JPH08246194A - ワークの電着塗装方法およびその装置 - Google Patents

ワークの電着塗装方法およびその装置

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JPH08246194A
JPH08246194A JP4694595A JP4694595A JPH08246194A JP H08246194 A JPH08246194 A JP H08246194A JP 4694595 A JP4694595 A JP 4694595A JP 4694595 A JP4694595 A JP 4694595A JP H08246194 A JPH08246194 A JP H08246194A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 形状や大きさ等の異なる多種,多様なワーク
を同時に電着塗装する場合において、ワークの種類に関
わらず塗装被膜の厚みを均一にすることができる電着塗
装方法および装置を提供する。 【構成】 常時一定電圧の電源を供給する電源部2a,
2bと、電着液が充填された電着槽7内に配設され前記
電源部の一方の極に導通する電極1a,1bと、複数の
ワークW1 ,W2 を均等間隔に配列して前記電極に沿っ
て搬送する搬送手段と、前記ワークの各々に接続され前
記電源部の他方の極に導通する導通手段と、前記導通手
段に設けられ、前記電源部,前記電極,前記電着液,前
記ワークおよび前記導通手段で構成される回路を流れる
電流量を調整するための抵抗器12,13と、この抵抗
器の抵抗値をワークの種類に応じて切換可能にする切換
手段14とから構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電着液の中に浸した
ワークに電源の陰極側を接続し、電源の陽極側に接続し
た電極との間で電流を流して、前記ワークの表面に塗装
被膜を形成する電着塗装方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は電着塗装を行うための電着塗装装
置の従来例にかかり、その概略を示した横断面図であ
る。符号1″は、電着塗装装置を示している。電着液を
満たした電着槽7の上方にはワークを搬送する搬送装置
のレール3′が架設され、このレール3′のハンガ部6
にワークW1 ,W2 が吊り下げられて紙面に直交する方
向に搬送される。電着槽7内には、導線4cにより低圧
電源2aの陽極側に接続された電極板1a,1aが対向
して設けられている。また、この電極板1a,1aは、
電着槽7内におけるワークWの搬送経路に沿って複数組
配置されていて、電着槽7内で同時に複数個のワークW
1 ,W2 の電着塗装が行えるようになっている。前記搬
送装置により搬送されるワークW1 ,W2 の各々は、レ
ール3′に接続された導線4aおよびハンガ部6に設け
られ導線4aとワークW1 ,W2 とを導通可能にする導
通手段を介して、低圧電源2aの陰極側に接続されてい
る。すなわち、電源2a、導線4a,4c、電極板1
a、ワークW1 (W2 )、ハンガ部6の導通手段および
レール3′とでワークW1 (W2 )を電着塗装するため
の閉回路が構成される。ワークW1 ,W2 は搬送装置に
よりレール3′に沿って搬送されてきて、入槽側より電
着槽7内に入槽して電着液に浸される。そして、ワーク
1 (W2 )と電極板1aとの間に流れる電流により電
着塗装が行われる。この電着塗装により、ワークW1
2 の表面には塗装被膜が形成される。
【0003】ところで、上述したような従来の電着塗装
方法および電着塗装装置1″においては、ワークW1
2 が定型的なもの、すなわち、ワークW1 ,W2 の大
きさや形状が一定のものである場合には、ワークW1
2 の表面に形成される塗装被膜は均一なものとするこ
とができる。しかし、電着槽7内で形状や大きさの異な
るワークW1 ,W2 を同時に電着塗装しようとすると、
塗装を行おうとするワークW1 ,W2 に流れる電流量が
異なるので、一定時間の電着塗装作業によりワーク
1 ,W2 のそれぞれに形成される塗装被膜の厚みが均
一でないという不具合が生じる。そこで従来は、多数あ
るワークW1 ,W2 ・・のうち、大きさや形状において
最も平均的なワーク(例えばワークW2 )を選び出し、
このワークW 2 の電着塗装に適した電源電圧と電着塗装
時間とを選定して、ワークW1 ,W2・・に流れる電流
量に大きなばらつきが生じないように調整していた。し
かしながら、上記の方法では、形状や大きさといったワ
ークの種類の相違による塗装被膜のばらつきをある程度
容認したものであり、従ってワークW1 ,W 2 ・・が多
種,多様になるほど塗装の品質を均一にすることが困難
になるという問題があるほか、あるワーク(例えばワー
クW1 )には必要以上に厚い塗装被膜が形成されてコス
ト的な無駄が生じるという問題もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上記の問題
点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、
形状や大きさ等の異なる多種,多様なワークを電着塗装
する場合において、前記ワークの種類に関わらずワーク
の表面に形成される塗装被膜の厚みを均一にすることが
でき、かつ、コスト的に無駄のない電着塗装方法および
その装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の電着塗装方法は、電着液内にワークを浸し、
電源部に接続された電極と前記ワークとの間に電流を流
すことにより電着塗装を行う電着塗装方法において、前
記電源部の電圧を一定に保持し、前記ワークまたは前記
電極と前記電源部との間に抵抗体を設けて前記ワークの
種類にかかわらず前記ワークと前記電極の間を流れる電
流値が一定になるように保持して、前記ワークの表面に
形成される塗装被膜の厚さが均一になるようにしたこと
を特徴とする。また、本発明の電着塗装装置は、電着液
内にワークを浸し、電源部に接続された電極とワークと
の間に電流を流して電着塗装を行う電着塗装装置におい
て、常時一定電圧の電源を供給する電源部と、電着液が
充填された電着槽内に配設され前記電源部の一方の極に
導通する電極と、前記ワークを前記電極に沿って搬送す
る搬送手段と、前記ワークに接続され前記電源部の他方
の極に導通する導通手段と、前記導通手段に設けられ、
前記電極と前記ワークとの間に流れる電流量を調整する
ための抵抗体と、この抵抗体の抵抗値を前記ワークの種
類に応じて切換可能にする切換手段とからなることを特
徴とする。さらに、前記抵抗体は、ワークの種類に応じ
た抵抗値の異なる複数の抵抗からなり、前記切換手段の
切換により前記抵抗の中から前記ワークの種類に応じた
特定の抵抗を選択するように構成してもよい。
【0006】
【作用】電源部からは、ワークの種類に関わらず常時一
定の電圧電源が供給されている。ワークまたは前記電極
と前記電源部との間には、ワークの種類に応じた抵抗値
を有する抵抗体が設けられているので、前記電極からワ
ークに流れる電流量を常に一定のものにすることができ
る。従って、ワークの種類が異なっても、ワークの表面
に形成される塗装被膜は均一なものになる。抵抗体は、
ワークと電源部の一極とを導通させるハンガ部等の導通
手段に介在させればよい。このようにすることにより、
搬送手段により複数種類のワークが搬送され、電着槽内
で複数種類のワークが同時に電着塗装される場合であっ
ても、当該ワークを含む回路内の抵抗値をワークの種類
に応じて変えることができるようになる。そして、切換
手段を設けたものは、ハンガ部に吊り下げられるワーク
の形状や大きさ等が切り換わっても、そのワークに対応
した抵抗値に抵抗体を切り換えることができ、ワークと
電極との間に流れる電流値を一定にすることができる。
【0007】
【実施例】本発明の一実施例を図面に従って説明する。
図1は本発明の一実施例を示すもので電着槽を側面から
見た概略説明図、図2ないし図4は図1の横断面図であ
る。符号1はこの実施例における電着塗装装置を示して
いる。電着液が充填された電着槽7内には、電極板1
a,1bが入槽側Aから出槽側Bまで均等間隔で配置さ
れている。電極板1aは、導線4aを介して低圧電源2
aの陽極側に、電極板1bは導線4bを介して高圧電源
2bの陽極側に接続されている。このように、入槽側A
を低電圧に、出槽側Bを高電圧にしたのは、高電圧によ
る塗料の凝集不良を削減しつつ高い膜厚を実現できるよ
うにするためである。
【0008】電着槽7の上方には、ワークW1 ,W2
ハンガ部11で吊り下げて搬送する搬送装置のレール3
が架設されている。このレール3は、入槽側Aのレール
3aと出槽側Bのレール3bとに分割されていて、低圧
電源2aおよび高圧電源2bの陰極側に接続された導線
4c,4dがそれぞれのレール3a,3bに接続されて
いる。レール3a,3bとワークW1 ,W2 とは導通手
段が設けられたハンガ部11を介して導通しているの
で、低圧電源2a,導線4a,電極板1a,ワーク
1 ,ハンガ部11,レール3aおよび導線4cにより
低圧側の回路が、高圧電源2b,導線4b,電極板1
b,ワークW2 ,ハンガ部11,レール3bおよび導線
4dで高圧側の回路が形成されている。なお、レール3
aとレール3bとの間には、ワークW1 ,W2 を吊り下
げたハンガ部11がレール3aからレール3bに乗り移
る際の短絡を防止するためのコンダクタ5が設けられて
いる。上記の態様により、ワークW1 ,W2 はレール3
aに沿ってハンガ部11に吊り下げられた状態で入槽側
Aから電着液に浸され、各電極板1a,1b間を搬送さ
れながら電着塗装が行われて出槽側Bから搬出される。
【0009】ハンガ部11には、図2に示すように、抵
抗値の異なる二種類の抵抗12,13が設けられてい
る。すなわち、レール3aまたはレール3bとは、この
抵抗12,13を介してワークW1 ,W2 と導通するよ
うになっているわけである。この実施例における抵抗体
はこの抵抗12,13で構成される。また、ハンガ部1
1には、抵抗12と抵抗13を切り換える切換手段とし
てのスイッチ14が設けられていて、このスイッチ14
を切り換えることによりワークW1 ,W2 の種類の変化
に応じて抵抗12,13を選択的に切り換えることがで
きるようになっている。このスイッチ14の切り換え
は、電着作業開始前、好ましくはワークWをハンガ部1
1に吊り下げたときに、作業者が手動操作で切り換える
ようにしてもよいが、ワークW1 ,W2 の生産等を管理
する自動生産管理システムからの指令信号により、自動
的に切り換えられるように構成することもできる。
【0010】なお、この実施例では二つの抵抗12,1
3をハンガ部11に設け、スイッチ14により切り換え
るものとして説明しているが、さらに多種,多様のワー
クに対応できるようにするには、この抵抗12,13の
種類を増やせばよい。また、図4に示すのは本発明の他
の実施例で、抵抗体として可変抵抗12′を採用し、切
換スイッチ14′により任意の抵抗値を選択できるよう
にしたものである。この電着塗装装置1′も上述の電着
塗装装置1と同様に、作業者の操作または自動制御によ
り、ワークW1 ,W2 の種類に応じた所定の抵抗値にな
るまで切換スイッチ14′を調節すればよい。このよう
な可変抵抗12′と切換スイッチ14′とを採用するこ
とにより、上記の実施例の場合よりも多種,多様のワー
クW1 ,W2 に対応することができるようになるという
特徴がある。
【0011】ワークW1 ,W2 の大きさや形状の相違に
より、どれだけの大きさの抵抗を選択すればよいかは、
図5に示すような測定装置により判断することができ
る。(イ)に示す測定装置は、電着槽7内におけるワー
クW1 ,W2 の電着塗装を簡易な装置により再現できる
ようにしたものである。電源部21は、低圧電源2aま
たは高圧電源2bと同程度の電圧を維持できるものであ
ればよい。この電源部21の陰極側に電着槽20内の電
極板20aを接続し、陽極側にはハンガ部25により吊
り下げられたワークW1 (W2 )を接続する。電着槽2
0内に充填する電着液の濃度は実際の電着塗装に使用す
る電着液と同じものでなければならない。そして、電源
部21,ワークW1 (W2 ),電極20a等で構成され
る回路内に、電圧計22と電流計23とを接続し、それ
ぞれプリンタ24を接続して測定結果をプリントアウト
することができるようにする。
【0012】ワークW1 ,W2 と電極板20aとの距離
1 ,L2 (L2 >L1 )は、実際のワークW1 ,W2
と電極1a,1bとの距離と同じにする。回路内に抵抗
を設けない状態において、両者にそれぞれ電流を流して
みて、流れる電流の大きさの違いをグラフにしたものが
(ロ)である。(ロ)に示すグラフのうち、(a)はワ
ークW2 のもの、(b)はワークW1 のものである。
(a)と(b)のグラフを比較すると、電極板20aと
ワークW1 ,W2 との距離L1 ,L2 が大きくなるほど
電流値が小さくなることがわかる。すなわち、同一条件
下では、電流値の大きいワークW1 に形成される塗装被
膜の方が厚くなる。従って、ワークW2 に形成される塗
装被膜に基準をおいてワークW1 の表面に同様の塗装被
膜を形成する場合には、ワークW1 を含む回路内に抵抗
を設けて、ワークW1 に対して流れる電流値をワークW
2 に流れる電流値に等しくなるようにしなければならな
い。そのため、前記抵抗の抵抗値をいろいろに変化させ
て電流計23の指示値を確認する。ワークW1 に流れる
電流のピーク値がワークW2 に流れる電流のピーク値に
等しくなったときの抵抗値が、当該ワークW1 ,W2
種類の相違に応じてハンガ部11の導通手段に設けるべ
き抵抗の大きさである。
【0013】次に上記構成の本発明の作用を説明する。
ワークW1 ,W2 はレール3に沿ってハンガ部11に吊
り下げられた状態で搬送されてくる。ワークW1 ,W2
が入槽側Aから電着槽7内に浸入し、ワーク(例えばワ
ークW1 )が電極板1a,1a間に位置すると、搬送装
置の駆動が停止してワークW1 ,W2 の搬送を停止させ
る。このとき、他の電極1b,1b間には、別のワーク
(例えばワークW2 )が位置している。この状態でワー
クW1 と電極板1aおよびワークW2 と電極板1bとの
間に所定時間電流を流し、電着塗装を行わせる。抵抗1
2または抵抗13の採用によりワークW1 と電極板1a
との間に流れる電流の大きさは、電極板1a間で電着塗
装が行われるワークW1 ,W2 の種類に関わらず常に一
定であるので、ワークW 1 の表面に形成される塗装被膜
は他のワークと同様に均一なものである。ハンガ部11
に吊り下げられるワークの種類が他のものに切り換わっ
たときには、作業者が手操作により、または自動制御に
より切換スイッチ14,14′を切り換えるようにすれ
ばよい。
【0014】本発明の好適な実施例を説明してきたが、
本発明は上記の実施例に限定されるものではない。例え
ば、抵抗体はハンガ部11の導通部に設けるものとして
説明したが、ワークW1 ,W2 に直接導通部を接続して
この導通部に抵抗12,13,12′等を備えるように
構成してもよい。
【0015】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、ワークの大きさや形状が異なっても、ワークの表面
に形成される塗装被膜を均一なものにすることができ
る。また、本発明は既存の設備に簡単な改良を施すだけ
で実施できるので、コストも低廉で経済的である。従っ
て、本発明によれば、ワークの種類に関わらず安定した
塗装品質の製品を得ることができるばかりでなく、電着
塗装におけるコストの無駄を省いてコストの低減を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例を示す概略説明図であ
る。
【図2】図1の電着槽の横断面図である。
【図3】図1の電着槽の横断面図で、切換スイッチを切
り換えた状態を説明するものである。
【図4】本発明の他の実施例を示す概略図である。
【図5】(イ)はワークの種類の相違による電流値の変
化を確認するための測定装置の概略説明図、(ロ)は
(イ)の測定装置によるワークごとの測定結果を示した
グラフである。
【図6】従来例の概略説明図である。
【符号の説明】
1,1′,1″ 電着塗装装置 1a,1b 電極板(電極) 2a 低圧電源 2b 高圧電源 3 レール 4a〜4d 導線 7 電着槽 6,11 ハンガ部 12,13 抵抗 12′ 可変抵抗 14,14′ 切換スイッチ(切換手段) W1 ,W2 ワーク A 入槽側 B 出槽側

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電着液内にワークを浸し、電源部に接続
    された電極と前記ワークとの間に電流を流すことにより
    電着塗装を行う電着塗装方法において、 前記電源部の電圧を一定に保持し、前記ワークまたは前
    記電極と前記電源部との間に抵抗体を設けて前記ワーク
    の種類にかかわらず前記ワークと前記電極の間を流れる
    電流値が一定になるように保持して、前記ワークの表面
    に形成される塗装被膜の厚さが均一になるようにしたこ
    とを特徴とする電着塗装方法。
  2. 【請求項2】 電着液内にワークを浸し、電源部に接続
    された電極とワークとの間に電流を流して電着塗装を行
    う電着塗装装置において、 常時一定電圧の電源を供給する電源部と、 電着液が充填された電着槽内に配設され前記電源部の一
    方の極に導通する電極と、 前記ワークを前記電極に沿って搬送する搬送手段と、 前記ワークに接続され前記電源部の他方の極に導通する
    導通手段と、 前記導通手段に設けられ、前記電極と前記ワークとの間
    に流れる電流量を調整するための抵抗体と、 この抵抗体の抵抗値を前記ワークの種類に応じて切換可
    能にする切換手段と、 からなることを特徴とする電着塗装装置。
  3. 【請求項3】 前記抵抗体は、ワークの種類に応じた抵
    抗値の異なる複数の抵抗からなり、前記切換手段の切換
    により前記抵抗の中から前記ワークの種類に応じた特定
    の抵抗を選択するようにしたことを特徴とする請求項2
    に記載の電着塗装装置。
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