JPH08246952A - カムブラケット部一体型ロッカカバー付内燃機関 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ロッカカバー１２周辺の部品点数および組立
工数を削減するとともに、ロッカカバー１２の高さを低
くする。 【構成】 シリンダヘッド１にはカムシャフト軸受部１
１が気筒の略中心に沿って隔壁状に形成されている。ロ
ッカカバー１２には、カムシャフト９，１０をカムシャ
フト軸受部１１とともに支持するカムブラケット部１４
が内側に一体に形成されている。カムブラケット部１４
を貫通するように、両者を結合するボルト１６が一対づ
つ配設されており、このボルト１６の締結によって、ロ
ッカカバー１２全体がシリンダヘッド１に固定されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、シリンダヘッド上面
を覆うロッカカバーを備えた内燃機関の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】図７は、一般的なＤＯＨＣ型内燃機関の
構成を示したものであり、シリンダブロック６１の上面
に載置固定されるシリンダヘッド６２に吸気ポート６３
と排気ポート６４が形成されているとともに、それぞれ
をカムシャフト６５，６６により駆動される吸気弁６７
および排気弁６８が開閉している。そして、これらのカ
ムシャフト６５，６６が収容される動弁室６９を画成す
るように、シリンダヘッド６２上面にロッカカバー７０
が取り付けられている。またカムシャフト６５，６６
は、それぞれ複数個のカムブラケット７１を介して回転
自在に支持されており、かつ各カムブラケット７１は、
それぞれ一対のボルト７２でもってシリンダヘッド６２
に固定されている（例えば特開昭６０−１６６７０８号
公報）。

【０００３】一方、内燃機関のシリンダヘッド上面を覆
うロッカカバーに、吸気マニホルドの一部もしくは全体
を一体に形成してなる吸気マニホルド一体型ロッカカバ
ーが従来から知られている。図８は、一例として実開平
４−６５６４号公報に記載された吸気マニホルド一体型
ロッカカバーを備えた内燃機関の要部を示している。

【０００４】この例では、図示せぬシリンダブロックの
上面に載置固定されるシリンダヘッド８１に、吸気ポー
ト８２と排気ポート８３とがクロスフロー形式に形成さ
れており、吸気ポート８２の上流側の端部が、シリンダ
ヘッド８１上端のフランジ面８４と同一平面に開口して
いる。そして、上記シリンダヘッド８１の上面に取り付
けられるロッカカバー８５は、シリンダヘッド８１の上
面開口を覆って動弁室を隔成するカバー部８６と、吸気
マニホルドとなる複数本のブランチ部８７およびコレク
タ部８８とが一体に形成されている。上記ブランチ部８
７は、シリンダヘッド８１の吸気側から排気側へ横断す
るようにカバー部８６の幅方向に沿って形成されてい
る。シリンダヘッド８１の吸気側へ延びたブランチ部８
７の一端は、下方へ向かって湾曲しており、上記吸気ポ
ート８２の先端に接続されている。また、ブランチ部８
７の他端は、上記コレクタ部８８にそれぞれ接続されて
いる。また、吸気側，排気側カムシャフト８９，９０
は、詳細には図示されていないが、上述した一般的なＯ
ＨＣ型動弁装置の構成と同様に、シリンダヘッド８１側
に形成されたカムシャフト軸受部と、該カムシャフト軸
受部に個々にボルト結合されたカムブラケットとの間
で、回転自在に支持されるようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うに別体のカムブラケット７１を用いてカムシャフト６
５，６６，８９，９０を支持するようにした構成では、
部品点数ならびに組立工数が増加し、コストの上昇を招
く。また、ロッカカバー７０，８５の内側にカムブラケ
ット７１およびボルト７２を収容するため、ロッカカバ
ー７０，８５の高さが高くなってしまい、車両に搭載す
る上で好ましくない。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明に係るカムブラ
ケット部一体型ロッカカバー付内燃機関は、気筒の略中
心に点火栓取付ボス部が形成されているとともに、クラ
ンクシャフト軸方向と直交する方向に沿って、カムシャ
フト軸受部が上記点火栓取付ボス部と略直線状に並んで
形成されたシリンダヘッドと、このシリンダヘッドの上
面に取り付けられるロッカカバーと、を備えてなる内燃
機関において、上記カムシャフト軸受部との間でカムシ
ャフトを支持するカムブラケット部が、上記ロッカカバ
ーの内側に一体に形成されているとともに、各カムブラ
ケット部の両側に、該カムブラケット部を貫通するそれ
ぞれ一対のボルトを配設し、このボルトによって、各カ
ムブラケット部を上記カムシャフト軸受部に結合すると
ともにロッカカバーをシリンダヘッドに結合したことを
特徴としている。

【０００７】また請求項２の発明は、さらに、上記ロッ
カカバーに、上記シリンダヘッドの吸気側から排気側へ
横断する複数本のブランチ部が上部に一体に形成され、
かつ該ブランチ部の一端部に、クランクシャフト軸方向
に沿ったコレクタ部が一体に形成されている。

【０００８】さらに請求項３の発明では、上記シリンダ
ヘッドの吸気ポート先端が、該シリンダヘッド上端周縁
のフランジ面と同一平面に開口しているとともに、上記
ブランチ部の先端がロッカカバー下縁のフランジ面と同
一平面に開口しており、上記ボルトの結合によって、両
者の接合状態を保持するようにした。

【０００９】また請求項４の発明では、上記吸気ポート
およびブランチ部の接合部における通路開口部形状を、
クランクシャフト軸方向に長い偏平形状とし、かつ吸気
側カムシャフト用のカムブラケット部におけるボルト挿
入孔周囲の座部からブランチ部先端のフランジ部へ延び
た補強リブをロッカカバーに形成した。

【００１０】さらに請求項５の発明では、上記吸気ポー
トと上記ブランチ部との接合面を、液体パッキングおよ
びシールリングによって２重にシールした。

【００１１】

【作用】上記構成においては、カムシャフトは、シリン
ダヘッド側のカムシャフト軸受部と、ロッカカバー側の
カムブラケット部との間で回転自在に支持される。上記
カムシャフト軸受部とカムブラケット部とは、ロッカカ
バー外側からボルトでもって互いに結合される。また、
このボルトによって、ロッカカバー自体がシリンダヘッ
ドに対し結合固定される。

【００１２】請求項２の構成では、ロッカカバーに吸気
マニホルドとなるコレクタ部およびブランチ部が一体に
形成されており、これらを含めた形でシリンダヘッドに
固定される。

【００１３】特に請求項３の構成では、吸気ポート先端
とブランチ部先端との接合部についても、カムブラケッ
ト部のボルトでもって接合状態が保持される。

【００１４】また請求項４の構成では、通路開口部の偏
平化によりカムブラケット部から周囲のシール面までの
距離が抑制される。さらに補強リブによって、ボルトの
軸力が確実に伝わる。

【００１５】また請求項５の構成では、２重シールによ
り吸気が漏れにくくなる。

【００１６】

【実施例】以下、この発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明する。

【００１７】図１および図２は、この発明に係るカムブ
ラケット部一体型ロッカカバー付内燃機関の第１実施例
を示している。図において、１は、図示せぬシリンダブ
ロックの上面に載置固定されるシリンダヘッドを示して
いる。このシリンダヘッド１は、例えばアルミニウム合
金等により一体に鋳造されているものであって、図示せ
ぬ吸気弁により開閉される吸気ポート２と、図示せぬ排
気弁により開閉される排気ポート３とが、クロスフロー
形式に形成されている。尚、吸気弁および排気弁は、そ
れぞれ１気筒当たり２個ずつ設けられており、これに対
応して吸気ポート２および排気ポート３はそれぞれ先端
部が二股状に分岐した形状に形成されている。また、各
気筒の中心位置には、点火栓５が螺合する点火栓取付ボ
ス部４が形成されている。

【００１８】上記シリンダヘッド１の上端周縁には、フ
ランジ面６が形成されており、このフランジ面６は、吸
気側カムシャフト９，排気側カムシャフト１０の中心を
通り、かつシリンダヘッド１の下面１ａと平行に形成さ
れている。尚、図１において、７は排気ポート３に接続
された排気マニホルド、８はシリンダヘッド１各部に形
成されたウォータジャケットを示している。

【００１９】シリンダヘッド１上面の各気筒上方部分に
は、シリンダヘッド１幅方向（クランクシャフト軸方向
と直交する方向）に沿った隔壁状のカムシャフト軸受部
１１が左右一対ずつ形成されており、このカムシャフト
軸受部１１に、上記カムシャフト９，１０を支持する半
円形の軸受面１１ａが形成されている。各気筒の一対の
カムシャフト軸受部１１は、気筒中心の点火栓取付ボス
部４と略直線状に並んだ形に形成されている。尚、図示
例は、直列４気筒内燃機関であり、機関前後両端部を含
め合計６箇所のカムシャフト軸受部１１でもって各カム
シャフト９，１０が支持されるようになっている。

【００２０】上記シリンダヘッド１の上面に取り付けら
れるロッカカバー１２は、アルミニウム合金等を用いて
全体が一体に鋳造されているものであって、四辺に側壁
を有する浅い箱型をなしており、その側壁先端のフラン
ジ面１２ａが上記シリンダヘッド１外周のフランジ面６
に液体パッキングを介して密接するようになっている。
そして、このロッカカバー１２がシリンダヘッド１の上
面開口を覆うことにより図示せぬ動弁室を隔成してい
る。

【００２１】上記ロッカカバー１２の内側には、該ロッ
カカバー１２の幅方向に沿った隔壁状をなすカムブラケ
ット部１４が一体に形成されている。このカムブラケッ
ト部１４は、上述したシリンダヘッド１側のカムシャフ
ト軸受部１１にそれぞれ対応する位置にあり、カムシャ
フト軸受部１１と同様に、半円形の軸受面１４ａがそれ
ぞれ形成されている。すなわち、このカムブラケット部
１４と上記カムシャフト軸受部１１との間に、図１に示
すように、吸気側カムシャフト９および排気側カムシャ
フト１０が回転自在に支持されている。各カムブラケッ
ト部１４には、カムシャフト９，１０の両側に沿って一
対のボルト挿入孔１５が上下に貫通形成されており、こ
こに挿入されたボルト１６によって、図１に示すよう
に、各カムブラケット部１４がシリンダヘッド１側のカ
ムシャフト軸受部１１に堅固に結合されている。また、
このカムブラケット部１４用のボルト１６によって、同
時に、ロッカカバー１２自体がシリンダヘッド１に結合
されている。ここで、上記ボルト１６の円座とボルト挿
入孔１５周囲との接合面にも液体パッキングが塗布され
ており、確実なシールがなされている。

【００２２】上記ロッカカバー１２の各気筒の中央部分
には、シリンダヘッド１側の点火栓取付ボス部４に対応
して点火栓挿入孔１７がそれぞれ形成されている。また
上記のボルト挿入孔１５および点火栓挿入孔１７を縦横
に連結するように、補強リブ１３ａ〜１３ｄが設けられ
ている。

【００２３】尚、ロッカカバー１２の前端側には、図２
に示すように、オイルフィラーキャップ取付孔１８が形
成されている。また１９は各点火栓５に接続されたハイ
テンションケーブル、２０はロッカカバー１２の点火栓
挿入孔１７を閉塞するラバーブーツをそれぞれ示してい
る。

【００２４】上記実施例の構成においては、カムシャフ
ト９，１０を支持するカムブラケット部１４がロッカカ
バー１２に一体に形成されているため、別体のカムブラ
ケットを用いる場合に比べて、部品点数および組立工数
を削減できるのは勿論のこと、カムブラケット部１４を
固定するボルト１６の頭部がロッカカバー１２の外側に
位置するため、ロッカカバー１２全体の高さを低く構成
することができる。また、カムブラケット部１４を結合
させるボルト１６が、ロッカカバー１２固定用を兼ねて
いるので、必要なボルトの総本数が非常に少なくなり、
その締付作業を短時間で行うことが可能となる。特に、
全てのボルト１６をロッカカバー１２の外側から締め付
けることができるので、自動組立化が容易となる。さら
に、ボルト１６の間を連結するように補強リブ１３ａ〜
１３ｄが設けられているので、ロッカカバー１２の剛性
が向上し、その膜振動が抑制される。

【００２５】次に、図３〜図５は、吸気マニホルドをロ
ッカカバーに一体化したこの発明の第２実施例を示して
いる。

【００２６】図において、２１は、図示せぬシリンダブ
ロックの上面に載置固定されるシリンダヘッドを示して
いる。このシリンダヘッド２１は、例えばアルミニウム
合金等により一体に鋳造されているものであって、吸気
弁２２Ａ（図５参照）により開閉される吸気ポート２２
と、図示せぬ排気弁により開閉される排気ポート２３と
が、クロスフロー形式に形成されている。尚、吸気弁お
よび排気弁は、それぞれ１気筒当たり２個ずつ設けられ
ており、これに対応して吸気ポート２２および排気ポー
ト２３はそれぞれ先端部が二股状に分岐した形状に形成
されている。また、各気筒の中心位置には、点火栓２５
が螺合する点火栓取付ボス部２４が形成されている。

【００２７】上記吸気ポート２２の上流側部分は、図３
に示すように、上方へ湾曲しつつ立ち上がった形状をな
しており、その先端開口部は、シリンダヘッド２１上端
のフランジ面２６と同一平面に開口している。尚、上記
フランジ面２６は、吸気側カムシャフト２９，排気側カ
ムシャフト３０の中心を通り、かつシリンダヘッド２１
の下面２１ａと平行に形成されている。また上方に湾曲
した吸気ポート２２の外側に、燃料噴射弁２７がそれぞ
れ配設されている。この燃料噴射弁２７は、吸気弁によ
り開閉される吸気ポート２２下流側部分へ向けて燃料を
噴射するように取り付けられている。また上記吸気ポー
ト２２の上流側部分は、クランクシャフト軸方向に傾斜
した状態に延びており、後述するように、先端開口部は
気筒の中心に対し内燃機関の後方（図４の左側）寄りに
オフセットしている。

【００２８】尚、２８はシリンダヘッド１各部に形成さ
れたウォータジャケットを示している。

【００２９】シリンダヘッド２１上面の各気筒上方部分
には、前述した実施例と同様に、シリンダヘッド２１幅
方向に沿った隔壁状のカムシャフト軸受部３１が左右一
対ずつ形成されており、このカムシャフト軸受部３１
に、上記カムシャフト２９，３０を支持する半円形の軸
受面３１ａが形成されている。各気筒の一対のカムシャ
フト軸受部３１は、気筒中心の点火栓取付ボス部２４と
略直線状に並んだ形に形成されている。尚、図示例は、
直列４気筒内燃機関であり、図４に示すように、機関前
後両端部を含め合計６箇所のカムシャフト軸受部３１で
もって各カムシャフト２９，３０が支持されるようにな
っている。

【００３０】上記シリンダヘッド１の上面に取り付けら
れるロッカカバー３６は、図５にも示すように、シリン
ダヘッド２１の上面開口を覆って動弁室３８（図５参
照）を隔成するカバー部３７と、吸気マニホルドを構成
する複数本のブランチ部３９と、同じく吸気マニホルド
の一部となるコレクタ部４０とが互いに一体に形成され
ている。例えば、アルミニウム合金等を用いて、全体が
一体に鋳造されている。

【００３１】上記カバー部３７は、四辺に側壁を有する
浅い箱型をなしており、その側壁先端のフランジ面４１
が上記シリンダヘッド２１外周のフランジ面２６に液体
パッキング（図示せず）を介して密接するようになって
いる。そして、このカバー部３７の内側には、該カバー
部３７の幅方向に沿った隔壁状をなすカムブラケット部
４２が一体に形成されている。このカムブラケット部４
２は、上述したシリンダヘッド２１側のカムシャフト軸
受部３１にそれぞれ対応する位置にあり、カムシャフト
軸受部３１と同様に、半円形の軸受面４２ａがそれぞれ
形成されている。すなわち、このカムブラケット部４２
と上記カムシャフト軸受部３１との間に、図３に示すよ
うに、吸気側カムシャフト２９および排気側カムシャフ
ト３０が回転自在に支持されている。各カムブラケット
部４２には、カムシャフト２９，３０の両側に沿って一
対のボルト挿入孔４３が上下に貫通形成されており、こ
こに挿入されたボルト４７によって、図３に示すよう
に、各カムブラケット部４２がシリンダヘッド２１側の
カムシャフト軸受部３１に堅固に結合されている。ま
た、このカムブラケット部４２用のボルト４７によっ
て、同時に、ロッカカバー３６自体がシリンダヘッド２
１に結合されている。さらに、上記カバー部３７の各気
筒の中央部分には、シリンダヘッド２１側の点火栓取付
ボス部２４に対応して点火栓挿入孔４６がそれぞれ形成
されている。

【００３２】尚、カバー部３７の前端側には、図４に示
すように、オイルフィラーキャップ取付孔４８が形成さ
れている。

【００３３】上記カバー部３７と一体に鋳造された複数
本のブランチ部３９は、ロッカカバー３６の幅方向にほ
ぼ沿ってシリンダヘッド２１の吸気側から排気側へと横
断するように形成されている。このブランチ部３９は、
図５に示すように、その下面側の一部がカバー部３７の
壁部を共用した形となっている。このブランチ部３９
は、ロッカカバー３６の高さを低くするために、クラン
クシャフト軸方向に長い偏平な矩形もしくは長円形に近
似した断面形状を有している。また隣接する各気筒のブ
ランチ部３９同士は分離した形に鋳造されており、外側
から見た場合に、各ブランチ部３９の間にはそれぞれ凹
溝状に間隙４５が形成されている。各ブランチ部３９の
吸気側の先端３９ａは、カバー部３７の側壁に沿った形
で下方へ向けてほぼ９０度湾曲しており、カバー部３７
下縁と同一のフランジ面４１に開口している。そして、
この吸気側先端３９ａの開口部がシリンダヘッド２１側
の吸気ポート２２先端開口部にそれぞれ接続されてい
る。この接続部は、やはり液体パッキングによってカバ
ー部３７側と連続した形でシールされているが、さらに
各吸気通路の周囲に、図５に示すようにシールリング嵌
合溝５１が形成されており、ここに介装されたシールリ
ング５２によって２重にシールされている。

【００３４】このシールリング５２は、図６に示すよう
に、直線部５２ａによって各気筒の環状部５２ｂを一連
に連続させた構成となっている。

【００３５】上記コレクタ部４０は、カバー部３７の前
後方向（クランクシャフト軸方向）に沿って細長い通路
状をなしており、カバー部３７のほぼ全長に亙って形成
されている。このコレクタ部４０は、カバー部３７の排
気側の側壁と壁部を一部共用した形で構成されており、
このコレクタ部４０の側面に、各ブランチ部３９の排気
側先端がそれぞれ接続されている。図４に示すように、
上記コレクタ部４０の後端部に、図示せぬスロットルチ
ャンバが取り付けられる吸気入口部４９が設けられてい
る。また上記コレクタ部４０は、ロッカカバー３６の高
さを低くするために、カバー部３７の側壁よりも外側に
オーバーハングした状態に形成されている。特に、上記
コレクタ部４０の通路断面の中心が、ブランチ部３９の
通路中心よりも下方に設定されており、通路断面積の大
きなコレクタ部４０の上面と各ブランチ部３９の上面と
が、ほぼ同一の高さに位置している。尚、上記コレクタ
部４０の下面側には、図３に示すように、排気系からの
熱を遮熱するために遮熱板５０が取り付けられている。
また、排気マニホルド５３側にも遮熱板５４が設けられ
ている。尚、図３において、５５は各点火栓２５に接続
されたハイテンションケーブル、５６はロッカカバー３
６の点火栓挿入孔４６を閉塞するラバーブーツをそれぞ
れ示している。

【００３６】ここで、上記ブランチ部３９は、本実施例
では、図４に示すように、平面図上においてそれぞれ直
線状をなし、かつ平行に形成されている。そして、各ブ
ランチ部３９は、互いに隣接する気筒のカムブラケット
部４２の間を通るように配置されている。換言すれば、
カムブラケット部４２を通るボルト挿入孔４３および点
火栓挿入孔４６が、各ブランチ部３９の間の間隙４５に
露出するように各ブランチ部３９が形成されている。特
に、上記コレクタ部４０と各ブランチ部３９とがなす吸
気流入角度が９０度より大きな鈍角となるように、各ブ
ランチ部３９がコレクタ部４０に斜めに接続されてい
る。

【００３７】また、各ブランチ部３９先端と吸気ポート
２２との接続部における通路開口部は、やはりクランク
シャフト軸方向に長い偏平形状をなしており、ブランチ
部３９先端を囲むフランジ部５７の小型化を図ってい
る。つまり、通路開口部の偏平化により吸気側のカムブ
ラケット部４２を固定しているボルト４７から上記フラ
ンジ部５７先端までの距離が短くなっている。

【００３８】そして、このフランジ部５７には、隣接す
るブランチ部３９の先端部同士を連結するように縦方向
の補強リブ５８が形成されているとともに、該補強リブ
５８と直交するように、横方向の補強リブ５９が形成さ
れている。この横方向の補強リブ５９は、図３に示すよ
うに、略三角形をなし、その一端が、吸気側カムシャフ
ト２９用のカムブラケット部４２におけるボルト挿入孔
４３周囲の座部６０に連結されている。

【００３９】上記実施例の構成によれば、ブランチ部３
９およびコレクタ部４０をもロッカカバー３６に一体化
し、これをカムブラケット部４２の締結を兼ねたボルト
４７でもってシリンダヘッド２１に結合してあるので、
一層部品点数が少なくなり、かつ組立作業も容易とな
る。特に、ブランチ部３９先端と吸気ポート２２との接
続についても、別途にボルト結合する必要がなく、ロッ
カカバー３６の固定に伴ってその接続がなされるので、
組立作業が非常に容易である。そして、この接続部にお
けるフランジ部５７は、吸気通路を偏平化することによ
り、ボルト４７までの距離が短くなっており、かつ補強
リブ５８，５９によってボルト軸力が確実に伝達される
ため、吸気ポート２２との接続部において良好なシール
性を確保できる。

【００４０】また、ボルト４７が挿入されるカムブラケ
ット部４２の上方は、間隙４５として開放されているた
め、ボルト４７の挿入および締付をこの間隙４５を通し
て行うことができ、良好な作業性を確保することができ
る。また、同様に点火栓挿入孔４６の上方も開放されて
おり、点火栓２５の挿入を何ら支障なく行うことができ
る。

【００４１】また、上記実施例では、コレクタ部４０か
ら各ブランチ部３９へ至る吸気流入角度がそれぞれ鈍角
となっているため、コレクタ部４０一端の吸気入口部４
９から流入した吸気が各ブランチ部３９へ円滑に流れ
る。しかも、各ブランチ部３９に連なる吸気ポート２２
が、ブランチ部３９と同一の向きで機関前後方向に傾斜
しているため、各気筒の燃焼室へ至る吸気の流れが、吸
気系全体として非常に円滑なものとなる。尚、コレクタ
部４０からブランチ部３９へ至る吸気流入角度が仮に９
０度より小さな鋭角であると、吸気の流れに乱れと大き
な曲がりが発生し、吸入効率が大きく低下する。これに
対し上記実施例では、上述したように吸気入口部４９か
ら燃焼室へ至る吸気の流れが円滑となり、吸入効率の低
下が防止される。また、ブランチ部３９の通路断面形状
を偏平化することにより、該ブランチ部３９下流側の湾
曲部における吸気流の剥離による吸入効率低下が防止で
きる。

【００４２】さらに上記構成のロッカカバー３６におい
ては、カバー部３７が管状のコレクタ部４０およびブラ
ンチ部３９によって補強される形となり、その剛性が向
上するとともに、各ブランチ部３９間の平坦な部分がカ
ムブラケット部４２固定用のボルト４７によってシリン
ダヘッド２１に固定されるので、カバー部３７の膜振動
による騒音発生を確実に防止でき、かつシリンダヘッド
２１との間のオイルシール性も向上する。

【００４３】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、この発明
に係るカムブラケット部一体型ロッカカバー付内燃機関
においては、シリンダヘッド側のカムシャフト軸受部と
の間でカムシャフトを支持するカムブラケット部がロッ
カカバーに一体に形成されているので、部品点数や組立
工数を低減できるとともに、ロッカカバーの高さを最小
限に抑制することができる。

【００４４】また、請求項２の発明によれば、ブランチ
部およびコレクタ部がロッカカバーと一体となっている
ため、部品点数や組立工数を一層削減できる。

【００４５】さらに請求項３の構成によれば、ブランチ
部先端と吸気ポートとの接続部についても、別途にボル
ト結合する必要がなく、ロッカカバーの固定に伴ってそ
の接続がなされるので、組立作業が非常に容易となる。

【００４６】特に請求項４の構成によれば、この接続部
におけるフランジ部が、吸気通路を偏平化することによ
り、ボルトまでの距離が短くなっており、かつ補強リブ
によってボルト軸力が確実に伝達されるため、接続部に
おいて良好なシール性を確保できる。

【００４７】さらに請求項５の構成によれば、２重シー
ルにより一層良好なシール性が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１実施例を示す内燃機関要部の断
面図。

【図２】ロッカカバーの平面図。

【図３】この発明の第２実施例を示す内燃機関要部の断
面図。

【図４】この第２実施例のロッカカバーの平面図。

【図５】ブランチ部と吸気ポートとの接続部の構成を示
す要部の断面図。

【図６】上記接続部におけるシールリングの構成を示す
平面図。

【図７】従来の一例を示す内燃機関要部の断面図。

【図８】従来の他の例を示す内燃機関要部の断面図。

【符号の説明】

１…シリンダヘッド ４…点火栓取付ボス部 １１…カムシャフト軸受部 １２…ロッカカバー １４…カムブラケット部 １６…ボルト ２１…シリンダヘッド ２４…点火栓取付ボス部 ３７…カバー部 ３９…ブランチ部 ４０…コレクタ部 ４２…カムブラケット部 ４７…ボルト ５２…シールリング ５９…補強リブ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ０２Ｍ 35/10 Ｆ０２Ｍ 35/10 ３０１Ｐ ３０１Ｒ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 気筒の略中心に点火栓取付ボス部が形成
   されているとともに、クランクシャフト軸方向と直交す
   る方向に沿って、カムシャフト軸受部が上記点火栓取付
   ボス部と略直線状に並んで形成されたシリンダヘッド
   と、 このシリンダヘッドの上面に取り付けられるロッカカバ
   ーと、 を備えてなる内燃機関において、 上記カムシャフト軸受部との間でカムシャフトを支持す
   るカムブラケット部が、上記ロッカカバーの内側に一体
   に形成されているとともに、各カムブラケット部の両側
   に、該カムブラケット部を貫通するそれぞれ一対のボル
   トを配設し、このボルトによって、各カムブラケット部
   を上記カムシャフト軸受部に結合するとともにロッカカ
   バーをシリンダヘッドに結合したことを特徴とするカム
   ブラケット部一体型ロッカカバー付内燃機関。
2. 【請求項２】 上記ロッカカバーには、上記シリンダヘ
   ッドの吸気側から排気側へ横断する複数本のブランチ部
   が上部に一体に形成され、かつ該ブランチ部の一端部
   に、クランクシャフト軸方向に沿ったコレクタ部が一体
   に形成されていることを特徴とする請求項１記載のカム
   ブラケット部一体型ロッカカバー付内燃機関。
3. 【請求項３】 上記シリンダヘッドの吸気ポート先端
   が、該シリンダヘッド上端周縁のフランジ面と同一平面
   に開口しているとともに、上記ブランチ部の先端がロッ
   カカバー下縁のフランジ面と同一平面に開口しており、
   上記ボルトの結合によって、両者の接合状態を保持する
   ようにしたことを特徴とする請求項２記載のカムブラケ
   ット部一体型ロッカカバー付内燃機関。
4. 【請求項４】 上記吸気ポートおよびブランチ部の接合
   部における通路開口部形状を、クランクシャフト軸方向
   に長い偏平形状とし、かつ吸気側カムシャフト用のカム
   ブラケット部におけるボルト挿入孔周囲の座部からブラ
   ンチ部先端のフランジ部へ延びた補強リブをロッカカバ
   ーに形成したことを特徴とする請求項３記載のカムブラ
   ケット部一体型ロッカカバー付内燃機関。
5. 【請求項５】 上記吸気ポートと上記ブランチ部との接
   合面を、液体パッキングおよびシールリングによって２
   重にシールしたことを特徴とする請求項３または４に記
   載のカムブラケット部一体型ロッカカバー付内燃機関。