JPH08259283A - 製鋼スラグのエージング方法 - Google Patents
製鋼スラグのエージング方法Info
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- JPH08259283A JPH08259283A JP6621095A JP6621095A JPH08259283A JP H08259283 A JPH08259283 A JP H08259283A JP 6621095 A JP6621095 A JP 6621095A JP 6621095 A JP6621095 A JP 6621095A JP H08259283 A JPH08259283 A JP H08259283A
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- Japan
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Abstract
(57)【要約】
【目的】製鋼スラグの膨張・崩壊を防止するための効率
的なエージング処理方法を提供する。 【構成】温度80℃以上、相対湿度60%以上の雰囲気
下で、エージング時間t(hr)をスラグ組成X=(%
CaO)+(%MgO)の最高濃度に従って以下の式で
規定する範囲とする。 X≦47の時:t>6 47<X≦55の時:t>2.25X−99.75 55<Xの時:t>16X−856
的なエージング処理方法を提供する。 【構成】温度80℃以上、相対湿度60%以上の雰囲気
下で、エージング時間t(hr)をスラグ組成X=(%
CaO)+(%MgO)の最高濃度に従って以下の式で
規定する範囲とする。 X≦47の時:t>6 47<X≦55の時:t>2.25X−99.75 55<Xの時:t>16X−856
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、路盤材として使用され
る製鋼スラグの膨張・崩壊を防止するための製鋼スラグ
のエージング処理方法に関する。
る製鋼スラグの膨張・崩壊を防止するための製鋼スラグ
のエージング処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】転炉スラグ等の製鋼スラグは遊離CaO
を含むため、水と接触することにより下記の反応を生ず
る。 CaO+H2 O → Ca(OH)2 ………(1) 上記反応によりCa(OH)2 が生成する際、体積が約
2倍に膨張する。したがって、遊離CaOを多量に含む
スラグを路盤材に使用した場合、水と接触することによ
りスラグが徐々に膨張し、この結果、路盤の凸凹、亀裂
が生じ、道路を破壊し、車両の走行に支障をきたすよう
になる。
を含むため、水と接触することにより下記の反応を生ず
る。 CaO+H2 O → Ca(OH)2 ………(1) 上記反応によりCa(OH)2 が生成する際、体積が約
2倍に膨張する。したがって、遊離CaOを多量に含む
スラグを路盤材に使用した場合、水と接触することによ
りスラグが徐々に膨張し、この結果、路盤の凸凹、亀裂
が生じ、道路を破壊し、車両の走行に支障をきたすよう
になる。
【0003】このような製鋼スラグを使用する際の膨張
を防止するため、路盤材等に使用する前に、(1)式の
反応により遊離CaOを減少させ膨張を終わらせておく
ように、種々のエージング処理が実施されている。従
来、一般には徐冷した製鋼スラグを破砕し、粒度調整し
た後、野外に山積みし、最低3ケ月放置して、雨水等に
より水和反応を行わせることにより、遊離CaOを安定
化する大気エージング処理が実施されている。しかし、
実際には膨張率をJISの製鋼スラグの膨張基準である
1.5%以下とするためには1年以上の放置が必要とな
っており、多大な時間と土地が必要となっている。
を防止するため、路盤材等に使用する前に、(1)式の
反応により遊離CaOを減少させ膨張を終わらせておく
ように、種々のエージング処理が実施されている。従
来、一般には徐冷した製鋼スラグを破砕し、粒度調整し
た後、野外に山積みし、最低3ケ月放置して、雨水等に
より水和反応を行わせることにより、遊離CaOを安定
化する大気エージング処理が実施されている。しかし、
実際には膨張率をJISの製鋼スラグの膨張基準である
1.5%以下とするためには1年以上の放置が必要とな
っており、多大な時間と土地が必要となっている。
【0004】エージング時間を短縮する方法として、特
開昭61−101441号公報に高温度の水蒸気吹き込
みにより、製鋼スラグをエージングする方法が開示され
ている。この方法では80〜100℃の水蒸気で処理が
行われるため、常温に比べ遊離CaOの安定化が速く進
み、48〜144時間で処理がなされ、大気エージング
に比べ短時間で製鋼スラグのエージング処理を実施する
ことができる。さらに特開平4−175250号公報で
は水蒸気エージングの水蒸気量削減方法として、スラグ
層に複数の温度計を埋設し、100℃まで昇温した後蒸
気を止め、温度が設定下限温度(95℃)になると蒸気
を流すことを繰り返す方法が開示されている。
開昭61−101441号公報に高温度の水蒸気吹き込
みにより、製鋼スラグをエージングする方法が開示され
ている。この方法では80〜100℃の水蒸気で処理が
行われるため、常温に比べ遊離CaOの安定化が速く進
み、48〜144時間で処理がなされ、大気エージング
に比べ短時間で製鋼スラグのエージング処理を実施する
ことができる。さらに特開平4−175250号公報で
は水蒸気エージングの水蒸気量削減方法として、スラグ
層に複数の温度計を埋設し、100℃まで昇温した後蒸
気を止め、温度が設定下限温度(95℃)になると蒸気
を流すことを繰り返す方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開昭61−1014
11号公報に開示されているような方法では、大気エー
ジングに比べ短時間でエージング処理を行うことができ
るといった効果がある。しかし、スラグの種類、組成に
よらず水蒸気を流すエージング時間が48時間以上とな
っており、実際には48時間よりも短い時間でエージン
グできるスラグに対しては水蒸気を無駄に使用している
ことになる。さらに特開昭61−101411号公報で
は、48時間以上の水蒸気吹き込みの後、水蒸気の供給
を停止し、そのままの状態で7日間放置する、いわゆる
養生と称する処理を行っており、1回の処理で9日間以
上もの長い期間をエージングのため必要としていた。
11号公報に開示されているような方法では、大気エー
ジングに比べ短時間でエージング処理を行うことができ
るといった効果がある。しかし、スラグの種類、組成に
よらず水蒸気を流すエージング時間が48時間以上とな
っており、実際には48時間よりも短い時間でエージン
グできるスラグに対しては水蒸気を無駄に使用している
ことになる。さらに特開昭61−101411号公報で
は、48時間以上の水蒸気吹き込みの後、水蒸気の供給
を停止し、そのままの状態で7日間放置する、いわゆる
養生と称する処理を行っており、1回の処理で9日間以
上もの長い期間をエージングのため必要としていた。
【0006】また、特開昭61−175250号公報に
開示されているような方法では、水蒸気を間欠的に流す
ため10℃の温度低下中にエージングが遅れるおそれが
あり、複数本の温度計で制御するため、一番低い温度の
温度計を基準にして水蒸気を流すと水蒸気を過剰に使用
してしまうおそれがある。本発明では、水蒸気原単位
(スラグ1トン当たりの水蒸気量)を減少でき、かつ処
理時間を短縮できる製鋼スラグの水蒸気エージング方法
を提供することを目的とする。
開示されているような方法では、水蒸気を間欠的に流す
ため10℃の温度低下中にエージングが遅れるおそれが
あり、複数本の温度計で制御するため、一番低い温度の
温度計を基準にして水蒸気を流すと水蒸気を過剰に使用
してしまうおそれがある。本発明では、水蒸気原単位
(スラグ1トン当たりの水蒸気量)を減少でき、かつ処
理時間を短縮できる製鋼スラグの水蒸気エージング方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解
決するために開発されたもので、製鋼スラグをエージン
グする方法において、温度80℃以上、相対湿度60%
以上の雰囲気下で一定エージング時間保持することを特
徴とする製鋼スラグのエージング方法を提供する。この
場合に、前記エージング時間t(hr)をスラグ組成X
=(%CaO)+(%MgO)の最高濃度に従って以下
の式で規定する範囲とすればよい。
決するために開発されたもので、製鋼スラグをエージン
グする方法において、温度80℃以上、相対湿度60%
以上の雰囲気下で一定エージング時間保持することを特
徴とする製鋼スラグのエージング方法を提供する。この
場合に、前記エージング時間t(hr)をスラグ組成X
=(%CaO)+(%MgO)の最高濃度に従って以下
の式で規定する範囲とすればよい。
【0008】X≦47の時:t>6 47<X≦55の時:t>2.25X−99.75 55<Xの時:t>16X−856 ただし、上記「組成Xの最高濃度に従って」とはスラグ
組成が不均一なスラグに対して(%CaO)+(%Mg
O)濃度が最も高い組成Xの値を用いて上記式でエージ
ング時間を決めることを云う。
組成が不均一なスラグに対して(%CaO)+(%Mg
O)濃度が最も高い組成Xの値を用いて上記式でエージ
ング時間を決めることを云う。
【0009】また本発明は、スラグ全体の温度とこれに
接触させる水蒸気との温度差が5℃以下になるまで水蒸
気流量をスラグ1トン当り10kg/h以上の流量で昇
温・エージングし、その後水蒸気流量を減少させ上記一
定エージング時間保持することとすると好適である。
接触させる水蒸気との温度差が5℃以下になるまで水蒸
気流量をスラグ1トン当り10kg/h以上の流量で昇
温・エージングし、その後水蒸気流量を減少させ上記一
定エージング時間保持することとすると好適である。
【0010】
【作用】水蒸気エージングを行う場合に、水蒸気の雰囲
気下にさらされる製鋼スラグは80℃、相対湿度60%
以上の雰囲気に保つ必要がある。80℃未満ではエージ
ングの進行がきわめて遅くなり、不経済である。粒度を
4.75〜13.2mmに調整したスラグ230gを、
直径50mm、高さ約40mmに2ton/cm2 の圧
力でプレス成形したものを容器に入れ、所定の条件にし
た恒温恒湿槽内で保持し、膨張率を測定した。膨張率
は、ダイヤルゲージを取り付けておき、膨張した長さを
24時間毎に記録し、元の長さに対して何%膨張したか
を求めた。最終膨張率が3.75%である転炉スラグを
80℃、70℃、60℃で相対湿度を種々変化させた雰
囲気中に240時間保持した後の膨張率測定結果を図1
に示した。温度80℃で相対湿度60%以上のときスラ
グの膨張率は3.3%以上に達し、ほぼ満足すべき結果
を得た。温度が70℃、60℃では、エージング効果が
不十分であり、また温度が80℃でも相対湿度が60%
未満では、不十分である。図1によれば、雰囲気中の相
対湿度は80℃において少なくとも60%以上とするこ
とが必要である。相対湿度は高い方がよく温度80℃に
おいて好ましくは80%以上とするのがよい。
気下にさらされる製鋼スラグは80℃、相対湿度60%
以上の雰囲気に保つ必要がある。80℃未満ではエージ
ングの進行がきわめて遅くなり、不経済である。粒度を
4.75〜13.2mmに調整したスラグ230gを、
直径50mm、高さ約40mmに2ton/cm2 の圧
力でプレス成形したものを容器に入れ、所定の条件にし
た恒温恒湿槽内で保持し、膨張率を測定した。膨張率
は、ダイヤルゲージを取り付けておき、膨張した長さを
24時間毎に記録し、元の長さに対して何%膨張したか
を求めた。最終膨張率が3.75%である転炉スラグを
80℃、70℃、60℃で相対湿度を種々変化させた雰
囲気中に240時間保持した後の膨張率測定結果を図1
に示した。温度80℃で相対湿度60%以上のときスラ
グの膨張率は3.3%以上に達し、ほぼ満足すべき結果
を得た。温度が70℃、60℃では、エージング効果が
不十分であり、また温度が80℃でも相対湿度が60%
未満では、不十分である。図1によれば、雰囲気中の相
対湿度は80℃において少なくとも60%以上とするこ
とが必要である。相対湿度は高い方がよく温度80℃に
おいて好ましくは80%以上とするのがよい。
【0011】次に、製鋼スラグ中の成分X=(%Ca
O)+(%MgO)がエージングに及ぼす影響について
調べた。転炉スラグ、脱珪スラグ、脱りん、脱Sスラグ
各10kgを路盤材の粒度に調整した後、時間を変えて
水蒸気雰囲気下に保持した。その後、JISの水浸膨張
試験を実施した。転炉スラグと比較して、溶銑予備処理
スラグである脱珪スラグ、脱りん脱Sスラグは同一チャ
ージのものでも、外観上、色、形状の異なるものがあり
それらを分別して、化学組成を分析すると大きく異なる
場合があった。そこで、分別したものをそれぞれ水蒸気
でエージングし、JISの水浸膨張試験を実施した。同
一チャージで組成が異なるものも、X=(%CaO)+
(%MgO)で整理することができた。
O)+(%MgO)がエージングに及ぼす影響について
調べた。転炉スラグ、脱珪スラグ、脱りん、脱Sスラグ
各10kgを路盤材の粒度に調整した後、時間を変えて
水蒸気雰囲気下に保持した。その後、JISの水浸膨張
試験を実施した。転炉スラグと比較して、溶銑予備処理
スラグである脱珪スラグ、脱りん脱Sスラグは同一チャ
ージのものでも、外観上、色、形状の異なるものがあり
それらを分別して、化学組成を分析すると大きく異なる
場合があった。そこで、分別したものをそれぞれ水蒸気
でエージングし、JISの水浸膨張試験を実施した。同
一チャージで組成が異なるものも、X=(%CaO)+
(%MgO)で整理することができた。
【0012】従って、1チャージ分および数チャージ分
の大量のスラグを水蒸気エージング処理する際には、全
体のスラグ中で最も(%CaO)+(%MgO)の高い
部分を基準に水蒸気エージング時間を決める必要があ
る。具体的な時間の決め方としては、1つのチャージ中
で外観の異なるものなどを多数サンプリングし、最も
(%CaO)+(%MgO)の高い値を予め求めてお
き、その濃度を基準に同様の処理を行っているスラグに
対する水蒸気エージング時間を設定すればよい。
の大量のスラグを水蒸気エージング処理する際には、全
体のスラグ中で最も(%CaO)+(%MgO)の高い
部分を基準に水蒸気エージング時間を決める必要があ
る。具体的な時間の決め方としては、1つのチャージ中
で外観の異なるものなどを多数サンプリングし、最も
(%CaO)+(%MgO)の高い値を予め求めてお
き、その濃度を基準に同様の処理を行っているスラグに
対する水蒸気エージング時間を設定すればよい。
【0013】図2はX=(%CaO)+(%MgO)が
40〜65%の各種のスラグについて温度80℃相対温
度60%の条件下でエージングしたときに、エージング
後のスラグの膨張率が1.5%未満となるまでの時間を
プロットしたものである。図2に示すように、Xが増加
するに従って、エージングの所要時間が長くなりエージ
ングが困難になることが判明した。特にXが60%を越
えるとエージング時間は著しく長くなる。
40〜65%の各種のスラグについて温度80℃相対温
度60%の条件下でエージングしたときに、エージング
後のスラグの膨張率が1.5%未満となるまでの時間を
プロットしたものである。図2に示すように、Xが増加
するに従って、エージングの所要時間が長くなりエージ
ングが困難になることが判明した。特にXが60%を越
えるとエージング時間は著しく長くなる。
【0014】これらの結果をまとめると、スラグの膨張
率が1.5%未満となるエージング時間t(hr)は次
のようにする必要がある。 X≦47の時:t>6 47<X≦55の時:t>2.25X−99.75 55<Xの時:t>16X−856 ここでのエージング時間t(hr)は、スラグ全体の温
度が流している80℃以上の水蒸気の温度との温度差が
5℃以下となった後の時間を指す。この場合、水蒸気を
止めた後の養生時間は必要としない。
率が1.5%未満となるエージング時間t(hr)は次
のようにする必要がある。 X≦47の時:t>6 47<X≦55の時:t>2.25X−99.75 55<Xの時:t>16X−856 ここでのエージング時間t(hr)は、スラグ全体の温
度が流している80℃以上の水蒸気の温度との温度差が
5℃以下となった後の時間を指す。この場合、水蒸気を
止めた後の養生時間は必要としない。
【0015】製鋼スラグ中の遊離CaO等をエージング
処理するために、山積みしてその底部から水蒸気を供給
してエージングする方法では、山積みしたスラグ全体が
水蒸気の温度にほぼ近い高温になるまでにはスラグの必
要顕熱、熱伝達機構及び水蒸気流量に応じた時間がかか
る。また、山積みしたスラグ全体をエージング処理する
には、スラグの性状にもよるが、水蒸気が接している一
定以上の時間が必要である。従来の一定流量の水蒸気を
所定時間流す方法では、山積みしたスラグの昇温に時間
が掛かり過ぎ、逆にスラグの温度が水蒸気温度に近い温
度になると熱伝達量が少なくなり水蒸気量が過剰となり
無駄になる。山積みしたスラグの高さが2mの場合の水
蒸気流量とスラグ頂上の部分の温度が100℃に到達す
る時間との関係を図3に示す。図3から明らかなよう
に、昇温中は水蒸気量が多いほど昇温時間が短く、処理
時間を短縮することができる。スラグ温度が水蒸気の温
度に近い温度まで昇温した後はできるだけ水蒸気流量を
絞った方が蒸気原単位が少なくなる。ただし、水蒸気流
量を絞り過ぎるとスラグ層の温度低下を招くのでこれを
避けなければならない。
処理するために、山積みしてその底部から水蒸気を供給
してエージングする方法では、山積みしたスラグ全体が
水蒸気の温度にほぼ近い高温になるまでにはスラグの必
要顕熱、熱伝達機構及び水蒸気流量に応じた時間がかか
る。また、山積みしたスラグ全体をエージング処理する
には、スラグの性状にもよるが、水蒸気が接している一
定以上の時間が必要である。従来の一定流量の水蒸気を
所定時間流す方法では、山積みしたスラグの昇温に時間
が掛かり過ぎ、逆にスラグの温度が水蒸気温度に近い温
度になると熱伝達量が少なくなり水蒸気量が過剰となり
無駄になる。山積みしたスラグの高さが2mの場合の水
蒸気流量とスラグ頂上の部分の温度が100℃に到達す
る時間との関係を図3に示す。図3から明らかなよう
に、昇温中は水蒸気量が多いほど昇温時間が短く、処理
時間を短縮することができる。スラグ温度が水蒸気の温
度に近い温度まで昇温した後はできるだけ水蒸気流量を
絞った方が蒸気原単位が少なくなる。ただし、水蒸気流
量を絞り過ぎるとスラグ層の温度低下を招くのでこれを
避けなければならない。
【0016】本発明においては、山積みしたスラグを昇
温する際に水蒸気流量をスラグ1トン当り10kg/h
以上にしたため、昇温が速く進み2mの高さでは16時
間以内で100℃まで昇温できる。また、昇温後は、ス
ラグの熱伝導率が低く、山積みしたスラグの保温効果が
高いため、温度低下が非常に遅い、そのため、山積みし
たスラグ全体を100℃近い高温に保つには、少量の蒸
気でよい。図4は水蒸気エージングパイロットプラント
における2mの高さに山積みした各種のスラグについ
て、100℃に近い温度になった後に少量の水蒸気を供
給した場合のスラグ頂部から200mm下の位置の温度
変化の例を示したものである。スラグ1トン当り0.3
kg/h以上の水蒸気を供給すればよいことが分かる。
温する際に水蒸気流量をスラグ1トン当り10kg/h
以上にしたため、昇温が速く進み2mの高さでは16時
間以内で100℃まで昇温できる。また、昇温後は、ス
ラグの熱伝導率が低く、山積みしたスラグの保温効果が
高いため、温度低下が非常に遅い、そのため、山積みし
たスラグ全体を100℃近い高温に保つには、少量の蒸
気でよい。図4は水蒸気エージングパイロットプラント
における2mの高さに山積みした各種のスラグについ
て、100℃に近い温度になった後に少量の水蒸気を供
給した場合のスラグ頂部から200mm下の位置の温度
変化の例を示したものである。スラグ1トン当り0.3
kg/h以上の水蒸気を供給すればよいことが分かる。
【0017】本発明では、山積みしたスラグ全体が10
0℃に近い温度になった時点で、高温に保つことができ
る水蒸気量に流量を絞って水蒸気の無駄をなくすように
した。この保温用の水蒸気流量はスラグの種類、粒度、
山積みの形状、周囲の環境、外気温度、その他の条件に
応じて実験値等を参照して適切に定めることが可能であ
る。
0℃に近い温度になった時点で、高温に保つことができ
る水蒸気量に流量を絞って水蒸気の無駄をなくすように
した。この保温用の水蒸気流量はスラグの種類、粒度、
山積みの形状、周囲の環境、外気温度、その他の条件に
応じて実験値等を参照して適切に定めることが可能であ
る。
【0018】
【実施例】本発明の実施例を比較例と共に説明する。蒸
気エージング設備は蒸気配管を複数本平行に並べ、玉砂
利層内に埋設したものである。この蒸気配管には一定間
隔毎に蒸気吹き出し口が設けられている。製鋼スラグの
水蒸気エージングは、この水蒸気配管を埋設した玉砂利
層の上に所定粒度に調整したスラグを山積みし、配管よ
り水蒸気を吹き出すことにより行った。処理を行ったス
ラグの化学組成を表1に示す。転炉スラグ、脱珪スラ
グ、脱燐脱硫スラグに対し水蒸気エージング処理を実施
した。1回のスラグ処理量は100〜150ton、配
管出口での温度100℃の水蒸気を使用した。水蒸気エ
ージング処理条件および処理後のJIS水浸膨張試験結
果を表2に示す。
気エージング設備は蒸気配管を複数本平行に並べ、玉砂
利層内に埋設したものである。この蒸気配管には一定間
隔毎に蒸気吹き出し口が設けられている。製鋼スラグの
水蒸気エージングは、この水蒸気配管を埋設した玉砂利
層の上に所定粒度に調整したスラグを山積みし、配管よ
り水蒸気を吹き出すことにより行った。処理を行ったス
ラグの化学組成を表1に示す。転炉スラグ、脱珪スラ
グ、脱燐脱硫スラグに対し水蒸気エージング処理を実施
した。1回のスラグ処理量は100〜150ton、配
管出口での温度100℃の水蒸気を使用した。水蒸気エ
ージング処理条件および処理後のJIS水浸膨張試験結
果を表2に示す。
【0019】実施例では昇温中の蒸気流量を増加させた
ため、短時間で山積みしたスラグの昇温が完了した。そ
のため、処理全体の時間が同一スラグで比較例の50〜
70%に短縮された。山積みしたスラグ全体がほぼ10
0℃になった後、水蒸気流量をスラグ1トン当り0.3
〜1kg/hに絞って保温した。従って、無駄な水蒸気
を削減することができ、水蒸気原単位が同一スラグで比
較例の60〜90%に削減することができた。比較例で
は処理の初めに十分な水蒸気を供給せず、終わりまで比
較的多量の水蒸気を供給したため、山積みしたスラグの
上部までの昇温に1日以上の所要時間が掛かり、昇温後
は山積みしたスラグを通過して大気中に放散される水蒸
気が多く水蒸気の無駄が多い。水浸膨張率については同
種スラグで比較すると、実施例と比較例でほぼ同一の基
準値以下の低値が得られた。
ため、短時間で山積みしたスラグの昇温が完了した。そ
のため、処理全体の時間が同一スラグで比較例の50〜
70%に短縮された。山積みしたスラグ全体がほぼ10
0℃になった後、水蒸気流量をスラグ1トン当り0.3
〜1kg/hに絞って保温した。従って、無駄な水蒸気
を削減することができ、水蒸気原単位が同一スラグで比
較例の60〜90%に削減することができた。比較例で
は処理の初めに十分な水蒸気を供給せず、終わりまで比
較的多量の水蒸気を供給したため、山積みしたスラグの
上部までの昇温に1日以上の所要時間が掛かり、昇温後
は山積みしたスラグを通過して大気中に放散される水蒸
気が多く水蒸気の無駄が多い。水浸膨張率については同
種スラグで比較すると、実施例と比較例でほぼ同一の基
準値以下の低値が得られた。
【0020】本発明においては、特に設備の改造を必要
としなかった。本発明法により、路盤材向け製鋼スラグ
のエージング処理を短時間かつ少ない水蒸気量で実施で
きるようになった。
としなかった。本発明法により、路盤材向け製鋼スラグ
のエージング処理を短時間かつ少ない水蒸気量で実施で
きるようになった。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】本発明は製鋼スラグを水蒸気エージング
処理する際に、昇温中はスラグ1トン当り10kg/h
以上の大量の水蒸気を流すため、昇温時間を短縮するこ
とができ、山積みしたスラグ全体が水蒸気温度にほぼ近
い温度まで上昇した後は、水蒸気流量を保温に必要な流
量、例えばスラグ1トン当り0.3kg/h程度に減少
させたため、水蒸気原単位を従来の60〜90%に削減
することができ、処理時間も短縮することができた。本
発明法により、処理時間の短縮と水蒸気原単位削減によ
る経済性の両立ができ、かつ遊離CaOの安定化を完了
でき、路盤材に適したスラグに処理できる。
処理する際に、昇温中はスラグ1トン当り10kg/h
以上の大量の水蒸気を流すため、昇温時間を短縮するこ
とができ、山積みしたスラグ全体が水蒸気温度にほぼ近
い温度まで上昇した後は、水蒸気流量を保温に必要な流
量、例えばスラグ1トン当り0.3kg/h程度に減少
させたため、水蒸気原単位を従来の60〜90%に削減
することができ、処理時間も短縮することができた。本
発明法により、処理時間の短縮と水蒸気原単位削減によ
る経済性の両立ができ、かつ遊離CaOの安定化を完了
でき、路盤材に適したスラグに処理できる。
【図1】雰囲気の温度・相対湿度と未エージングスラグ
の膨張率との関係を示すグラフである。
の膨張率との関係を示すグラフである。
【図2】(%CaO)+(%MgO)とエージング時間
との関係を示すグラフである。
との関係を示すグラフである。
【図3】水蒸気流量と昇温時間の関係を示すグラフであ
る。
る。
【図4】水蒸気流量と温度低下の関係を示すグラフであ
る。
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松永 久宏 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 熊谷 正人 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 田口 整司 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 佐藤 幸男 千葉市中央区川崎町1番地 川鉄鉱業株式 会社千葉製造所内
Claims (3)
- 【請求項1】 製鋼スラグをエージングする方法におい
て、温度80℃以上、相対湿度60%以上の雰囲気下で
一定エージング時間保持することを特徴とする製鋼スラ
グのエージング方法。 - 【請求項2】 前記エージング時間t(hr)をスラグ
組成X=(%CaO)+(%MgO)の最高濃度に従っ
て以下の式で規定する範囲とすることを特徴とする請求
項1記載の製鋼スラグのエージング方法。 X≦47の時:t>6 47<X≦55の時:t>2.25X−99.75 55<Xの時:t>16X−856 - 【請求項3】 スラグ全体の温度と水蒸気の温度差が5
℃以下になるまで水蒸気流量をスラグ1トン当り10k
g/h以上の流量で昇温・エージングし、その後水蒸気
流量を減少させ一定エージング時間保持することを特徴
とする請求項1記載の製鋼スラグのエージング方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6621095A JPH08259283A (ja) | 1995-03-24 | 1995-03-24 | 製鋼スラグのエージング方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6621095A JPH08259283A (ja) | 1995-03-24 | 1995-03-24 | 製鋼スラグのエージング方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08259283A true JPH08259283A (ja) | 1996-10-08 |
Family
ID=13309245
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6621095A Pending JPH08259283A (ja) | 1995-03-24 | 1995-03-24 | 製鋼スラグのエージング方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08259283A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008247665A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Iwate Industrial Research Center | 鉄鋼スラグ肥料の製造方法 |
JP2018124276A (ja) * | 2017-02-02 | 2018-08-09 | Jfeスチール株式会社 | 鉄含有酸化物の膨張率測定方法および粒状材の製造方法 |
-
1995
- 1995-03-24 JP JP6621095A patent/JPH08259283A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008247665A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Iwate Industrial Research Center | 鉄鋼スラグ肥料の製造方法 |
JP2018124276A (ja) * | 2017-02-02 | 2018-08-09 | Jfeスチール株式会社 | 鉄含有酸化物の膨張率測定方法および粒状材の製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20030128 |