JPH08263876A - 光記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

光記録媒体及びその製造方法

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JPH08263876A
JPH08263876A JP8009303A JP930396A JPH08263876A JP H08263876 A JPH08263876 A JP H08263876A JP 8009303 A JP8009303 A JP 8009303A JP 930396 A JP930396 A JP 930396A JP H08263876 A JPH08263876 A JP H08263876A
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  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学的に透明な、中心孔を有する円形の基板
上に、少なくとも基板と同心の円環状の記録層と、この
記録層上に2層以上の基板と同心の円環状の保護層とを
有する光記録媒体の製造方法において、保護層を形成す
る樹脂の塗布位置の制御が容易になり保護層の膜厚ムラ
の発生が防止され、光ディスクの生産性が向上する方法
を提供する。 【解決手段】 保護層の円環の小円の直径を基板の中心
孔の直径より大とし、前記記録層から数えてn+1番目
(但しnは1以上の整数)の保護層の円環の小円の直径
を、前記記録層から数えてn番目の保護層の円環の小円
の直径よりも大となるように形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報の記録、再生
及び消去の少なくとも1つが光学的になされる光記録媒
体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年書き換え可能を特徴とする光ディス
クが上市され、コンピュータのコード情報や画像などの
データファイルとして応用されつつある。しかしなが
ら、これらの製品は、レーザー光を使用して記録、再
生、消去を行なっているため、基板のレーザー光入射面
にゴミやキズがあるとデータの読み取りエラーや記録エ
ラー等が発生することがある。例えば光磁気ディスク、
特に磁気ヘッドを使用する磁界変調記録方式の光磁気デ
ィスクでは、保護層上のゴミや低湿度の環境下では静電
気によって磁気ディスクと保護層が接触して、記録媒体
や装置の破損が発生していた。そこで、ゴミの付着防止
やキズ防止として、基板のレーザー光入射面と記録層上
にそれぞれ帯電防止剤や潤滑剤を添加した保護層を形成
することが検討されている。一方、保護層への帯電防止
剤や潤滑剤の添加は、記録層に腐食やフクレを発生させ
ることが知られている。そこで、添加剤等を含まない第
1保護層と帯電防止剤等を添加した第2保護層の2層構
成や第1保護層と第2保護層の接着性向上や基板の反り
を補正するための中間層を加えた多層保護層が検討され
ている(特願平4−125873号)。
【0003】そしてこのような多層保護層を有する光記
録媒体の製造方法としては、例えば光硬化性樹脂層を順
次積層する方法や樹脂シートを順次積層する方法が知ら
れている。
【0004】ところで光硬化性樹脂層の積層膜からなる
多層保護層をディスク基板に生産性良く形成する方法と
しては、先ず第1保護層を形成するための光硬化性樹脂
組成物をスピンコート法で塗布、硬化させて第1保護層
を形成した後、第2保護層を形成するための光硬化性樹
脂組成物をスピンコート法で塗布、硬化させて第2保護
層を形成する方法が考えられる。
【0005】しかしこのような方法で作成した多層保護
層表面には、スジ状に未硬化の光硬化性樹脂組成物が流
れた痕跡が見られることがあり、これによって保護層の
厚さが不均一なディスクが作成されてしまうことがあっ
た。そしてこのような不均一な厚さの保護層を有するデ
ィスクは外観が悪いため不良品となって、その結果生産
性を下げる要因となる。
【0006】また光磁気記録媒体、特に磁界変調方式で
記録される光磁気記録媒体を上記の方法で作成した場合
には上記不均一な厚さの保護層と磁気ヘッドとが衝突し
て磁気ヘッドが破損したり、光磁気記録媒体が破損して
記録データが失われることがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑みなされたものであって、スピンコート法を用いて多
層保護層を形成した場合にも外観に優れた光記録媒体を
提供することを目的とする。また本発明は、記録エラー
を生じ難い光記録媒体を提供することを他の目的とす
る。更に本発明は不良品が発生し難い、生産性に優れた
多層保護層付光記録媒体の製造方法を提供することを他
の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の光記録媒体は、
光学的に透明な、開口を有する基板上に記録層と保護層
とを有する光記録媒体において、この保護層が前記基板
の開口と中心が一致し該基板の開口よりも大きな開口を
有することを特徴とする。
【0009】また本発明の光記録媒体の製造方法は、光
学的に透明な、開口を有する基板上に記録層と保護層と
を有する光記録媒体の製造方法において、この基板上
に、記録層を被覆し、その中心がこの基板の開口の中心
と一致するような開口を有し、且つこの開口が基板の開
口より大きくなるように保護層を形成することを特徴と
する。
【0010】さらに本発明の光記録媒体は次の特徴を有
するものを含む。 1.前記基板の開口及び該保護層の開口は円形である。 2.保護層が複数の保護層を有する多層保護層であっ
て、前記基板から数えて(n+1)番目(但しnは1以
上の整数)の保護層の開口の直径は、該(n)番目の保
護層の開口の直径よりも大きい。 3.前記(n+1)番目の保護層及び(n)番目の保護
層が光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。 4.前記多層保護層の前記記録層に近い側から数えて1
番目の保護層及び前記記録層に近い側から数えて2番目
の保護層は、それぞれ前記1番目の保護層に用いる光硬
化性樹脂組成物の基板との接触角が、前記2番目の保護
層に用いる光硬化性樹脂組成物の前記1番目の保護層と
の接触角よりも小さいという関係を満たすように選ばれ
た光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。 5.前記(n+1)番目の保護層及び前記(n+2)番
目の保護層は、それぞれ前記多層保護層の(n+1)番
目の保護層に用いる光硬化性樹脂組成物の(n)番目の
保護層との接触角が、前記(n+2)番目の保護層に用
いる光硬化性樹脂組成物の前記(n+1)番目の保護層
との接触角よりも小さいという関係を満たすように選ば
れた光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。
【0011】また本発明の光記録媒体の製造方法におい
てはさらに次の特徴を有するものを含む。 6.前記基板の開口及び該保護層の開口が円形である。 7.前記保護層は複数の保護層を有する多層保護層であ
り、前記多層保護層の前記基板から数えて(n+1)番
目(但しnは1以上の整数)の保護層は、その開口の直
径が(n)番目の保護層の開口の直径よりも大きくなる
ように形成する。 8.前記保護層が、光硬化性樹脂の硬化物からなる。 9.前記多層保護層の前記記録層を被覆する1番目の保
護層に用いる未硬化の光硬化性樹脂組成物の基板との接
触角が、前記1番目の保護層上に形成される2番目の保
護層に用いる未硬化の光硬化性樹脂組成物の前記1番目
の保護層との接触角よりも小さいという関係を満たすよ
うに選ばれた光硬化性樹脂組成物を塗布・硬化させて前
記第1の保護層及び前記第2の保護層を形成する。 10.前記(n+1)番目の保護層に用いる未硬化の光
硬化性樹脂組成物の(n)番目の保護層との接触角が、
(n+2)番目の保護層に用いる未硬化の光硬化性樹脂
組成物の前記(n+1)番目の保護層との接触角よりも
小さいという関係を満たすように選ばれた光硬化性樹脂
組成物を塗布・硬化させて前記(n+1)番目及び(n
+2)番目の保護層を形成する。
【0012】
【発明の実施の形態】次の本発明の光記録媒体において
基板および保護層の開口が円形であり、保護層が2層で
ある場合の実施態様について図面を用いて説明する。
【0013】図1において1は光記録媒体、2は中心孔
3を有する基板、4は記録層で、第1保護層5及び第2
保護層6からなる多層保護層で保護されている。
【0014】そして第1保護層及び第2保護層は基板2
上に同心の円環状に形成されてなり、大円の直径は基板
2の直径と同じとし、且つ第2の保護層の小円の内径は
第1の保護層の小円の内径よりも大きくなるように形成
されている。
【0015】基板としては基板を通して情報の記録、再
生及び消去の少なくとも1つを行う光ビームをこの光記
録媒体に入射させる場合には光ビームの波長に対して透
明であることが必須であり、具体的にはビスフェノール
A系ポリカーボネート、アクリル樹脂、メタクリル樹
脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂等を含む基
板が挙げられる。
【0016】記録層としては有機色素、例えばポリメチ
ン系色素やシアニン系色素を含有する記録層や希土類金
属及び遷移金属を含有する光磁気記録層など光記録に一
般的に用いられる記録層を用いることができる。
【0017】そしてこの光記録媒体は図2(a)に示し
たように記録層4を形成した基板2上の中心孔近傍に円
環状に光硬化性樹脂組成物8を滴下し、次いでこの基板
を回転させて光硬化性樹脂組成物を塗り広げて記録層4
を樹脂組成物で被覆せしめ、その後光硬化性樹脂組成物
に対して光照射して硬化させて開口7を有する第1保護
層5を形成する。ここで第1保護層5の開口7の直径
(円環の小円の直径)は基板2の中心孔3の直径よりも
大きくなるようにする。
【0018】スピンコート法による塗布技術においては
塗布工程終了前に回転数を上げることが一般的に行なわ
れている。したがって、例えば中心孔3の側壁31に樹
脂材料が落ち込んでいた場合、第1保護層用樹脂組成物
のスピン塗布工程の終盤、即ち第1保護層の平滑な表面
が形成された時点で回転数を上げたときに中心孔3の側
壁31に落ち込んでいた樹脂材料が遠心力で第1保護層
表面上に復帰して第1保護層表面を通って放射方向に振
り飛ばされることになる。その結果第1保護層表面には
この樹脂の痕跡が残り第1保護層表面の外観を劣化させ
るばかりでなくヘッドクラッシュの原因となる第1保護
層の平滑性を低下させてしまう。
【0019】第1保護層形成用光硬化性樹脂組成物を基
板2の中心孔近傍に塗布したとき、及びそれに引き続い
て行なわれるスピンコートの工程を通じてこの樹脂組成
物が基板2の中心孔3の側壁31に落ち込むことのない
ようにするには、第1保護層用光硬化性樹脂組成物の基
板との接触角、塗布位置等を制御することが有効であ
る。例えば基板上の中心孔近傍にこの樹脂組成物を供給
している間にこの樹脂組成物が十分に展延してしまわな
いように上記の物性を適宜設定することが好ましい。
【0020】次にこの第1保護層上の第2保護層は第1
保護層と同様に第2保護層用光硬化性樹脂組成物9を第
1保護層上に滴下し、基板を回転させてこの樹脂組成物
を第1保護層上に塗り広げた後光照射して硬化せしめて
第2保護層を形成する。
【0021】そして第2保護層の内径は第1保護層の内
径よりも大きくなるようにする。つまり第2保護層形成
用光硬化性樹脂組成物を第1保護層5上に塗布する工
程、及びそれに引き続いて行なわれるスピンコートの工
程を通じてこの樹脂組成物が第1保護層5の側壁、更に
は基板2の中心孔3の側壁31に落ち込むことの無いよ
うにすることが外観に優れ、記録エラーの少ない光記録
媒体を得る上で好ましい。その理由は前記したのと同様
である。
【0022】そして第2保護層形成用光硬化性樹脂組成
物を第1保護層5上に塗布する工程、及びそれに引き続
いて行なわれるスピンコートの工程を通じて該樹脂組成
物が第1保護層5の側壁、更には基板2の中心孔3の側
壁31に落ち込むことの無いようにするためには第2保
護層形成用樹脂組成物の基板との接触角、塗布位置等を
制御することが有効である。例えば樹脂組成物を基板上
の中心孔近傍に供給している間にこの樹脂組成物が十分
に展延してしまわないように上記の物性を適宜設定する
ことが好ましい。
【0023】なお本実施態様においては2層の保護層か
らなる多層保護層を有する光記録媒体について説明した
が、本発明にかかる技術は3層もしくはそれ以上の保護
層からなる多層保護層を有する光記録媒体に対しても有
用であり、具体的には多層保護層の記録層に近い側の保
護層から数えて(n+1)番目(但しnは1以上の整
数)の保護層の内径が(n)番目の保護層の内径より大
きくなるようにすることでスピンコート法を用いて多層
保護層を有する光記録媒体を製造できる。
【0024】以上説明したように、多層保護層を形成す
る際に(n+1)番目の保護層の開口を(n)番目の保
護層の開口よりも大きく形成することにより、スジ状の
膜厚ムラの発生を防止することができる。又、2番目の
保護層用硬化性樹脂組成物の1番目の保護層との接触角
が1番目の保護層用硬化性樹脂組成物の基板との接触角
より大であるように樹脂組成物を選ぶことにより、硬化
性樹脂組成物の塗布位置及び膜厚制御が容易になり、生
産性が向上する。更に、前記(n+2)番目の保護層用
硬化性樹脂組成物の(n+1)番目の保護層(nは1以
上の整数)との接触角が、(n+1)番目の保護層用硬
化性樹脂組成物の(n)番目の保護層との接触角よりも
大であるように樹脂組成物を選ぶことにより、硬化性樹
脂組成物の塗布位置及び膜厚制御が容易になり、生産性
が向上する。
【0025】次に上記した本発明にかかる実施態様にお
いて多層保護層を構成する光硬化性樹脂組成物としては
記録層に対して悪影響を及ぼさずまた上記の特性を満た
すことができれば特に限定されず、例えばアクリレート
系紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。具体的に
は例えば、プレポリマー成分(A),反応性希釈剤とし
てのモノマー成分(B),光重合開始剤成分(C)の組
成よりなり、成分(A),(B),(C)の使用割合
は、(A)成分:(B)成分=5〜95:95〜5(重
量比)で、(C)成分は全量の0.1〜10重量%の濃
度で組み入れた組成物が用いられる。
【0026】(A)成分としては、ポリオールポリアク
リレート(多価アルコールまたはポリエーテルポリアク
リレート)で、特に3官能以上のポリオールポリアクリ
レート(ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレートなど)、あるい
は変性ポリオールポリアクリレート(ポリオールをエポ
キシドやラクトンで変性した変性ポリオールのポリアク
リレートまたは多価フェノールであるビスフェノールA
やビスフェノールSにエポキシドを付加させた変性ジオ
ールのジアクリレート)、あるいはポリエステルアクリ
レート(多価アルコール、多塩基酸またはその無水物お
よびアクリル酸のコンデンゼイションテロメリゼイショ
ン[condensation telomeriza
tion]により製造される)、あるいはウレタンアク
リレート(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリ
オールなどのポリオールとポリイソシアネートとヒドロ
キシ基をもつアクリレートとを反応させたもの)、ある
いはエポキシアクリレート(エポキシ化合物にアクリル
酸または末端カルボキシル基を有するアクリレートを付
加させて得られるオリゴマー)、ビスフェノールAジグ
リシジルエーテル型、ノボラックポリグリシジルエーテ
ル型などが挙げられる。特に、硬化性に優れ、表面硬度
の高い3官能以上のポリオールポリアクリレートが好ま
しい。
【0027】(B)成分としては、多価アルコールのア
クリル酸エステルが用いられ、特に多官能性アクリル系
モノマーとしては、エチレングリコールジアクリレー
ト、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレ
ングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール
ジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタ
ンジオールジアクリレート、1,4−ヘキサンジオール
ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート
等のジアクリレート類、ペンタエリスリトールトリアク
リレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等
のトリアクリレート類が挙げられる。(B)成分はこれ
らの一種または二種以上の混合系でもよい。
【0028】(C)成分としては、公知のどのような光
重合開始剤でも使用できるが、配合後の貯蔵安定性のよ
いものが好ましい。例えば、ベンゾインエチルエーテ
ル、ベンゾインブチルエーテルなどのベンゾインアルキ
ルエーテル系、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、
4’−フェノキシ−2,2’−ジクロロアセトフェノン
などのアセトフェノン系、2−ヒドロキシ−2−メチル
プロピオフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキ
シ−2−メチルプロピオフェノンなどのプロピオフェノ
ン系、ベンジルメチルケタール、1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン及び2−エチルアントラキノ
ン、2−クロルアントラキノンなどのアントラキノン
系、2,4−ジメチルチオキサントン、ミヒラーケトン
などのチオキサントン系などが挙げられる。これらの一
種または二種以上を任意の割合で混合して用いることが
できる。
【0029】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0030】実施例1 直径86mmで同心の内径15mmの開口を有するディ
スク状ポリカーボネイト基板2上に、ディスクと同心の
円環状の光磁気記録層4をスパッタ法により形成した。
記録層4は無機保護層/磁性層/無機保護層/反射層よ
り成り、円環の大きさは小円の半径(d1)20mm、
大円の半径(d2)42.5mmであった(図2(a)
および(c)参照)。
【0031】次に、表面張力が23℃で約29mN/m
のエポキシアクリレート系紫外線硬化型樹脂(商品名:
MH−7210;三菱レイヨン(株)社製)を上記基板
上の、中心孔と同心の半径16.5mmの円周上に円環
状に供給し(図2(a))、スピンコート法により約6
μmの厚さに、基板の中心孔と同心の半径16mmの円
及び半径43mmの円で囲まれたドーナツ形状の領域に
前記記録層4を覆うように塗布した。次いで、紫外線を
照射して第1保護層5を形成した。更に、第1保護層上
に表面張力が23℃で約37mN/mのエポキシアクリ
レート系紫外線硬化型樹脂(商品名:EX−841;大
日本インキ(株)社製)を第1保護層上の、この層の中
心孔と同心の半径16.5mmの位置に円環状に供給し
(図2(b))、スピンコート法により厚さ約4μmの
第2保護層を形成して図2(c)に示すような多層保護
層付光磁気ディスクを作成した。
【0032】このように硬化形成された第1保護層の開
口の半径r1 が約16mmに対して、第2保護層の開口
の半径r2 は16.2mmであった。また、第1保護層
材料の基板との接触角は約30度、第2保護層材料の第
1層保護層との接触角は約60度であった。本例では、
表面張力の異なる材料を使用することによって、接触角
を変えている。すなわち、第1保護層材料として、第2
保護層材料よりも表面張力の小さい材料を使用すること
により、第1保護層材料の基板との接触角を、第2保護
層材料の第1層保護層との接触角よりも小さくしてい
る。このことにより、上地材料の接触角が大きくなるた
め、塗布位置及び膜厚の制御が容易になり生産性が向上
した。
【0033】実施例2 第1保護層の材料として表面張力が23℃で約37mN
/mのエポキシアクリレート系紫外線硬化型樹脂(商品
名:EX−841;大日本インキ(株)社製)を約40
℃の加温状態で使用し、第2保護層の材料として第1保
護層に用いたエポキシアクリレート系紫外線硬化型樹脂
を約15℃の冷却状態で使用したこと以外は、実施例1
と同様にして光磁気ディスクを製造した。
【0034】このように硬化形成された第1保護層の開
口の半径r1 が約16mmに対して、第2保護層の開口
の半径r2 は16.3mmであった。また、第1保護層
材料の基板との接触角は約30度、第2保護層材料の第
1層保護層との接触角は約63度であった。この実施例
では、材料を塗布する時の温度を変更することによっ
て、接触角を変えている。すなわち、第1保護層材料の
塗布温度を高くし、第2保護層材料の塗布温度を低くす
ることにより、第1保護層材料の基板との接触角を、第
2保護層材料の第1保護層との接触角よりも小さくして
いる。このように各材料の接触角を温度制御により変更
できるため、表面張力や粘度等で制限されることなくさ
まざまな材料を使用できる。
【0035】実施例3 実施例1において第2保護層材料の塗布位置を第1保護
層上の、この層の中心孔と同心の半径17.5mmの位
置に円環状に供給した以外は実施例1と同様にして光磁
気ディスクを作成した。得られた第2保護層の開口の半
径(r2 )は17.2mmであった。
【0036】実施例4 実施例2において第2保護層材料の塗布位置を第1保護
層上の、この層の中心孔と同心の半径17.5mmの円
周上の位置に円環状に供給した以外は実施例2と同様に
して光磁気ディスクを作成した。得られた第2保護層の
開口の半径(r 2 )は17.3mmであった。
【0037】実施例5 実施例1と同様にしてポリカーボネート基板上に記録層
を形成した。次に表面張力が23℃で約40mN/mの
ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂(商品名:S
D−301;大日本インキ(株)社製)をこの基板上
の、中心孔と同心の半径16.5mmの円周上に円環状
に供給し、スピンコート法により基板の中心孔と同心の
半径43mmの円と基板の中心孔と同心の半径16mm
の円とで囲まれるドーナツ状の領域に塗布し、記録層を
被覆する厚さ6μmの樹脂層を形成し、次いでこの樹脂
層に紫外線を照射して硬化せしめて第1保護層を形成し
た。次に23℃における表面張力が約26mN/mの、
帯電防止剤を含有したエポキシアクリレート系紫外線硬
化型樹脂(商品名:MH−7210;三菱レイヨン
(株)社製)を第1保護層上の、基板の中心孔と同心の
半径19.5mmの円周上に円環状に供給し、スピンコ
ート法で約4μmの厚さに塗布し、紫外線を照射して第
2保護層を形成し光磁気ディスクを得た。
【0038】このように形成された第1保護層の開口の
半径r1 は約16mm、第2保護層の開口の半径r2
約17.5mmであった。第1保護層材料樹脂の基板と
の接触角は約60度、第2保護層材料樹脂の第1層保護
層との接触角はより小で約30度であったが、樹脂塗布
の際の円環小円の径を変えてあったため、この実施例で
得られた光磁気ディスクにおいては、第2保護層表面に
目視で確認できる不均一な厚さを有するスジが生ずるこ
となく、光磁気ディスクの歩留りが向上した。
【0039】比較例1 実施例5において第2保護層用光硬化性樹脂組成物を第
1保護層上の、基板の中心孔と同心の半径16.5mm
の円周上に円環状に供給した以外は実施例5と同様にし
て光磁気ディスクを作成した。
【0040】得られた第2保護層表面には第2保護層の
開口部から放射状に伸びるストライプが目視で認めら
れ、その部分の第2保護層の膜厚は所定の4μmよりも
厚く形成されており、光磁気ディスク、特に磁界変調記
録方式の光磁気ディスクとして不適であった。
【0041】実施例6 100枚の光磁気ディスクを実施例1と同様の方法で作
成し、第2保護層の表面に目視で観察できるストリーク
のない光磁気ディスクの割合を算出した。その結果を表
−1に示す。
【0042】
【表1】 実施例7〜10 100枚の光磁気ディスクをそれぞれ実施例2〜5と同
様の方法で作成し、実施例6におけると同じ方法で評価
してその結果を表1に示した。
【0043】比較例2 100枚の光磁気ディスクを比較例1と同様の方法で作
成し、実施例6におけると同じ方法で評価してその結果
を表1に示した。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
多層構成の円環状の保護層を形成する際にn+1番目の
保護層の小円をn番目の保護層の小円よりも大に形成す
ることにより、スジ状の膜厚ムラの発生を防止すること
ができる。更に、前記n+1番目の保護層を形成する硬
化性樹脂のn番目の保護層(nが0の場合は基板)との
接触角を、n+2番目の保護層の硬化性樹脂のn+1番
目の保護層との接触角よりも小さくすることにより、樹
脂の塗布位置及び膜厚制御が容易になるため、生産性が
向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の一例を示す模式的断面図
である。
【図2】本発明の光記録媒体の製造方法の一例を説明す
る模式的断面図である。
【符号の説明】
1 光記録媒体 2 基板 3 中心孔 4 記録層 5 第1保護層 6 第2保護層 7 開口 8 光硬化性樹脂組成物 9 光硬化性樹脂組成物 31 側壁

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的に透明な、開口を有する基板上に
    記録層と保護層とを有する光記録媒体において、該保護
    層は前記基板の開口と中心が一致し該基板の開口よりも
    大きな開口を有することを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】 該基板の開口及び該保護層の開口が円形
    である請求項1記載の光記録媒体。
  3. 【請求項3】 該保護層は複数の保護層を有する多層保
    護層であって、前記基板から数えて(n+1)番目(但
    しnは1以上の整数)の保護層の開口の直径は、該
    (n)番目の保護層の開口の直径よりも大きいことを特
    徴とする請求項2記載の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記(n+1)番目の保護層及び(n)
    番目の保護層が光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる請
    求項1記載の光記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記多層保護層の前記記録層に近い側か
    ら数えて1番目の保護層及び前記記録層に近い側から数
    えて2番目の保護層は、それぞれ前記1番目の保護層に
    用いる光硬化性樹脂組成物の基板との接触角が、前記2
    番目の保護層に用いる光硬化性樹脂組成物の前記1番目
    の保護層との接触角よりも小さいという関係を満たすよ
    うに選ばれた光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる請求
    項2記載の光記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記(n+1)番目の保護層及び前記
    (n+2)番目の保護層は、それぞれ前記多層保護層の
    (n+1)番目の保護層に用いる光硬化性樹脂組成物の
    (n)番目の保護層との接触角が、前記(n+2)番目
    の保護層に用いる光硬化性樹脂組成物の前記(n+1)
    番目の保護層との接触角よりも小さいという関係を満た
    すように選ばれた光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる
    請求項2記載の光記録媒体。
  7. 【請求項7】 光学的に透明な、開口を有する基板上に
    記録層と保護層とを有する光記録媒体の製造方法におい
    て、 該基板上に、該記録層を被覆しかつその中心が該基板の
    開口の中心と一致する開口を有し、該保護層の開口が該
    基板の開口より大きくなるように該保護層を形成するこ
    とを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 該基板の開口及び該保護層の開口が円形
    である請求項7記載の光記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 該保護層は複数の保護層を有する多層保
    護層であり、前記多層保護層の前記基板から数えて(n
    +1)番目(但しnは1以上の整数)の保護層は、その
    開口の直径が(n)番目の保護層の開口の直径よりも大
    きくなるように形成することを特徴とする請求項8記載
    の光記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 該保護層が、光硬化性樹脂の硬化物か
    らなる請求項7記載の光記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記多層保護層の前記記録層を被覆す
    る1番目の保護層に用いる未硬化の光硬化性樹脂組成物
    の基板との接触角が、前記1番目の保護層上に形成され
    る2番目の保護層に用いる未硬化の光硬化性樹脂組成物
    の前記1番目の保護層との接触角よりも小さいという関
    係を満たすように選ばれた光硬化性樹脂組成物を塗布・
    硬化させて前記第1の保護層及び前記第2の保護層を形
    成する請求項7記載の光記録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記(n+1)番目の保護層に用いる
    未硬化の光硬化性樹脂組成物の(n)番目の保護層との
    接触角が、(n+2)番目の保護層に用いる未硬化の光
    硬化性樹脂組成物の前記(n+1)番目の保護層との接
    触角よりも小さいという関係を満たすように選ばれた光
    硬化性樹脂組成物を塗布・硬化させて前記(n+1)番
    目及び(n+2)番目の保護層を形成する請求項7記載
    の光記録媒体の製造方法。
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