JPH08242712A - 塩水を用いた植物育成施設 - Google Patents

塩水を用いた植物育成施設

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JPH08242712A
JPH08242712A JP7055634A JP5563495A JPH08242712A JP H08242712 A JPH08242712 A JP H08242712A JP 7055634 A JP7055634 A JP 7055634A JP 5563495 A JP5563495 A JP 5563495A JP H08242712 A JPH08242712 A JP H08242712A
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JP
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water
plant growing
plant
layer
growing facility
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JP7055634A
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English (en)
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Shinobu Inanaga
忍 稲永
Akiko Isoi
晶子 礒井
Motohiro Okazaki
素弘 岡崎
Tadahiro Uemura
忠廣 植村
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Hydroponics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくとも下記の構成要素が下記の順で構成
されたことを特徴とする植物育成施設。 1.植物栽培層 2.水蒸気は透過するが水または水可溶性塩類の水溶液
は実質的に透過しない布帛 3.空気層 4.水または水可溶性塩類の水溶液の層 【効果】 大規模な施設の施工や、過大なエネルギー源
を必要とせずに、塩分濃度が高い水分を利用しての農業
生産が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水可溶性塩類を含む水
分、特に海水および乾燥地・半乾燥地における河川水、
地下水などを供給水とする農業生産の方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】人口増加に伴い、食糧生産量の増加が必
要とされてきており、その対策として単位耕地面積あた
りの収穫量の増加や耕地面積の拡大が検討されてきた。
しかしながら、世界農作物の3分の1以上の収穫量が得
られている生産性の高い灌漑農地においては、過度の土
地疲労に起因する砂漠化が問題化し、また新たな耕地を
獲得しようにも農耕に適した土地の多くはすでに開墾さ
れ尽くされており、新しい農業方法の確立が求められて
いる。
【0003】灌漑農地における砂漠化の要因の一つとし
て土壌の塩類集積が挙げられ、安定した水質の灌漑水の
供給が必須であると指摘されている。しかし灌漑水が容
易に入手できない地域ではこれまで、1)河川水を利用
する方法、2)地下水を利用する方法、3)太陽熱や逆
浸透膜などを利用して高塩分水をいったん精製し、その
水を灌漑に用いる方法などがとられてきた。1)におい
ては上流で使用された水が再び元の河川に戻ることが多
く、下流域ほど水質が悪化する、2)においては汲み上
げ過剰による地下水の枯渇、塩分濃度が高い水の侵入に
よる水質汚染が懸念されるなど、どちらの場合でも塩類
集積の促進が見られ、3)においては施設の建設や管理
などに莫大な費用を要する、などの問題を抱えている。
【0004】農地を必要としない新たな農業方法の一つ
として、人工土壌体を用いて温度、養分、日照時間をコ
ントロールしたハウス栽培や、水耕栽培などが実用化さ
れている。これらの方法は特に農業生産に適した土地で
なくても気象条件に左右されることなく均一な作物が得
られる反面、多大な設備投資や管理費がかかり、一般的
な技術ではない。
【0005】そこで安定した水質の灌漑水を確保し、か
つ開墾の必要性のない農業生産を行うため、太陽熱によ
って蒸発した海水や河川水を直接利用した方法が考案さ
れた。例えば特開昭63ー169918や特開平4ー5
3417では、水面上に空気層および植物栽培層を順に
設け、発生した水蒸気を植物栽培層に導入して植物育成
に利用することを考案している。しかし、これらは天候
・風・波の影響を受け、特に栽培層が波をかぶると塩害
のため農作物が枯死するといった課題があった。 ま
た、水層から水蒸気を蒸発させて植物栽培土壌へ供給
し、この水蒸気を凝縮させて植物育成に利用することが
考案されてきた。例えば、特公平4−3166では水不
透水性層、水流通可能層、毛管上昇遮断層、植物栽培施
設を下から順に設け、水流通可能層から発生した水蒸気
を植物栽培施設で凝縮を促進させる植物育成方法が考案
されているが、本方法では水が毛管遮断層を越えないよ
うに水位調整をする必要があるなどの欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】農業生産を行うために
は、生産地に身近に存在する水を供給源とすることが望
ましい。特に塩分濃度が高いためにこれまでは農業生産
に不適とされていた河川水、塩水湖の水および海水が直
接利用でき、水面上で農業生産が可能となれば、農業生
産地の拡大が可能となり更に望ましい。
【0007】従って本発明の目的は、上記事情を解決
し、大規模な施設の施工を必要とせずに、生産地の身近
に存在する高塩分の水を利用し、かつ塩害を防止しつつ
農作物などの植物を低コストで生産する方法を提供する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は次の構成からな
る。
【0009】「少なくとも下記の構成要素が下記の順で
構成されたことを特徴とする植物育成施設。
【0010】1.植物栽培層 2.水蒸気は透過するが水または水可溶性塩類の水溶液
は実質的に透過しない布帛 3.空気層 4.水または水可溶性塩類の水溶液の層」 水蒸気は透過するが水または水可溶性塩類の水溶液は実
質的に透過しない布帛とはいわゆる通気性防水布帛とし
て公知のものである。しかし本発明者は、この布帛を透
過した水蒸気を植物栽培層へ導入することで水面での植
物栽培が可能ならしめることを見いだした。本布帛は水
または水可溶性塩類の水溶液は透過しないので、万一、
地下水位の上昇、風や波による水可溶性塩類の布帛への
接触が起こっても、植物栽培層への塩類の移動は阻止で
きるため、厳密な水位調整を行う必要がない。
【0011】本発明において、水または水可溶性塩類の
水溶液は実質的に透過しない布帛とは、後述する耐水圧
が300mmH2 0以上であるような布帛であり、常圧
では水可溶性塩類が溶解した水溶液の透過を抑制するの
で、植物の吸水根に直接、高濃度の塩類が吸収される頻
度が減少する。
【0012】本発明における布帛の形態は、織布、編
布、不織布、合成紙のいずれでもよいが不織布が最も好
ましく、次いで、合成紙である。また、単層、積層いず
れの構造でもよく、公知の任意の方法で製造することが
できる。例えば織布、編布としては単糸デニールが細い
ものやフィブリル化した繊維を使用したもの、高密度織
布・高密度編布のごとく高密度化したものが挙げられ
る。不織布としては、メルトブロー紡糸法あるいはフラ
ッシュ紡糸法あるいは静電紡糸法などによる極細繊維構
造を有する不織布や、更に上記極細繊維からなる不織布
を公知の方法で延伸された繊維よりなる不織布、すなわ
ちスパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、短繊維
不織布などと積層したものが挙げられる。素材としては
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエス
テル、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリル系樹
脂などの高分子材料が挙げられ、これらに限定されない
が、ポリプロピレンが最も好ましく、次いでポリエチレ
ンである。合成紙としては、合成高分子を主原料とし
て、公知の任意の方法、例えばフィルムにコーティング
または表面紙化処理を施す方法、あるいはビニロンやナ
イロンなどの合成パルプを作って抄紙機で抄造する方法
によって製造したものが挙げられる。またかかる布帛や
合成紙を他の布帛や合成紙、フィルムと複合化したもの
や撥水処理を施したものも好ましく用いられる。
【0013】本布帛だけでも、強度的に十分実用に耐え
得るものであるが、本布帛は少なくとも一部に、強度補
強のための層を添着して複合一体化していてもよい。か
かる補強法としては、前述のような、スパンボンド不織
布、ニードルパンチ不織布、短繊維不織布などの布帛を
積層することも挙げることができるが、微細孔を有する
フィルムも用いることも挙げられる。
【0014】本発明における布帛を他の布帛あるいはフ
ィルムと複合一体化する方法としては、各種の方法が採
用されて特に限定されるものではないが、例えば熱的作
用による接合や樹脂による接着などが挙げられる。
【0015】本発明において、布帛に撥水処理を施すに
は通常の方法で行えばよく、例えばシリコン系、フッ素
系、パラフィン系、アクリル系、ワックス系などの樹脂
のうち特に限定されるものではないが、特に好ましくは
フッ素系、次いで好ましいのはシリコン系であり、これ
らの樹脂を布帛に直接あるいは原糸製造時に浸漬、スプ
レー、パッディングなどで付与し、必要に応じて熱処理
を行えばよい。
【0016】本発明における微細孔を有する疎水性のフ
ィルムとは、例えば放電によってフィルムに孔をあける
方法、フィラーを混入したフィルムを延伸する方法、フ
ィラーを混入したフィルムよりフィラーを除去する方法
などによって得られるものであるが、これらに限定され
るものではない。更にかかるフィルムを紙、布などの基
材表面にラミネート加工した複合体として使用すること
もできる。
【0017】フィルム材質については特に限定されるも
のではないが、通常、ポリエチレン、ポリプロピレンな
どのポリオレフィン系樹脂フィルムやフッ素系樹脂フィ
ルムが好適に使用される。またフィルムの細孔径はフィ
ルム素材の種類や表面加工状態によって水に対する接触
角が異なるので、一概に定義することは困難であるが、
水に透過しないが水蒸気は透過する大きさであればよ
く、0.01〜100μmのものが、更に好ましくは
0.2〜10μmのものが使用される。
【0018】本発明の構成要素を配置する方法として
は、特に限定されるものではないが、例えば、「水また
は水可溶性塩類の水溶液の層」として、(A) 広い水面が
外気にさらされた水系を用いることもできるし、(B) 水
または水可溶性塩類の水溶液導入された土壌中の層を用
いることもできる。
【0019】(A) の場合、例えば、海、塩湖、乃至は塩
分の多い河川あるいは、それらから水を導入した溜め池
等を用いることもできる。かかる水系において、例えば
底部あるいは/および側面に孔を有する容器に被覆し水
面に浮かべる方法が挙げられる(図1)。このとき浮力
部材を敷設して水に浮上しやすくしたり、水流で流され
ぬように錘を接続することが好ましく(図2)、さらに
溜池や内海などのように波が穏やかな水面を選ぶことが
好ましい。このほかに施設面を満潮時の水面より高く設
計したハウス状容器の施設材の一部として本布帛を使用
したり(図3)、河川にまたがる橋状の栽培容器の一部
に本布帛を張設したりできる(図4)。また、(B) の場
合、例えば、地上にパイプを切断したものあるいは底部
をパイプで連結したプランターなどで作った水路に、塩
水を流しその上に布帛を含む植物栽培層を乗せる方法も
考えられるが(図5)、これらに限定されるものではな
い。
【0020】なお、ハウス状容器の場合は、天候に応じ
て内部の温度調節ができるよう、屋根部分の取り外しが
可能であることが好ましい。また図4に示すように、溜
池を作り太陽熱を利用して暖めた温水を夜間放流すると
いった工夫も考えられる。いずれの例においても、栽培
土壌に波がかからないように容器側面を高く設けて防水
壁とすることがより好ましい。また、本発明の栽培容器
においては、布帛で被覆する面の孔の大きさ及び数は特
に限定されるものではないが、孔面積が広ければ広いほ
ど水蒸気透過量を確保できるため好ましい。
【0021】水または水可溶性塩類の水溶液の層が、内
部に水または水可溶性塩類の水溶液を有する水槽乃至パ
イプが埋設された地層および/または、水または水可溶
性塩類の水溶液を含んだ含水地層であり、この上に「空
気層」を設け、さらにその上部に該布帛を配する方法と
しては様々な方法があり特に限定されるものではない
が、人工的あるいは自然に形成された、水または水可溶
性塩類の水溶液を含んだ含水地層をそのまま利用する方
法(図6)、土壌中に、上部に開口部のある灌水パイプ
を配し、このパイプの開口部に該布帛を設置したり(図
7,図8)、開口部のある灌水パイプに土壌へ漏れない
程度の水量を供給して、植物栽培層との間に配したりす
る方法(図9,図10)などが挙げられる。
【0022】あるいは、水槽の上部に該布帛をおき、こ
の上に植物栽培層を設ける方法が挙げられる。このとき
該布帛を直接設置してもよいが、この場合、水層内の液
面から布帛までの空隙空間が、空気層となりえるが、網
状シートや多孔質シート、スポンジなどの多孔質発泡体
やハニカムなどを水槽の上部に設置した上に、該布帛を
おいてもよい。
【0023】本発明の栽培施設においては、布帛と水面
との距離を短かく配するほど透過水蒸気の散逸および凝
縮速度の低下を抑制できるため好ましいが、接するほど
に短い場合は水面浮上物や水中生物の影響を受けやす
く、また不織布表面の疎水性変化による耐水性低下も懸
念されるため、接しない程度、具体的には2mmから3
00mm、好ましくは5mmから50mmの距離を設け
るのがよい。
【0024】このように、本発明の空気層は、前述のよ
うに水面と布帛との間に十分な間隔が保てるものであれ
ば、容器の底部の孔の部分や間隙部分の空間、あるいは
網状シートや多孔質シート、スポンジなど多孔質発泡体
の構造材やハニカムにより囲まれた小部分、土壌中に埋
設されたパイプの中の空間、外気が自由に通過できる解
放された空間、土壌中などに何等かの支持材に支えられ
て、広く層状に形成されている空気層など、さらには、
水面の波立ちや潮の満干で大きさや形状が一定していな
い空間である場合など、特に限定されるものではない。
このように、各種の充填材を有する空間も空気層として
用いることができるが、かかる場合、空隙率は0.6cm
3 /cm3 以上、より好ましくは0.2cm3 /cm3 以上の
空気層が少なくとも一部存在していることが望ましい。
【0025】本発明における空隙を形成する材料からな
る植物栽培層とは、材料そのものに空隙を有するもの
や、集合体としたときに材料間に空隙を生じるもののい
ずれであってもよく、このような構造にすることによっ
て、栽培層中に植物育成に必要な空気と水分を保持する
ことや、培地の重量密度を低下させることによる布帛の
重量負荷を低減することができる。例えば、バーミュキ
ュライト、イソライト、ゼオライト、モンモリナイト、
スラグウール、軽石などの多孔性無機材料や、ピートモ
ス、吸水性高分子材料などの多孔性有機材料、発泡スチ
ロールや廃高分子材料の粉砕体など材質自体が嵩高い
か、材質中に空隙を有したり、集合体とすることによっ
て空隙を生じるものなどが挙げらるが、これらに限定さ
れない。また植物栽培層はこれらの材料のみから構成さ
れる必要はなく、一部に使用されていればよい。
【0026】本発明における布帛の物性としては、上記
性能を有するものであれば広い範囲から選ばれるが、水
蒸気の透湿度が500g/m2 ・24Hr以上、好まし
くは2000g/m2 ・24Hr以上、さらに好ましく
は5000g/m2 ・24Hr以上が望ましい。ここで
透湿度は、JIS−Z−0208法によって測定される
値である。透湿度が低すぎると供給水が十分に吸水根に
供給できないので植物は生育できない。
【0027】本発明における布帛の耐水圧としては30
0mmH2 0以上、好ましくは800mmH2 O以上、
さらに好ましくは1200mmH2 0以上が望ましい。
耐水圧の測定はJIS−L−1092A法に規定する方
法に従った。耐水圧が低すぎると塩分を含んだ水が吸水
根に多量供給されてしまい塩害が発生する。
【0028】本発明における布帛としては、上記物性を
有するものであれば前述の布帛の中から選ばれるもので
あるが、不織布が好ましく、平均繊維径が5μ以下、目
付が15g/m2 以上の超極細繊維不織布からなるもの
がより好ましい。特に平均繊維径が4μm以下の場合は
透湿度がほとんど損なわれずに耐水圧が大きく防水性に
優れるためにさらに好ましい。さらに平均繊維径が3μ
m以下の場合は、実用的な透湿度を保持しつつ防水性が
向上することからも好ましい。ここで平均繊維径とは、
1000倍(走査型電子顕微鏡)の拡大写真より300
本以上の繊維径を読みとり、その平均値とした。また目
付が小さすぎると、透湿度は優れるけれども耐水圧が低
いため防水性に劣り、一方大きすぎると防水性は優れる
が透湿度が徐々に低下しコストも割高となるので、15
g/m2 以上が好ましく、より好ましくは20g/m2
以上である。また特に限定されるものではないが、上限
値としては、200g/m2 以下が好ましく用いられ
る。
【0029】また、本発明の構成要素は特許請求の範囲
の通りの順序で構成されていることが肝要であり、か
つ、云までもなく、植物栽培層を頂部とし、水または水
可溶性塩類の水溶液の層を底部とすることが肝要であ
る。また、かかる順列中に前記構成要素またはそれ以外
の構成要素(例えばマルチング等)が余分に付け加える
ことも可能である。
【0030】本発明において、布帛を透過した水蒸気
が、効率よく植物育成に利用できるように、栽培層表面
にマルチングを施すことが好ましい。マルチングとは、
植物の根元の栽培土壌をシート等で覆い、水分の蒸発を
抑制する等の働きをするものであるが、それ以外にも夜
間の放射冷却から植物の根部を保護する、風による転倒
を防止する、砂の侵入を阻止するなどの働きもある。こ
こで使用されるマルチング材としては、例えば酸素透過
性のあるポリエチレンのようなフィルムや不織布、ポリ
プロピレン製のネットや粗布、さらに砕石を面状に並べ
たグラベルマルチングなどが挙げられるが、これらに限
定されるものではない。また、生育温度を厳密に調節す
るために、屋根の取り外しが可能なビニールハウスやビ
ニールトンネルとの併用も効果的である。
【0031】本布帛を適用する地域の気温及び対象とす
る植物の種類によっては、本布帛を透過する水蒸気量が
植物育成に不足することもあり得る。このような場合、
一般に水の比熱の方が栽培層土壌の比熱よりも大きいた
め、夜間の水温が冷めにくく、布帛を透過した水蒸気の
栽培層土壌での結露が起こりやすくする工夫が必要であ
る。保水材を培地に混合することは、透過水蒸気を効率
よく利用できる点で好ましい。保水材はアクリル系樹
脂、セルロース系樹脂などの高分子ヒドロゲルを粉末
状、粒状、塊状、シート状に加工したものが市販されて
いるが、これらに限定されない。使用方法については、
形状・素材によって一概に言えないが、通常は使用土壌
の0.01〜20重量部を土壌に混合して使用される。
【0032】本布帛を透過した水蒸気をさらに有効に利
用するために、マルチングや保水材の使用のほかにある
いは併用して、水温を上昇させて水蒸気発生を促進した
り、植物栽培層の温度を放冷して透過水蒸気の結露を促
進させることも効果的である。また太陽熱温水器等と組
み合わせて、本布帛下の水温を上昇させて水蒸気の蒸発
を促進させることも効果的である。さらに、溜池を利用
した温水製造、発電所の温排水の利用なども考えられ
る。
【0033】本発明による植物育成施設は、水面上での
植物栽培方法として好ましいものであるが、植物の生育
段階によっては上記の対策をとっても水分量が不足する
場合もある。このような時は、雨水や水面からの蒸発水
を捕集する装置を組み合わせる、植物体の蒸散抑制ある
いは蒸散水の再利用を図るためビニールハウスやビニー
ルトンネルと組み合わせる、別の方法で得られた塩分濃
度の低い水を給水してやる等の手段を用いるのが好まし
いことはもちろんである。
【0034】
【実施例】以下に、実施例に基づいてさらに詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】実施例1 平均繊維径1.03μm、密度0.37g/cm3 、目
付62g/m2 、厚み0.17mmのシートをカレンダ
ー処理した不織布を、種子の発芽試験に用いた。この不
織布の透湿度は5200/g・24hr、耐水圧は16
00mmH2 Oであった。
【0036】縦100mm、横200mm、高さ70m
mの容積で厚み5mmのポリプロピレン製容器の底部に
直径40mmの円形を4カ所くりぬき、内側から上記不
織布を載せた。この上にバーミュキュライト150g
(ふるいで粒径を2〜3mmにそろえたもの)をおき、
オオムギを20粒まいた後、厚さ0.03mmのポリエ
チレン製シートでマルチングした。27度の温室内に3
5度に設定した所定濃度の食塩水を用意し、この上に上
記容器を浮かべて、所定日数後、発芽個体数から発芽率
を算出したところ、表1の結果となった。
【0037】実施例2 メルトブロー法により、平均繊維径1.3μmのポリプ
ロピレン極細繊維からなる不織布を得た。この不織布の
両面に、スパンボンド法による平均繊維径21.8μm
の不織布を積層して、厚み0.49mm,密度0.47
g/cm3 の複合不織布を得た。この不織布の透湿度は
900g/m2 ・24Hr、耐水圧は1500mmH2
Oであった。
【0038】実施例1で用いた容器に上記不織布をお
き、この上に水田土壌100g(1mmメッシュのふる
いで粒径をそろえたもの)をおき、この土壌にオオムギ
を20粒まき、厚さ0.03mmのポリエチレン製シー
トでマルチングし、実施例1と同様に海水上に浮かべ
て、発芽率を算出したところ、表1に示したとおりの結
果になった。
【0039】実施例3 厚み0.10mm、密度0.925g/cm3 、目付9
2.5g/m2 のポリエステル製不織布(阿波製紙株式
会社製)にフッ素系はっ水処理剤(アサヒガードAG−
650(旭硝子株式会社製))を塗布後熱処理した。こ
の不織布の透湿度は615g/m2 ・24Hr、耐水圧
は575mmH2 Oであった。
【0040】実施例1と同様の容器の底部をくりぬき、
直径1mmのポリエチレン製繊維を30mm四方の格子
状に編んだネットを張設したものに、上記不織布をお
き、この上に硅砂(0.1mmメッシュのふるいで粒径
をそろえたもの)160gをおいてオオムギの種子を2
0粒まいた後、厚さ0.03mmのポリエチレン製シー
トでマルチングし、実施例1と同様の条件で放置した。
発芽率は表1に示したとおりの結果になった。
【0041】比較例1 濾紙を用いて実施例1と同様な方法で発芽実験を行った
が、100mM以上の濃度の食塩水においては全く発芽
がみられなかった。
【0042】実施例4 平均繊維径1.03μm、密度0.37g/cm3 、目
付62g/m2 、厚み0.17mmのシートをカレンダ
ー処理した不織布を、種子の発芽試験に用いた。この不
織布の透湿度は5200/g・24hr、耐水圧は16
00mmH2 Oであった。
【0043】大きさが1000mm×700mm×20
0mm、厚み10mmのポリプロピレン製容器に所定濃
度の食塩水を100リットル入れ、容器上部を直径3m
mのポリエチレン製繊維を30mmの格子状に編んだネ
ットで覆った後、上記不織布を載せた。この上に100
0mm×700mmの木枠をおき、内側にバーミュキュ
ライト(ふるいで2〜3mmに粒径をそろえたもの)を
3cmの厚さまでいれ、オオムギの種子を20粒まい
た。厚さ0.03mmのポリエチレン製シートでマルチ
ングングした後、食塩水を35度に設定して所定日数後
に発芽個体数から発芽率を算出したところ、表2に示す
結果となった。
【0044】ナタネおよびサラダナの種子で、濃度60
0mMの食塩水を用いて、同一の方法で発芽実験を実施
した。結果は表2に示すように、ほぼ100%の発芽率
であった。
【0045】実施例5 メルトブロー法により、平均繊維径1.3μmのポリプ
ロピレン極細繊維からなる不織布を得た。この不織布の
両面に、スパンボンド法による平均繊維径21.8μm
の不織布を積層して、厚み0.49mm,密度0.47
g/cm3の複合不織布を得た。この不織布の透湿度は
900g/m2 ・24Hr、耐水圧は1500mmH2
Oであった。
【0046】実施例4で用いた容器に上記不織布をお
き、この上に水田土壌(1mmメッシュのふるいで粒径
をそろえたもの)をおき、この土壌にオオムギを20粒
まき、厚さ0.03mmのポリエチレン製シートでマル
チングングした後、発芽率を算出したところ、表2のと
おりの結果となった。
【0047】ナタネおよびサラダナの種子で、濃度60
0mMの食塩水を用いて、同一の方法で発芽実験を実施
した。結果は表3に示すように、ほぼ100%の発芽率
であった。
【0048】実施例6 厚み0.10mm、密度0.925g/cm3 、目付9
2.5g/m2 のポリエステル製不織布(阿波製紙株式
会社製)にフッ素系はっ水処理剤(アサヒガードAG−
650(旭硝子株式会社製))を塗布後熱処理した。こ
の不織布の透湿度は615g/m2 ・24Hr、耐水圧
は575mmH2 Oであった。
【0049】実施例4で使用した容器に硅砂(0.1m
mメッシュのふるいで粒径をそろえたもの)をおき、オ
オムギの種子を20粒まいた後、厚さ0.03mmのポ
リエチレン製シートでマルチングングし、実施例4と同
様の条件で放置したところ、発芽率は表2に示したもの
と同じ値になった。
【0050】比較例2 濾紙を用いて実施例4と同様な方法で発芽実験を行った
が、100mM以上の濃度の食塩水においては全く発芽
がみられなかった。
【0051】
【表1】
【表2】
【表3】
【0052】
【発明の効果】本発明の植物育成施設は、良質な農業用
水が不足している乾燥地や海岸地などでの農業生産につ
いて、下記のような効果を発揮する。
【0053】(1)大規模な施設の施工や過大なエネル
ギー源を必要とせずに、塩分濃度が高い水分を利用して
の農業生産が可能となる。
【0054】(2)乾燥地などの良質な水源が乏しい地
域や海岸地においても、高塩分の地下水、海水あるいは
河川水が利用でき、かつこれを効果的に除塩して作物に
供給することが可能であり、大規模な灌漑設備が不要で
ある。
【0055】(3)水面での植物栽培が可能であるた
め、新たな土地の開墾を必要とせずに耕地面積の拡大が
可能となる。
【0056】(4)灌漑用水槽の厳密な水位調整が不要
であるため、過大な設備維持費が不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 底部に布帛で被覆された孔を有する容器を水
面に浮かべる本発明の植物育成施設の一例である。
【図2】 錘で係留された本発明の植物育成施設の一例
である。
【図3】 施設面を満潮時の水面より高く設計したハウ
ス状容器の施設材の一部として本布帛を使用した本発明
の植物育成施設の一例である。
【図4】 河川にまたがる橋状の栽培容器の一部に本布
帛を張設した本発明の植物育成施設の一例である。
【図5】 地上に作った水路に、塩水を流しその上に布
帛を含む植物栽培層を乗せる植物育成施設の一例であ
る。
【図6】 水または水可溶性塩類の水溶液を含んだ含水
地層の上に該布帛を置く植物育成施設の一例である。
【図7】 土壌中に該布帛を有する灌水パイプを配する
植物育成施設の断面図である。
【図8】 該布帛を有する灌水パイプを斜視図である。
【図9】 土壌中に該布帛を設けて灌水パイプを配する
植物育成施設の断面図である。
【図10】 該布帛を設けた土壌中に配した灌水パイプ
の斜視図である。
【符号の説明】
1:容器 2:マルチングフィルム 3:植物栽培層 4:布帛 5:塩水 6:多孔質シート(布帛支持体) 7:錘 8:ビニールハウスあるいはビニールトンネル(取り外
し可能) 9:ため池 10:河川あるいは湾 11:水門 12:水または水可溶性塩類の水溶液を含んだ地層 13:灌水パイプ 14:灌水パイプ開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植村 忠廣 滋賀県大津市園山1丁目1番1号東レ株式 会社滋賀事業場内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも下記の構成要素が下記の順で
    配置されたことを特徴とする植物育成施設 1.植物栽培層 2.水蒸気は透過するが水または水可溶性塩類の水溶液
    は実質的に透過しない布帛 3.空気層 4.水または水可溶性塩類の水溶液の層
  2. 【請求項2】 該布帛が耐水圧が300mmH2 O以上
    であることを特徴とする請求項1記載の植物育成施設。
  3. 【請求項3】 該布帛を、底部あるいは/および側面に
    孔を有する容器に被覆したことを特徴とする請求項1記
    載の植物育成施設。
  4. 【請求項4】 植物栽培層の一部が空隙を形成する材料
    からなることを特徴とする請求項1記載の植物育成施
    設。
  5. 【請求項5】 植物栽培層の表面がマルチングされてい
    ることを特徴とする請求項1記載の植物育成施設。
  6. 【請求項6】 該布帛が透湿度が500g/m2 ・ 24
    Hr以上であることを特徴とする請求項1記載の植物育
    成施設。
  7. 【請求項7】 水または水可溶性塩類の水溶液の層が、
    内部に水または水可溶性塩類の水溶液を有する水槽乃至
    パイプが埋設された地層および/または、水または水可
    溶性塩類の水溶液を含んだ含水地層であることを特徴と
    する請求項1記載の植物育成施設。
  8. 【請求項8】 該布帛が、平均繊維径が5μm以下、目
    付が15g/m2 以上の極細繊維不織布からなることを
    特徴とする請求項1記載の植物育成施設。
  9. 【請求項9】 該布帛の少なくとも一部に、強度補強の
    ための層を添着して複合一体化したことを特徴とする請
    求項1記載の植物育成施設。
  10. 【請求項10】 強度補強のための層が、微細孔を有す
    るフィルムからなることを特徴とする請求項9記載の植
    物育成施設。
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