JPH08251754A - ワイヤハーネス用成形プロテクタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワイヤハーネス１１を貫通収納する長尺溝体
のプロテクタ本体２と、蓋体３からなるワイヤハーネス
用成形プロテクタ１において、プロテクタ本体２の中間
側方へ引き出す分岐電線束１２の分岐形態の変更に即時
対応して、ワイヤハーネスの設計変更自由度を向上し、
併せて、ワイヤハーネス１１の部品点数の少数化による
管理性の向上と部品コストの低減を図る。 【構成】 プロテクタ本体２の側壁５Ａ・５Ｂを、細か
いピッチで分割した単位側壁板６の連続集成になし、こ
の単位側壁板６はクリヤランス９を介して隣接相互が分
離して、底板４に独立立設すると共に、プロテクタ本体
２の外方へ倒伏自在に形成され、かつ、蓋体３の雄係止
凸条７と係合する雌係止凹部８を、それぞれ上端に有
し、分岐電線束１２の引き出しポイントの単位側壁板６
Ａを倒伏セットして、分岐電線束１２の引き孔とする構
造が特徴である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ワイヤハーネスを貫通
収納して車体・機器に取り付け、そのワイヤハーネスの
配設姿勢を整えて保持すると共に、収納したワイヤハー
ネスの保護を図るのに使用するワイヤハーネス用成形プ
ロテクタに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ワイヤハーネス用成形プロテクタは、ワ
イヤハーネスを貫通収納するＵ字状長溝体のプロテクタ
本体と、そのプロテクタ本体の上方開口部に覆着する蓋
体を設けた基本構造を有している。そして、プロテクタ
本体内のワイヤハーネスの電線束を溝内で分岐して、側
方へ突き出し配設する場合は、そのプロテクタ本体のＵ
字溝の側壁の所定位置に、所要サイズの電線束引き出し
孔を設けた構造のものが使用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】以上の従来の電線束引
き出し孔を備えたワイヤハーネス用成形プロテクタは、
分岐電線束の引き出しポイントに、所要サイズの孔を設
ける限定構造となる。しかし、自動車用ワイヤハーネス
では、ワイヤハーネス用成形プロテクタに収納したワイ
ヤハーネスの分岐電線束の引き出しポイント・引き出し
数・電線束サイズの設定条件が、極めて多様になるの
で、前記の専用化されたワイヤハーネス用成形プロテク
タは、極めて多種類になり、ワイヤハーネスの付属品と
してのワイヤハーネス用成形プロテクタの管理が煩雑に
なると共に、多種少量生産によるコスト高となる不具合
がある。

【０００４】さらに、その専用化されたワイヤハーネス
用成形プロテクタは、電気回路の変更に基づく分岐電線
束の設定変更に即時対応不能にして、回路変更に伴う成
形プロテクタの対応準備に期間を要し、実質的にワイヤ
ハーネスの回路変更の自由度を妨げる性能上の難点があ
る。本発明は、以上の従来技術の諸難点を解消するワイ
ヤハーネス用成形プロテクタを提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】以上の技術課題を解決す
る本発明のワイヤハーネス用成形プロテクタは「ワイヤ
ハーネスを貫通収納するＵ字状長尺溝体のプロテクタ本
体と、前記プロテクタ本体の上方開口部に覆着する蓋体
からなるワイヤハーネス用成形プロテクタにおいて、前
記プロテクタ本体の溝側壁を、溝体の長手方向に細ピッ
チで分割した単位側壁板の連続集成になし、前記単位側
壁板は、隣接相互と遊離して独立立設し、かつ、溝体外
方へ倒伏セット自在に形成され、さらに、前記単位側壁
板は、覆着姿勢の前記蓋体への係止部を個別に有し、任
意の前記単位側壁板を倒伏セットして、分岐電線束の引
き出し孔とする構造」になっている。

【０００６】即ち、本発明のワイヤハーネス用成形プロ
テクタは、溝側壁の全部または一部を、前記の単位側壁
板の集成構成になし、プロテクタ本体に収納したワイヤ
ハーネスの分岐電線束の引き出しポイントに当る単位側
壁板のみを、溝体外方へ倒伏セットして側壁欠落孔を設
け、その側壁欠落孔を分岐電線束の引き出し孔とする構
造が特徴であり、その単位側壁板は予測される最大径の
分岐電線束が挿通し得る板幅等に成形される。そして、
その態様として、プロテクタ本体に正常に覆着した状態
において、プロテクタ本体の単位側壁板と対となって外
側に重合し、かつ、外方へはね上げ自在のカバー板を蓋
体に垂設することがある。

【０００７】

【作用】以上の本発明のワイヤハーネス用成形プロテク
タは、プロテクタ本体の溝側壁が、前記の単位側壁板の
集成からなるので、収納したワイヤハーネスの分岐電線
束の分岐形態に適する単位側壁板を倒伏セットして、そ
の分岐電線束をプロテクタ本体の溝体側方へ自在に引き
出してワイヤハーネスを収納することができる。従っ
て、プロテクタ本体への収納姿勢において、引き出しポ
イント・引き出し数・電線束径が多様に変化する多種類
のワイヤハーネスに共用できる。

【０００８】そして、前記態様のカバー板を備えたもの
は、倒伏セットした単位側壁板の上の分岐電線束の上方
部分に生ずる側壁欠落孔を、そのカバー板によって塞ぐ
ことができる。なお、倒伏セットしない単位側壁板は、
それぞれが有する係止部によって、覆着姿勢の蓋体に係
止されるので、必要な溝体形状は安定し、ワイヤハーネ
ス用成形プロテクタとしての機能が損われることはな
い。

【０００９】

【実施例】以下、実施例に基づいて詳しく説明する。ま
ず、本発明の第一実施例を示す図１を参照して、ワイヤ
ハーネス１１を貫通収納する樹脂製Ｕ字長尺溝体のプロ
テクタ本体２と、プロテクタ本体２の上方開口部に覆着
する板状の蓋体３からなるワイヤハーネス用成形プロテ
クタ１において、プロテクタ本体２の底板４の両縁に立
した側壁５Ａ・５Ｂは、溝体の長手方向に細ピッチ等長
に分割された単位側壁板６の連続集成によって構成され
ている。

【００１０】そして、その単位側壁板６は、倒伏点とな
る下端１０を若干薄肉にして底板４に接続すると共に、
微小クリヤランス９を介して隣接相互の側壁が接合し、
それぞれが底板４に対して立設して連続配列されると共
に、指先等で外方へ押し倒すことによって、プロテクタ
本体２の外方へ容易に倒伏し、その倒伏姿勢がセットで
きるようになっている。

【００１１】さらに、この単位側壁板６のそれぞれの上
端には、蓋体３の下側に突設した雄係止条７を受け入れ
係止する雌係止凹部８が設けられ、立設姿勢の単位側壁
板６の雌係止凹部８が一直線状に連なり、覆着した蓋体
３に、立設姿勢の単位側壁板６のそれぞれが係止され
る。なお、単位側壁板６の板幅Ｌは収納するワイヤハー
ネス１１の最大径の分岐電線束１２が挿通し得るサイズ
を有している。

【００１２】そして（図１の（Ｃ）参照）、収納するワ
イヤハーネス１１の分岐電線束１２の引き出しポイント
に当る単位側壁板６を選択して倒伏セットし、その倒伏
セットによる側壁欠落孔１３から分岐電線束１２を引き
出すと共に、倒伏姿勢の単位側壁板６Ａの上に引き出し
た分岐電線束１２と単位側壁板６Ａをテープ巻き１４に
よって固定して、ワイヤハーネス１１の収納姿勢をセッ
トし、しかるのち、立設姿勢の単位側壁板６のそれぞれ
の雌係止凹部８に、蓋体３の雄係止凸条７をかみ合せ
て、蓋体３が覆着セットされる。

【００１３】以上の実施例のワイヤハーネス用成形プロ
テクタ１は、前記の作用があり、単一のワイヤハーネス
用成形プロテクタ１が、多様な分岐電線束形態を有する
ワイヤハーネス１１に共用できる。そして、その共用化
によってワイヤハーネス用成形プロテクタ１の種類点数
が少数化して、成形プロテクタ１の部品管理性が向上す
ると共に、その少数化に基づく少種類多量生産によって
コスト低減が促進できる。そして、その共用化による成
形プロテクタ１の機能向上によって、ワイヤハーネス１
１の電線束分岐の設計変更に即時対応が可能になると共
に、ワイヤハーネス１１の設計変更の拘束が緩和され、
実質的な設計自由度が向上する。

【００１４】続いて、図２・図３を参照して本発明の他
の実施例を説明する。まず、図２のものは、図１実施例
と同様な単位側壁板６を有するワイヤハーネス用成形プ
ロテクタ１において、蓋体３には、プロテクタ本体２側
の単位側壁板６と対となるカバー板１５が、側縁から垂
設されており、このカバー板１５も、隣接相互が微小ク
リヤランス９を介して隣接相互が遊離して連続配設さ
れ、指先等で外方へ個別にはね上げできる。そして、蓋
体３をプロテクタ本体２に覆着すると、単位側壁板６の
それぞれとカバー板１５のそれぞれが対となり、単位側
壁板６の外側にカバー板１５が位置して重合する構造を
有している。

【００１５】そして、分岐電線束１２の引き出しポジシ
ョンの単位側壁板６を倒伏セットすると共に、カバー板
１５をはね上げて引き出し孔になし、引き出した分岐電
線束１２を倒伏姿勢の単位側壁板６Ａとカバー板１５で
挾着して、テープ巻き１４で固定する。この図２実施例
のものによると、引き出した分岐電線束１２の上端と蓋
体３間に生ずる空隙を、カバー板１５によって塞ぐこと
ができるので、プロテクタ本体２に残存する無用な側壁
欠落孔１３が小さくなると共に、前記の挾着セットによ
ってプロテクタ本体２と蓋体３の固定ができるので、従
来施していたプロテクタ本体２と蓋体３のテープ巻きが
省略できる。

【００１６】一方、図３の実施例は、図１実施例と同様
な単位側壁板６を有するワイヤハーネス用成形プロテク
タ１の他の態様が示してあり、図３の（Ａ）のものは、
一側の側壁５Ａのみが、単位側壁板６の集成構成にな
り、他側の側壁５Ｂは、底板４に固定立設した一枚板に
形成され、この他側の側壁５Ｂに、蓋体３がヒンジ部１
７によって連結されている。そして、図３の（Ｂ）のも
のは、一側の側壁５Ａの中間部分のみが単位側壁板６に
して、この単位側壁板６以外の側壁５Ａの部分は、他側
の側壁５Ｂと共に、底板４に固定立設した一枚板にな
り、分岐電線束１２の引き出しが予測されるゾーンのみ
を、単位側壁板６にした構造を有している。

【００１７】なお、本発明のワイヤハーネス用成形プロ
テクタは、前記の実施例に限定されず、蓋体３をプロテ
クタ本体２の溝体長手方向にスライドさせて、覆着ロッ
クする構造にしたり、単位側壁板６と蓋体３の係止手段
を、前記の雄係止凸条７と雌係止凹部８以外の公知手段
にしたり、さらに、単位側壁板６の板幅を、分岐電線束
１２の平均径のサイズになし、その平均径より大なる分
岐電線束１２を引き出す部分のみ、単位側壁板６を２枚
連続の倒伏セットにする等の変化がある。

【００１８】

【発明の効果】以上の説明のとおり、本発明のワイヤハ
ーネス用成形プロテクタは、ワイヤハーネスの回路構成
の変化に伴う分岐電線束構成の変更に即時対応可能にし
て、その変更に対応するための準備期間を無用にして、
ワイヤハーネスの設計変更の効率と自由度を向上するこ
とができる。

【００１９】そして、多様な分岐電線束構成のワイヤハ
ーネスに共用可能となるので、ワイヤハーネス付属品の
ワイヤハーネス用成形プロテクタの種類点数を少数化し
て、ワイヤハーネスの部品管理性の向上と部品コストの
低減を促進する。以上の諸効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明第一実施例のワイヤハーネス用成形プロ
テクタを示し、（Ａ）はその斜視図、（Ｂ）はその蓋体
覆着状態の中央横断面図、（Ｃ）はその使用状態の斜視
図

【図２】本発明の他の実施例のワイヤハーネス用成形プ
ロテクタを示し、（Ａ）はその斜視図、（Ｂ）はその使
用状態の斜視図

【図３】本発明の他の実施例のワイヤハーネス用成形プ
ロテクタを示し、（Ａ）（Ｂ）ともその斜視図

【符号の説明】

１ ワイヤハーネス用成形プロテクタ ２ プロテクタ本体 ３ 蓋体 ４ 底板 ５Ａ・５Ｂ 側壁 ６ 単位側壁板 ７ 雄係止凸条 ８ 雌係止凹部 ９ クリヤランス １０ 下端 １１ ワイヤハーネス １２ 分岐電線束 １３ 側壁欠落孔 １４ テープ巻き １５ カバー板 １７ ヒンジ部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワイヤハーネスを貫通収納するＵ字状長
   尺溝体のプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体の上方
   開口部に覆着する蓋体からなるワイヤハーネス用成形プ
   ロテクタにおいて、前記プロテクタ本体の溝側壁を、溝
   体の長手方向に細ピッチで分割した単位側壁板の連続集
   成になし、前記単位側壁板は、隣接相互と遊離して独立
   立設し、かつ、溝体外方へ倒伏セット自在に形成され、
   さらに、前記単位側壁板は、覆着姿勢の前記蓋体への係
   止部を個別に有し、任意の前記単位側壁板を倒伏セット
   して、分岐電線束の引き出し孔とする構造を特徴とする
   ワイヤハーネス用成形プロテクタ。
2. 【請求項２】 蓋体の覆着状態において、プロテクタ本
   体の単位側壁板のそれぞれと対となると共に、立設姿勢
   の前記単位側壁板の外側に重合し、かつ、外方へはね上
   げ自在のカバー板を、蓋体に垂設した請求項１のワイヤ
   ハーネス用成形プロテクタ。
3. 【請求項３】 プロテクタ本体の側壁板の一部のみを、
   単位側壁板の連続集成にした請求項１または請求項２の
   ワイヤハーネス用成形プロテクタ。