JPH08246010A - 金属粉末の製造方法 - Google Patents

金属粉末の製造方法

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JPH08246010A
JPH08246010A JP7051201A JP5120195A JPH08246010A JP H08246010 A JPH08246010 A JP H08246010A JP 7051201 A JP7051201 A JP 7051201A JP 5120195 A JP5120195 A JP 5120195A JP H08246010 A JPH08246010 A JP H08246010A
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plasma
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Senichi Igarashi
仙一 五十嵐
Akito Yoshii
明人 吉井
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NAMITSUKUSU KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 遷移金属またはそれを主成分とする合金から
なる粉末、線材または箔を、熱プラズマフレームと接触
させて該金属を蒸発させ、凝縮させることを特徴とする
高結晶性遷移金属粉末の製造方法;およびそのようにし
て得られた高結晶性金属粉末から内部電極層を形成し、
誘電体層とともに焼成することを特徴とする積層セラミ
ックコンデンサの製造方法。 【効果】 酸性物質を副生することなく、高結晶性遷移
金属粉末が得られる。得られた高結晶性遷移金属粉末
は、昇温の過程で酸化・還元による膨張・収縮が少な
い。これを内部電極として用いた積層セラミックコンデ
ンサは、焼成の際に構造欠陥を生じない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高結晶性遷移金属粉末
の製造方法に関し、さらに詳しくは、積層セラミックコ
ンデンサの内部電極の形成に用いられるのに適した高結
晶性遷移金属粉末の製造方法に関する。また、本発明
は、そのようにして得られる高結晶性遷移金属粉末を用
いて内部電極を形成する積層セラミックコンデンサの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】積層セラミックコンデンサは、通常、パ
ラジウム粉末のような遷移金属粉末を含むペーストを内
部電極層とし、これとグリーンシートと呼ばれる誘電体
層とを交互に積層し、焼成することによって形成され
る。内部電極に使用できる遷移金属粉末は、大きくても
1μm 程度である。現在、積層セラミックコンデンサは
小型化が進んでおり、小さい体積で大きな電気容量を得
るために、内部電極層および誘電体層が薄層化、高積層
化する傾向にある。
【0003】積層セラミックコンデンサの製造工程で一
番の難点は、積層された内部電極層と誘電体層を同時に
焼成することによって生ずる、構造欠陥の発生である。
【0004】一般に、パラジウム粉末を焼成すると、4
00〜500℃付近で酸化して酸化パラジウムを形成す
る反応が起こる。それに伴って内部電極層が膨張し、体
積は700〜800℃で最大となる。さらに昇温を続け
ると、酸化パラジウムが還元されてパラジウムとなるの
で、それに伴って内部電極層は収縮する。一方、誘電体
層のグリーンシートはこのような酸化・還元による体積
変化を起こさず、1,200℃付近において、誘電体粉
末の焼結による体積減少を生ずるのみである。
【0005】このように、昇温によって内部電極層と誘
電体層が異なる体積変化挙動を示すために、それに伴う
応力により、デラミネーションやクラックなどの構造欠
陥が発生する。このことは、前記の薄層化および高積層
化とともに著しくなってきている。このような酸化によ
る体積膨張は、パラジウム粉末の他に、内部電極として
使用される銀−パラジウム合金、銀、ニッケル、銅など
の遷移金属粉末においても同様に生ずる。
【0006】それゆえ、積層セラミックコンデンサの内
部電極を形成するのに使用される金属粉末は、焼成によ
って生ずる構造欠陥を防止するために、酸化による膨張
が少ないものが要求されている。このことは、電材研技
報11巻2号27〜33頁(1993)などに報告され
ている。
【0007】金属粉末の製造方法は、一般に液相法と気
相法に分別される。液相法としては、主に化学還元法が
用いられ、気相法にはCVD法および噴霧熱分解法があ
る。しかし、化学還元法のような液相法で製造した金属
粉末は結晶性が低いことが、X線回折によって確認され
ている。
【0008】一方、CVD法や噴霧熱分解法では、いず
れも原料として金属の塩化物や硝酸塩を使用するため、
反応の副生成物として、塩化水素、硝酸などの強酸性ガ
スが発生し、その排液処理や排ガス処理が不可欠である
という欠点がある。
【0009】したがって、液相法で得られる低結晶性遷
移金属粉末の焼成による酸化を防止するために、その結
晶性を上げて、金属相における酸素の透過を抑制するこ
とが提案されている。
【0010】たとえば特開平6−124847号公報に
は、金属塩、特に硝酸パラジウムのような金属硝酸塩を
含む水溶液を噴霧して生じた液滴を、該金属塩の分解温
度より高く、しかも金属の融点より高い温度に加熱し
て、実質的に単結晶の金属粉末とし、これを導電体とし
て用いる積層セラミックコンデンサが開示されている。
このことによって、焼成によるクラックやデラミネーシ
ョンを生ずることなく積層セラミックコンデンサが得ら
れるが、金属硝酸塩水溶液の噴霧熱分解工程において、
多量の硝酸のような酸が生成するので、その処理設備が
必要であるほか、噴霧熱分解装置を耐食性にする必要か
ら、その材質や構造に制約を生じている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、排液
処理や排ガス処理を必要とするような酸性物質を反応の
副生成物として生ずることのない、微細な高結晶性遷移
金属粉末の製造方法を提供することである。本発明の他
の目的は、焼成のための昇温の過程で酸化・還元による
膨張・収縮が少なく、積層セラミックコンデンサのよう
なセラミック電子部品の内部電極に用いるのに適した、
高結晶性遷移金属粉末が有利に得られる、該遷移金属粉
末の製造方法を提供することである。さらに、本発明の
もうひとつの目的は、そのようにして得られた高結晶性
遷移金属粉末から内部電極を形成する積層セラミックコ
ンデンサの製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、原料の遷移
金属を熱プラズマと接触させて蒸発、再凝縮させること
により、二次粒子体が溶融して巨大粒子化することな
く、かつ、酸性物質の副生なしに、積層セラミックコン
デンサの内部電極に用いるのに適した、高結晶性の微細
な遷移金属粉末が得られることを見出して、本発明を完
成するに至った。
【0013】すなわち、本発明の高結晶性遷移金属粉末
の製造方法は、遷移金属またはそれを主成分とする合金
からなる粉末、線材または箔を、熱プラズマフレームと
接触させて該金属を蒸発させ、凝縮させることを特徴と
する。また、本発明の積層セラミックコンデンサの製造
方法は、このようにして得られた高結晶性金属粉末から
内部電極層を形成し、誘電体層とともに焼成することを
特徴とする。
【0014】本発明において、遷移金属としては、一般
に主遷移元素といわれる金属、すなわち周期律表におい
21Sc〜29Cu、39Y〜47Agおよび72Hf〜79Pt
の範囲に位置する3A族、4A族、5A族、6A族、7
A族および8族に属する金属;ならびに希土類などの内
遷移元素が挙げられ、単一のものでも、これらを主成分
とする合金でもよい。
【0015】特に、積層セラミックコンデンサの内部電
極として用いられるなど、高温にさらされた際の酸化・
還元による体積変化を小さく保つ必要から、高い結晶性
が求められる遷移金属、すなわちパラジウム、銀、ニッ
ケルおよび銅;ならびに銀−パラジウム合金のようなそ
れら相互からなる合金の粉末の製造に、本発明の製造方
法を適用することが好ましい。
【0016】本発明によって製造される高結晶性遷移金
属粉末の原料としては、前述のような遷移金属の粉末、
線材または箔が用いられる。それらは、目的物の組成に
応じて、単一のものでも合金でもよく、また、目的物の
合金組成に応じて、2種以上の遷移金属粉末を混合して
用いてもよい。
【0017】遷移金属粉末としては、結晶性の低い通常
のものが用いられる。たとえば、金属塩化物や金属水酸
化物の水素還元法、同様に水素還元で得られた海綿状金
属の粉砕、金属錯体の熱分解法、および金属キレート錯
体溶液からの化学還元法による析出などによって得られ
る金属粉末が用いられる。製造法は特に限定されない
が、比較的安価に粉末が得られることから、化学還元法
によることが好ましい。
【0018】原料の遷移金属粉末の製造法の一例とし
て、化学還元法は、一般に、次のようにして行われる。
すなわち、水溶性金属塩、たとえば金属の塩化物、硝酸
塩などの水溶液に、キレート化剤を加えて金属キレート
錯体の溶液を形成させ、それに還元剤を加えて析出させ
て、金属粉末を得る。キレート化剤としては、該キレー
ト化剤によって得られる金属キレート錯体が、水または
該キレート化剤の水溶液への溶解性の大きいものから選
択され、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、
トリス(2−アミノエチル)アミンなどが例示される。
還元剤としては、ヒドラジン水和物、モノメチルヒドラ
ジン、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジンのようなヒドラ
ジン類;ボラン類、ホウ化水素エーテル錯体、水素化ホ
ウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素
カリウムのような水素化ホウ素類;次亜リン酸アンモニ
ウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウムのよ
うな次亜リン酸塩などが例示される。本発明の製造法に
は、一般に粒径0.05〜2μm のものが用いられる。
化学還元法により、錯体水溶液のpHや温度などを調節す
ることにより、上記の範囲の任意の粒径のものが得られ
る。
【0019】本発明に原料として用いられる遷移金属の
線材および箔は、いずれも溶融金属の引抜き、金属の延
伸、延展などの方法で得られる。一般に、線材は直径3
〜10mmのもの、箔は厚さ5〜10μm 、幅10〜10
0mmのものが用いられる。
【0020】本発明の高結晶性遷移金属粉末の製造方法
は、上記のような遷移金属の粉末、線材または箔(以
下、金属粉末等という)を、高温のプラズマで、好まし
くは高周波誘導プラズマ(以下、RFプラズマという)
または直流プラズマ(以下、DCプラズマという)のプ
ラズマフレームと接触させて、該金属粉末等の沸点以
上、たとえばパラジウムの場合2,200℃以上に加熱
して蒸発させる。
【0021】一般にRFプラズマは3,000〜10,
000℃の温度が得られ、たとえばアルゴンガス雰囲気
中のRFプラズマフレームは、尾炎部で5,000℃、
中心部で10,000℃の高温を得ることができる。プ
ラズマとしては、電極からの異種金属によって汚染され
ることがなく、プラズマフレームが大きく、長い滞留時
間がとれて金属粉末等の蒸発が効率的に進行することか
ら、RFプラズマを用いることが特に好ましい。なお、
雰囲気ガスの組成や供給量の増加によって、プラズマの
冷却、消滅が起こる場合があるが、これを解決する方法
として、DCプラズマとRFプラズマを組み合わせ、D
Cプラズマに種火の役目を負わせるハイブリットプラズ
マを熱源に使用することも効果的である。
【0022】金属粉末等は、原料供給装置から、プラズ
マフレームに直接供給される。供給量は少ない方が、金
属粉末等を完全に蒸発させるためには望ましい。また、
この方法を取ると、金属粉末等がいったん完全に蒸発し
た後に凝縮するので、原料である金属粉末等の大きさ
は、得られる高結晶性遷移金属粉末の粒径に無関係であ
り、特に原料の大きさを限定する必要がない。
【0023】雰囲気ガスはアルゴンを使用することが好
ましいが、プラズマ発生部の出力が高く、プラズマフレ
ームを大きくできる場合には、一部に酸素、窒素などの
二原子分子を併用してもよい。原料は、粉末の場合は、
キャリアガスとともに流動化して反応室に供給してもよ
い。キャリアガスとしては、通常、雰囲気ガスと同じも
の、たとえばアルゴンを用いる。また、線材や連続した
箔を、反応室内に連続的に挿入してもよい。この場合、
プラズマからの伝熱による昇温を防ぐために、たとえば
冷却されたアルゴンガスを線材に吹きつけたり、さらに
水冷ジャケットを備えたりして、挿入口を冷却する。
【0024】プラズマフレーム中で蒸発した遷移金属
は、プラズマ反応室内のプラズマフレームの外に揮散し
て、そこで再凝縮し、遷移金属粉末となる。得られた遷
移金属粉末は、たとえば、反応室から捕集筒に送られ、
フィルタを通すことによって捕集される。
【0025】このようにして得られた遷移金属粉末は、
プラズマフレーム周辺の凝固点付近の高温で形成されて
直ちに急冷され、1,000〜2,000℃の温度にさ
らされる時間が短いので、二次粒子の溶融によって粒子
が巨大化することがなく、それぞれ単独に存在し、真球
状の0.1〜1μm 程度の微粉末として得られる。粒径
は、キャリアガスの流量や金属粉末等の供給速度を変え
て、プラズマおよびその周辺部における金属の滞留時間
を制御することによって、制御することができる。すな
わち、キャリアガス流量が大きいほど、また金属粉末等
の供給速度が小さいほど、粒径の小さい金属粉末が得ら
れる。
【0026】得られた金属粉末の結晶性はきわめて高
く、純度も高い。前述のように、RFプラズマを用いる
とき、特に高純度のものが得られる。
【0027】このようにして得られた高結晶性遷移金属
粉末を用いて内部電極を形成し、積層セラミックコンデ
ンサを作製することができる。積層セラミックコンデン
サの構造、および他の部分は、特に限定されず、従来と
同様でよい。
【0028】たとえば、該高結晶性遷移金属粉末をビヒ
クルに分散させて、導電ペーストを調製する。ビヒクル
としては、たとえばメチルセルロース、エチルセルロー
ス、ニトロセルロースのようなセルロース誘導体を、テ
ルピネオールのような有機溶媒に溶解させたものを用い
る。一方、チタン酸バリウムのようなセラミック誘電体
の粉末を、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラー
ル、アクリル系樹脂のような樹脂と、トルエンのような
有機溶媒または水とからなるビヒクルに分散させ、シー
ト状に成形してグリーンシートを得る。このグリーンシ
ート表面の所望の箇所に、上記の導電ペーストを、スク
リーン印刷のような方法で印刷して、これを積層して熱
プレスにかけ、グリーンチップを得る。このようにして
得られたグリーンチップを、空気中で昇温し、たとえば
5〜10時間かけて1,100〜1,300℃まで昇温
することによって焼成し、ついで1次側および2次側の
外部電極を取付けて、積層セラミックコンデンサを得
る。
【0029】
【発明の効果】本発明によって、排液処理や排ガス処理
を必要とするような酸性物質を副生することなく、高結
晶性遷移金属粉末が得られる。本発明によって製造され
る高結晶性遷移金属粉末は、昇温の過程で酸化・還元に
よる膨張・収縮が少なく、積層セラミックコンデンサの
ようなセラミック電子部品の内部電極として有用であ
る。
【0030】さらに、前述のように、本発明によって得
られた遷移金属粉末は、各粒子が独立に分散して存在す
るので、基体に塗布するためのペーストを調製する際
に、分散性が優れ、三本ロールなどによって容易にペー
スト化できる。このことにより、積層セラミックコンデ
ンサの内部電極をさらに薄層化することが可能である。
【0031】そのほか、このような高い結晶性や分散性
を利用して、触媒などに用いられる。
【0032】本発明によって得られる積層セラミックコ
ンデンサは、多層化した際に、焼成の過程で上記の膨張
・収縮に基因する構造欠陥がなく、小さい体積で大容量
のものが得られる。
【0033】
【実施例】以下、実施例および比較例によって、本発明
を説明する。これらの例において、部はいずれも重量部
を表す。
【0034】比較例1 60℃に保たれた塩化パラジウム(II)水溶液に、エチ
レンジアミンを過剰に加えて、ビス(エチレンジアミ
ン)パラジウム(II)クロリドの溶液を得た。これに塩
酸を加えてpHを7とし、ついでヒドラジン水和物の85
重量%水溶液を添加して、パラジウム粉末を析出させ
た。得られたパラジウム粉末は、粒径約0.6μm の球
状粉末であった。
【0035】実施例1 プラズマ反応室の内部を減圧にし、アルゴン雰囲気に置
換後、圧力を500Torrに調節して、RFプラズマフレ
ームを発生させた。原料供給装置より、アルゴンをキャ
リアガスとして、比較例1で得られたパラジウム粉末
を、連続的に霧状にプラズマフレームに送入するよう
に、流速2g/min で反応室に供給した。プラズマフレー
ム中で蒸発したパラジウムはプラズマフレームの外で再
凝縮して、パラジウム粉末を形成した。生じたパラジウ
ム粉末をキャリアガスとともに捕集筒に送り、フィルタ
によって捕集した。得られたパラジウム粉末は、真球状
で、粒径が0.4〜0.8μm の微粉末であった。
【0036】実施例2 実施例1と同様のプラズマ反応室内において、実施例1
と同じ条件でプラズマフレームを発生させた。直径5mm
のパラジウム線材を、供給速度30mm/minで、挿入口を
冷却しつつ、挿入口より連続的に反応室に供給し、プラ
ズマフレームに送入してパラジウムを蒸発させ、実施例
1と同様に、再凝縮したパラジウム粉末を捕集した。得
られたパラジウム粉末は、真球状で、粒径は0.4〜
0.8μmであった。
【0037】比較例2 銀−パラジウムの金属元素換算重量比が70:30にな
るように、硝酸銀水溶液と硝酸パラジウム水溶液を混合
し、混合液を60℃に保った。これにエチレンジアミン
を加えてpHを7に調節し、ついでヒドラジン水和物の8
5重量%水溶液を添加して、銀−パラジウム比70:3
0の銀−パラジウム粉末を析出させた。得られた銀−パ
ラジウム粉末は、粒径0.2〜0.3μm の球状粉末で
あった。
【0038】実施例3 実施例1と同様のプラズマ反応室内において、実施例1
と同じ条件でプラズマフレームを発生させた。原料供給
装置より、アルゴンをキャリアガスとして、比較例2で
得られた銀−パラジウム粉末を、連続的に霧状にプラズ
マフレームに送入するように、流速2g/min で反応室に
供給した。実施例と同様に金属の蒸発と再凝縮が起こ
り、再凝縮して捕集された銀−パラジウム粉末は、真球
状で、粒径が0.3〜0.5μm の微粉末であった。
【0039】評価1:X線回折 比較例1および実施例1で得られた各パラジウム粉末を
X線回折にかけて、それらの結晶性を比較した。その結
果を図1に示す。比較例1で得られたパラジウム粉末が
ブロードな回折ピークを描いたのに対して、実施例1で
得られたパラジウム粉末は、シャープな回折ピークを描
き、より高い結晶性のものが得られていることを示す。
【0040】実施例2で得られたパラジウム粉末をX線
回折にかけたところ、実施例1で得られたパラジウム粉
末と同様な、シャープな回折ピークが得られた。
【0041】評価2:酸化・還元 比較例1、実施例1、比較例2および実施例3で得られ
た各パラジウム粉末を、示差熱天秤測定装置を用い、空
気中、昇温速度10℃/minで昇温しつつ、重量変化曲線
を求めた。得られた曲線を図2および図3に示す。いず
れの試料も、酸化パラジウムの生成による重量増加が5
00℃付近から認められ、800℃付近で重量は最大値
を示し、それ以上の昇温を続けると、生成した酸化パラ
ジウムが還元されて、重量は元に戻った。重量増加から
得られた酸化率が、比較例1の試料では立上りが大き
く、最大値が理論量の約15%であったのに対して、実
施例1の試料では立上りが緩やかで、最大値が2.2%
であった。また、比較例2の試料では最大値が理論量の
約4%であったのに対して、実施例3の試料では立上り
が高温側にシフトして、最大値が約0.5%であった。
【0042】実施例4 実施例1で得られた高結晶性パラジウム粉末を用いて、
積層セラミックコンデンサ50個を作製した。
【0043】すなわち、実施例1で得られた高結晶性パ
ラジウム粉末100部を、エチルセルロース10重量%
のテルピネオール溶液であるビヒクル100部に分散さ
せ、三本ロールに通して、内部電極用の導電ペーストを
調製した。一方、チタン酸バリウムを、ポリビニルブチ
ラールおよびトルエンと混合し、シート状に成形して、
グリーンシートを作製した。その表面の所定の箇所に、
スクリーン印刷によって上記の導電ペーストを印刷し、
乾燥させた後、12層を重ねて、常温、圧力500kg/c
m2の条件でプレスにかけ、積層グリーンチップを得た。
これを空気中において、昇温速度10℃/3min で1,3
00℃まで昇温し、その温度に2時間保つことによって
焼成を行った。室温まで放冷を行った後、銀製の外部電
極を取付けて、積層セラミックコンデンサを得た。この
ようにして作製した積層セラミックコンデンサを検査し
たところ、クラックやデラミネーションは認められなか
った。
【0044】実施例5、比較例3 同様に、実施例2で得られた高結晶性パラジウム粉末を
用い(実施例5)、または比較例1で得られたパラジウ
ム粉末を用いて(比較例3)、同じ構造、寸法の積層セ
ラミックコンデンサを作製した。得られた積層セラミッ
クコンデンサを検査したところ、実施例4で得られたも
のは、実施例3と同様、クラックやデラミネーションは
認められなかった。それに対して、比較例3で得られた
ものは、すべてクラックを生じていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例1および実施例1で得られたパラジウム
粉末のX線回折パターンである。
【図2】比較例1および実施例1で得られたパラジウム
粉末の重量変化曲線である。
【図3】比較例2および実施例3で得られた銀−パラジ
ウム合金粉末の重量変化曲線である。
【符号の説明】
A 比較例1で得られたパラジウム粉末 B 実施例1で得られたパラジウム粉末 C 比較例2で得られたパラジウム粉末 D 実施例3で得られたパラジウム粉末

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遷移金属またはそれを主成分とする合金
    からなる粉末、線材または箔を、熱プラズマフレームと
    接触させて該金属を蒸発させ、凝縮させることを特徴と
    する高結晶性遷移金属粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 遷移金属がパラジウム、銀、ニッケルも
    しくは銅、またはそれら相互の合金である請求項1記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の高結晶性金属粉
    末から内部電極層を形成し、誘電体層とともに焼成する
    ことを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方
    法。
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