JPH08252868A - 管状体とその製造方法 - Google Patents

管状体とその製造方法

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JPH08252868A
JPH08252868A JP7351895A JP35189595A JPH08252868A JP H08252868 A JPH08252868 A JP H08252868A JP 7351895 A JP7351895 A JP 7351895A JP 35189595 A JP35189595 A JP 35189595A JP H08252868 A JPH08252868 A JP H08252868A
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Jitsuo Ono
実夫 大野
Nobuhiro Takada
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 管状体において、肉厚の不均一さや強化繊維
の傾斜等に起因し、温度変化によって生じる曲げモーメ
ントのバランスをとり、製品の曲りを防止すると共に、
製造を容易にする 【解決手段】 合成樹脂をマトリックスとし、強化繊維
によって強化された管状体30であって、該管状体の円
周を含む方向の断面である横断面が略対称な構造であ
り、略対称構造の横断面が管状体の所定長さ範囲に亘っ
て連続しており、該略対称構造横断面における層数(3
又は4)が円周方向に1周する間に増減しており、該略
対称構造横断面における管状体の軸長方向の縦弾性率と
該軸長方向の線膨張率との積から得られ、温度変化に基
づき管状体を軸長方向に沿って曲げるモーメントを略バ
ランスさせるよう構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度変化に対して
曲り変形の生じ難い管状体とその製造方法に関する。従
って、釣竿竿管、ゴルフクラブのシャフト、スキーのス
トック、自転車のフレーム、テニスやバトミントンのラ
ケット等に利用できる。
【0002】
【従来の技術】素材シートを芯金に巻回して管状体を成
形する方法では、セロファン緊締テープの緊締圧力によ
って加熱成形時に引揃え繊維が湾曲して、製品不良が発
生したり、シートの重合部が発生するため均一な肉厚が
得られず、加熱成形時に管状体素材の曲りが発生する
が、これらの解決手法が特開昭56−68331号公報
や特公昭62−30095号公報に開示されている。
【0003】前者には炭素繊維の引揃えシートにスクリ
ムクロスを貼り合わせたプリプレグシートを芯金に巻回
して釣竿竿管を成形する手法が開示されている。後者に
は、芯金に対して放射状に配置される連続した複数本の
縦糸と、この縦糸の間隙を埋めるように放射状に配置さ
れる少なくとも2を単位で切断された縦糸と、これら縦
糸と互いに直交する複数本の連続した横糸とにより芯金
を基準として織物を織り成し、この織物が同時に多層状
に亘って織り成されることにより素材を層成する手法が
開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、前者では
引揃えシートをスクリムクロスで押えることで引揃え繊
維の移動を防止できるものの、加熱成形中のプリプレグ
シート全体の芯金に対する移動や、芯金のテーパ形状、
シートの重合部等により繊維方向が芯金方向に対して傾
斜したり、偏肉部分ができることは防止できず、加熱焼
成した竿管の曲りを防止することには限界が有る。後者
では、芯金を基準として織物を織り成し、円周上に均一
な肉厚を有するよう成形するものであり、芯金に素材シ
ートや素材テープを巻回して管状体を成形する方法とは
異なり、製造が容易とは限らない。
【0005】依って本発明は、管状体において、肉厚の
不均一さや強化繊維の傾斜等に起因し、温度変化によっ
て生じる曲げモーメントのバランスをとり、製品の曲り
を防止すると共に、製造を容易にすることを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑みて本発明
は、請求項1において合成樹脂をマトリックスとし、強
化繊維によって強化された管状体であって、該管状体の
円周を含む方向の断面である横断面が非対称構造であ
り、該非対称構造横断面における管状体の軸長方向の縦
弾性率と該軸長方向の線膨張率との積から得られ、温度
変化に基づき管状体を軸長方向に沿って曲げるモーメン
トを略バランスさせたことを特徴とする管状体を提供す
る。ここで、横断面が非対称構造とは、素材の巻回によ
り巻回終了部の重なり部を有する横断面構造の場合や、
異なる材料、素材を組合せたハイブリッド構造の場合
や、製造条件によって繊維が芯金の軸長方向に配向され
ずにずれて傾斜構造になる場合等を含む。
【0007】また、請求項2において合成樹脂をマトリ
ックスとし、強化繊維によって強化された管状体であっ
て、該管状体の円周を含む方向の断面である横断面が非
対称構造であり、温度変化に応じて該管状体を軸長方向
に沿って曲げるモーメントを略打ち消すことができるよ
うに前記非対称構造横断面の所定位置に補助部材を一体
に形成したことを特徴とする管状体を提供する。ここで
補助部材とは管状体の成形に際し、巻回された状態の横
断面において円周角が精々180度までの部材をいい、
単一部材でも複合材でもよい。更には、請求項3におい
て、上記補助部材が、上記管状体の軸長方向における該
補助部材の縦弾性率と該軸長方向の線膨張率との積が前
記管状体の本体部材よりも大きい部材を具備することを
特徴とする管状体を提供する。また、請求項4におい
て、上記請求項2や3に対応する補助部材が、前記管状
体の軸長方向における該補助部材の縦弾性率が前記管状
体の本体部材よりも小さな部材を具備することを特徴と
する管状体を提供する。
【0008】また、請求項5において、請求項2の管状
体を製造する方法であって、加熱の際における樹脂の流
動や芯金の方向に対する強化繊維の配向方向の変化量等
の製造条件に応じて定まる変化量に応じて、加熱成形前
の巻回本体素材における補助部材の添設位置を上記所定
位置から補正した位置に設定すると共に、強化繊維に合
成樹脂を含浸又は混在させた素材を巻回し、加圧加熱し
て管状体を製造する方法を提供する。
【0009】また請求項6において、合成樹脂をマトリ
ックスとし、強化繊維によって強化された管状体であっ
て、該管状体の円周を含む方向の断面である横断面が略
対称な構造であり、略対称構造の横断面が管状体の所定
長さ範囲に亘って連続しており、該略対称構造横断面に
おける層数が円周方向に1周する間に増減しており、該
略対称構造横断面における管状体の軸長方向の縦弾性率
と該軸長方向の線膨張率との積から得られ、温度変化に
基づき管状体を軸長方向に沿って曲げるモーメントを略
バランスさせたことを特徴とする管状体を提供する。
【0010】請求項1に対応し、横断面が非対称構造で
あることを前提とするため素材を巻回する方法等の従来
の慣れた方法で管状体を容易に製造できる。また、横断
面における管状体の軸長方向の縦弾性率と該軸長方向の
線膨張率との積から得られ、温度変化に基づき管状体を
軸長方向に沿って曲げるモーメントを略バランスさせた
ので、成形品の曲りを防止できる。上述のように、縦弾
性率も曲げモーメントの因子であり、特に、例えばカー
ボン繊維のような高強度で高弾性な繊維を強化繊維とし
て使用した場合に、成形品に曲りが生じ易いため、特に
こうした高強度で高弾性な繊維を使用した管状体におい
て本発明の効果が高い。また、引揃えシートが管状体の
軸長方向に50%以上配設されているような構造の管状
体においても、該引揃えシート繊維は温度変化に対して
該管状体の曲げに作用する率が高いため、本発明は効果
が大きい。
【0011】請求項2に対応し、横断面が非対称構造で
あることを前提とするため、素材を巻回する方法等の従
来の慣れた方法で管状体を容易に製造できる。また、補
助部材を管状体の横断面所定位置に単に一体に形成する
ことにより、温度変化に応じて該管状体を軸長方向に沿
って曲げるモーメントを略打ち消すことができるため曲
り防止が容易となる。
【0012】請求項3に対応し、補助部材が、上記管状
体の軸長方向における補助部材の縦弾性率と該軸長方向
の線膨張率との積が、前記管状体の本体部材よりも大き
い部材を具備するため、補助部材は本体部材に比較して
温度変化に応じた曲げモーメントへの寄与率が大きくな
り、その分だけ必要な補助部材を小さくできる。請求項
4に対応し、補助部材が、前記管状体の軸長方向におけ
る補助部材の縦弾性率が管状体の本体部材よりも小さい
ため、普段の管状体使用時において、補助部材の存在に
起因する管状体の撓み剛性への影響が小さいと共に、管
状体の撓みに方向性を有するようになることが低減でき
る。管状体が竿管の場合はこの撓みの方向性が小さいこ
とは特に大切である。ここで、縦弾性率と線膨張率との
積が本体部材よりも大きな部材を具備する請求項3との
重合の場合は、補助部材は本体部材よりも縦弾性率が小
さいと共に、線膨張率の大きな部材を具備する。
【0013】請求項5に対応し、加熱時における樹脂の
流動や芯金の方向に対する強化繊維の配向方向の変化量
を見込んで、加熱成形前の巻回素材における補助部材の
添設位置を成形管状体における所定位置から調節移動補
正した位置に設定して管状体を加熱成形するため、現実
に成形された管状体の横断面において補助部材を所定位
置に位置させることができる。従って、成形された管状
体の曲りが精度良く防止され得る。
【0014】請求項6に対応し、円周方向において層数
が増減している、即ち、1周に満たない層が存在してい
るものの、この位置の横断面を略対称な横断面構造に
し、略対称構造横断面状態を所定長さ軸長方向に連続さ
せているため、この長さ領域においては温度変化に基づ
く曲げモーメントを略バランスさせることができる。
【0015】なお、焼成された従来製品において生じた
曲りを後から逆方向に曲げたりする修正作業によって修
正した場合は、高温環境で長時間保持すれば再び曲りが
生じるが、本発明により成形された管状体は温度変化に
対して曲りが防止されるようになっているため、こうし
た場合にも曲りが防止される(曲りが発生しても小量で
ある)。
【0016】
【実施の実施の形態】以下、本発明を添付図面に示す形
態例に基づき、更に詳細に説明する。図1は例えば竿管
10を例とした管状体の斜視図であり、座標軸x,y,
zを図示の如く定義する。即ち、竿管10の軸芯をx軸
とする。図2はx位置における竿管10の拡大横断面図
であり、dAは半径方向がrからr+drの範囲、かつ
円周方向が角度θからθ+dθの範囲の微小部分を示す
と共に、微小部分の面積をも示す。微小部分dAにおけ
る軸長方向の縦弾性率をEとすれば、この微小部分dA
のy軸に関する曲げ剛性dEI(x)は次式で表現され
る。
【0017】 dEI(x)=E・dA・(r・sinθ)2 また、dAは次式で表わされる。 dA=r・dθ・dr ∴dEI(x)=E・r3・sin2θ・dθ・dr 竿管10のx位置における曲げ剛性は、曲げの中立面が
竿管10の中心を通るとすれば(即ち、y軸を中立軸と
すれば)、このdEI(x)をx座標一定の横断面全体
に亘って積分した値となる。
【0018】素材を適数層巻回した最後の半端に重合し
た部分を偏肉部HNと称し、ここでは便宜上この偏肉部
や既述の補助部材を、その他の完全に1周している層状
部分と区別し、かつ各層毎に積分を分ける形式の式で記
載すると竿管10の曲げ剛性EI(x)は次式(1)と
なる。[ を積分記号として使用する。
【0019】
【0020】ここで、第2項のΣは、複雑さを避けるた
め略示しており、既述の通り完全に1周していない偏肉
部や、本体部材に連続化して完全な層の一部をなす場合
でない補助部材に対しての総和をとることを意味する。
また、記号は以下の通りである。 nは完全に1周している層の数であり、k=1,2,・
・・,n Ek(θ) :k番目の層の角度θの位置における軸長方
向縦弾性率 E(θ):偏肉部や補助部材の角度θの位置における軸
長方向縦弾性率であるが、補助部材の場合は上記E
k(θ)に含まれる場合もある。 θ0 :偏肉部や補助部材の始点角 θC :偏肉部や補助部材の終点角 その他の記号の意味は図3に示し、k番目の層の内径を
r(k-1) とし、外径をrk とする。
【0021】また、熱硬化性樹脂を使用した繊維強化樹
脂プリプレグを芯金に巻回して竿管素材とし、これを成
形温度に加熱して硬化させた状態では熱応力が無くて竿
管に曲りが生じていなくても、常温に冷却した場合のよ
うにある温度差ΔTを付与すると、非対称構造のもので
は各部分に発生する軸長方向の熱応力に基づき曲げモー
メントが生じて長手方向に沿った曲りが生ずる。上記y
軸を曲げの中立軸とし、微小部分dAにおける軸長方向
の線膨張率をαとすれば、該微小部分dAに作用する温
度差ΔTによる曲げモーメントdM(x)は次式で示さ
れる。
【0022】dM(x)=(E・α・ΔT・dA)・
(r・sinθ) 竿管10のx位置における曲げモーメントM(x)はこ
のdM(x)をx座標一定の横断面全体に亘って積分し
た値となる。上記曲げ剛性の場合と同様に、偏肉部や補
助部材を分けて表現すれば竿管10のx位置における曲
げモーメントM(x)は次式(2)で示される。
【0023】
【0024】ここで、第2項のΣは上記の場合と同様に
複雑さを避けるため略示しており、完全に1周していな
い偏肉部や補助部材に対しての総和をとることを意味す
る。また、記号は以下の通りである。 αk(θ) :k番目の層の角度θの位置における軸長方
向線膨張率 α(θ):偏肉部や補助部材の角度θの位置における軸
長方向線膨張率であるが、補助部材の場合は上記α
k(θ)に含まれる場合もある。
【0025】ここで.竿管のx位置における曲率半径を
ρ(x)とすれば、曲率κ(x)は下記の式(3)で求
まる。 κ(x)=1/ρ(x) =−M(x)/EI(x) ・・・(3)
【0026】竿管10の曲げを防止する、即ち、曲率κ
(x)を略0にするには、式(3)を参照すれば分るよ
うに曲げモーメントM(x)を略0にすればよい。即
ち、縦弾性率と線膨張率との積から得られ、各部分にお
いて温度変化に基づき竿管10を軸長方向に沿って曲げ
るモーメントΔM(x)をそのx位置における横断面全
体として略バランスさせれば、そのx位置での竿管10
の曲りが防止される。従って、各x位置においてこのバ
ランスを保持させれば竿管10全長に亘って曲りが防止
される。
【0027】曲げモーメントをバランスさせる具体的な
手法として、x横断面の各部分における軸長方向の縦弾
性率や線膨張率の組合せが上記式(2)の曲げモーメン
トM(x)を略0とするように該横断面位置に使用する
強化繊維やマトリックス合成樹脂を選定すればよい。ま
た、そうした竿管本体の材料や強化繊維の配向が何等か
の要因で定まっており、調節できない場合には、補助部
材を付加して上記曲げモーメントM(x)が略0となる
ように設計する。この補助部材は幅方向(円周方向)の
角度が180度以下、例えば90度程度であり、巻回し
た(或いは巻回前の)竿管本体素材の軸長方向に沿って
添設し、該本体素材と一体に加熱成形する。
【0028】この補助部材としては竿管本体の素材の合
成樹脂と親和性の良いものが好ましく、合成樹脂シート
や、強化繊維に樹脂を含浸させたプリプレグ等の複合材
でもよい。特に複合材では、同じ複合材であっても強化
繊維の方向を竿管の軸長方向に向けるか周方向に向ける
か等によって軸長方向の縦弾性率や線膨張率の特性が異
なる。複合材の強化繊維の方向が竿管の円周方向に向く
ように竿管本体に一体化されていれば、軸長方向の縦弾
性率が小さくなり、竿管の撓み剛性に与える影響が小さ
くなり撓みの方向性が少なく、好ましい。この他、不織
布や紙を基材としてこれらに合成樹脂を含浸させたシー
トや、熱可塑性樹脂シートを使用することもできる。前
者では基材の存在によって合成樹脂が流動し難く、一定
の位置に保持される効果があり、後者ではその溶融する
温度が高いため、熱硬化製樹脂を使用した竿管本体の成
形温度では流動せず軟化する程度であり、所望の形状を
保持したまま本体に一体化できる。
【0029】補助部材の一体化円周方向角度位置は以下
の通りを原則とする。竿管本体素材の軸長方向線膨張率
が正(温度の上昇で伸びる場合)負(温度の上昇で縮む
場合)に拘らず、正の線膨張率を有する補助部材を竿管
の曲率が最大になる円周方向位置から円周方向に180
度移動した位置を中心として一体化させる。又は、負の
線膨張率を有する補助部材を、竿管の曲率が最大になる
円周方向位置を中心に一体化させる。
【0030】プリプレグによる竿管本体素材を加熱成形
する際の樹脂の流動や強化繊維の配向方向の変化量等の
製造条件に応じて定まる変化量によって、竿管本体の曲
りが設計値と異なることになるが、製造条件によるこの
樹脂流動や強化繊維の配向方向等の変化量を予め見積も
っておき、竿管本体素材に対する補助部材の添設位置
を、成形終了後の竿管において一体化されている位置に
対応した巻回竿管素材における位置とは異なって、上記
見積量に応じて補正した位置に設定することにより、竿
管10の曲りをより精度良く防止できる。
【0031】上記式(2)の曲げモーメントM(x)を
略0とするように構成するには、円周角の小さな補助部
材を使用する場合の他、任意の大きさの部材(補助部材
と呼ぶか、本体部材と呼ぶかは問題ではない)を使用し
て成形後の横断面を略対称構造に構成してもよく、その
管状体の製造例を図4を参照して説明する。管状体とし
て竿管を例とし、芯金20に、主体となる台形状のプリ
プレグシートP1を丁度3回巻回する。この上に、竿管
の後方部(芯金の先部20Bに相当)の曲げ剛性が高
く、前方部(芯金の先部20Aに相当)が柔軟になるよ
うに、前記プリプレグシートP1よりも強化繊維の弾性
率の高い繊維を長手方向に指向させ、例えば芯金の後端
部に1.5回巻回できる大きさの底辺の3角形状プリプ
レグシートP2を巻回させる。
【0032】然しながら、上記のまま竿管を成形すれ
ば、その横断面は前記プリプレグシートP2を巻回した
竿管の先部位置から後方に向って所定長さ範囲に亘っ
て、図5に示すような3層L1,L2,L3(プリプレ
グシートP1による層)の上に、円周角度θ1(180
度以下)の第4層L4(プリプレグシートP2による
層)が存在することになり、非対称な横断面構造にな
り、温度変化に基づく曲げモーメントが発生する。これ
を防止するために図4に示すように、プリプレグシート
P2と同じプリプレグシートP3を、該プリプレグシー
トP2の各部に対応する位置を芯金20の中心(竿管3
0の中心C)に対して180度反対側に位置するように
位置設定して巻回する。そうして成形された竿管30を
図5に示すが、竿管の中心Cに対して上記第4層L4の
180度反対側に、同じ材質、同じ大きさの層L4’が
存在しており、これにより竿管30の温度変化に基づく
曲げモーメントを防止できる。
【0033】上記円周角度θ1が180度を超える竿管
30の後方部は、後から巻回したプリプレグシートP3
が先に巻回したプリプレグシートP2の上に重なるた
め、半径の相違分曲げモーメントの釣合が保持できない
が、一般にその半径の相違は無視できる程であり、概ね
竿管30の全長に亘って曲げモーメントの釣合が保持で
きる。然しながら、本発明は必ずしも竿管の全長に亘っ
て曲げモーメントの釣合が保持できる必要はなく、一部
の長さ範囲に亘って夫々の位置の横断面において曲げモ
ーメントの釣合が保持できておれば、曲げモーメントの
発生がその分抑制される効果がある。
【0034】以上と異なり、両プリプレグシートP1と
P2が同じ材料であり、プリプレグシートP2がプリプ
レグシートP1と予め一体に(1枚に)形成されてい
て、プリプレグシートP3も同じ材料である場合も上記
と同じ管状体30が形成され、同様に曲げモーメントが
防止される。即ち、上記プリプレグシートP1とP2と
の合体したプリプレグシートの先端は芯金20に3回巻
回され、後端は4.5回巻回され、その間は漸変する。
その上からプリプレグシートP3を、竿管30の横断面
が図5のようになるように巻回開始位置を調節して巻回
する。また、端部の巻回数3回と4.5回は単なる1例
であり、3回と4回でも、また、3.2回と4.2回等
でもよい。
【0035】然しながら後者2例の場合は、既述の大き
さのプリプレグシートP3のままではなく、前端が3
回、後端が4回の場合は、底辺が1回巻回できる分の大
きさの3角形とし、前端が3.2回、後端が4.2回の
巻回数である最後の例では、プリプレグシートP3は3
角形ではなく、先端が0.2回分の偏肉部に対応する上
底を有し、後端が1.2回巻回できる下底の台形等にす
る。
【0036】また、上記式(2)の曲げモーメントM
(x)を略0とするように構成するには、任意の大きさ
の付加部材を使用して成形後の竿管32の横断面を略対
称構造に構成するが、この対称の意味は、付加する部材
を図5のように180度反対側にのみ配置する場合に限
らず、図6に示すように120度間隔のように等角度θ
に離隔させて配設し、これにより夫々の付加部材L5,
L6,L7による曲げモーメントを互いに打ち消すこと
のできる場合を含む。
【0037】図4から図6では偏肉、或いは付加した最
外周部材(L4〜L7)が同じ材質の部材で、同じ大き
さからなる場合を説明したが、図7に示すように同じ大
きさの部材L8,L8’を竿管34の中心Cに対して1
80度反対側に配設し、他の大きさであって、互いに同
じ大きさの部材L9,L9’を同様に中心Cに対して対
向配置させても対称であり、曲げモーメントは打ち消し
合う。この場合、全ての部材L8,L8’,L9,L
9’は同じ材質としたが、部材L8とL8’は同じ材質
同士、部材L9とL9’は他の同じ材質同士としても対
称である。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、肉厚の不均一さや繊維の傾斜等に起因し、温度
変化によって生じる曲げモーメントのバランスをとって
いるため、製品の曲りを防止できる他、横断面が非対称
構造であることを前提としているため、素材の巻回とい
う従来の基本的な製造方法によって管状体を形成でき、
製造が容易である。また、曲げモーメントのバランスを
とった管状体では成形後に高温環境に保持しても従来品
のように曲りが生ずることも防止できる。また、管状体
本体の材料や強化繊維の配向が何等かの要因で定まって
おり、この定まった範囲内では曲げモーメントの調節が
できない場合等には、本体部材とは別の補助部材を付加
することにより容易簡便に曲げモーメントのバランスを
とることができる。
【0039】この補助部材として、軸長方向の縦弾性率
と線膨張率との積が管状体の本体部材よりも大きい部材
を具備させると、補助部材は本体部材に比較して温度変
化に応じた曲げモーメントへの寄与率が大きくなり、そ
の分だけ必要な補助部材を小さくでき、軽量となる。ま
た、補助部材の軸長方向縦弾性率を本体部材よりも小さ
くすると、普段の管状体の使用時において、補助部材の
存在に起因する管状体の撓み剛性への影響が少なく、管
状体の撓みに方向性を有することが低減できる。管状体
が竿管の場合はこの撓みの方向性が小さいことは特に有
益である。
【0040】加熱時における樹脂の流動や芯金の方向に
対する強化繊維の配向方向等の変化量を見込んで、補助
部材の配設位置を加熱成形前の巻回素材において成形管
状体の所定位置に対応する位置から補正移動した位置に
設定して加熱成形すると、現実に成形された管状体の横
断面において曲げモーメントを略バランスさせる上記所
定位置に補助部材を位置させることができる。従って、
成形された管状体の曲りを高精度に防止できる。
【0041】円周方向において層数が増減している、即
ち、1周に満たない層が存在しているものの、この位置
の横断面を略対称な横断面構造にし、略対称構造横断面
状態を所定長さ軸長方向に連続させているため、この長
さ領域においては温度変化に基づく曲げモーメントを略
バランスさせることができる。この構造も従来の素材の
巻回方法で成形でき、容易である。また、成形後に高温
環境に保持しても従来品のように曲りが生ずることを防
止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る管状体の斜視図である。
【図2】図2は図1の管状体のx位置における横断面図
である。
【図3】図3は本発明説明用の式における記号説明用の
管状体横断面図である。
【図4】図4は本発明に係る管状体の製法例を示す図で
ある。
【図5】図5は図4の製法による管状体の横断面図であ
る。
【図6】図6は図5の管状体の変形例の横断面図であ
る。
【図7】図7は図5の管状体の他の変形例の横断面図で
ある。
【符号の説明】
10 竿管(管状体) E 管状体の軸長方向における縦弾性率 HN 偏肉部 n 完全な巻回層の数 x 管状体の軸長方向座標 α 管状体の軸長方向における線膨張率
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 5/00 B32B 5/00 B // A01K 87/00 B62K 19/16 B62K 19/16 A01K 87/00 630A B29K 105:08 630C B29L 23:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂をマトリックスとし、強化繊維
    によって強化された管状体であって、 該管状体の円周を含む方向の断面である横断面が非対称
    構造であり、 該非対称構造横断面における管状体の軸長方向の縦弾性
    率と該軸長方向の線膨張率との積から得られ、温度変化
    に基づき管状体を軸長方向に沿って曲げるモーメントを
    略バランスさせたことを特徴とする管状体。
  2. 【請求項2】 合成樹脂をマトリックスとし、強化繊維
    によって強化された管状体であって、 該管状体の円周を含む方向の断面である横断面が非対称
    構造であり、 温度変化に応じて該管状体を軸長方向に沿って曲げるモ
    ーメントを略打ち消すことができるように前記横断面の
    所定位置に補助部材を一体に形成したことを特徴とする
    管状体。
  3. 【請求項3】 前記補助部材が、前記管状体の軸長方向
    における該補助部材の縦弾性率と該軸長方向の線膨張率
    との積が前記管状体の本体部材よりも大きい部材を具備
    することを特徴とする請求項2記載の管状体。
  4. 【請求項4】 前記補助部材が、前記管状体の軸長方向
    における該補助部材の縦弾性率が前記管状体の本体部材
    よりも小さな部材を具備することを特徴とする請求項2
    又は3記載の管状体。
  5. 【請求項5】 請求項2の管状体を製造する方法であっ
    て、 加熱の際における樹脂の流動や芯金の方向に対する強化
    繊維の配向方向の変化量等の製造条件に応じて定まる変
    化量に応じ、加熱成形前の巻回本体素材における前記補
    助部材の添設位置を前記所定位置から補正した位置に設
    定すると共に、強化繊維に合成樹脂を含浸又は混在させ
    た素材を巻回し、 加圧加熱して管状体を製造する方法。
  6. 【請求項6】 合成樹脂をマトリックスとし、強化繊維
    によって強化された管状体であって、 該管状体の円周を含む方向の断面である横断面が略対称
    な構造であり、略対称構造の横断面が管状体の所定長さ
    範囲に亘って連続しており、 該略対称構造横断面における層数が円周方向に1周する
    間に増減しており、 該略対称構造横断面における管状体の軸長方向の縦弾性
    率と該軸長方向の線膨張率との積から得られ、温度変化
    に基づき管状体を軸長方向に沿って曲げるモーメントを
    略バランスさせたことを特徴とする管状体。
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JP2005160323A (ja) * 2003-11-28 2005-06-23 Shimano Inc インロー継ぎ形式の釣竿、及びこれを構成するインロー芯の製造方法。
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JP2020130489A (ja) * 2019-02-18 2020-08-31 キャスコ株式会社 ゴルフクラブ

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