JPH082437A - 車体の下部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】車両側方からの外力を効果的に吸収し、その外
力による車両側面の変形を抑制する。 【構成】サイドボディー１２の下部にロッカアウタパネ
ル１６ａとロッカインナパネル１６ｂとにより構成され
るロッカパネル１６が設けられる。サイドボディー１３
を含むボディー本体１２がシャシフレーム１１のサイド
メンバ１１ａの外側面に車幅方向に突設されたボディー
マウント用ブラケット１１ｃに取付けられる。ロッカパ
ネルに窓孔１６ｃ又は切欠きが設けられ、サイドメンバ
の外側面にエネルギ吸収材１７が車幅方向に突設され
る。エネルギ吸収材は窓孔又は切欠きを遊挿して先端が
ロッカアウタパネルの内面近傍にまで延長される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車両側方から車体に外力
が加わって車体が側面変形するときにその外力を効果的
に吸収して変形量を減少させる車体の下部構造に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来車体の下部構造としてシャシフレー
ムにボディー本体を取付けるシャシフレーム付の車両が
知られている。シャシフレームは剛性を有する四角筒状
又は断面コ字状の鋼材を加工して構成された一対のサイ
ドメンバと、その一対のサイドメンバの間にはしご状に
溶接やリベット等により架設された複数のクロスメンバ
とにより構成される。図６に示すようにボディー本体の
側面を構成するサイドボディー３の下部にはロッカアウ
タパネル６ａとロッカインナパネル６ｂの２枚の鋼板を
中空のボックス状に加工したロッカパネル６が設けられ
る。このロッカパネル６はボックス状に加工することに
より外力に対する機械的強度の向上を図った上で、アン
ダボディーであるフロアパネル４を介して図示しないボ
ディーマウント用ブラケットによりサイドメンバ１ａに
取付けられる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、車両のレイア
ウト上、シャシフレームのサイドメンバ１ａは車体の最
外側に位置するロッカパネル６の外側面まで図６に示す
寸法Ｌを有する。ロッカパネル６はシャシフレームを構
成する鋼材と異なり、薄肉の鋼板を加工しているため、
このように構成された車両に側方から外力が加えられた
場合にはロッカパネル６をボックス状にしただけでは強
度が十分といえない場合があり、外力により変形する事
態が生じる。その最大変形量は図６の寸法Ｌであって、
この寸法Ｌがほとんど零になるまで変形すると、ロッカ
パネル６を含むサイドボディー３が大きな変形を生じ機
能上の問題が生じる。本発明の目的は、車両側方から外
力が車体に加えられた場合にその外力を効果的に吸収
し、その外力による車両側面の変形を抑制しうる車体の
下部構造を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の構成を、実施例に対応する図１及び図２を用
いて説明する。本発明は、サイドボディー１３の下部に
ロッカアウタパネル１６ａとロッカインナパネル１６ｂ
とにより構成されるロッカパネル１６が設けられ、サイ
ドボディー１３を含むボディー本体１２がシャシフレー
ム１１のサイドメンバ１１ａの外側面に車幅方向に突設
されたボディーマウント用ブラケット１１ｃに取付けら
れる車体の下部構造の改良である。その特徴ある構成
は、ロッカパネル１６に窓孔１６ｃ又は切欠きが設けら
れ、サイドメンバ１１ａの外側面にエネルギ吸収材１７
が車幅方向に突設され、エネルギ吸収材１７が窓孔１６
ｃ又は切欠きを遊挿して先端がロッカアウタパネル１６
ａの内面近傍にまで延長されたところにある。なお、エ
ネルギ吸収材１７は鋼板を板金加工により形成した箱体
であることが好ましい。また、図４及び図５に示すよう
にエネルギ吸収材２７，３７はシャシフレームのサイド
メンバ１１ａの外側面に車幅方向に突設されたボディー
マウント用ブラケットでもよい。

【０００５】

【作用】車両の側面に大きな外力が加わるとロッカアウ
タパネル１６ａは変形をしエネルギ吸収材１７の先端に
当接した後、エネルギ吸収材１７を圧縮変形する。エネ
ルギ吸収材１７は車幅方向に押し縮められながら外力を
吸収する。

【０００６】

【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく
説明する。図１〜図３に示すように、シャシフレーム１
１付の車両であるピックアップ型の小型トラックのシャ
シフレーム１１には図示しないエンジンやエンジンから
の動力を伝達するドライブシャフト及び走行するための
装置である前後輪を枢支するアクスルなどが取付けられ
る。車両全長にわたってシャシフレーム１１はボディー
本体１２とは別個に設けられる。そのエンジンなどを搭
載したシャシフレーム１１を覆うようにボディー本体１
２がシャシフレーム１１に取付けられる。図３に示すよ
うにシャシフレーム１１は剛性を有する四角筒状の鋼材
を加工して構成された一対のサイドメンバ１１ａ，１１
ａの間に、やはり剛性を有する四角筒状の鋼材からなる
複数のクロスメンバ１１ｂがはしご状に溶接やリベット
等により取付けられることで構成される。サイドメンバ
１１ａ，１１ａの外側面には複数のボディーマウント用
ブラケット１１ｃが設けられ、このボディーマウント用
ブラケット１１ｃにボディー本体１２の底部を構成する
アンダボディーが雄ねじにより取付けられる。

【０００７】ボディー本体１２は車両の外形を構成する
ボディーシェルとサイドドア等の開閉機能部品から構成
される。車両の外形を構成するボディーシェルは車両前
部の外形を構成するフロントボディー、車両後部の外形
を構成するリヤボディー、車両側面の外形を構成するサ
イドボディー１３、車室の天井を構成するルーフ、及び
シャシフレーム１１に取付けられることによりボディー
本体１２をシャシフレーム１１に取付けることになるア
ンダボディー１４により構成される。このボディーシェ
ルの開口部にはドア等の開閉機能部品が取付けられ、シ
ャシフレーム１１に取付けられた状態で車両の外形を構
成するようになっている。

【０００８】サイドボディー１２の下部には図１に詳し
く示すようにロッカアウタパネル１６ａとロッカインナ
パネル１６ｂの２枚の鋼板を中空のボックス状に加工し
たロッカパネル１６が設けられる。このロッカパネル１
６はロッカアウタパネル１６ａを車両側面の一部を構成
する円弧状に加工した後、そのロッカアウタパネル１６
ａに車両内側からボックス状に構成するロッカインナパ
ネル１６ｂを溶接することにより作られる。このロッカ
パネル１６はボックス状に加工することにより機械的強
度の向上を図り、車両のドア１３ａとともに車両側方か
らの外力に対して車室内を保護する役割を果たすように
なっている。ロッカアウタパネル１６ａとロッカインナ
パネル１６ｂが溶接されたドア１３ａに対応する箇所に
はウエザストリップ１２ａが設けられドア１３ａが閉じ
た状態での密閉性を確保している。

【０００９】図１及び図２に示すようにロッカインナパ
ネル１６ｂには四角状の窓孔１６ｃが設けられ、サイド
メンバ１１ａの窓孔１６ｃの対応する位置には車両の車
幅方向外側に向って延びるエネルギ吸収材１７が設けら
れる。図１に詳しく示すように、エネルギ吸収材１７は
ロッカインナパネル１６ｂに設けられた窓孔１６ｃを遊
挿して固定され、その先端はロッカアウタパネル１６ａ
の内面近傍まで延長される。

【００１０】図２にエネルギ吸収材１７の一例を示す。
このエネルギ吸収材１７は鋼板を板金加工により箱形に
組立てられた箱体であって、つき合わせ部分又は重なり
部分は溶接等により接着される。エネルギ吸収材１７の
基端にはサイドメンバ１１ａに取付けるための一対のフ
ランジ１７ａ，１７ａが設けられ、フランジ１７ａには
ねじ孔１７ｂ，１７ｂが設けられる。サイドメンバ１１
ａへの取付けはこれらのねじ孔１７ｂ，１７ｂに図示し
ない雄ねじを挿入し、サイドメンバ１１ａに設けられた
図示しない雌ねじに螺合することで行われる。このよう
にサイドメンバ１１ａに取付けられたエネルギ吸収材１
７はボディー本体１２をシャシフレーム１１に取付ける
際にロッカインナパネル１６ｂに設けられた窓孔１６ｃ
に図２の実線矢印で示すように遊挿され、その先端がロ
ッカアウタパネル１６ａの内面近傍に位置するようにな
っている。

【００１１】このように構成された車体の下部構造で
は、図１に示すように、矢印Ａの外力が車両側方からサ
イドボディー１３に加わると、その外力はドア１３ａと
ロッカアウタパネル１６ａに当接し、そのドア１３ａと
ロッカアウタパネル１６ａは変形する。ロッカアウタパ
ネル１６ａの変形はエネルギ吸収材１７の先端に当接し
てエネルギ吸収材１７は車幅方向に押し縮められる。エ
ネルギ吸収材１７は車幅方向に押し縮められることで外
力を吸収し、これによりドア１３ａとロッカアウタパネ
ル１６ａの変形を抑制することができる。

【００１２】図４及び図５には本発明の別の実施例を示
す。図面における記号において上記実施例と同一記号は
同一部品を示す。図４及び図５に示される実施例は図３
で示した上記実施例のボディー本体１２をシャシフレー
ム１１に取付けるために設けられたボディーマウント用
ブラケット１１ｃをロッカアウタパネル１６ａの内面近
傍まで延長してボディーマウント用ブラケット１１ｃに
図１で示したエネルギ吸収材１７の機能を兼備させたも
のである。

【００１３】図４におけるエネルギ吸収材２７は鋼板に
より箱形に形成される。ボディー本体１２のアンダボデ
ィーであるフロアパネル２４を取付ける箇所のエネルギ
吸収材２７に雌ねじ２７ａが溶着され、この雌ねじ２７
ａにフロアパネル２４に設けられたブラケット２４ａを
介して雄ねじ２８を螺合することによりボディー本体１
２をシャシフレーム１１に取付けられるようになってい
る。またエネルギ吸収材２７はロッカインナパネル１６
ｂに設けられた窓孔１６ｃを遊挿し、その先端はロッカ
アウタパネル１６ａの内面近傍まで延長される。

【００１４】図５における実施例においては、シートベ
ルトアンカプレート３６が設けられる取付け部のエネル
ギ吸収材３７を示す。このエネルギ吸収材３７はやはり
鋼板により箱体に形成される。ボディー本体１２のアン
ダボディーであるフロアパネル３４には取付孔３４ａが
設けられ、エネルギ吸収材３７の対応する位置には挿孔
３７ａが設けられる。フロアパネル３４の取付孔３４ａ
にはベルトアンカプレート３６とともに雄ねじ３８ａが
挿入され、防振用の弾性体で成形されたボディーマウン
ティング部材３９を介してエネルギ吸収材３７に設けら
れた挿孔３７ａに挿入される。挿入された雄ねじ３８ａ
にナット３８ｂを螺合することによりボディー本体１２
をシャシフレーム１１に取付けられるようになってい
る。またエネルギ吸収材３７は同様にロッカインナパネ
ル１６ｂに設けられた窓孔１６ｃを遊挿し、その先端は
ロッカアウタパネル１６ａの内面近傍まで延長される。
このように構成された車体の下部構造の外力吸収作用は
最初の実施例と同様であるので、繰返しの説明を省略す
る。

【００１５】なお、上記実施例ではロッカインナパネル
に窓孔を設けたが、これに代えて切欠きを設けてもよ
く、また切欠きを設けて遊挿しなくてもロッカインナパ
ネル近傍までエネルギ吸収材の先端を延長することによ
り側面変形量を縮小することができる。また、上記実施
例では一対のエネルギ吸収材を設けた例を示したが、こ
れに限らず２〜５対の複数のエネルギ吸収材を設けても
よい。また、上記実施例ではシャシフレームを剛性を有
する四角筒状の鋼材を加工して構成したが、断面コの字
状の鋼材でもよく、また断面Ｈ状の鋼材でもよい。更
に、上記実施例ではエネルギ吸収材が鋼板を板金加工に
より箱体に形成した例を示したが、最初の実施例ではこ
のエネルギ吸収材をゴムにより形成してもよくその他の
弾性体により形成してもよい。また上記実施例の鋼板に
より箱形に形成した内部に発泡ウレタン等の発泡剤を充
填したエネルギ吸収材でもよい。

【００１６】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ロ
ッカパネルに窓孔又は切欠きを設け、サイドメンバの外
側面にエネルギ吸収材を車幅方向に突設し、エネルギ吸
収材が窓孔又は切欠きを遊挿して先端をロッカアウタパ
ネルの内面近傍にまで延長したので、車両側面に外力が
加えられた場合でもエネルギ吸収材が車幅方向に押し縮
められながらその外力を吸収するため、車両側方から外
力が加えられた場合にその外力を効果的に吸収し、その
外力による車両側面の変形を抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の車体の下部構造を示す図３のＢ
−Ｂ線断面図。

【図２】その要部組立斜視図。

【図３】本発明実施例の車体の下部構造を含むボディー
本体の斜視図。

【図４】本発明の別の実施例の車体の下部構造を示す図
１に対応する図。

【図５】本発明の更に別の実施例の車体の下部構造を示
す図１に対応する図。

【図６】従来例を示す図１に対応する図。

【符号の説明】

１１ シャシフレーム １１ａ サイドメンバ １１ｃ ボディーマウント用ブラケット １２ ボディー本体 １３ サイドボディー １６ ロッカパネル １６ａ ロッカアウタパネル １６ｂ ロッカインナパネル １６ｃ 窓孔 １７，２７，３７ エネルギ吸収材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 サイドボディー(13)の下部にロッカアウ
   タパネル(16a)とロッカインナパネル(16b)とにより構成
   されるロッカパネル(16)が設けられ、前記サイドボディ
   ー(13)を含むボディー本体(12)がシャシフレーム(11)の
   サイドメンバ(11a)の外側面に車幅方向に突設されたボ
   ディーマウント用ブラケット(11c)に取付けられる車体
   の下部構造において、 前記ロッカパネル(16)に窓孔(16c)又は切欠きが設けら
   れ、 前記サイドメンバ(11a)の外側面にエネルギ吸収材(17)
   が車幅方向に突設され、 前記エネルギ吸収材(17)が前記窓孔(16c)又は切欠きを
   遊挿して先端が前記ロッカアウタパネル(16a)の内面近
   傍にまで延長されたことを特徴とする車体の下部構造。
2. 【請求項２】エネルギ吸収材(17)が鋼板を板金加工によ
   り形成した箱体である請求項１記載の車体の下部構造。
3. 【請求項３】エネルギ吸収材(27,37)がシャシフレーム
   (11)のサイドメンバ(11a)の外側面に車幅方向に突設さ
   れたボディーマウント用ブラケットである請求項１記載
   の車体の下部構造。