JPH08267743A - インクジェットヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクジェットヘッドにおけるノズルプレー
トの高精度の接合を容易にする。 【構成】 対向する１対の基板２，４間にインクプール
５および加圧室６などを含むインク流路１が区画形成し
てある。流路基板２には、上記インク流路１の一部をな
し、先端が板厚方向に貫通して開口している複数の孔部
１ｅが穿設してある。これらの各孔部１ｅの各先端開口
部１ｆの配設位置を囲む領域にノズルプレート嵌合用の
凹部３を設け、この凹部内に流路基板よりも面積が小さ
くかつ厚みが薄く、各インク流路の先端開口部に対応す
る位置にテーパ状のノズル９を備えたノズルプレート８
が嵌合してある。ノズルプレートは嵌合により、容易に
各インク流路の先端開口部と各ノズルがそれぞれ正確に
連通する状態に接合される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インクジェットヘッド
に関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェットヘッドの型式の１つとし
て、１対の基板間に複数のインク流路を設け、これらの
インク流路の先端は基板を板厚方向に貫通するように形
成し、この先端開口部を一方の基板のほぼ中央部に配設
し、この基板の前面にノズルプレートを接合するように
したものがある。ノズルプレートには、インク流路の先
端開口部と対応するノズルが配設してあり、インク流路
の中間位置に設けられた加圧室でエネルギーを印加され
たインクは、インク流路の先端開口部を経てノズルから
射出されるようにしてある。

【０００３】このような構成のインクジェットヘッド
は、ノズルプレートを接合する際には、各インク流路の
先端開口部と各ノズルとがそれぞれ連通するように位置
合わせが行われる。この位置合わせには、ノズルプレー
トおよび基板の所定位置に予め位置合わせ孔を設けてお
き、これらの位置合わせ孔に対応する位置に複数のピン
を立設した治具を用い、これらのピンを位置合わせ孔に
差し込むことなどによって行われている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来技術において、全
てのインク流路の先端開口部とノズルとを連通させるた
めに、位置合わせ用治具を用いて基板上にノズルプレー
トを接合する際に、極めて正確な位置決めを行なう必要
がある。特に最近のマルチノズル化およびノズルの高密
度化により、ノズルプレートを接合する際の位置決めに
さらなる高精度化が要求されている。これにともない使
用する位置決め用治具も非常に高精度のものを使用する
ことが要求されるようになってきているため、位置決め
用治具の高価格化および面倒な位置決め作業とによって
インクジェットヘッドの製造コストを上昇させる原因と
なっている。

【０００５】そこで本発明の目的は、コスト上昇の一因
となる位置決め用治具を使用せずに，ノズルプレートを
容易に基板の正確な位置に位置決めした状態に接合可能
とすることにより、インクジェットヘッドの製造コスト
の低減を図ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の手段を採用したところに特徴があ
る。すなわち、対向する１対の基板間に複数のインク流
路が区画形成してあり、これらの各インク流路の先端は
一方の基板を板厚方向に貫通して開口する孔部であり、
一方の基板には孔部の先端開口部と連通するノズルを備
えたノズルプレートが接合されるインクジェットヘッド
において、ノズルプレートは一方の基板よりも面積が小
さくかつ厚みが薄く、一方の基板には、インク流路の先
端開口部の配設位置を囲む領域にノズルプレートの外形
に対応する嵌合用凹部を設け、この凹部内にノズルプレ
ートを嵌合してある。

【０００７】

【作用】本発明の構成によると、一方の基板に設けられ
た嵌合用凹部にノズルプレートを嵌合するだけで、各イ
ンク流路の先端開口部と各ノズルがそれぞれ連通する状
態に容易に接合できる。

【０００８】

【実施例】以下本発明の一実施例について図面を参照し
て説明する。初めに１対の基板のうちの流路基板２につ
いて図３を参照して説明する。流路基板２は、ポリサル
ホン（ＰＳＦ）等のプラスチック成形品からなり、射出
成形によりインク流路１が形成されている。このインク
流路１の構成は次の通りである。すなわち、流路基板２
に中板接合用の凹部１ａが、そしてこの凹部の底面にイ
ンクプール用溝部１ｂおよび加圧室用凹部１ｃが形成し
てある。インクプール用溝部１ｂと加圧室用溝部１ｃと
の間には、リストリクション用の細溝１ｄが形成してあ
る。加圧室用凹部１ｃの内端部側には、流路基板２の前
面に貫通する孔部１ｅが設けてある。インクプール用溝
部１ｂは、流路基板２の外周部に沿ってＵ字状に設けて
あり、加圧室用凹部１ｃは、インクプール用溝部１ｂに
沿ってその内側に千鳥型に配設してある。インクプール
用溝部１ｂの先端側に設けられた孔部１ｅは、板厚方向
に貫通しており、その先端開口部１ｆは、加圧室用凹部
１ｃを千鳥型に配設してあることによって流路基板の前
面中央部に直線状に配設してある（図１参照）。

【０００９】インク流路１の先端開口部１ｆの配設位置
を囲む領域には、後述するノズルプレート嵌合用の凹部
３が所定深さに形成してある。流路基板２の接合用凹部
１ａに中板４を嵌合することにより、図１，２に示すよ
うに、これらの両者間にはインクプール５，加圧室６お
よびリストリクション７が区画形成される。

【００１０】流路基板２の前面に形成された嵌合用凹部
３には、ノズルプレート８が嵌合しており、各ノズル９
…はそれぞれインク流路１…と連通している。

【００１１】図４，５にノズルプレート８の具体的形状
を示す。ノズルプレート８の輪郭は、流路基板２よりも
面積が小さくかつ厚みが薄く、嵌合用凹部３の内周の形
状と等しい輪郭をした細長い薄板からなる。ノズルプレ
ート８には、長さ方向の中心線に沿って複数個のノズル
９…が形成されている。各ノズル９は流路基板２のイン
ク流路１の先端開口部１ｆと対応可能な位置に配設さ
れ、凹部３との当接面側（入り口側）を大きくしたテー
パ孔に形成されている。インク滴を良好な状態で射出さ
せるためには、テーパ孔の角度は１０〜３０°とするこ
とが望しい。

【００１２】図２に示すように、中板４の背面側にはさ
らに天板１０が当接してあり、この天板の背面側の各加
圧室６…との対向面には、それぞれ振動板を介して圧電
素子が実装してある（いずれも図示略）。

【００１３】上記した構成において、インク滴を射出さ
せようとするノズルに対応する加圧室６の圧電素子に電
圧信号を出力すると、加圧室内のインクに振動エネルギ
ーが印加され、当該ノズルからインク滴が射出する。

【００１４】本発明における基板やノズルプレートは、
ポリサルホン（ＰＳＦ）やポリエーテルサルホン（ＰＥ
ＳＦ）などのプラスチック成形品やガラスのエッチング
製品、金属にプレス加工やエッチング加工を施したもの
や電鋳品およびこれらを組合わせたものなどが用いられ
る。

【００１５】次に、インクジェットヘッドの組み立ての
工程例について説明する。まずインク流路１を有する流
路基板２の背面に中板４を当接し、その上にさらに天板
９を被せて接合する。接合方法としては、接着剤を用い
た接合や超音波による溶着のほか、基板をガラスなどで
構成するものでは、低温溶着による接合、金属等の場合
には熱拡散接合等が採用される。

【００１６】ノズルプレート８の接合には、ノズルプレ
ートを凹部３に嵌め込んで接着などにより固定するだけ
で、凹部とノズルプレートとの加工が高精度に加工して
あるので、インク流路とノズルとを良好な状態で連通し
たものにすることができる。したがって従来技術におけ
るように位置合わせのための治具を用いる必要もなく、
かつ位置合わせのための手間も要しなくなるので、製造
コストの大幅に引き下げが可能になる。

【００１７】従来は位置合わせ孔が微細なものであるた
め、精度よく加工するのが非常に面倒であった。位置合
わせ孔を大きくし加工を容易にすると、この位置合わせ
孔が設計上の制約となっていた。しかし本発明では、ノ
ズルプレート８および凹部３が大きいため高精度に加工
することも比較的容易である。また、設計上の制約はな
い。

【００１８】なお、本実施例では、ノズルプレートを流
路基板の一面に当接する型のものに適用してあるが、本
発明はこのような型にのみ制限される趣旨ではなく、例
えばノズルが流路基板の一側部に配置される形式のもの
でもよい。

【００１９】また、ノズルはノズルプレートの中央部に
並設してあるが、ノズル孔をノズルプレートの外周に沿
って一部露出する状態に設け、このノズルプレートを凹
部に嵌め込むことにより、凹部の内周部とこれらのノズ
ル孔とによって、ノズルを区画形成するタイプのもので
もよい。

【００２０】

【発明の効果】本発明は、インク流路の先端開口部の配
設位置を囲む領域に嵌合用凹部を設け、この凹部に合致
したノズルプレートを嵌め込むようにしてあるため、ノ
ズルプレートを接合する際の位置合わせが極めて容易に
なる。この結果、高価な位置決め用治具等を用いること
なく、簡単な工程によってインク流路の先端開口部とノ
ズルとが良好な状態で連通可能とするノズルプレートの
接合が可能になるため、インクジェットヘッドの製造コ
ストの低減に寄与する。

【００２１】また、基板と同じ大きさのノズルプレート
を貼り合わせる場合に比べて、薄型化および材料の節約
が可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の正面図である。

【図２】図１Ａ−Ａ線断面図である。

【図３】流路基板の断面図である。

【図４】ノズルプレートの正面図である。

【図５】図４Ｂ−Ｂ線拡大断面図である。

【符号の説明】

１ インク流路 １ｅ 孔部 １ｆ 先端開口部 ２，４ 基板 ３ 嵌合用凹部 ８ ノズルプレート ９ ノズル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 対向する１対の基板間に複数のインク流
   路が区画形成してあり、上記各インク流路の先端は一方
   の上記基板を板厚方向に貫通して開口する孔部であり、
   上記一方の基板には上記孔部の先端開口部と連通するノ
   ズルを備えたノズルプレートが接合されるインクジェッ
   トヘッドにおいて、 上記ノズルプレートは上記一方の基板よりも面積が小さ
   くかつ厚みが薄く、 上記一方の基板には、上記インク流路の先端開口部の配
   設位置を囲む領域に上記ノズルプレートの外形に対応す
   る嵌合用凹部が設けてあり、上記凹部内に上記ノズルプ
   レートが嵌合していることを特徴とするインクジェット
   ヘッド。