JPH08253371A - 炭素繊維強化炭素複合材料及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維強化炭素複合材料及びその製造方法

Info

Publication number
JPH08253371A
JPH08253371A JP7080795A JP8079595A JPH08253371A JP H08253371 A JPH08253371 A JP H08253371A JP 7080795 A JP7080795 A JP 7080795A JP 8079595 A JP8079595 A JP 8079595A JP H08253371 A JPH08253371 A JP H08253371A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon
carbon fiber
composite material
boride
oxidation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP7080795A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazunari Naito
一成 内藤
Hideto Yoshida
秀人 吉田
Shigeru Takahashi
繁 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Nihon Cement Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nihon Cement Co Ltd filed Critical Nihon Cement Co Ltd
Priority to JP7080795A priority Critical patent/JPH08253371A/ja
Publication of JPH08253371A publication Critical patent/JPH08253371A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ceramic Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐酸化性に優れた炭素繊維強化炭素複合材料
及びその製造方法を提供すること。 【構成】 マトリックスを構成する炭素に硼化物(B4Cな
どの酸化によりB2O3系酸化物を生成する硼化物)を含む
炭素繊維強化炭素複合材料又は該複合材料の表面に炭化
珪素、窒化珪素などの被覆膜を有する炭素繊維強化炭素
複合材料。その1例を挙げると、フェノ−ル樹脂プレポ
リマ−、B4C、pitch系炭素繊維を含む原料を成形し、該
成形体をホットプレス法で焼結し、さらに該焼結体の表
面にSiCををコ−ティングした炭素繊維強化炭素複合材
料。 【効果】 硼化物(酸化によりB2O3系酸化物を生成する
硼化物)を用いることにより、侵入する酸素(O2)とマト
リックス中の硼素成分とが反応し、B2O3系酸化物の膜が
生成する。これにより耐酸化性に優れた炭素繊維強化炭
素複合材料を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐酸化性に優れた炭素
繊維強化炭素複合材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高温構造材料として期待される炭素繊維
強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)は、優れた高
温強度を持つものの、この材料中の炭素及び炭素繊維が
高温酸化雰囲気に弱いため、該材料の表面に化学蒸着法
による炭化珪素膜等の被覆コ−ティングが必要であっ
た。しかし、従来の上記コ−ティング膜(表面被覆膜)で
は、炭素繊維強化炭素複合材料とこの表面被覆膜との熱
膨張係数差(例えば、C/Cコンポジット:約0.0×10-6
/℃、SiC膜:4.5×10-6/℃)により、該被覆膜に亀裂
が生じ、高温酸化雰囲気における耐酸化性を向上させる
ことはできなかった。
【0003】そこで、近年、上述した熱膨張係数差によ
る亀裂の対策及び耐酸化性の改善法として、 (1) 傾斜機能膜(C+SiC→SiC等)を形成させる方法 (2) 表面被覆膜に圧縮応力を生じさせる方法(TiC/SiC
の2層膜の形成等)(→特開平1−282112号公報参照) (3) コンバ−ジョン法(C/Cコンポジット表面の珪化
等) (4) 化学蒸着膜に生じる亀裂へのガラスシ−ル法(B2O3
等)(→特開平2−69382号公報,特開平2−271963号公
報,特開平4−187583号公報参照) などが提案され、試みられてきた。
【0004】これら(1)〜(4)の方法により、単に炭化珪
素膜等の表面被覆コ−ティングを炭素繊維強化炭素複合
材料に施したものよりも、前述した亀裂及び耐酸化性が
ある程度改善されるようになってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記亀
裂(炭素繊維強化炭素複合材料と表面被覆膜との熱膨張
係数の差に伴う該被覆膜の亀裂)の完全な防止は困難で
あり、例えば、強化繊維に炭素繊維を、マトリックスに
炭素を使用した炭素繊維強化炭素複合体であって、この
複合体にCVD法によりSiC膜をコ−ティングした材料で
は、炭素繊維及び炭素の酸化開始温度(約650℃)以上か
らSiC膜生成温度(約1200℃)以下の“亀裂が開口してい
る温度域”において、炭素繊維及びマトリックスを構成
する炭素(炭素マトリックス)の燃焼が生じるという問
題点を有している。
【0006】また、前記亀裂を防止し得たとしても、形
成した被覆膜(SiC膜)には大きな残留応力が発生し、そ
のため、該被覆膜の強度は大幅に低下する。その結果、
高温酸化雰囲気下における炭素繊維強化炭素複合材料の
使用が困難であるという欠点を有している。そこで、上
記問題点、欠点を解消し、より一層耐酸化性に優れた炭
素繊維強化炭素複合材料の開発が今日強く望まれている
ところである。
【0007】本発明は、上記要望に沿う炭素繊維強化炭
素複合材料を提供することを目的とし、詳細には、被覆
膜に亀裂が生じている炭素繊維強化炭素複合材料であっ
ても、良好な耐酸化性を付与することができる該炭素複
合材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】これまでは、形成する被
覆膜の亀裂を無くすることにより、もしくは、この亀裂
を塞ぐことにより、耐酸化性を向上させることが行われ
てきた。本発明者等は、被覆膜に亀裂が生じている炭素
繊維強化炭素複合材料の場合においても、亀裂中に侵入
してきた酸素(O2)と硼化物含有炭素マトリックスとから
生じるB2O3系酸化物により、亀裂を閉塞させることで良
好な耐酸化性を付与できるとの知見を得て、本発明を完
成するに至った。
【0009】即ち、本発明に係る炭素繊維強化炭素複合
材料は、『マトリックス中に該マトリックスを構成する
炭素以外に更に硼化物を含む』ことを特徴とし(請求項
1)、又は、『マトリックス中に該マトリックスを構成
する炭素以外に硼化物を含み、かつ表面に炭化珪素、窒
化珪素などの被覆膜を有する』ことを特徴とし(請求項
2)、そして、 ・前記マトリックスが炭素及び炭化硼素からなること
(請求項3)、 ・前記炭素繊維がpitch系炭素繊維であること(請求項
4)、 を本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材料の好ましい実
施態様とする。
【0010】また、本発明に係る炭素繊維強化炭素複合
材料の製造方法は、『炭素原料、酸化によりB2O3系酸化
物を生成する硼化物、炭素繊維を含む原料を成形し、該
成形体を焼結する』ことを特徴とし(請求項5)、又は、
『炭素原料、酸化によりB2O3系酸化物を生成する硼化
物、炭素繊維を含む原料を成形し、該成形体を焼結し、
さらに該焼結体の表面に炭化珪素、窒化珪素などの被覆
膜をコ−ティングする』ことを特徴とし(請求項6)、そ
して、 ・前記炭素原料がフェノ−ル樹脂プレポリマ−、前記酸
化によりB2O3系酸化物を生成する硼化物が炭化硼素、前
記炭素繊維がpitch系炭素繊維であること(請求項7)、 ・前記焼結手段として、窒素又はアルゴン雰囲気中でホ
ットプレス法により行うこと(請求項8)、 ・前記被覆膜のコ−ティング手段として化学蒸着法を採
用すること(請求項9)、を本発明に係る方法の好ましい
実施態様とする。
【0011】
【作用】本発明の炭素繊維強化炭素複合材料は、前記し
たとおり、炭素からなるマトリックス中に更に硼化物を
含むことを特徴とするが、この硼化物含有炭素マトリッ
クスの作用について図1を参照して説明する。なお、図
1(A)は酸化前の炭素複合材料を、また、図1(B)は酸
化後の炭素複合材料をそれぞれ模式的に示した図であ
り、図中1は被覆膜、2は炭素繊維強化炭素複合材料、
3はB2O3系酸化物である。
【0012】本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材料2
(硼化物含有炭素マトリックスを有する材料)の表面に被
覆膜1を設けた材料において、図1(A)に示すように、
この被覆膜1に亀裂が生じている場合、この亀裂中に侵
入してきた酸素(O2)は、硼化物含有炭素マトリックス中
の硼化物成分と反応し、図1(B)に示すように、B2O3
酸化物3が生成する。そして、このB2O3系酸化物3によ
り該亀裂を閉塞させ[図1(B)参照]、その結果、被覆
膜1に亀裂を有していても、耐酸化性に優れた炭素繊維
強化炭素複合材料が得られる作用が生じる。
【0013】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明において、炭素繊維強化炭素複合材料の炭素マトリ
ックス源として使用する炭素原料は、特に限定するもの
ではないが、フェノ−ル、エポキシ又はフランであり、
他にポリフェニレン等を挙げることができる。
【0014】また、本発明において、硼化物源として
は、低融点材料であるB2O3系酸化物を650℃以下の酸化
雰囲気中で生成する“窒化硼素(BN)”“硼化ジルコニウ
ム(ZrB2)”“炭化硼素(B4C)”等の硼化物の使用が優れ
ており、このうち特に“炭化硼素(B4C)”の使用が好ま
しい。これは、炭化硼素の使用により炭素繊維に与える
劣化が少なく、かつ炭素繊維−炭素マトリックスの界面
強度が高くなり、そのため、諸特性の優れた炭素繊維強
化炭素複合材料が得られるからである。但し、本発明
は、これに限られるものではない。
【0015】本発明において、硼化物の含有量は、炭化
硼素を使用する場合を例に挙げて説明すると、その体積
含有量は、炭素繊維強化炭素複合材料に対し15vol%以
上が望ましい。炭化硼素の含有量が15vol%以上であれ
ば、酸化膜(B2O3系酸化物膜)が均一に生成されるので好
ましい。
【0016】また、本発明において、炭素繊維として
は、これも限定するものではないが、pitch系炭素繊維
の使用が好適であり、その形態は長繊維でも短繊維でも
任意に使用することができる。
【0017】本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材料
は、炭素マトリックスに上記した硼化物を含み、更にそ
の表面に炭化珪素、窒化珪素などの被覆膜を有すること
も特徴とする。上記のような被覆膜がない場合において
も、炭素マトリックス中の硼化物成分が酸化されること
でB2O3系酸化物の膜が生成し、耐酸化性を付与し得る
が、この表面に更に炭化珪素、窒化珪素などの被覆膜を
形成することにより、より一層耐酸化性に優れた炭素繊
維強化炭素複合材料を提供することができる。
【0018】次に、本発明の炭素繊維強化炭素複合材料
の製造方法について説明する。本発明に係る製造方法
は、まず、炭素原料、酸化によりB2O3系酸化物を生成す
る硼化物、炭素繊維を含む原料を成形し、次に、この成
形体を焼結することを特徴とする。
【0019】上記成形手段としては、炭素繊維織布に
スラリ−を塗布したプリプレグシ−トを作製し、該シ−
トを積層するシ−ト積層法及びフィラメントワインデ
ィング法を採用するのが好ましい。ここで、本発明に係
る製造方法で好適な成形法である上記のフィラメント
ワインディング法について、図2を参照して説明する
と、この成形法は、まず、炭素原料(例えばフェノ−ル
樹脂プレポリマ−)に硼化物(例えば炭化硼素粉末)を混
合してスラリ−4を調製する。次に、このスラリ−4に
炭素繊維5を浸漬し、これを巻取枠6で巻き取って成形
体7を作製する方法である。
【0020】本発明に係る製造方法において、成形体の
焼結手段としては、前記のシ−ト積層法で作製した成
形体又は前記のフィラメントワインディング法で作製
した成形体をホットプレス法で焼結するのが好ましく、
その他、炭素繊維織物に“スラリ−含浸及び炭化焼成”
を必要に応じて繰返す常圧焼結法を採用することができ
る。このうち、後記するように“常圧焼結法”よりも
“ホットプレス法”による焼結が好ましい。
【0021】ただし、本発明に係る製造方法は、上記の
ような成形法及び焼結法に限定されるものではなく、例
えば炭素マトリックスに炭素質ピツチを原料として用い
た場合に行われるPIC法(Pressure Impregnation Car
bonization)や“炭素+炭化硼素”系のマトリックスで
の気相含浸法(CVI)等でも、ある程度緻密な炭素繊維
強化炭素複合材料の作製は可能であり、これらの方法も
本発明に包含されるものである。
【0022】本発明に係る製造方法において、焼結時の
雰囲気として窒素又はアルゴン雰囲気とし、該雰囲気中
でホットプレス法を採用するのが好ましい。その理由
は、常圧焼結法では繊維による焼結阻害のため気孔が残
留して緻密化せず、強度もホットプレス品の30%程度に
しかすぎないからである。また、炭素繊維強化炭素複合
材料では、この材料自体に異方性があるため、一軸加圧
であるホットプレス法が最も緻密化しやすく、熱間等方
加圧(HIP)法での焼結もホットプレス法以上の効果を得
ることができないからである。
【0023】本発明に係る製造方法は、上記製造方法に
よって得られた焼結体(炭素原料、酸化によりB2O3系酸
化物を生成する硼化物、炭素繊維を含む原料を成形し、
該成形体を焼結して得られた焼結体)に対し、その表面
に炭化珪素、窒化珪素などの被覆膜をコ−ティングする
ことも特徴とし、該被覆膜のコ−ティング手段として
は、化学蒸着法で行うことが好ましい。
【0024】本発明における炭素マトリックスに硼化物
を含有した炭素繊維強化炭素複合材料は、前記したよう
に、上記した被覆膜を形成しなくてもマトリックス中の
硼化物が酸化され、これによりB2O3系酸化物の膜を生成
して耐酸化性を付与することができる。特に800〜1000
℃程度の温度域であれば、硼化物を添加していない系と
比較して、充分に耐久性のある炭素繊維強化炭素複合材
料を提供することができる。なお、B2O3系酸化物は、高
温湿潤雰囲気で飛散するため、極力高温(1500℃程度)で
の酸素との反応を避けなければならない。
【0025】しかしながら、本発明に係る製造方法にお
いて、例えば化学蒸着法により炭化珪素や窒化珪素等の
被覆膜(コ−ティング膜)を形成することにより、被覆温
度以上の高温域で亀裂を閉塞する作用が生じ、このた
め、前記したB2O3系酸化物の飛散を防止することができ
る。その結果、表面に炭化珪素や窒化珪素等の被覆膜を
形成した場合には、耐酸化性が大幅に向上し、より一層
耐酸化性に優れた炭素繊維強化炭素複合材料を提供する
ことができる。
【0026】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明を詳細に説明する。
【0027】(実施例1)本実施例1では、炭素マトリ
ックス源(炭素原料)としてフェノ−ル樹脂プレポリマ−
を、また、硼化物として平均粒径1.0μmの炭化硼素粉
末(B4C粉末)を使用し、マトリックス成分として、上記
フェノ−ル樹脂プレポリマ−に上記炭化硼素粉末を50wt
%混合してスラリ−を調製した。
【0028】一方、弾性率540GPaのpitch系炭素繊維を
使用し、フィラメントワインディング法(前掲の図2参
照)により、該炭素繊維に上記スラリ−を含浸させ、8mm
厚に巻き取られた一方向繊維強化の成形体を作製した。
この成形体を90×50mmに切断し、加熱加圧成形した後、
250℃で硬化し、窒素雰囲気中で2000℃で炭化焼成し
た。その後、上記した“スラリ−含浸及び炭化焼成工
程”を3回繰返して焼結体を得た。
【0029】この焼結体をJIS曲げ試験片(JIS R1601)に
加工し、該試験片の特性を測定したところ、繊維含有率
(アルキメデス法による開気孔率及び嵩比重の測定から
算出した値)は45vol%であり、常温3点曲げ試験による
強度は180MPaであった。
【0030】また、上記JIS曲げ試験片に、CVD法により
膜厚150μmのSiCをコ−テイングし、“試験温度:1500
℃,保持時間:100時間,雰囲気:乾燥空気”の耐酸化
試験を行い、耐酸化試験前後の重量変化及び耐酸化試験
前後の強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
【0031】(実施例2)マトリックス成分として、フ
ェノ−ル樹脂プレポリマ−に平均粒径0.2μmの窒化硼
素粉末(BN粉末)を50wt%混合してスラリ−を調製し、実
施例1と同一方法で成形し、焼成して焼結体を得た。こ
の焼結体をJIS曲げ試験片(JIS R1601)に加工し、この試
験片に、実施例1と同様、CVD法により膜厚150μmのSi
Cをコ−テイングした後、同じく耐酸化試験を行い、耐
酸化試験前後の重量変化及び耐酸化試験前後の強度を測
定した。その測定結果を表1に示す。
【0032】(実施例3)マトリックス成分として、フ
ェノ−ル樹脂プレポリマ−に平均粒径2.0μmの硼化ジ
ルコニウム粉末(ZrB2粉末)を50wt%混合してスラリ−を
調製し、実施例1と同一方法で成形し、焼成して焼結体
を得た。この焼結体をJIS曲げ試験片(JIS R1601)に加工
し、この試験片に、実施例1と同様、CVD法により膜厚1
50μmのSiCをコ−テイングした後、同じく耐酸化試験
を行い、耐酸化試験前後の重量変化及び耐酸化試験前後
の強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
【0033】(比較例1)実施例1と同一の作製方法
で、但し、炭化硼素を含まない焼結体を作製し、この焼
結体をJIS曲げ試験片(JIS R1601)に加工し、この試験片
に、実施例1と同様、CVD法により膜厚150μmのSiCを
コ−テイングした後、同じく耐酸化試験を行い、耐酸化
試験前後の重量変化及び耐酸化試験前後の強度を測定し
た。その測定結果を表1に付記した。
【0034】(比較例2)マトリックス成分として、フ
ェノ−ル樹脂プレポリマ−に平均粒径0.3μmの炭化珪
素粉末(SiC粉末)を50wt%混合してスラリ−を調製し、
実施例1と同一方法で成形し、焼成して焼結体を得た。
この焼結体をJIS曲げ試験片(JIS R1601)に加工し、この
試験片に、実施例1と同様、CVD法により膜厚150μmの
SiCをコ−テイングした後、同じく耐酸化試験を行い、
耐酸化試験前後の重量変化及び耐酸化試験前後の強度を
測定した。その測定結果を表1に付記した。
【0035】
【表1】
【0036】表1から明らかなように、硼化物(B4C,B
N,ZrB2)含有炭素マトリックスからなる実施例1〜3で
は、硼化物を含まない比較例1及び硼化物にかえてSiC
を添加した比較例2に比して、特に耐酸化強度が大幅に
向上していることが認められる。即ち、耐酸化試験前後
の重量変化(酸化重量変化)についてみると、実施例1〜
3では、“−7.9mg/cm2以下”であるのに対し、比較例
1及び比較例2では“−49.2mg/cm2”及び“−41.2mg
/cm2”であり、また、酸化後の強度についても、実施
例1〜3では、その強度が極めて高いことが認められ
る。これは、実施例1〜3において硼化物を含有するこ
とで、マトリックス中の硼化物が酸化されてB2O3系酸化
物の膜を生成し、これにより耐酸化性が著しく改善され
るものと考えられる。
【0037】(実施例4〜7)マトリックス成分とし
て、フェノ−ル樹脂プレポリマ−に平均粒径1.0μmの
炭化硼素粉末(B4C粉末)を“20wt%”“40wt%”“60wt
%”“80wt%”混合して4種のスラリ−を調製した。一
方、弾性率540GPaのpitch系炭素繊維を使用し、フィラ
メントワインディング法(前掲の図2参照)により、該炭
素繊維に上記スラリ−を含浸させ、8mm厚に巻き取られ
た一方向繊維強化の成形体を作製した。
【0038】各成形体を90×50mmに切断し、加熱加圧成
形した後、250℃で硬化し、窒素雰囲気中で2000℃、39M
Paでホットプレス焼成して焼結体を得た。各焼結体をJI
S曲げ試験片(JIS R1601)に加工し、各試験片の特性(繊
維含有率及び常温3点曲げ強度)を実施例1と同様に測
定したところ、繊維含有率は55vol%であり、常温3点
曲げ強度は450〜580MPaであった。
【0039】また、上記各試験片に、CVD法により膜厚1
50μmのSiCをコ−テイングし、“試験温度:1500℃,
保持時間:100時間,雰囲気:乾燥空気”の耐酸化試験
を行い、耐酸化試験前後の重量変化及び耐酸化試験前後
の強度を測定した。その測定結果を表2に示す。
【0040】(比較例3)実施例4〜7と同様の作製方
法で、但し、炭化硼素を含まない焼結体を作製し、この
焼結体をJIS曲げ試験片(JIS R1601)に加工し、この試験
片に、実施例4〜7と同様、CVD法により膜厚150μmの
SiCをコ−テイングした後、同じく耐酸化試験を行い、
耐酸化試験前後の重量変化及び耐酸化試験前後の強度を
測定した。その測定結果を表2に付記した。
【0041】
【表2】
【0042】表2から、B4Cを添加することで広範囲(B4
C添加量:20〜80wt%)にわたり、耐酸化性が大幅に向上
していることが認められる。また、B4C添加量の増加に
伴って、強度は、若干低下するものの、酸化による重量
減少及び強度低下がなくなる傾向がみられ、特にB4C添
加量が60wt%以上であれば、酸化による基材の劣化は、
殆どみられないことが認められる。これにより、B4Cの
添加が炭素繊維強化炭素複合材料の耐酸化性に大きく寄
与することが理解できる。
【0043】なお、実施例1と実施例4〜7とを比較す
ると、ホットプレス法による実施例4〜7で得られた炭
素繊維強化炭素複合材料は、ホットプレス法によらない
実施例1の炭素繊維強化炭素複合材料に比し、酸化前強
度及び酸化後強度が大幅に向上することが認められる
(表1、表2参照)。このように焼結法の差により、特性
値が大きく異ることが理解できる。
【0044】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したように、炭素マ
トリックスに硼化物を含むことを特徴とし、このように
炭素マトリックスに硼化物を含ませることで、耐酸化性
に優れた炭素繊維強化炭素複合材料を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材料の作用
を説明する図であって、(A)は酸化前を、(B)は酸化後
をそれぞれ模式的に示した図。
【図2】本発明の一実施例を説明するためのフイラメン
トワインディング法による成形体の作製図。
【符号の説明】
1 被覆膜 2 炭素繊維強化炭素複合材料 3 B2O3系酸化物 4 スラリ− 5 炭素繊維 6 巻取枠 7 成形体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/80 C04B 35/58 103M 41/87 35/80 B

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マトリックスを構成する炭素に硼化物を
    含むことを特徴とする炭素繊維強化炭素複合材料。
  2. 【請求項2】 マトリックスを構成する炭素に硼化物を
    含み、かつ表面に炭化珪素、窒化珪素などの被覆膜を有
    することを特徴とする炭素繊維強化炭素複合材料。
  3. 【請求項3】 前記マトリックスが、炭素及び炭化硼素
    からなることを特徴とする請求項1又は2記載の炭素繊
    維強化炭素複合材料。
  4. 【請求項4】 前記炭素繊維が、pitch系炭素繊維であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の炭素繊維強化
    炭素複合材料。
  5. 【請求項5】 炭素原料、酸化によりB2O3系酸化物を生
    成する硼化物、炭素繊維を含む原料を成形し、該成形体
    を焼結することを特徴とする炭素繊維強化炭素複合材料
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 炭素原料、酸化によりB2O3系酸化物を生
    成する硼化物、炭素繊維を含む原料を成形し、該成形体
    を焼結し、さらに該焼結体の表面に炭化珪素、窒化珪素
    などの被覆膜をコ−ティングすることを特徴とする炭素
    繊維強化炭素複合材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記炭素原料がフェノ−ル樹脂プレポリ
    マ−、前記酸化によりB2O3系酸化物を生成する硼化物が
    炭化硼素、前記炭素繊維がpitch系炭素繊維であること
    を特徴とする請求項5又は6記載の炭素繊維強化炭素複
    合材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記焼結手段として、窒素又はアルゴン
    雰囲気中でホットプレス法で行うことを特徴とする請求
    項5又は6記載の炭素繊維強化炭素複合材料の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記被覆膜のコ−ティング手段として、
    化学蒸着法で行うことを特徴とする請求項6記載の炭素
    繊維強化炭素複合材料の製造方法。
JP7080795A 1995-03-13 1995-03-13 炭素繊維強化炭素複合材料及びその製造方法 Withdrawn JPH08253371A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7080795A JPH08253371A (ja) 1995-03-13 1995-03-13 炭素繊維強化炭素複合材料及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7080795A JPH08253371A (ja) 1995-03-13 1995-03-13 炭素繊維強化炭素複合材料及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08253371A true JPH08253371A (ja) 1996-10-01

Family

ID=13728401

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7080795A Withdrawn JPH08253371A (ja) 1995-03-13 1995-03-13 炭素繊維強化炭素複合材料及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08253371A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6670040B1 (en) 1999-07-14 2003-12-30 Tokai University Educational System Carbon fiber-reinforced carbon composite body and method of manufacturing the same
WO2023025190A1 (zh) * 2021-08-25 2023-03-02 上海大学绍兴研究院 一种碳纤维预制体及其制备方法、碳/碳复合材料的制备方法
CN115784759A (zh) * 2022-12-07 2023-03-14 湖南金博碳素股份有限公司 碳/碳化硼复合材料及其制备方法与应用

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6670040B1 (en) 1999-07-14 2003-12-30 Tokai University Educational System Carbon fiber-reinforced carbon composite body and method of manufacturing the same
WO2023025190A1 (zh) * 2021-08-25 2023-03-02 上海大学绍兴研究院 一种碳纤维预制体及其制备方法、碳/碳复合材料的制备方法
CN115784759A (zh) * 2022-12-07 2023-03-14 湖南金博碳素股份有限公司 碳/碳化硼复合材料及其制备方法与应用
CN115784759B (zh) * 2022-12-07 2023-09-26 湖南金博碳素股份有限公司 碳/碳化硼复合材料及其制备方法与应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5707471A (en) Method for making ceramic matrix composites
EP0946460B1 (en) Silicon carbide reinforced silicon carbide composite
JP4106086B2 (ja) セラミックス基繊維複合材料
US20020019306A1 (en) Ceramic matrix composites
US5725828A (en) Ceramic matrix composites using modified hydrogen silsesquioxane resin
SATO et al. Fabrication of silicon nitride based composites by impregnation with perhydropolysilazane
JPH1149570A (ja) SiC繊維強化SiC複合材料
RU2718682C2 (ru) Способ изготовления керамики на основе карбида кремния, армированного волокнами карбида кремния
JP3127371B2 (ja) セラミック含有炭素/炭素複合材料及びその製造方法
JPH0733530A (ja) セラミックス基複合材料およびその製造方法
Kim et al. Nicalon-fibre-reinforced silicon-carbide composites via polymer solution infiltration and chemical vapour infiltration
US4929472A (en) Surface-coated SiC whiskers, processes for preparing the same, ceramic reinforced with the same, and process for preparing said reinforced ceramic
JPH08253371A (ja) 炭素繊維強化炭素複合材料及びその製造方法
JP2004175605A (ja) 耐酸化性c/c複合材及びその製造方法
JPH0157075B2 (ja)
JP4014765B2 (ja) 炭化ケイ素長繊維強化セラミックス基複合材料
EP1388527A2 (en) Highly heat-resistant inorganic fiber bonded ceramic component and process for the production thereof
JP3140701B2 (ja) 長繊維強化炭化ケイ素複合材料の製造方法
JPH02111679A (ja) 耐酸化性炭素繊維強化炭素材の製造方法
JPH08188480A (ja) 炭素繊維強化セラミックス複合材料およびその製造方法
JPH06287070A (ja) 複合強化セラミックス
JP2570739B2 (ja) 繊維強化炭化けい素セラミックスおよびその製造方法
JP3969106B2 (ja) 高耐熱性無機繊維結合セラミックス接合体及びその接合方法
JP2675187B2 (ja) 傾斜窒化珪素複合材料及びその製造方法
JPH0597554A (ja) 炭素繊維無機繊維強化炭素複合材

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040908

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20041202