JPH08266995A - ウェットオンウェット塗装方法及びそれに使用されるベースコート塗料 - Google Patents

ウェットオンウェット塗装方法及びそれに使用されるベースコート塗料

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JPH08266995A
JPH08266995A JP7525795A JP7525795A JPH08266995A JP H08266995 A JPH08266995 A JP H08266995A JP 7525795 A JP7525795 A JP 7525795A JP 7525795 A JP7525795 A JP 7525795A JP H08266995 A JPH08266995 A JP H08266995A
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JP
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wet
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catalyst
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Application number
JP7525795A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Marutani
義明 丸谷
Ichiyo Koga
一陽 古賀
Mika Oosawa
美香 大澤
Hiroshi Kubota
寛 久保田
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 設備の変更を必要とすることなく、従来の塗
装工程により、貯蔵安定性に優れかつ得られる塗膜の特
性に優れた、ウェットオンウェット塗装方法及びその方
法に使用するのに適したベースコート塗料を提供する。 【構成】 水酸基含有オリゴマーとアミノプラスト樹脂
とを含有するベースコート塗料の上に、硬化反応に関与
する官能基としてシリル基でブロックされた水酸基、カ
ルボキシル基又はリン酸基、若しくは加水分解性シリル
基と、エポキシ基とを含み、かつ塩基性硬化触媒を含有
する硬化反応系のクリヤー塗料をウェットオンウェット
で塗装し、次いで焼付ける。そして、上記ベースコート
塗料には、クリヤー塗料の硬化系に使用されるシリルブ
ロック基解離触媒を予め配合する。また、その硬化触媒
としては、760mmHgにおける沸点が150℃以上のも
のを使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に、自動車塗装にお
いて、ベースコート塗料とクリヤー塗料とをウェットオ
ンウェットで塗装するのに適した塗料の塗装方法及びそ
れに使用されるベースコート塗料に関する。特に、本発
明は、塗装作業性を大幅に改善できる塗装方法及びそれ
に使用されるベースコート塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、クリヤー塗料の硬化系として、種
々の硬化系が提案されている。例えば、シリル基でブロ
ックされた水酸基、カルボキシル基又はリン酸基と、エ
ポキシ基との硬化系や、これに更に加水分解性基によっ
てブロックされた加水分解性シリル基が関与する硬化系
等がある。このような硬化系においては、ブロック基を
解離させるための解離触媒や、遊離した官能基とエポキ
シ基等との硬化反応を促進するための塩基性硬化触媒を
配合するのが通常である。このようなウェットオンウェ
ットで塗装する場合には、塗装直前まで、クリヤー塗料
とベースコート塗料とは別個の貯蔵装置に保存され、ウ
ェットオンウェット塗装のためにノズルやスプレー等の
塗布装置まで各塗料は搬送される。しかしながら、官能
基を有するオリゴマー又はポリマー(以下、オリゴマー
という)に上記塩基性硬化触媒とともに、シリルブロッ
ク基解離触媒を配合したクリヤー塗料を、ウェットオン
ウェット塗装までの時間(貯蔵時間)が長くなるに従っ
て、クリヤー塗料は、シリルブロック基解離触媒によ
り、官能基のブロック基が解離されて、塩基性硬化触媒
の存在下に硬化し始め、増粘する問題がある。そのた
め、ウェットオンウェット塗装までの期間、官能基の異
なるオリゴマー同志を分けるか、オリゴマーと、シリル
ブロック基解離触媒とを別けて、硬化反応が進行するの
を防止する必要がある。このような2液又はそれ以上の
液に別けて貯蔵して起き、ウェットオンウェット塗装直
前にそれらの液を混合して、クリヤー塗料を調製しよう
とする場合には、各液の流量や配合量の調整する必要が
あり、混合装置が複雑化するため、設備に多大なコスト
が掛かるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そのため、本発明者
は、設備の変更を必要とすることなく、従来の塗装工程
により、貯蔵安定性に優れかつ塗料の増粘等のない、ウ
ェットオンウェット塗装することのできる塗装について
鋭意検討し、本発明に到達したものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明者は、上記
目的が、水酸基含有オリゴマーとアミノプラスト樹脂と
を含有するベースコート塗料の上に、硬化反応に関与す
る官能基としてシリル基でブロックされた水酸基、カル
ボキシル基又はリン酸基若しくは加水分解性シリル基
と、エポキシ基とを含み、かつ塩基性硬化触媒を含有す
る硬化系のクリヤー塗料をウェットオンウェットで塗装
し、次いで焼付ける塗料の塗装方法において、前記クリ
ヤー塗料用の硬化系に使用されるシリルブロック基解離
触媒を、クリヤー塗料ではなく、ベースコート塗料に配
合することにより確実に達成できることを見い出した。
本発明は、かかる新規な知見に基づいてなされたもので
ある。即ち、本発明は、以下の発明、 1. 水酸基含有オリゴマーとアミノプラスト樹脂とを
含有するベースコート塗料の上に、硬化反応に関与する
官能基としてシリル基でブロックされた水酸基、カルボ
キシル基又はリン酸基若しくは加水分解性シリル基と、
エポキシ基とを含み、かつ塩基性硬化触媒を含有する硬
化反応系のクリヤー塗料をウェットオンウェットで塗装
し、次いで焼付ける塗料の塗装方法において、前記クリ
ヤー塗料に使用されるシリルブロック基解離触媒を前記
ベースコート塗料に配合した後、ウェットオンウェット
塗装し、かつ前記シリルブロック基解離触媒が760mm
Hgにおいて150℃以上の沸点を有することを特徴とす
る塗装方法、及び 2. 水酸基含有オリゴマーとアミノプラスト樹脂とを
含有するベースコート塗料に、硬化反応に関与する官能
基としてシリル基でブロックされた水酸基、カルボキシ
ル基又はリン酸基若しくは加水分解性シリル基とエポキ
シ基とを含み、かつ塩基性硬化触媒を含む硬化反応系の
クリヤー塗料をウェットオンウェットで塗装しかつ焼付
けするのに使用される前記ベースコート塗料であって、
前記クリヤー塗料用に配合されるシリルブロック基解離
触媒を含有し、かつ前記シリルブロック基解離触媒が、
760mmHgにおいて150℃以上の沸点を有することを
特徴とするベースコート塗料、に関する。
【0005】以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の方法で使用されるベースコート塗料は、水酸基
含有オリゴマーと、アミノプラスト樹脂と、クリヤー塗
料用のシリルブロック基解離触媒とを含有する。水酸基
含有オリゴマーとしては、ポリエステルオリゴマーや、
ビニル重合オリゴマー等、水酸基を含有するオリゴマー
であれば、特に制限されず、種々の水酸基含有オリゴマ
ーを使用することができる。水酸基含有ポリエステルオ
リゴマーとしては、公知一般のポリエステルオリゴマ
ー、例えば、多価アルコール又は多価エポキシ化合物
や、酸無水物、一塩基酸又は脂肪酸、多塩基酸、モノエ
ポキシ化合物、若しくはラクトン又は水酸基を有するモ
ノカルボン酸等を種々組合せ、更に、縮合反応、付加反
応を行うことによって得られるものが挙げられる。上記
反応に使用されるポリオールとしては、ジオール、トリ
オール、テトラオール、ペンタオール、及びヘキサオー
ルがある。ジオールとしては、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,
4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、な
どが挙げられ、トリオールとしては、例えば、グリセリ
ン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、
トリスヒドロキシメチルアミノメタン、1,2,6−ヘ
キサントリオール等が挙げられる。テトラオールとして
は、例えば、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、リ
キソース、ソルビトールが挙げられる。ペンタオールと
しては、例えば、マンノースが挙げられる。ヘキサオー
ルとしては、例えば、イノシトールが挙げられる。特
に、合成の容易さから、ジオールやトリオール又はテト
ラオールを使用することが好ましい。
【0006】1分子中に、3〜6個以上のエポキシ基を
有するポリエポキシ化合物としては、例えば、トリスグ
リシジルイソシアヌレート、トリスグリシジルプロピル
イソシアヌレート、テトラグリシジルメタキシレンジア
ミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシ
クロヘキサン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメ
タン、トリグリシジルp-アミノフェノール、ジグリシジ
ルアニリン等を挙げることができる。酸無水物として
は、例えば、無水フタル酸や、4−メチル無水フタル酸
等のアルキル無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル
酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル
ヘキサヒドロ無水フタル酸等のアルキルヘキサヒドロ無
水フタル酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸
等が挙げられる。特に、耐候性を考慮すると、ヘキサヒ
ドロ無水フタル酸や、アルキルヘキサヒドロ無水フタル
酸、無水コハク酸を使用することが好ましい。一塩基酸
又は脂肪酸としては、好ましくは、炭素数4〜22、更
に好ましくは4〜15の脂肪酸が使用される。このよう
な脂肪酸としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン
酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウ
ンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン
酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸
等が使用される。
【0007】多塩基酸としては、フタル酸、ヘキサヒド
ロフタル酸、アルキルヘキサヒドロフタル酸、アルキル
フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、トリ
メリット酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。モノ
エポキシ化合物としては、不飽和結合を有する脂肪族炭
化水素のエポキサイド、特に、α−オレフィンのエポキ
サイドや、グリシジルエーテル、グリシジルエステル等
が好ましく使用することができる。α−オレフィンのエ
ポキサイドとしては、炭素数3〜25のエポキサイドが
好ましい。例えば、プロピレンオキサイドや、AOEX24
(炭素数12及び14のα−オレフィンのエポキサイド
混合物)及びAOEX68(炭素数16及び18のα−オレフ
ィンのエポキサイド混合物)(以上、ダイセル化学工業
製)などが挙げられる。また、グリシジルエーテルとし
ては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグ
リシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、クレシ
ルグリシジルエーテル等が挙げられる。グリシジルエス
テルとしては、例えばカジュラーE10 及びPES10 (以
上、油化シェルエポキシ製)等が挙げられる。モノエポ
キシ化合物における炭素数は、4〜22であることが合
成の容易さや、得られる塗膜物性から好ましい。特に好
ましいモノエポキシ化合物の炭素数は、4〜15であ
る。
【0008】水酸基含有モノエポキシ化合物は、上記モ
ノエポキシ化合物に更に水酸基を導入したものである。
具体的には、1,2−エポキシヘキサノール、1,2−
エポキシオクタノール、1,2−エポキシデカノール、
ヒドロキシブチルグリシジルエーテル、ヒドロキシオク
チル、グリシジルエーテル、ヒドロキシフェニルグリシ
ジルエーテル、ヒドロキシブチルグリシジルエステル、
ヒドロキシシクロヘキシルグリシジルエステル等が挙げ
られる。但し、モノエポキシ化合物と、水酸基含有モノ
エポキシ化合物を併用してもよい。例えば、炭素数4〜
22の脂肪族炭化水素基を有するモノエポキシ化合物
と、このような脂肪族炭化水素基を有しても有さなくて
もよい、水酸基含有モノエポキシ化合物との混合物が挙
げられる。このような水酸基含有モノエポキシ化合物と
しては、炭素数3〜15の水酸基含有モノエポキシ化合
物が使用される。具体的には、グリシドールが好ましく
使用することができる。ラクトンとしては、例えば、ε
−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロ
ラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。合成の
容易さから、ラクトンとしては、ε−カプロラクトンを
使用することが好ましい。
【0009】ヒドロキシ酸としては、分子中に、水酸基
とカルボキシル基とを有するものであれば、特に限定さ
れるものではない。このようなヒドロキシ酸としては、
例えば、ピバリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸な
どの直鎖又は、分岐鎖のヒドロキシアルキル酸や、ポリ
オールに対して、酸無水物基を有する化合物を反応させ
て得られる反応生成物等が好ましいものとして挙げるこ
とができる。この場合に使用されるポリオールとして
は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタ
ノール等のジオールや、トリメチロールプロパンや、ト
リメチロールエタン、グリセリン等の3価のアルコー
ル、ペンタエリスリトールや、ジグリセリン等の4価の
アルコールなどが挙げられる。また、酸無水物基を有す
る化合物としては、上記で説明した酸無水物を好ましい
ものとして挙げることができる。上記ポリエステルオリ
ゴマーの反応は、従来より公知のエステル化反応に使用
される条件が採用される。通常、この合成には、水酸基
とカルボキシル基との反応を促進する触媒、ラクトンの
反応を促進する触媒や、カルボキシル基とエポキシ基と
の反応を促進する触媒等が使用してもよい。水酸基とカ
ルボキシル基との反応を促進する触媒、ラクトン反応触
媒としては、例えば、リン酸モノエステルや、塩酸、硫
酸等のブレンステッド酸、テトラブチルチタネートなど
のチタネート化合物、ジブチルスズジラウレート、ジメ
チルスズジクロライドなどの有機スズ化合物等が好まし
く使用することができる。
【0010】カルボキシル基とエポキシ基との反応は、
無触媒でも可能であるが、反応時間を短縮させるため
に、触媒として、例えば、1−メチルイミダゾールやジ
メチルイミダゾール等のイミダゾール、テトラブチルホ
スホニウムブロマイドやテトララウリルホスホニウムク
ロライド等の四級ホスホニウム塩、テトラアンモニウム
ブロマイドや、テトラアンモニウムクロライド、トリラ
ウリルアンモニウムアセテート等の四級アンモニウム塩
等が好ましく使用される。これらの触媒は、触媒量で使
用される。具体的には、水酸基とカルボキシル基の反応
触媒、ラクトン反応触媒の場合には、例えば、ラクトン
の使用量に対して、0.00001〜10重量%、好まし
くは0.0001〜1重量%であり、カルボキシル基とエ
ポキシ基との反応触媒の場合には、例えば、カルボキシ
ル基含有化合物又はエポキシ化合物の使用量に基づい
て、0.001〜10重量%、好ましくは0.001〜5重
量%である。反応温度は、一般に100〜300℃、好
ましくは120〜250℃である。また、反応時間は、
30分〜48時間、好ましくは3〜12時間である。水
酸基含有オリゴマーとして使用できる水酸基含有ビニル
重合オリゴマーとしては、水酸基を有するビニル重合性
モノマーを単独で又は必要に応じて任意の他のビニル重
合性モノマーと共重合することによって製造することが
できる。
【0011】水酸基含有ビニル重合性モノマーとして
は、水酸基と、ラジカル重合性不飽和結合基とを有する
ビニル重合性モノマーが好ましいモノマーとして挙げる
ことができる。ラジカル重合性不飽和結合基としては、
例えば、CHR1=CR2- (但し、R1及びR2は、それぞれ水素
原子、アルキル基又は単結合である)で示されるラジカ
ル重合性のビニル結合が好ましく挙げることができる。
ここで、アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖を有する
アルキル基が挙げられ、例えば、メチル基や、エチル
基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜20個を有す
るアルキル基が挙げられる。このような水酸基とラジカ
ル重合性不飽和結合基とを有する水酸基含有ビニル重合
性モノマーとしては、例えば、以下の式で示されるモノ
マーを挙げることができる。
【0012】
【化1】 式中、R1は、水素原子又はメチル基であり、R2は、2価
のアルキレン基であり、Yは、-COO- 、-CO-、-NHCO-、
-O- 、又は単結合である。特に、Yが -COO-結合である
場合の水酸基含有アクリルオリゴマーであることが好ま
しい。また、2価のアルキレン基としては、例えば、直
鎖又は分岐鎖を有し、炭素数1〜18個であるアルキレ
ン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン
基、ブチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチ
レン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ド
デシレン基、トリデシレン基等が挙げられる。上記式で
示される水酸基含有ビニル重合性モノマーとしては、例
えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや、
2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、2−、3−又は4−ブチル(メタ)アクリレート等
が挙げられる。更に、上記水酸基含有ビニル重合性モノ
マーとしては、上記式で示されるモノマーをラクトン変
性した水酸基含有ビニル重合性モノマーも使用すること
ができる。このような水酸基含有ビニル重合性モノマー
としては、例えば、以下の式(2)で示されるモノマー
を挙げることができる。
【0013】
【化2】 ここで、R1、R2及びYは、上記の通りである。nは2〜
7、好ましくは2〜5であり、mは1〜10、好ましく
は2〜8である。上記式(2)で示されるラクトン変性
ビニル重合性モノマー(ラクトン付加物)の具体例とし
ては、ダイセル化学工業製のプラクセル FM-1 、FM-2、
FM-3、FM-4、FM-5、FA-1、FA-2、FA-3、FA-4、FA-5等を
挙げることができる。ここで、FMは、メタクリレート
系のラクトン変性水酸基含有ビニル重合性モノマーであ
り、FAは、アクリレート系ラクトン変性水酸基含有ビ
ニル重合性モノマーである。また、数字は、ε−カプロ
ラクトンの付加した量である。例えば、FA−1は、ε
−カプロラクトン1分子が付加したアクリレート系水酸
基含有ビニル重合性モノマーであることを示す。このよ
うなラクトン変性した水酸基含有ビニル重合性モノマー
としては、例えば、以下の式(3)で示されるメタクリ
ルモノマーを挙げることができる。
【0014】
【化3】 式中、nは2〜7であり、mは1〜10である。例え
ば、プラクセル FM-1 、FM-2、FM-3、FM-4等は、この式
に相当するモノマーであり、具体的には、以下の式で示
される構造をしている。
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】 本発明で使用する水酸基含有ビニル重合オリゴマーは、
上記水酸基含有ビニル重合性モノマーを重合又は共重合
することによって容易に製造することができる。また、
必要に応じて、ビニル基からの水酸基の位置が短いビニ
ル重合性モノマーを(必要に応じて他のビニル重合性モ
ノマーとともに)一旦重合した後、主鎖から10〜40
原子離れた位置に水酸基が導入されるように、ラクトン
を反応させてもよい。なお、他の官能基、例えばカルボ
キシル基やエポキシ基等を使用して、最終的に水酸基を
有するビニル重合オリゴマーを製造することもできる。
例えば、以下の方法によって、間接的に、水酸基含有ビ
ニル重合オリゴマーを製造することができる。以下、こ
のような特定の位置に水酸基が存在するビニル重合オリ
ゴマーの製造方法として説明する。カルボキシル基を含
有するビニル重合性モノマーに、エポキシ基含有化合物
を反応させた後、カルボキシル基とエポキシ基との反応
によって生じた2級水酸基を含有するビニル重合性モノ
マーを調製し、これを、必要に応じて他のビニル重合性
モノマーとともに重合し、得られた水酸基含有ビニル重
合オリゴマーにラクトンを付加させる方法。
【0017】ここで使用されるカルボキシル基含有ビニ
ル重合性モノマーとしては、例えば、上記式(1)にお
いて、水酸基がカルボキシル基である化合物、例えば、
(メタ)アクリル酸等を挙げることができる。また、エ
ポキシ基含有化合物としては、例えば、ビニル重合性の
不飽和基を有さないエポキシ基を有する化合物であれ
ば、特に制限なく使用することができる。例えば、不飽
和結合を有する脂肪族炭化水素のエポキサイド、特にα
−オレフィンのエポキサイドや、グリシジルエーテル、
グリシジルエステル等が好ましいものとして使用するこ
とができる。α−オレフィンのエポキサイドのエポキサ
イドとしては、炭素数3〜25個のエポキサイドが好ま
しい。例えば、プロピレンオキサイドや、AOEX24(炭素
数12及び14のα−オレフィンのエポキサイド混合
物)及びAOEX68(炭素数16及び18のα−オレフィン
のエポキサイド混合物)(以上、ダイセル化学工業製)
などが挙げられる。また、グリシジルエーテルとして
は、例えば、ブチルグリシジルエーテルや、フェニルグ
リシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、クレシ
ルグリシジルエーテル等が挙げられる。更に、グリシジ
ルエステルとしては、例えば、カジュラーE10 及び PES
10(以上、油化シェル製エポキシ基樹脂)を挙げること
ができる。
【0018】エポキシ基を含有するビニル重合性モノマ
ーに、カルボキシル基含有化合物を反応させ、生成した
2級水酸基を含有するビニル重合性モノマーを、必要に
応じて他のビニル重合性モノマーとともに重合させ、得
られた水酸基含有ビニル重合オリゴマーにラクトンを付
加させる方法。ここで、エポキシ基を含有するビニル重
合性モノマーとしては、上記(1)において、水酸基が
エポキシ基であるモノマーを好ましく使用することがで
きる。このようなエポキシ基含有ビニル重合性モノマー
としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等
が挙げられる。また、カルボキシル基を含有する化合物
としては、ビニル重合性の不飽和基を有さないカルボキ
シル基を含有する化合物であれば、特に制限なく、種々
の化合物を使用することができる。そのような化合物と
しては、例えば、カプリン酸、カプリル酸等の脂肪酸
や、無水フタル酸、無水コハク酸等の酸無水物にアルコ
ールを反応させた半エステル等が好ましいものとして使
用することができる。ここで、アルコールとしては、水
酸基を1つ含むアルコールや、水酸基を複数有するポリ
オールを使用することができる。
【0019】水酸基を1つ有するアルコールとしては、
例えば、メチルアルコールや、エチルアルコール、プロ
ピルアルコール、ブチルアルコール等を挙げることがで
きる。また、ポリオールとしては、例えば、エチレング
リコール、プロピレングリコール、1,5−ヘキサンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリ
コール、シクロヘキサンジメタノール等のジオールや、
トリメチロールプロパンや、トリメチロールエタン、グ
リセリン等の3価のアルコール、ペンタエリスリトール
や、ジグリセリン等の4価のアルコールなどが挙げられ
る。カルボキシル基又はエポキシ基を含有するビニル重
合性モノマーを、必要に応じて他のビニル重合性モノマ
ーとともに重合した後、エポキシ基又はカルボキシル基
含有化合物を反応させ、得られた水酸基含有ビニル重合
オリゴマーにラクトンを付加させる方法。エポキシ基を
含有するビニル重合性モノマーに、ポリオールや、ラク
トン、酸無水物、二塩基酸を反応させたものを反応さ
せ、得られた水酸基含有ビニル重合性モノマーを、必要
に応じて他のビニル重合性モノマーとともに重合する方
法。ポリオールとしては、上記で説明したポリオールを
使用することができる。
【0020】酸無水物としては、例えば、無水フタル酸
や、4−メチル無水フタル酸等のアルキル無水フタル
酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒド
ロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸
等のアルキルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク
酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。特に、
合成の容易さから、アルキル無水フタル酸や、アルキル
ヘキサヒドロ無水フタル酸を使用することが好ましい。
二塩基酸としては、フタル酸、4−メチルフタル酸等の
アルキルフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチル
ヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル
酸等のアルキルヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、テト
ラヒドロフタル酸等が挙げられる。エポキシ基を含有す
るビニル重合性モノマーを、必要に応じて他のビニル重
合性モノマーとともに重合して、エポキシ基含有ビニル
重合オリゴマーを製造した後、更に、ポリオールや、ラ
クトン、酸無水物、二塩基酸を反応させる方法。ポリエ
ステルポリオールに、イソシアネート基を含有するビニ
ル重合性モノマーを反応させて得られる水酸基含有ビニ
ル重合性モノマーを、必要に応じて他のビニル重合性モ
ノマーとともに重合する方法。
【0021】ここで、イソシアネート基含有ビニル重合
性モノマーとしては、上記式(1)における水酸基がイ
ソシアネート基であるものを使用することができる。具
体的には、例えば、イソシアネートエチル(メタ)アク
リレートが挙げられる。イソシアネート基含有ビニル重
合性モノマーを、必要に応じて他のビニル重合性モノマ
ーとともに重合し、得られたイソシアネート基含有ビニ
ル重合オリゴマーに、ポリオールや、ポリオールにラク
トンを付加した化合物を反応させる方法。以上の方法の
他にも、種々の応用が考えられるが、その範囲は、当業
者に自明な範囲である。ビニル重合性モノマーの重合方
法は、公知の慣用手段で行うことができる。例えば、ア
ニオン重合や、カチオン重合等のイオン重合、若しくは
ラジカル重合によって重合を行うことができる。本発明
においては、重合の容易性の観点から、ラジカル重合に
よることが好ましい。但し、低分子量の水酸基含有ビニ
ル重合オリゴマーを製造する場合には、重合に際して
は、低分子量でビニル重合オリゴマーが製造できるよう
に、メルカプトエタノール、チオグリセロール、ラウリ
ルメルカプタン等のメルカプタン類又は連鎖移動剤を使
用する方法や、60〜180℃で反応させる方法、若し
くは低いモノマー濃度で反応させる方法等を採用するこ
とが望ましい。また、水酸基含有ビニル重合オリゴマー
の分子構造は、特に限定されず、例えば、直線状、櫛型
状、ブロック状、スター型、スターバースト型等の種々
の構造のものとすることができる。
【0022】ラジカル重合は、溶液中で行うことが望ま
しい。そのようなラジカル溶液重合に使用される溶剤と
しては、従来よりアクリルモノマー等のビニル重合性の
モノマーの重合に使用される溶剤を制限なく使用するこ
とができる。このような溶剤としては、例えば、トルエ
ン、キシレン、ブタノール、酢酸ブチル、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、ソルベッソ(エクソ
ン製)等のエステル系、アルコール系、芳香族系、ケト
ン系の溶剤が挙げられる。ラジカル溶液重合に使用され
るラジカル反応開始剤としては、従来よりラジカル重合
において使用される反応開始剤を制限なく使用すること
ができる。このような反応開始剤としては、例えば、ベ
ンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、
t-ブチルハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノール等の過酸化物や、アゾビスバ
レロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス
(2−メチルプロピオニトリル)等のアゾ化合物を挙げ
ることができる。なお、本発明で使用する水酸基含有ビ
ニル重合オリゴマーを製造する際に使用することのでき
る他の重合性モノマー、例えば、α,β−エチレン性不
飽和モノマーとしては、例えば、以下に挙げるモノマー
を挙げることができる。 (1) アクリル酸又はメタクリル酸エステル:例えば、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アク
リル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウ
リル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オ
クチル、メタクリル酸ラウリル等のアクリル酸又はメタ
クリル酸の炭素数1〜18個のアルキル基エステル;ア
クリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチ
ル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシ
エチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸エト
キシブチル等のアクリル酸又はメタクリル酸エステルの
炭素数2〜18個のアルコキシアルキルエステル;アリ
ルアクリレート、アリルメタアクリレート等のアクリル
酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8個のアルケニルエス
テル;アリルオキシエチルアクリレート、アリルオキシ
エチルメタアクリレート等のアクリル酸又はメタクリル
酸の炭素数3〜18個のアルケニルオキシアルキルエス
テル。 (2) ビニル系化合物:例えば、酢酸ビニル、ヘキサフル
オロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p-クロルス
チレン。 (3) ポリオレフィン系化合物:例えば、ブタジエン、イ
ソプレン、クロロプレン。 (4) アリルエーテル類:ヒドロキシエチルアリルエーテ
ル等。 (5) その他:例えば、メタアクリルアミド、アクリルア
ミド、ジアクリルアミド、ジメタクリルアミド、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、メチルイソプロペニ
ルケトイン、酢酸ビニル、ビニルプロピオネート、ビニ
ルピバレート、アクリル酸、メタクリル酸、N,N-ジアル
キルアミノアルキル(メタ)アクリレート、トリフルオ
ロメチルビニルエーテル等のパーフルオロビニルエーテ
ル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル。
【0023】本発明で使用される水酸基含有オリゴマー
の水酸基量は、好ましくは0.5〜3.0モル/kg樹脂であ
り、特に好ましくは、0.7〜2.0モル/kg樹脂である。
水酸基量が、0.5モル/kg樹脂よりも少ない場合には、
架橋が不十分となり、耐ガソリン性が低下し易い。一
方、水酸基量が、3.0モル/kg樹脂よりも多くなると、
架橋が密になり過ぎるため、硬化収縮が大きくなり、外
観性が低下し易い。水酸基含有オリゴマーの数平均分子
量は、好ましくは1000〜50000であり、特に好
ましくは、1500〜30000である。数平均分子量
が1000未満では、1分子中に官能基が存在するオリ
ゴマーが生じ、耐ガソリン性が低下し易い。一方、数平
均分子量が50000超になると、粘度が高くなり過
ぎ、希釈剤を多量に使用する必要が生じ、膜厚がつかな
くなり易い。本発明の方法において、水酸基含有オリゴ
マーとともに使用されるアミノプラスト樹脂としては、
従来より、水酸基含有オリゴマーとアミノプラスト樹脂
硬化剤との反応系に使用されていたものであれば、特に
制限なく使用することができる。このようなアミノプラ
スト樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグア
ナミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
【0024】アミノプラスト樹脂としては、メラミン樹
脂が好ましい。メラミン樹脂は、メラミンとホルムアル
デヒドとの重合によって製造され、その製造方法は、当
業者には周知である。このようなメラミン樹脂として、
例えば以下の式(4)で示されるメラミンを含有するメ
ラミン樹脂が特に好ましい。
【0025】
【化6】 (式中、R1〜R6は、独立して、水素原子、メチロール基
又は炭素数1〜5のアルコキシ基である。) 式(4)におけるアルコキシ基の炭素数が5よりも多く
なると、粘度が高くなりすぎ、好ましくない。好ましい
炭素数は、1〜4である。具体的には、このようなアル
コキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。メラ
ミンは、1核体でも、それが自己縮合した多核体でもか
まわない。メラミンの態様としては、上記式(4)のR1
〜R6が、全てアルコキシ基であるもの、水素原子とメチ
ロール基との混合体であるもの、水素原子とアルコキシ
基との混合体であるもの、メチロール基とアルコキシ基
との混合体であるもの、更に水素原子と、メチロール基
と、アルコキシ基との混合体であるものが挙げられる。
具体的には、サイメル325、サイメル327、サイメ
ル370(以上、三井サイアナミッド製、式(4)中、
R1〜R6がメチロール基(メチロール型))、スーパーベ
ッカミンL−116−70(大日本インキ化学工業)、
スーパーベッカミンL−121−60(大日本インキ化
学工業)、ユーバン2028(三井東圧)、ユーバン2
1R(三井東圧)、ユーバン2028(三井東圧)(以
上、いずれもイミノ型))、更には、サイメル303、
ユーバン120(三井東圧製)(式(4)中、R1〜R6
全てアルコキシ基(アルコキシ型))が挙げられる。
【0026】水酸基含有オリゴマー/アミノプラスト樹
脂の配合比は、一般に、90/10〜40/60であ
り、好ましくは、80/20〜60/40である。この
配合比が、90/10超となると、架橋が不十分とな
り、耐ガソリン性が低下し易い。一方、上記比が、40
/60未満では、アミノプラスト樹脂の自己縮合反応が
促進され、塗膜が脆くなり、耐チッピング性が低下し易
い。本発明で使用するベースコート塗料には、上記水酸
基含有オリゴマーの水酸基と上記アミノプラスト樹脂硬
化剤との硬化反応を促進するための硬化触媒を配合して
もよい。上記ベースコート塗料用の硬化触媒としては、
酸触媒が使用される。酸触媒としては、例えば、強酸性
触媒又は弱酸性触媒を使用することができる。強酸性触
媒としては、例えば、塩酸や、硝酸、硫酸等の無機酸又
は、スルホン酸等の有機酸、更にはそれらのエステルや
アンモニウム塩、オニウム塩等の塩等が挙げられる。特
に、強酸性触媒としては、スルホン酸、そのエステル若
しくはアミン塩や、安息香酸、トリクロル酢酸等が好ま
しい。具体的には、スルホン酸としては、例えば、メタ
ンスルホン酸、エタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸
や、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン
酸、ナフタリンジスルホン酸、ジノニルナフタリンスル
ホン酸、ジノニルナフタリンジスルホン酸等の芳香族ス
ルホン酸等が挙げられる。強酸性触媒としては、芳香族
スルホン酸又はそのエステルが好ましく、具体的には、
ドデシルベンゼンスルホン酸や、ジノニルナフタリンジ
スルホン酸が、塗膜の耐水性を向上させるので、特に好
ましい。
【0027】一方、弱酸性触媒としては、例えば、リン
酸類、リン酸モノエステル、亜リン酸エステル、不飽和
基含有リン酸エステル等が挙げられる。弱酸性触媒とし
ては、特に、リン酸類又はそのエステルが好ましい。そ
のようなリン酸類又はそのエステルとして、例えば、リ
ン酸、ピロリン酸等や、リン酸モノ又はジエステル等が
挙げられる。リン酸モノエステルとしては、例えば、リ
ン酸モノオクチル、リン酸モノプロピル、リン酸モノラ
ウリル等が挙げられる。リン酸ジエステルとしては、例
えば、リン酸ジオクチル、リン酸ジプロピル、リン酸ジ
ラウリル等が挙げられる。更には、モノ(2−(メタ)
アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェートが挙げ
られる。ベースコート中のトラミン硬化剤は、完全アル
コキシ型(アルコキシ基が全官能基の85%以上)であ
れば、強酸触媒が有効に働き、イミノ型やメチロール型
では、弱酸触媒が有効に作用する。ベースコート塗料用
の硬化触媒としては、クリヤー塗料用の塩基性硬化触媒
が強塩基である場合には、弱酸性の硬化触媒を使用する
ことが好ましい。ベースコート塗料用の硬化触媒とし
て、この場合、強酸触媒を使用すると、クリヤー塗料用
の強塩基性硬化触媒と安定な塩を形成して、充分な触媒
作用を果たさなくなる可能性がある。しかしながら、そ
のような場合でも、触媒の配合量を増やすことなどの工
夫をすることにより、充分な硬化反応を達成することが
できる。
【0028】ベースコート塗料用の硬化触媒は、水酸基
含有オリゴマーの重量に基づいて、0.001〜10%、
好ましくは0.001〜5%である。ベースコート塗料の
硬化反応は、上記の硬化触媒によって行う場合の他に
は、ベースコート塗料に配合する水酸基含有オリゴマー
中に酸性基を導入することによって、そのような硬化触
媒作用を達成させることができる。このような酸性触媒
としては、例えば、カルボキシル基や、リン酸基等が挙
げられる。このような酸性基は、このような酸性基を含
有するビニル重合性モノマーを、水酸基含有ビニル重合
オリゴマーを製造する際に併用することによって容易に
オリゴマー中に導入することができる。従って、このよ
うな酸性基が水酸基含有オリゴマー中に存在する場合に
は、敢えて、硬化触媒を配合する必要性はない。なお、
このような硬化触媒を使用しない場合の水酸基含有オリ
ゴマーの酸価は、好ましくは5〜50であり、特に好ま
しくは10〜30である。本発明で使用するベースコー
ト塗料に配合されるシリルブロック基解離触媒は、ウェ
ットオンウェット塗装までにベースコート塗料に予め配
合しておくことにより、クリヤー塗料の貯蔵時における
増粘等の問題を回避するものである。
【0029】クリヤー塗料用のシリルブロック基解離触
媒は、酸性解離触媒である。この酸性解離触媒は、76
0mmHgにおいて150℃以上の沸点を有することが必要
である。150℃未満では、揮発性が大きくなり、ベー
スコート塗料からクリヤー塗料に移行して、クリヤー塗
料を充分に硬化することができない。好ましい沸点は、
160℃以上である。なお、酸性解離触媒の分子量は、
好ましくは100〜400、更に好ましくは、150〜
300である。分子量が、100よりも小さい場合に
は、塗装時に揮発し易く、クリヤー塗料の硬化を充分達
成し難い場合がある。一方、分子量が、400超では、
ベースコート塗料からクリヤー塗料への移行が難しくな
るため、やはり、好ましくない。クリヤー塗料用の酸性
シリルブロック基解離触媒の具体例としては、例えば、
脂肪族カルボン酸や、リン酸又はそのモノ又はジ−エス
テル、スルホン酸等が好ましいものとして挙げられる。
このうち、脂肪族カルボン酸が特に好ましい。脂肪族カ
ルボン酸としては、具体的には、例えば、飽和又は不飽
和の環式又は非環式の脂肪酸が好ましいものとして挙げ
ることができる。
【0030】このような脂肪酸としては、以下の構造式
(5)又は(6)で示されるものが好ましい。 R1──CH2=CH-COOH (5) R2──COOH (6) 式中、R1は、水素原子、アルキル基又はアリール基であ
る。R2は、非環式アルキル基又は脂環式アルキル基であ
る。ここで、アルキル基は、置換又は未置換の、好まし
くは炭素原子数が1〜15、特に好ましくは1〜10の
アルキル基を含有する。未置換のアルキル基としては、
例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が
挙げられる。アリール基は、置換又は未置換のアリール
基を包含し、例えば、フェニル基やナフチル基等が挙げ
られる。置換アルキル基又はアリール基における置換基
としては、アルキル基、アリール基、アミノ基、ハロゲ
ン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、スルホン基、カ
ルボキシル基、ビニル基等を挙げることができる。アル
キル基としては、好ましくは炭素原子数が1〜10のア
ルキル基が挙げられる。このようなアルキル基として
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基
等が挙げられる。また、アリール基としては、上記アリ
ール基の場合と同様である。また、脂環式アルキル基と
しては、例えば、3〜6員環のものが挙げられる。
【0031】具体的には、式(5)で表されるカルボン
酸としては、例えば、メタクリル酸(分子量:86、沸
点:159℃)、イソクロトン酸(分子量:86、沸
点:169℃)等が挙げられる。一方、式(8)で示さ
れる非環式カルボン酸としては、例えば、クロロ酢酸
(分子量:118、沸点:188℃)、ジクロロ酢酸
(分子量:152、沸点:192℃)、ジブロモ酢酸
(分子量:242、沸点:232℃)、クロロプロピオ
ン酸(分子量:110、沸点:185℃)、ジクロロプ
ロピオン酸(分子量:144、沸点:210℃)、2−
エチル酪酸(分子量:116、沸点:193℃)、吉草
酸(分子量:102、沸点:184℃)、イソ吉草酸
(分子量:102、沸点:176℃)、イソ酪酸(分子
量:88、沸点:155℃)、ヘプタン酸(分子量:1
30、沸点:223℃)、ヘキサン酸(分子量:11
6、沸点:205℃)、オクタン酸(分子量:144、
沸点:239℃)、デカン酸(分子量:172、沸点:
268℃)、ウンデカン酸(分子量:186、沸点:2
84℃)等が挙げられる。また、環式カルボン酸として
は、例えば、シクロプロパンカルボン酸(分子量:8
6、沸点:181℃)、シクロヘキサンカルボン酸(分
子量:128、沸点:233℃)等が挙げられる。
【0032】沸点が150℃以上のリン酸類又はそのエ
ステルとしては、例えば、リン酸、ピロリン酸等や、リ
ン酸モノ又はジエステル等が挙げられる。リン酸モノエ
ステルとしては、例えば、リン酸モノオクチル、リン酸
モノプロピル、リン酸モノラウリル等が挙げられる。リ
ン酸ジエステルとしては、例えば、リン酸ジオクチル、
リン酸ジプロピル、リン酸ジラウリル等が挙げられる。
沸点が150℃以上のスルホン酸としては、例えば、メ
タンスルホン酸、エタンスルホン酸等の脂肪族スルホン
酸や、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸、ナフタリンジスルホン酸、ジノニルナフタリンス
ルホン酸、ジノニルナフタリンジスルホン酸等の芳香族
スルホン酸等が挙げられる。上記クリヤー塗料用の酸性
シリルブロック基解離触媒の使用量は、ベースコートの
樹脂及び硬化剤100重量部に対して、通常、5〜50
ミリモル、好ましくは、10〜40ミリモルの量であ
る。5ミリモルよりも少ないと、クリヤー塗料の硬化を
充分に促進することが難しい。一方、50ミリモルより
も多くなると、耐水性が低下するので好ましくない。本
発明で使用するベースコート塗料は、そのままで、又は
必要に応じて、従来より塗料の分野において使用されて
いる種々の顔料(例えば、着色顔料や、光輝剤)、タレ
止め剤又は沈降防止剤、レベリグ剤、分散剤、消泡剤、
紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、シンナー等を適
宜配合して、調製することができる。
【0033】顔料又は光輝剤としては、例えば、酸化チ
タン、カーボンブラック、沈降性硫酸バリウム、炭酸カ
ルシウム、タルク、カオリン、シリカ、マイカ、アルミ
ニウム、ベンガラ、クロム酸鉛、モリブデン酸鉛、酸化
クロム、アルミン酸コバルト、アゾ顔料、フタロシアニ
ン顔料、アントラキノン顔料等を好ましく使用すること
ができる。タレ止め剤又は沈降性防止剤としては、例え
ば、ベントナイト、ヒマシ油ワックス、アマイドワック
ス、マイクロジェル(例えば、MG100S(大日本インキ
製))等を好ましく使用することができる。レベリング
剤としては、例えば、KF69、Kp321 及びKp301 (以上、
信越化学製)等のシリコン系のものや、モダフロー(三
菱モンサント製)、BYK358、301 (ビックケミージャパ
ン製)及びダイヤエイドAD9001(三菱レイヨン製)等を
好ましく使用することができる。分散剤としては、例え
ば、Anti-Terra U又は Anti-Terra P 及びDisperbyk-10
1 (以上、ビックケミージャパン製)等を好ましく使用
することができる。消泡剤としては、例えば、BYK-O
(ビックケミージャパン製)等を好ましく使用すること
ができる。
【0034】紫外線吸収剤としては、例えば、チヌビン
900 、チヌビン384 、チヌビンP(以上、チバガイギー
製)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や、サンド
バ−3206(サンド製)等のシュウ酸アニリド系紫外線吸
収剤等を好ましく使用することができる。光安定剤とし
ては、例えば、サノールLS292 (三共製)及びサンドバ
ー3058(サンド製)等のヒンダードアミン光安定剤等を
好ましく使用することができる。シンナーとしては、例
えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族
化合物、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール、イソブタノール等のアルコール、アセトン、メ
チルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘ
キサノン、イソホロン、N−メチルピロリドン等のケト
ン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ等のエ
ステル化合物、もしくはこれらの混合物等を使用するこ
とができる。帯電防止剤としては、例えば、エソカード
C25 (ライオンアーマー製)等を好ましく使用すること
ができる。
【0035】本発明で使用されるベースコート塗料は、
従来より公知の種々の塗装方法によって塗装することが
できる。ベースコート塗料の塗装は、乾燥後の膜厚とし
て、一般に、10〜30μm 、好ましくは15〜25μ
m で行われる。本発明で使用されるクリヤー塗料は、硬
化反応に関与する官能基として、シリル基でブロックさ
れた水酸基、カルボキシル基又はリン酸基若しくは加水
分解性シリル基と、エポキシ基とを必須官能基として含
有するオリゴマーを含む。但し、これらの官能基は、同
一のオリゴマー中に存在してもよく、また別個のオリゴ
マー中に存在していてもよい。シリル基でブロックされ
た水酸基、カルボキシル基及びリン酸基は、例えば、以
下の式(4)〜(6)で示されるものが好ましい。
【0036】
【化7】 ここで、Zは、水酸基に結合したシリルブロック化剤に
由来するブロック基である。 ブロック化リン酸基にお
けるnは、1又は2である。なお、nが2で、水酸基が
全てブロック化されていることが、貯蔵安定性の点で好
ましい。このシリルブロック基(Z)としては、以下の
式で示されるシリルブロック基が、好ましいものとして
例示することができる。
【0037】
【化8】 上記式(7)のR1〜R3は、各々独立してアルキル基又は
アリール基である。アルキル基としては、炭素原子数1
〜10個の直鎖又は分岐を有するアルキル基が挙げら
れ、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基
等の炭素原子数1〜8個の低級アルキル基が特に好まし
い。アリール基としては、置換基を有してもよい、フェ
ニル基、ナフチル基、インデニル基等が含まれ、特に、
フェニル基が好ましい。式(7)で示されるシリルブロ
ック基としては、トリメチルシリル基、ジエチルメチル
シリル基、エチルジメチルシリル基、ブチルジメチルシ
リル基、ブチルメチルエチルシリル基、フェニルジメチ
ルシリル基、フェニルジエチルシリル基、ジフェニルメ
チルシリル基、ジフェニルエチルシリル基等が挙げられ
る。特に、R1〜R3の分子量が小さい程、シリルブロック
がはずれやすく、硬化性が向上するので好ましい。この
ようなシリルブロック基を形成するブロック化剤として
は、ハロゲン化シランが好ましいものとして使用するこ
とができる。ハロゲンシランに含まれるハゲン原子とし
ては、塩素原子又は臭素原子等が挙げられる。具体的な
ブロック化剤としては、例えば、トリメチルシリルクロ
ライド、ジエチルメチルシリルクロライド、エチルジメ
チルシリルクロライド、ブチルジメチルシリルブロマイ
ド、ブチルメチルエチルシリルブロマイド等が挙げられ
る。
【0038】加水分解性シリル基は、以下の式(8)で
示されるものが挙げられる。
【0039】
【化9】 (式中、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよい、水
酸基、アルキル基、アルコキシ基、-NR1R2基(但し、R1
及びR2は、アルキル基又はアリール基である)、-NR1CO
R2(但し、R1及びR2は、アルキル基又はアリール基であ
る)、-COR1 基(但し、R1は、アルキル基又はアリール
基である)、-OCOR1基(但し、R1は、アルキル基又はア
リール基である)、アリール基、-ONR1R2 基(但し、R1
及びR2は、アルキル基又はアリール基である)、-ONCR1
R2基(但し、R1及びR2は、アルキル基又はアリール基で
ある)である。また、R3は、アルキル基、-NR1R2基(但
し、R1及びR2は、アルキル基又はアリール基である)、
-COR1 基(但し、R1は、アルキル基又はアリール基であ
る)、アリール基、-NCR1R2 基(但し、R1及びR2は、ア
ルキル基又はアリール基である。) 上記式中、アルキル基としては、直鎖又は分岐を有する
炭素原子数1〜10個のアルキル基が挙げられ、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル
基、ペンチル基等が挙げられる。アルコキシ基として
は、アルキル基部分が上記アルキル基と同様であるもの
が挙げられる。上記アリール基としては、特に、置換又
は非置換のフェニル基が含まれ、置換基としては、ハロ
ゲン原子、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
このような置換基としてのハロゲン原子としては、フッ
素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられ
る。置換基としてのアルキル基としては、直鎖又は分岐
を有する炭素原子数1〜10のアルキル基が含まれ、例
えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル
基、ペンチル基等が挙げられる。また、置換基としての
アルコキシ基としては、それを構成するアルキル基が上
記アルキル基と同様のものが挙げられる。好ましい置換
基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子や、
炭素原子数1〜5の低級アルキル基が挙げられる。
【0040】上記加水分解性シリル基は、加水分解され
ると、以下の式(9)を有するシラノール基を遊離す
る。
【0041】
【化10】 上記式(9)中、R1及びR2は、式(8)のものと同一で
ある。) エポキシ基には、非脂環式エポキシ基及び脂環式エポキ
シ基が含まれる。非脂環式エポキシ基としては、例え
ば、1,2−エポキシ基や、1,3−エポキシ基等のア
ルキル基の炭素原子間に酸素原子によるエポキシ結合が
形成されたのもが挙げられる。脂環式エポキシ基として
は、5又は6員環(有橋炭化水素も含まれる)におい
て、環の隣接する炭素原子間に酸素原子がエポキシ結合
したものが挙げられる。但し、脂環式エポキシ基の場
合、塩基性の硬化触媒による硬化反応性が非脂環式エポ
キシ基の場合よりも劣るので、非脂環式エポキシ基を使
用することが実際上好ましい。これらの官能基を含有す
るオリゴマーの数平均分子量(Mn)は、一般に、600
〜30000、好ましくは、800〜20000であ
る。数平均分子量が600よりも小さい場合には、官能
基をが含有しないオリゴマーが存在するようになるた
め、耐溶剤が低下し易いので好ましくない。一方、数平
均分子量が、30000よりも大きくなると、粘度が高
くなり過ぎ、溶剤の使用量が増加し、厚膜化が困難にな
り易いので好ましくない。
【0042】オリゴマーの各官能基の量(モル/kg樹
脂)は、一般に1〜5モル/kg樹脂、好ましくは2〜4
モル/kg樹脂である。1モル/kg樹脂よりも少ないと、
架橋密度が低下し、耐擦り傷性及び耐ガソリン性が低下
し易い。一方、官能基量が5モル/kg樹脂よりも多くな
ると、架橋密度が密になり過ぎ、耐候性が低下し、割れ
易くなるので、好ましくない。オリゴマー(又は樹脂と
も言う)としては、上記各官能基を同一又は別個の分子
中に含有するものが挙げられる。クリヤー塗料に使用さ
れるオリゴマーとしては、上記官能基を有するオリゴマ
ーであれば、ポリエステルオリゴマーであっても、ビニ
ル重合オリゴマーであっても、特に制限なく使用するこ
とができる。この内、オリゴマーの調製が簡単なビニル
重合オリゴマーを中心に説明する。ビニル重合オリゴマ
ーは、ラジカル重合性不飽和結合基を有するモノマーを
重合又は共重合することによって得られる。例えば、ビ
ニル重合オリゴマーを、アクリル酸又はメタクリル酸モ
ノマーから合成すると、アクリル系オリゴマーが得られ
る。これらのモノマーの重合方法は、公知の慣用手段で
行うことができる。例えば、アニオン重合や、カチオン
重合等のイオン重合、若しくはラジカル重合によって重
合を行うことができる。本発明においては、重合の容易
性の観点から、ラジカル重合によることが好ましい。但
し、低分子量のビニル重合オリゴマーを製造する場合に
は、重合に際しては、メルカプトエタノール、チオグリ
セロール、ラウリルメルカプタン等のメルカプタン類又
は連鎖移動剤を使用する方法や、140〜180℃のよ
うな高温で反応させる方法、若しくは低いモノマー濃度
で反応させる方法等を採用することができる。
【0043】ラジカル重合は、溶液中で行うことが望ま
しい。そのようなラジカル溶液重合に使用される溶剤と
しては、従来よりアクリルモノマー等のビニル重合性の
モノマーの重合に使用される溶剤を制限なく使用するこ
とができる。このような溶剤としては、例えば、トルエ
ン、キシレン、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、ソルベッソ(エクソン製)等が挙
げられる。ラジカル溶液重合に使用されるラジカル反応
開始剤としては、従来よりラジカル重合において使用さ
れる反応開始剤を制限なく使用することができる。この
ような反応開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオ
キサイド、ラウロイルパーオキサイド、t-ブチルハイド
ロパーオキサイド、ジt-ブチルハイドロパーオキサイ
ド、t-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等
の過酸化物や、アゾビスバレロニトリル、アゾビスイソ
ブチロニトリル、アゾビス(2−メチルプロピオニトリ
ル)等のアゾ化合物を挙げることができる。ラジカル重
合性不飽和結合基としては、例えば、ラジカル重合性の
ビニル結合(CHR1=CR2−(R1及びR2は、それぞれ水素原
子、アルキル基又は単結合である。)が好ましく挙げら
れる。ここで、アルキル基としては、直鎖又は分岐を有
するアルキル基が含まれ、例えば、メチル基や、エチル
基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜20のアルキ
ル基が好ましい。
【0044】シリルブロック化水酸基を有するモノマー
としては、ベースコート塗料において使用される式
(1)〜(3)で示される水酸基含有ビニル重合性モノ
マーを上記シリルブロック基でブロック化したものが好
適なものとして使用することができる。シリルブロック
化カルボキシル基を有するビニル重合性モノマーとして
は、例えば、分子中にカルボキシル基を有するモノマー
を上記シリルブロック基でブロック化することによって
得られるものが挙げられる。このようなカルボキシル基
含有ビニル重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)
アクリル酸等が好ましい。分子中に2個のカルボキシル
基を有するビニル重合性モノマーとしては、例えば、イ
タコン酸、マレイン酸、メサコン酸、フマル酸等が挙げ
られる。また、無水マレイン酸や、無水イタコン酸等の
酸無水物に、炭素数1〜18のアルコール類やアミンを
反応させたものでもよい。このようなアルコール類とし
ては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール等のアルコール類を挙げることができ
る。アルコール類の炭素数が18個を越えると、塗膜の
可塑性が高くなり過ぎるので、好ましくない。
【0045】また、このようなアミンとしては、ジブチ
ルアミン、ジヘキシルアミン、メチルブチルアミン、エ
チルブチルアミン、n-ブチルアミン等の脂肪族アミン
や、アニリン、トルイジン等の芳香族アミンを挙げるこ
とができる。更に、カルボキシル基を有するビニル重合
性モノマーとしては、ラジカル重合性不飽和結合基を有
するヒドロキシ酸も含まれる。このようなヒドロキシ酸
としては、水酸基とラジカル重合性不飽和結合基とを有
するモノマーに、酸無水物を反応させることによって製
造することができる。例えば、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)
アクリレートに、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸
や、無水コハク酸、無水トリメリト酸、無水フタル酸等
を反応させて製造することができる。シリルブロック化
リン酸基を有するビニル重合性モノマーとしては、上記
式(6)で示されるブロック化リン酸基と、上記ラジカ
ル重合性不飽和結合基とを有するビニル重合性モノマー
が好適に使用される。このようなブロック化リン酸基
と、ラジカル重合性不飽和結合基とを有するビニル重合
性モノマーとしては、以下の式(10)で示されるビニ
ル重合性モノマーが好ましい例として挙げることができ
る。
【0046】
【化11】 式中、Xは、上記式(6)で示されるシリルブロック化
リン酸基であり、Y、R1及びR2は上記の通りである。こ
のようなアクリル系モノマーの好ましい例として、例え
ば、以下の式(11)で表されるモノマーを挙げること
ができる。
【0047】
【化12】 なお、リン酸基含有ビニル重合性モノマーとしては、必
要に応じて、ブロック化された一方のリン酸基が、例え
ば、プロピル基等のアルキル基の部分エステル化等によ
り、エステル化されているものを使用してもよい。加水
分解性シリル基を含有するビニル重合性モノマーとして
は、例えば、上記式(10)において、Xが加水分解性
シリル基であるアクリルモノマーを好適に使用すること
ができる。このようなアクリルモノマーとしては、例え
ば、γ−(メタ)アクリロイロキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−(メタ)アクリロイロキシプロピルトリ
エトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイロキシプロピ
ルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイロキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アク
リロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
(メタ)アクリロイロキシプロピルメチルジプロポキシ
シラン、γ−(メタ)アクリロイロキシブチルフェニル
ジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイロキシフェ
ニルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイロキシ
フェニルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイ
ロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)
アクリロイロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ
−(メタ)アクリロイロキシプロピルフェニルメチルメ
トキシシラン、γ−(メタ)アクリロイロキシプロピル
フェニルメチルエトキシシラン等が挙げられる。
【0048】エポキシ基とラジカル重合性不飽和結合基
とを有する具体的なモノマーとしては、例えば、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘ
キシル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマ
ーが挙げられる。クリヤー塗料に使用されるビニル重合
オリゴマーの調製に当たっては、上記官能基を有するビ
ニル重合性モノマーとともに、得られるオリゴマーの特
性を任意に修正又は改良するために、他の官能基を有す
るビニル重合性モノマーを併用することができる。この
ような他のビニル重合性モノマーとしては、例えば、以
下のビニル重合性モノマーを挙げることができる。 (1)アクリル酸又はメタクリル酸エステル:例えば、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロ
ピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸ヘキシル、アクリル酸2−ヘキシル、アクリル
酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリ
ル酸ヘキシル、メタクリル酸2−ヘキシル、メタクリル
酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等のアクリル酸又は
メタクリル酸の炭素数1〜18個のアルキル基エステ
ル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシ
ブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メト
キシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸
エトキシブチル等のアクリル酸又はメタクリル酸エステ
ルの炭素数2〜18個のアルコキシアルキルエステル;
アリルアクリレート、アリルメタアクリレート等のアク
リル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8個のアルケニル
エステル;アリルオキシエチルアクリレート、アリルオ
キシエチルメタアクリレート等のアクリル酸又はメタク
リル酸の炭素数3〜18個のアルケニルオキシアルキル
エステル。 (2)ビニル系化合物:例えば、スチレン、α−メチル
スチレン、酢酸ビニル、ヘキサフルオロプロピレン、テ
トラフルオロプロピレン、ビニルトルエン、p-クロルス
チレン。 (3)ポリオレフィン系化合物:例えば、ブタジエン、
イソプレン、クロロプレン。 (4)アリルエーテル類:ヒドロキシエチルアリルエー
テル等。 (5)その他:例えば、メタアクリルアミド、アクリル
アミド、ジアクリルアミド、ジメタクリルアミド、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、メチルイソプロペ
ニルケトイン、酢酸ビニル、ビニルプロピオネート、ビ
ニルピバレート、N,N-ジアルキルアミノアルキル(メ
タ)アクリレート、フォスフォノオキシエチル(メタ)
アクリレート等の燐酸基含有(メタ)アクリレート、ト
リフルオロメチルビニルエーテル等のパーフルオロビニ
ルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロ
キシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル。
【0049】クリヤー塗料には、ベースコート塗料に配
合された上記シリルブロック基解離触媒によってブロッ
ク基が脱離されて遊離した官能基と、エポキシ基との硬
化反応を促進するために、塩基性硬化触媒を配合する。
このような塩基性硬化触媒としては、例えば、以下のも
のが好ましく使用される。 (1)有機ホスフィン類 R1R2R3Pで示される有機ホスフィン類が挙げられる。式
中、R1〜R3は、各々アルキル基又はアリール基である。
アルキル基としては、直鎖又は分岐を有する、炭素数が
1〜18個のアルキル基が挙げられる。このようなアル
キル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル
基、n-ヘキシル基等が挙げられる。また、アリール基と
しては、例えば、フェニレン基、ナフタレン基、アント
ラセン基等が挙げられる。具体的な有機ホスフィン類と
しては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホ
スフィン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。 (2)四級アンモニウム化合物 四級アンモニウム化合物は、四級アンモニウムと、例え
ばハロゲンやアセテート等の対イオンとから形成される
塩である。対イオンを構成するハロゲン原子としては、
例えば、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0050】四級アンモニウムを構成するものとして
は、R1R2R3R4Nで示される。ここで、R1〜R4は、各々独
立にアルキル基又はアリール基であり、置換基を有して
もよい。アルキル基及びアリール基の範囲は、上記有機
ホスホニウム化合物において述べたものと同様である。
ただし、アルキル基の炭素数は、4以上であることが好
ましい。炭素数が4未満では、溶剤に溶解し易くなるの
で好ましくない。具体的な四級アンモニウムとしては、
例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアン
モニウム、トリメチル(2−ヒドロキシプロピル)アン
モニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、テ
トラキス(ヒドロキシメチル)アンモニウム、o−トリ
フルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウム、トリ
ラウリルメチルアンモニウムアセテート等が挙げられ
る。 (3)イミダゾール類 例えば、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、2,
4−ジメチルイミダゾール等が挙げられる。 (4)ホスホニウム化合物 ホスホニウム化合物としては、テトラアルキルホスホニ
ウムハライド又はアセテートが好ましいものとして挙げ
られる。テトラアルキルホスホニウムとしては、例え
ば、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニ
ウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラブチルホス
ホニウム等が挙げられる。ただし、アルキル基の炭素数
は、4以上であることが好ましい。炭素数が4未満で
は、溶剤に溶解し易くなるので好ましくない。ハライド
を構成するハロゲン原子としてとしては、塩素、臭素、
ヨウ素等が挙げられる。また、ホスホニウム化合物を構
成する陰イオンとしては、上記以外に、例えば、Cl
O4 - 、SbF6 - 、PF6 - 等を挙げることができる。 (5)金属アルコラート 以下の式(12)〜(14)で示される有機アルミネー
ト、有機チタネート及び有機ジルコネートが好ましいも
のとして例示することができる。
【0051】
【化13】 上記式中、R1、R2及びR3は、同一でも異なってもよい、
直鎖又は分岐を有する炭素数1〜18のアルキル基又は
アルケニル基である。このようなアルキル基としては、
例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘ
プチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシ
ル基、ドデシル基、トリデシル基、オクタデシル基等が
挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル
基、アリル基等が挙げられる。上記式で示される有機ア
ルミネートとしては、例えば、アルミニウムトリメトキ
シド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ
2−プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシ
ド、アルミニウムトリブトキシド等を挙げることができ
る。
【0052】
【化14】 上記式におけるR1、R2、R3、R4及びR5は、上記式(1
2)におけるR1、R2及びR3と同様である。また、nは、
0〜20の整数を示す。上記式(13)でnが0で示さ
れる具体的な化合物としては、例えば、テトラメチルチ
タネート、テトラエチルチタネート、テトラn-プロピル
チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトライ
ソブチルチタネート、テトラn-ブチルチタネート、テト
ラt-ブチルチタネート、テトラn-ペンチルチタネート、
テトラn-ラウリルチタネート等が挙げられる。特に、テ
トライソプロピルチタネート、テトライソブチルチタネ
ート及びテトラn-ブチルチタネートが好ましい。また、
上記式(13)のnが1以上である具体的な化合物とし
ては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラ
イソブチルチタネート及びテトラn-ブチルチタネートの
2量体〜11量体のモノマーを使用することができる。
【0053】
【化15】 上記式におけるR1、R2、R3、R4及びR5並びにnは、上記
式(13)におけるものと同様である。上記式でnが0
で示される具体的な化合物としては、例えば、テトラメ
チルジルコネート、テトラエチルジルコネート、テトラ
n-プロピルジルコネート、テトライソプロピルジルコネ
ート、テトライソブチルジルコネート、テトラn-ブチル
ジルコネート、テトラt-ブチルジルコネート、テトラn-
ペンチルジルコネート、テトラn-ラウリルジルコネート
等が挙げられる。特に、テトライソプロピルジルコネー
ト、テトライソブチルジルコネート及びテトラn-ブチル
ジルコネート等が好ましい。また、上記式(14)のn
が1以上である具体的な化合物としては、例えば、テト
ライソプロピルジルコネート、テトライソブチルジルコ
ネート及びテトラn-ブチルジルコネートの2量体〜11
量体のモノマーを使用することができる。 (6)熱潜在性塩基性硬化触媒 熱潜在性塩基性硬化触媒は、60℃までは触媒の作用を
生じず、60℃以上になると、硬化触媒としての作用を
発揮する触媒である。従って、このような硬化触媒を低
溶剤型塗料組成物に配合して長期保存しても、樹脂がゲ
ル化したり、増粘することがないので、特に、一液型の
塗料として使用する場合には取扱いが容易である。
【0054】このような熱潜在性塩基性硬化触媒として
は、 (R1n ──M で表される触媒が好ましいものとして例示することがで
きる。式中、R1は、炭素数1〜20のアルキル基、アリ
ール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、又は活性メチ
レン基に隣接したカルボニル基である。アルキル基とし
ては、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基が含まれ、例
えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、
s-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘプチル基、s-ヘプチル基
等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ア
フチル基、アントラセン基等が挙げられる。アルコキシ
基としては、上記アルキル基を有するアルコキシ基が挙
げられる。アシルオキシ基としては、例えば、アセチル
オキシ基、プロパノイロキシ基、ブタノイロキシ基等が
挙げられる。また、活性メチレン基に隣接したカルボニ
ル基としては、例えば、メチルカルボニルメチル基や、
フェニルカルボニルメチル基等が挙げられる。Mは、M
g、Al、Ca、Sn、Pb又は周期表における第4周
期から第6周期の内、3A族から7A族、8族、1B及
び2B族に属する遷移金属原子である。nは、1〜6の
整数である。
【0055】この内、好ましいMは、Ca、Sn、P
b、Zn及びCoである。上記熱潜在性塩基性硬化触媒
の具体例としては、例えば、アルミニウムアセチルアセ
トネート、鉄アセチルアセトネート、ジルコニウムアセ
チルアセトネート、ジブチルスズアセチルアセトネー
ト、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズエステ
ルマレート、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸カル
シウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン
酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン
酸ジルコニウム、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウ
ム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸コ
バルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オ
クチル酸スズ、オクチル酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ステア
リン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸コバルト、ステアリ
ン酸亜鉛、ステアリン酸鉛等が挙げられる。好ましい熱
潜在性塩基性硬化触媒としては、例えば、ジブチルスズ
アセチルアセトネート、ジブチルスズジラウレート、ジ
オクチルスズエステルマレート、ナフテン酸カルシウ
ム、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸
鉛、オクチル酸カルシウム、オクチルコバルト、オクチ
ル酸亜鉛、オクチル酸スズ、ラウリン酸亜鉛、ステアリ
ン酸カルシウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸
亜鉛、ステアリン酸鉛等が挙げられる。
【0056】これらの塩基性の硬化触媒としては、四級
アンモニウム塩及びホスホニウム塩が特に好ましい。四
級アンモニウムとしては、特に、トリラウリルメチルア
ンモニウムアセテート、テトラn-オクチルアンモニウム
ブロマイド、テトラn-ヘキシルアンモニウムブロマイド
等が好ましい。一方、ホスホニウム塩としては、テトラ
ブチルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホ
スホニウムブロマイド等が好ましい。なお、これらの塩
基性硬化触媒は、適宜、組合せて使用することもでき
る。塩基性硬化触媒は、触媒量で使用され、一般には、
樹脂固形分の100重量部に対して、0.01〜30重
量部、好ましくは0.1〜10重量部の量で使用され
る。硬化触媒の量が少な過ぎると、塗膜と硬化性が低下
することにより、一方、多過ぎると、耐水性の低下や、
塗膜が熱黄変することになり、塗膜の特性を劣化させる
ので好ましくない。クリヤー塗料には、更に、従来よ
り、塗料の分野において使用されてきている種々の顔料
や、タレ止め剤、沈降防止剤、レベリング剤、分散剤、
消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、シンナ
ー等を適宜配合することができる。これらの添加剤等に
ついは、ベースコート塗料の塗料で説明したものと同様
である。
【0057】クリヤー塗料の塗装方法についても、ベー
スコート塗料にウェットオンウェットで塗装するという
ことを除いては、ベースコート塗料の塗装方法をそのま
ま使用することができる。ベースコート塗料上にウェッ
トオンウェットで塗装されるクリヤー塗料の乾燥後の膜
厚は、通常、15〜100μm 、好ましくは25〜60
μm である。
【0058】
【実施例】以下、本発明について、実施例、応用実施例
等により、更に詳細に説明する。 1.ベースコート塗料用のビニル重合オリゴマーの合成 参考例1 攪拌器、不活性ガス導入口、温度計及び冷却器を備えた
4つ口フラスコに、以下の表1の原料配合の項目に示さ
れるように、所定量のキシレンを仕込んで、140℃の
反応温度まで昇温し、同表1の原料配合の項目に示す割
合で、原料モノマーからなるモノマー混合物と、重合触
媒とを滴下した。更に、その反応温度を4時間維持した
後、合成を中止し、所定の固形分からなるビニル重合オ
リゴマーを調製した。同表1には、得られたビニル重合
オリゴマーの水酸基及び数平均分子量を併記した。
【0059】
【表1】 表1 (ベースコート塗料用オリゴマー)オリゴマーの名称 BA1 BA2 BA3 BA4 BA5 BA6 BA7 オリゴマーの特性 水酸基量 3.0 2.0 1.0 0.8 2.8 0.8 1.0 (モル/kg樹脂) 数平均分子量 1300 2600 4000 6000 8000 15000 20000 固形分% 90 50 50 50 50 40 30 原料配合 キシレン 675 250 250 250 250 250 250 メチルメタアクリ 42 40 40 70 70 40 レート スチレン 40 37 40 30 30 40 2−ヒドロキシエチ 98 33 ルメタアクリレート プラクセルFM-2 90 90 250 90 プラクセルFM-4 117 117 ブチルアクリレート 70 50 80 33 33 80 アクリル酸 2 2 2 2 2 2 2 アゾビスイソブチロ 31 30 20 15 12 5 3 ニトリル ジt−ブチルパー 5 5 5 5 6 20 25 オキサイド 3.ベースコート塗料の調製 以下の表2に示される配合組成に基づいて、ベースコー
ト塗料を調製した。
【0060】なお、ここで使用する商品名等で示される
化合物は、以下の通りである。 ・FR-606 Cは、旭化成製アルミペーストを意味する。 ・サイメル 370は、三井サイアナミッド製メチロール化
モノメリックメラミンを意味する。 ・サイメル 325は、三井サイアナミッド製イミノ化モノ
メリックメラミンを意味する。 ・サイメル 303は、三井サイアナミッド製完全アルコキ
シ化メラミンを意味する。 ・ユーバン122は、三井東圧製メラミンを意味する。 ・MG 100S は、大日本インキ製マイクロジェルを意味す
る。 ・CAB381-2 は、イーストマンコダック製のセルロース
アセテートブチレートである。 ・スーパーベッカミンL116-70 は、大日本インキ化学工
業製のメラミン樹脂である。
【0061】
【表2】 表2ベースコート塗料 bc1 bc2 bc3 bc4 bc5 bc6 bc7 bc8 bc9 配合 BA1 44 BA2 80 BA3 80 80 80 BA4 80 BA5 80 BA6 100 BA7 133 FR-606C 10 10 10 10 10 10 10 トルエン 10 10 10 10 10 10 10 CAB381-2 5 5 5 5 5 5 5 酢酸ブチル 10 10 10 10 10 10 10 MG100S 5 5 ユーバン122 29 29 29 29 29 サイメル327 17 17 スーパーベッカミン 14 14 L116-70 サンドバー3206 1 1 1 1 1 1 1 1 1 サンドバー3058(×10) 5 5 5 5 5 5 5 5 5 KP321(×102) 5 5 5 5 5 5 5 5 5 ヘプタン酸(bp. 223℃) 5 5 5 4 4 4 リン酸モノオクチル 3 (bp. 150℃以上) リン酸ジブチル 5 (bp. 150℃以上) オクタン酸(bp. 239℃) 3
【0062】
【表3】 表2( 続き)ベースコート塗料 bc10 bc11 bc12 bc13 bc14 配合 BA3 80 80 80 80 80 CAB381-2 5 5 5 5 5 酢酸ブチル 10 10 10 10 10 ユーバン122 17 17 17 パーノック901S 10 スーパーベッカミン 14 L116-70 サンドバー3206 1 1 1 1 1 サンドバー3058(×10) 5 5 5 5 5 KP321(×102) 5 5 5 5 5 ヘプタン酸(bp. 223℃) 4 4 4 リン酸モノオクチル 5 (bp. 150℃以上) リン酸ジブチル 3 (bp. 150℃以上) 4.比較ベースコート塗料の調製 上記と同様にして、以下の表3に示す配合に従って、比
較ベースコート塗料を調製した。
【0063】
【表4】 表3 (比較ベースコート塗料) Hc1 Hc2 Hc3 Hc4 Hd1 Hd2 原料配合 BA1 44 44 44 BA3 80 80 80 FR-606C 10 10 10 10 10 10 トルエン 10 10 10 10 10 10 MG100S 5 5 5 CAB381-2 5 5 5 酢酸ブチル 10 10 10 ユーバン122 29 29 29 サイメル325 17 17 17 サンドバー3206 1 1 1 1 1 1 サンドバー3058 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 KP321 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 プロピオン酸* 3 5 アクリル酸* 5 3 注)プロピオン酸の沸点は141℃、そして、アクリル酸の沸点は141℃であ り、いずれも150℃未満である。5.クリヤー塗料用のオリゴマーの調製 上記参考例1と同様にして、表4に示される原料配合に
基づいて、同表4に示すオリゴマー特性を有するクリヤ
ー塗料用のビニル重合オリゴマーを調製した。
【0064】
【表5】 表4 (クリヤー塗料用のオリゴマー)オリゴマーの名称 K1 K2 L1 L2 N1 N2 オリゴマーの特性 官能基(モル/kg樹脂) Si基* 2.0 1.0 2.5 1.5 Ep基* 1.5 1.0 4.0 3.0 数平均分子量 1000 3200 1300 4000 1200 5000 原料配合 キシレン 675 250 675 250 675 250 γ−メタクリロイロ 124 62 155 93 キシプロピルトリメ トキシシラン グリシジルメ 53 35 142 107 タクリレート スチレン 35 75 64 95 25 45 ブチルアクリレート 20 31 45 60 2−エチルヘキシルメ 38 58 31 31 38 38 タクリレート t-ブチルパーオキシ 38 20 20.5 12.5 21.2 10.2 -2- エチルヘキサ ノエート ジt-ブチルパーオキ 2 1.5 1.2 − 2 1.2 サイド 固形分 % 90 50 90 50 90 50 注)Si基は、加水分解性シリル基を示す。
【0065】Ep基は、エポキシ基を示す。
【0066】
【表6】 表4(続き) (クリヤー塗料用オリゴマー)オリゴマーの名称 P1 P2 Q1 Q2 R1 R2 オリゴマーの特性 官能基(モル/kg樹脂) Si基 2.0 1.0 Ep基 2.0 1.0 BCa基* 3.0 2.0 2.0 1.0 2.0 1.0 数平均分子量 1100 3500 1500 4500 2000 3000 原料配合 キシレン 675 250 675 250 675 250 γ−メタクリロイロ 124 62 キシプロピルトリメ トキシシラン グリシジルメ 71 36 タクリレート スチレン 50 70 30 71 20 50 ブチルアクリレート 50 66 30 60 20 50 2−エチルヘキシルメ 43 43 47 47 14 52 タクリレート モノマーA* 107 71 72 36 72 36 t-ブチルパーオキシ 35 18.2 25 10.2 11 18 -2- エチルヘキサ ノエート ジt-ブチルパーオキ 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5 1 サイド 固形分 % 90 50 90 50 90 50 注)BCa基は、ブロック化カルボキシル基を示す。
【0067】モノマーAは、トリメチルシリルアクリレ
ートである。
【0068】
【表7】 表4(続き) (クリヤー塗料用オリゴマー)オリゴマーの名称 S1 S2 T1 T2 オリゴマーの特性 官能基(モル/kg樹脂) Si基 1.0 1.0 Ep基 1.5 1.0 BCa基 1.5 1.0 BPh基* 3.0 2.0 数平均分子量 1000 4000 1200 3000 原料配合 キシレン 675 250 675 250 γ−メタクリロイロ 62 62 キシプロピルトリメ トキシシラン グリシジルメタ 53 35 クリレート 無水イタコン酸 トリメチルシロキシエ チルメタクリレート スチレン 41 67 10 43 ブチルアクリレート 30 2−エチルヘキシルメ 40 50 20 30 アクリレート モノマーA 54 36 モノマーB* 220 147 t-ブチルパーオキシ 40 15 32 18 -2- エチルヘキサ ノエート ジt-ブチルパーオキ 1.5 1.5 2 1 サイド 固形分 % 90 50 90 50 注)BPh基は、ブロック化リン酸基を示す。
【0069】モノマーBは、以下の構造式で示されるブ
ロック化リン酸基含有ビニル重合性モノマーである。
【0070】
【化16】
【0071】
【表8】 表4(続き) 6.テストピースの作成 電着板上に、OTO850(日本ペイント製中塗塗料)
を塗装ガン(ワイダー77)を用いて塗装し、140℃
で20分焼付けを行った。次いで、ベースコート塗料原
料を、メチルイソブチルケトン/トルエン/キシレン
(30/30/40)によりフォードカップ13秒(2
5℃)となるように調整した後、ベースコート塗料を乾
燥膜厚で20μm となるように塗装した。次いで、その
ベースコート塗料の上に、ウェットオンウェットで、キ
シレンによりフォードカップ25秒(25℃)となるよ
うに調整した以下の表5に示す配合組成を有するクリヤ
ー塗料を、乾燥膜厚で30μm となるように塗装した
後、140℃で20分焼付けを行った。7.塗膜特性の測定 (1)耐水性:テストピースを60℃の温水に10日間
浸漬し、クロスカットテープ剥離テスト(付着テスト)
を行った。評価段階として、塗膜剥離のないものを◎と
し、剥離が5%未満の面積で生じたものを○とし、剥離
面積が5%以上のものを×とした。 (2)付着性:テストピースにナイフでクロスカットを
入れ、そこにセロテープを張りつけて剥がすことによ
り、付着性試験を行った。この試験において、付着性を
示したものを○とし、そうでないものを×とした。 (3)耐候性:促進耐候性試験機に3000時間かけた
後、塗膜の光沢保持率を測定した。ここで、光沢保持率
が、85%以上のものを◎とし、70%以上85%未満
のものを○とし、70%未満のものを×とした。 (4)耐酸性:5%硫酸水溶液0.2mlを塗膜上に滴下
し、40℃で30分間、乾燥した後、塗膜の状態を目視
により観察した。この試験において、痕跡ありの場合を
×とし、痕跡がない場合を○とした。 (5)耐ガソリン性:テストピースを45°に傾け、そ
こにガソリン(日石シルバー)を1ml流し、放置した乾
燥させた。これを1サイクルとして、10サイクル繰り
返した後の塗膜の状態を目視により観察した。変化のな
いものを◎とし、若干の膨潤、変色、クラックの発生し
たものを○とし、著しい膨潤、変色、クラックの発生し
たものを×とした。 (6)貯蔵安定性:キシレンでフォードカップ25秒
(25℃)に調整したクリヤー塗料をガラスびんに密封
し、25℃及び40℃における恒温槽に20日間放置し
た。20日後に再度フォードカップで粘度を測定し、2
5℃でフォードカップが、35秒以下のものを◎とし、
35秒超45秒以下のものを○とし、45秒超のものを
×とした。
【0072】これらの結果を同表5に併記した。
【0073】
【表9】 表5(ウェットオンウェット塗装) クリヤー塗料 a1 a2 a3 a4 b1 b2 官能基の組合せ Ep基 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 加水分解性シリル基 ○ ○ ○ ○ BCa基 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 原料配合 N1 30 N2 40 Q1 70 Q2 70 L1 20 L2 20 K1 60 K2 60 P1 30 40 P2 30 60 サンドバー3206 1 1 1 1 1 1 サンドバー3058 5 5 5 5 5 5 (X10) KP321(X102) 5 5 5 5 5 5 トリラウリル メチルアンモ 3 2 3 2 2 2 ニウムアセテ ート ベースコート塗料 bc1 bc3 bc2 bc4 bc7 bc8 性能試験結果 耐水性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 耐ガソリン性 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 付着性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 耐候性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 耐酸性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 貯蔵安定性 25℃ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 40℃ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○
【0074】
【表10】 表5(続き)クリヤー塗料 b3 b4 c1 c2 c3 c4 官能基の組合せ Ep基 ○ ○ ○ ○ ○ ○ BCa基 ○ ○ BPh基 ○ ○ ○ ○ 原料配合 Q1 90 Q2 90 N1 30 N2 40 T1 40 T2 60 U1 90 U2 90 サンドバー3206 1 1 1 1 1 1 サンドバー3058 5 5 5 5 5 5 (X10) KP321(X102) 5 5 5 5 5 5 トリラウリル 3 2 3 2 3 2 メチルアンモ ニウムアセテ ート ベースコート塗料 bc2 bc9 bc10 bc11 bc2 bc13 性能試験結果 耐水性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 耐ガソリン性 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 付着性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 耐候性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 耐酸性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 貯蔵安定性 25℃ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 40℃ ○ ○ ○ ○ ○ ○
【0075】
【表11】 表4(続き) 比較例クリヤー塗料 n1 n2 n3 n4 n5 n6 n7 官能基の組合せ Si基 ○ ○ ○ Ep基 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ BCa基 ○ ○ ○ ○ ○ 原料配合 N1 30 N2 40 Q1 70 70 Q2 70 70 L1 20 20 L2 20 20 K1 60 K2 60 P1 30 40 P2 30 60 サンドバー3206 1 1 1 1 1 1 1 サンドバー3058 5 5 5 5 5 5 5 (xl0) KP321 (x102) 5 5 5 5 5 5 5 トリラウリルメチル 3 2 3 3 2 3 2 アンモニウムアセ テート リン酸基モノオクチル 2 ベースコート塗料 Hc1 Hc4 Hc2 Hd1 Hd2 Hc1 Hc4 性能試験結果 耐水性 × × × × ○ × × 耐ガソリン性 × × × × ◎ × × 付着性 ○ ○ ○ × ○ ○ ○ 耐候性 × × × × ○ × × 耐酸性 × ○ ○ × ○ × ○ 貯蔵安定性 25℃ ◎ ◎ ◎ ◎ × ◎ ◎ 40℃ ◎ ◎ ◎ ◎ × ◎ ◎
【0076】
【表12】 表5(続き)クリヤー塗料 n8 n9 n10 n11 n12 n13 官能基の組合せ Ep基 ○ ○ ○ ○ ○ ○ BCa基 ○ ○ BPh基 ○ ○ ○ ○ 原料配合 Q1 90 Q2 90 N1 30 N2 40 T1 40 T2 60 U1 90 U2 90 サンドバー3206 1 1 1 1 1 1 サンドバー3058 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 (xl0) KP321 (x102) 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 テトラブチル 3 3 3 2 3 2 ホスホニウム ブロマイド リン酸基モノオチクル 3 ベースコート塗料 Hc2 Hc3 Hc1 Hc4 Hd1 Hd2 性能試験結果 耐水性 × × × × ○ × 耐ガソリン性 × × × × ◎ × 付着性 ○ ○ ○ ○ ○ × 耐候性 × × × × ○ × 耐酸性 ○ × × ○ ○ × 貯蔵安定性 25℃ ◎ × ◎ ◎ × ◎ 40℃ ◎ × ◎ ◎ × ◎
【0077】
【発明の効果】上記の結果から分かるように、ベースコ
ート塗料上に塗布するクリヤー塗料用のシリルブロック
基解離触媒として、760mmHgにおける沸点150℃以
上である硬化触媒をベースコート塗料に配合することに
より、クリヤー塗料自体の貯蔵安定性が優れるととも
に、ベースコート塗料の上にウェットオンウェットでク
リヤー塗料を塗装、焼付することによって形成した塗膜
も優れたものとなる。これに対して、比較例から分かる
ように、ベースコート塗料に配合するクリヤー塗料用の
シリルブロック基解離触媒の沸点が150℃未満であっ
たり、又はクリヤー塗料にシリルブロック基解離触媒を
配合するが、ベースコート塗料には配合しない場合や、
もしくはベースコート塗料及びクリヤー塗料の何れにも
シリルブロック基解離触媒を配合しない場合には、貯蔵
安定性が低下するか、たとえ、貯蔵安定性が低下しない
場合でも、耐ガソリン性や、耐水性、耐酸性等の塗膜特
性が大幅に低下する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 寛 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基含有オリゴマーとアミノプラスト
    樹脂とを含有するベースコート塗料の上に、硬化反応に
    関与する官能基としてシリル基でブロックされた水酸
    基、カルボキシル基又はリン酸基若しくは加水分解性シ
    リル基と、エポキシ基とを含み、かつ塩基性硬化触媒を
    含有する硬化反応系のクリヤー塗料をウェットオンウェ
    ットで塗装し、次いで焼付ける塗料の塗装方法におい
    て、前記クリヤー塗料に使用されるシリルブロック基解
    離触媒を前記ベースコート塗料に配合した後、ウェット
    オンウェット塗装し、かつ前記シリルブロック基解離触
    媒が760mmHgにおいて150℃以上の沸点を有するこ
    とを特徴とする塗装方法。
  2. 【請求項2】 水酸基含有オリゴマーとアミノプラスト
    樹脂とを含有するベースコート塗料に、硬化反応に関与
    する官能基としてシリル基でブロックされた水酸基、カ
    ルボキシル基又はリン酸基若しくは加水分解性シリル基
    とエポキシ基とを含み、かつ塩基性硬化触媒を含有する
    硬化反応系のクリヤー塗料をウェットオンウェットで塗
    装しかつ焼付けするのに使用される前記ベースコート塗
    料であって、前記クリヤー塗料用に配合されるシリルブ
    ロック基解離触媒を含有し、かつ前記シリルブロック基
    解離触媒が、760mmHgにおいて150℃以上の沸点を
    有することを特徴とするベースコート塗料。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999003595A2 (de) * 1997-07-18 1999-01-28 Basf Coatings Ag Verfahren zur herstellung mehrschichtiger überzüge
JP2016079343A (ja) * 2014-10-21 2016-05-16 楠本化成株式会社 低温で熱硬化する塗料組成物、複層塗膜形成方法および複層塗膜

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WO1999003595A3 (de) * 1997-07-18 1999-04-22 Basf Coatings Ag Verfahren zur herstellung mehrschichtiger überzüge
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