JPH08246907A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置

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JPH08246907A
JPH08246907A JP5154695A JP5154695A JPH08246907A JP H08246907 A JPH08246907 A JP H08246907A JP 5154695 A JP5154695 A JP 5154695A JP 5154695 A JP5154695 A JP 5154695A JP H08246907 A JPH08246907 A JP H08246907A
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valve
target displacement
internal combustion
combustion engine
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千詞 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】減速時にバルブタイミングを変更する際、過進
角を防止しつつ、バルブタイミング変更時のショックを
防止すること。 【構成】減速時において、前回のVVT 制御時に使用され
た前回制御用目標変位角VTT i-1 よりも、今回の運転状
態に基づいてマップより算出される目標変位角VTTBが大
きい場合には、前回制御用目標変位角VTT i-1 が今回使
用される制御用目標変位角VTT i として設定される(10
9) 。一方、前回制御用目標変位角VTT i-1よりも、目標
変位角VTTBが小さい場合には、目標変位角VTTBが今回使
用される制御用目標変位角VTT i として設定される(11
0) 。すなわち、減速時には進角更新量の小さい側の目
標変位角VTTB又はVTT i-1 が適宜選択設定される。そし
て、その選択された側の目標変位角VTTB又はVTT i-1
基づき、減速開始から所定時間だけバルブオーバーラッ
プ量の増加量に制限が加えられてVVT が駆動制御される
(111,112) 。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関のバルブタイ
ミング制御装置に係り、特に、吸気バルブと排気バルブ
とが同時に開弁する期間(バルブオーバラップ期間)を
制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、エンジンの運転状態に応じ
て、吸気バルブと排気バルブとが同時に開弁する状態
(バルブオーバラップ)を変更させるための可変バルブ
タイミング機構が実用化されている。図10は、エンジ
ン回転数及び負荷(吸気圧)に対するバルブタイミング
の目標変位角を設定した目標変位角マップである。
【0003】このマップでは、高負荷域において、エン
ジン回転数が高回転域にある場合には、吸気バルブの開
閉タイミングを遅角側(バルブオーバーラップを小)と
して、スロットル全開時における燃焼室内への吸入効率
が向上するように設定されている。また、高負荷域にお
いて、エンジン回転数が低回転域にある場合には、吸気
バルブの開閉タイミングを進角側(バルブオーバーラッ
プを大)として、燃焼室内への吸入空気の充填効率が向
上するように設定されている。
【0004】また、中負荷域においては、内部EGRに
よる低エミッション、低燃費となることから、吸気バル
ブの開閉タイミングを失火限界まで進角側に保持するよ
うに設定されている。また、軽負荷域においては、失火
しやすいことから、常に吸気バルブの開閉タイミングが
遅角側となるように設定されている。
【0005】しかしながら、上記マップに基づく可変バ
ルブタイミング機構では次のような問題がある。図10
のマップにおいて、エンジン回転数が2000〜400
0rpmで、負荷状態が高負荷域から低負荷域となった
際には、バルブタイミングは進角位置(高負荷域)から
最進角位置(中負荷域)となった後に遅角位置(低負荷
域)となる。そのため、図11(c)の二点鎖線にて示
すように、高負荷域から減速した際には、バルブタイミ
ングが一旦最進角位置に制御された後、負荷が低下する
に従って遅角側に制御される。このため、低負荷域で一
時的にバルブタイミングが過進角となる。すなわち、可
変バルブタイミング機構に作動遅れが生じる。この場
合、低吸気圧力でバルブオーバーラップが大となること
から、失火や燃焼不良等が発生し、エンジン回転数のア
ンダーシュートやエンジンストールを発生し、ドライバ
ビリティが悪化する。
【0006】この問題を解消するために、次のようなバ
ルブタイミング制御装置が提案されている(特開平6−
213021号公報に記載)。この公報に記載のバルブ
タイミング制御装置によれば、車速(エンジン回転数)
が所定速度(所定回転数)以下の場合、すなわち減速時
には、そのときの車速に対応する予め設定されたバルブ
タイミング制限進角値で可変バルブタイミング機構を駆
動制御するようにしている。前記バルブタイミング制限
進角値は、図10のマップより求められるその時のエン
ジン回転数と負荷とから求められた目標変位角の進角値
に制限を加えたものである。減速時の場合には、マップ
により求められた目標変位角の進角値に制限を加えて、
目標変位角の進角値よりも小さい制限進角値に設定す
る。その結果、図11(d)に示すように、減速時にお
ける可変バルブタイミング機構の作動遅れによるバルブ
タイミングの過進角を防止できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記公報記
載の従来技術では次のような問題がある。減速時には目
標変位角の進角値に制限が加えられるが、この制限進角
値は固定値である。例えば、図11(e)に示すよう
に、前記制限進角値が20°CAに設定され、減速前の
実変位角が前記制限進角値20°CAよりも進角側の3
0°CAにある場合には、進角要求されているにもかか
わらず、バルブタイミングは強制的に遅角側に制御され
てしまう。そのために、ハンチング(ショック)が発生
してドライバビリティが悪化する。
【0008】この問題を解消するために、前記制限進角
値を高め(30°CA〜40°CA付近)に設定するこ
とが考えられるが、減速開始時の実変位角が最遅角付近
にあった場合に、上記従来技術と同様、可変バルブタイ
ミング機構に作動遅れが生じ、失火や燃焼不良等の発生
の原因となる。
【0009】本発明は上記問題点を解消するためになさ
れたものであって、その目的は減速時にバルブタイミン
グを変更する際、可変バルブタイミング機構の作動遅れ
による過進角を防止しつつ、バルブタイミング変更時の
ショックを防止することが可能な内燃機関のバルブタイ
ミング制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明においては、図1に示すよう
に、車両に搭載される内燃機関M1の回転に同期して所
定のタイミングで駆動され、燃焼室M2に通じる吸気通
路M3及び排気通路M4をそれぞれ開閉する吸気バルブ
M5及び排気バルブM6と、前記吸気バルブM5及び前
記排気バルブM6の少なくとも一方の開閉タイミングを
連続的に可変にするために駆動される可変バルブタイミ
ング機構M7と、その可変バルブタイミング機構M7が
配設された側におけるバルブの実変位角を検出するため
のバルブタイミング検出手段M8と、前記内燃機関M1
の運転状態を検出するための運転状態検出手段M9と、
前記運転状態検出手段M9により内燃機関M1の状態が
高負荷域或いは低負荷域にあると検出された場合には、
バルブオーバーラップ量が小となるように、また、内燃
機関M1の状態が中負荷域にあると検出された場合に
は、バルブオーバーラップ量が大となるように目標変位
角を算出する目標変位角算出手段M10と、前記バルブ
タイミング検出手段M8により検出された実変位角と、
前記目標変位角算出手段M10により算出された目標変
位角とに基づき、バルブオーバーラップ量を変更すべく
前記可変バルブタイミング機構M7を駆動制御するため
の駆動制御手段M11とを備えた内燃機関M1のバルブ
タイミング制御装置であって、前記内燃機関M1の減速
時には、バルブオーバーラップ量の増加量が所定値以下
となるよう前記目標変位角を変更する目標変位角変更手
段M12とを備えたことをことをその要旨とする。
【0011】請求項2に記載の発明においては、前記目
標変位角変更手段M12は、内燃機関M1の減速度合い
が大きいほど、前記所定値を小さく設定する設定手段を
有することをことをその要旨とする。
【0012】
【作用】上記構成を備えた請求項1の発明に係る内燃機
関のバルブタイミング制御装置では、内燃機関M1が始
動すると、吸気バルブM5及び排気バルブM6は内燃機
関M1の回転に同期して所定のタイミングで駆動され、
燃焼室M2に通じる吸気通路M3及び排気通路M4を開
閉する。また、可変バルブタイミング機構M7は、吸気
バルブM5、排気バルブM6のうち少なくともいずれか
一方のバルブタイミングを変更する。バルブタイミング
検出手段M8は変更されるバルブの実変位角を検出す
る。さらに、運転状態検出手段M9は、内燃機関M1の
運転状態を検出し、目標変位角算出手段M10は、前記
運転状態検出手段M9より内燃機関M1の状態が高負荷
域或いは低負荷域にあると検出された場合には、バルブ
オーバーラップ量が小となるように、また、内燃機関M
1の状態が中負荷域にあると検出された場合には、バル
ブオーバーラップ量が大となるように目標変位角を算出
する。目標変位角変更手段M12は、内燃機関M1の運
転状態が減速された場合には、バルブオーバーラップ量
の増加量が所定値以下となるように、前記目標変位角算
出手段M10により算出された目標変位角を変更する。
【0013】従って、運転状態が減速された際には、バ
ルブオーバーラップ量の増加量が所定値以下に変更さ
れ、可変バルブタイミング機構M7が駆動制御される。
その結果、内燃機関M1の減速時におけるハンチング・
ショックが防止される。
【0014】請求項2の発明に係る内燃機関のバルブタ
イミング制御装置では、前記請求項1の発明の作用に加
え、目標変位角変更手段M12は内燃機関M1の減速度
が大きいほど、その設定手段により前記所定値が小さく
設定されることから、バルブタイミングを徐々に目標変
位角に近づけることができ、より一層内燃機関M1の減
速時におけるハンチング・ショックが回避される。
【0015】
【実施例】
(第1実施例)以下、本発明の内燃機関のバルブタイミ
ング制御装置をガソリンエンジンのバルブタイミング制
御装置に具体化した第1実施例について、図2〜図6及
び図9を参照して説明する。
【0016】先ず、エンジン10のバルブタイミング制
御装置VCの構成について図2及び図3を参照して説明
する。ここに、図2は内燃機関のバルブタイミング制御
装置VCを含むガソリンエンジンシステムを示す概略構
成図である。
【0017】内燃機関としてのエンジン10は、複数の
シリンダが形成されているシリンダブロック11と、シ
リンダブロック11上部に連結されるシリンダヘッド1
2と、シリンダブロック11の各シリンダ内を上下に往
復移動するピストン13とを備えている。また、ピスト
ン13の下端部にはクランクシャフト14が連結されて
おり、ピストン13が上下動することによりクランクシ
ャフト14が回転させられる。
【0018】さらに、クランクシャフト14の近傍に
は、クランク角センサ40が配設されており、クランク
角センサ40は、クランクシャフト14に連結されてい
る磁性体ロータ(図示しない)と、電磁ピックアップ
(図示しない)とから構成されている。ここで、ロータ
の外周には等角度歯が形成されており、ロータの等角度
歯が電磁ピックアップの前方を通過する毎に、パルス状
のクランク角度信号が検出される。そして、後述する気
筒判別センサ42による基準位置信号の発生後に、クラ
ンク角センサ40からのクランク角度信号の発生数を計
測することで、クランクシャフト14の回転角度(クラ
ンク角度)が検出される。
【0019】各シリンダブロック11、及びシリンダヘ
ッド12の内壁と、ピストン13の頂部とによって区画
形成された空間は、混合気を燃焼させるための燃焼室1
5として機能する。また、シリンダヘッド12の頂部に
は、混合気に点火するための点火プラグ16が、燃焼室
15に突出するように配設されている。各点火プラグ1
6は、プラグコード等(図示しない)を介してディスト
リビュータ18に接続されている。そして、イグナイタ
19から出力された高電圧は、ディストリビュータ18
によって、クランク角度に同期して各点火プラグ16に
分配される。
【0020】さらに、ディストリビュータ18には、排
気側カムシャフト33に連結され、クランクシャフト1
4の回転数を検出するエンジン回転数センサ41が配設
されている。エンジン回転数センサ41は、クランクシ
ャフト14に同期して回転する磁性体ロータ(図示しな
い)と、電磁ピックアップ(図示しない)とからなり、
電磁ピックアップがロータの回転数を検出することによ
り、クランクシャフト14の回転数(エンジン回転数N
E)が検出されることとなる。また、ディストリビュー
タ18には、ロータの回転からクランクの基準位置を所
定の割合で検出するための気筒判別センサ42が配設さ
れている。
【0021】シリンダブロック11には、冷却水通路を
流れる冷却水の温度(冷却水温)を検出するための水温
センサ43が配設されている。シリンダヘッド12は、
吸気ポート22及び排気ポート32を有しており、吸気
ポート22には吸気通路20が接続されており、排気ポ
ート32には排気通路30が接続されている。また、シ
リンダヘッド12の吸気ポート22には、吸気バルブ2
1が配設され、排気ポート32には排気バルブ31が配
設されている。
【0022】そして、吸気バルブ21の上方には、吸気
バルブ21を開閉駆動するための吸気側カムシャフト2
3が配置され、排気バルブ31の上方には、排気バルブ
31を開閉駆動するための排気側カムシャフト33が配
置されている。また、各カムシャフト23、33の一端
には、吸気側タイミングプーリ27、排気側タイミング
プーリ34が装着されており、各タイミングプーリ2
7、34は、タイミングベルト35を介して、クランク
シャフト14に連結されている。
【0023】従って、エンジン10の作動時にはクラン
クシャフト14からタイミングベルト35及び各タイミ
ングプーリ27、34を介して各カムシャフト23、3
3に回転駆動力が伝達され、各カムシャフト23、33
が回転することにより吸気バルブ21、及び排気バルブ
31が開閉駆動される。これら各バルブ21、31は、
クランクシャフト14の回転及びピストン13の上下動
に同期して、すなわち吸気行程、圧縮行程、爆発・膨張
行程、及び排気行程よりなるエンジン10における一連
の4行程に同期して、所定の開閉タイミングで駆動され
る。
【0024】さらに、吸気側カムシャフト23の近傍に
は、吸気バルブ21のバルブタイミングを検出するため
のカム角センサ44が配設されており、カム角センサ4
4は、吸気側カムシャフト23に連結された磁性体ロー
タ(図示せず)と電磁ピックアップとから構成されてい
る。また、磁性体ロータの外周には、複数の歯が等角度
毎に形成されており、例えば、所定気筒の圧縮上死点
(TDC)の前、BTDC90°〜30°の間に、吸気
側カムシャフト23の回転にともなうパルス状のカム角
度信号が検出されるようになっている。
【0025】吸気通路20の空気取り入れ側には、エア
クリーナ24が接続されており、吸気通路20の途中に
は、アクセルペダル(図示しない)に連動して開閉駆動
されるスロットルバルブ26が配設されている。そし
て、かかるアクセルペダルが開閉されることにより、吸
入空気量が調整される。
【0026】そして、スロットルバルブ26の近傍に
は、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ4
5が配設されている。さらに、スロットルバルブ26の
下流側には、吸気脈動を抑制するためのサージタンク2
5が形成されている。そして、サージタンク25には、
サージタンク25内における吸気圧力PWを検出する吸
気圧力センサ46が配設されている。また、各シリンダ
の吸気ポート22の近傍には、燃焼室15へ燃料を供給
するためのインジェクタ17が配設されている。各イン
ジェクタ17は、通電により開弁される電磁弁であり、
各インジェクタ17には、燃料ポンプ(図示しない)か
ら圧送される燃料が供給される。
【0027】従って、エンジン10の作動時において
は、吸気通路20には、エアクリーナ24によって濾過
された空気が取り込まれ、その空気の取り込みと同時に
各インジェクタ17から吸気ポート22に向けて燃料が
噴射される。この結果、吸気ポート22では混合気が生
成され、混合気は吸気バルブ21の開弁にともなって、
燃焼室15内に吸入される。排気通路30の途中には、
排ガスを浄化するための三元触媒を内蔵してなる触媒コ
ンバータ36が配置されている。また、排気通路30の
途中には、排ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサ4
7が配設されている。
【0028】本実施例におけるガソリンエンジンシステ
ムでは、吸気バルブ21の開閉タイミングを変更してバ
ルブオーバラップ量の変更を実現するために、油圧によ
り駆動される可変バルブタイミング機構50(以下「V
VT」という。)が配設されている。このVVT50
は、クランクシャフト14(吸気側タイミングプーリ2
7)の回転に対する吸気側カムシャフト23の回転の位
相を変化させることにより、吸気バルブ21のバルブタ
イミングを連続的に変更させるための機構である。
【0029】かかるVVT50のシステム構成につい
て、図3を参照して説明する。ここに、図3はVVT5
0が配設された吸気側カムシャフト23近傍の断面、及
びVVT50の制御システム全体を示す説明図である。
【0030】VVT50の制御システムは、VVT5
0、VVT50に対して駆動力を印加するオイルコント
ロールバルブ80(以下「OCV」という。)、カム角
度信号を検出するカム角センサ44、その他の各種セン
サ、及びカム角センサ44をはじめとする各種センサか
らの入力信号に基づいてOCV80を駆動制御する電子
制御装置(以下「ECU」という)70を備えている。
【0031】VVT50は、吸気側カムシャフト23と
吸気側タイミングプーリ27との間に配設されており、
吸気側カムシャフト23は、シリンダヘッド12、及び
ベアリングキャップ51間において回転自在に支持され
ている。吸気側カムシャフト23の先端部近傍には、吸
気側タイミングプーリ27が相対回転可能に装着されて
おり、また、吸気側カムシャフト23の先端には、イン
ナキャップ52が中空ボルト53及びピン54により一
体回転可能に取着されている。
【0032】吸気側タイミングプーリ27には、キャッ
プ55を有するハウジング56がボルト57及びピン5
8により一体回転可能に取着されており、このハウジン
グ56によって、吸気側カムシャフト23の先端、及び
インナキャップ52の全体が覆われている。また、吸気
側タイミングプーリ27の外周には、タイミングベルト
35を掛装するための外歯27aが多数形成されてい
る。
【0033】吸気側カムシャフト23及び吸気側タイミ
ングプーリ27は、ハウジング56及びインナキャップ
52間に介在されたリングギヤ59によって連結されて
いる。リングギヤ59は、略円環形状をなし、吸気側タ
イミングプーリ27、ハウジング56及びインナキャッ
プ52によって囲まれた空間S内において、吸気側カム
シャフト23の軸方向へ往復動自在に収容されている。
また、リングギヤ59の内外周には多数の歯59a、5
9bが形成されている。
【0034】これに対応して、インナキャップ52の外
周及びハウジング56の内周には、多数の歯52a、5
6bがそれぞれ形成されている。これらの歯59a、5
9b、52a、56bはいずれも、その歯すじが吸気側
カムシャフト23の軸線に対して所定角度で交差するヘ
リカル歯となっている。すなわち、歯52aと歯59b
とが互いに噛合し、歯56bと歯59bとが互いに噛合
している、ヘリカルスプラインを構成している。そし
て、これらの噛合によって、吸気側タイミングプーリ2
7の回転は、ハウジング56、及びインナキャップ52
を介して、吸気側カムシャフト23に伝達される。ま
た、各歯59a、59b、52a、56bがヘリカル歯
であることから、リングギヤ59が吸気側カムシャフト
23の軸方向に移動すると、インナキャップ52及びハ
ウジング56に捻り力が付与され、吸気側カムシャフト
23が吸気側タイミングプーリ27に対して相対移動す
る。
【0035】空間S内においては、リングギヤ59を軸
方向へ移動させるために、リングギヤ59の先端側に第
1油圧室60が、リングギヤ59の後端側に第2油圧室
61がそれぞれ形成されている。また、ベアリングキャ
ップ51には、第1油圧供給孔51a及び第2油圧供給
孔51bが形成されている。さらに、吸気側カムシャフ
ト23内部には、第1油圧供給孔51aと第1油圧室6
0とを連通する第1油圧供給路62、及び第2油圧供給
孔51bと第2油圧室61とを連通する第2油圧供給路
63がそれぞれ形成されている。
【0036】そして、各油圧供給孔51a、51bに
は、油圧ポンプ64によってオイルパン65から吸い上
げられた潤滑油が、所定の圧力をもってオイルフィルタ
66を介して供給される。また、各油圧供給路62、6
3を介して各油圧室60、61へ選択的に油圧を供給す
るために、各油圧供給孔51a、51bには、OCV8
0が接続されている。
【0037】このOCV80は、電磁式アクチュエータ
81及びコイルスプリング82によって駆動されるプラ
ンジャ83がスプール84を軸方向に往復移動させるこ
とにより、潤滑油の流れ方向を切り替える4ポート方向
制御弁である。そして、電磁式アクチュエータ81がデ
ューティ制御されることによって、その開度が調整さ
れ、各油圧室60、61に供給する油圧の大きさが調整
される。
【0038】OCV80のケーシング85は、タンクポ
ート85t、Aポート85a、Bポート85b、及びリ
ザーバポート85rを有している。そして、タンクポー
ト85tは、油圧ポンプ64を介してオイルパン65と
接続されており、Aポート85aは第1油圧供給孔51
aと、Bポート85bは第2油圧供給孔51bとそれぞ
れ接続されている。また、リザーバポート85rは、オ
イルパン65と連通されている。
【0039】スプール84は、円筒状の弁体であり、2
つのポート間における潤滑油の流れを封止する4つのラ
ンド84aと、2つのポート間を連通し、潤滑油の流れ
を許容するパセージ84bと、さらに他の2つのパセー
ジ84cとを有している。
【0040】これらの構成を備えるVVT50では、O
CV80が駆動制御され、スプール84が図面左方に移
動された場合には、中央のパセージ84bはタンクポー
ト85tとAポート85aとを連通し、第1油圧供給孔
51aに潤滑油が供給される。そして、第1油圧供給孔
51aに供給された潤滑油は、第1油圧供給路62を介
して第1油圧室60に供給され、リングギヤ59の先端
側に油圧が印加される。これと同時に、図中右側のパセ
ージ84cは、Bポート85bとリザーバポート85r
とを連通し、第2油圧室61内の潤滑油は、第2油圧供
給路63、第2油圧供給孔51b、及びOCV80のB
ポート85b、リザーバポート85rを介して、オイル
パン65に排出される。
【0041】従って、リングギヤ59は、先端側に印加
された油圧によって後端側(図面右方)に回動しながら
移動され、インナキャップ52を介して吸気側カムシャ
フト23に捻りが付与される。この結果、吸気側タイミ
ングプーリ27(クランクシャフト14)に対する吸気
側カムシャフト23の回転位相が変更され、吸気側カム
シャフト23は最遅角位置から最進角位置に向けて回転
し、吸気バルブ21の開弁タイミングが進角される。
【0042】こうして開弁タイミングが進角された吸気
バルブ21は、排気バルブ31が開弁している間に開弁
されることとなり、吸気バルブ21と排気バルブ31と
が同時に開弁するバルブオーバラップ期間が拡大され
る。なお、リングギヤ59の後端側への移動は、リング
ギヤ59が吸気側タイミングプーリ27と当接すること
によって規制され、リングギヤ59が吸気側タイミング
プーリ27と当接して停止した際に、吸気バルブ21の
開弁タイミングが最も早くなる。
【0043】一方、OCV80が駆動制御され、スプー
ル84が図面右方に移動された場合には、中央のパセー
ジ84bはタンクポート85tとBポート85bとを連
通し、第2油圧供給孔51bに潤滑油が供給される。そ
して、第2油圧供給孔51bに供給された潤滑油は、第
2油圧供給路63を介して第2油圧室61に供給され、
リングギヤ59の後端側に油圧が印加される。
【0044】これと同時に、図中左側のパセージ84c
は、Aポート85aとリザーバポート85rとを連通
し、第1油圧室60内の潤滑油は、第1油圧供給路6
2、第1油圧供給孔51a、及びOCV80のAポート
85a、リザーバポート85rを介して、オイルパン6
5に排出される。
【0045】したがって、リングギヤ59は、後端側に
印加された油圧によって先端側(図面左方)に回動しな
がら移動され、インナキャップ52を介して吸気側カム
シャフト23に逆向きの捻りが付与される。この結果、
吸気側タイミングプーリ27(クランクシャフト14)
に対する吸気側カムシャフト23の回転位相が変更さ
れ、吸気側カムシャフト23は最進角位置から最遅角位
置に向けて回転し、吸気バルブ21の開弁タイミングが
遅角される。
【0046】こうして、吸気バルブ21の開弁タイミン
グが遅角されることにより、吸気バルブ21と排気バル
ブ31とが同時に開弁するバルブオーバラップ期間が縮
小、あるいは、除去される。なお、リングギヤ59の先
端側への移動は、リングギヤ59がハウジング56と当
接することによって規制され、リングギヤ59がハウジ
ング56と当接して停止した際に、吸気バルブ21の開
弁タイミングが最も遅くなる。
【0047】上記VVT50により変更される吸気バル
ブ21のバルブタイミングは、カム角センサ44から出
力されるカム角度信号と、クランク角センサ40から出
力されるクランク角度信号とに基づいて、クランクシャ
フト14に対する吸気側カムシャフト23の実変位角が
算出される。
【0048】続いて、本実施例に係る内燃機関のバルブ
タイミング制御装置VCの制御系について図4に示す制
御ブロック図を参照して説明する。ECU70は中央処
理装置(CPU)71、所定の制御プログラム等を予め
記憶した読出し専用メモリ(ROM)72、CPU71
の演算結果を一時記憶するランダムアクセスメモリ(R
AM)73、予め記憶されたデータを保存するバックア
ップRAM74等と、これら各部と入力インターフェー
ス76及び出力インターフェース77等とを双方向バス
75によって接続した論理演算回路として構成されてい
る。
【0049】入力インターフェース76には、前記スロ
ットルセンサ45、吸気圧力センサ46、エンジン回転
数センサ41、気筒判別センサ42、水温センサ43、
酸素センサ47がそれぞれ接続されている。一方、出力
インターフェース77には、インジェクタ17、イグナ
イタ19及びOCV80がそれぞれ接続されている。
【0050】そして、CPU71は入力インターフェー
ス76を介して入力される全閉スイッチ14a、吸気圧
力センサ46、各センサ14,30〜34及びスタータ
スイッチ39等からの信号を入力値として読み込む。こ
の入力値の読み込みに際して、入力インターフェース7
6では、スロットルセンサ45、吸気圧力センサ46、
水温センサ43及び酸素センサ3からの入力値がアナロ
グ・デジタル変換処理されるようになっている。又、入
力インターフェース76では、エンジン回転数センサ4
1、気筒判別センサ42及び車速センサ34等からの入
力値が波形成形処理されるようになっている。そして、
CPU71は吸気圧力センサ46、各センサ30〜34
から読み込んだ入力値に基づきインジェクタ17及びイ
グナイタ19等を好適に制御する。
【0051】又、CPU71は吸気圧力センサ46、各
センサ40〜47等から入力インターフェース76を介
して入力値として読み込んだ信号のうち、スロットル開
度TA、エンジン回転数NE及び吸気圧力PW等を出力
インターフェース77を介してデータ信号としてOCV
80へ出力する。
【0052】次に上記のように構成された内燃機関のバ
ルブタイミング制御装置VCの作用について説明する。
図5(a)はECU70により実行される「メインルー
チン」のフローチャートであり、8ms毎の定時割り込
みで実行される。
【0053】まず、このルーチンではステップ101に
おいてはスロットルセンサ45、エンジン回転数センサ
41及び吸気圧力センサ46の検出等によるスロットル
開度TA、エンジン回転数NE及び吸気圧力PWをそれ
ぞれ読み込む。次のステップ102においては今回のル
ーチンで読み込んだスロットル開度TAi から前回ルー
チンで読み込んだスロットル開度TAi-1 を減算してス
ロットル開度変化量ΔTAとする。そして、ステップ1
03においては前記スロットル開度差ΔTAが予め設定
された減速判定値X(Xは「0」又は「マイナス」の値
である)よりも小さいか否かを判別する。ここで、スロ
ットル開度差ΔTAが減速判定値Xよりも小さければ減
速時であると判定してステップ104に移行し、ステッ
プ104では減速判定カウントΔTACのカウントアッ
プは行わない。一方、前記スロットル開度変化量ΔTA
が減速判定値Xよりも小さくなければ減速時でないと判
定してステップ105に移行し、ステップ105では減
速判定カウント値ΔTACのカウントアップを行う。
【0054】次に「VVT制御ルーチン」の作用を図5
(b)のフローチャートに従って説明する。ステップ1
06においては前記メインルーチンにて読み込んだエン
ジン回転数NE及び吸気圧力PMより図10のマップか
ら目標変位角VTTBを算出する。ステップ107にお
いては前記メインルーチンにおいてカウントされた減速
判定カウント値ΔTACと、予め設定された減速判定後
の進角制限を実行する所定時間Yとを比較する。ここ
で、減速判定カウント値ΔTACが所定時間Yよりも小
さい場合にはステップ108に移行する。ステップ10
8では前回のルーチンにおいてOCV80を駆動制御す
る際に使用された前回制御用目標変位角VTTi- 1 と、
前記ステップ106において算出された目標変位角VT
TBとを比較する。ここで、前回制御用目標変位角VT
i-1 が目標変位角VTTBよりも小さい場合にはステ
ップ109に移行する。ステップ109では今回のルー
チンにおいてOCV80を駆動制御する際に使用する制
御用目標変位角VTTi を、前ルーチンで使用した前回
制御用目標変位角VTTi-1 に設定する。
【0055】一方、前記ステップ107において減速判
定カウント値ΔTACが、所定時間Yよりも小さくない
場合にはステップ110に移行する。また、前記ステッ
プ108において前回目標変位角VTTi-1 が目標変位
角VTTBよりも小さくない場合にはステップ110に
移行する。ステップ110においては今回のルーチンに
おいて使用する制御用目標変位角VTTi を、ステップ
106において算出した目標変位角VTTBに設定し、
ステップ111に移行する。
【0056】ステップ111においてはOCV80の駆
動デューティDVTを次の計算式より算出する。 DVT=(VTTi −VT)*KP+GDVTH ・・・ VTTi :今回の制御用目標変位角 VT:クランク角度に対するカム角度の実際の変位角 KP:比例ゲイン GDVTH:保持デューティ そして、次のステップ112においては算出した駆動デ
ューティDVTでOCV80を駆動制御し、その後の処
理を一旦終了する。
【0057】上記のようにして、バルブタイミングを変
更させるためのバルブタイミング制御が実行される。こ
のように本実施例では、減速時において、前回のバルブ
タイミング制御時に使用された前回制御用目標変位角V
TTi-1 よりも、今回の運転状態に基づいてマップより
算出される目標変位角VTTBが大きい場合には、前回
制御用目標変位角VTTi-1 が今回使用される制御用目
標変位角VTTi として設定される。一方、前回のバル
ブタイミング制御時に使用された前回制御用目標変位角
VTT i-1 よりも、今回のルーチンで算出された目標変
位角VTTBが小さい場合には、目標変位角VTTBが
今回使用される制御用目標変位角VTTi として設定さ
れる。すなわち、減速時には進角更新量の小さい側の目
標変位角VTTB又はVTTi-1 が適宜選択設定され
る。そして、その選択された側の目標変位角VTTB又
はVTTi-1 に基づき、減速開始から所定時間(Y秒
間)だけ進角更新量に制限が加えられてVVT50が駆
動制御される。
【0058】その結果、高負荷域から低負荷域に減速さ
れた際における目標変位角VTTBと制御用目標変位角
VTTの変化状態は図6(c)に示すようになる。高負
荷域から低負荷域に減速される際の目標変位角VTTB
は、同図の実線で示すように、上記従来技術でも述べた
ように中負荷域付近で一旦最進角位置となった後、遅角
側に変化する。
【0059】これに対し、本実施例では同図の点線で示
すように、制御用目標変位角VTTの変化状態は、減速
開始から前回制御用目標変位角VTTi-1 を継続して所
定時間(Y秒間)経過するまで使用する。すなわち、本
実施例では減速時にはバルブオーバーラップ量の増加量
の所定値を「0」とする。そして、Y秒間経過後、制御
用目標変位角VTTを目標変位角VTTBに設定する。
その結果、減速時における実変位角VT(同図の一点鎖
線にて図示)の過進角が防止され、バルブタイミングの
過進角に起因する低負荷域での失火や燃焼不良、及びド
ライバビリティの悪化を防止できる。
【0060】さらに、本実施例では制限進角値を固定す
る従来技術とは異なり、制御用目標変位角VTTを前回
使用した制御用目標変位角VTTi-1 で設定するように
した。その結果、減速前の実変位角VTが最大進角側付
近(例えば、30°CA)にあっても、バルブタイミン
グが強制的に遅角側に変更して発生するショック及び実
変位角VTが大きく変更して発生するショックを防止で
き、よりドライバビリティを向上することができる。
【0061】さらに、本実施例では低負荷域内での減速
時及び低負荷域からの加速時にはマップより算出される
目標変位角VTTBを制御用目標変位角VTTとするこ
とから、エミッション・燃費は良好に保持できる。
【0062】(第2実施例)次に本発明を具体化した第
2実施例について説明する。なお、本実施例では機械的
・電気的構成等においては上記第1実施例と同等である
ことから、同一の符号を付してその説明を省略するとと
もに、特に第1実施例との相違点を中心として説明す
る。
【0063】本実施例では、ECU70による制御内容
が上記第1実施例とは異なっている。次に、本実施例に
係る内燃機関のバルブタイミング制御装置VCにおける
VVT制御プログラムについて説明する。図7(a)は
ECU70により実行される「メインルーチン」を示す
フローチャートである。まず、ステップ201において
はスロットルセンサ45、エンジン回転数センサ41及
び吸気圧力センサ46の検出等によるスロットル開度T
A、エンジン回転数NE及び吸気圧力PW等をそれぞれ
読み込む。次のステップ202においては今回のルーチ
ンで読み込んだ吸気圧力PMi から前回ルーチンで読み
込んだ吸気圧力PMi-1 を減算して吸気圧力変化量ΔP
Mを求める。
【0064】次に「VVT制御ルーチン」の作用を図7
(b)のフローチャートに従って説明する。ステップ2
03においては前記メインルーチンにて読み込んだエン
ジン回転数NE及び吸気圧力PM等より図10のマップ
から目標変位角VTTBを算出する。ステップ204に
おいては前回制御用目標変位角VTTi-1 と目標変位角
VTTBとを比較し、前回制御用目標変位角VTTi-1
が目標変位角VTTB未満の場合にはステップ205に
移行する。ステップ205においては目標変位角更新量
ΔVTTを算出する。この目標変位角更新量ΔVTTの
算出は予めROM72に記憶された図9に示すマップを
参照して行われる。このマップには吸気圧力変化量ΔP
Mに対する目標変位角更新量ΔVTTが設定されてい
る。目標変位角更新量ΔVTTは吸気圧力変化量ΔPM
が大きいほど、すなわち減速度合いが大きいほどその値
が小さくなるように設定されている。
【0065】ステップ206においては前記目標変位角
更新量ΔVTTと、前記ステップ203において算出さ
れた目標変位角VTTBから前回制御用目標変位角VT
i- 1 を減算した値(実変位角更新量)とを比較する。
ここで、目標変位角更新量ΔVTTが実変位角更新量未
満の場合にはステップ207に移行する。ステップ20
7においては前回制御用目標変位角VTTi-1 に前記ス
テップ205で算出した目標変位角更新量ΔVTTを加
算した値を今回ルーチンで使用する制御用目標変位角V
TTi に設定し、ステップ208に移行する。
【0066】一方、前記ステップ204において前回制
御用目標変位角VTTi-1 が目標変位角VTTBよりも
小さくない場合にはステップ209に移行する。また、
前記ステップ206において目標変位角更新量ΔVTT
が実変位角更新量よりも小さくない場合にはステップ2
09に移行する。ステップ209においては目標変位角
VTTBを今回ルーチンで使用する制御用目標変位角V
TTi に設定し、ステップ208に移行する。ステップ
208、210においてはOCV80の駆動デューティ
DVTを算出し、その駆動デューティDVTでOCV8
0を駆動制御してその後の処理を一旦終了する。
【0067】上記のようにして、バルブタイミングを変
更させるためのバルブタイミング制御が実行される。こ
のように本実施例では、減速時において、前回のバルブ
タイミング制御時に使用された前回目標変位角VTT
i-1 よりも、運転状態に基づいてマップより算出される
目標変位角VTTBが大きい場合には、前回目標変位角
VTTi-1 にその時の吸気圧力PMの変化量ΔPM(減
速度合い)に対する目標変位角更新量ΔVTTを加算し
た変位角が今回使用される制御用目標変位角VTTi
して設定される。
【0068】その結果、上記第1実施例と同様の効果を
得ることができる。また、本実施例では、減速時にはバ
ルブオーバーラップ量の増加量の所定値を、減速度合い
が大きいほど小さく設定していることから、図8
(e),(f)に示すように、高負荷域から低負荷域、
或いは高負荷域から中負荷域への減速時において、バル
ブタイミングの変更を減速後半徐々に目標変位角VTT
に近づけることができる。これにより、減速時のオーバ
ーラップ量を制限する制御からバルブオーバーラップ量
を制限しない通常制御時へのショックを防止することが
できる。
【0069】なお、本発明は次のように構成することも
できる。 (1)上記各実施例では吸気バルブ21の開閉タイミン
グを連続的に変更するための油圧を駆動源として駆動さ
れるVVT50を使用したが、ステップモータ等のアク
チュエータを駆動源として駆動されるVVTを使用して
もよい。
【0070】(2)上記実施例では、目標変位角VTT
Bを算出するために吸気圧力PMの検出値を使用した
が、吸気圧力PMに代えて吸入吸気量の検出値を使用し
て目標変位角VTTBを算出するようにしてもよい。
【0071】(3)上記各実施例では、吸気側のカムシ
ャフト23に設けられたVVT50により吸気バルブ2
1の開閉タイミングのみを変更し、バルブオーバーラッ
プを調整するようにした。これに対し、排気側のカムシ
ャフト33にVVTを設け、そのVVTにより排気バル
ブ31の開閉タイミングのみを変更してバルブオーバー
ラップを調整するようにしてもよい。或いは、吸気側及
び排気側の両カムシャフト23,33にVVTをそれぞ
れ設け、それら各VVTにより吸気バルブ21、排気バ
ルブ31の開閉タイミングをそれぞれ変更することでバ
ルブオーバーラップを調整するようにしてもよい。
【0072】(4)上記各実施例では、ガソリンエンジ
ンのバルブタイミング制御装置で具体化したが、ディー
ゼルエンジンのバルブタイミング制御装置で具体化して
もよい。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
内燃機関のバルブタイミング制御装置によれば、減速時
にバルブタイミングを変更する際、バルブオーバーラッ
プ量の増加量が所定値以下となるように目標変位角を変
更するようにした。その結果、可変バルブタイミング機
構の作動遅れによる過進角を防止することができ、バル
ブタイミング変更時のショックを防止することできる。
また、減速前の実変位角が最大変位角付近にあっても、
バルブタイミングが強制的に遅角側に変更されることも
ないので、バルブタイミング変更時のショックを防止す
ることできる。これにより、ドライバビリティ及び燃費
等を良好に維持することができるという優れた効果を奏
する。
【0074】また、請求項2に記載の内燃機関のバルブ
タイミング制御装置によれば、請求項1に記載の発明の
効果に加え、内燃機関の減速度が大きいほど、バルブオ
ーバーラップ量の増加量が小さくなるように目標変位角
が変更されることから、バルブタイミングを徐々に目標
の変位角に近づけることができ、さらにバルブタイミン
グ変更時のショックを防止することできるという優れた
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な概念構成を説明する概念構成
図である。
【図2】第1実施例におけるエンジンシステム等の概略
構成図である。
【図3】第1実施例における可変バルブタイミング機構
システムの概略構成図である。
【図4】第1実施例のECU等の電気的構成を示すブロ
ック図である。
【図5】(a)はECUにより実行される「メインルー
チン」を示すフローチャートであり、(b)はECUに
より実行される「VVT制御ルーチン」を示すフローチ
ャートである。
【図6】(a)はスロットル開度の変化を示すグラフ。
(b)は吸気圧力の変化を示すグラフ。(c)は高負荷
域から低負荷域に減速した際の目標変位角、制御用目標
変位角及び実変位角の変化を示すグラフ。
【図7】(a)は第2実施例におけるECUにより実行
される「メインルーチン」を示すフローチャートであ
り、(b)はECUにより実行される「VVT制御ルー
チン」を示すフローチャートである。
【図8】(a)はスロットル開度の変化を示すグラフ。
(b)は吸気圧力の変化を示すグラフ。(c)は吸気圧
力変化量の変化を示すグラフ。(d)は制御用目標変位
角変化量の変化を示すグラフ。(e)は高負荷域から低
負荷域に減速した際の目標変位角、制御用目標変位角及
び実変位角の変化を示すグラフ。(f)は高負荷域から
中負荷域に減速した際の目標変位角、制御用目標変位角
及び実変位角の変化を示すグラフ。
【図9】吸気圧力変化量に対する制御用目標変位更新量
の関係を示すマップ。
【図10】エンジン回転数及び吸気圧力に対する目標変
位角の関係を示すマップ。
【図11】(a)はスロットル開度の変化を示すグラ
フ。(b)は吸気圧力の変化を示すグラフ。(c)は従
来技術における高負荷域から低負荷域に減速した際の目
標変位角、実変位角の変化を示すグラフ。(d)は進角
値に制限値を加えて実変位角を制御する高負荷域から低
負荷域に減速した際の目標変位角、実変位角の変化を示
すグラフ。(e)は減速前の実変位角が制限進角値より
も進角側に有る場合における目標変位角、実変位角の変
化を示すグラフ。
【符号の説明】
10…内燃機関としてのエンジン、15…燃焼室、20
…吸気通路、21…吸気バルブ、22…吸気ポート、2
6…スロットルバルブ、30…排気通路、31…排気バ
ルブ、40…クランク角センサ、41…エンジン回転数
センサ、44…カム角センサ、45…スロットルセン
サ、46…吸気圧力センサ、(44〜46の各センサは
運転状態検出手段を構成している。又、カム角センサ4
7等はバルブタイミング検出手段を構成している。)、
50…可変バルブタイミング機構、70…目標変位角算
出手段、駆動制御手段、目標変位角変更手段、設定手段
を構成するECU、VC…内燃機関のバルブタイミング
制御装置。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に搭載される内燃機関の回転に同期
    して所定のタイミングで駆動され、燃焼室に通じる吸気
    通路及び排気通路をそれぞれ開閉する吸気バルブ及び排
    気バルブと、 前記吸気バルブ及び前記排気バルブの少なくとも一方の
    開閉タイミングを連続的に可変にするために駆動される
    可変バルブタイミング機構と、 その可変バルブタイミング機構が配設された側における
    バルブの実変位角を検出するためのバルブタイミング検
    出手段と、 前記内燃機関の運転状態を検出するための運転状態検出
    手段と、 前記運転状態検出手段により内燃機関の状態が高負荷域
    或いは低負荷域にあると検出された場合には、バルブオ
    ーバーラップ量が小となるように、また、内燃機関の状
    態が中負荷域にあると検出された場合には、バルブオー
    バーラップ量が大となるように目標変位角を算出する目
    標変位角算出手段と、 前記バルブタイミング検出手段により検出された実変位
    角と、前記目標変位角算出手段により算出された目標変
    位角とに基づき、バルブオーバーラップ量を変更すべく
    前記可変バルブタイミング機構を駆動制御するための駆
    動制御手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング制御
    装置であって、 前記内燃機関の減速時には、バルブオーバーラップ量の
    増加量が所定値以下となるよう前記目標変位角を変更す
    る目標変位角変更手段とを備えたことを特徴とする内燃
    機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 【請求項2】 前記目標変位角変更手段は、内燃機関の
    減速度合いが大きいほど、前記所定値を小さく設定する
    設定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の内
    燃機関のバルブタイミング制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009114931A (ja) * 2007-11-06 2009-05-28 Toyota Motor Corp 内燃機関の制御装置
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