JPH08264143A - イオン源 - Google Patents

イオン源

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JPH08264143A
JPH08264143A JP6435295A JP6435295A JPH08264143A JP H08264143 A JPH08264143 A JP H08264143A JP 6435295 A JP6435295 A JP 6435295A JP 6435295 A JP6435295 A JP 6435295A JP H08264143 A JPH08264143 A JP H08264143A
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Kazuhiro Senoo
和洋 妹尾
Masayasu Tanjiyou
正安 丹上
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Nissin Electric Co Ltd
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  • Electron Sources, Ion Sources (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 フィラメント2と反射電極5とが、磁界の方
向に対向して設けられ、フィラメント2を絶縁保持する
フィラメントフィードスルー3の汚れ防止のためにフィ
ラメントシールド9が設けられたバーナス型イオン源で
あって、プラズマ生成チャンバ1中においてスパッタ率
が高いフィラメントシールド9を所望のイオン種を含む
材料にて構成する。また、フィラメント2をイオン引出
面の方向に曲げる。 【効果】 イオン引出口8の近傍のプラズマ密度を局所
的に高くすることができると共に、効率良くプラズマ中
の所望イオン成分比を増加させることができ、アーク放
電電圧を高めることなく、所望のイオンのビーム電流を
増大させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオン注入装置等のイ
オンビーム装置に供され、プラズマ生成チャンバ内に導
入されたイオン種ガスをプラズマ化してイオンを生成
し、該生成プラズマ中からイオンを引き出してイオンビ
ームを形成するイオン源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、元素をプラズマ化し、プラズマ中
のイオンをイオンビームとして引き出すイオン源は、イ
オン注入をはじめとして、イオンプレーティング、結晶
成長、或いはイオン加工等、様々な分野に利用されてい
る。上記イオン源には、プラズマ生成チャンバの内部に
該チャンバと電気的な絶縁を図ってカソードフィラメン
トを設け、該フィラメントに電流を流して該フィラメン
トを加熱すると共に、フィラメントとプラズマ生成チャ
ンバとの間にアーク放電に必要な電圧を印加して、フィ
ラメントからの熱電子の放出によるアーク放電を生じさ
せ、該アーク放電によってプラズマ生成チャンバ内に導
入されたイオン種ガスをプラズマ化してイオンを生成す
る、フリーマン型イオン源に代表される低電圧アーク放
電型のイオン源がある。
【0003】上記低電圧アーク放電型イオン源の中でも
バーナス型イオン源は、フリーマン型よりもアーク電圧
を下げてプラズマを生成できるのでフイラメントの長寿
命化を図ることができると共に、電子の閉じ込め効率が
よいのでプラズマ中の多価イオン量が多くなり、多価イ
オンビームが多く取れるという特徴を持っている。この
バーナス型イオン源の一般的な構成を、図11及び図1
2を参照して以下に説明する。
【0004】モリブデン等の高融点金属からるプラズマ
生成チャンバ51の内部には、略U字状に曲げられたフ
ィラメント52が設けられている。このフィラメント5
2は、その両端部がフィラメントフィードスルー53・
53と呼ばれる絶縁支持部材を介してプラズマ生成チャ
ンバ51の一壁面に支持されている。また、プラズマ生
成チャンバ51の内部における上記フィラメント52と
対向する位置には、絶縁支持部材54を介してプラズマ
生成チャンバ51の一壁面に支持された反射電極55が
設置されている。また、プラズマ生成チャンバ51の外
部には、上記フィラメント52と反射電極55とを結ぶ
方向に磁界Bを形成する図示しないソレノイドコイルを
有するソースマグネットが設けられている。
【0005】上記構成において、フィラメント電源56
を投入してフィラメント52に電流を流して該フィラメ
ント52を加熱すると共に、アーク電源57を投入して
フィラメント52とプラズマ生成チャンバ51との間に
アーク放電に必要な電圧を印加すれば、フィラメント5
2からの熱電子の放出によるアーク放電が生じる。この
ときフィラメント52から放出された熱電子は、導入ガ
ス粒子に衝突して粒子を電離(プラズマ化)させながら
磁界Bの方向に沿ってプラズマ生成チャンバ51内をド
リフトし、反射電極55に到達する手前で該反射電極5
5にて追い返される。即ち、上記の熱電子は、フィラメ
ント52と反射電極55との間で閉じ込められた状態と
なり、その飛程距離が長くなり、これによってプラズマ
生成効率が高まる。
【0006】ところで、上記フィラメント52及び反射
電極55は絶縁部材(フィラメントフィードスルー53
又は絶縁支持部材54)によってプラズマ生成チャンバ
51と電気的に絶縁されているが、絶縁部材の表面が汚
染されて絶縁不良を起こすと、所望のアーク電圧や熱電
子を追い返すための電位が確保できなくなる。尚、絶縁
部材の汚染は、主に、金属製のプラズマ生成チャンバ5
1やフィラメント52がプラズマ中の荷電粒子にてスパ
ッタされることによって放出された導電性粒子が、絶縁
部材の表面に付着することによって起きる。そこで、モ
リブデン等の高融点金属からなるシールド板59・60
にてプラズマ生成チャンバ51の内部を仕切り、絶縁部
材の汚染を防止するようになっているイオン源もある
(『BernasSource Engineering Incereases Implanter
Utilization』SEMICONDUCTOR INTERNATIONAL JUNE 1992
,pp.106-108)。
【0007】上記プラズマ生成チャンバ51には、磁界
Bの方向に沿って延びるスリット状のイオン引出口58
が形成されており、プラズマ生成チャンバ51と図示し
ない引出電極との間に形成される強い電界によって、該
イオン引出口58からイオンが引き出されてイオンビー
ムが形成されるようになっている。イオン源がイオン注
入装置に具備される場合、イオン源から引き出されたイ
オンビームは、その後段に配された質量分析マグネット
にて所望のイオンのみが選択され、さらに必要によって
加速、収束、走査等がなされてターゲット(シリコンウ
エハ等)に照射される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】フィラメント型イオン
源を用いたイオン注入装置で所望の不純物イオンの注入
処理を行う場合、処理スピードや処理量を高めるため
に、所望のイオンのビーム量が多く得られると共に、フ
ィラメント52の損耗によるメンテナンス(フィラメン
ト交換)の回数が少ないイオン源が望まれる。上記バー
ナス型イオン源は、この点で、フリーマン型等の他のフ
ィラメント型イオン源よりも優れているものの、今日で
は、さらに高機能のイオン源が切望されている。
【0009】特に、所望とするイオン種がボロンの場合
はビーム量を得難い。これは、次の理由による。例えば
ヒ素やリン等のイオンを発生させる場合、ヒ素やリン等
の固体試料をオーブンで加熱して蒸気化したものをプラ
ズマ生成チャンバ51へ導入する。これに対して、イオ
ン源にてボロンイオンを生成する場合、通常、動作ガス
としてBF3 ガスが用いられるので、プラズマ中におけ
る所望とするボロンイオン成分の割合が低いためであ
る。特に、B2+等の多価のボロンイオンビームを得るに
あたっては、中性BF3 ガス粒子との衝突によって多価
イオンの電子捕獲・再結合が起き易いため、さらにビー
ム量を得難い。通常、ボロンイオンビームの場合、ヒ素
やリン等のイオンビームに比べて、1桁程も小さいビー
ム量しか得られないことも少なくない。
【0010】所望のイオンのビーム電流を増大させるに
は、プラズマ生成チャンバ51内のプラズマ密度を高め
る必要があり、これを実現するためにプラズマ生成チャ
ンバ51とフィラメント52との間のアーク電圧を高く
すれば、フィラメント52がプラズマ中のイオンにてス
パッタされる量が増え、結果的にはフィラメント52の
損耗によるメンテナンス回数が増えてしまう。
【0011】尚、プラズマ生成チャンバ51内のプラズ
マ密度は、図12に示すように、フィラメント52と反
射電極55との間が最も高くなる密度分布を示す。そこ
で、フィラメント52の位置を出来るだけイオン引出口
58が形成された壁面に近くなるように設置し、イオン
引出口58の近傍のプラズマ密度を局所的に高めること
によって、アーク電圧を高くせずとも所望のイオンのビ
ーム電流を増大させることができるものと考えられる。
しかしながら、フィラメント52はフィラメントフィー
ドスルー53・53によってプラズマ生成チャンバ51
と電気的に絶縁された状態でチャンバ内部へ導入されて
おり、フィラメント52の設置位置は該フィラメントフ
ィードスルー53のサイズによって規制を受けることに
なる。フィラメントフィードスルー53は、シールド板
59にて保護されているものの、汚染が全く起きないわ
けではないので、汚染が起きた場合も考慮して、そのサ
イズをあまり小さくすることはできない。したがって、
フィラメント52は、イオン引出口58が形成された壁
面にあまり近づけることができず、これではビーム電流
の増大に十分に寄与できない。
【0012】本発明は、上記に鑑みてなされたものであ
り、その目的は、アーク電圧を高めることなく、所望の
イオンのビーム電流を増大させることができるイオン源
を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るイ
オン源は、イオン引出し方向と直交する方向の磁界をプ
ラズマ生成チャンバの内部に形成する磁界形成手段と、
上記磁界の方向に対向して、プラズマ生成チャンバとは
絶縁部材によって電気的に絶縁された状態でプラズマ生
成チャンバ内にそれぞれ設けられた、熱電子を放出する
フィラメント及び熱電子を反射する反射電極と、フィラ
メントとプラズマ生成チャンバとを電気的に絶縁する絶
縁部材をプラズマ形成領域から隔離するためにプラズマ
生成チャンバ内に設けられた仕切り板とを備え、所望の
イオン種を含むガスをプラズマ生成チャンバ内へ導入し
ながら熱電子放出によるアーク放電によって導入ガスを
プラズマ化し、プラズマ生成チャンバに形成されたイオ
ン引出口からイオンを引き出してイオンビームを形成す
るものであって、上記の課題を解決するために、以下の
手段が講じられていることを特徴としている。
【0014】すなわち、上記仕切り板の少なくともフィ
ラメント近傍部分が、所望のイオン種を含む材料にて構
成されている。
【0015】請求項2の発明に係るイオン源は、イオン
引出し方向と直交する方向の磁界をプラズマ生成チャン
バの内部に形成する磁界形成手段と、上記磁界の方向に
対向して、プラズマ生成チャンバとは絶縁部材によって
電気的に絶縁された状態でプラズマ生成チャンバ内にそ
れぞれ設けられた、熱電子を放出するフィラメント及び
熱電子を反射する反射電極とを備え、所望のイオン種を
含むガスをプラズマ生成チャンバ内へ導入しながら熱電
子放出によるアーク放電によって導入ガスをプラズマ化
し、プラズマ生成チャンバに形成されたイオン引出口か
らイオンを引き出してイオンビームを形成するものであ
って、上記の課題を解決するために、以下の手段が講じ
られていることを特徴としている。
【0016】すなわち、上記フィラメントは、プラズマ
生成チャンバの内部で、イオン引出口が形成されたイオ
ン引出面の方向に曲げられている。
【0017】
【作用】請求項1の発明の構成によれば、プラズマ生成
チャンバの内部に形成されている磁界により、プラズマ
がフィラメントと反射電極とを結ぶ方向にドリフトし、
プラズマ密度が高い部分のプラズマ粒子が、フィラメン
トを絶縁保持する絶縁部材をプラズマ形成領域から隔離
保護する仕切り板に当たる。すなわち、プラズマ生成チ
ャンバ内において、上記仕切り板は他の壁面よりもスパ
ッタ率が高い。特に、仕切り板のフィラメント近傍部分
は、最もプラズマ密度が高い領域になっておりスパッタ
率が高いと共に、高温のフィラメントに加熱されて形成
材料が蒸発する。したがって、上記仕切り板の少なくと
もフィラメント近傍部分を所望のイオン種を含む材料に
て構成することにより、効率良くプラズマ中の所望イオ
ン成分比を増加させることができる。これにより、アー
ク放電電圧を高めることなく、所望のイオンのビーム電
流を増大させることができる。
【0018】請求項2の発明の構成によれば、プラズマ
生成チャンバの内部においてフィラメントがイオン引出
面の方向へ曲げられているので、フィラメントを絶縁保
持する絶縁部材のサイズを小さくしなくても、フィラメ
ントとイオン引出面との間隔を小さくすることができ
る。この場合、プラズマ密度が最も高くなる領域(熱電
子を放出するフィラメントと熱電子を反射する反射電極
とが、プラズマ生成チャンバ内に形成された磁界の方向
に対向して設けられているので、フィラメントと反射電
極との間で高密度のプラズマが生成される)が、イオン
引出口側へシフトし、イオン引出口の近傍のプラズマ密
度が局所的に高くなる。したがって、従来と同程度のア
ーク放電電圧でも、イオン引出口から引き出されるビー
ム電流が従来よりも増加し、結果的に所望のイオンのビ
ーム電流を増大させることができる。
【0019】
【実施例】本発明の一実施例について図1ないし図10
に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0020】本実施例に係るバーナス型イオン源は、図
2に示すように、モリブデン等の高融点金属からるプラ
ズマ生成チャンバ1を備えている。このプラズマ生成チ
ャンバ1の側壁1aには、所定間隔をおいて2つのフィ
ラメントフィードスルー3・3が設けられ、これらを介
して略U字状に曲げられたフィラメント2がチャンバ内
部へ導入されている。
【0021】上記フィラメントフィードスルー3の一般
的な構成は、図3に示すように、モリブデンやタンタル
等の高融点金属製のフィードスルー31と、アルミナ製
の絶縁リング32と、アルミナ製のナット33とからな
る。上記フィードスルー31は、その軸方向にフィラメ
ント2を挿通させるための挿通孔31aを有すると共
に、その一端部には上記ナット33と螺合するネジ部3
1bが、他端部には絶縁リング32の脱落を防ぐストッ
パ部が形成されている。上記絶縁リング32は、フィー
ドスルー31のネジ部31bが生成されていない部分を
覆うものであり、その端部の外径はプラズマ生成チャン
バ1の側壁1aに穿設されたフィードスルー用孔と略同
じ大きさを持ち、この部分が上記フィードスルー用孔に
挿入される。また、絶縁リング32の他の部分は、側壁
1aから離れるに従って途中まで徐々に外径が大きくな
り(テーパー状)、途中から外径が徐々に小さくなって
いる(逆テーパー状)。このフィラメントフィードスル
ー3のプラズマ生成チャンバ1への取り付けは、上記絶
縁リング32が環装されたフィードスルー31をプラズ
マ生成チャンバ1の側壁1aに穿設されたフィードスル
ー用孔にチャンバ内側から挿通し、チャンバ外側から上
記ナット33で締結してなされる。上記フィードスルー
31の挿通孔31aを通ってプラズマ生成チャンバ1内
に導入されるフィラメント2は、上記絶縁リング32お
よびナット33によってプラズマ生成チャンバ1と電気
的に絶縁されている。
【0022】尚、上記の構成では、フィラメントフィー
ドスルー3において、絶縁リング32の端面Cと、ナッ
ト33の端面Dと、フィードスルー31の軸表面と、側
壁1aに穿設されたフィードスルー用孔の孔壁とに囲ま
れた空間が存在する。ここで、上記の端面Cまたは端面
Dが汚れた場合、側壁1aとフィードスルー31との間
の絶縁不良となってしまう。上記絶縁リング32の端面
Cやナット33の端面Dは、比較的小さいのでちょっと
した汚れにも弱く、沿面放電が生じ易い。イオン源の運
転中はフィードスルー31及び側壁1aが高温になるた
め、これら金属部分から上記の空間内へガス(金属蒸
気)が出て、それが上記の端面Cや端面Dに付着するこ
とによって端面Cや端面Dが汚れる。
【0023】そこで、側壁1aとフィードスルー31と
の間の絶縁性を高めるために、図4に示すように、絶縁
リング32の端部にナット33′の端部を重ね合わせる
構成が望ましい。この構成では、重ね合わせ部分の非常
に狭い隙間を介さなければ側壁1aとフィードスルー3
1とが空間的に繋がらず、この間で沿面放電が生じるに
は、上記絶縁リング32の端部やナット33′の端部の
広い範囲が汚染されなければならない。特に、重ね合わ
せ部分の隙間は非常に狭いので、側壁1a等の金属部分
から出たガスも重ね合わせ部分には入り込み難く、絶縁
の信頼性が図3の構成よりもかなり高くなる。勿論、図
5に示すように、ナット33の端部に絶縁リング32′
の端部を重ね合わせる構成にしてもよい。
【0024】上記フィラメント2の両端間には、該フィ
ラメント2へフィラメント電流を供給するためのフィラ
メント電源6が接続されている。また、プラズマ生成チ
ャンバ1とフィラメント2との間には、プラズマ生成チ
ャンバ1がフィラメント2より正電位となるようにアー
ク電源7が接続されている。上記フィラメント電源6を
投入してフィラメント2に例えば200A程度の電流を
流して該フィラメント2を加熱すると共に、アーク電源
7を投入してフィラメント2とプラズマ生成チャンバ1
との間にアーク放電に必要な電圧(例えば−60V程
度)を印加すれば、フィラメント2からの熱電子の放出
によるアーク放電が生じる。
【0025】また、上記プラズマ生成チャンバ1の内部
における上記フィラメント2と対向する位置には、絶縁
支持部材4を介してプラズマ生成チャンバ1の側壁1b
に支持された反射電極5が設置されている。この反射電
極5は、フィラメント2から放出された熱電子をフィラ
メント側へ追い返すもので、通常、フィラメント2と同
じ電位(又はフローティング電位でもよい)におかれ
る。
【0026】また、上記プラズマ生成チャンバ1の周囲
には、図示しないソレノイドコイルを備えたソースマグ
ネットが配設されており、プラズマ生成チャンバ1の内
部において、上記フィラメント2と反射電極5とを結ぶ
方向に磁界Bが形成されるようになっている。このソー
スマグネットが形成する磁界Bにより、フィラメント2
から放出された熱電子が、フィラメント2と反射電極5
との間でドリフトする。磁界Bに沿ってドリフトした上
記熱電子は、フィラメント電位のフィラメント2及び反
射電極5の手前で追い返され、両者の間で閉じ込められ
た状態となり、その飛程距離(いわゆる、ライフタイ
ム)が長くなる。
【0027】また、上記プラズマ生成チャンバ1には、
PやAs等の固体試料を加熱して蒸気化させるオーブン
(図示せず)がガス導入管を介して接続されていると共
に、BF3 等の動作ガスやAr等の洗浄用ガスの供給源
であるガスボックス(図示せず)がガス導入管を介して
接続されている。上記のガス導入管を介してプラズマ生
成チャンバ1内に導入された所望のイオン種を含むガス
粒子は、上記フィラメント2から放出された熱電子と衝
突して電離し、プラズマ化する。
【0028】図1に示すように、上記プラズマ生成チャ
ンバ1の上壁1cには、磁界Bの方向に沿って延びるス
リット状のイオン引出口8が形成されている。また、プ
ラズマ生成チャンバ1の外部には、上記イオン引出口8
と対向して、ビーム通過孔が形成された引出電極(図示
せず)が設置されている。この引出電極とプラズマ生成
チャンバ1との間には、プラズマ生成チャンバ1が引出
電極より正電位となるように引出電源(図示せず)が接
続されている。これにより、プラズマ生成チャンバ1と
引出電極7との間に強い外部電界が形成され、この外部
電界により、プラズマ生成チャンバ1内で生成されたプ
ラズマ中の正イオンが、イオン引出口8から引き出さ
れ、イオンビームが形成されるようになっている。
【0029】上記プラズマ生成チャンバ1の内部におけ
るフィラメント2の設置側には、フィラメントフィード
スルー3をプラズマ生成領域から隔離するための仕切り
板であるフィラメントシールド9が設けられいる。この
フィラメントシールド9には、フィラメント2を挿通さ
せる孔9aが穿設されており、フィラメント2の主要部
はプラズマ生成領域側へ導入されている。このフィラメ
ントシールド9の機能の一つは、プラズマ生成中に発生
した導電性粒子がフィラメントフィードスルー3の絶縁
部材の表面に出来るだけ付着しないようにするフィラメ
ントフィードスルー3の汚染防止機能である。本実施例
では、このフィラメントシールド9が、BN、B
2 3 、或いはB単体等、少なくともB(ボロン)を含
む材料にて構成されており、後述するように、生成プラ
ズマ中における所望とするボロンイオン成分の割合を高
め、もってボロンイオンのビーム電流を増大させる機能
をも併せ持つ。
【0030】また、上記プラズマ生成チャンバ1の内部
における反射電極5の設置側には、反射電極5を支持す
る絶縁支持部材4をプラズマ生成領域から隔離するため
の仕切り板である反射電極シールド10が設けられてい
る。この反射電極シールド10には、反射電極5の支持
棒5bを挿通させる孔が穿設されており、反射電極5の
電極部5aはプラズマ生成領域側へ導入されている。こ
の反射電極シールド10の機能の一つは、プラズマ生成
中に発生した導電性粒子が絶縁支持部材4の表面に出来
るだけ付着しないようにする絶縁支持部材4の汚染防止
機能である。本実施例では、この反射電極シールド10
が、BN、B2 3 、或いはB単体等、少なくともB
(ボロン)を含む材料にて構成されており、前記フィラ
メントシールド9と同様、生成プラズマ中における所望
とするボロンイオン成分の割合を高めてビーム電流を増
大させる機能を持つ。
【0031】また、図1に示すように、フィラメントフ
ィードスルー3によるフィラメント2の支持位置は、出
来るだけイオン引出口8が形成された上壁1c(即ち、
イオン引出面)に近くなるように設定されている。そし
て、フィラメント2は、フィラメントシールド9の孔9
aを通してプラズマ生成領域へ導入されている部分が、
イオン引出口8が形成された上壁1c側へ曲げられてい
る。
【0032】上記の構成において、動作ガスとしてBF
3 又はBCl3 を用いてイオン源を運転した場合、プラ
ズマ生成チャンバ1内において生成された反応性の高い
プラズマによって、ボロン含有材料からなるフィラメン
トシールド9及び反射電極シールド10がスパッタさ
れ、この結果、プラズマ中のボロン成分の割合が増加す
る。
【0033】特に、バーナス型イオン源では、プラズマ
生成チャンバ1の内部に形成されているソースマグネッ
ト磁界Bにより、該磁界Bに沿ってプラズマがフィラメ
ント2と反射電極5とを結ぶ方向にドリフトするので、
プラズマ密度が高い部分のプラズマ粒子がフィラメント
シールド9及び反射電極シールド10に当たる。すなわ
ち、フィラメントシールド9及び反射電極シールド10
は、プラズマ生成チャンバ1の他の壁面よりもスパッタ
率が高く、この部分をボロン含有材料にて構成すること
により、効率良くプラズマ中のボロン成分比を増加させ
ることができる。
【0034】また、フィラメントシールド9をボロン含
有材料にて構成した場合、高温のフィラメント2に加熱
されてフィラメント近傍部分のボロン含有材料が蒸発す
るので、上記のスパッタ現象に加えて、蒸発によっても
プラズマ中のボロン成分比が増加する。
【0035】例えば、動作ガスとしてBF3 ガスを用い
た場合、プラズマ中にB+ 、F+ 、BF+ 、BF2 +
BF3 + 等の正イオンが存在する。この場合、B+ が生
成されるためには、BF3 からF元素を3つも取らなけ
ればならず、プラズマ中のB+ の濃度はなかなか高くな
らない。これに対して、フィラメントシールド9や反射
電極シールド10からスパッタによって供給されるボロ
ンは容易にB+ になる。また、フィラメントシールド9
を例えばBNで構成した場合、蒸発によって供給される
BNからはN元素を1つ取り除けば比較的容易にB+
生成できる。フィラメントシールド9をB単体で構成す
ればなおさらB+ の生成が容易である。このように、B
3 からB+ を生成するのに比べて、フィラメントシー
ルド9や反射電極シールド10から供給されるボロン含
有物質の方が、はるかにB+ を生成し易く、これによ
り、プラズマ中のボロン成分比の効率的な増加が可能な
のである。
【0036】尚、上記のように反射電極シールド10を
ボロン含有材料にて構成する場合、反射電極5の電極部
5aの大きさを、イオン引出口8の幅(スリット長さ方
向と直交する幅)に応じて通常よりも小さく形成するこ
とが望ましい。すなわち、反射電極5の電極部5aの大
きさを通常よりも小さくすることによって、反射電極シ
ールド10に直接当たるプラズマの量を多くし、プラズ
マ中のボロン成分比をより増加させるのである。反射電
極5の電極部5aをどの程度まで小さくできるかは、イ
オン引出口8の幅によって決まる。イオン引出口8の近
傍のプラズマ密度を高めるためには、少なくともイオン
引出口8の近傍において反射電極5による電子の追い返
し効果が要求され、このためには、反射電極5の電極部
5aの大きさをイオン引出口8の幅の数倍に設定する必
要がある。必要な大きさが確保できれば、それ以上に電
極部5aを大きくせずに、反射電極シールド10に直接
当たるプラズマの量を多くする方が、プラズマ中のボロ
ン成分比を増加させる上で有利である。
【0037】尚、イオン源がイオン注入装置に具備され
る場合、イオン源から引き出されたイオンビームは、そ
の後段に配された質量分析マグネットにて所望のイオン
のみが選択的に抽出されてターゲットに照射される。こ
の場合、所望のイオンビームがターゲットに到達するま
でのビーム輸送経路上に設けられた電極等の形状によっ
て輸送出来るビーム量が制限され、イオン源から引き出
されたビームの全てがターゲットへ到達できるわけでは
ない。特に、イオン引出口8から引き出されるビーム電
流(引出電流)がある程度大きくなれば、ビームの径
(広がり)も大きくなるので、この場合、引出電流に対
するターゲット電流の率はあまり良くない。この点、プ
ラズマ中の所望イオン成分比を高めることは、同一の引
出電流でターゲットにおける所望イオンのビーム電流を
増加させることができるので非常に有効である。
【0038】また、本実施例では、図1に示すようにプ
ラズマ生成チャンバ1の内部においてフィラメント2が
イオン引出面の方向へ曲げられているので、フィラメン
トフィードスルー3のサイズを小さくしなくても、フィ
ラメント2とイオン引出面との間隔を小さくすることが
できる。この場合、プラズマ密度が最も高くなる領域
(フィラメント2と反射電極5との間)が、イオン引出
口8側へシフトし、イオン引出口8の近傍のプラズマ密
度を局所的に高めることができる。したがって、従来と
同程度のアーク電圧(アーク電流)でも、イオン引出口
8から引き出されるビーム電流(引出電流)が従来より
も増加する。
【0039】フィラメント2の形状は図2に示すU字型
(無誘導型)のものには限定されず、例えば、図6に示
すように先端部分を突出させた改良型(半径の小さな先
端突出部のインピーダンスが高く、この部分から熱電子
が放出され易くなる)、図7に示すように先端部分をコ
イル状に巻いたいわゆるピッグティル型と呼称される誘
導型のもの等を用いることができる。
【0040】尚、フィラメント2をピッグティル型にし
た場合、巻き半径を大きくすることによりフィラメント
2の一部をイオン引出面の近傍へ配置することができる
が、巻き半径が大きいためにプラズマの分布が広がり、
イオン引出面近傍のプラズマ密度を高くするという目的
は十分に達成されない。ピッグティル型の場合でも、巻
き半径を3mm〜4mm程度とあまり大きくせずに、フィラ
メント2を根元側(支持部側)から曲げて巻き部分全体
をイオン引出面方向へ近づけることにより、プラズマ分
布はあまり広がらず、濃いプラズマをイオン引出口の近
傍に生成することができる。これにより、アーク電圧に
対する引出電流の率が高まる。
【0041】また、フィラメント2をピッグティル型に
した場合、図8に示すように、フィラメント電流によっ
て形成される磁界bが、外部のソースマグネットより印
加される磁界Bの向きに対して逆になるようにフィラメ
ント電源6をフィラメント2に接続することが望まし
い。これにより、最もプラズマ密度の高い領域がフィラ
メントの中心部に形成され、プラズマによるフィラメン
トシールド9のスパッタを強化することができる。ま
た、この場合、イオン引出口8の近傍のプラズマ密度を
高めるために、最もプラズマ密度が高くなるフィラメン
ト2の巻き部分の中心とイオン引出口8とを、イオン引
出し方向に対して一致させる。
【0042】また、フィラメントシールド9において、
スパッタや蒸発が起きるのは、主に、フィラメント2の
近傍(特に、フィラメント2の中心部分及びフィラメン
ト加熱部分)である。したがって、図9に示すように、
フィラメントシールド9におけるスパッタや蒸発が起き
やすい部分9bのみをBN、B2 3 、或いはB単体
等、少なくともボロンを含む材料にて構成し、その他の
部分9cはMo、Ta、Wa等の高融点金属で構成して
もよい。
【0043】また、フィラメントシールド9におけるフ
ィラメント2の近傍のスパッタや蒸発が起きやすい部分
は他の部分よりも消耗が早いので、図10に示すよう
に、この消耗部9eを少なくともボロンを含む材料にて
構成し、本体部9f(ボロンを含む材料でも高融点金属
でもよい)に対して着脱して交換(補給)可能な構成と
してもよい。
【0044】プラズマ生成チャンバ1は、通常、人によ
る内部の掃除ができるように、各チャンバ壁が分割でき
る構造となっており、フィラメントシールド9の消耗部
9eの交換作業、或いはフィラメントシールド9全体や
反射電極シールド10の交換作業は可能である。また、
フィラメントシールド9や反射電極シールド10を側壁
1a・1bに取り付ける構成にした場合、プラズマ生成
チャンバ1における側壁1a・1b以外のチャンバ壁を
一体形成とし、側壁1a・1bのみ分割できる構成とす
ることができる。
【0045】尚、上記実施例では、所望のイオン種をボ
ロンとして説明したが、他のイオン種を対象とする場合
は、そのイオン種を含む材料にてフィラメントシールド
9や反射電極シールド10を構成すればよい。
【0046】以上のように、本実施例に係るイオン源
は、イオン引出し方向と直交する方向の磁界Bをプラズ
マ生成チャンバ1の内部に形成するソースマグネット
(磁界形成手段)と、上記磁界Bの方向に対向してプラ
ズマ生成チャンバ1内にそれぞれ設けられたフィラメン
ト2及び反射電極5と、フィラメント2とプラズマ生成
チャンバ1とを電気的に絶縁するフィラメントフィード
スルー3(絶縁部材)をプラズマ形成領域から隔離する
ためにプラズマ生成チャンバ1内に設けられたフィラメ
ントシールド9(仕切り板)とを備え、所望のイオン種
を含むガスをプラズマ生成チャンバ1内へ導入しながら
熱電子放出によるアーク放電によって導入ガスをプラズ
マ化するものであって、上記フィラメントシールド9の
少なくともフィラメント2の近傍部分が、所望のイオン
種を含む材料にて形成されている構成であり、これを第
1の特徴としている。
【0047】上記の構成によれば、プラズマ生成チャン
バ1の内部に形成されているソースマグネット磁界Bに
より、プラズマがフィラメント2と反射電極5とを結ぶ
方向にドリフトし、プラズマ密度が高い部分のプラズマ
粒子がフィラメントシールド9のフィラメント2の近傍
部分に集中的に当たり、この部分を所望のイオン種を含
む材料にて形成することにより、スパッタによって効率
よく所望のイオン種を供給できる。また、フィラメント
2の加熱による蒸発によっても所望のイオン種を含むガ
スが供給される。これにより、プラズマ中の所望イオン
の成分比を増加させることができ、この結果、アーク電
圧を高めることなく、所望のイオンのビーム電流を増大
させることができる。以下に、そのテスト結果を示す。
【0048】このテストは、イオン源をイオン注入装置
に組み込んで行ったものである。比較例としては、フィ
ラメントシールドの材質がMoの従来のバーナス型イオ
ン源(図11及び図12参照)を用い、また、実施例と
しては、上記比較例のイオン源におけるフィラメントシ
ールドの材質をBNに代えただけのイオン源(ここで
は、図1のようにフィラメント2をイオン引出面側へ曲
げておらず、且つ、反射電極シールド10もボロン含有
材料で構成されていない)を用いた。そして、それぞれ
に対して、下記の運転条件でイオン注入装置の運転を行
った。
【0049】動作ガス:BF3 ガス流量:0.8cc/m フィラメント電流:120A アーク電流(アーク電圧):4A(60V) 引出電流(引出電圧):10mA(30kV) ビームエネルギー:150keV この結果、従来のバーナス型イオン源を用いた場合は、
ターゲットにおいてビーム電流600μAのB+ イオン
が得られた。これに対して、フィラメントシールドの材
質をBNに代えた実施例のイオン源を用いた場合は、タ
ーゲットにおいてビーム電流800μAのB+ イオンが
得られた。
【0050】また、本実施例のイオン源は、従来と同じ
ビーム電流を得るのであればアーク電圧を従来よりも低
くすることができ、これによりフィラメント2のスパッ
タによる損耗が少なくなるので、メンテナンス回数を少
なくできる。
【0051】また、本実施例に係るイオン源は、上記第
1の特徴の構成において、反射電極5とプラズマ生成チ
ャンバ1とを電気的に絶縁する絶縁支持部材4をプラズ
マ形成領域から隔離するためにプラズマ生成チャンバ1
内に設けられた反射電極シールド10が、所望のイオン
種を含む材料にて形成されている構成であり、これを第
2の特徴としている。上記反射電極シールド10は、フ
ィラメント2と対向配置され、上記と同様にソースマグ
ネット磁界Bによりプラズマ密度の比較的高い部分のプ
ラズマ粒子が反射電極シールド10に当たる。このスパ
ッタ現象によってプラズマ中の所望イオンの成分比を増
加させることができ、この結果、アーク電圧を高めるこ
となく、所望のイオンのビーム電流をさらに増大させる
ことができる。この実験として、前記のテストにおいて
用いた従来のイオン源におけるフィラメントシールド及
び反射電極シールドの材質を何れもBNに代えて、前記
と同様の条件でイオン注入装置を運転した。この結果、
ターゲットにおいてビーム電流1mAのB+ イオンが得
られた。
【0052】また、本実施例に係るイオン源は、イオン
引出し方向と直交する方向の磁界Bをプラズマ生成チャ
ンバ1の内部に形成するソースマグネット(磁界形成手
段)と、上記磁界Bの方向に対向してプラズマ生成チャ
ンバ1内にそれぞれ設けられたフィラメント2及び反射
電極5とを備え、所望のイオン種を含むガスをプラズマ
生成チャンバ1内へ導入しながら熱電子放出によるアー
ク放電によって導入ガスをプラズマ化し、プラズマ生成
チャンバ1に形成されたイオン引出口8からイオンを引
き出してイオンビームを形成するものであって、フィラ
メント2が、プラズマ生成チャンバ1の内部で、イオン
引出口8が形成されたイオン引出面の方向に曲げられて
いる構成であり、これを第3の特徴としている。
【0053】これにより、フィラメント2を絶縁保持す
るフィラメントフィードスルー3のサイズを小さくしな
くても、フィラメント2とイオン引出面との間隔を小さ
くすることができ、イオン引出口8の近傍のプラズマ密
度を局所的に高めることができる。したがって、アーク
電圧を高めることなく、イオン引出口8から引き出され
る引出電流を増大させることができる。また、フィラメ
ント2の曲げ量だけでプラズマの生成位置(換言すれ
ば、プラズマ生成チャンバ1中におけるプラズマ分布)
を変更できるので、最適なプラズマ生成位置を容易にさ
がすことができる。
【0054】また、本実施例に係るイオン源は、上記第
3の特徴の構成において、図8に示すように、コイル状
に巻いたピッグティル型のフィラメント2を用い、該フ
ィラメント2にフィラメント電流を流すことによって形
成される磁界bが、外部のソースマグネットより印加さ
れる磁界Bの向きに対して逆になるようにフィラメント
電源6をフィラメント2に接続した構成であり、これを
第4の特徴としている。これにより、最もプラズマ密度
の高い領域がフィラメントの中心部に形成され、プラズ
マによるフィラメントシールド9のスパッタを強化する
ことができるので、プラズマ中の所望イオン成分比を効
率的に高めることができる。
【0055】また、本実施例に係るイオン源のフィラメ
ントフィードスルー3は、図4又は図5に示すように、
フィラメント2を挿通させるための挿通孔31a(図3
参照)を有しその端部にネジ部31b(図3参照)が形
成されているフィードスルー31と、上記フィードスル
ー31のネジ部31b以外の部分を覆う絶縁リング32
(32′)と、上記ネジ部31bに螺合する絶縁性のナ
ット33(33′)とを備え、プラズマ生成チャンバ1
の壁面に穿設されたフィードスルー用孔に取り付けられ
てフィラメント2とプラズマ生成チャンバ1との間の電
気的絶縁を図るものであり、上記絶縁リング32(3
2′)の端部とナット33(33′)の端部とが重ね合
わされた構成であり、これを第5の特徴としている。こ
れにより、フィラメント2とプラズマ生成チャンバ1と
の間の絶縁の信頼性が高まる。
【0056】上記の実施例は、あくまでも、本発明の技
術内容を明らかにするものであって、そのような具体例
にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本
発明の精神と特許請求の範囲内で、いろいろと変更して
実施することができるものである。
【0057】
【発明の効果】請求項1の発明に係るイオン源は、以上
のように、熱電子を放出するフィラメントと熱電子を反
射する反射電極とが、プラズマ生成チャンバ内に形成さ
れた磁界の方向に対向して設けられ、上記フィラメント
とプラズマ生成チャンバとを電気的に絶縁する絶縁部材
をプラズマ形成領域から隔離するためにプラズマ生成チ
ャンバ内に仕切り板が設けられたものであって、プラズ
マ生成チャンバ中においてスパッタ率が高い上記仕切り
板の少なくともフィラメント近傍部分が、所望のイオン
種を含む材料にて構成されているものである。
【0058】それゆえ、効率良くプラズマ中の所望イオ
ン成分比を増加させることができ、アーク放電電圧を高
めることなく、所望のイオンのビーム電流を増大させる
ことができるという効果を奏する。
【0059】請求項2の発明に係るイオン源は、以上の
ように、熱電子を放出するフィラメントと熱電子を反射
する反射電極とが、プラズマ生成チャンバ内に形成され
た磁界の方向に対向して設けられ、プラズマ生成チャン
バに形成されたイオン引出口からイオンを引き出してイ
オンビームを形成するものであって、上記フィラメント
が、プラズマ生成チャンバの内部で、イオン引出口が形
成されたイオン引出面の方向に曲げられている構成であ
る。
【0060】それゆえ、フィラメントを絶縁保持する絶
縁部材のサイズを小さくしなくても、フィラメントとイ
オン引出面との間隔を小さくすることができ、イオン引
出口の近傍のプラズマ密度を局所的に高くすることがで
きる。したがって、従来と同程度のアーク放電電圧で
も、イオン引出口から引き出されるビーム電流が従来よ
りも増加し、結果的に所望のイオンのビーム電流を増大
させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すものであり、バーナス
型イオン源の概略の縦断面図である。
【図2】上記イオン源の概略の横断面図である。
【図3】上記イオン源のフィラメントフィードスルーの
構成を示す概略の断面図である。
【図4】上記イオン源のフィラメントフィードスルーの
その他の構成を示す概略の断面図である。
【図5】上記イオン源のフィラメントフィードスルーの
さらに別の構成を示す概略の断面図である。
【図6】上記イオン源に適用されるフィラメント形状の
一例を示す説明図である。
【図7】上記イオン源に適用されるフィラメント形状の
他の例を示す説明図である。
【図8】本発明のその他の実施例に係るバーナス型イオ
ン源の概略の横断面図である。
【図9】本発明のさらに別の実施例に係るバーナス型イ
オン源の概略の横断面図である。
【図10】本発明のさらに別の実施例に係るバーナス型
イオン源のフィラメント周辺の構成を示す概略の横断面
図である。
【図11】従来のバーナス型イオン源の概略の横断面図
である。
【図12】上記従来のバーナス型イオン源の概略の縦断
面図である。
【符号の説明】
1 プラズマ生成チャンバ 2 フィラメント 3 フィラメントフィードスルー(絶縁部材) 4 絶縁支持部材 5 反射電極 6 フィラメント電源 7 アーク電源 8 イオン引出口 9 フィラメントシールド(仕切り板) 10 反射電極シールド

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン引出し方向と直交する方向の磁界を
    プラズマ生成チャンバの内部に形成する磁界形成手段
    と、 上記磁界の方向に対向して、プラズマ生成チャンバとは
    絶縁部材によって電気的に絶縁された状態でプラズマ生
    成チャンバ内にそれぞれ設けられた、熱電子を放出する
    フィラメント及び熱電子を反射する反射電極と、 フィラメントとプラズマ生成チャンバとを電気的に絶縁
    する絶縁部材をプラズマ形成領域から隔離するためにプ
    ラズマ生成チャンバ内に設けられた仕切り板とを備え、 所望のイオン種を含むガスをプラズマ生成チャンバ内へ
    導入しながら熱電子放出によるアーク放電によって導入
    ガスをプラズマ化し、プラズマ生成チャンバに形成され
    たイオン引出口からイオンを引き出してイオンビームを
    形成するイオン源において、 上記仕切り板の少なくともフィラメント近傍部分が、所
    望のイオン種を含む材料にて構成されていることを特徴
    とするイオン源。
  2. 【請求項2】イオン引出し方向と直交する方向の磁界を
    プラズマ生成チャンバの内部に形成する磁界形成手段
    と、 上記磁界の方向に対向して、プラズマ生成チャンバとは
    絶縁部材によって電気的に絶縁された状態でプラズマ生
    成チャンバ内にそれぞれ設けられた、熱電子を放出する
    フィラメント及び熱電子を反射する反射電極とを備え、 所望のイオン種を含むガスをプラズマ生成チャンバ内へ
    導入しながら熱電子放出によるアーク放電によって導入
    ガスをプラズマ化し、プラズマ生成チャンバに形成され
    たイオン引出口からイオンを引き出してイオンビームを
    形成するイオン源において、 上記フィラメントは、プラズマ生成チャンバの内部で、
    イオン引出口が形成されたイオン引出面の方向に曲げら
    れていることを特徴とするイオン源。
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