JPH08269878A - 複数色相の繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents

複数色相の繊維構造物およびその製造方法

Info

Publication number
JPH08269878A
JPH08269878A JP7073527A JP7352795A JPH08269878A JP H08269878 A JPH08269878 A JP H08269878A JP 7073527 A JP7073527 A JP 7073527A JP 7352795 A JP7352795 A JP 7352795A JP H08269878 A JPH08269878 A JP H08269878A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dyeing
enzyme
fiber structure
dye
colorless
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7073527A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshinori Hara
稔典 原
Keiji Takeda
恵司 竹田
Jiro Amano
慈朗 天野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP7073527A priority Critical patent/JPH08269878A/ja
Publication of JPH08269878A publication Critical patent/JPH08269878A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • DTEXTILES; PAPER
    • D06TREATMENT OF TEXTILES OR THE LIKE; LAUNDERING; FLEXIBLE MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • D06PDYEING OR PRINTING TEXTILES; DYEING LEATHER, FURS OR SOLID MACROMOLECULAR SUBSTANCES IN ANY FORM
    • D06P1/00General processes of dyeing or printing textiles, or general processes of dyeing leather, furs, or solid macromolecular substances in any form, classified according to the dyes, pigments, or auxiliary substances employed
    • D06P1/0004General aspects of dyeing

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Coloring (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Decoration Of Textiles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】染料が吸尽されてなる繊維構造物であって、少
なくとも2種の有色染料が吸尽されてなる部分と、該有
色染料のうち少なくとも1種が無色化された染料が吸尽
されてなる部分を有することを特徴とする複数色相の繊
維構造物ならびに染色前の繊維構造物に酵素を付与する
か、または染色中もしくは染色後の繊維構造物を酵素処
理して特定の有色染料を無色化させることを特徴とする
複数色相の繊維構造物の製造方法。 【効果】本発明の複数色相の繊維構造物は彩やかな色合
いを布帛に与え、その商品価値を著しく高めるものであ
る。また、本発明によればムラ染めやカラーミックスな
どの美観の高い表現方法が可能である。さらに、本発明
の製造方法は簡便であり、従来の染色設備をそのまま用
いることができるため、製造コストの低減ができ、経済
的観点からも有利である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有色染料が吸尽されて
なる繊維構造物およびその製造方法に関するものであ
る。さらに詳しくは、本発明は複数色相の繊維構造物お
よびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複数の色相を有する繊維構造物は鮮やか
な色合いを布帛に与え、その商品価値を著しく高めるた
め、従来、種々の酸化剤もしくは還元剤による酸化還元
反応を利用して有色染料を消色または変色することで色
相変化を得る技術が知られている。しかし、この方法で
は用いる全ての種類の有色染料が反応するため、複数の
色相を得ることは簡単ではなかった。
【0003】また、複数の色相を有する繊維構造物を製
造するためには、通常捺染技術が用いられている。この
捺染技術は汎用的なものではあるが、プリント柄を版に
する工程や高温で熱処理する工程などを含み、高コスト
となる問題を有している。特に、近年増加しているムラ
染めなどの表現のためには専用の版を作ることは経済的
でなく、より簡便な新規技術が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、複数の有色
染料のなかで特定の染料のみを選択的に無色化させて色
相を変化させ、複数色相の繊維構造物を得ることを目的
とする。このような方法によれば、ムラ染めやカラーミ
ックスなどの美観の高い表現方法が安価、かつ従来の染
色設備のみを用いて実施できる。
【0005】
【課題を解決する手段】本発明の複数の色相を有する繊
維構造物は前記課題を解決するため次の構成を有する。
【0006】すなわち、染料が吸尽されてなる繊維構造
物であって、少なくとも2種の有色染料が吸尽されてな
る部分と、該有色染料のうち少なくとも1種が無色化さ
れた染料が吸尽されてなる部分を有することを特徴とす
る複数色相の繊維構造物である。
【0007】また、本発明の複数の色相を有する繊維構
造物の製造方法は次の構成を有する。
【0008】すなわち、染色前の繊維構造物に酵素を付
与し、染色中に特定の有色染料を無色化させることを特
徴とする複数色相の繊維構造物の製造方法である。
【0009】また、染色中または染色後の繊維構造物を
酵素処理し、特定の有色染料を無色化させることを特徴
とする複数色相の繊維構造物の製造方法である。
【0010】以下、本発明の複数色相の繊維構造物およ
びその製造方法を詳細に説明する。本発明の複数色相の
繊維構造物において繊維構造物とは、織物、編物、不織
布などを挙げることができる。その素材となる繊維に
は、ポリエステル、ポリアミド、アクリルなどの合成繊
維や綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維、さらにはレーヨ
ン、キュプラ、テンセルなどの再生繊維が挙げられる
が、それぞれの繊維について適当な染色条件を選択すれ
ば、これらについて特に限定はされない。
【0011】また、これらの繊維のうちいくつかを用い
て混紡、混繊、複合紡糸、交撚、交織、交編などの操作
で作製されたものも挙げられるが、これらについても特
に限定はされない。
【0012】本発明の複数色相の繊維構造物に使用する
有色染料としては、分散染料、酸性染料、カチオン染
料、直接染料、ナフトール染料、反応染料、建て染め染
料などを挙げることができ、これらのうち複数の有色染
料を繊維の素材に応じて用いることができる。
【0013】本発明の複数色相の繊維構造物において無
色化とは、有色染料が消色または変色されることをい
う。
【0014】また、本発明の複数色相の繊維構造物と
は、繊維構造物のある部分と別の部分で異なる色相を有
する繊維構造物をいう。
【0015】カラーミックス効果やムラ染め効果を得る
観点から、異なる色相を有する各部分の面積は1×10
-10 2 以上とするのが好ましい。
【0016】本発明の複数色相の繊維構造物は、少なく
とも2種の有色染料を吸尽した部分と、その有色染料の
うち少なくとも1種が無色化された染料を吸尽した部分
とを有するものである。
【0017】次に、本発明の複数色相の繊維構造物の製
造方法について説明する。
【0018】本発明の複数色相の繊維構造物の製造方法
においては、酵素を用いることは、有色染料を選択的に
無色化するために重要である。
【0019】酵素を用いないと、用いる有色染料のうち
ある特定の有色染料を選択的に無色化することができ
ず、複数色相が得られない問題がある。
【0020】例えば、有色染料を非選択的に無色化する
薬剤を用いると、全ての有色染料が無色化されるため色
相が変化せずに色が浅くなるのみで複数色相を得ること
ができない。
【0021】酵素反応により有色染料の中であるものの
みを選択的に無色化でき、色相に富んだものを得ること
ができる。
【0022】用いる酵素としては、特定の有色染料と反
応して、それを無色化するものであれば特に限定されな
い。そのようなものとしては、各種エステラーゼ、リア
ーゼ、酸化還元酵素などが挙げられるが、無色化の効果
の観点から、酸化還元酵素を用いるのが好ましい。酸化
還元酵素の例としては、各種オキシダーゼ、各種ペルオ
キシダーゼ、リグニンペルオキシダーゼ、マンガンペル
オキシダーゼ、ラッカーゼ、各種オキシゲナーゼ、各種
レダクターゼ、各種デヒドロゲナーゼなどを挙げること
ができる。
【0023】酵素反応は選択的であるため、酵素の種類
によって無色化される有色染料種は異なる。例を挙げる
と、酵素が西洋わさびペルオキシダーゼの場合、酸性染
料では、テロン ブルー K−BRLL(Teron
Blue K−BRLL、バイエルジャパン社製)、ア
ミニル イエロー FD−3RL(Aminil Ye
llow FD−3RL、住友化学工業(株)製)、ア
ミニル ブルー FD−GL(Aminil Blue
FD−GL、住友化学工業(株)製)、ナイロザン
ブルー E−GL(Nylosan Blue E−G
L、サンド社製)、ラナパール ファスト イエロー
C−3R(Lanaperl FastYellow
C−3R、ヘキストジャパン社製)、ラナパール ファ
ストネビー ブルー R200(Lanaperl F
ast Navy BlueR200、ヘキストジャパ
ン社製)、ラナパール レッド FB(Lanaper
l Red FB、ヘキストジャパン社製)、ラナパー
ル レッド 4G(Lanaperl Red 4G、
ヘキストジャパン社製)、ラナパール レッド R20
0(Lanaperl Red R200、ヘキストジ
ャパン社製)が無色化されるものとして挙げられ、分散
染料では、ミケトン ポリエステルイエロー 4G(M
iketon Polyester Yellow 4
G、三井東圧化学(株)製)、ミケトン ポリエステル
イエロー F3G(Miketon Polyest
er Yellow F3G、三井東圧化学(株)
製)、ミケトン ポリエステル レッド 2BSF(M
iketon Polyester Red 2BS
F、三井東圧化学(株)製)が無色化されるものとして
挙げられ、直接染料では、カヤク ダイレクト コパー
ブルー 2B(Kayaku Direct Copp
erBlue 2B、日本化薬(株)製)、カヤク ベ
ンゾパーピュリン 4B(Kayaku Benzop
urpurine 4B、日本化薬(株)製)、カヤク
ダイレクト ファスト オレンジ S(Kayaku
Direct Fast Orange S、日本化
薬(株)製)が無色化されるものとして挙げられる。ま
た、酵素がリグニンペルオキシダーゼの場合は、酸性染
料ではアミニル イエロー FD−3RL(Amini
lYellow FD−3RL、住友化学工業(株)
製)、アミニル イエローE−G(Aminil Ye
llow E−G、住友化学工業(株)製)、ラナパー
ル レッド BN(Lanaperl Red BN、
ヘキストジャパン社製)、ラナパール ブルー GN
(Lanaperl Blue GN、ヘキストジャパ
ン社製)が無色化されるものとして挙げられ、分散染料
ではミケトンポリエステルブルー FBL(Miket
on Polyester Blue FBL、三井東
圧化学(株)製)、ミケトン ポリエステル レッド
FL(Miketon Polyester Red
FL、三井東圧化学(株)製)が無色化されるものとし
て挙げられ、直接染料では、カヤク ダイレクト コパ
ーブルー 2B(Kayaku Direct Cop
perBlue 2B、日本化薬(株)製)、カヤク
ベンゾパーピュリン 4B(Kayaku Benzo
purpurine 4B、日本化薬(株)製)、カヤ
ク ダイレクトファスト オレンジ S(Kayaku
Direct Fast Orange S、日本化
薬(株)製)、カヤク ダイレクト ファスト バイオ
レットLNA(Kayaku Direct Fast
Violet LNA、日本化薬(株)製)が無色化
されるものとして挙げられる。
【0024】ただし、ここに挙げたものは上市されてい
る有色染料のごく一部であり、酵素と有色染料の組合わ
せによって、多くの有色染料を利用できる。
【0025】本発明の複数色相の繊維構造物の製造方法
とは、染色前の繊維構造物に酵素を付与し、染色中に酵
素反応により特定の有色染料を無色化する方法である。
【0026】また、染色中または染色後の繊維構造物を
酵素処理し、特定の有色染料を無色化する方法である。
【0027】本発明の製造方法において酵素処理とは、
酵素反応によりある特定の有色染料を無色化することを
いう。
【0028】カラーミックス効果やムラ染め効果の観点
から、酵素付与または酵素処理が繊維構造物に対して部
分的に行なわれるのが好ましい。
【0029】染色前の繊維構造物に酵素を付与する方法
としては、例えば、酵素を含んだコーティング剤をグラ
ビアコーターやスクリーンコーターなどで繊維構造物に
付与する方法が挙げられる。あるいは、酵素を含んだコ
ーティング剤を分散させた浴に繊維構造物を浸漬する方
法や最近開発が進んでいるインクジェット記録方法のよ
うな吹付けによる方法が挙げられる。
【0030】その他にも種々のコーティング方法を利用
することで、多様な柄の繊維構造物を得ることができ
る。その後の染色は、酵素を含んだコーティング剤を含
んだまま行なってもよいし、乾燥工程で繊維構造物表面
に、そのコーティング剤微粒子を固定してから行なって
もよい。染色前に酵素を含んだコーティング剤を繊維構
造物に付与することにより、ある特定の有色染料が染色
浴中から繊維に吸尽される過程で酵素反応によって無色
化できる。これらの方法はコーティング剤の繊維構造物
への付着量の均一性の確保、カラーミックス効果やムラ
染め効果の再現性の面から有利である。
【0031】また、染色中の繊維構造物を酵素処理し、
ある特定の有色染料を無色化する方法としては、例え
ば、最初に染色浴中に酵素を含んだコーティング剤の微
粒子を分散させ、染色浴中に繊維構造物を導入して、こ
の微粒子を繊維構造物の表面に付着させながら染色を行
う方法が挙げられる。この方法により、ある特定の有色
染料が染色浴中から繊維に吸尽される過程で酵素反応に
よって無色化できる。この方法は工程が少ないのでプロ
セスコストを低くすることができる利点がある。さら
に、染色後の繊維構造物を酵素処理し、ある特定の有色
染料を無色化する方法としては、例えば、有色染料で染
色された繊維構造物を酵素を含んだコーティング剤の微
粒子を分散させた浴に浸漬し、乾燥後に酵素反応させる
方法が挙げられる。この方法により、繊維中に吸尽され
た状態で、ある特定の有色染料が無色化できる。
【0032】染色後の酵素処理においては、繊維構造物
の内部に吸尽された有色染料へ酵素を十分作用させる観
点から、熱処理を施すのが好ましく、熱処理温度は30
℃以上100℃以下の範囲が好ましい。
【0033】酵素反応により生じた活性種を繊維内部に
容易に到達させる観点から、この方法は親水性の高い合
成繊維や天然繊維、再生繊維などで用いるのが好まし
い。
【0034】本発明に使用する酵素を含有させるための
コーティング剤としては、ポリビニルアルコール、アク
リルアミド、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸
共重合体、セルロース誘導体(ジエチルアミノエチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、デンプ
ン類、デンプン誘導体(エーテル化デンプン、カルボキ
シメチルデンプン、エステル化デンプン、カチオン化デ
ンプン、リン酸化デンプン、ヒドロキシアルキル化デン
プンなど)、タンパク質類(ゼラチン、カゼインな
ど)、その他の多糖類(アルギン酸ソーダ、アガロー
ス、寒天、キトサンなど)などの高分子物質を挙げるこ
とができる。
【0035】また、これらの高分子物質のうち2つ以上
を混合したものも本発明において有効に用いることがで
きる。さらに、このほかの一般的な合成高分子や天然高
分子、さらには無機微粒子などであっても酵素を包括し
不溶化するもの、または不溶化する手段のあるものであ
れば問題なく使用することができる。
【0036】本発明の複数色相の繊維構造物の製造方法
で酵素を含んだコーティング剤とは単純に前記コーティ
ング剤と酵素を混合したもの以外にも、酵素を担体に結
合させたもの、酵素を架橋した高分子物質で包括したも
のも含まれる。ここで担体としては、例えばシリカ微粒
子やビーズ状の高分子などを用いることができ、その結
合方法は吸着の様な物理的方法と共有結合などによる化
学的方法のどちらを用いてもよい。
【0037】特に本発明の製造方法でムラ染効果やカラ
ーミックス効果などの高度な表現方法を得ようとする場
合には、いわゆる酵素を含んだコーティング剤をマイク
ロカプセル化することが好ましい。ここでマイクロカプ
セル化とは前記の酵素を含んだコーティング剤を直径が
0.01μm以上5mm未満の大きさの粒子に加工する
ことをいう。マイクロカプセル化の方法には特に限定は
ない。この酵素を含んだコーティング剤をマイクロカプ
セル化したものは、本発明の製造方法において酵素を含
んだコーティング剤と同様に用いることができる。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明の複数色相の繊維
構造物を説明する。
【0039】[実施例1]酵素を含んだコーティング剤
として、西洋わさびペルオキシダーゼ(東洋紡績(株)
製)を10U/mlの濃度で含む10%ポリビニルアル
コール(ナカライテスク(株)製)水溶液を作製した。
それからグラビアコータを用いて、染色前のナイロンタ
フタ布帛片(タテ20cm、ヨコ10cm)にコーティ
ング剤を部分的に付与した。
【0040】次にこの部分的に酵素含有コーティング剤
で被覆された布帛片を酸性染料で浴比1:50で染色し
た。染色液の組成はテロン ブルー K−BRLL(T
eron Blue K−BRLL、バイエルジャパン
社製)5%owf、テロンイエロー K−FBL(Te
ron Yellow K−FBL、バイエルジャパン
社製)5%owf、過酸化水素(ナカライテスク(株)
製)0.01g/lであった。
【0041】染色は試験用染色機ラボマット(Math
is社製)を用いて行なった。温度は、まず室温から8
0℃まで4℃/分で昇温した後、20分間その温度を保
った。その後は4℃/分で40℃まで降温し、湯洗と水
洗を行なった。コーティング剤は染色後もかなりの部分
が布帛上に残留していたが、湯洗と水洗の工程ですべて
脱落した。
【0042】染色後の布帛は酵素含有コーティング剤で
被覆されていた部分が鮮やかな黄色で、被覆されていな
かった部分が緑色であり、複数の色相を有するものであ
った。これは青色の染料のみがペルオキシダーゼにより
酸化されて、無色化されたためであった。
【0043】[実施例2]西洋わさびペルオキシダーゼ
(東洋紡績(株)製)を50U/mlの濃度で含む10
%ポリビニルアルコール水溶液を作製し、この溶液とト
ルエンとをそれぞれ50%になるように混合してエマル
ジョン化することで酵素を含むコーティング剤が分散し
た浴を作製した。それからこの浴中に染色前のナイロン
タフタ布帛片(タテ20cm、ヨコ10cm)を浸漬す
ることでコーティング剤を部分的に付与した。
【0044】次に実施例1と同じ方法でこの布帛片を染
色した。
【0045】染色後の布帛は緑色の部分の中に点状に黄
色の部分が存在するような模様を持ち、複数の色相を有
するものであった。これは染色中にコーティング剤が付
着していた部分で、青色の染料のみがペルオキシダーゼ
により酸化されて無色化されたためであった。
【0046】また、この布帛の共通の色相を持つ各部分
の面積は10-82 から10-62程度であり、カラー
ミックス効果を持つ布帛が得られた。
【0047】[実施例3]西洋わさびペルオキシダーゼ
(東洋紡績(株)製)を50U/mlの濃度で含む1.
5%アルギン酸ナトリウム水溶液を作製し、この溶液を
2%塩化カルシウム水溶液中へ攪拌しながら注ぎ込むこ
とでマイクロカプセル化したアルギン酸ナトリウムゲル
を作製した。
【0048】次に組成がマイクロカプセル化アルギン酸
ナトリウムゲル(バイエルジャパン社製)10g/l、
テロン ブルー K−BRLL(Teron Blue
K−BRLL、バイエルジャパン社製)5%owf、
テロン イエロー K−FBL(Teron Yell
ow K−FBL、バイエルジャパン社製)5%ow
f、過酸化水素(ナカライテスク(株)製)0.01g
/lである染色液を用い浴比が1:50でナイロンタフ
タ布帛片(タテ20cm、ヨコ10cm)を染色した。
【0049】染色は実施例1と同一の条件で行なった。
【0050】染色後の布帛は緑色の部分の中に点状に黄
色の部分が存在するような模様を持ち、複数の色相を有
するものであった。これは染色中にマイクロカプセル化
されたアルギン酸ナトリウムゲルが付着していた部分
で、青色の染料のみがペルオキシダーゼにより酸化され
て無色化されたためであった。
【0051】また、この布帛の共通の色相を持つ各部分
の面積は10-62 から10-42程度であり、ムラ染
め効果を持つ布帛が得られた。
【0052】[実施例4]実施例1と同じ方法で染色前
のポリエステルタフタ布帛片(タテ20cm、ヨコ10
cm)に酵素含有コーティング剤を付与した。
【0053】次にこの部分的に酵素含有コーティング剤
で被覆された布帛片を分散染料で浴比1:50で染色し
た。染色液の組成はミケトン ポリエステル イエロー
4G(Miketon Polyester Yel
low 4G、三井東圧化学(株)製)5%owf、ミ
ケトン ポリエステル ブルー 3RT(Miketo
n Polyester blue 3RT、三井東圧
化学(株)製)5%owf、オルソフェニルフェノール
(ナカライテスク(株)製)5g/l、過酸化水素(ナ
カライテスク(株)製)0.01g/lであった。
【0054】染色は試験用染色機ラボマット(Math
is社製)を用いて行なった。温度はまず室温から80
℃まで4℃/分で昇温した後、さらに100℃まで2℃
/分で昇温した。その後は100℃で30分間温度を保
った後、4℃/分で40℃まで降温し、湯洗と水洗を行
なった。コーティング剤は染色後でもかなり脱落が見ら
れ、さらに湯洗と水洗の工程ですべて脱落した。
【0055】染色後の布帛は酵素含有コーティング剤で
被覆されていた部分が鮮やかな青色で、被覆されていな
かった部分が緑色であり、複数の色相を有するものであ
った。これは黄色の染料のみがペルオキシダーゼにより
酸化されて、無色化されたためであった。
【0056】[実施例5]実施例2と同じ方法で染色前
のポリエステルタフタ布帛片(タテ20cm、ヨコ10
cm)に酵素含有コーティング剤を付与した。
【0057】次に実施例4と同じ方法でこの布帛片を染
色した。
【0058】染色後の布帛は緑色の部分の中に点状に青
色部分が存在するような模様を持ち、複数の色相を有す
るものであった。これは染色中にコーティング剤が付着
していた部分で、黄色の染料のみがペルオキシダーゼに
より酸化されて無色化されたためであった。
【0059】また、この布帛の共通の色相を持つ各部分
の面積は10-82 から10-62程度であり、カラー
ミックス効果を持つ布帛が得られた。
【0060】[実施例6]実施例3と同じ方法でマイク
ロカプセル化したアルギン酸ナトリウムゲルを作製し
た。
【0061】次にポリエステルタフタ布帛片(タテ20
cm、ヨコ10cm)を組成がマイクロカプセル化アル
ギン酸ナトリウムゲル(三井東圧化学(株)製)10g
/l、ミケトン ポリエステル イエロー 4G(Mi
keton Polyester Yellow 4
G、三井東圧化学(株)製)5%owf、ミケトン ポ
リエステル ブルー 3RT(Miketon Pol
yester blue3RT、三井東圧化学(株)
製)5%owf、オルソフェニルフェノール(ナカライ
テスク(株)製)5g/l、過酸化水素(ナカライテス
ク(株)製)0.01g/lの染色液を用いて浴比1:
50で染色した。
【0062】染色は実施例4と同じ条件で行なった。
【0063】染色後の布帛は緑色の部分の中に点状に青
色の部分が存在するような模様を持ち、複数の色相を有
するものであった。これは染色中にマイクロカプセル化
されたアルギン酸ナトリウムゲルが付着していた部分
で、黄色の染料のみがペルオキシダーゼにより酸化され
て無色化されたためであった。
【0064】また、この布帛の共通の色相を持つ各部分
の面積は10-62 から10-42程度であり、ムラ染
め効果を持つ布帛が得られた。
【0065】[実施例7]まず、テロン ブルー K−
BRLL(Teron Blue K−BRLL、バイ
エルジャパン社製)5%owf、テロン イエロー K
−FBL(Teron Yellow K−FBL、バ
イエルジャパン社製)5%owfの組成の染色液を用
い、浴比1:50でナイロンタフタを染色した。
【0066】さらにその染色後の布帛片(タテ20c
m、ヨコ10cm)を実施例1と同じ方法で酵素含有コ
ーティング剤で被覆した。
【0067】次にこの部分的に酵素含有コーティング剤
で被覆された染色後の布帛片を0.01g/lの過酸化
水素を含む浴中に50℃で30分間浸漬した。
【0068】その結果、処理後の布帛は酵素含有コーテ
ィング剤で被覆されていた部分が黄緑色で被覆されてい
なかった部分が緑色であり、複数の色相を有するもので
あった。これは酵素含有コーティング剤で被覆された部
分の青色の染料の一部がペルオキシダーゼにより酸化さ
れて、無色化されたためであった。
【0069】[実施例8]まず、カヤク ダイレクト
コパーブルー 2B(Kayaku Direct C
opperBlue 2B、日本化薬(株)製)5%o
wf、カヤラスイエロー PG(Kayarus Ye
llow PG、日本化薬(株)製)5%owfの組成
の染色液を用い、浴比1:50で綿ブロードを染色し
た。さらにその染色後の布帛片(タテ20cm、ヨコ1
0cm)を実施例1と同じ方法で酵素含有コーティング
剤で被覆した。
【0070】次にこの部分的に酵素含有コーティング剤
で被覆された染色後の布帛片を0.01g/lの過酸化
水素を含む浴中に50℃で30分間浸漬した。
【0071】その結果、処理後の布帛は酵素含有コーテ
ィング剤で被覆されていた部分が黄緑色で被覆されてい
なかった部分が緑色であり、複数の色相を有するもので
あった。これは酵素含有コーティング剤で被覆された部
分の青色の染料の一部がペルオキシダーゼにより酸化さ
れて、無色化されたためであった。
【0072】[実施例9]西洋わさびペルオキシダーゼ
(東洋紡績(株)製)を50U/mlの濃度で含む10
%ポリビニルアルコール水溶液を作製し、この溶液とト
ルエンとをそれぞれ50%になるように混合してエマル
ジョン化することで酵素を含むコーティング剤が分散し
た浴を作製した。また、同様にリグニンペルオキシダー
ゼ(Phanerochaete Chrysospo
riumの培養液から精製したもの)を1mg/mlの
濃度で含む10%ポリビニルアルコール水溶液を作製
し、この溶液とトルエンとをそれぞれ50%になるよう
に混合してエマルジョン化することでもう一つ別に酵素
を含むコーティング剤が分散した浴を作製した。それか
らこの2つの浴中に染色前のナイロンタフタ布帛片(タ
テ20cm、ヨコ10cm)を続けて浸漬することでそ
れぞれのコーティング剤を部分的に付与した。
【0073】次に、テロン ブルー K−BRLL(T
eron Blue K−BRLL、住友化学工業
(株)製)5%owf、アミニル イエロー E−G
(Aminil Yellow E−G、住友化学工業
(株)製)5%owf、過酸化水素(ナカライテスク
(株)製)0.01g/lの染色液を用い、浴比1:5
0でこの布帛片を染色した。染色条件は実施例1と同一
にした。
【0074】染色後の布帛は緑色の部分の中に黄色の部
分と青色の部分が点状に存在するような模様を持ち、複
数の色相を有するものであった。これは染色中にコーテ
ィング剤が付着していた部分で、青色の染料が西洋わさ
びペルオキシダーゼ、また黄色の染料がリグニンペルオ
キシダーゼにより酸化されて無色化されたためであっ
た。また、この布帛の共通の色相を持つ各部分の面積は
10-82 から10-62 程度であり、カラーミックス
効果を持つ布帛が得られた。
【0075】[実施例10]実施例9と同じ方法で染色
前のポリエステルタフタ布帛片(タテ20cm、ヨコ1
0cm)に酵素含有コーティング剤を付与した。
【0076】次に、ミケトン ポリエステル イエロー
4G(Miketon Polyester Yel
low 4G、三井東圧化学)5%owf、ミケトン
ポリエステル ブルー FBL(Miketon Po
lyester BlueFBL、三井東圧化学)5%
owf、オルソフェニルフェノール(ナカライテスク
(株)製)5g/l、過酸化水素(ナカライテスク
(株)製)0.01g/lの染色液を用い、浴比1:5
0でこの布帛片を染色した。染色条件は実施例4と同一
にした。
【0077】染色後の布帛は緑色の部分の中に黄色の不
分と青色の部分が点状に存在するような模様を持ち、複
数の色相を有するものであった。これは染色中にコーテ
ィング剤が付着していた部分で、黄色の染料が西洋わさ
びペルオキシダーゼ、また青色の染料がリグニンペルオ
キシダーゼにより酸化されて無色化されたためであっ
た。また、この布帛の共通の色相を持つ各部分の面積は
10-82 から10-62 程度であり、カラーミックス
効果を持つ布帛が得られた。
【0078】
【発明の効果】本発明の複数色相の繊維構造物は彩やか
な色合いを布帛に与え、その商品価値を著しく高めるも
のである。また、本発明によればムラ染めやカラーミッ
クスなどの美観の高い表現方法が可能である。
【0079】さらに、本発明の製造方法は簡便であり、
従来の染色設備をそのまま用いることができるため、製
造コストの低減ができ、経済的観点からも有利である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】染料が吸尽されてなる繊維構造物であっ
    て、少なくとも2種の有色染料が吸尽されてなる部分
    と、該有色染料のうち少なくとも1種が無色化された染
    料が吸尽されてなる部分を有することを特徴とする複数
    色相の繊維構造物。
  2. 【請求項2】染色前の繊維構造物に酵素を付与し、染色
    中に特定の有色染料を無色化させることを特徴とする複
    数色相の繊維構造物の製造方法。
  3. 【請求項3】染色中または染色後の繊維構造物を酵素処
    理し、特定の有色染料を無色化させることを特徴とする
    複数色相の繊維構造物の製造方法。
  4. 【請求項4】染色後の繊維構造物を30℃以上100℃
    以下で酵素処理し、特定の有色染料を無色化させること
    を特徴とする請求項3記載の複数色相の繊維構造物の製
    造方法。
  5. 【請求項5】酵素が酸化還元酵素であることを特徴とす
    る請求項2、3または4記載の複数色相の繊維構造物の
    製造方法。
JP7073527A 1995-03-30 1995-03-30 複数色相の繊維構造物およびその製造方法 Pending JPH08269878A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7073527A JPH08269878A (ja) 1995-03-30 1995-03-30 複数色相の繊維構造物およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7073527A JPH08269878A (ja) 1995-03-30 1995-03-30 複数色相の繊維構造物およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08269878A true JPH08269878A (ja) 1996-10-15

Family

ID=13520808

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7073527A Pending JPH08269878A (ja) 1995-03-30 1995-03-30 複数色相の繊維構造物およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08269878A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008534792A (ja) * 2005-03-22 2008-08-28 テン・ケイト・アドバンスト・テクスタイルス・ビー.ブイ. 布地の基材に物質を付着させる方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008534792A (ja) * 2005-03-22 2008-08-28 テン・ケイト・アドバンスト・テクスタイルス・ビー.ブイ. 布地の基材に物質を付着させる方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5356437A (en) Removal of excess dye from new textiles
US6051036A (en) Printed cloth and method of manufacturing the same
US5366510A (en) Process for desizing and color fading garments
JP2003514999A (ja) 画像の視覚化及び保持性を向上させるための浸染溶液を含むインクジェット印刷用の生地を処理するコーティング、該生地を処理する方法、及びそれで生成された物品
US20020066145A1 (en) Method for creating a fabric with a colored pattern
JPS63168382A (ja) セルロ−ス系繊維構造物のインクジエツト染色方法
US5873909A (en) Method and compositions for treating fibrous cellulosic materials
JP3191030B2 (ja) 未精練・未漂白綿製品の一工程精練・漂白・染色方法
JPH08269878A (ja) 複数色相の繊維構造物およびその製造方法
JP2003518200A (ja) 染色された材料を所定のパターンに脱色する方法
CN114687227A (zh) 一种棉/聚酰胺织物喷墨印花处理工艺及预处理剂
KR20040016043A (ko) 잉크젯 날염용 실크섬유의 전처리제 및 그 처리방법
Erdem İşmal Insight into Low-Temperature One-Step Biopreparation and Natural Dyeing of Cotton as an Environmentally Benign Route
JPH04174781A (ja) 絹糸の増量加工並びに染色法
JPH08100374A (ja) セルロース系繊維布帛の退色化加工方法
CN115637596B (zh) 生物质泡沫印花糊料及在棉织物泡沫印花中的应用
JP3114788B2 (ja) 染色ポリエステル繊維布帛の製造方法
JP2000129582A (ja) セルロース繊維含有材料の捺染方法
JPH11158785A (ja) 染色方法
JP2805907B2 (ja) 分散染料組成物およびそれを用いる疎水性繊維の染色方法
KR101998289B1 (ko) 친환경 빈티지 및 인디고 색상 섬유 염색방법
KR100431156B1 (ko) 분산염료에 의한 실크직물의 염색방법
US4615708A (en) Method for insitu coloring crosslinked cellulosic materials
JPS63295776A (ja) 斑染縫製品の製造方法
JP3223442B2 (ja) 氷を利用した新規な染色方法