JPH08268826A - 青枯病防除方法 - Google Patents

青枯病防除方法

Info

Publication number
JPH08268826A
JPH08268826A JP7099629A JP9962995A JPH08268826A JP H08268826 A JPH08268826 A JP H08268826A JP 7099629 A JP7099629 A JP 7099629A JP 9962995 A JP9962995 A JP 9962995A JP H08268826 A JPH08268826 A JP H08268826A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bacteria
fluorescent
present
soil
bacterium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7099629A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2827094B2 (ja
Inventor
Kimitaka Aino
公孝 相野
Hiroyuki Maki
浩之 牧
Katsuhiko Shimizu
克彦 清水
Yoshio Maekawa
義雄 前川
Taizo Akiyama
泰三 秋山
Keitoku Hayashi
佳徳 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taki Chemical Co Ltd
Original Assignee
Taki Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taki Chemical Co Ltd filed Critical Taki Chemical Co Ltd
Priority to JP7099629A priority Critical patent/JP2827094B2/ja
Publication of JPH08268826A publication Critical patent/JPH08268826A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2827094B2 publication Critical patent/JP2827094B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 農作物の青枯病による被害を軽減することに
より、環境保全下での農業の生産性の向上を図るための
方法を提供する。 【構成】 フェノール耐性を有する抗菌性物質非産生蛍
光性細菌を使用することを特徴とする青枯病防除方法で
ある。この方法によって農作物の青枯病による被害を軽
減し、農業の生産性の向上を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフェノール耐性を有する
抗菌性物質非産生蛍光性細菌の使用並びに当該菌の種子
への接種及び当該菌を105cfu/g以上含有してなる培土で
育苗することを特徴とする青枯病防除方法に関し、環境
保全下での農業の生産性の向上を図ることを目的とする
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球規模の環境保全指向が高まる
中で、農業分野においても生態系に配慮した農業の重要
性が打ち出され、国民の食料、生活への安全性に対する
関心も一層強くなり、農薬を使用しない生態系に調和し
た病害虫防除管理技術の確立が重要な課題となってい
る。このような状況から、国、公の行政機関においては
「有機農業」、「生態系活用型農業」、「持続的農業」
の推進など生態系の安全性を重視した施策があげられ、
この方面の研究や事業は増加傾向にある。このような背
景から微生物による病害虫防除には多大の期待が寄せら
れている。
【0003】現在病害虫防除の研究あるいは一部利用さ
れる微生物は、自然界に普通に存在する微生物が多く、
このような自然界に存在する微生物は、一般に人畜や魚
介類に対して危害が少ないことが経験的に知られてい
る。また、自然界に存在する微生物は、作用範囲が限ら
れるので目的とする有害微生物に特異的に作用し、生態
系に攪乱を起こすことも最小限に抑えることができると
考えられている。これまでに研究され、一部実用化され
ている微生物は共通の特性を有している。つまり抗菌性
物質あるいは選択的毒性物質等の病害虫の生育を抑制す
る物質の産生能を有する微生物が選抜、利用されてい
る。そして、さらにその能力を高めた微生物の選抜ある
いは培養を容易にするため抗生物質耐性菌の作出が行わ
れ、更には抗菌性物質産生プラスミッドの移入等の技術
を駆使することにより、病害虫防除効果を一層高める方
法も研究されている。しかしながら、これら微生物を実
際に圃場に使用した場合、農薬等に比べて病害虫防除効
果即ち、効果安定性と持続性が格段に小さく、植物生育
環境によっては防除効果が全く発現されない場合も少な
くない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、人畜あるいは魚介類に対して害の少ない自
然界に生存する微生物を利用して、作物土壌細菌病害の
代表とされる青枯病を安定的かつ持続的に防除すること
にある。本発明者らは微生物を利用した青枯病防除に関
する長年の研究から、「土壌微生物実験法」(土壌微生
物研究会編)の叢書等に於いてごく一般的に知られてい
る病原菌に対する抗菌性物質産生等を指標とした、微生
物の検索では効果の安定性と持続性を確保することは困
難との結論に達した。即ち、一般の土壌、根圏土壌、根
面等から検索した微生物のうち、in vitroにおいては顕
著な発病抑制効果を示すものはあるものの、その効果が
実圃場に於いて一時的にせよ発現することは稀であっ
た。このことは微生物のおかれた環境即ち、土壌の物
理、化学的性質、肥培管理、水管理等によりその効果発
現性が大きく左右されるからであり、結果的に効果発現
の安定性、持続性を維持することができない。そこで本
発明者らはこのような外的要因の影響の比較的少ない植
物根内に生息する細菌に着目した。
【0005】一般に、植物は外部からのストレスにより
生体内にフェノール物質を蓄積することが良く知られて
いる。例えば、微生物侵入により植物生体内のβ−グル
コシダーゼ活性が高まり、生体内のフェノール配糖体か
らフェノール類が遊離する。このフェノール類がポリフ
ェノールオキシダーゼ等によりキノン化合物に変換さ
れ、菌に対する阻害作用をあらわすようになる。従っ
て、植物生体内に微生物が侵入した場合には、微生物は
通常よりも多量のフェノール化合物あるいはキノン化合
物に暴露されることになる。従って、微生物が植物体内
で生存するためにはフェノール類に耐性を有することが
必要であると考えた。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる思考のもとに菌を
検索した結果、フェノール耐性を有し、かつ抗菌性物質
を産生しない蛍光性細菌が青枯病防除に効果があること
を発見し、かかる知見に基づき本発明を完成したもので
ある。即ち、本発明は、フェノール耐性を有する抗菌性
物質非産生蛍光性細菌を使用することを特徴とする青枯
病防除方法に関する。更に本発明は、フェノール耐性を
有する抗菌性物質非産生蛍光性細菌を種子に接種するこ
とを特徴とする青枯病防除方法に関する。更にまた本発
明は、フェノール耐性を有する抗菌性物質非産生蛍光性
細菌を105cfu/g以上含有してなる培土で育苗することを
特徴とする青枯病防除方法に関する。
【0007】
【作用】以下に、本発明の青枯病防除方法について更に
詳記する。本発明に於いて、フェノール耐性を有する蛍
光性細菌とは、ポテトデキストロース寒天培地に菌を接
種した寒天平板上に、モノフェノール構造物であるヒド
ロキシベンゼン1,000mg/l、ジフェノール構造物である
1,3−ベンゼンジオール1,000mg/l及びトリフェノール構
造物である1,2,3−ベンゼントリオール1,000mg/lの混合
溶液0.1mlを含浸させた抗菌物質検定用濾紙ディスク(外
径8mm:Toyo濾紙製)を置き、25℃で3日間培養後にディス
ク周辺で生育阻止円が形成されずに増殖している菌を云
う。
【0008】また、抗菌性物質非産生蛍光性細菌とは、
以下のような菌を云う。即ち、蛍光性細菌をキングA寒
天培地、キングB寒天培地、ISP−II寒天培地及びポ
テトデキストロース寒天培地に接種した後、平板培養に
より増殖させる。他方、黄色ブドウ状球菌(指示菌)をワ
ックスマン寒天培地で、また青枯病菌(指示菌)をケルマ
ン寒天培地で混釈し平板培養基を調製する。この両平板
培養基上に前記4種類の培地で生産された蛍光性細菌培
養物(内径10mmのボウラーで打ち抜いた蛍光性細菌コロ
ニーを含む寒天培地)を各別置床し、28℃で1週間培養を
行った場合、培養期間内においていずれの蛍光性細菌培
養物周辺でも上記指示菌の生育阻止円を形成せず、且
つ、ポテトデキストロース寒天培地上で萎凋病菌及び芝
葉腐病菌(指示菌)と前記ボーラーで打ち抜いた4種類の
蛍光性細菌培養物とを対峙させ28℃で2週間培養を行っ
た場合、培養期間内においていずれの培地上でも指示菌
に対する生育阻止帯を形成しない菌を云う。
【0009】本発明で使用する蛍光性細菌は、一般に植
物体内、特に根内に多く存在し、以下の方法により容易
に分離することができる。即ち、本発明の蛍光性細菌
は、トマト、ナス、キュウリ、ピーマン等の蔬菜の根内
に多く生育する。従って本発明の蛍光性細菌検索方法と
しては、先ずこれら蔬菜の根を良く水洗し、表面殺菌後
にこれらをホモジナイズしてその摩砕液をポテトデキス
トロース寒天培地、キングB寒天培地で混釈後、平板培
養を行う。コロニー形成後にこの培養物に紫外線を照射
し、コロニーあるいはコロニー周辺での蛍光の有無によ
り蛍光性細菌を検出する。次いで、この蛍光性細菌を前
記定義の方法に従って検出、分離すれば良い。
【0010】このようにして分離した本発明の蛍光性細
菌は、実圃場において青枯病に対して優れた効果を発揮
する。これまでに研究された数多くの蛍光性細菌と本発
明蛍光性細菌との相違は、抗菌性物質の産生能にあり、
本発明蛍光性細菌は通常の物質産生等に用いられる微生
物増殖培地で細菌あるいは糸状菌に対して本発明で定義
する抗菌性は全く示さなかった。従って、in vitroでは
本発明の蛍光性細菌は、青枯病菌に対する抗菌性は認め
られなかった。しかし、本発明の蛍光性細菌を接種した
植物体を育苗後、青枯病発病土壌に定植し発病抑制試験
を実施した結果、顕著な発病抑制効果が認められその効
果は持続した。
【0011】次に本発明の実施態様について述べれば、
本発明の蛍光性細菌はこれを常法に従って培養すれば良
いが、大量培養を望む場合は、前記の如くして分離した
本発明の蛍光性細菌を通常の液体培養法により大量に菌
体を増殖させることができる。本発明に於いて更に好ま
しい態様は、固定化に際し蛍光性細菌の生存していた植
物細胞を共存させ、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリ
ルアミド、カラギーナン等の高分子を用いて固定化し、
固定化培養をおこなうことである。例えば、その蛍光性
細菌がイネ根内に定着していた場合、常法により得られ
たイネの根端培養根あるいはカルスを本発明蛍光性細菌
とよく混合し、ホモジナイズ後に固定化すれば良い。
このようにして培養した本発明の蛍光性細菌は、菌体含
有培養液をそのまま使用することもできるし、培養菌体
のみを集菌して、これを使用することもできる。またこ
れを液状で使用しても良いし、乾燥して使用しても良
い。更に別の態様としては菌体含有液状物あるいは乾燥
物を培土、ロックウール資材、シリカ、ゼオライト、バ
ーミキュライト、珪藻土、砂等の土壌改良材と混合して
使用することもできる。本発明の菌体を他の担体と混合
して使用することもできる。このような本発明の菌体を
土壌改良材等他の担体と混合して使用する場合、菌体安
定性あるいは効果の維持継続の観点から105cfu/g以上菌
体を含有させることが望ましい。
【0012】本発明方法は上述の本発明蛍光性細菌を植
物定植前の土壌に散布混合しても良いし、植物定植後に
散布しても良いが、本発明方法に於いてその効果を最も
良く発揮させるための方法の一つは、本発明蛍光性細菌
を種子に接種する方法である。接種方法としては、本発
明蛍光性細菌を含有する溶液に適量の種子を充分浸漬す
る方法である。特に望ましくは減圧下にこれを行うこと
である。更に具体的に云えば、107cells/ml以上の本発
明蛍光性細菌含有溶液100mlに、種子1ml〜10mlを混合浸
漬する。浸漬時間は1時間以上あれば充分である。この
ような方法によれば、本発明蛍光性細菌は種子に接種さ
れ、青枯病に対してすばらしい効果を発現する。
【0013】更なる本発明の他の有益な方法は、本発明
の蛍光性細菌含有物を培土に添加混合し、この培土で植
物を育苗する方法である。培土中の本発明蛍光性細菌の
濃度は105cfu/g以上とすることが必要である。細菌濃度
が低い場合、充分に青枯病を防除することができない。
この様な培土で育苗後、これを定植した場合、青枯病発
生率は著しく低下する。また、前述の本土壌に散布ない
し添加混合する場合は、効果持続の点から根圏土壌1g当
たり本発明蛍光性細菌104cfu以上が望ましい。更に青枯
病多発圃場には、前記種子接種法と培土処理による方法
とを併用し、育苗した苗を定植することが最も効果的で
ある。
【0014】
【実施例】以下、実施例によりさらに詳記する。 (実施例1)兵庫県下の施設栽培圃場より栽培中のトマ
ト(A)、ナス(B)、キュウリ(C)、サンショ(D)と、露地栽
培のチンゲンサイ(E)、ネギ(F)について植物体を採取し
た。採取した植物体は根部を水洗後、約5cmに裁断し、
約10gの裁断根を各50mlの滅菌水および0.005%エアロゾ
ルOT(アメリカンサイアナミット゛社製)液を用いてスクリューミキ
サーで攪拌洗浄を行った。攪拌洗浄根を80%エタノール
溶液に1分間浸漬し、さらに1%次亜塩素酸ナトリウム水
溶液に10分間浸漬し、根表面の殺菌処理をおこなった
後、滅菌水で洗浄し根内微生物分離源とした。その1gを
5mm程度にさらに裁断後、20mlの滅菌水に入れ、10000rp
mで15分間ホモジナイズを行い、摩砕液の1mlをポテトデ
キストロース寒天培地9mlで混釈し、ペトリ皿に流し込
んだ。キングB寒天培地でも同操作を行った。植物体採
取時の地温に応じて15℃から40℃で培養を行った。15℃
から40℃で5日間培養後、365nmの紫外線を両培地に照射
してコロニーあるいはその周辺部で蛍光性物質を産生す
るコロニーを識別した。
【0015】次に、分離蛍光性細菌のフェノール類化合
物に対する耐性をヒドロキシベンゼン、1,3-ベンゼンジ
オール及び1,2,3-ベンゼントリオールを用いて検定し
た。分離蛍光性細菌の106cells/mlに調製した菌体懸濁
液1mlをポテトデキストロース寒天培地9mlで混釈し平板
とした後、寒天平板上にヒドロキシベンゼン1000mg/l、
1,3-ベンゼンジオール1000mg/l及び1,2,3-ベンゼントリ
オール1000mg/lを含有する混合溶液を0.1ml含浸させた
濾紙ディスク(Toyo製,商品名ADVANTEC,外径8mm)を置
き、25℃で3日間培養後にディスク周辺で生育阻止円形
成の有無を検定した。
【0016】次いで、フェノール類化合物に対して耐性
の認められた菌株の抗菌性物質産生能を評価した。先
ず、キングA寒天培地、キングB寒天培地、ISP−II
寒天培地、ポテトデキストロース寒天培地の各々の培地
9mlに、106cells/mlに調製した上記のフェノール耐性菌
株の菌体懸濁液1mlを混釈し、平板とした後、25℃で培
養を行い、コロニー形成後、更に48時間培養を行った。
培養後にコロニーを含む寒天部分を内径10mmのボーラー
で打ち抜いた。以後、これを抗菌性物質検定ディスクと
した。そして指示菌である黄色ブドウ状球菌と青枯病菌
に対する抗菌性物質産生の有無については、108cells/m
lに調製した指示菌の菌体懸濁液1mlを、黄色ブドウ状球
菌の場合はワックスマン寒天培地9mlで混釈し、青枯病
菌の場合はケルマン寒天培地9mlで混釈し、各々ペトリ
皿(90×20mm)に流し込み、固化すると同時に前記各抗菌
性物質検定ディスクをペトリ皿の4ケ所に等間隔に分散さ
せ置床した(図1参照)。
【0017】28℃で1週間培養を行い、抗菌性物質検定
ディスク周辺での指示菌に対する生育阻止円形成の有無
で検定した。また、指示菌である萎凋病菌及び芝葉腐病
菌に対する抗菌性物質産生の有無については、ポテトデ
キストロース寒天培地をペトリ皿に流し込み、固化後ペ
トリ皿の中央に前記の濾紙ディスクに増殖させた萎凋病
菌あるいは芝葉腐病菌を置き、四方に等距離に対峙させ
て前記抗菌性物質検定ディスクを置床した(図2参照)。
28℃で2週間培養後、指示菌に対する生育阻止帯形成の
有無を検定した。表1にフェノール耐性を有する蛍光性
細菌の抗菌性物質産生の有無を示した。
【0018】
【表1】 注)抗菌性物質産培地として(キンク゛A培地)、(キンク゛B培地)、(ISP-II培地)、 (ホ゜テトテ゛キストロース培地(PDA培地))を示す。 +は生育阻止円および生育阻止帯を形成したものを示す。 −は生育阻止円および生育阻止帯を形成しなかったものを示す。
【0019】(実施例2)表1に示した蛍光性細菌につ
いて、青枯病菌に対する抗菌性を検定した。トマト青枯
病菌として、シュードモナス・ソラナセアラム(Pseudom
onas solanacearum,MAFF-03-01485)をポテトデキストロ
ース斜面培養基で35℃、72時間培養し指示菌とした。蛍
光性細菌は、ポテトデキストロース斜面培養基で25℃、
96時間培養し検定菌とした。指示菌を1白金耳100mlの滅
菌水に懸濁させ、その1mlをポテトデキストロース寒天
培地9mlで混釈して実施例1と同様のペトリ皿に流し込
んだ。ペトリ皿の表面の余剰水を除いた後、検定菌を約
1cmに画線接種し30℃で48時間培養後、検定菌の周縁で
形成した阻止帯の有無を調査した。
【0020】次に、検定菌の青枯病発病抑制試験を、上
層が0.8%寒天5ml、中層が海砂3ml、下層がしょ糖を除
くホワイト寒天培地15mlの三層からなる外径2.5cm、高
さ15cmの栓付き培養瓶で行った。先ず、この培養瓶に80
%エタノール溶液と1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に
より殺菌した種子(品種:大型福寿)を播種した。28℃で4
日間、暗所で催芽させた後人工気象器に移し30℃で栽培
を3日間行った。この培養瓶に検定菌を107cells/mlに調
製した菌体懸濁液0.5mlを接種した。接種後、30℃で栽
培を3日間行った後に、青枯病菌を108cells/mlに調製し
た菌体懸濁液0.5mlを接種した。接種後は35℃に変更し
人工気象器中で栽培を継続した。青枯病菌接種後4週間
目の防除価を算出した。対照区として青枯病菌のみを接
種した区を設けた。各試験区は1区3株の3反復で行っ
た。
【0021】尚、本発明に於て罹病程度及び防除価の算
出は以下の方法で行った。 罹病程度=[(Σ罹病指数×株数)/(10×全株数)]×100 罹病指数:枯死,10;全身萎凋,5;部分萎凋,3;黄変,2 防除価=[(対照区罹病程度−検定菌接種区罹病程度)/対
照区罹病程度]×100 表2に青枯病菌に対するin vitroでの抗菌性と無菌苗を
使用した青枯病に対する防除価を示した。
【0022】
【表2】 注)対照区の罹病程度は65であり、0.0は試験区において 対照区よりも罹病程度の高い区を示す。
【0023】尚、以下の実施例に於いて、実施例で使用
する本発明菌及び対照菌は、ポテトデキストロース斜面
培養基で25℃、96時間培養した菌体を用いた。
【0024】(実施例3)本発明のフェノール耐性を有
する抗菌性物質非産生蛍光性細菌としてNo.40、対照菌
としてNo.27を含有する資材を使用し、青枯病発病土壌
における発病抑制試験を行った。市販の水稲用育苗培土
と園芸用培土を4:1に混合し、180℃で1時間乾熱殺菌を
行い室温に冷却後、直ちに本発明菌及び対照菌の108cel
ls/mlの菌体懸濁液を熱処理培土に対して25v/v%混合し
た。混合後2週間静置した。また、対照として無接種の
熱処理培土(無処理)を用いた。これらの培土をプラグ苗
用トレイ(136穴)に充填し、トマト種子(品種:桃太郎)を
播種し、灌水後ガラス温室(30〜40℃)で2週間育苗し
た。尚、育苗期間中は自動灌水を行った。育苗後、各プ
ラグ苗を青枯病菌が土壌1gあたり107cfu分離される青枯
病発病土を充填したコンテナ(ハウス桃太郎のプラグ苗
では定植後2週間で全株が枯死する状態)に定植した。定
植後の罹病程度を調査した。調査方法は、実施例2と同
方法で行った。試験株数は1区12株の3反復で行った。結
果を表3に示した。
【0025】
【表3】
【0026】(実施例4)以下に各資材を用いた青枯病
発病土壌における発病抑制試験を行った。また、トマト
種子の品種はハウス桃太郎を使用した。表2に示した本
発明蛍光性細菌のNo.69を使用して108cells/mlの菌体懸
濁液を調製した。この菌体懸濁液10mlに1%次亜塩素酸
ナトリウムと80%エタノール水溶液により殺菌したトマ
ト種子1mlを浸漬し、室温で4時間浸種処理を行った。実
施例3で使用した園芸用培土をプラグ苗用トレイ(136
穴)に充填し、1穴あたり10mlの滅菌水を灌水後、上記浸
種処理を行った種子を播種した。[試験区]
【0027】次に、園芸用培土をプラグ苗用トレイに充
填し、1穴あたり上記菌体懸濁液10mlを添加後、これに
無殺菌のトマト種子を播種した。[試験区] また、実施例3で使用した熱処理培土に、本発明菌の10
7cells/ml、106cells/ml、105cells/mlの菌体懸濁液を
個々に25v/v%混合した。混合後25℃で2週間静置した。
静置後、キングB寒天培地及び5mg/lのクリスタルバイ
オレットを含有するポテトデキストロース寒天培地を用
いて、個々の培土中の本発明菌の菌数を測定した。本発
明菌を使用した資材は、上記濃度に応じてそれぞれの培
土1g中に106cfu、105cfu、104cfuの本発明菌を含有して
いた。この資材をプラグ苗用トレイに充填し、無殺菌の
トマト種子を播種した。[試験区]
【0028】本発明菌を1g中に106cfu含有する上記培土
をプラグ苗用トレイに充填し、浸種処理を行った殺菌ト
マト種子を播種した。[試験区] また、試験区及びには、1穴あたり10mlの滅菌水を
灌水した。尚、全ての試験区はトマト種子播種後、温度
28℃、湿度80%の人工気象器内で適宜、同量の滅菌水を
灌水し3週間育苗した。育苗終了後実施例3と同じ青枯
病発病土を充填したコンテナに定植した。上記試験区以
外に園芸用培土をプラグ苗用トレイに充填し、1穴あた
り10mlの滅菌水を灌水後、無殺菌トマト種子を播種し、
人工気象器内で同条件で3週間育苗した。その本葉4〜5
枚の苗(無処理苗)を実施例3と同じ青枯病発病土を充填
したコンテナに定植する前に、植穴に上記菌体懸濁液を
プラグ培土1g当り105cfu(植穴容積を移植プラグ培土重
量に換算)になるように添加した区[試験区]とコンテ
ナに定植後、コンテナ土壌(深さ10cm)を対象に上記菌体
懸濁液をコンテナ土壌1g当り104cfuになるように添加し
た区[試験区]をもうけた。また、対照区として上記無
処理苗を定植する区をもうけた。[試験区] 各試験区共、定植後の株元に滅菌水を灌水し、試験を開
始した。また、試験期間中は自動灌水を行った。全ての
調査方法は実施例2と同じ方法で行った。試験株数は1
区6株の3反復で行った。結果を表4に示した。
【0029】
【表4】
【0030】(実施例5)ホワイト液体培地を用いて、
常法により25℃で2週間トマト(品種:ハウス桃太郎)の根端
培養を行った。培養後、5倍に希釈したホワイト液体培
地100mlに培養根を移し、表2に示した本発明蛍光性細
菌のNo.12(トマト根から分離)を1白金耳接種し、共生培養
を行った。14日間培養した後、菌濃度108cells/mlの培
養液を実施例3で使用した熱処理培土に対して25v/v%
接種し、本発明蛍光性細菌を1g中に107cfu含有する培土
を調製した。そして、この培土をプラグ苗用トレイに充
填し、無殺菌ピーマン種子(品種:ク゛リーン300)を播種した
後、ガラス温室(30〜40℃)で2週間育苗した。対照区と
して、熱処理培土(無処理)に25v/v%の割合で5倍に希釈
したホワイト液体培地を添加した後に、同ピーマン種子
を播種し、上記と同一条件で育苗した。育苗後、各プラ
グ苗をピーマン青枯病の発生が認められた圃場(兵庫県
豊岡市)に定植した。定植後の発病率を調査した。試験
株数は1区20株の3反復で行った。結果を表5に示した。
尚、本発明に於いて発病率の算出は以下の方法で行っ
た。 発病率=(発病株数/試験株数)×100
【0031】
【表5】
【0032】
【発明の効果】本発明の青枯病防除方法は、フェノール
耐性を有する抗菌性物質非産生蛍光性細菌の使用並びに
当該菌の種子への接種及び105cfu/g以上含有してなる培
土で育苗することを特徴とする青枯病防除方法であっ
て、このような方法によって農作物の青枯病による被害
を軽減することにより、環境保全下における農業の生産
性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に於いて、指示菌である青枯
病菌及び黄色ブドウ状球菌に対する抗菌性物質産生の有
無の検定方法を示す図である。
【図2】本発明の実施例1に於いて、指示菌である萎凋
病菌及び芝葉腐病菌に対する抗菌性物質産生の有無の検
定方法を示す図である。
【符号の説明】
1 ペトリ皿 2 検定ディスク(本発明菌を増殖させた寒天培地ディ
スク) 3 濾紙ディスク(指示菌を増殖させたディスク)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 克彦 兵庫県神戸市垂水区下畑町西下代161番地 の3 (72)発明者 前川 義雄 兵庫県三木市志染町東自由が丘3−491番 地 (72)発明者 秋山 泰三 兵庫県高砂市米田町神爪331−9番地 (72)発明者 林 佳徳 兵庫県加古郡稲美町国北2−50番地

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール耐性を有する抗菌性物質非産
    生蛍光性細菌を使用することを特徴とする青枯病防除方
    法。
  2. 【請求項2】 フェノール耐性を有する抗菌性物質非産
    生蛍光性細菌の使用が当該菌を種子に接種することであ
    る請求項1の青枯病防除方法。
  3. 【請求項3】 フェノール耐性を有する抗菌性物質非産
    生蛍光性細菌の使用が当該菌を105cfu/g以上含有してな
    る培土で育苗することである請求項1の青枯病防除方
    法。
JP7099629A 1995-03-31 1995-03-31 青枯病防除方法 Expired - Lifetime JP2827094B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7099629A JP2827094B2 (ja) 1995-03-31 1995-03-31 青枯病防除方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7099629A JP2827094B2 (ja) 1995-03-31 1995-03-31 青枯病防除方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08268826A true JPH08268826A (ja) 1996-10-15
JP2827094B2 JP2827094B2 (ja) 1998-11-18

Family

ID=14252382

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7099629A Expired - Lifetime JP2827094B2 (ja) 1995-03-31 1995-03-31 青枯病防除方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2827094B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5935571A (en) * 1996-05-20 1999-08-10 Taki Chemical Co., Ltd. Plug mixture for raising seedlings and method for producing it, and method for raising disease tolerant seedlings
CN112538517A (zh) * 2021-01-29 2021-03-23 西安麦斯迪生物工程有限公司 一种高辨识度的多抗霉素生物效价测定培养基及其制备方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5935571A (en) * 1996-05-20 1999-08-10 Taki Chemical Co., Ltd. Plug mixture for raising seedlings and method for producing it, and method for raising disease tolerant seedlings
CN112538517A (zh) * 2021-01-29 2021-03-23 西安麦斯迪生物工程有限公司 一种高辨识度的多抗霉素生物效价测定培养基及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2827094B2 (ja) 1998-11-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
HU214457B (hu) Gombaellenes hatás kimutatására alkalmas szűrési eljárás, az ezzel az eljárással azonosított gombaellenes mikroorganizmusokat tartalmazó készítmények, és eljárás növények gombafertőzésének gátlására
CN105462881A (zh) 一种用于防治作物黄萎病的多粘类芽孢杆菌及其应用
CN102154193B (zh) 一种诱导辣椒疫霉菌产生大量孢子囊的方法
EP0808571B1 (en) Plug mixture for raising seedlings and method for producing it, and method for raising disease tolerant seedlings
Yamagishi et al. Life cycle and control of Colletotrichum nymphaeae, the causal agent of celery stunt anthracnose
CN110129242B (zh) 一种抗重茬的复合微生物制剂及其制备方法
JPH10287520A (ja) 植物成長調整剤
CN109197423B (zh) 一种甜瓜白粉病抗性的扦插育苗鉴定方法
KR20050034001A (ko) 신규 식물 내생 길항 미생물인 슈도모나스 플루오레슨스엠씨3101 및 이를 함유하는 항진균성 미생물 살균제
CN105462882A (zh) 一种用于防治作物黄萎病的铜绿假单胞菌及其应用
JP2827094B2 (ja) 青枯病防除方法
CN101248758B (zh) 细茎双蝴蝶的组织培养方法
JP2022083395A (ja) 植物病害防除剤および植物病害防除方法
TWI705137B (zh) 植物病害防治之菌株、微生物組合物及其使用方法
CN110724640B (zh) 番茄根结线虫生防菌、其制剂及其应用
JP4079209B2 (ja) 挿し木苗及び挿し木苗への菌株の接種方法
JP4301920B2 (ja) アブラナ科植物病害の防除剤および防除方法
JPH07163334A (ja) 蛍光性細菌の活性維持法及び保存法並びにこの培養物からなる微生物資材
JP2939467B1 (ja) ナス科植物の生育促進効果及び青枯病防除効果を示す細菌並びに栽培方法
JPH092911A (ja) 青枯病防除材
JP2827093B2 (ja) 青枯病防除資材
JP3527837B2 (ja) 植物病害を防除するための微生物および資材
CN111019837B (zh) 绿色木霉菌的新用途
KR100616289B1 (ko) 식물체로부터 분리한 세라티아 마케스센스 및 이를 이용한 응애의 살충방법
JP2770119B2 (ja) 青枯病防除材

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100918

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130918

Year of fee payment: 15

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130918

Year of fee payment: 15

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term