JPH08267149A - チタン板のポケットウェーブ防止方法 - Google Patents
チタン板のポケットウェーブ防止方法Info
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Abstract
ロール成形法すなわち加工度に応じてポケットウェーブ
が最小になるように耳高さを調節した耳波を、適切、且
つ簡便に付与する方法を提供する。 【構成】 冷間圧延後真空焼鈍または連続焼鈍を施し、
耐力:150〜400N/mm2 ,r値:0.5〜3.0,
均一伸び:5〜40%の機械的性質を持つ純チタン板に
おいて、多段のロール成形によって70°以上の折曲成
形加工を実施する場合に、あらかじめ板の成形方向に対
して平行な板端部にチタン板の材質に応じた部分伸び
(耳波)を付与すること。および下式のポケットウェー
ブ急峻度Yが0.3%以下となるように、あらかじめ耳
波高さXをチタン板の材質に応じて付与することを特徴
とするロール成形後に発生するチタン板のポケットウェ
ーブ防止方法である。 Y={−0.091X+
α}
Description
し、屋根板や壁材等の建築部材、或いはその他機械設備
の部材等にロール成形する場合に、ポケットウェーブが
発生せず、平坦な成形部材を得る方法に関するものであ
る。
大きいために、特に腐食環境の厳しい地域での屋根板や
壁等の外装部材として適しており、近年この部材に多用
されるようになっている。この部材に適用されるチタン
材は、冷間圧延した後真空焼鈍または連続焼鈍を施して
製造される薄板であるが、部材へのロール成形に際し、
急俊な折曲げ加工が行われるため、その材質特性からポ
ケットウェーブという波状の表面欠陥(凹凸)が発生し
やすい。
ル成形時において、折曲げ部分が部材長手方向に縮もう
とする力が働くとき、板中央の平坦部分にこの圧縮によ
る内部応力が生じ、座屈することにより発生すると考え
られている。これを防止するために、ロール加工の段数
を増やし、1回当たりの加工量を少なくすることによ
り、歪みを低減する方法や、素材板厚を大きくしたり、
板自身の耐力(機械的強度)を向上させ座屈しにくくし
てポケットウェーブの発生を抑制する方法があるが、前
者の場合は製造工数や設備の増加に繋がりコストアップ
になり、また、後者の場合は、素材の薄手化に逆行し、
これもまたコスト増になる。
板自体の材質を改善するために、最終的な特定条件の焼
鈍と酸洗により、製品の平均結晶粒径を3〜60μmに
調整することにより成形時のポケットウェーブを抑える
方法が特公昭64−1546号公報に開示されている。
冷延−連続焼鈍で平均結晶粒径を5〜28μmとし、焼
鈍直後から加工成形間での間に弾性限を越える変形が与
えられておらず、少なくとも圧延方向に対して直角方向
に変形した際に降伏現象を示す、成形時波打ち状の変形
の少ないチタン板が提案されている。
の材質による制御であり、熱処理或いは成分の調整によ
り作り込みが必要である。従って製鉄所のような大きな
工場では、要求に応じて即座に対応することは困難であ
る。また、建築部材には種々の種類および形状があり、
それに伴ったロール成形法が実施され、それぞれの加工
の程度も異なっている。この様な多くの種類のロール成
形に対応するには、上記した先行技術における冶金的方
法のみではポケットウェーブの発生を完全に解消するの
は難しい。
明は、従来の問題点をさらに改善するものであり、チタ
ン冷延板に、その機械的性質とロール成形法すなわち加
工度に応じてポケットウェーブが最小になるように耳高
さを調節した耳波を、適切、且つ簡便に付与する方法を
提供することを目的とする。
に本発明は、 冷間圧延後真空焼鈍または連続焼鈍を施し、耐力:1
50〜400N/mm2 ,r値:0.5〜3.0,均一伸
び:5〜40%の機械的性質を持つ純チタン板におい
て、多段のロール成形によって70°以上の折曲成形加
工を実施する場合に、あらかじめ板の成形方向に対して
平行な板端部にチタン板の材質に応じた部分伸び(耳
波)を付与することを特徴とするロール成形後に発生す
るチタン板のポケットウェーブ防止方法。および 多段のロール成形によって70°以上の折曲成形加工
を実施する場合に、ポケットウェーブ急峻度Yが0.3
%以下となるように、あらかじめ板の成形方向に対して
平行な板端部に下記(1),(2)式を満たすように耳
波高さXをチタン板の材質に応じて付与することを特徴
とする前項記載のロール成形後に発生するチタン板の
ポケットウェーブ防止方法である。 Y={−0.091X+α}≦0.3 ‥‥‥‥‥(1) α=0.003YS−2.30r−0.002U−0.003W +3.507 ‥‥‥‥‥(2) ただし X:耳波高さ(mm) Y:ポケットウェーブ急峻度(%) YS:耐力(N/mm2 ) r:r値 U:均一伸び(%) W:加工度(ロール1段当りの曲げ角度)
れる工業用1種乃至3種の純チタン薄板であって、冷間
圧延後、加工性を付与するために真空焼鈍または連続焼
鈍を施したものであり、機械的性質として、耐力:15
0〜400N/mm2 ,r値:0.5〜3.0,均一伸び:
5〜40%を有するものを対象とする。
素材という場合がある。)は屋根板や壁板などの内外装
建築部材に加工して用いられるが、この加工は素材を多
段すなわち4〜25段程度に多数配置した成形ロールに
噛み込ませて行ない、素材の板幅方向端部を曲げ加工
し、用途部材に適した形状に成形する。
ン板には、ポケットウェーブが発生しやすい。図3はポ
ケットウェーブを模式的に示したものであり、(a)図
は部材1両端部を右下より左上に成形した後の形状であ
り、部材1の中央部にポケットウェーブ2-1〜2-4(n)
が発生している状態をあらわしている。また、(b)図
は(a)図のA−B線を断面した状態を示し、図中に表
示するh-1〜h-4(n)はポケットウェーブ2-1〜2-4(n)
のそれぞれに対応する高さであって、この値より下記
式に示したポケットウェーブの急峻度(PWH)(%)
を求めることができる。
成される凹凸であり、板表面の明るさ(粗度)によって
も異なるが、表面に波状のうねりとなって現れ、部材の
外観を著しく損ねる。そのためポケットウェーブの急峻
度(PWH)はその値を小さくするほどポケットウェー
ブの大きさが小さくなり、成形した板は平坦となる。従
って、この値が0%となるのが最も好ましいが、通常、
0.3%程度までであれば目視でのポケットウェーブが
顕著に見られず許容範囲といえる。好ましくは0.2%
以下にすべきである。
ェーブを小さくするため、すなわちポケットウェーブの
急峻度を出来るだけ0に近付けるために種々検討した結
果、成形加工前の素材に、機械的性質およびおよびロー
ル成形加工度に応じて適度の高さを有する耳波を付与す
ることにより、ポケットウェーブ急峻度を低くすること
ができることがわかった。
て、種々の大きさの耳波を付与してロール成形を行い、
それに対するロール成形後に生じたポケットウェーブを
測定し、その測定結果をプロットして示したものであ
る。
ーブ急峻度とは図示の通り直線関係になっていることが
分かった。すなわち、最適の大きさの耳波を付与するこ
とによりポケットウェーブ急峻度を最小にすることがで
きる。また、その耳波高さとポケットウェーブ急峻度と
の関係は、材質(耐力、r値、均一伸び)とロール成形
加工度(ロール1段当りの曲げ角度)によって異なるこ
とも同時に判明した。すなわち、材質(耐力、r値、均
一伸び)とロール成形加工度が異なるとポケットウェー
ブ急峻度を最小にする耳波高さが異なるのである。それ
はすなわち、耳波高さXとポケットウェーブ急峻度Yと
の関係を示す直線が図2に示すように、平行移動するの
である。従って、ポケットウェーブ急峻度(%)と耳波
高さ(mm)の関係は実験結果を重回帰分析を行うことに
より判明し次式で書き表すことができることを見いだし
た。 Y={−0.091X+α} ‥‥‥‥‥(1) Y:ポケットウェーブ急峻度(%) X:耳波高さ(mm) このαは材質(耐力、r値、均一伸び)とロール成形加
工度に対して次の式で記述することができることも同時
に実験結果の重回帰分析から見いだした。 α=0.003YS−2.30r−0.002U−0.003W +3.507 ‥‥‥‥‥(2) ただし YS:耐力(N/mm2 ) r:r値 U:均一伸び(%) W:加工度(ロール1段当りの曲げ角度) これにより、材質と加工度が決まればポケットウェーブ
急峻度を最小にする耳波高さが一意的に決定できるので
ある。この式を用いてチタンの材質、ロール成形加工度
が与えられると、ポケットウェーブを最小にするために
必要な耳波高さXを決定することができる。
さE-1〜E-6(n) を模式的に示す。板の中央部は平坦で
あり、端部のみを伸ばして波状にしている。耳波高さ
(EWH)はn個の耳波高さを平均する下記式で求める
ことができる。
工程にあるローラーレベラー等で実施すればよく、実質
的な付加工程にならない。
IS1種)を用い、0.4mmの板厚に冷間圧延した後真
空焼鈍を施し調質圧延において種々の材質(耐力、r
値、均一伸び)に造り分けた供試材を用意した。その供
試材をロール段数3〜20段からなる種々のロール成形
機を用いて成形実験を実施した。
が0mmであるもので、これを成形したところポケットウ
ェーブ急峻度は0.6〜0.9%と非常に高い数値を示
しこれは満足できる水準ではない。それに対しNo.5
〜8の実施例では(1),(2)式からポケットウェー
ブ急峻度を0にする耳波高さを算出し、それに基づき実
際に耳波を付与させた後ロール成形を実施した。その結
果、ポケットウェーブ急峻度は0.2〜0.3%の値を
示し満足できる水準に達した。
けるような大型設備の設置を伴う冶金的手法に依存する
ことなく、チタン冷延素材に、その機械的性質とロール
成形法すなわち加工度に応じてポケットウェーブが最小
になるように、加工前の素材端部に適宜の耳高さとなる
耳波を成形し、しかもこれを簡単な機械的加工によって
を付与できる。すなわち平坦度の高いチタン板の供給を
要求に応じて即時に対応できるため、その工業的効果は
極めて大きい。
耳波高さを模式的に示す図。
(PWH)との関係を示す図。
した状態とポケットウェーブ急峻度を模式的に示し、
(a)は斜視図、(b)はA−B線断面図を示す。
Claims (2)
- 【請求項1】 冷間圧延後真空焼鈍または連続焼鈍を施
し、耐力:150〜400N/mm2 ,r値:0.5〜3.
0,均一伸び:5〜40%の機械強度を持つ純チタン板
において、4段以上25段以下のロール成形によって7
0°以上の折曲成形を実施する場合に、あらかじめ板の
成形方向に対して平行な板端部にチタン板の材質に応じ
た部分伸び(耳波)を付与することを特徴とするロール
成形後に発生するチタン板のポケットウェーブ防止方
法。 - 【請求項2】 4段以上25段以下のロール成形によっ
て70°以上の折曲成形を実施する場合に、ポケットウ
ェーブ急峻度Yが0.3%以下となるように、あらかじ
め板の成形方向に対して平行な板端部に下記(1),
(2)式を満たすように耳波高さXをチタン板の材質に
応じて付与することを特徴とする請求項1記載のロール
成形後に発生するチタン板のポケットウェーブ防止方
法。 Y={−0.091X+α}≦0.3 ‥‥‥‥‥(1) α=0.003YS−2.30r−0.002U−0.003W +3.507 ‥‥‥‥‥(2) ただし X:耳波高さ(mm) Y:ポケットウェーブ急峻度(%) YS:耐力(N/mm2 ) r:r値 U:均一伸び(%) W:加工度(1ロール当りの曲げ角度)
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JP07685595A JP3369352B2 (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | チタン板のポケットウェーブ防止方法 |
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