JPH08244692A - パラシュート操縦訓練用シミュレータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 広い範囲に渡って降下映像が得られるパラシ
ュート操縦訓練用シミュレータを提供する。 【構成】 開傘後のパラシュート操縦訓練を行うための
パラシュート操縦訓練用シミュレータにおいて、架台２
１に降下訓練者２３を吊り下げる吊り下げ手段２４を設
けると共にその降下訓練者２３によるパラシュートの操
作量を検出するセンサを設け、降下訓練者２３の前面及
び下面を覆うようにパーシャルドーム型スクリーン２７
を配し、このパーシャルドーム型スクリーン２７に降下
映像を投影する投影手段２８を設け、センサからの検出
値に応じてパラシュートの運動を計算し降下映像および
降下時の音響や降下訓練者が装着する計器の表示をリア
ルタイムで制御する制御手段３６を設けたことを特徴と
している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、パラシュート操縦訓練
用シミュレータに関する。

【０００２】

【従来の技術】図７はパラシュート操縦訓練用シミュレ
ータの従来例を示す図である（特開平３−１２６４７６
号公報）。

【０００３】同図に示すシミュレータは、風洞装置１の
竪型風洞部１Ａの途中に、降下口２が設けられている。
訓練を受ける人員３は、竪型風洞部１Ａの頂部に設けた
吊り下げ装置４に安全索５及び模擬用のパラシュート６
の誘導索を装備した後、降下台７上から降下口２を経由
して竪型風洞部１Ａ内に降下するようになっている。竪
型風洞部１Ａの下面、すなわち降下した人員３の眼下に
は平面状のスクリーン８が設けられている。

【０００４】このようなシミュレータにおいて、パラシ
ュート開傘時はパラシュート６及び誘導索１０を介して
吊り下げ装置４に吊り下げられた人員３は目標地からの
ずれを誘導索１０を実際の降下時と同様に操作する。そ
して、その操作量に応じた降下の方向を、眼下のスクリ
ーン８上の景観を移動させることで模擬し、最終的に目
標地に降下するようにしている。尚、９は景観装置であ
り、１１はシミュレータ装置である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、人員３
の真下にしかスクリーン８がないため人員３にはごく限
られた範囲しか降下映像が表示されず、しかも人員３は
略垂直状態となるため降下映像が非常に見辛く、臨場感
に乏しい。

【０００６】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、広い範囲に渡って降下映像が得られるパラシュート
操縦訓練用シミュレータを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、開傘後のパラシュート操縦訓練を行うため
のパラシュート操縦訓練用シミュレータにおいて、架台
に降下訓練者を吊り下げる吊り下げ手段を設けると共に
その降下訓練者によるパラシュートの操作量を検出する
センサを設け、降下訓練者の前面及び下面を覆うように
パーシャルドーム型スクリーンを配し、このパーシャル
ドーム型スクリーンに降下映像を投影する投影手段を設
け、センサからの検出値に応じてパラシュートの運動を
計算し降下映像および降下時の音響や降下訓練者が装着
する計器の表示をリアルタイムで制御する制御手段を設
けたものである。

【０００８】上記構成に加え本発明は、パーシャルドー
ム型スクリーンの代わりに平面スクリーンの組み合わせ
による多面体型スクリーンからなっていてもよい。

【０００９】上記構成に加え本発明は、投影手段が降下
訓練者側に設けられてもよい。

【００１０】上記構成に加え本発明は、投影手段がパー
シャルドーム型スクリーンの裏側に設けられていてもよ
い。

【００１１】上記構成に加え本発明は、降下訓練者に風
を送る送風手段を設け、制御手段が降下状態に応じて送
風量を制御するようにしてもよい。

【００１２】

【作用】上記構成によれば、降下訓練者の前面及び下面
を覆うように配されたパーシャルドーム型スクリーンに
降下映像を投影するので、降下訓練者には広範囲に渡る
降下映像が与えられる。しかも降下訓練者によるパラシ
ュートの操作量に応じて降下映像が旋回や急降下等変化
するので臨場感が得られる。

【００１３】降下訓練者に風を送る送風手段を設け、降
下状態に応じて送風量が制御される場合には、訓練者に
広い視界が与えられると共に降下時に相当する風が吹き
付けられるので臨場感がさらに増加する。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づい
て詳述する。

【００１５】図１は本発明のパラシュート操縦訓練用シ
ミュレータの一実施例の外観斜視図であり、図２は図１
の平面図である。

【００１６】図１及び図２に示すように訓練室２０内に
は矢倉状の架台２１が配置されている。その架台２１の
上部は前方（図１では右側）に張出しており、その張出
部２２には降下訓練者（以下「訓練者」という。）２３
が吊り下げ手段としてのライザ２４で吊り下げられてい
る。張出部２２には操縦機構部２５が設けれており、操
縦機構部２５からパラシュート操作用の２本のコントロ
ールライン２６が訓練者２３の左右の手元に吊り下げら
れている。

【００１７】訓練者２３の前方には訓練室２０の天井か
ら床にかけて訓練者２３の前面及び下面を覆うようにパ
ーシャルドーム型のスクリーン２７が配置されている。
架台２１の張出部２２の上と架台２１の中央部にはこの
スクリーン２７に降下映像を投影する投影手段としての
プロジェクタ２８が複数台（図では３台ずつであるが限
定されない）が取付けられている。スクリーン２７には
上下６台のプロジェクタ２８からのマルチチャンネル映
像が投影され、連続的に広範囲な視界が得られるように
なっている。

【００１８】架台２１の中央部には訓練者２３がライザ
２４の装着時及び取外し時に使用するため前方に張出す
スライド式フロアが設けられている。

【００１９】訓練室２０には教官室２９０が隣接して設
けられており、教官室２９０内にはワークステーション
３０、映像モニタ３１、監視用モニタ３２及びプリンタ
３４等が設けられている。教官室２９０には計算機室３
５０が隣接して設けられており、計算機室３５０には制
御手段としてのホストコンピュータ３６、模擬音響発生
装置３７、模擬映像発生装置３８及び電源装置３９が設
けられている。

【００２０】図３は図１に示したパラシュート操縦訓練
用シミュレータのブロック図である。

【００２１】同図に示すようにシミュレータは、訓練部
４０、映像模擬部４１、音響模擬部４２、教官部２９及
び計算制御部３５で構成されている。

【００２２】訓練部４０は、コントロールライン２６に
接続されたセンサ（図示せず）からなる操縦機構部２５
と、訓練者２３を監視する監視カメラ４３と、訓練者２
３に教官（図示せず）からの指示を与えるためのスピー
カ４４と、訓練者２３に装着され訓練高度を表示する模
擬高度計４５と、訓練者２３に装着され訓練位置を表示
する模擬ＧＰＳ（Global Positioning System)４６とで
構成されている。

【００２３】映像模擬部４１は、降下映像を発生する模
擬映像発生装置３８と、降下映像を投影するプロジェク
タ２８と、降下映像を表示するスクリーン２７とで構成
されている。

【００２４】音響模擬部４２は、降下時に生じる音の信
号を発生する模擬音響発生装置３７と、降下時の音を発
生するスピーカ４７とで構成されている。

【００２５】教官部２９は、制御パネル４８と、ワーク
ステーション３０と、ワークステーション３０に接続さ
れ訓練データ（スタート位置から降下地点までの軌跡）
等を記録するプリンタ３４と、降下映像を表示する映像
モニタ３１と、監視カメラ４３からの映像を表示する監
視用モニタ３２と、監視用モニタ３２に接続された訓練
状況を記録するＶＴＲ４９と、訓練者２３への指示を与
えるためのマイクロホン５０とで構成されている。

【００２６】計算制御部３５は、各機器の動作を制御す
るホストコンピュータ３６と、操縦機構部２５、模擬高
度計４５及び模擬ＧＰＳ４６とホストコンピュータ３６
との間のデータの入出力を行う入出力制御装置５１とで
構成されている。

【００２７】次に実施例の作用を述べる。

【００２８】訓練者２３がライザ２４で吊り下げられ、
教官が制御パネル４８の訓練開始スイッチを押すと訓練
が開始される。訓練が開始すると、ホストコンピュータ
３６からの信号により模擬音響発生装置３７と模擬映像
発生装置３８とが駆動し、プロジェクタ２８からの降下
映像がスクリーン２７に投影されると共に、スピーカ４
７から降下音が発生する。スクリーン２７には上下左右
に渡るマルチチャンネルの降下映像が投影されるので、
訓練者２３には前面から下面にかけて広範囲に渡る降下
映像が見られる。しかもスクリーン２７がドーム状のた
めチャンネル間の違和感が少ない。

【００２９】訓練者２３が左右各々のコントロールライ
ン２６を操作すると、その操作量を左右各々のセンサが
検出し、入出力制御装置５１でこれを受けてホストコン
ピュータ３６に入力する。ホストコンピュータ３６はセ
ンサからの信号を受けると、操作量に応じて模擬映像発
生装置３８と、模擬音響発生装置３７とを制御し、旋回
や急降下等の降下映像がスクリーン２７に投影され、旋
回や急降下時等の音がスピーカ４７から発生するので、
パラシュート降下時の臨場感が増加する。

【００３０】以上において本実施例によれば、降下訓練
者の前面及び下面を覆うように配されたパーシャルドー
ム型スクリーン２７に降下映像を投影するので、訓練者
２３が広範囲に渡って降下映像が見られる。しかも訓練
者２３によるパラシュートの操作量に応じて降下映像が
変化するので臨場感が得られる。

【００３１】図４は本発明のパラシュート操縦訓練用シ
ミュレータの他の実施例の側面図である。

【００３２】図１に示した実施例との相違点は、訓練者
に下からの風を送風する送風機を架台に取付けた点であ
る。

【００３３】同図において、架台２１の中央部に略水平
な支持台５２が設けられ、この支持台５２の上に複数
（図では３台であるが限定されない）の送風機５３が取
付けられている。送風機５３は計算制御部３５のホスト
コンピュータ３６に接続され、降下速度に応じた風量の
風を上向きに訓練者２３に送風する。訓練者２３には広
い範囲に渡る降下映像に加え、下からの相対的な風が吹
き付けられるのでパラシュート降下時の臨場感が増加す
る。

【００３４】図５は本発明のパラシュート操縦訓練用シ
ミュレータの他の実施例の側面図であり、図６は図５の
平面図である。

【００３５】図１に示した実施例との相違点は、スクリ
ーンが多面体の一部からなり、プロジェクタがスクリー
ンの裏側に設け、送風機が設けられている点である。

【００３６】この場合にはスクリーン５４が多面体の一
部であるため、パーシャルドーム型と比較して組立、分
解が容易である。プロジェクタ２８をスクリーン５４の
裏側に配置したので、両者の距離を短くすることにより
画面を明るくすることができる。また、送風機５５が訓
練者２３の下側だけでなく、前面及び左右にも設けられ
ているので、コントロールラインの操作量に応じて風向
きと風量とを変化させることになるのでさらにパラシュ
ート降下時の臨場感が増加する。

【００３７】

【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を発揮する。

【００３８】降下訓練者の前面及び下面を覆うように配
されたパーシャルドーム型スクリーンに降下映像を投影
するので、降下訓練者にパラシュートの操作量に応じた
広範囲に渡る降下映像が与えられ、また、降下時の音響
や降下訓練者が装着する計器表示も模擬されるので、実
際の訓練に近い臨場感のある訓練が実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のパラシュート操縦訓練用シミュレータ
の一実施例の外観斜視図である。

【図２】図１に示したパラシュート操縦訓練用シミュレ
ータのの平面図である。

【図３】図１に示したパラシュート操縦訓練用シミュレ
ータのブロック図である。

【図４】本発明のパラシュート操縦訓練用シミュレータ
の他の実施例の側面図である。

【図５】本発明のパラシュート操縦訓練用シミュレータ
の他の実施例の側面図である。

【図６】図５に示したパラシュート操縦訓練用シミュレ
ータの平面図である。

【図７】パラシュート操縦訓練用シミュレータの従来例
を示す図である。

【符号の説明】

２１ 架台 ２３ 降下訓練者（訓練者） ２４ 吊り下げ手段（ライザ） ２７、５４ スクリーン ２８ 投影手段（プロジェクタ） ３６ 制御手段（ホストコンピュータ） ５３、５５ 送風機

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鳴尾 孝信 東京都江東区豊洲三丁目１番15号 石川島 播磨重工業株式会社東二テクニカルセンタ ー内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 開傘後のパラシュート操縦訓練を行うた
   めのパラシュート操縦訓練用シミュレータにおいて、架
   台に降下訓練者を吊り下げる吊り下げ手段を設けると共
   にその降下訓練者によるパラシュートの操作量を検出す
   るセンサを設け、降下訓練者の前面及び下面を覆うよう
   にパーシャルドーム型スクリーンを配し、このパーシャ
   ルドーム型スクリーンに降下映像を投影する投影手段を
   設け、上記センサからの検出値に応じてパラシュートの
   運動を計算し降下映像および降下時の音響や降下訓練者
   が装着する計器の表示をリアルタイムで制御する制御手
   段を設けたことを特徴とするパラシュート操縦訓練用シ
   ミュレータ。
2. 【請求項２】 上記パーシャルドーム型スクリーンの代
   わりに平面スクリーンの組み合わせによる多面体型スク
   リーンを配した請求項１記載のパラシュート操縦訓練用
   シミュレータ。
3. 【請求項３】 上記投影手段が降下訓練者側に設けられ
   た請求項１又は２記載のパラシュート操縦訓練用シミュ
   レータ。
4. 【請求項４】 上記投影手段が上記多面体型スクリーン
   の裏側に設けられた請求項２記載のパラシュート操縦訓
   練用シミュレータ。
5. 【請求項５】 上記降下訓練者に風を送る送風手段を設
   け、上記制御手段が降下状態に応じて送風量を制御する
   ようにした請求項３又は４記載のパラシュート操縦訓練
   用シミュレータ。