求項4】二色以上のビーズ顔料を含有する塗料を用
    いた、請求項1ないし3のいずれかのスエード調転写シ
    ート。
  5. 【請求項5】ツヤ消し塗料の塗膜にフッ素樹脂パウダー
    を添加した請求項1のスエード調転写シート。
  6. 【請求項6】フッ素樹脂パウダーを添加した剥離剤を用
    いて剥離層を形成した、請求項2のスエード調転写シー
    ト。
  7. 【請求項7】電離放射線硬化性樹脂を用いて剥離層を形
    成した、請求項2のスエード調転写シート。
  8. 【請求項8】表面に凹凸模様が賦型された基材フィルム
    を用いた、請求項1ないし3のいずれかのスエード調転
    写シート。
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