JPH08269637A - 高速連続張出し加工用オーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents
高速連続張出し加工用オーステナイト系ステンレス鋼Info
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- JPH08269637A JPH08269637A JP9201695A JP9201695A JPH08269637A JP H08269637 A JPH08269637 A JP H08269637A JP 9201695 A JP9201695 A JP 9201695A JP 9201695 A JP9201695 A JP 9201695A JP H08269637 A JPH08269637 A JP H08269637A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】本発明は高速の連続張出し加工に際し、α破断
を生じることなく安定して加工が可能なオーステナイト
系ステンレス鋼を提供する。 【構成】質量%で、C:0.05〜0.15%,Si:
1.0〜2.5%,Mn:5.0%以下,Ni:5.0
〜9.0%,Cr:14.0〜19.0%,Cu:4.
0%以下,N:0.10%以下,Mo:1.0%以下
(無添加を含む)を含有し、(C+N)量が0.06%
以上であり、かつ、これらの成分の間に下記(1)式に
従うa値が−0.30〜1.00の範囲に維持される関
係が成立しており、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる高速連続張出し加工用オーステナイト系ステンレ
ス鋼。a値=19.43− 0.8C−0.14Si−0.54Mn−1.02
Ni−0.57Cr−0.49Cu−7.53N --- (1)
を生じることなく安定して加工が可能なオーステナイト
系ステンレス鋼を提供する。 【構成】質量%で、C:0.05〜0.15%,Si:
1.0〜2.5%,Mn:5.0%以下,Ni:5.0
〜9.0%,Cr:14.0〜19.0%,Cu:4.
0%以下,N:0.10%以下,Mo:1.0%以下
(無添加を含む)を含有し、(C+N)量が0.06%
以上であり、かつ、これらの成分の間に下記(1)式に
従うa値が−0.30〜1.00の範囲に維持される関
係が成立しており、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる高速連続張出し加工用オーステナイト系ステンレ
ス鋼。a値=19.43− 0.8C−0.14Si−0.54Mn−1.02
Ni−0.57Cr−0.49Cu−7.53N --- (1)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高速で連続張出し加工す
る場合に、α破断を生じることなく安定してプレス加工
が可能な張出し加工用オーステナイト系ステンレス鋼に
関するものである。
る場合に、α破断を生じることなく安定してプレス加工
が可能な張出し加工用オーステナイト系ステンレス鋼に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】SUS304のごとくオーステナイト相
が準安定なステンレス鋼は、加工時のひずみでマルテン
サイト変態(加工誘起マルテンサイト変態)が生じて、
ひずみ拡散が良好になるため、SUS305やSUS3
16等のようにオーステ、加工時のひずみでマルテンサ
イト変態(加工誘起マルテンサイト変態)が生じてひず
み拡散が良好になるため、SUS305やSUS316
等のようにオーステナイト相が比較的安定なステンレス
鋼に比べて、張出し加工性、深絞り加工性が優れる。こ
の効果を積極的に活用した高加工性ステンレス鋼とし
て、特公昭51−29854号,特公昭59−3366
3号,特公昭60−5669号,特開昭54−1289
19号などの例がある。これらの鋼は、張出し加工や深
絞り加工を施して、流し台や浴槽等の大型プレス品に多
用されている。また、ドアーノブやガスコンロのガスバ
ーナー、電池ケース等の比較的小型のプレス加工品にも
多用されつつある。
が準安定なステンレス鋼は、加工時のひずみでマルテン
サイト変態(加工誘起マルテンサイト変態)が生じて、
ひずみ拡散が良好になるため、SUS305やSUS3
16等のようにオーステ、加工時のひずみでマルテンサ
イト変態(加工誘起マルテンサイト変態)が生じてひず
み拡散が良好になるため、SUS305やSUS316
等のようにオーステナイト相が比較的安定なステンレス
鋼に比べて、張出し加工性、深絞り加工性が優れる。こ
の効果を積極的に活用した高加工性ステンレス鋼とし
て、特公昭51−29854号,特公昭59−3366
3号,特公昭60−5669号,特開昭54−1289
19号などの例がある。これらの鋼は、張出し加工や深
絞り加工を施して、流し台や浴槽等の大型プレス品に多
用されている。また、ドアーノブやガスコンロのガスバ
ーナー、電池ケース等の比較的小型のプレス加工品にも
多用されつつある。
【0003】これらの加工品のうち、大型プレス品はプ
レス圧力やポンチストロークの関係から油圧を用いた低
速のプレス加工のため加工時の変形熱は金型に伝熱拡散
されたり、潤滑油で冷却されて材料温度はほとんど上昇
しない。一方、比較的小型品のプレス加工ではメカニカ
ルプレスが多用されている。この場合、油圧プレスに比
べて加工速度が大きいため加工時の変形熱により材料温
度が上昇し、マルテンサイト変態が抑制されるため加工
性が低下する。そこで、素板から製品形状まで多数回の
中間形状を経て少しずつ段階的に加工する多段プレス加
工の手法が取られる。なお、メカニカルプレスを用いた
多段プレス加工の場合でも、中間製品をまとめて各段ご
とに単発プレスする場合も多く、この場合は材料の温度
上昇は比較的少なく、高速加工と言えども加工性の低下
は小さい。
レス圧力やポンチストロークの関係から油圧を用いた低
速のプレス加工のため加工時の変形熱は金型に伝熱拡散
されたり、潤滑油で冷却されて材料温度はほとんど上昇
しない。一方、比較的小型品のプレス加工ではメカニカ
ルプレスが多用されている。この場合、油圧プレスに比
べて加工速度が大きいため加工時の変形熱により材料温
度が上昇し、マルテンサイト変態が抑制されるため加工
性が低下する。そこで、素板から製品形状まで多数回の
中間形状を経て少しずつ段階的に加工する多段プレス加
工の手法が取られる。なお、メカニカルプレスを用いた
多段プレス加工の場合でも、中間製品をまとめて各段ご
とに単発プレスする場合も多く、この場合は材料の温度
上昇は比較的少なく、高速加工と言えども加工性の低下
は小さい。
【0004】
【発明が解決しょうとする課題】しかし、近年の比較的
小型品のプレス加工は、大量生産やプレス加工の効率化
を目的に高速の連続プレスに変更されつつある。このよ
うな加工方法や加工条件の変化に伴い、従来のSUS3
04や前述従来例のオーステナイト系ステンレス鋼では
加工上の問題が顕在化してきた。すなわち、高速連続プ
レス加工に際しては、潤滑剤で材料、金型を冷却してい
るにもかかわらず、高速連続加工のため、変形時の発熱
量の多くが材料内に連続的に蓄積されたり、金型に伝導
後蓄積される。このため加工材料の温度が上昇し、マル
テンサイト変態が抑制されるため加工性が低下すること
から、従来鋼ではプレスの高速化や多段プレス加工時の
工程数削減を阻害していた。本発明は、このような問題
点を解消し、高速連続プレスにおいてα破断を生じるこ
となく安定して加工が可能なステンレス鋼を提供するこ
とを目的としたものである。
小型品のプレス加工は、大量生産やプレス加工の効率化
を目的に高速の連続プレスに変更されつつある。このよ
うな加工方法や加工条件の変化に伴い、従来のSUS3
04や前述従来例のオーステナイト系ステンレス鋼では
加工上の問題が顕在化してきた。すなわち、高速連続プ
レス加工に際しては、潤滑剤で材料、金型を冷却してい
るにもかかわらず、高速連続加工のため、変形時の発熱
量の多くが材料内に連続的に蓄積されたり、金型に伝導
後蓄積される。このため加工材料の温度が上昇し、マル
テンサイト変態が抑制されるため加工性が低下すること
から、従来鋼ではプレスの高速化や多段プレス加工時の
工程数削減を阻害していた。本発明は、このような問題
点を解消し、高速連続プレスにおいてα破断を生じるこ
となく安定して加工が可能なステンレス鋼を提供するこ
とを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、質量%
で、C:0.05〜0.15%,Si:1.0〜2.5
%,Mn:5.0%以下,Ni:5.0〜9.0%,C
r:14.0〜19.0%,Cu:4.0%以下,N:
0.10%以下,Mo:1.0%以下(無添加を含む)
を含有し、(C+N)量が0.06%以上であり、か
つ、これらの成分の間に、a値=19.43− 0.8C−0.14S
i−0.54Mn−1.02Ni−0.57Cr−0.49Cu−7.53N
--- (1)式に従うa値が−0.30〜1.00の範囲に
維持される関係が成立しており、残部がFeおよび不可
避的不純物からなる高速連続張出し加工用オーステナイ
ト系ステンレス鋼を提供する。
で、C:0.05〜0.15%,Si:1.0〜2.5
%,Mn:5.0%以下,Ni:5.0〜9.0%,C
r:14.0〜19.0%,Cu:4.0%以下,N:
0.10%以下,Mo:1.0%以下(無添加を含む)
を含有し、(C+N)量が0.06%以上であり、か
つ、これらの成分の間に、a値=19.43− 0.8C−0.14S
i−0.54Mn−1.02Ni−0.57Cr−0.49Cu−7.53N
--- (1)式に従うa値が−0.30〜1.00の範囲に
維持される関係が成立しており、残部がFeおよび不可
避的不純物からなる高速連続張出し加工用オーステナイ
ト系ステンレス鋼を提供する。
【0006】
【作用】本発明の要旨とするところは、高速で連続プレ
ス加工する際に材料の温度が上昇しても、適度なマルテ
ンサイト変態を進行させることでひずみ拡散を効率的に
生じさせ、α破断を防止することにある。そこでマルテ
ンサイト変態の起こり易さと、変態したマルテンサイト
の強度を制御することが極めて重要となる。マルテンサ
イト変態挙動はオーステナイト安定度、加工ひずみ量、
加工温度の影響が極めて強い。
ス加工する際に材料の温度が上昇しても、適度なマルテ
ンサイト変態を進行させることでひずみ拡散を効率的に
生じさせ、α破断を防止することにある。そこでマルテ
ンサイト変態の起こり易さと、変態したマルテンサイト
の強度を制御することが極めて重要となる。マルテンサ
イト変態挙動はオーステナイト安定度、加工ひずみ量、
加工温度の影響が極めて強い。
【0007】オーステナイト安定度は鋼中に含有される
化学成分とその量に依存する。オーステナイト安定度を
表す指標としては、例えば、鉄と鋼 Vol.63 No.5 p.218
に紹介されている、MdGS30= 551−462(C+N) −
9.2Si− 8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.
5Mo−68.0Nb−1.42(ν− 8.0)----- (2)が挙げら
れる。このMdGS30は0.30の引張り真ひずみを与えたと
き50%のマルテンサイト量を生成する温度であり、Md
GS30の値が大きいほどオーステナイト相は不安定であ
る。なお、(2)式中のνはオーステナイト相のAST
M結晶粒度番号である。しかし、このMdGS30値で高速
連続プレス加工における張出し加工性を評価した場合、
MdGS30値と張出し加工性の相関が乏しいことが多々あ
る。
化学成分とその量に依存する。オーステナイト安定度を
表す指標としては、例えば、鉄と鋼 Vol.63 No.5 p.218
に紹介されている、MdGS30= 551−462(C+N) −
9.2Si− 8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.
5Mo−68.0Nb−1.42(ν− 8.0)----- (2)が挙げら
れる。このMdGS30は0.30の引張り真ひずみを与えたと
き50%のマルテンサイト量を生成する温度であり、Md
GS30の値が大きいほどオーステナイト相は不安定であ
る。なお、(2)式中のνはオーステナイト相のAST
M結晶粒度番号である。しかし、このMdGS30値で高速
連続プレス加工における張出し加工性を評価した場合、
MdGS30値と張出し加工性の相関が乏しいことが多々あ
る。
【0008】その理由としては、第1にMdGS30値はS
US304,301系の特定成分範囲内で回帰した式で
あるため、幅広い成分範囲での適用には外挿が困難であ
る点、第2にMdGS30値は加工時の材料温度の上昇を考
慮に入れていないのに対し、高速連続プレス加工では、
材料温度が上昇するため、同一材料であっても加工時の
材料温度によって、マルテンサイト量が変化するという
点が考えられる。そこで、高速連続プレス加工性を評価
できる新たなオーステナイト安定度の指標について検討
した結果、加工ひずみ量とマルテンサイト量との関係に
着目すべきであることを知見した。
US304,301系の特定成分範囲内で回帰した式で
あるため、幅広い成分範囲での適用には外挿が困難であ
る点、第2にMdGS30値は加工時の材料温度の上昇を考
慮に入れていないのに対し、高速連続プレス加工では、
材料温度が上昇するため、同一材料であっても加工時の
材料温度によって、マルテンサイト量が変化するという
点が考えられる。そこで、高速連続プレス加工性を評価
できる新たなオーステナイト安定度の指標について検討
した結果、加工ひずみ量とマルテンサイト量との関係に
着目すべきであることを知見した。
【0009】本発明者らによる種々の実験結果、加工ひ
ずみ量とマルテンサイト量の間には、次の関係が成立す
ることを見い出した。 α'/A=a・e2.5 ------ (3) ここで、e:引張変形で付与されたひずみ量 α':付与されたひずみ量で発生した加工誘起マルテンサ
イト相の量比 A:そのときのオーステナイト相の量比で、1−α' に
等しい。 すなわち、(3)式は加工歪みの増加に伴う加工誘起マ
ルテンサイト量の増加の度合い示した関係式である。
(3)式における係数aの値が、その材料のオーステナ
イト安定度を示す値となる。すなわち、a値が小さい場
合はオーステナイト相が安定であり、大きい場合はオー
ステナイト相は不安定と評価することができるのであ
る。ここで、a値はひずみ量e=1のときのα'/Aの値
となることが(3)式からわかる。
ずみ量とマルテンサイト量の間には、次の関係が成立す
ることを見い出した。 α'/A=a・e2.5 ------ (3) ここで、e:引張変形で付与されたひずみ量 α':付与されたひずみ量で発生した加工誘起マルテンサ
イト相の量比 A:そのときのオーステナイト相の量比で、1−α' に
等しい。 すなわち、(3)式は加工歪みの増加に伴う加工誘起マ
ルテンサイト量の増加の度合い示した関係式である。
(3)式における係数aの値が、その材料のオーステナ
イト安定度を示す値となる。すなわち、a値が小さい場
合はオーステナイト相が安定であり、大きい場合はオー
ステナイト相は不安定と評価することができるのであ
る。ここで、a値はひずみ量e=1のときのα'/Aの値
となることが(3)式からわかる。
【0010】本発明者らによる数多くの実験の結果、a
値と化学成分の間には、次の関係式が成立することを見
い出した a値= 19.43−10.8C−0.14Si−0.54Mn−1.02Ni
−0.57Cr−0.49Cu−7.53N --- (1)
値と化学成分の間には、次の関係式が成立することを見
い出した a値= 19.43−10.8C−0.14Si−0.54Mn−1.02Ni
−0.57Cr−0.49Cu−7.53N --- (1)
【0011】加工温度は加工度、加工速度、加工開始か
らの経過時間の増加とともに上昇するものであるが、加
工時には摩擦抵抗の低減、疵付き防止等の目的で液体潤
滑が施されるため、材料温度はある温度からほとんど上
昇しなくなる。実際の高速連続プレス時の温度は、多く
の場合は40〜70℃程度であると推定されることか
ら、この温度域でのマルテンサイト変態を適切に制御す
ることが必要である。
らの経過時間の増加とともに上昇するものであるが、加
工時には摩擦抵抗の低減、疵付き防止等の目的で液体潤
滑が施されるため、材料温度はある温度からほとんど上
昇しなくなる。実際の高速連続プレス時の温度は、多く
の場合は40〜70℃程度であると推定されることか
ら、この温度域でのマルテンサイト変態を適切に制御す
ることが必要である。
【0012】詳細な調査の結果、(1)式で示されるa
値が−0.30〜1.00の範囲を外れた鋼では、高速
連続張出し加工において、加工割れが生じ易いことがわ
かった。すなわち、(1)式によるa値は、実際の高速
連続張出し加工性を評価するためにふさわしいオーステ
ナイト安定度の指標である。
値が−0.30〜1.00の範囲を外れた鋼では、高速
連続張出し加工において、加工割れが生じ易いことがわ
かった。すなわち、(1)式によるa値は、実際の高速
連続張出し加工性を評価するためにふさわしいオーステ
ナイト安定度の指標である。
【0013】なお、マルテンサイト相の強度が高い材料
に強度の縮みフランジ変形加工を施すと、縮みフランジ
変形部に強い引張残留応力が発生し時期割れを生じるた
め、従来は高速連続張出し加工用途への適用は不可能で
あるとされていた。しかし、本発明によるとき、加工部
に時期割れ発生を誘発する引張残留応力は残存しないた
め時期割れは考慮しなくて良いことを確認した。したが
って、張出し加工用途材料ではマルテンサイト強度の高
い材料の方がひずみ拡散に対して有利になり、優れた張
出し成形性が得られる。
に強度の縮みフランジ変形加工を施すと、縮みフランジ
変形部に強い引張残留応力が発生し時期割れを生じるた
め、従来は高速連続張出し加工用途への適用は不可能で
あるとされていた。しかし、本発明によるとき、加工部
に時期割れ発生を誘発する引張残留応力は残存しないた
め時期割れは考慮しなくて良いことを確認した。したが
って、張出し加工用途材料ではマルテンサイト強度の高
い材料の方がひずみ拡散に対して有利になり、優れた張
出し成形性が得られる。
【0014】各成分の作用と含有量限定の理由は次の通
りである。Cは強力なオーステナイト生成元素であり、
また耐力をあまり上昇することなく、加工誘起マルテン
サイト相の強度を高めるのに極めて有効な元素である。
このCの効果を十分に活用し極めて優れた張出し加工性
を確保するためには0.05%以上のC量とする必要が
ある。また、高すぎると耐食性が劣化するので上限を
0.15%とした。
りである。Cは強力なオーステナイト生成元素であり、
また耐力をあまり上昇することなく、加工誘起マルテン
サイト相の強度を高めるのに極めて有効な元素である。
このCの効果を十分に活用し極めて優れた張出し加工性
を確保するためには0.05%以上のC量とする必要が
ある。また、高すぎると耐食性が劣化するので上限を
0.15%とした。
【0015】Siはその含有量が高いほど、オーステナ
イト相そのものの加工硬化性を高めることができるとと
もに、耐応力腐食割れ性の改善に有効な元素であるが、
反面、その含有量が多すぎるとδフェライト相が生成し
て熱間加工性を損ねるためその適正範囲を1.0〜2.
5%とした。
イト相そのものの加工硬化性を高めることができるとと
もに、耐応力腐食割れ性の改善に有効な元素であるが、
反面、その含有量が多すぎるとδフェライト相が生成し
て熱間加工性を損ねるためその適正範囲を1.0〜2.
5%とした。
【0016】MnはNiと同様にオーステナイト相のひ
ずみ誘起マルテンサイト量を抑制するのに役立つが、N
iと異なる点はひずみによって誘起されるマルテンサイ
ト相の強度を高めるため、結果的には材料の加工硬化性
を高めると共に張出し成形性を向上させる効果があり、
単なるNiとの置換とは目的を異にする。しかしなが
ら、δフェライト相の抑制効果はNiほど強くなく、か
つ、製鋼時のロスが多くて金属Niと金属Mnとの価格
差ほどのコストの低減にならないことから、その適量範
囲を5.0%以下とした。
ずみ誘起マルテンサイト量を抑制するのに役立つが、N
iと異なる点はひずみによって誘起されるマルテンサイ
ト相の強度を高めるため、結果的には材料の加工硬化性
を高めると共に張出し成形性を向上させる効果があり、
単なるNiとの置換とは目的を異にする。しかしなが
ら、δフェライト相の抑制効果はNiほど強くなく、か
つ、製鋼時のロスが多くて金属Niと金属Mnとの価格
差ほどのコストの低減にならないことから、その適量範
囲を5.0%以下とした。
【0017】Niはオーステナイト相やマルテンサイト
相そのものの加工硬化にはあまり寄与しないのと、高価
な金属であるのでオーステナイト相のバランスの条件を
満たす範囲で低いことが望ましいので5.0〜9.0%
の範囲とした。
相そのものの加工硬化にはあまり寄与しないのと、高価
な金属であるのでオーステナイト相のバランスの条件を
満たす範囲で低いことが望ましいので5.0〜9.0%
の範囲とした。
【0018】Crは耐食性の面から高い方が望ましい
が、あまり高すぎるとδフェライト相が生じ熱間加工性
が損なわれるためその適正範囲を14.0〜19.0%
とした。
が、あまり高すぎるとδフェライト相が生じ熱間加工性
が損なわれるためその適正範囲を14.0〜19.0%
とした。
【0019】CuはNiと同様にオーステナイト相のひ
ずみ誘起マルテンサイト変態を制御するのに役立つと同
時に、ひずみによって誘起されるマルテンサイト相の強
度を高め、結果的に材料の加工硬化特性を向上せしめる
ので不可欠な元素である。しかし、その含有量が高すぎ
ると熱間加工性が阻害されるので、その含有量は4.0
%以下とした。
ずみ誘起マルテンサイト変態を制御するのに役立つと同
時に、ひずみによって誘起されるマルテンサイト相の強
度を高め、結果的に材料の加工硬化特性を向上せしめる
ので不可欠な元素である。しかし、その含有量が高すぎ
ると熱間加工性が阻害されるので、その含有量は4.0
%以下とした。
【0020】NはCと同様にオーステナイト生成元素で
あり、加工誘起マルテンサイト相の強度を高める。しか
し、、多すぎるとオーステナイト相自体の強度が上昇す
るとともに耐力を上昇して加工性が低下するため、上限
を0.10%とした。
あり、加工誘起マルテンサイト相の強度を高める。しか
し、、多すぎるとオーステナイト相自体の強度が上昇す
るとともに耐力を上昇して加工性が低下するため、上限
を0.10%とした。
【0021】Moは耐食性の向上に有効な元素である。
本発明の鋼では、ひずみ誘起マルテンサイトを積極的に
利用する上から、耐食性に有効なCrの上限が決められ
る。環境によって耐食性が不十分な場合には、耐食性の
向上を目的にMoを添加することが有効である。しか
し、Moは高価な元素であることから上限を1.0%と
した。
本発明の鋼では、ひずみ誘起マルテンサイトを積極的に
利用する上から、耐食性に有効なCrの上限が決められ
る。環境によって耐食性が不十分な場合には、耐食性の
向上を目的にMoを添加することが有効である。しか
し、Moは高価な元素であることから上限を1.0%と
した。
【0022】その他、成形加工部品をスポット溶接やシ
ーム溶接等で組み立てて使用する場合は、溶接熱影響部
の鋭敏化による耐食性劣化を回避するためにTi,Nb
を適量添加することが有効である。
ーム溶接等で組み立てて使用する場合は、溶接熱影響部
の鋭敏化による耐食性劣化を回避するためにTi,Nb
を適量添加することが有効である。
【0023】なお、(C+N)量を0.06%以上とし
たが、(C+N)量が0.06%未満であるとマルテン
サイト相の強度が十分得られず、ひずみ拡散が不十分と
なり張出し加工性が低下するためである。
たが、(C+N)量が0.06%未満であるとマルテン
サイト相の強度が十分得られず、ひずみ拡散が不十分と
なり張出し加工性が低下するためである。
【0024】
実施例1:表1に示す化学成分の鋼1〜26を溶製し、
スラブを1220℃に再加熱後、熱間圧延により板厚
3.8mmの熱延板とし、これに1150℃で均熱1分
の熱延板焼鈍を施した。この熱延焼鈍板を酸洗し、板厚
1.2mmまで冷間圧延した後、1050℃で均熱1分
の中間焼鈍と酸洗を施し、さらに0.6mmまで冷間圧
延した。これに結晶粒度が8番になるような温度で、均
熱1分の仕上げ焼鈍の後、酸洗を施した。
スラブを1220℃に再加熱後、熱間圧延により板厚
3.8mmの熱延板とし、これに1150℃で均熱1分
の熱延板焼鈍を施した。この熱延焼鈍板を酸洗し、板厚
1.2mmまで冷間圧延した後、1050℃で均熱1分
の中間焼鈍と酸洗を施し、さらに0.6mmまで冷間圧
延した。これに結晶粒度が8番になるような温度で、均
熱1分の仕上げ焼鈍の後、酸洗を施した。
【0025】
【表1】
【0026】これらの材料について、オーステナイト安
定度の評価試験と高速連続プレス時の張出し加工性の指
標となる高速エリクセン試験を行った。また、一部の材
料については高速張出し加工試験を実施した。なお、こ
れらの試験方法は次のとおりである。
定度の評価試験と高速連続プレス時の張出し加工性の指
標となる高速エリクセン試験を行った。また、一部の材
料については高速張出し加工試験を実施した。なお、こ
れらの試験方法は次のとおりである。
【0027】(高速エリクセン試験方法)高速エリクセ
ン試験は高速連続張出し加工を想定した試験方法で、J
IS Z2247に規定された2号試験片にプレス油で
潤滑を施して試験した。加工方法はメカニカルプレス機
にJIS B 7729に規定されたエリクセン試験治
具を取付け、加工速度12.8m/分の速度で加工し
た。試験室の気温は20℃であった。加工時の材料温度
は高速加工のため測定が不可能であるが、加工後直ちに
試験片を取り出し温度測定を行なったところ、約40℃
を示したことから、加工時の材料温度は40℃以上であ
ることは容易に推察される。なお、JIS Z 224
7に規定された通常のエリクセン試験も一部実施した
が、エリクセン試験時の張出し加工部での温度を測定し
た結果、加工時に温度上昇を生じた材料でも加工時の材
料温度は25℃程度であった。
ン試験は高速連続張出し加工を想定した試験方法で、J
IS Z2247に規定された2号試験片にプレス油で
潤滑を施して試験した。加工方法はメカニカルプレス機
にJIS B 7729に規定されたエリクセン試験治
具を取付け、加工速度12.8m/分の速度で加工し
た。試験室の気温は20℃であった。加工時の材料温度
は高速加工のため測定が不可能であるが、加工後直ちに
試験片を取り出し温度測定を行なったところ、約40℃
を示したことから、加工時の材料温度は40℃以上であ
ることは容易に推察される。なお、JIS Z 224
7に規定された通常のエリクセン試験も一部実施した
が、エリクセン試験時の張出し加工部での温度を測定し
た結果、加工時に温度上昇を生じた材料でも加工時の材
料温度は25℃程度であった。
【0028】(オーステナイト安定度評価試験方法)幅
10mm、長さ100mmの短冊試験片を作製し、試験
片の中央部に15mmのけがき線を記入した。この試験
片のけがき線長さを読み取り顕微鏡で正確に測定した
後、インストロン型引張試験機で均一伸びを示す範囲内
で種々の引張ひずみを与えた。この時の引張速度は1m
m/分と100mm/分の2種類で行なった。1mm/
分で引張った場合の試験片温度は高いもので25℃程度
であった。一方、100mm/分で引張った場合の試験
片温度は60〜90℃であった。ひずみ付与後は再びけ
がき線長さを正確に読み取り、ひずみ量を算出した。オ
ーステナイト安定度の指標となる加工誘起マルテンサイ
ト量は、引張ひずみ付与後の試験片から約5mm径の円
板を加工ひずみが加わらないよう電解研磨で注意深く作
製し、試料振動型磁力計で測定した。
10mm、長さ100mmの短冊試験片を作製し、試験
片の中央部に15mmのけがき線を記入した。この試験
片のけがき線長さを読み取り顕微鏡で正確に測定した
後、インストロン型引張試験機で均一伸びを示す範囲内
で種々の引張ひずみを与えた。この時の引張速度は1m
m/分と100mm/分の2種類で行なった。1mm/
分で引張った場合の試験片温度は高いもので25℃程度
であった。一方、100mm/分で引張った場合の試験
片温度は60〜90℃であった。ひずみ付与後は再びけ
がき線長さを正確に読み取り、ひずみ量を算出した。オ
ーステナイト安定度の指標となる加工誘起マルテンサイ
ト量は、引張ひずみ付与後の試験片から約5mm径の円
板を加工ひずみが加わらないよう電解研磨で注意深く作
製し、試料振動型磁力計で測定した。
【0029】(高速張出し加工試験方法)150mm×
150mm角の板を表2の条件で3工程の高速連続張出
し加工を行い、割れの有無を確認した。なお、加工時の
材料温度は機構上測定できなかったが、1〜3工程終了
後直ちに加工品の温度を測定したところ40℃以上の温
度であることから、加工時の材料温度は40℃以上であ
ったことを確認した。
150mm角の板を表2の条件で3工程の高速連続張出
し加工を行い、割れの有無を確認した。なお、加工時の
材料温度は機構上測定できなかったが、1〜3工程終了
後直ちに加工品の温度を測定したところ40℃以上の温
度であることから、加工時の材料温度は40℃以上であ
ったことを確認した。
【0030】
【表2】
【0031】(試験結果)高速エリクセン試験およびオ
ーステナイト安定度評価試験結果を表3に示す。従来の
オーステナイト安定度の指標となるMdGS30で高速エリ
クセン値を整理すると図1のようになった。MdGS30と
高速エリクセン値の間には、ほとんど相関のないことが
わかる。
ーステナイト安定度評価試験結果を表3に示す。従来の
オーステナイト安定度の指標となるMdGS30で高速エリ
クセン値を整理すると図1のようになった。MdGS30と
高速エリクセン値の間には、ほとんど相関のないことが
わかる。
【0032】
【表3】
【0033】また、引張ひずみによるマルテンサイト変
態挙動の一例を図2、3に示す。引張り時に材料温度が
上昇しないよう1mm/分でゆっくり引張った場合は図
2に示すように、加工時に生成したマルテンサイト量が
多い。一方、引張時に材料温度が60〜90℃に上昇し
た100mm/分の場合は、図3に示すようにマルテン
サイト量が少ない。これらの結果は、同一材料であって
も加工時の材料温度によってマルテンサイト量が変化す
ることを示すものである。
態挙動の一例を図2、3に示す。引張り時に材料温度が
上昇しないよう1mm/分でゆっくり引張った場合は図
2に示すように、加工時に生成したマルテンサイト量が
多い。一方、引張時に材料温度が60〜90℃に上昇し
た100mm/分の場合は、図3に示すようにマルテン
サイト量が少ない。これらの結果は、同一材料であって
も加工時の材料温度によってマルテンサイト量が変化す
ることを示すものである。
【0034】図4は、前述の(3)式におけるひずみ量
eの対数とα'/(1−α')の対数の関係をいくつかの鋼に
ついて、プロットした例である。各鋼のプロットは、勾
配2.5の直線として近似でき、(3)式の関係が成立
することがわかる。鋼の化学組成を前述の(1)式に代
入して求めた計算a値と、マルテンサイト量を実測して
(3)式から求めた実測a値を表3中に示す。計算a値
と実測a値は、よく一致しており、(1)式によりa値
が精度よく推定できることがわかる。
eの対数とα'/(1−α')の対数の関係をいくつかの鋼に
ついて、プロットした例である。各鋼のプロットは、勾
配2.5の直線として近似でき、(3)式の関係が成立
することがわかる。鋼の化学組成を前述の(1)式に代
入して求めた計算a値と、マルテンサイト量を実測して
(3)式から求めた実測a値を表3中に示す。計算a値
と実測a値は、よく一致しており、(1)式によりa値
が精度よく推定できることがわかる。
【0035】前述(1)式を用いて求めた計算a値と高
速連続プレス加工を想定した高速でのエリクセン試験値
の関係を整理すると図5のようになる。高速連続プレス
加工であろうとも、張出し加工性はマルテンサイト変態
によるひずみ拡散の寄与が大きく、結局、高速加工で材
料温度が上昇した状態でのマルテンサイト変態挙動を十
分把握すれば図5のごとく、高速連続張出し加工性は、
本発明者らが提案したa値によって評価することが可能
となる。しかもC,N量の多い材料の方が張出し加工性
が優れていることがわかる。
速連続プレス加工を想定した高速でのエリクセン試験値
の関係を整理すると図5のようになる。高速連続プレス
加工であろうとも、張出し加工性はマルテンサイト変態
によるひずみ拡散の寄与が大きく、結局、高速加工で材
料温度が上昇した状態でのマルテンサイト変態挙動を十
分把握すれば図5のごとく、高速連続張出し加工性は、
本発明者らが提案したa値によって評価することが可能
となる。しかもC,N量の多い材料の方が張出し加工性
が優れていることがわかる。
【0036】供試材の一部について、高速連続張出し加
工試験を実施した結果を表3中に示す。Cが0.05%
以上、(C+N)が0.06%以上の鋼で、オーステナ
イト安定度の指標となるa値が−0.30〜1.00の
鋼が高速連続張出し加工可能領域が極めて広いことがわ
かる。
工試験を実施した結果を表3中に示す。Cが0.05%
以上、(C+N)が0.06%以上の鋼で、オーステナ
イト安定度の指標となるa値が−0.30〜1.00の
鋼が高速連続張出し加工可能領域が極めて広いことがわ
かる。
【0037】実施例2:実施例1と同様に、表4に示す
A〜Rの鋼を溶製した。表4の本発明鋼の鋼A〜JはC
量が0.05%以上で、(C+N)量が0.06%以上
にあり、a値は−0.30〜1.00の範囲にある。比
較鋼の鋼KはC量が0.05%以上で、(C+N)量が
0.06%以上にあるものの、a値が規定の範囲より低
くオーステナイト相が安定な材料である。比較鋼L〜Q
は、a値が規定の範囲内にあるものの、C量および(C
+N)量が規定の範囲より少ないものである。比較鋼R
のC,N量および(C+N)量は規定の範囲内にあるも
のの、a値が規定の範囲より高くオーステナイトが不安
定な材料である。
A〜Rの鋼を溶製した。表4の本発明鋼の鋼A〜JはC
量が0.05%以上で、(C+N)量が0.06%以上
にあり、a値は−0.30〜1.00の範囲にある。比
較鋼の鋼KはC量が0.05%以上で、(C+N)量が
0.06%以上にあるものの、a値が規定の範囲より低
くオーステナイト相が安定な材料である。比較鋼L〜Q
は、a値が規定の範囲内にあるものの、C量および(C
+N)量が規定の範囲より少ないものである。比較鋼R
のC,N量および(C+N)量は規定の範囲内にあるも
のの、a値が規定の範囲より高くオーステナイトが不安
定な材料である。
【0038】
【表4】
【0039】これらの鋼の0.6mm厚の冷延焼鈍材か
ら、各試験片を採取し、実施例1と同様の試験条件で高
速エリクセン試験、オーステナイト安定度評価試験、高
速張出し加工試験を実施した。その結果を、表5および
図6に示す。
ら、各試験片を採取し、実施例1と同様の試験条件で高
速エリクセン試験、オーステナイト安定度評価試験、高
速張出し加工試験を実施した。その結果を、表5および
図6に示す。
【0040】
【表5】
【0041】C量が0.05%以上で、(C+N)量が
0.06%以上にある発明鋼の張出し加工性の指標とな
る高速エリクセン値が高く、高速張出し加工試験でもα
破断は生じていない。比較鋼のK,RはC量が0.05
%以上で、(C+N)量が0.06%以上にあるもの
の、a値が規格を外れているため高速エリクセン値が低
く、高速張出し加工試験でもα破断を生じた。C量が
0.05%以上で、(C+N)量が0.06%以上の規
格を満足しない鋼Lは高速張出し加工試験でα破断を生
じ、鋼Mはα破断発生危険部のポンチ肩R部にネッキン
グを生じた。このように、C量が0.05%以上で、
(C+N)量が0.06%以上の規格を満足しない鋼で
も、加工条件に適したa値を有せば高速張出し加工は可
能であるが、加工可能なa値の範囲が発明鋼のa値範囲
より狭くなり、材料の管理が極めて困難となる。
0.06%以上にある発明鋼の張出し加工性の指標とな
る高速エリクセン値が高く、高速張出し加工試験でもα
破断は生じていない。比較鋼のK,RはC量が0.05
%以上で、(C+N)量が0.06%以上にあるもの
の、a値が規格を外れているため高速エリクセン値が低
く、高速張出し加工試験でもα破断を生じた。C量が
0.05%以上で、(C+N)量が0.06%以上の規
格を満足しない鋼Lは高速張出し加工試験でα破断を生
じ、鋼Mはα破断発生危険部のポンチ肩R部にネッキン
グを生じた。このように、C量が0.05%以上で、
(C+N)量が0.06%以上の規格を満足しない鋼で
も、加工条件に適したa値を有せば高速張出し加工は可
能であるが、加工可能なa値の範囲が発明鋼のa値範囲
より狭くなり、材料の管理が極めて困難となる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、材料温度の上昇をも加
味した新しいオーステナイト安定度の指標a値を採用し
て、鋼の化学成分を厳密にコントロールしたので、高速
連続張出し加工における加工時の割れが克服できた。そ
の結果、従来の準安定オーステナイト系ステンレス鋼で
は、複数回の単発プレスで行っていた多段プレス加工
が、本発明鋼では1つのラインで仕上げる高速連続プレ
ス(トランスファープレス)により、行うことができ
る。特に、張出し加工量が大きいプレス加工品が高速連
続プレスラインで製造できるようになり、これらの製品
の普及に大きく貢献できる。
味した新しいオーステナイト安定度の指標a値を採用し
て、鋼の化学成分を厳密にコントロールしたので、高速
連続張出し加工における加工時の割れが克服できた。そ
の結果、従来の準安定オーステナイト系ステンレス鋼で
は、複数回の単発プレスで行っていた多段プレス加工
が、本発明鋼では1つのラインで仕上げる高速連続プレ
ス(トランスファープレス)により、行うことができ
る。特に、張出し加工量が大きいプレス加工品が高速連
続プレスラインで製造できるようになり、これらの製品
の普及に大きく貢献できる。
【図1】オーステナイト安定度MdGS30値と高速エリク
セン試験値の関係を示した図。
セン試験値の関係を示した図。
【図2】1mm/分で引張与ひずみした場合のひずみ量
とマルテンサイト量の関係を示した図。
とマルテンサイト量の関係を示した図。
【図3】100mm/分で引張与ひずみした場合のひず
み量とマルテンサイト量の関係を示した図。
み量とマルテンサイト量の関係を示した図。
【図4】100mm/分で引張与ひずみした場合のひず
み量と(マルテンサイト量/オーステナイト量)の関係
を対数で整理した図。
み量と(マルテンサイト量/オーステナイト量)の関係
を対数で整理した図。
【図5】オーステナイト安定度評価値の計算a値と高速
エリクセン試験値の関係を示した図。
エリクセン試験値の関係を示した図。
【図6】オーステナイト安定度評価値の計算a値と高速
エリクセン試験値の関係を示した図。
エリクセン試験値の関係を示した図。
Claims (1)
- 【請求項1】質量%で、C:0.05〜0.15%,S
i:1.0〜2.5%,Mn:5.0%以下,Ni:
5.0〜9.0%,Cr:14.0〜19.0%,C
u:4.0%以下,N:0.10%以下,Mo:1.0
%以下(無添加を含む)を含有し、 (C+N)量が0.06%以上であり、かつ、これらの
成分の間に下記(1)式に従うa値が−0.30〜1.
00の範囲に維持される関係が成立しており、残部がF
eおよび不可避的不純物からなる高速連続張出し加工用
オーステナイト系ステンレス鋼。 a値=19.43− 0.8C−0.14Si−0.54Mn−1.02Ni−
0.57Cr−0.49Cu−7.53N --- (1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9201695A JPH08269637A (ja) | 1995-03-27 | 1995-03-27 | 高速連続張出し加工用オーステナイト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9201695A JPH08269637A (ja) | 1995-03-27 | 1995-03-27 | 高速連続張出し加工用オーステナイト系ステンレス鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08269637A true JPH08269637A (ja) | 1996-10-15 |
Family
ID=14042738
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9201695A Withdrawn JPH08269637A (ja) | 1995-03-27 | 1995-03-27 | 高速連続張出し加工用オーステナイト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08269637A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013530305A (ja) * | 2010-04-29 | 2013-07-25 | オウトクンプ オサケイティオ ユルキネン | 高成形性を有するフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼の製造および利用方法 |
-
1995
- 1995-03-27 JP JP9201695A patent/JPH08269637A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013530305A (ja) * | 2010-04-29 | 2013-07-25 | オウトクンプ オサケイティオ ユルキネン | 高成形性を有するフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼の製造および利用方法 |
TWI512111B (zh) * | 2010-04-29 | 2015-12-11 | Outokumpu Oy | 具有高成形性之肥粒鐵-沃斯田鐵系不鏽鋼之使用及製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020604 |