JPH08239682A - 合成樹脂摺動部材組成物 - Google Patents

合成樹脂摺動部材組成物

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JPH08239682A
JPH08239682A JP7719895A JP7719895A JPH08239682A JP H08239682 A JPH08239682 A JP H08239682A JP 7719895 A JP7719895 A JP 7719895A JP 7719895 A JP7719895 A JP 7719895A JP H08239682 A JPH08239682 A JP H08239682A
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JP
Japan
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resin
sliding member
synthetic resin
sliding
fine particles
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Application number
JP7719895A
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English (en)
Inventor
Takaaki Saigou
隆晄 西郷
Taku Kobayashi
卓 小林
Eiji Suzuki
英二 鈴木
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SUTAARAITO KOGYO KK
Starlite Co Ltd
Original Assignee
SUTAARAITO KOGYO KK
Starlite Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は合成樹脂を主成分とする摺動用部材
の性能改善に関し,特に相手材への低損傷性を保ちなが
ら,耐摩耗性と低摩擦係数を具備する材料を開発するこ
とを目的とする。 【構成】 上記目的は,摺動用部材のベースとなる,合
成樹脂を主成分とする摺動用材料に,モース硬度9以上
であり,平均粒径が10ミクロン以下の高硬度無機微粉
体を,0.003〜0.3容量%の範囲内で配合する事
により,従来の常識を覆し,相手材の損傷を伴うことな
く,驚くべき優れた耐摩耗性と低摩擦特性を発現させる
ことができた。上記の条件による場合は,ベースとなる
合成樹脂としては従来から摺動用部材として使用されて
きた材料の,特に四フッ化エチレン重合樹脂の存在,不
存在に関わらず,耐摩耗性の改善に広く顕著な効果を発
揮する。当該摺動材料は,すべり軸受,ピストンリング
等の摺動部分,特に厳しい条件下,高い耐久性が要求さ
れる部位に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,事務機器,自動車,一
般産業機器などの軸受や摺動部位に広く使用されている
プラスチック摺動材料に関する。
【0002】
【従来の技術】かかる分野において,ポリアセタール樹
脂,ポリアミド樹脂,含フッ素樹等の耐熱性や摺動性の
ある各種合成樹脂材料が,簡便な摺動部材として従来か
ら広く使用されている。然し,一般的に軸受などの摺動
部材は,それらが使用される機器の性能や耐久性に直接
関与する重要部品である場合が多く,かかる合成樹脂摺
動材料に対して,耐摩耗性,低摩擦性等の摺動特性に対
する改善要求は根強いものが有った。
【0003】とりわけ機器のガタツキや低寿命化に結び
つく耐摩耗性に対する改善要求は特に強いものがあっ
た。この様な場合,固体潤滑材,例えば4フッ化エチレ
ン樹脂粉末,2硫化モリブデン,黒鉛微粉等の添加に依
る摺動特性の改善も実施されているが,未だ充分な耐摩
耗性が得られていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】合成樹脂摺動材料に要
求される摩擦摩耗特性,耐熱特性,機械特性は,摺動材
料が使用される機器の使用条件,温度条件,設定耐久寿
命,コスト要求など,各種の条件に応じて様々であり,
コスト/パーホーマンスの見合った材料が選定されるこ
とになる。
【0005】例えば,耐久寿命が要求される機器には耐
摩耗性の良好な材料が,使用温度が高い場合は耐熱性の
優れた材料が,それぞれ必要となる。本願発明において
は低摩擦係数,相手材への低損傷性を保ちながら,特に
低摩耗性材料を開発することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題は,各種の合
成樹脂材料に対し,高いモ−ス硬度(9以上)を有する
無機微粒子(10μ以下)を,限定された微量添加
(0.003〜0.3容量%)する事により達せられ,
相手材の損傷や摩擦の増加を来すことなく耐摩耗性に優
れた合成樹脂摺動材料を得ることができることを見出し
た。
【0007】上記の合成樹脂材料としては,用途に応じ
て適宜選択されうるが,一般的には適当な摺動特性と,
耐熱性,機械的特性を具備する公知の高分子材料が,本
願発明の摺動材料の基材として使用できる。例えば,ポ
リアセタール樹脂(以下POM),ポリアミド樹脂(P
A),ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS),四
フッ化エチレン重合樹脂などが望ましい。その他ポリエ
ーテルエーテルケトン樹脂(PEEK),ポリエーテル
ニトリル樹脂,ポリエチレン樹脂(PE),ポリプロピ
レン樹脂(PP),フェノール樹脂等も使用出来る。
【0008】(イ)これらの合成樹脂材料は,硬質微粒
子の添加の下,それぞれ単独でも摺動部の基材として使
用可能であるが(実施例21〜25),その摺動特性あ
るいは機械的特性を改善する目的で,2以上の異種樹脂
によるブレンドやアロイ化等を実施しても良い。
【0009】この場合,4フッ化エチレン重合樹脂(以
下PTFEと略称)と組合せた組成ついて特記すること
ができる。PTFEはその摩擦係数が低いことから,各
種合成樹脂材料の摩擦係数を効果的に低減する充填材と
して,最も汎用的に用いられいる材料の一つであるが,
PTFEを充填しても耐摩耗性の向上が計れない場合が
多く,改善が望まれていた。
【0010】(ロ)然し,PTFEを充填材として配合
した材料にも,本願発明に係る超硬微粒子を添加する手
段を適用することにより,PTFE添加の欠点を補い,
耐摩擦,耐摩耗,両特性の優れた摺動材料を得ることが
できた。(実施例11〜17,26,比較例11〜1
5,26) PTFEを摩擦特性改善の目的で,充填材として,他の
合成樹脂に配合する場,その配合比率はベースとなる他
の合成樹脂の成形性や強度特性を損なわない範囲,一般
的には50%以下,好ましくは5〜30容量%程度の範
囲で使用されることが多い。充填材用のPTFEとして
は,フルオンL169J(旭硝子社製),KTL−61
0(喜多村社製)等が好適に用いられる。
【0011】また,PTFEは摩擦係数の低いことのほ
か,良好な耐熱性と柔軟性を有していることから,PT
FEを主たる構成成分とした摺動材料が油,空圧機器の
ピストンリング,シ─ルリングあるいはリップシ─ル等
の摺動を伴うシ─ル部品分野で大きな市場を形成してい
る。この場合,PTFE単独では耐摩耗性が悪いため,
この改善の目的でポリイミド樹脂,芳香族ポリエステル
樹脂などの耐熱樹脂粉末あるいはガラス繊維,カ─ボン
繊維,青銅粉末などの充填材が,配合使用されている
が,充分満足しうる耐摩耗性材料が得られていないの
が,現状であった。
【0012】(ハ)本発明は,この様なPTFEを主た
る構成成分とする摺動材料の耐摩耗性の改善にも極めて
有効であった。(実施例31〜37) PTFEを主たる構成成分とする摺動材料の場合,その
配合比率は成形性と得られる成形品の機械特性の観点か
ら,50%以上配合されるのが一般的である。上記のP
TFEを主たる構成成分とする材料に使用するPTFE
としては,通常モールデングパウダと呼ばれる圧縮成型
後,加熱焼成して成型品を得るタイプのPTFEや,通
称ファインパウダと呼ばれる押出成型用のものも使用で
きる。具体的にはポリフロンTFE,M12,M11
2,M137(ダイキン工業社製),テフロン7ーJ
(実施例)等が挙げられる。 又,これら単独重合物
のみならず,4フッ化エチレンと他のモノマーとの共重
合物も同様に使用出来る。例えばテトラフルオロエチレ
ン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂,
テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロオイレン
共重合樹脂等も本発明の対象として挙げられる。
【0013】前者のPTFEを充填材として配合した材
料の成形法は,その材料の流動性に基本的には依存する
が,多くの合成樹脂材料においては射出成形法が適用で
き,量産性に優れている。一方,後者のPTFEを主た
る構成成分とする材料は,流動性が悪いため射出成形法
は適用できず,一般的には一旦室温にて予備圧縮成形
(圧力:40〜100MPa程度)した後,高温(35
0〜3900 C 程度)で焼成して成形品を得る方法をと
る。焼成時の雰囲気は,大気中でも実施できるが,でき
得れば真空中あるいは窒素など不活性ガス中で焼成する
と,材料の酸化劣化を抑制でき,成形性,物性上好まし
い場合もある。
【0014】次に,本願発明の最も重要な構成因子であ
る無機微粒子は,モ−ス硬度〔定義:例えば,化学便覧
(日本化学会編・改2版P601)〕表示で,9以上の
高い硬度を有する無機物である事が必要である。例えば
ダイヤモンド,炭化ケイ素,窒化ケイ素,酸化アルミニ
ウム,炭化チタニウム,炭化ホウ素(立方晶),炭化タ
ングステン等が挙げられる。
【0015】硬度の表示法としては,ウッドテル拡張ス
ケール,ビッカース法,ブリネル法等が知られている。
これらの測定方法により,また製造方法により,時には
結晶構造(立方晶,六方晶,など)により,化学的には
同一名の化合物でも,表示硬度には若干のズレがある。
ここには最も汎用的に用いられるモース(旧)表示法に
よる上記の便覧等によることとし,具体的な化合物名
(必要に応じ結晶系名を付記)として上に記した。
【0016】これらの微粒子の添加量は,合成樹脂摺動
材料100容量%にたいして,0.003〜0.3容量
%の範囲に選ぶことにより,相手材の損傷や摩擦の増大
を来すことなく優れた耐摩耗性を有する摺動材料が得ら
れる。当該添加量が0.003%を下回ると効果の発現
が少なく,また0.3%を超えると摩擦の増加や相手材
の損耗,傷つけを引き起こして好ましくない。
【0017】モース硬度と微粒子添加量とは相関が認め
られ,モース硬度が9より下回ると最適材を得るのに必
要な添加量が増大し,結果として摩擦の増加,摩耗の増
大現象や,相手材の損傷を来す。この様な知見にもとず
きモース硬度は9以上の微粉体で,添加量は0.003
〜0.3%の範囲を選定した。
【0018】無機微粒子の粒径は,樹脂成分との均一混
合性の点と,相手材の損傷を少なくする点から小さい程
好ましく,10μm(ミクロン,μと略記)以下,望ま
しくは3μ以下,最適には1μ以下のものが好ましい。
10μを越えるものは添加量が微量であっても相手材を
傷付け,摩耗させることが著しく本願の目的とする材料
として好ましくない。粒径が極めて小さい(例えば0.
1μ以下)場合には粒子同士の2次凝集力が強くなり,
プラスチック樹脂材料への均一分散性が悪くなる場合が
あり,必要に応じ微量の界面活性剤の添加が有効な事も
ある。
【0019】無機微粒子の形状は,上記の粒径と添加量
の範囲であれば所定の効果が得られるが,更に好ましく
は球状乃至楕円球状体であれば最適である。最近のセラ
ミツクス合成技術の進歩により,ダイヤモンド,炭化ケ
イ素,酸化アルミニウム等については粒径が1μ以下の
球状体に近いものが得られており(例えばB.炭化ケ
素,実施例35,36),これらは経済性を考慮しつつ特定
の用途用に使用する事ができる。
【0020】上記の如く,本願発明は(PTFE樹脂を
含み,又は含まざる)合成樹脂に対して,モース硬度9
以上,10μ以下の無機微粒子を,0.003〜0.3
容量%添加することを特徴とするものである。本願以前
に,PTFE樹脂に対して,モース硬度5以上,平均粒
径5μ未満の無機微粒子を0.5〜10重量%配合して
なる摺動部材料が知られている(特公平6ー7481
0)。然しこの従来例は,基材としてPTFE樹脂を謳
いながら,その全ての実施例にて40重量%もの多量の
ブロンズ粉を含有している点,無機微粒子の配合量が本
願発明の最適値と完全に異なる範囲を好適としている点
において,本願発明と大きく異なっている。(比較例3
4参照)
【0021】上記の如く本発明に係る摺動部材組成物
は,(合成樹脂材料/無機微粒子)の2成分を必須とす
るが,その摺動特性や,機械的特性を更に改善するため
に,その他の成分を任意に添加することができる。例え
ば黒鉛,二硫化モリブデン,雲母,滑石等の微粒状の固
体潤滑剤,強度向上の為に少量のチタン酸カリウム繊
維,ガラス繊維,炭素繊維を任意成分として更に添加し
てもよい。然しこれらの無機繊維の添加は繊維長,繊維
径,添加量等の要因が微妙で,相手材を損傷し易く,ま
た摩擦,摩耗特性を低下させることもあるが,摺動材が
特別に高い機械強度を要する場合には,添用することも
できる。この点から芳香族ポリアミド繊維などの有機繊
維は相手材への損傷性は低いので,補強には適して居
る。
【0022】各材料,即ち合成樹脂材料,PTFE,無
機微粒子,固体潤滑剤,補強用繊維等の混合については
均一分散可能な方法であれば,混合方法についてはこだ
わらない。任意の方法が採択出来る。また混合後の成形
方法は,主成分を構成する樹脂の性質に応じて,射出成
形,圧縮成形あるいは押出成形などの成形方法が選択で
きる。
【0023】
【作用】硬度が高い無機材料,例えばダイヤモンド,炭
化珪素の粉は,一般的には研磨材として知られ,相手材
を磨滅させる作用(アブレシブ作用とも呼ばれる)が強
く,低摩擦,低摩耗,相手材低損傷性を絶対的に必要と
する,すべり軸受などの摺動材料への添加材としては不
適当,寧ろ有害とも考えられていた。然し本願発明者等
は摺動現象について研究を進めるうち,特定の条件を選
ぶ事により,これらの硬度の高い無機材料粉の添加は却
って耐摩耗性を改善すると言う,従来の常識とは一見逆
転するかのような意外な事実を見出し,本願発明を完成
するに至った。
【0024】特定の条件とは,前記の解決手段の項に詳
記した様に,極めて硬度の高い無機材料粉を用いること
(硬度9以上),それに依って粉の添加量を非常に少な
くし得たこと(0.003〜0.3容量%),かつそれ
を極めて微粒状で用いること(粒径10μ以下)の組合
せであり,これにより摩擦の増大や相手材の損傷と言っ
た摺動材料に好ましくない現象を発現させることなく,
耐摩耗性の改善が計れたものと考えられる。
【0025】この硬質微粒子を配合すべき基材として
は,摺動部材として使用できる合成樹脂であれば特に制
限はないが,(イ)合成樹脂材料(PTFEを含まない
もの),(ロ)合成樹脂材料を主成分とし,これに充填
材として少量のPTFEを含むもの,(ハ)PTFEを
主たる構成成分とするもの等が,その用途に応じて適宜
採択される。以下,上記(イ),(ロ),(ハ)に就い
て,実施例により具体的に説明する。
【0026】
【実施例 11〜17,21〜26】 〔比較例11〜
15,21〜26〕 (イ)合成樹脂材料(PTFEを含まない)と各種硬質
微粒子からなる系 〔表 2〕(A.実施例 ,B.比較例 以下同じ) (ロ)各種合成樹脂材料,又はこれを主成分としたもの
に,充填材としてPTFEを混合した樹脂と,微粒子か
らなる系 〔表 1,2〕
【0027】(1) 供試原料 〔合成樹脂材料〕 材料1─PTFE(フルオンL169J,旭硝子社製)
を20(容)%混合したPPS(T−4,ト─プレン社
製) 材料2─POM(ジュラコンM90−01,ポリプラス
チック社製) 材料3─PA(グリロンA28GM,東レ社製) 材料4─PEEK(ビクトレッスPEEK450P,I
CI社製) 材料5─高密度PE(チッソポリエチM691,チッソ
社製) 材料6─超高分子量PE(ハイゼックスミリオン240
M,三井石油化学工業社製) 材料7─POM(ジュラコンM90−01.ポリプラス
チック社製)を90%(容)とPTFE(フルオンL1
69J,旭硝子社製)を10%混合した組成物
【0028】〔無機微粒子〕 A. ダイヤモンド(モ─ス硬度 10)─ミクロパウ
ダ300(平均粒径0.5μ,ゼネラルエレクトリック
社製) B. 炭化ケイ素(モース硬度9〜10)─MSC−2
0(平均粒径0.25μ,三井東圧化学社製)〔球状〕 C. 炭化ケイ素 ─GC#60
00(平均粒径2μ,不二見研磨材工業社製) D. 炭化ケイ素 ─GC#80
0(平均粒径20μ,不二見研磨材工業社製) E. 窒化ケイ素(モース硬度9〜10)─”窒化ケイ
素超微粉”(平均粒径0.7μ,昭和電工社製) F. 酸化ケイ素(モース硬度7) ─サイリシア35
0(平均粒径1.8μ,富士リシア化学社製) G. 酸化亜鉛 (モ−ス硬度4〜5)─”亜鉛華1
号”(平均粒径0.52μ,堺化学工業社製) (注)B.炭化ケイ素のみ球状ないし楕円球状であり,
その他は不定型状である。
【0029】(2)供試材料調整方法 上記原材料を表1,表2に示す所定の割合で配合し,材
料1〜5は射出成形,材料6は圧縮成形法により,供試
成形品を得た。
【0030】(3)試験方法 上記成形品試料を機械加工で5mm径,10mm長のピ
ン形状に加工し,これを用い,すべり速度0.5m/
秒,接触圧力0.3MPa,デイスク型相手材SUS0
3(表面粗さ3S),無潤滑の条件下でピンオンデイス
ク型摩擦摩耗試験機によりそれぞれ20時間の試験評価
を実施した。
【0031】(4)試験結果 上記方法によって得られた測定値より,摩擦係数,摩耗
係数(ピン試料の摩耗高さの経時変化より)を算出し
た。又相手材の損傷度は試験後に,当該成形品試料に対
抗する相手材の表面を,粗さ測定機により判定し,損傷
の認められないものを○印,認められるものを×印と表
示した。試験結果は,表1〔0042〕〔0043〕,
表2〔0044〕〔0045〕に記した。
【0032】(5)試験結果からの知見 表1.A,B及び表2A,Bの結果から次の知見が得ら
れる。 イ.モース硬度9以上の無機微粒子を所定量配合した材
料(実施例11〜17,無機微粒子を配合していない材
料(比較例11)に比べ,摩耗特性と相手材を損傷する
ことなく,特に耐摩耗性が改善されている。 ロ.モース硬度が9より低い無機微粒子を配合した材料
は,その配合量が本発範囲内であっても耐摩耗性の改善
は,見られない(比較例14,15)。また配合量が範
囲外の場合も改善の効果が認められない(比較例1
2)。 ハ.無機微粒子の平均粒径が大きい場合も摺動特性の改
善効果は認められなかった(比較例13)。
【0033】ニ.表2.A,Bは,各種合成樹脂材料に
所定の硬質微粒子を添加した場合であって,各材料にお
けるA.実施例とB.比較例間の比較から,微粒子添加
の効果が明らかである。
【0034】
【実施例 31〜37】 〔比較例 31〜39〕 (ハ)PTFEを主成分とした合成樹脂材料樹脂と,硬
質微粒子とからなる系 〔表 3 A,B〕 (1)供試原料 〔ベース樹脂〕 材料8─ PTFE─テフロン7−J(三井デュポンフ
ロロケミカル社製) 〔耐熱樹脂〕 材料9─ ポリイミドP84(#325メッシュパス
品,Lenzing社) 材料10─芳香族ポリエステル─エコノールE101S
(平均粒径15μ,住友化学社製) 材料11─芳香族ポリアミド─トワロン5011(平均
粒径50μ,日本アラミド社製)
【0035】〔無機微粒子〕 A. ダイヤモンド−1〔モース硬度10〕─ミクロパウ
ダ300(平均粒径0.5μ,ゼネラルエレクトリック
社製) B. 炭化ケイ素〔モース硬度9〜10〕─MSC−20
(平均粒径0.25μ,球状・三井東圧社製) C. 炭化ケイ素 ─GC#600
0(表示粒径2μ,不二見研磨材工業社製) D. 炭化ケイ素 ─GC#800
(表示粒径20μ,不二見研磨材工業社製) E. 窒化ケイ素〔モース硬度9〜10〕─窒化ケイ素超
微粉(平均粒径0.7μ,昭和電工社製) F.酸化ケイ素〔モース硬度7〕─サイリシア350
(平均粒径1.8μ,富士リシア化学社製) G. 酸化亜鉛〔モース硬度4〕─亜鉛華1号(平均粒径
0.52μ,堺化学工業社製) H. 窒化ホウ素〔モース硬度2〕─MBNー010(平
均粒径0.4μ,六方晶,三井東圧化学社製)
【0036】(2)供試材料調製方法 上記原材料を表3・A,Bに示す所定の割合(容量比)
で配合し,ミキサーを用いて攪拌混合した後,60MP
aの圧力で予備成形を行い,これを更に370°Cで5
時間焼成する事により供試成形品を得た。
【0037】(3)試験方法 上記成形品試料を,機械加工でφ5×10Lのピン形状
に加工し,このピン試料を用い,滑り速度2m/s,接
触圧力0.5MPa,ディスク型相手材SUS303
(表面粗さ3S),無潤滑の条件下でピンオンディスク
型摩耗摩擦試験機により,それぞれの試料について10
時間の試験評価を実施した。
【0038】(4)試験結果 上記の方法により得られた測定値より,摩擦係数,摩耗
係数(mm3 /N・m,ピン試料の摩耗高さの経時変化
から)を常法により算出した。結果を表3・A,Bに示
す。尚,相手材の損傷度は,試験後に当該成形品試料に
対抗する相手材の表面を,粗さ測定により判定し,損傷
の認められないものを○,認められるものを×と表示し
た。試験結果は,表3〔0046〕〔0047〕に,
A.実施例,B.比較例として記した。
【0039】(5)試験結果よりの知見 表3・A,Bに示す実施例及び比較例を対比すると下記
の知見が得られる。 イ.PTFEに耐熱樹脂,及びモース硬度9以上の無機
微粒子を本願所定の量に配合した材料(実施例31〜3
7)は,無機微粒子を配合しない材料(比較例31〜3
3)と比べて,摩擦係数と相手材の表面に損傷を与える
ことなく,特に耐摩耗性が著しく改善されている事がわ
かる。
【0040】ロ.然し,微粒子を配合しても比較例35
〜37に示すようにモース硬度が9より低い無機微粒子
を配合した材料は,それ以外を所定条件を合わせた場合
でも耐摩耗性の改善は見られない。 ハ.比較的モース硬度の低い無機微粒子を,比較例38
に示す様に,その配合量を増加させると相手材の損傷が
発生し,摩擦と摩耗が増加する 。 ニ.比較例34に示すように無機微粒子の配合比が,本
発明の範囲を外れると摺動特性の改善は見られない。 ホ.実施例33,34,37及び比較例39の対比よ
り,添加する硬質微粒子径が1μ以下の場合,特にその
形状が球状の場合,摩擦係数を低くする効果が顕著とな
る。また10μを超えると相手材を損傷する。
【0041】
【発明の効果】本発明に係る摺動材料は,前記(イ),
(ロ),(ハ)に詳記する様に基材となる各種合成樹脂
に対し,高硬度(モース硬度9以上)の無機微粒子(平
均粒径10μ以下)を,限定された配合量(0.003
〜0.3重量%)を添加することにより,従来の常識を
覆し,相手材の損傷を伴うことなく,意外,かつ驚くべ
き優れた耐摩耗性と低摩擦係数を発現させることができ
た。当該摺動材料は,従来摺動部材用として使用されて
きた各種合成樹脂材料や,特に含フッ素系樹脂の不存在
下,または存在下でもその量の多寡に関わらず,単に所
定の無機微粒子を添加するのみで,摺動部の摩耗量を著
しく低減させることができ,耐久性が向上した。 その
結果,すべり軸受,ピストンリング等,広範囲の用途,
特に厳しい条件下で高い耐久性を要求される用途に於い
て優れた摺動材料として使用できる。
【0042】
【表1】 A.実施例 11〜17 (注) 上表中,残部とは数字(%表示)を記載した成分の和を,100% より差し引いた値を示す。 以下の表も同じ。
【0043】
【0044】
【表 2】 A.実施例 21〜26
【0045】
【0046】
【表3】 A (実施例31〜37)
【0047】
【表3】 B (比較例31〜39 ) (注) ベース樹脂記号及び無機微粒子記号は,前記〔表3 〕A〔0046〕に 表示したものと共通する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 107:46 107:04 107:06 107:38 125:26 125:10 125:20 125:02) C10N 20:00 20:06 30:06 40:02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モース硬度が9以上であり,かつ平均粒
    径が10ミクロン(以下μと略記)以下である,無機微
    粒子を,0.003〜0.3容量%配合したことを特徴
    とする,合成樹脂をベースとした摺動部材組成物。
  2. 【請求項2】 ベースである合成樹脂の構成成分が,ポ
    リイミド樹脂,芳香族ポリエテル樹脂,芳香族ポリアミ
    ド樹脂,ポリフェニレンサルファイド(以下PPS),
    ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリエーテ
    ルニトリル,ポリアセタール樹脂(POM),ポリアミ
    ド樹脂,ポリエチレン樹脂(PE),ポリプロピレン樹
    脂(PP),含フッ素樹脂あるいはポリケトン樹脂の単
    独,又はこれらの樹脂の2以上の混合組成物からなる請
    求項1に記載の合成樹脂摺動部材組成物。
  3. 【請求項3】 充填材として四フッ化エチレン重合樹脂
    (以下PTFEと略称)を含むことを特徴とする請求項
    1,2に記載の合成樹脂摺動部材組成物。
  4. 【請求項4】 ベースである合成樹脂の主たる構成成分
    が,PTFEであることを特徴とする請求項1,2に記
    載の合成樹脂摺動部材組成物。
  5. 【請求項5】 無機微粒子がダイヤモンド,炭化ケイ
    素,窒化ケイ素,窒化ホウ素(立方晶),炭化ホウ素,
    酸化アルミニウム,酸化クロム,酸化ジルコニウム,炭
    化タングステン,炭化チタンの内,少なくとも一種以上
    を含む請求項1,2,3,4に記載の摺動部材組成物。
  6. 【請求項6】 無機微粒子の平均粒径が,3ミクロン
    (以下μと記す)以下である請求項1,2,3,4,5
    に記載の摺動部材組成物。
  7. 【請求項7】 無機微粒子が3μ以下の,球状体である
    請求項1,2,3,4,5,6に記載の摺動部材組成
    物。
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