JPH0825025A

JPH0825025A - 取鍋溶鋼排出用ノズル孔詰まり除去ランス

Info

Publication number: JPH0825025A
Application number: JP11055995A
Authority: JP
Inventors: Naohiko Murakami; 直彦村上; Takeshi Koshi; 猛古志; Koichi Ozawa; 宏一小澤; Tsuneo Kondo; 恒雄近藤
Original assignee: NKK Corp; Nippon Kokan Ltd
Current assignee: JFE Engineering Corp
Priority date: 1994-05-10
Filing date: 1995-05-09
Publication date: 1996-01-30
Anticipated expiration: 2015-09-11
Also published as: JP3087603B2

Abstract

(57)【要約】【目的】この発明は取鍋溶鋼排出用ノズルのノズル孔
詰まり除去ランスで、確実に着火して酸素洗浄し、開孔
後もそのまま、引続き鋳造することが出来るから、空気
よる鋼の劣化を生じない。【構成】取鍋溶鋼排出用ノズルの下方に設置自在なエ
アーシールパイプ１６と、エアーシールパイプ１６内に
包含され、洗浄用酸素配管８の洗浄側端部に設けた直管
のランス外管１７と、その内部に昇降自在に挿入され、
先端に着火剤１３を搭載し、後端に酸素通気孔１４ａを
有する酸素圧受圧板１４を設けた洗浄ランス１８から構
成されている。設置後に、酸素が送入されると、酸素圧
受圧板に受ける酸素の圧力により、ランス外管の内部に
設けた洗浄ランスが上昇して、取鍋溶鋼排出用ノズル内
に挿入され、ノズル内の凝固物まで到達し、高温の凝固
物に押当てられた着火剤が着火し、酸素洗浄が行われ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、製鉄所の製鋼工程で
使用する取鍋の底部に取付けた溶鋼排出用の摺動開閉装
置がノズル孔詰まりを生じた際に用いるノズル孔詰まり
除去ランスに関する。

【０００２】

【従来の技術】図７に示す様に取鍋１の底部には溶鋼２
を鋳造する為の溶鋼流量制御装置、即ちロータリノズル
３が装着されている。ロータリノズル３は、上ノズル３
ａ、固定板（ボトムプレート）３ｂ、摺動板（スライド
プレート）３ｃ、コレクターノズル３ｄから構成されて
いる。

【０００３】なお、取鍋が溶鋼２を受鋼する際には、摺
動板３ｃを閉とし、取鍋内側上部より砂を投入し、固定
板３ｂから上ノズル３ａまでの間のノズル孔に砂を充填
した状態とする。受鋼後、鋳造用タンディッシュ６にエ
アシールパイプ７を介して溶鋼２を排出すべく摺動板３
ｃを開く。この時、ノズル孔内の砂や溶鋼の凝固物５等
が、何らかの原因によりノズル孔に詰まり、それらの詰
まり物４によって溶鋼２が排出できない場合がある。

【０００４】このような場合、従来は図８（先行技術１
と云う）に示すように、エアシールパイプ７を外して洗
浄用酸素配管８の端部側をＬ字状に折曲げた洗浄ランス
９をコレクターノズル３ｄの下端から上方に向けて挿入
し、操業デッキ上から酸素供給元バルブ１２を操作し、
酸素を供給、詰まり物４に着火させノズル孔内を酸素洗
浄することが行われている。

【０００５】また、特公昭５４−４１５４０号公報（先
行技術２と云う）に開示されている酸素洗浄ランスは図
９に示すように、洗浄側端部直管１０に挿入され、先端
部に着火剤１３を装着した洗浄ランス１１を、供給酸素
の圧力により洗浄側端部直管１０の内面に沿ってスライ
ド上昇させ、図７に示したようなロータリーノズル３内
の砂等の詰まり物４に接着発火させることにより、酸素
洗浄をするものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技
術１による酸素洗浄では、以下の様な問題がある。洗浄
を必要とする凝固物５等のある位置が、コレクターノズ
ル３ｄの下端から約１０００ｍｍも上方にあるため、洗
浄ランス９の長さも当然これ以上に長い物が必要であ
る。

【０００７】また、タンディッシュ６上面と取鍋１のコ
レクターノズル３ｄ下端の隙間（隙間約５００〜６００
ｍｍ）が狭く、作業は極めて困難なものであった。また
この作業が短時間で実施できなければ、鋳造作業を中断
し、取鍋１の溶鋼２を非常処理しなければならず、その
損失は非常に大きなものとなる。

【０００８】先行技術２に開示された洗浄ランス１１は
これにより洗浄側端部直管１０をタンディッシュ６の上
面とコレクターノズル３ｄの下面との隙間から差し込む
作業を容易にすると共に、洗浄開始から詰まり解消まで
の時間を短縮させるようにした。しかしながら、図９に
示すように、洗浄ランス１１は単管をそのまま利用し、
図示していない酸素供給元バルブによる流量調節により
酸素が送給されているから洗浄ランス１１を洗浄側端部
直管１０内を上昇させ、ロータリノズル３内に挿入さ
せ、更に凝固物等に到達させるためには、過剰の酸素流
量を必要とする。そのために、凝固物等が冷却されて着
火しない場合を生じる。

【０００９】一方、着火を確実にすめために、酸素流量
を少流量とすると、洗浄ランス１１が上昇しなかった
り、或いは、上昇しても、ある程度の力で凝固物５に押
付けられないため、着火に必要な熱量が得られず着火し
ない。

【００１０】また、洗浄ランス１１と洗浄側端部直管１
０内との間に隙間を生じており、酸素が漏れて洗浄側端
部直管１０の先端から流出している。従って、酸素洗浄
で溶解した凝固物等が洗浄側端部直管１０の先端等に付
着すると、流出酸素と反応して発熱し、洗浄側端部直管
１０、洗浄ランス１１を溶損し寿命を短くする。そのた
めに、適切な酸素洗浄をすることが出来ない。

【００１１】先行技術１及び先行技術２においては、詰
まり物４を洗浄除去し、溶鋼２が排出し始めると、ロー
タリーノズル３を一旦閉とし、排出中の溶鋼の酸化防止
のためエアーシールパイプ７を装着する必要がある。エ
アーシールパイプ７を装着する間に再び溶鋼２が凝固
し、ノズル孔が詰まることもあった。

【００１２】本発明は上記のような問題点を解決するた
めになされたもので、適量な酸素流量で確実にロータリ
ーノズル内の凝固物等を酸素洗浄することが出来、また
ロータリーノズル内の詰まり物が砂のような低熱物であ
っても、又は不燃性の物であっても、確実に除去するこ
とが出来、更にエアーシールパイプを装着したまま実施
できる取鍋溶鋼排出用ノズル孔詰まり除去ランスを提供
することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】請求項１に係る本発明
は、取鍋溶鋼排出用ノズルの下方に設置自在なエアーシ
ールパイプと、エアーシールパイプ内に包含され、洗浄
用酸素配管の洗浄側端部に設けた直管のランス外管と、
ランス外管の内部に昇降自在に挿入され、先端に着火剤
を搭載し、かつ、後端に酸素通気孔を有する酸素圧受圧
板を設けた洗浄ランスから構成された取鍋溶鋼排出用ノ
ズル孔詰まり除去ランスである。

【００１４】請求項２に係る本発明は、取鍋溶鋼排出用
ノズルの下方に設置自在なエアーシールパイプと、エア
ーシールパイプ内に包含され、洗浄用酸素配管の洗浄側
端部に設けた直管のランス外管と、ランス外管の内部に
昇降自在に挿入され、先端に突端部を設け、かつ、後端
に酸素通気孔を有し、酸素圧受圧板を設けた異物除去ラ
ンスと、異物除去ランスの内部に昇降自在に挿入され、
先端に着火剤を搭載し、かつ、後端に酸素通気孔を有す
る酸素圧受圧板を設けた洗浄ランスとから構成された取
鍋溶鋼排出用ノズル孔詰まり除去ランスである。

【００１５】請求項３に係る本発明は、取鍋溶鋼排出用
ノズルの下方に設置自在なエアーシールパイプと、エア
ーシールパイプ内に包含され、洗浄用酸素配管の洗浄側
端部に分岐して設けた直管の第１のランス外管と第２の
ランス外管と、第１のランス外管の内部に昇降自在に挿
入され、先端に着火剤を搭載し、かつ、後端に酸素通気
孔を有する酸素圧受圧板を設けた洗浄ランスと、第２の
ランス外管の内部に昇降自在に挿入され、先端に突端部
を設け、かつ、後端に酸素通気孔を有し、酸素圧受圧板
を設けた異物除去ランスとから構成された取鍋溶鋼排出
用ノズル孔詰まり除去ランスである。

【００１６】上記請求項１、請求項２又は請求項３に係
る本発明の取鍋溶鋼排出用ノズル孔詰まり除去ランスに
おいて、洗浄ランス先端に、酸素通気孔を有する酸素量
調整板を設けたものである。

【００１７】更に、上記請求項１、請求項２、請求項３
又は請求項４に係る本発明の取鍋溶鋼排出用ノズル孔詰
まり除去ランスにおいて、酸素圧受圧板がランス外管と
の間にパッキンを設けたものである。

【００１８】

【作用】請求項１に係る本発明は、上記のような構成な
ので、取鍋溶鋼排出用ノズルの下方に、洗浄ランス等を
包含したエアーシールパイプを設置した後に、洗浄用酸
素配管に酸素が送入されると、酸素圧受圧板に受ける酸
素の圧力により、ランス外管の内部に設けた洗浄ランス
が上昇して、取鍋溶鋼排出用ノズル内に挿入され、ノズ
ル内の凝固物まで到達し、高温の凝固物に押当てられた
着火剤が着火し、酸素洗浄が行われる。

【００１９】請求項２に係る本発明は、上記のような構
成なので、洗浄用酸素配管に酸素が送入されると、酸素
圧受圧板に受ける酸素の圧力により、洗浄ランスを内蔵
したまま異物除去ランスが上昇され、取鍋溶鋼排出用ノ
ズル内に挿入される。異物除去ランスの先端部はノズル
内の詰まり物に衝突して、固まった砂等を突き崩し、詰
まり物内に深く侵入して行くとともに酸素が吹出て、突
き崩した砂等を除去する。異物除去ランスが凝固物まで
到達し進行が止まると、洗浄ランスが高温の凝固物に着
火剤を押当てて着火させ、酸素洗浄が行われる。

【００２０】請求項３に係る本発明は、上記のような構
成なので、洗浄用酸素配管に酸素が送入されると、分岐
した第１のランス外管と第２のランス外管の内部で、酸
素圧受圧板に受ける酸素の圧力により、異物除去ランス
と、洗浄ランスが共に上昇して、取鍋溶鋼排出用ノズル
内に挿入される。異物除去ランスの先端部はノズル内の
詰まり物に衝突して、固まった砂等を突き崩し、詰まり
物内に深く侵入して行くとともに酸素が吹出て、崩れた
砂等を除去し、凝固物に到達する。

【００２１】これに並行して洗浄ランスは容易に凝固物
に到達する。そこで高温の凝固物に押当てられた着火剤
が着火し、酸素洗浄が行われる。

【００２２】上記請求項１、請求項２又は請求項３に係
わる本発明の取鍋溶鋼排出用ノズル孔詰まり除去ランス
において、洗浄ランス先端に、酸素通気孔を有する酸素
量調整板を設けて、着火流量を調整して、洗浄ランスに
よる初めの酸素流量を低流量で流して着火剤を確実に着
火させ、着火剤を溶損させる。酸素量調整板は着火剤が
溶損した後、続いて溶損して無くなり、酸素洗浄に必要
な酸素流量が洗浄ランスの下端に設けた酸素圧受圧板の
通気孔を介して供給される。

【００２３】更に上記請求項１、請求項２又は請求項３
に係わる本発明の取鍋溶鋼排出用ノズル孔詰まり除去ラ
ンスにおいて、洗浄ランスの下端に設けた酸素圧受圧板
がランス外管との間にパッキンを設けているので、酸素
圧受圧板とランス外管との間からの酸素の漏れが皆無に
なる。

【００２４】

【実施例】以下に本発明の実施例を図によって詳述す
る。

【００２５】図１は請求項１に係る本発明の一実施例の
縦断面図である。図２は本発明のランスを取鍋溶鋼排出
用ノズルに装着した状態を示す部分断面図である。前記
図８、図９と共通の箇所は同一の符号を用いた。

【００２６】図１において、Ａは本発明の取鍋溶鋼排出
用ノズル孔詰まり除去ランスてある。１７は洗浄用酸素
配管８の洗浄側端部に設けた直管のランス外管である。
ランス外管１７はエアーシールパイプ１６内に包含され
ている。ここではＵ字状に曲げた洗浄用酸素供給管８の
一方をエアシールパイプ１６に挿入し、これをランス外
管１７としている。

【００２７】１８は、洗浄ランスでランス外管１７の内
部に昇降自在に挿入されている。即ち、ランス外管１７
の内面に沿ってスライド可能な外径の管を挿入して用い
ている。洗浄ランス１８は先端に着火剤１３を搭載し、
かつ、後端に酸素通気孔１４ａを有する酸素圧受圧板１
４を設けている。

【００２８】着火剤１３としては、酸化鉄（Ｆｅ
₂Ｏ₃）、メタルアルミ、塩素酸カリ等の混合物に油を
含浸させたもの等をメタルメツシュ入りゴムホースに詰
めた物を使用することが出来る。

【００２９】洗浄ランス１８の先端には着火剤１３の焼
失する位置に、酸素量調整板として酸素流量を絞るオリ
フィス２０を設けている。

【００３０】酸素圧受圧板１４は酸素洗浄において、着
火剤１３及びオリフィス２０が溶損すると、酸素流量
が、それまでより多く流れる様に設計された、小さい酸
素通気孔１４ａを有する円板状のものである。

【００３１】なお、酸素圧受圧板１４は、パッキン１４
ｅを付けてランス外管１７内をシールしながらスライド
出来るようにしている。

【００３２】次に上記本発明のランスの使用方法を図２
に基づいて詳述する。タンディッシュ６上に取鍋１をセ
ットしロータリーノズル３を開としても溶鋼２が排出で
きない場合、先ず溶鋼２の品質保護のため取り付けられ
ているエアーシールパイプを取外し、本発明を包含する
エアーシールパイプ１６を取り付ける。

【００３３】本発明を包含するエアーシールパイプ１６
は予め通常のエアーシールパイプ内にランス外管１７、
洗浄ランス１８等を一体的に組込んだものであり、次い
で洗浄用酸素供給配管８を連結し、ロータリーノズル３
を開とし、図示しない酸素供給元バルブ１２を開いて酸
素を洗浄用酸素供給配管８内へ送り込む。酸素が送給さ
れると、エアーシールパイプ１６内に組込まれたランス
外管１７の内部の洗浄ランス１８は酸素圧受圧板１４に
酸素の圧力を受けて上昇しロータリーノズル３内に挿入
され、砂等の詰まり物４に衝突する。この時、詰まり物
４は突き崩され、また先端から吹き出す酸素により順次
除去される。洗浄ランス１８は上昇して凝固物５に到達
し先端の着火剤１３が高温の凝固物５に押し当てられ着
火する。

【００３４】この場合、洗浄ランス１８は、先端に着火
剤１３とオリフィス２０を設けることによって、オリフ
ィス２０で酸素量を適量に抑え、凝固物５の冷却に起因
する着火不良を防止し、着火剤１３が溶損するまで酸素
を適量に流すことが出来る。オリフィス２０は着火剤１
３の溶損が完了する位置に設けてあるので、着火剤１３
の溶損が完了した後に、オリフィス２０も溶損して、自
動的に着火酸素流量から洗浄酸素流量に移行する。これ
によりロータリーノズル３内の凝固物５の除去は確実に
行われる。

【００３５】図３は請求項２に係る本発明の一実施例の
縦断面図である。１７は洗浄用酸素配管８の洗浄側端部
に設けた直管のランス外管である。

【００３６】１９は異物除去ランスでランス外管１７の
内部に昇降自在に挿入されている。即ち、ランス外管１
７の内面に沿ってスライド可能な外径の管を挿入して用
いている。

【００３７】異物除去ランス１９の先端部１９ａは鋭く
尖った形状とし、後端に酸素通気孔１４ｂを有した酸素
圧受圧板１４ｃを設けて推進力を持たせたことで、詰ま
り物４内に深く侵入させ、また、先端から酸素が出るこ
とにより、焼結していない低熱の詰まり物を除去するよ
うにしている。

【００３８】異物除去ランス１９の内部には、先端に着
火剤１３を搭載し、かつ、後端に酸素通気孔１４ａを有
する酸素圧受圧板１４を設けた洗浄ランス１８が昇降自
在に挿入されている。

【００３９】洗浄ランス１８は外面に紙スリーブ１５を
装着して酸素および熱から遮断することにより、洗浄時
間を長く維持させ、洗浄効果を更に大きくしている。

【００４０】図４（ａ）、（ｂ）、（ｃ）は請求項２に
係る本発明のランスの使用による詰まり物の除去の進行
状況を示す縦断面図である。

【００４１】図４（ａ）において、本発明のエアシール
パイプ１６をロータリーノズル３のコレクターノズル３
ｄに接続する。

【００４２】次いで洗浄用酸素供給配管８を連結し、摺
動板３ｃを固定板３ｂ上で摺動させてロータリーノズル
３を開とし、図示していない酸素供給元バルブ１２を開
いて酸素を洗浄用酸素供給配管８内へ送り込む。酸素が
送給されると、図４（ｂ）に示すように、異物除去ラン
ス１９および洗浄ランス１８はそれぞれの酸素圧受圧板
１４ｃ、酸素圧受圧板１４に酸素の圧力を受けて上昇し
ロータリーノズル３内に発生した砂等の詰まり物４に衝
突する。

【００４３】この時、異物除去ランス１９の先端は鋭く
尖った形状としているので砂等の詰まり物４は突き崩さ
れ、また先端から吹き出る酸素により順次除去され、図
４（ｃ）に示すように異物除去ランス１９は凝固物５に
到達する。これに並行して洗浄ランス１８も上昇して凝
固物５に到達し、先端の着火剤１３が高温の凝固物５に
押し当てられ着火する。洗浄ランス１８は、先端に着火
剤１３とその下にオリフィス２０を装着しているので、
着火剤１３が溶損した後、続いてオリフィス２０も溶損
して無くなり、酸素流量は自動的に着火酸素流量から洗
浄酸素流量に移行する。

【００４４】これによりロータリーノズル３内の凝固物
５の除去は確実に行われる。図５は請求項３に係る本発
明の一実施例の縦断面図である。

【００４５】１７ａ、１７ｂは洗浄用酸素配管８の洗浄
側端部に分岐して設けた直管の第１、第２のランス外管
である。

【００４６】１９は、異物除去ランスで第１のランス外
管１７ａの内部に昇降自在に挿入されている。即ち、ラ
ンス外管１７ａの内面に沿ってスライド可能な外径の管
を挿入して用いている。異物除去ランス１９は先端に突
端部１９ａを設け、かつ、後端に酸素通気孔１４ｂを有
する酸素圧受圧板１４ｃを設けたものである。

【００４７】異物除去ランス１９の先端形状は鋭く尖っ
た形状とし、後端に酸素通気孔１４ｂを有し、酸素圧受
圧板１４ｃを設けて推進力を持たせたことで、詰まり物
内に深く侵入し、また、先端から酸素が出ることによ
り、焼結していない低熱の詰まり物を除去することが出
来る様にしている。

【００４８】１８は洗浄ランスで第１ランス外管１７ｂ
の内部に昇降自在に挿入されている。即ち、ランス外管
１７ｂの内面に沿ってスライド可能な外径の管を挿入し
て用いている。洗浄ランス１８は先端に着火剤１３を搭
載し、かつ、後端に酸素通気孔１４ａを有する酸素圧受
圧板１４を設けている。

【００４９】洗浄ランス１８の外面に紙スリーブ１５を
装着し酸素および熱から遮断することにより、洗浄時間
を長く維持することが出来るようにすれば洗浄効果を更
に大きくすることが出来る。

【００５０】次に本実施例の取鍋溶鋼排出用ノズル孔詰
まり除去ランスの作用を図６（ａ）、（ｂ）、（ｃ）に
よって説明する。本発明のエアシールパイプ１２をロー
タリーノズル３のコレクターノズル３ｄに接続する。

【００５１】次いで洗浄用酸素供給配管８を連結し、ロ
ータリーノズル３を開とし、図示しない酸素供給元バル
ブ１２を開いて酸素を洗浄用酸素供給配管８内へ送り込
む。酸素が送給されると、図６（ａ）に示すように、異
物除去ランス１９および洗浄ランス１８はそれぞれの酸
素圧受圧板１４ｃ、酸素圧受圧板１４に酸素の圧力を受
けてランス外管１７ａ、ランス外管１７ｂを上昇し、図
６（ｂ）に示すようにロータリーノズル３内に発生した
砂等の詰まり物４に衝突する。

【００５２】この時、異物除去ランス１９の先端は鋭利
に形成されているので砂等の詰まり物４は突き崩され、
また先端から酸素が吹出ることにより順次除去され、図
６（ｃ）に示すように異物除去ランス１９は凝固物５に
到達する。

【００５３】これに並行して洗浄ランス１８も上昇して
凝固物５に到達し、先端の着火剤１３が高温の凝固物５
に押し当てられ着火する。洗浄ランス１８は、先端に着
火剤１３とその下にオリフィス２０を装着しているの
で、着火剤１３が溶損した後、続いてオリフィス１４が
溶損して無くなり、酸素流量は自動的に着火酸素流量か
ら洗浄酸素流量に移行する。

【００５４】これによりロータリーノズル３内の凝固物
５の除去は確実に行われるようになる。なお又、この時
洗浄ランス１８に並行して推進される異物除去ランス１
９も酸素が吹き出ることにより、それ自体が溶損するま
では洗浄効果を発揮している。

【００５５】又、洗浄ランス１８の外面に紙スリーブ１
５を装着し酸素および熱から遮断することにより、洗浄
時間を長く維持することが出来るようにすれば洗浄効果
を更に大きくすることが出来る。

【００５６】又、予め洗浄する時に溶損する洗浄ランス
１８の長さ（約３００ｍｍ）を実験により確認し、これ
らを考慮して全体の長さを決定し、洗浄が途中で中断す
ることがないようにした。

【００５７】以上の実施例に示すように、ロータリーノ
ズル３内の詰まり物が除去されると溶鋼２が流出し始め
るので、これを確認して図示しない酸素供給元バルブ１
２を閉じて酸素洗浄作業を完了する。この時、エアーシ
ールパイプ１６は既にコレクターノズル３ｄに取り付け
られているから、その儘操業状態に入ることが出来る。
従って、従来のように、開孔完了後に溶鋼の排出を停
止してエアーシールパイプ７を取り付ける作業がいらな
い。

【００５８】エアーシールパイプ１６内に包含するラン
ス外管等の材料は溶鋼流出によって、溶解し易いＳＧ
Ｐ、ＳＳ等が使用される。

【００５９】以上のように図３、図５に示す実施例によ
れば、異物除去ランスと洗浄ランスを共に用いているの
で、異物除去と着火洗浄の相乗効果を発揮することが出
来る。また、図３に示す実施例によれば異物除去ランス
と洗浄ランスを一体的に設けているので、小型化するこ
とが出来、取付け取外しの作業性を向上させることも出
来る。

【００６０】また、図１、図３、図５の実施例に示すよ
うに、洗浄ランス１８は、オリフィス２０を着火剤１３
の下端位置に設けることにより、着火剤が溶損するま
で、酸素流量を適量に抑えている。

【００６１】一方、洗浄ランス１８は、下端部に洗浄に
必要な量を流す酸素通気孔１４ａのある酸素圧受圧板１
４を設けることにより、酸素圧受圧板１４に酸素圧力を
受けて、容易に洗浄ランス１８をランス外管１７内を上
昇させることが出来る。更に酸素圧受圧板１４はランス
外管１７との間をシールするパッキンを設けることによ
り、ランス外管１７とのスライド部隙間からの酸素漏れ
を無くし、洗浄ランス１８を上昇させる推進力を確実に
得られるようにし、凝固物に積極的に到達出来るように
した。

【００６２】更にランス外管１７は酸素圧受圧板１４と
の隙間からの酸素漏れが無いので、全酸素を詰まり部に
送り込むことが出来るのみならず、酸素洗浄時に凝固物
が溶解して、ランス外管１７の先端部等に付着しても、
酸素との反応が生じない。

【００６３】そのために、ランス外管１７の途中が熱で
溶損することがなく、ランスの寿命を全うする。

【００６４】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば酸素流量
は自動的に着火酸素流量から洗浄酸素流量に移行し、確
実に着火して酸素洗浄し、更にロータリーノズル内への
詰まり物が砂のような低熱物であっても除去することが
出来る。また、エアーシールパイプに洗浄ランス等を包
含したので、開孔後もそのまま、引続き鋳造することが
出来るから、空気よる鋼の劣化を生じない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のランスの一実施例を示す縦断面図であ
る。

【図２】本発明のランスを取鍋溶鋼排出用ノズルに装着
した状態を示す部分断面図である。

【図３】本発明のランスの他の実施例を示す縦断面図で
ある。

【図４】図３のランスを取鍋溶鋼排出用ノズルに装着し
た状態を示す縦断面図である。

【図５】本発明のランスの他の実施例を示す縦断面図で
ある。

【図６】図５のランスを取鍋溶鋼排出用ノズルに装着し
た状態を示す縦断面図である。

【図７】取鍋底部開閉部のノズル詰まりの状況を示す縦
断面図である。

【図８】従来のノズル詰まり除去ランスの一例を示す部
分縦断面図である。

【図９】従来のノズル詰まり除去ランスの他の例を示す
縦断面図である。

【符号の説明】

１．取鍋、２．溶鋼、３．ロータリーノズル、３ａ．上ノズル３ｂ．固定板３ｃ．摺動板３ｄ．コレクターノズル４．詰まり物５．凝固物６．タンディッシュ７．エアーシールパイプ８．洗浄用酸素配管９．洗浄ランス１０．洗浄側端部直管１１．洗浄ランス（スライド式）１２．酸素供給元バルブ１３．着火剤１４．酸素圧受圧板１４ｅ．パッキン１５．紙スリーブ１６．エアシールパイプ（内部にランス外管等包含）１７．ランス外管１８．洗浄ランス（スライド式で後端に受圧板を設置し
たもの）１９．異物除去ランス２０．オリフィス

フロントページの続き (72)発明者近藤恒雄東京都千代田区丸の内一丁目１番２号日本鋼管株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】取鍋溶鋼排出用ノズルの下方に設置自在
なエアーシールパイプと、エアーシールパイプ内に包含
され、洗浄用酸素配管の洗浄側端部に設けた直管のラン
ス外管と、ランス外管の内部に昇降自在に挿入され、先
端に着火剤を搭載し、かつ、後端に酸素通気孔を有する
酸素圧受圧板を設けた洗浄ランスから構成された取鍋溶
鋼排出用ノズル孔詰まり除去ランス。
【請求項２】取鍋溶鋼排出用ノズルの下方に設置自在
なエアーシールパイプと、エアーシールパイプ内に包含
され、洗浄用酸素配管の洗浄側端部に設けた直管のラン
ス外管と、ランス外管の内部に昇降自在に挿入され、先
端に突端部を設け、かつ、後端に酸素通気孔を有する酸
素圧受圧板を設けた異物除去ランスと、異物除去ランス
の内部に昇降自在に挿入され、先端に着火剤を搭載し、
かつ、後端に酸素通気孔を有する酸素圧受圧板を設けた
洗浄ランスとから構成された取鍋溶鋼排出用ノズル孔詰
まり除去ランス。
【請求項３】取鍋溶鋼排出用ノズルの下方に設置自在
なエアーシールパイプと、エアーシールパイプ内に包含
され、洗浄用酸素配管の洗浄側端部に分岐して設けた直
管の第１のランス外管と第２のランス外管と、第１のラ
ンス外管の内部に昇降自在に挿入され、先端に着火剤を
搭載し、かつ、後端に酸素通気孔を有する酸素圧受圧板
を設けた洗浄ランスと、第２のランス外管の内部に昇降
自在に挿入され、先端に突端部を設け、かつ、後端に酸
素通気孔を有し、酸素圧受圧板を設けた異物除去ランス
とから構成された取鍋溶鋼排出用ノズル孔詰まり除去ラ
ンス。
【請求項４】洗浄ランス先端に、酸素通気孔を有する
酸素量調整板を設けたことを特徴とする請求項１、請求
項２または請求項３記載の取鍋溶鋼排出用ノズル孔詰ま
り除去ランス。
【請求項５】酸素圧受圧板がランス外管との間にパッ
キンを設けたことを特徴とする請求項１、請求項２、請
求項３または請求項４記載の取鍋溶鋼排出用ノズル孔詰
まり除去ランス。