JPH08253312A - 鉄含有結晶性アルミノシリケート及びそれを用いた触媒組成物 - Google Patents

鉄含有結晶性アルミノシリケート及びそれを用いた触媒組成物

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JPH08253312A
JPH08253312A JP7052134A JP5213495A JPH08253312A JP H08253312 A JPH08253312 A JP H08253312A JP 7052134 A JP7052134 A JP 7052134A JP 5213495 A JP5213495 A JP 5213495A JP H08253312 A JPH08253312 A JP H08253312A
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JP
Japan
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iron
catalyst
zeolite
acid
crystalline aluminosilicate
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Application number
JP7052134A
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English (en)
Inventor
Akira Iino
明 飯野
Koji Yamagishi
孝司 山岸
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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  • Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 中間留分増産能を有する重質油の水素化分解
用触媒の成分として好適な鉄含有結晶性アルミノシリケ
ート、このものを用いた上記特性を有する重質油の水素
化分解用触媒、及びこの触媒を用いて、重質油を水素化
処理し、中間留分を効率よく製造する方法を提供するこ
と。 【構成】 昇温プログラム還元により計算される易還元
性鉄含有率が35〜65%の範囲にある鉄含有結晶性ア
ルミノシリケート、このものをマトリックス中に分散し
てなる触媒担体に、周期律表6族及び8〜10族の金属
の中から選ばれた少なくとも一種を担持させた触媒組成
物、並びにこの触媒組成物の存在下、重質油を水素化処
理する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄含有結晶性アルミノ
シリケート、それを用いた触媒組成物及び重質油の水素
化処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、適正
な分解活性を維持するとともに、過分解を抑制した中間
留分増産能を有する重質油の水素化分解用触媒の成分と
して好適な鉄含有結晶性アルミノシリケート、このもの
を用いた上記特性を有する重質油の水素化分解用触媒組
成物、並びにこの触媒組成物の存在下に重質油を水素化
処理し、高い選択率及び収率で中間留分を製造する重質
油の水素化処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、重質油を水素化分解処理して、付
加価値の高い中間留分を製造する触媒は数多く報告され
ている。そして、この触媒においては、触媒成分とし
て、高い分解活性を付与する目的で、一般に高い酸性質
を有する結晶性アルミノシリケート(ゼオライト)が使
用されている。重質油の分解能を向上させるには、ゼオ
ライトの酸性質を強めることが有効であるが、酸性質が
強すぎると過分解を併発し、中間留分の収率が著しく低
下する。したがって、分解活性を維持するとともに、過
分解を抑制した中間留分増産能をもつゼオライト触媒の
開発が積極的になされてきた。
【0003】中間留分の生成量を増大しうるゼオライト
触媒については、これまで多くの提案がなされており、
例えば脱アルミニウムしたフォージャサイトゼオライト
からなる拡大細孔のゼオライトを含む触媒(特開昭58
−147495号公報)、シリカ/アルミナ(モル比)
が50以上の大細孔ゼオライトを含む触媒(特公平4−
12317号公報)、2.00未満のNH3 −TPD(Te
mperature ProgrammedDesorption;計画昇温脱離)酸性
度強さを有する低酸性度ゼオライトを含む触媒(特公平
6−55951号公報)などが開示されている。これら
の技術は、ゼオライトのもつ強い酸性質を制御し、水素
化分解における過分解を抑制して中間留分増産能を高め
ようとする点に特徴を有している。しかしながら、これ
らの技術は、過分解を抑制するという点では効果はみら
れるものの、分解活性そのものも抑制されるため、中間
留分の増産技術としては必ずしも満足しうるものではな
い。
【0004】また、他の過分解抑制方法として、触媒の
水素化能を向上させる方法が知られている。このゼオラ
イトの水素化能を向上させる方法としては、水素化能を
有する金属を担持させるのが一般的であり、そしてこの
技術を用いた中間留分増産触媒として、例えば、ゼオラ
イトY上に、周期律表6族,8族,9族及び10族に属
する金属の中から選ばれた少なくとも一種を担持させた
触媒(特開平1−115993号公報)、不活性鉄含有
率が35%以下の鉄含有アルミノシリケートを用いた触
媒(特公平6−74135号公報)などが開示されてい
る。しかしながら、これらの技術においては、過分解抑
制作用として、ゼオライトの強い酸性質とバランスした
水素化能を発揮できているとは考えられず、中間留分増
産技術としては不充分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、適正な分解活性を維持するとともに、過分解
を抑制した中間留分増産能を有する重質油の水素化分解
用触媒の成分として好適な結晶性アルミノシリケート、
このものを含む上記特性を有する重質油の水素化分解用
触媒、及びこの触媒の存在下、重質油を水素化処理し、
高い選択率及び収率で中間留分を効率よく製造する方法
を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の性状を
有する鉄含有結晶性アルミノシリケートが、分解活性を
維持するとともに、過分解を抑制した中間留分増産能を
有する重質油の水素化分解用触媒の成分として好適であ
ることを見出した。また、この鉄含有結晶性アルミノシ
リケートをマトリックス中に分散してなる触媒担体に、
水素化能を有する金属を担持させることにより、ゼオラ
イトがもつ高い酸性質を損なうことなく、高い水素化能
が付与され、上記の好ましい特性を有する重質油の水素
化分解用触媒が得られること、そして、この触媒を用い
重質油を水素化処理することにより、高い選択率及び収
率で中間留分が効率よく得られることを見出した。本発
明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】すなわち、本発明は、(1)昇温プログラ
ム還元により計算される易還元性鉄含有率が35〜65
%の範囲にある鉄含有結晶性アルミノシリケート(第一
の発明)、(2)上記鉄含有結晶性アルミノシリケート
をマトリックス中に分散してなる触媒担体に、周期律表
6族,8族,9族及び10族に属する金属の中から選ば
れた少なくとも一種を担持させたことを特徴とする触媒
組成物(第二の発明)、および(3)重質油を触媒の存
在下に水素化処理するに当たり、該触媒として、上記触
媒組成物を用いることを特徴とする重質油の水素化処理
方法(第三の発明)を提供するものである。
【0008】上記第一の発明の鉄含有結晶性アルミノシ
リケートは、昇温プログラム還元により計算される易還
元性鉄含有率が35〜65%の範囲にあるものである。
この昇温プログラム還元は、サンプル110mgを16
〜32メッシュに成形し、石英ガラス管に充填したもの
を、乾燥空気流通下で400℃にて2時間加熱処理した
のち、室温まで冷却後、水素−アルゴン混合ガス気流中
で数時間保持し、次いで、10℃/分の昇温速度で10
30℃まで昇温することにより、この間の水素の物質収
支を測定するものである。なお、水素の量は熱伝導度検
出器(TCD)を用いて求めた。この鉄含有結晶性アル
ミノシリケートの昇温還元スペクトルにおいては低温部
(約200〜約500℃)と高温部(約1000℃)に
ピークが認められる。
【0009】ところで、ゼオライト中の鉄の状態として
以下のように考えられる。すなわち、(1)ゼオライト
と強く相互作用している鉄種(イオン交換鉄種,ゼオラ
イト結晶格子と結合している鉄種)、(2)ゼオライト
と弱く相互作用している鉄種(ゼオライトに担持された
酸化鉄種)とがあり、前者は水素雰囲気下において、低
温部でFe3+→Fe2+,高温部でFe2+→Fe0 という
ように二段で還元される。一方、後者は、水素雰囲気下
において、500℃以下の低温でFe3+→Fe 0 のよう
に一段で還元される。したがって、昇温プログラム還元
において、低温側ピーク面積をA,高温側ピーク面積を
Bとすると、ゼオライトに、弱く相互作用している鉄
種、すなわち易還元性鉄の含有率をA/(A+B)×1
00で表した場合、本発明においては、該易還元性鉄含
有率が35〜65%の範囲にあることが必要である。こ
の易還元性鉄含有率が上記範囲を逸脱すると、このよう
な鉄含有結晶性アルミノシリケートを用いた触媒は中間
留分の増産効果が充分に発揮されず、本発明の目的が達
せられない。中間留分の増産効果の面から、好ましい易
還元性鉄含有率は40〜60重量%の範囲である。
【0010】また、本発明の鉄含有結晶性アルミノシリ
ケートにおいては、孔径50〜100Åの細孔の容積
が、孔径600Å以下の細孔の全容積に対して35%未
満であることが望ましく、35%以上ではセオライト結
晶が失われやすくなり、好ましくない。高活性維持の点
から、好ましい範囲は20%以上35%未満である。な
お、細孔分布は、ベルソーブ28を用いBJH法(Barr
ett-Joyner-Halenda法)により窒素ガス吸着法で求めた
ものである。さらに、本発明の鉄含有結晶性アルミノシ
リケートにおいては、赤外線吸収スペクトル(IRスペ
クトル)において測定される末端SiOH/ブレンステ
ッド酸比が0.5以上であることが必要である。この比が
0.5未満では酸性質が強すぎて、重質油の水素化分解用
触媒に用いた場合に過分解を起こしやすく、また上記比
があまり大きすぎると酸性質が弱くなりすぎて分解能が
低下する。分解能及び過分解抑制のバランスの面から、
特に好ましい末端SiOH/ブレンステッド酸比は0.5
5〜0.75の範囲である。なお、末端SiOH/ブレン
ステッド酸比は、次のようにして求めた値である。すな
わち、粉末状の試料30mgを直径15mmのウェハー
に成形したものを、1.0×10-4mmHgよりも大きく
ない圧力にて、450℃で1時間加熱処理して物理的吸
着水を除去したのち、室温まで冷却し、日本電子社製J
IR 100X型赤外分光計を用い、透過方式にてスペ
クトルを測定する。次に、得られたIRスペクトルよ
り、3740±10cm-1の吸光度C,3630±10
cm-1の吸光度D及び3560±10cm-1の吸光度E
を計測し、実際のウェハーの重さで割って標準化する。
末端SiOH/ブレンステッド酸比は、標準化した吸光
度を用い、式:C/(D+E)から求めた値である。
【0011】本発明の鉄含有結晶性アルミノシリケート
の調製方法については、上記の性状を有するものが得ら
れる方法であればよく、特に制限はないが、例えば以下
に示す方法を好ましく用いることができる。まず、原料
ゼオライトを水に懸濁し、スラリーを調製したのち、こ
れに所定量の鉄塩を含有する低pHの水溶液を比較的低
温で添加する。この際、原料ゼオライトは天然品及び合
成品のいずれであってもよく、例えばY型ゼオライト,
L型ゼオライト,β−ゼオライト,ω−ゼオライト,モ
ルデナイト,ZSM−5など、さらにはこれらに脱アル
ミニウム処理を施したものを用いることができる。この
脱アルミニウム処理方法については特に制限はなく、例
えばスチーミング法,酸処理法,キレート抽出法,四塩
化珪素処理法,フッ素化法などの中から選ばれた任意の
方法を用いることができる。また、スラリー濃度は10
〜50重量%の範囲が望ましい。このスラリー濃度が1
0重量%未満では濃度が低すぎて処理に適しておらず、
50重量%を超えると処理操作が困難となる。使用する
鉄塩としては特に制限はなく、例えば塩化物,硫酸塩,
硝酸塩,酢酸塩,他の有機酸塩類などが挙げられる。こ
れらの鉄塩は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わ
せて用いてもよい。鉄塩水溶液の濃度は0.01〜5.0モ
ル/リットルの範囲が好ましく、この範囲を逸脱すると
ゼオライトの適正な脱アルミニウム反応及びゼオライト
への効果的な鉄の担持が困難となる。脱アルミニウム反
応及び鉄の担持を効果的に行うには、特に鉄塩水溶液の
濃度は0.1〜1.0モル/リットルの範囲が好適である。
この鉄塩水溶液を添加する際の温度は、5〜40℃の範
囲が有利であり、この範囲を逸脱すると効果的な鉄の担
持が困難となる。
【0012】次に、このようにして得られたスラリーを
攪拌しながら加熱し、所定温度になった時点で、脱アル
ミニウム及び鉄の担持状態を調整するために、酸を添加
して所定時間、攪拌処理を行う。この際の加熱温度は3
0〜100℃の範囲が好ましく、30℃未満では処理効
果が低いし、100℃を超えると調製が困難である。処
理効果及び調製の容易さの点から、50〜80℃の範囲
が好適である。添加する酸としては、例えば塩酸,硫
酸,硝酸,リン酸,ペルオクソニスルホン酸,ニチオン
酸,スルファミン酸,ニトロスルホン酸などの無機酸,
ギ酸,トリクロロ酢酸,トリフルオロ酢酸などの有機酸
が挙げられる。これらの酸は単独で用いてもよく、二種
以上を組み合わせて用いてもよく、またその添加量は、
ゼオライト1kgに対し、0.5〜15モルの割合が望ま
しい。この添加量が0.5モル未満では処理効果が不充分
であり、15モルを超えるとゼオライト結晶の破壊が生
じるおそれがある。処理効果及びゼオライト結晶の破壊
抑制の点から、特に好ましい添加量は、ゼオライト1k
gに対し、3〜11モルの範囲である。処理時間は特に
限定されないが、通常0.1〜12時間程度で充分であ
る。このようにして処理されたゼオライトは、必要に応
じ水洗したのち、乾燥処理し、さらに場合により焼成す
ることにより、本発明の鉄含有結晶性アルミノシリケー
トが得られる。
【0013】次に、第二の発明の触媒組成物は、上記鉄
含有結晶性アルミノシリケートをマトリックス中に分散
してなる触媒担体に、水素化能を有する金属を少なくと
も一種担持させたものである。ここで、マトリックスと
しては、例えばアルミナ,アルミナ−ボリア,アルミナ
−シリカ,粘土鉱物などが好ましく挙げられ、これらは
一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよ
い。これらのマトリックスと上記鉄含有結晶性アルミノ
シリケートとを、触媒担体全量に対し、鉄含有結晶性ア
ルミノシリケートの含有量が好ましくは5〜85重量%
の範囲になるように混練し、成形,乾燥,焼成すること
により、触媒担体が得られる。鉄含有結晶性アルミノシ
リケートの含有量が5重量%未満では充分な分解活性が
得られず、また85重量%を超えると触媒強度が低下す
るおそれが生じ、好ましくない。分解活性及び触媒強度
のバランスの面から、鉄含有結晶性アルミノシリケート
のより好ましい含有量は 20〜70重量%の範囲であ
り、特に45〜70重量%の範囲が好適である。乾燥温
度は30〜200℃の範囲が好ましく、この範囲を逸脱
すると触媒活性に悪影響を及ぼすおそれがある。また、
焼成温度は、通常300〜750℃の範囲で選ばれる。
この温度が300℃未満では焼成の効果が充分に発揮さ
れず、750℃を超えるとゼオライトの結晶性の低下を
もたらすおそれが生じ、好ましくない。焼成効果及び結
晶性の低下抑制の面から、より好ましい焼成温度は45
0〜700℃の範囲である。
【0014】このようにして得られた触媒に担持させる
水素化能を有する金属としては、周期律表6族,8族,
9族及び10族に属する金属が用いられる。周期律表6
族に属する金属としては、例えばタングステン,モリブ
デンなどが好ましく挙げられ、一方周期律表8〜10族
に属する金属としては、例えばニッケル,コバルトなど
が好ましく挙げられる。本発明においては、水素化能を
有する金属として、周期律表6族の金属を一種用いても
複数種用いてもよく、また周期律表8〜10族の金属を
一種用いても複数種用いてもよい、さらには、周期律表
6族の金属一種以上と周期律表8〜10族の金属一種以
上とを組み合わせて用いてもよい。この水素化能を有す
る金属の担持量については特に制限はなく、各種条件に
応じて適宜選定すればよいが、通常、第6族の金属は、
触媒組成物全重量に基づき0.01〜20重量%の範囲で
ある。この担持量が0.01重量%未満では充分な水素化
能が発揮されず、また20重量%を超えると相対的に活
性種である鉄含有結晶性アルミノシリケートの量が少な
くなり、分解活性が低下する。水素化能及び分解活性の
バランスの面から、好ましい担持量は5〜18重量%の
範囲であり、特に8〜15重量%の範囲が好適である。
一方、周期律表8〜10族の金属は、上記と同様の理由
から、触媒組成物全重量に基づき、通常0.01〜10重
量%、好ましくは1〜7重量%、特に好ましくは2〜6
重量%の範囲である。
【0015】上記水素化能を有する金属の担持方法につ
いては特に制限はなく、従来公知の方法、例えば含浸
法,共沈法,混練法などの中から選ばれた任意の方法を
用いることができる。このようにして、触媒担体に所望
の金属を担持させたのち。必要に応じ,乾燥後,焼成処
理を行う。焼成温度及び時間は、担持させた金属などの
種類に応じて適宜選ばれる。次に第三の発明において
は、このようにして得られた触媒組成物の存在下に、重
質油を水素化処理する。この水素化処理に用いられる重
質油については特に制限はなく、様々なものが使用可能
であるが、一般には原油の常圧蒸留残渣油,減圧蒸留残
渣油,重質軽油,減圧軽油,接触分解残渣油,ビスブレ
ーキング油,タールサンド油,シェールオイルなどに由
来する炭化水素油などが挙げられる。また、本発明の方
法により、重質油を水素化処理するに当たっては、従来
から水素化処理に採用されている広範囲の反応条件を採
用すればよい。具体的な反応条件は、原料重質油の種類
などにより変動し、一義的に定めることはできないが、
通常は反応温度370〜650℃、反応圧力は10〜3
00気圧の範囲で適宜選定する。このような重質油の水
素化処理により、付加価値の高い中間留分が高選択率及
び高収率で得られる。この重質油の水素化処理方法にお
いては、触媒として、本発明の触媒組成物を単独で用い
てもよく、また、該触媒組成物と一般の水素化処理触媒
とを組合わせて用いてもよい。
【0016】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。なお、触媒の常圧残油水素化分解活
性は、次に示す方法により求めた。すなわち、成形した
触媒ペレット100ミリリットルを高圧固定床反応器に
充填し、硫化処理したのち、アラビアンヘビー常圧残油
を原料油に用いて、反応温度400℃,液時空間速度
(LHSV)0.3hr-1,水素分圧135kg/c
2 ,水素/油比1,000Nm3 /キロリットルの条件
で水素化分解を行う。得られた生成油を蒸留ガスクロマ
トグラフィー法により分析を行い、343+ ℃留分(3
43℃より高い温度の留分)分解率及び中間留分(17
1〜343℃留分)収率を求め、常圧残油水素化分解活
性を評価した。また、鉄含有結晶性アルミノシリケート
の諸物性は、明細書本文記載の方法に従い求めた。
【0017】実施例1 合成Na−Y型ゼオライト(Na2 O含有13.3wt
%,SiO2 /Al2 3 モル比=5.0)をNH4 +
換し、NH4 + −Y型ゼオライト(Na2 O含有1.2w
t%)を得たのち、これをロータリーキルンを用いて、
温度670℃±10℃,滞留時間3時間の条件で連続セ
ルフスチーミング処理し、スチーミングゼオライトを得
た。このスチーミングゼオライト1kgを水20リット
ル中に投入して30分攪拌してスラリーを調製した。こ
のスラリーに、0.57モル/リットル濃度の硝酸第二鉄
水溶液4.3kgを10分間要して添加したのち、室温で
5分間攪拌し、次いで、このスラリーを室温から75℃
まで35分間で昇温した。昇温途中でスラリー温度が6
0℃に達した時点で10wt%硝酸4リットルを25分
間要して添加した。添加終了後、スラリーを30分間攪
拌したのち、ろ過,洗浄後、120℃で4時間乾燥して
鉄含有ゼオライトAを得た。このものの物性を第1表に
示す。次に、上記鉄含有ゼオライトA390g(乾燥重
量)とアルミナベーマイトゲル210g(乾燥重量)を
混練したのち、押出し成形し、乾燥空気で200℃、4
時間乾燥処理後、ロータリーキルンで550℃、3時間
焼成することにより、ペレット状の触媒担体を得た。こ
の触媒担体中の鉄含有ゼオライト含有量は65wt%で
あった。この触媒担体100gに、Co及びMoを含有
した溶液を含浸させたのち、ロータリーキルンを用いて
乾燥後、550℃で2時間焼成することにより、触媒A
を得た。この触媒AはCoO4.2wt%及びMoO3
0.6wt%を含有していた。この触媒Aの常圧残油水素
化分解活性を第2表に示す。
【0018】比較例1 合成Na−Y型ゼオライト(Na2 O含量13.3wt
%,SiO2 /Al2 3 モル比5.6)をNH4 + 交換
し、NH4 + −Y型ゼオライト(Na2 O含量0.4wt
%)を得たのち、これをロータリーキルンを用いて、温
度680±10℃、滞留時間3時間の条件で連続セルフ
スチーミング処理し、スチーミングゼオライトを得た。
このスチーミングゼオラオト80g及び0.20モル/リ
ットル濃度の硝酸第二鉄水溶液800ミリリットルを1
リットル容の三つ口フラスコに入れ、50℃で2時間攪
拌処理した。攪拌処理後のスラリーをろ過,洗浄したの
ち、80℃で3時間乾燥し、次いで450℃にて3時間
焼成することにより、鉄含有ゼオライトBを得た。この
ものの物性を第1表に示す。次に、上記鉄含有ゼオライ
トB67g(乾燥重量)とアルミナベーマイトゲル18
9g(乾燥重量)を混練したのち、押出し成形し、乾燥
空気で120℃、3時間乾燥処理後、500℃で3時間
焼成することにより、ペレット状の触媒担体を得た。こ
の触媒担体中の鉄含有ゼオライト含有量は60wt%で
あった。この触媒担体75gにメタタングステン酸アン
モニウム濃厚溶液(WO3 50.0wt%)20.0ミリリ
ットル及び硝酸ニッケル14.9gを含む水溶液64ミリ
リットルを加えて含浸させたのち、90℃で3時間乾燥
処理し、次いで550℃で2時間焼成して、金属として
Wを15.1wt%、Niを2.9wt%含有する触媒Bを
調製した。この触媒Bの常圧残油水素化分解活性を第2
表に示す。
【0019】比較例2 Na2 O含量0.4wt%,SiO2 /Al2 3 モル比
5.0のY型ゼオライト200gをロータリーキルン内に
投入し、680℃で3時間セルフスチーミング処理を行
った。このスチーミングゼオライト80gを3.5wt%
硝酸水溶液2400gと混練し、75℃に加熱した。次
いで、濃度1.0モル/リットルの硝酸第二鉄水溶液14
0gを混合し、75℃で2時間攪拌処理した。処理後、
吸引ろ過し、さらにイオン交換水で充分に洗浄したの
ち、120℃で乾燥して鉄含有ゼオラオトCを得た。こ
のものの物性を第1表に示す。次に、上記鉄含有ゼオラ
イトC67g(乾燥重量)とアルミナベーマイトゲル1
89g(乾燥重量)を混練したのち、押出し成形し、乾
燥空気で120℃、3時間乾燥処理後、ロータリーキル
ンで500℃で3時間焼成することにより、ペレット状
の触媒担体を得た。この触媒担体の鉄含有ゼオライト含
有量は65wt%であった。この触媒担体75gに、C
o(NO3)2 ・6H2 O13.6g及び(NH4)2 MO7
24・4H2 O74.8gを含む水溶液45ミリリットル
を加えて真空含浸させたのち、90℃で3時間乾燥処理
し、金属酸化物としての含有量がCoO4wt%及びM
oO3 10wt%となるようにした。次いで、500℃
で5時間焼成して触媒Cを得た。この触媒Cの常圧残油
水素化分解活性を第2表に示す。
【0020】
【表1】
【0021】注1)易還元性鉄含有量率 昇温プログラム還元により計算 2)IR(末端SiOH/B酸比) IRスペクトルにおいて測定される末端SiOH/ブレ
ンステッド酸比 3)Pv1 /Pv2 ×100 50〜100Åの細孔容積(Pv1 )の600Å以下の
細孔の全容積(Pv2)に対する百分率
【0022】
【表2】
【0023】第1表から分かるように、実施例1の鉄含
有ゼオライトAは、易還元性鉄含有率が適正な範囲にあ
り、水素化活性が発揮しやすい状態になっている。ま
た、末端SiOH/B酸比も高く、ゼオライトの強い酸
性質とバランスのとれた末端シラノール基濃度を有する
ことが確認された。また、第2表から、高い水素化活性
をもち、かつゼオライトの強い酸性質とバランスのとれ
た末端シラノール基濃度を有する鉄含有ゼオライトAを
用いた実施例1の触媒Aは、過分解を起こしにくい適正
な分解活性を有しており、中間留分収率が極めて高いこ
とが分かる。
【0024】
【発明の効果】本発明の鉄含有結晶性アルミノシリケー
トは、適正な分解活性を維持するとともに、過分解を抑
制した中間留分増産能を有する重質油の水素化分解用触
媒の成分として好適である。また、これを含む本発明の
触媒組成物の存在下に、重量油を水素化処理することに
より、高い選択率及び収率で付加価値の高い中間留分を
効率よく製造することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昇温プログラム還元により計算される易
    還元性鉄含有率が35〜65%の範囲にある鉄含有結晶
    性アルミノシリケート。
  2. 【請求項2】 孔径50〜100Åの細孔の容積が、孔
    径600Å以下の細孔の全容積に対して35%未満であ
    る請求項1記載の鉄含有結晶性アルミノシリケート。
  3. 【請求項3】 赤外線吸収スペクトルにおいて測定され
    る末端SiOH/ブレンステッド酸比が0.5以上である
    請求項1記載の鉄含有結晶性アルミノシリケート。
  4. 【請求項4】 請求項1,2又は3記載の鉄含有結晶性
    アルミノシリケートをマトリックス中に分散してなる触
    媒担体に、周期律表6族,8族,9族及び10族に属す
    る金属の中から選ばれた少なくとも一種を担持させたこ
    とを特徴とする触媒組成物。
  5. 【請求項5】 マトリックスが、アルミナ,シリカ−ア
    ルミナ,アルミナ−ボリア及び粘土鉱物の中から選ばれ
    た少なくとも一種である請求項4記載の触媒組成物。
  6. 【請求項6】 触媒担体中の鉄含有結晶性アルミノシリ
    ケート含有量が5〜85重量%である請求項4記載の触
    媒組成物。
  7. 【請求項7】 重質油を触媒の存在下に水素化処理する
    に当たり、該触媒として、請求項4,5又は6記載の触
    媒組成物を用いることを特徴とする重質油の水素化処理
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021210674A1 (ja) * 2020-04-16 2021-10-21 日揮触媒化成株式会社 フォージャサイト型ゼオライトおよびその製造方法

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WO2021210674A1 (ja) * 2020-04-16 2021-10-21 日揮触媒化成株式会社 フォージャサイト型ゼオライトおよびその製造方法
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