JPH0825866B2 - 入浴剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、入浴剤組成物、更に詳しくは、入浴後の肌
をしっとりさせ、且つ入浴中及び入浴後にすべすべした
感触をもたらし、しかも入浴後の保湿効果が高い入浴剤
組成物に関する。

〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕

入浴は、身体を清潔にし、手足のみならず身体を芯ま
で温め、精神的にもリラックスさせる等の種々の効果が
あり、日常生活上欠くことのできない行為である。

一方、入浴による肌からの油分の喪失、特に冬期にお
ける入浴後の肌のかさつきを訴える人が多い。そこで、
この入浴後の肌のかさつきを抑制するために、入浴後に
ローションやクリーム等を塗布することが行われてき
た。しかし、ローションやクリームは塗布に手間を要
し、お年寄りにとっては充分に体の隅々まで塗ることは
困難である。

また、入浴剤は、上記のような問題の解決についても
検討されて造られており、入浴剤には油の添加や保湿剤
の添加が行われている。そして、このような入浴剤を用
いることにより、入浴中にスキンケアすることは、ロー
ションやクリーム等を塗布する手間が省け、全身をケア
の対象とすることができるという利点がある。

入浴後の肌のかさつきを抑制するためには、油等の油
性成分が有効であり、油等の油性成分を配合した入浴剤
としては、オイルバスがある。しかし、この入浴剤は、
油性成分を浴湯に浮かべるものであり、油性成分を、肌
のかさつきの抑制効果が発揮されるに十分な量を添加し
た入浴剤を用いた場合、油性成分が必要以上に肌に付着
することによるべとつき感があり、しかも浴槽を汚した
り、油性成分が浴湯に浮くために使用上見た目が悪い等
の問題があった。

そこで、上述の問題を改善するために、油性成分を自
己乳化させた入浴剤が提案されている（特開昭61-17652
0号公報及び特開昭61-227519号公報参照）。

しかし、油性成分を乳化させるタイプの入浴剤は、入
浴後の肌のしっとり感や入浴中及び入浴後のすべすべ感
が不充分であり、また入浴後の保湿効果も不充分なもの
であった。

従って、本発明の目的は、入浴後の肌をしっとりさ
せ、且つ入浴中及び入浴後にすべすべした感触をもたら
し、しかも入浴後の保湿効果が高い入浴剤組成物を提供
することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、油性成分に非
イオン性界面活性剤を配合することにより、浴湯中に投
入したときに油性成分が乳化粒子として存在するように
し、且つカチオンポリマーを併せて配合することによ
り、優れた効果を奏する入浴剤組成物が得られることを
知見した。

本発明は、上記知見に基づきなされたもので、油性成
分、非イオン性界面活性剤及びカチオンポリマーを含有
する、入浴剤組成物を提供するものである。

以下に、本発明の入浴剤組成物について詳述する。

本発明の入浴剤組成物に使用される油性成分として
は、水に不溶又は難溶であって、常温で液状又は固体の
ものが好ましく、例えば次のようなものがあげられる。

（１） 油脂類 大豆油、ヌカ油、ホホバ油、アボガド油、アーモンド
油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、パーシック油、ヒ
マシ油、ヤシ油、ミンク油、牛脂、豚脂等の天然油脂、
これらの天然油脂を水素添加して得られる硬化油及びミ
リスチン酸グリセリド、２−エチルヘキサン酸グリセリ
ド等の合成トリグリセリド、ジグリセリド等。

（２） ロウ類 カルナウバロウ、鯨ロウ、ミツロウ、ラノリン等。

（３） 炭化水素類 流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、マイクロク
リスタリンワックス、セレシン、スクワラン、プリスタ
ン等。

（４） 高級脂肪酸類 ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリ
ン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン
酸、ラノリン酸、イソステアリン酸等。

（５） 高級アルコール類 ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリル
アルコール、オレイルアルコール、コレステロール、２
−ヘキシルデカノール等。

（６） エステル類 オクタン酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミ
リスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パ
ルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ス
テアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン
酸コレステール等。

（７） 精油類 ハッカ油、ジャスミン油、ショウ脳油、ヒノキ油、ト
ウヒ油、リュウ油、テレピン油、ケイ皮油、ベルガモッ
ト油、ミカン油、シウョブ油、パイン油、ラベンダー
油、ベイ油、クローブ油、ヒバ油、バラ油、ユーカリ
油、レモン油、タイム油、ペパーミント油、ローズ油、
セージ油、メントール、シネオール、オイゲノール、シ
トラール、シトロネラール、ボルネオール、リナロー
ル、ゲラーオール、カンファー、チモール、スピラント
ール、ピネン、リモネン、テルペン系化合物等。

（８） シリコーン油類 上述の油性成分は、１種又は２種以上を組み合わせて
用いられ、本発明の入浴剤組成物を浴湯に投入した時、
該油性成分濃度が浴湯中で好ましくは２〜500ppm、特に
好ましくは10〜100ppmになるように本発明の入浴剤組成
物の１回使用量（投入量）との関係で配合量を決めるの
が好ましく、通常、その配合量は、入浴剤組成物100重
量部中、0.5〜50重量部、特に１〜30重量部とするのが
好ましい。

また、本発明の入浴剤組成物に使用される非イオン性
界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸
エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビ
ット、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポ
リエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリ
グリセリン脂肪酸エステル等があげられ、これらの非イ
オン性界面活性剤は前記油性成分の乳化剤として作用す
る。

これらの非イオン性界面活性剤は、１種又は２種以上
を組み合わせて用いられ、その配合量は、前記油性成分
100重量部に対して、好ましくは５〜100重量部、特に好
ましくは、18〜60重量部である。

また、本発明の入浴剤組成物に使用れさるカチオンポ
リマーとしては、水溶性であることが好ましく、例え
ば、カチオン化セルロース、カチオン化デキストラン、
カチオン化デキストリン、キトサン、カチオン化ビニル
ピロリドンポリマー、塩化N,N−ジメチル−3,5−メチレ
ンピペリジニウムポリマー等があげられる。

これらのカチオンポリマーは、１種又は２種以上を組
み合わせて用いられ、本発明の入浴剤組成物を浴湯に投
入した時、該カチオンポリマー濃度が浴湯中で好ましく
は0.05〜100ppm、特に好ましくは0.1〜25ppmになるよう
に、本発明の入浴剤組成物の１回使用量（投入量）との
関係で配合量を決めるのが好ましく、通常、その配合量
は、入浴剤組成物100重量部中、0.01〜20重量部、特に
0.05〜10重量部とするのが好ましく、また、前記油性成
分100重量部に対して、好ましくは0.1〜300重量部、特
に好ましくは、0.5〜150重量部である。

カチオンポリマーの入浴剤への反応例としては、カチ
オン化セルロースの使用例（WPI Acc No:84-189961/31
西独ヘンケル社）及びキトサン又はその変成物の使用
例（特開昭63-10715号公報参照）がある。カチオン化セ
ルロースは、肌を柔らかくし、肌の油汚れを防ぐ目的で
使用され、また、キトサン又はその変成物は、肌の滑ら
かさ及びしっとり感を得る目的で使用される。しかし、
これらのカチオンポリマーだけでは、入浴後の肌のかさ
つきを抑制する効果は充分ではなかった。

本発明の入浴剤組成物は、浴湯中に投入されることに
より、前記油性成分と前記非イオン性界面活性剤とが乳
化物を形成し、この乳化物及び前記カチオンポリマー
が、相乗的に肌の感触を良好にし、しかも入浴後の肌の
かさつきを抑制する効果を奏するものと考えられる。

前記カチオンポリマーの替わりに、同じカチオン物質
であるカチオン性界面活性剤を用いた場合には、乳化し
た油性成分を加えても、肌の感触に対する相乗効果は認
められない。

本発明の入浴剤組成物には、前記必須成分以外に、通
常入浴剤に用いられている公知の下記の入浴剤原料を配
合することができるが、配合できる入浴剤原料は、例示
されたものに限定されるものではない。

（ア） 無機塩類 塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、ホウ砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、セスキ
炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウ
ム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酸化カ
ルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、塩化カリウム、硫化カリウム等。

（イ） 無機酸類 ホウ酸、メタケイ酸、無水ケイ酸等。

（ウ） 有機酸類 コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、
安息香酸等。

（エ） 生薬類 ウイキョウ、オウバク、カミツレ、桂皮、紅花、芍
薬、ショウキョウ、菖蒲、センキュウ、トウキ、チン
ピ、ソウジュツ、カノコソウ、ビャクシ、トウヒ、薄
荷、ブクリョウ、人参等。

（オ） 色素類 黄４号、青色１号、黄色202号の（１）等の厚生省令
により定められたタール色素別表Ｉ及びIIの色素、クロ
ロフィル、リボフラビン、クロシン、紅花、アントラキ
ノン等の食品添加物として認められている天然色素等。

（カ） ビタミン類 ビタミンＡ、ビタミンＣ、ビタミンＤ、ビタミンＥ等 （キ） 香料類 （ク） 微粉体 一般に化粧料用粉体と称されるもので、アクリル樹
脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン
テレフタレート樹脂、ポリテトラフルオロエタン等の高
分子、これらの高分子のコポリマー、ケイ酸、ケイ酸カ
ルシウム、天然ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミ
ニウム、ゼオライト、酸化チタン、タルク、カオリン、
マイカ、ベントナイト等。

（ケ） その他 硫黄、湯の花、鉱砂、雲母末、中性白土、いり糠、殺
菌剤、防腐剤、その他製剤上必要な成分等。

上述の入浴剤原料の配合量は、通常、本発明の入浴剤
組成物の必須成分100重量部に対し、０〜5000重量部が
好ましい。

本発明の入浴剤組成物は、公知の入浴剤と同様に、粉
末、顆粒、錠剤、液体等種々の剤型（形態）にすること
ができる。

〔実施例〕

以下に本発明の実施例、比較例、及び試験例を示し、
本発明の効果を具体的に明らかにする。

実施例１、２、及び比較例１〜11 後記表−１に示す配合に従い、入浴剤組成物をそれぞ
れ調製した。

実施例３〜13及び比較例12、13 後記表−３に示す配合に従い、入浴剤組成物をそれぞ
れ調製した。

尚、上記実施例及び比較例の各入浴剤組成物は、それ
ぞれ表−１及び表−３に示す形態とし、且つそれぞの大
きさ（量）を表−１及び表−３に示す１回の使用量
（ｇ）とした。

試験例１ 本発明の入浴剤組成物について、非イオン性界面活性
剤により乳化した油性成分と、カチオンポリマーとの組
み合わせにより、肌のすべすべ感において、それらの相
乗効果を観るために、実施例１及び２並びに比較例１〜
11の入浴剤組成物を用い、アニオン物質、カチオン物
質、両性物質、カチオンポリマーの中から選ばれたイオ
ン性物質それぞれが、乳化した油性成分の有無によって
肌のすべすべ感を増強させる程度について、下記およ
びの試験を行った。

浴湯150l（温度40℃）の入った浴槽を２つ用意し、
一方には何も入れず、他方にイオン性物質のみからなる
比較例２の入浴剤組成物を後記表−１に示す量溶解し、
被験者６名に左右の前腕部をそれぞれの浴槽に片方ずつ
浸漬させ、イオン性物質の有無による肌のすべすべ感の
向上度を、下記の様な評価で各人が点数を付け、それら
の平均値をもって、そのイオン性物質の肌のすべすべ感
の向上度（ａ）とした。

また、イオン性物質のみからなる比較例４、６、８、
10及び11の入浴剤組成物についても同様にして向上度
（ａ）を求めた。すべすべ感の向上度 評価点 すべすべ感は向上しない ０点 やや向上した １点 向上した ２点 非常に向上した ３点 上記と同じ浴槽を２つ用意し、一方にイオン性物質
を含有しない比較例１の入浴剤組成物を後記表−１に示
す量溶解し、他方に乳化した油性成分及びカチオンポリ
マーを含有する実施例１の入浴剤組成物を後記表−１に
示す量溶解し、被験者６名に左右の前腕部をそれぞれの
浴槽に片方ずつ浸漬させ、上記の試験における場合と
同じ評価法にて、乳化した油性成分の存在下におけるイ
オン性物質の有無によるすべすべ感の向上度（ｂ）を求
めた。

また、乳化した油性成分及びイオン性物質を含有する
比較例３、５、７及び９並びに実施例２の入浴剤組成物
についても同様にして向上度（ｂ）を求めた。

上記のようにして求めた向上度（ａ）及び（ｂ）の値
により、乳化した油性成分とイオン性物質のすべすべ感
における相乗効果は、（ｂ）−（ａ）の値の正負によっ
て決まる。即ち、この値は、乳化した油性成分の有無に
よるイオン性物質の肌のすべすべ感の増強度を表すが、
この値が正の値であれば、相乗効果が認められることに
なる。

上記試験及びの結果を後記表−２に示す。

試験例２ 本発明の入浴剤組成物におけるカチオンポリマーの有
無による効果を観るために、実施例４及び比較例13の入
浴剤組成物について、各入浴剤組成物をパネラー50名に
10日間、常法により使用させ、入浴中の肌のすべすべ
感、入浴後の肌のすべすべ感、及びしっとり感について
調べた。その結果を後記表−４に示す。

試験例３ 実施例10の入浴剤組成物について、入浴後の保湿効果
を次のようにして調べた。

実施例10の入浴剤組成物一錠（50g）を浴湯（温度40
℃）150lの入った浴槽に溶解し、１名の被験者に10分間
入浴させ、出浴後直ちにタオルドライした。高周波イン
ピーダンスメータ（IBS社製、Model IB-400）を用い、
入浴前と出浴後10分、20分、30分、60分経過時の前腕屈
側部の皮膚コンダクタンスを測定し、入浴剤を溶解しな
いさら湯（対照）の場合と比較した。但し、入浴前のコ
ンダクタンス値を100とした場合の相対値の平均値で示
した。その結果を後記表−５に示す。

試験例−４ 実施例３、６及び７並びに比較例12の入浴剤組成物に
ついて、皮膚に吸着する油性成分量を次のようにして調
べた。

被験者８名について、両前腕部にそれぞれ底なしカッ
プ（底面積約５cm²）を４個ずつ装着し、一方の前腕部
のカップには、40℃の湯150lに実施例３の入浴剤組成物
１錠（90g）を溶解した溶液を5mlずつ入れ、他方の前腕
部のカップには、40℃の湯150lに比較例12の入浴剤組成
物１錠（90g）を溶解した溶液を5mlずつ入れ、10分間放
置した。その後、それぞれの溶液とカップを取り除き、
肌を軽く蒸留水で洗浄した後、乾燥させた。

次いで、同じ位置に、底なしカップをそれぞれ装着
し、それらのカップにアセトン−エーテル（1:1容量
比）混合液を注入し、10分間放置することにより、皮膚
に吸着した油性成分を抽出した。各腕部ごとに、カップ
４個分のアセトン−エーテル抽出液を合わせて回収し、
蒸発乾固させて測定試料とした。これらの測定試料をキ
ャピラリーガスクロマトグラフィーにより、皮膚に吸着
した油性成分（オクタン酸セチル）量を定量した。

また、実施例６と比較例12及び実施例７と比較例12に
ついても上記と同じ方法により、油性成分（オクタン酸
セチル）量を定量した。

それらの結果を後記表−６に示す。

〔発明の効果〕 本発明の入浴剤組成物によれば、入浴後の肌をしっと
りさせ、且つ入浴中及び入浴後にすべすべ感をもたら
し、しかも入浴後の保湿効果を高めることができる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】油性成分、非イオン性界面活性剤及びカチ
   オンポリマーを含有する、入浴剤組成物。