JPH08239431A - 含水性眼用レンズ材料 - Google Patents

含水性眼用レンズ材料

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JPH08239431A
JPH08239431A JP6347495A JP6347495A JPH08239431A JP H08239431 A JPH08239431 A JP H08239431A JP 6347495 A JP6347495 A JP 6347495A JP 6347495 A JP6347495 A JP 6347495A JP H08239431 A JPH08239431 A JP H08239431A
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隆 真壁
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)親水性モノマーとして、N−アクリロイ
ルモルホリンを含有するか;又はN−アクリロイルモル
ホリン及びN−アクリロイルモルホリンと共重合可能で
且つ解離性基をもたない親水性モノマーを含有し;且つ
(B)N−アクリロイルモルホリンと共重合可能なフッ素
含有不飽和モノマー;並びに(C)架橋性モノマーを含有
するモノマー混合物を重合して得られる共重合体からな
る含水性眼用レンズ材料、前記の材料よりなる含水眼用
レンズ、そのための共重合体。 【効果】 本発明の含水性眼用レンズ材料及び含水眼用
レンズは、蛋白質等の汚染物の付着が殆どなく耐汚染性
に極めて優れていて、白濁や黄変、視力矯正能の低下、
眼障害や眼疾患の発生を防止することができ、しかも高
い酸素透過性を備えているので角膜障害を生ずることな
く長期連続装用することができ、高強度を有しているの
で耐久性に優れ、破損が少ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、含水性眼用レンズ材
料、前記の材料を用いて形成される含水眼用レンズ、お
よび前記の含水性眼用レンズ材料として適する共重合体
に関する。より詳細には、本発明は、レンズへの蛋白質
などの汚染物質の付着がほとんどなくて耐汚染性に極め
て優れており、しかもコンタクトレンズなどの眼用レン
ズに要求されている良好な酸素透過性や強度を備えてい
る含水眼用レンズ、そのための含水性眼用レンズ材料、
およびそれに適した有機高分子共重合体に関するもので
あり、本発明の含水性眼用レンズ材料は、ソフトコンタ
クトレンズ、眼内レンズ、人工硝子体などの含水眼用レ
ンズのための材料として適しており、特にソフトコンタ
クトレンズ用の材料として好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】従来、ソフトコンタクトレンズ用の材料
としては2−ヒドロキシエチルメタクリレートを主成分
とする共重合体ヒドロゲルが汎用されているが、これは
2−ヒドロキシエチルメタクリレート系共重合体が機械
による切削研摩性に優れていて容易にレンズに加工で
き、しかもそれを水和膨潤して得られるヒドロゲルが適
度な強度および柔軟性を有しているとの理由による。し
かしながら、2−ヒドロキシエチルメタクリレート系共
重合体ヒドロゲルからなるソフトコンタクトレンズは、
装用中または取り扱い中に、涙液中に含まれていたり手
指などに付着している蛋白質、脂質、細菌などの汚染物
質がレンズに付着し易く、耐汚染性が低いという欠点を
有する。特に、蛋白質の付着による汚れは、ソフトコン
タクトレンズの白濁や黄変の原因となってレンズの視力
矯正能の低下を生じ易く、しかもレンズに付着した蛋白
質が煮沸消毒によって変性してソフトコンタクトレンズ
に固着するというトラブルが度々生じている。そして、
ソフトコンタクトレンズに蛋白質などの汚染物質が固着
していると、眼に機械的な摩擦を与えたりアレルギー反
応を生じさせて眼障害や眼疾患を引き起こし、しかもソ
フトコンタクトレンズを構成している2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート系共重合体ヒドロゲルの含水率の低
下、視力矯正能の低下、酸素透過性の低下などを生じ
て、ソフトコンタクトレンズの性能の低下にもつなが
る。また、2−ヒドロキシエチルメタクリレート系共重
合体は、その含水率が一般に40%またはそれ以下であ
って含水率が低くて酸素透過性にも劣っているために、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート系共重合体ヒドロ
ゲルからなるソフトコンタクトレンズを長期に亙って連
続装用すると、角膜組織が酸素不足となって角膜障害を
起こすという欠点を有している。
【0003】そして、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート系共重合体ヒドロゲルからなるソフトコンタクトレ
ンズの上記した欠点を解消することを目的として、従
来、 (1) 蛋白質や脂質などの汚染物の付着量の抑制され
たソフトコンタクトを得るために、アルキレングリコー
ルのモノメタクレート50〜95重量%、トリフルオロ
エチルメタクリレートおよび/またはヘキサフルオロイ
ソプロピルメタクリート5〜25重量%、さらに分子中
に1個若しくはそれ以上のカルボキシル基を有する不飽
和カルボン酸、3個以上の多価アルコールのモノメタク
リートおよびアルキルメタクリートの3種の群の1種、
2種または3種の組み合わせの40重量%未満からなる
組成物を重合させ、それをレンズ状に機械加工及び研磨
してから、水和膨潤させてソフトコンタクトレンズを製
造する方法(特公昭62−62323号公報); (2) 強度が大きく且つ汚れの付着の少ない含水コン
タクトレンズを得るために、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、ジヒドロキシプロピルメタクリート、シク
ロヘキシルメタクリートおよび含フッ素不飽和有機酸モ
ノエステルを含有する単量体混合物を重合して得られる
共重合体を含水コンタクトレンズ材料として用いること
(特開平4−114016号公報);が提案されてい
る。
【0004】また、上記(1)および(2)以外にも、 (3) 酸素透過性および含水率の高いヒドロゲルを得
るために、2−ヒドロキシエチルメタクリレートよりも
親水性の高いN−ビニルラクタムやアクリルアミドを共
重合させたヒドロゲルを得る方法; (4) 上記の(3)の方法により得られる高含水性の
ヒドロゲルの低強度という欠点を改善するために、N−
アルキルまたはN−アルキレン置換(メタ)アクリルア
ミドの単独重合体、両者の共重合体、またはそれらの単
量体と他の共重合性単量体との共重合体を水に不溶化し
て水性ゲル用樹脂とする方法(特開昭60−25001
9号公報);が既に知られいる。
【0005】しかしながら、上記した(1)および
(2)の従来技術で得られるソフトコンタクトレンズ
は、共重合体中にフッ素原子を有する構造単位が存在す
ることによって蛋白質等の汚染物の付着量は低減されて
いるが、蛋白質などの付着を完全には防止できずかなり
の付着があり、耐汚染性の点で十分に満足のゆくもので
はない。しかも、上記した(1)および(2)の従来技
術で得られるソフトコンタクトレンズ材料は、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレートを主成分としているため
に、含水率が低く、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト系共重合体のもう一つの欠点である酸素透過性が低い
という欠点があまり改善されていない。また、上記した
(4)の従来技術で得られる水性ゲル用樹脂は、N−ア
ルキルおよび/またはN−アルキレン置換(メタ)アク
リルアミドからなる構造単位を樹脂中に含んでいること
によって、弾力性が高く且つ強度が高いという特性を有
しているものの、蛋白質等の汚染物質の付着は2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート系共重合体ヒドロゲルから
なるソフトコンタクトレンズ材料よりもむしろ多くなっ
ており、ソフトコンタクトレンズなどの含水性眼用レン
ズ材料としてやはり充分に満足のゆくものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、蛋白質などの汚染物質の付着がなく、耐汚染性
に優れており、しかもソフトコンタクトレンズなどの含
水眼用レンズにおいて必要とされている高い含水率、高
い酸素透過性および良好な機械的強度を兼ね備える含水
性眼用レンズ材料、それから得られる含水眼用レンズ、
そのための重合体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが検討を重ねた結果、含水性眼用レンズ材料
用の重合体を親水性モノマーの1種であるN−アクリロ
イルモルホリン、フッ素含有不飽和モノマーおよび架橋
性モノマーを含有するモノマー混合物を用いて製造する
と、それにより得られる共重合体のヒドロゲルが、分子
中にN−アクリロイルモルホリンから誘導される構造単
位とフッ素含有不飽和モノマーから誘導される構造単位
の両方を有していることにより、蛋白質などの汚染物質
の付着がほとんどなく耐汚染性に極めて優れているこ
と、そしてそのような共重合体ヒドロゲルは含水率や酸
素透過性が十分に高く、ソフトコンタクトレンズなどの
含水眼用レンズにおいて必要とされる諸特性を充分に満
足するものであること、さらに該共重合体は架橋性モノ
マーによって誘導される架橋した構造単位を有している
ことによって良好な強度、形状安定性などの特性を有し
ていることを見出した。
【0008】更に、本発明者らは、含水性眼用レンズ材
料用の上記した共重合体の製造に当たって、親水性モノ
マーとして、N−アクリロイルモルホリンと共に、N−
アクリロイルモルホリンと共重合可能で且つ解離性の基
をもたない親水性モノマーをを用いると、N−アクリロ
イルモルホリン、前記の解離性の基をもたない親水性モ
ノマー、フッ素含有不飽和モノマーおよび架橋性モノマ
ーを含有するモノマー混合物を重合して得られる共重合
体のヒドロゲルが、蛋白質などの汚染物質の付着がほと
んどなく耐汚染性に極めて優れ、しかも高い酸素透過性
を有すること、その上該共重合体が切削加工性や研磨加
工性などの機械加工性にも優れていることを見出し、そ
れらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、(A) 親水性モノ
マーとして、N−アクリロイルモルホリンを含有する
か;またはN−アクリロイルモルホリンおよびN−アク
リロイルモルホリンと共重合可能で且つ解離性の基をも
たない親水性モノマーを含有し;且つ(B) N−アク
リロイルモルホリンと共重合可能なフッ素含有不飽和モ
ノマー;並びに(C) 架橋性モノマー;を含有するモ
ノマー混合物を重合して得られる共重合体からなる含水
性眼用レンズ材料である。
【0010】そして、本発明は、上記の含水性眼用レン
ズ材料よりなる含水眼用レンズである。さらに、本発明
は、上記の含水性眼用レンズ材料として適する、(A)
親水性モノマーとして、N−アクリロイルモルホリン
を含有するか;またはN−アクリロイルモルホリンおよ
びN−アクリロイルモルホリンと共重合可能で且つ解離
性の基をもたない親水性モノマーを含有し;且つ(B)
N−アクリロイルモルホリンと共重合可能なフッ素含
有不飽和モノマー;並びに(C) 架橋性モノマー;を
含有するモノマー混合物を重合して得られる共重合体を
包含する。
【0011】上記したように、本発明の含水性眼用レン
ズ材料は、親水性モノマー(A)として、N−アクリロ
イルモルホリン[以下「N−アクリロイルモルホリン
(A1)という]を単独で含有するか、またはN−アク
リロイルモルホリン(A1)およびN−アクリロイルモ
ルホリンと共重合可能で且つ解離性の基をもたない親水
性モノマー[以下これを「非解離性親水性モノマー(A
2)」という]の両者を含有し、且つフッ素含有不飽和
モノマー[以下これを「フッ素含有不飽和モノマー
(B)」という]および架橋性モノマー[以下これを架
橋性モノマー(C)という]を更に含有するモノマー混
合物を重合して得られる共重合体からなっていることが
必要であり、共重合体がフッ素含有不飽和モノマー
(B)からなる構造単位と共にN−アクリロイルモルホ
リン(A1)からなる構造単位をポリマーの分子中に有
していることによって、蛋白質や脂質などの汚染物、特
に蛋白質の付着のほとんどない耐汚染性に極めて優れる
含水性眼用レンズ材料が得られる。
【0012】また、本発明において、親水性モノマー
(A)として、N−アクリロイルモルホリン(A1)お
よび非解離性親水性モノマー(A2)の両者を組み合わ
せて使用して、N−アクリロイルモルホリン(A1)、
非解離性親水性モノマー(A2)、フッ素含有不飽和モ
ノマー(B)および架橋性モノマー(C)を含有するモ
ノマー混合物を重合して共重合体を製造した場合には、
該共重合体からなる本発明の含水性眼用レンズ材料は、
蛋白質などの付着がほとんどなく耐汚染性に極めて優
れ、しかも酸素透過性や強度にも一層優れており、その
上切削加工や研磨加工などを行う際の機械加工性にも一
層優れるものとなる。
【0013】ここで、本発明で用いる、「非解離性親水
性モノマー(A2)」とは、N−アクリロイルモルホリ
ン(A1)と共重合可能であり、且つ水分や湿分の存在
下に解離して陰イオンや陽イオンを生ずる解離性の基
(例えばカルボン酸基、スルホン酸基、その他の酸性
基、それらの塩、アンモニウム基などのようなアルカリ
性基やその塩)をもっておらず、しかも非解離性親水性
モノマー(A2)に親水性の性質を付与する親水性の基
や結合を分子中にもっている、N−アクリロイルモルホ
リン(A1)以外のモノマーを意味する。そして、非解
離性親水性モノマー(A2)に親水性の性質を付与する
非解離性の上記した親水性の基や結合の例としては、カ
ルボニル基、アミド基、水酸基、グリシジル基、窒素や
酸素などの炭素以外の原子を有する複素環基、エーテル
結合、エステル結合などを挙げることができるが、これ
らに限定されない。
【0014】本発明で用いる非解離性親水性モノマー
(A2)の例としては、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど
のアルキレンオキシド(メタ)アクリレート類;N−ビ
ニル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、
N−ビニル−6−ヘキサンラクタム、N−ビニル−3−
メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−メチル−ピ
ペリドン、N−ビニル−3−メチル−6−ヘキサンラク
タム、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−
ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4
−メチル−6−ヘキサンラクタム、N−ビニル−5−メ
チル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−
ピペリドン、N−ビニル−5−メチル−6−ヘキサンラ
クタム、N−ビニル−6−メチル−6−ヘキサンラクタ
ム、N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、N−ビ
ニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル
−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−
3,3,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−ビニル
−5−メチル−5−エチル−2−ピロリドン、N−ビニ
ル−3,4,5−トリメチル−3−エチル−2−ピロリ
ドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−
ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−
3,5−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,
4−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−5−エチ
ル−6−ヘキサンラクタム、N−ビニル−3,5−ジメ
チル−6−ヘキサンラクタム、N−ビニル−4,6−ジ
メチル−6−ヘキサンラクタム、N−ビニル−2,4,
6−トリメチル−6−ヘキサンラクタムなどのN−ビニ
ルラクタム類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメ
チルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミ
ド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−(2−
ヒドロキシエチル)アクリルアミド、ジアセトンアクリ
ルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類などを挙げる
ことができる。これらの非解離性親水性モノマー
(A2)は1種類のみを使用してもまたは2種類以上を
組み合わせて使用してもよい。
【0015】上記した非解離性親水性モノマー(A2
のうちで、切削性や研磨加工性などの機械加工性に一層
優れた共重合体を得るためには、非解離性親水性モノマ
ー(A2)としてN−ビニル−2−ピロリドンおよび/
またはジアセトンアクリルアミドを用いるのが好まし
い。また、酸素透過性に一層優れた含水性眼用レンズ材
料を得るためには、非解離性親水性モノマー(A2)と
してN−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
クリルアミド、アクリルアミドおよび/またはN−ヒド
ロキシメチルアクリルアミドを用いるのが好ましい。し
たがって、それらの点を総合すると、切削性や研磨加工
性などの機械加工性および酸素透過性の両方に一層優れ
た含水性眼用レンズ材料を得るためには、非解離性親水
性モノマー(A2)としてN−ビニル−2−ピロリドン
を用いるのが最も好ましいということができる。すなわ
ち、上記したN−アクリロイルモルホリン(A1)、フ
ッ素含有不飽和モノマー(B)および架橋性モノマー
(C)と共に、非解離性親水性モノマー(A2)として
N−ビニル−2−ピロリドンを含有するモノマー混合物
を使用して得られる共重合体は、乾燥状態では比較的剛
直な性質を示し、切削性や研磨性などの機械加工性に極
めて優れており、しかもN−ビニル−2−ピロリドンの
高い親水性に起因して含水率が高く、その結果水和膨潤
後の共重合体ヒドロゲルは酸素透過性が極めて高く、含
水性眼用レンズ材料として極めて適したものになる。
【0016】ところで、切削性や研磨加工性などの機械
加工性の良好な含水性眼用レンズ材料を得るという点だ
けからみると、非解離性親水性モノマー(A2)の代わ
りに疎水性モノマーを用いれば十分に目的を達成できる
が、疎水性モノマーを用いた場合には含水性眼用レンズ
材料の機械加工性は良好であっても、得られる共重合体
は含水率が低くなって酸素透過性が著しく低下し、含水
性眼用レンズ材料として不適当なものとなるので、含水
性眼用レンズ材料の機械加工性および酸素透過性の両方
を優れたものにするために、N−アクリロイルモルホリ
ン(A1)、フッ素含有不飽和モノマー(B)および架
橋性モノマー(C)と共に、非解離性親水性モノマー
(A2)を好ましくは含有するモノマー混合物を用いて
共重合体を製造するのである。
【0017】そして、含水性眼用レンズ材料用の共重合
体の製造に用いるモノマー混合物において、モノマー混
合物が非解離性親水性モノマー(A2)を含有しない場
合には、モノマー混合物の全重量に基づいて、N−アク
リロイルモルホリン(A1)の含有量が50〜80重量
%であるのが好ましく、50〜70重量%であるのがよ
り好ましい。非解離性親水性モノマー(A2)を含有し
ないモノマー混合物を用いる場合に、N−アクリロイル
モルホリン(A1)の含有量がモノマー混合物の全重量
に基づいて50重量%未満であると、得られる共重合体
ヒドロゲルの耐汚染性が低下して、蛋白質などの汚染物
質の付着が発生し易い。一方、N−アクリロイルモルホ
リン(A1)の含有量がモノマー混合物の全重量に基づ
いて80重量%を超えると、得られる共重合体ヒドロゲ
ルの強度が低下して、ソフトコンタクトレンズなど含水
眼用レンズにした際に耐久性が失われ、しかも破損し易
くなる。
【0018】また、本発明において、モノマー混合物が
非解離性親水性モノマー(A2)を含有する場合には、
モノマー混合物の全重量に基づいて、N−アクリロイル
モルホリン(A1)の含有量が10〜70重量%である
のが好ましく、10〜50重量%であるのがより好まし
い。それと共に、モノマー混合物の全重量に基づいて、
N−アクリロイルモルホリン(A1)と非解離性親水性
モノマー(A2)の合計含有量が50〜85重量%であ
るのが好ましく、60〜80重量%であるのがより好ま
しい。また、非解離性親水性モノマー(A2)として、
上記したN−ビニル−2−ピロリドンを用いる場合に
は、モノマー混合物の全重量に基づいて、N−ビニル−
2−ピロリドンの含有量が20〜70重量%であるのが
好ましく、40〜65重量%であるのがより好ましい。
【0019】モノマー混合物が非解離性親水性モノマー
(A2)を含有する場合に、N−アクリロイルモルホリ
ン(A1)の含有量が、モノマー混合物の全重量に基づ
いて10重量%未満であると、得られる共重合体ヒドロ
ゲルの耐汚染性が低下して、蛋白質などの汚染物が付着
し易くなり、一方70重量%を超えると得られる共重合
体ヒドロゲルの強度が低下して、ソフトコンタクトレン
ズなどの含水眼用レンにした際に耐久性が失われ、破損
し易くなる。また、N−アクリロイルモルホリン
(A1)と非解離性親水性モノマー(A2)の合計含有量
が、モノマー混合物の全重量に基づいて、50重量%未
満であると、得られる共重合体よりなる含水性眼用レン
ズ材料の含水率が低下し、その結果として酸素透過性が
低下し易くなり、一方85重量%を超えると含水性眼用
レンズ材料の含水率は高くなるものの、機械的強度が低
下して耐久性が低く、破損し易い含水性眼用レンズ材料
となり易い。また、非解離性親水性モノマー(A2)と
してN−ビニル−2−ピロリドンを含有するモノマー混
合物を用いる場合には、N−ビニル−2−ピロリドンの
含有量が、モノマー混合物の全重量に基づいて、20重
量%未満であると、得られる含水性眼用レンズ材料の切
削性や研磨性の機械加工性が低下しがちであり、一方7
0重量%を超えると水和膨潤後の含水性眼用レンズ材料
の強度が低下して耐久性が低下し、破損し易くなる。
【0020】また、上記したモノマー混合物で用いる、
フッ素含有不飽和モノマー(B)は、本発明の含水性眼
用レンズ材料に対して、蛋白質などの汚染物の付着を防
止する耐汚染性能を付与すると共に強度を付与する。フ
ッ素含有不飽和モノマー(B)としては、フルオロアル
キル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく用いら
れ、そのうちでも、含水性眼用レンズ材料を透明性に優
れたものとすることができるという点から、炭素原子数
が2〜15までのフルオロアルキル基を有する(メタ)
アクリレートがより好ましく用いられる。
【0021】上記したフルオロアルキル基を有する(メ
タ)アクリレートの例としては、2,2,2−トリフル
オロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テ
トラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、3,3,
4,4−テトラフルオロブチル(メタ)アクリレート、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル
(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキ
サフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,
3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)
アクリレート、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフ
ルオロペンチル(メタ)アクリレート、3,3,4,
4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル(メ
タ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,
6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アク
リレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,
7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロノニル
(メタ)アクリレート、5−トリフルオロメチル−3,
3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロヘキシル
(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ヘプタフ
ルオロプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げること
ができ、上記したフルオロアルキル基を有する(メタ)
アクリレートは1種類のみを使用してもまたは2種以上
を組み合わせて使用してもよい。
【0022】上記したフルオロアルキル基を有する(メ
タ)アクリレートのうちでも、例えば2,2,3,3−
テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、3,
3,4,4−テトラフルオロブチル(メタ)アクリレー
ト、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ
ペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,
4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル
メチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,
5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフル
オロノニル(メタ)アクリレートなどのようなフルオロ
アルキル基の末端が−CF2Hであるフルオロアルキル
基を有する(メタ)アクリレートを使用した場合には、
光学的透明性により優れた含水性眼用レンズ材料を得る
ことができるので好ましい。
【0023】また、フッ素含有不飽和モノマー(B)と
して、フルオロアルキル基に水酸基を有している(メ
タ)アクリレートを単独でまたは上記したフルオロアル
キル基を有する(メタ)アクリレートと併用すると、該
フルオロアルキル基に水酸基を有する(メタ)アクリレ
ートは上記した親水性モノマー(A)との親和性が高い
ので、共重合体中におけるフッ素含有不飽和モノマー
(B)からなる構造単位の含有割合を高くすることがで
き、しかも光学的な透明性に一層優れた含水性眼用レン
ズ材料を得ることができる。本発明で好ましく用いられ
フルオロアルキル基に水酸基を有する(メタ)アクリレ
ートの例としては、3−(パーフルオロブチル)−2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パー
フルオロヘキシル)−2−ヒドロシキプロピル(メタ)
アクリレート、3−(パーフルオロオクチル)−2−ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフ
ルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチ
ルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、3−(パーフルオロ−3−メチルオクチル)−
2−ヒドロキシプロピルメチルアクリレートなどを挙げ
ることができ、これらは1種類のみを使用してもまたは
2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】そして、本発明においては、モノマー混合
物の全重量に基づいて、フッ素含有不飽和モノマー
(B)の含有量が15〜50重量%であるのが好まし
く、20〜40重量%であるのがより好ましい。フッ素
含有不飽和モノマー(B)の含有量が、モノマー混合物
の全重量に基づいて、15重量%未満であると、得られ
る共重合体およびそれからなる含水性眼用レンズ材料の
強度および耐汚染性が低いものとなり易く、一方50重
量%を超えると得られる含水性眼用レンズ材料および含
水眼用レンズの柔軟性が低下し、装用性などが不良にな
り易い。
【0025】そして、本発明においては、含水性眼用レ
ンズ材料およびそれからなる含水眼用レンズの形状安定
性および強度を確保するために、上記した(A)〜
(B)のモノマー成分と共に架橋性モノマー(C)を含
有するモノマー混合物を用いることが必要である。ここ
で、本発明で用いる架橋性モノマー(C)としては、親
水性モノマー(A)およびフッ素含有不飽和モノマー
(B)と共重合可能な基を2個以上、好ましくは2個有
し、且つ親水性モノマー(A)およびフッ素含有不飽和
モノマー(B)と親和性の高いモノマーを用いるのが好
ましい。好ましい架橋性モノマー(C)の例としては、
エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコ
ールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタク
リレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレー
ト、2,2’−ビス[p−(γ−メタクリロイルオキシ
−β−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、メ
チレンビスメタクリルアミド、メチレンビスアクリルア
ミド、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)ア
クリレート、シアヌル酸トリアリルなどを挙げることが
でき、これらの架橋性モノマー(C)は単独で使用して
もまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】本発明では、モノマー混合物の全重量に基
づいて、上記した架橋性モノマー(C)の含有量が0.
05〜5重量%であるのが好ましく、0.1〜1.0重
量%であるのが好ましい。架橋性モノマー(C)の含有
量が、モノマー混合物の全重量に基づいて、0.05重
量%未満であると、含水性眼用レンズ材料およびそれか
らなる含水眼用レンズの形状安定性および強度が低下し
易くなり、一方5重量%を超えると含水性眼用レンズ材
料や含水眼用レンズの形状安定性は向上するものの、含
水率が低下して柔軟性に乏しいものとなり易い。
【0027】また、本発明では、上記したモノマー成分
(A)〜(C)と共に、本発明の目的を阻害しない範囲
内で、必要に応じて他の重合性モノマーおよび/または
ポリマーを併用してもよい。その際の他の重合性モノマ
ーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレートなどの低級アルキル(メタ)アク
リレート類;イタコン酸ジエステル;酢酸ビニル、酪酸
ビニルなどの脂肪酸ビニル類;シクロヘキシル(メタ)
アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの環
状基を有する(メタ)アクリレートなどを挙げることが
でき、これらの重合性モノマーの1種または2種以上か
らなる構造単位を共重合体中に存在させることができ
る。また、使用し得る他のポリマーの例としては、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリメチル
(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これら
のポリマーの1種または2種以上を、モノマー混合物中
に含有させて重合を行うか、または重合後の共重合体に
これらのポリマーを配合して、本発明の含水性眼用レン
ズ材料を製造することができる。
【0028】本発明の含水性眼用レンズ材料用の共重合
体は、上記したモノマー成分を含有するモノマー混合物
に熱活性化重合開始剤または光(エネルギー線)活性化
重合活性剤を添加して、常法により重合させることによ
って製造することができる。重合開始剤として熱活性化
重合開始剤を使用する場合は、モノマー混合物の温度制
御が容易な恒温槽や熱風循環式加熱装置などを使用して
加熱を行って重合させることができ、通常、約30〜1
20℃の重合温度が好ましく用いられる。その際に用い
得る代表的な熱活性化重合開始剤の例としては、ベンゾ
イルパーオキサイド、イソプロピルパーカーボネート、
ラウロイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキ
シド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2’−アゾビスメチルイソブチレート、2,2’−アゾ
ビスジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビスイソ
ブチルアミド、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルな
どを挙げることができる。また、重合開始剤として光
(エネルギー線)活性化重合開始剤を使用する場合は、
紫外線、X線、電子線、可視光線などのエネルギー線を
モノマー混合物に照射して重合させることができる。そ
の際に用い得る代表的な光(エネルギー線)活性化重合
開始剤の例としては、ジエトキシアセトフェノン、1−
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジ
メトキシ−2−フェニルアセトフェノン、フェノチアジ
ン、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ベンゾ
イン、ベンゾインメチルエーテルなどを挙げることがで
きる。上記した熱活性化重合開始剤または光(エネルギ
ー線)活性化重合開始剤は、モノマー混合物の全重量に
基づいて0.01〜5重量%の範囲で用いるのが好まし
い。
【0029】そして、上記した重合を行うことによっ
て、含水性眼用レンズ材料として適した特性を有する本
発明の共重合体が得られる。該共重合体は含水性眼用レ
ンズ用の素材として切削加工や研磨加工などを施さずに
そのまま流通、販売しても、水和膨潤する前のレンズ形
態を有する中間製品の形態にして流通、販売しても、水
和膨潤した最終的な含水眼用レンズ製品の形態にして流
通、販売してもよい。上記により製造される共重合体か
ら本発明の含水眼用レンズを製造するに際しては、上記
により製造された共重合体またはそれよりなる所定形状
の成形品(例えばシート状物、板状物、ブロック状成形
品など)を切削研磨加工してレンズの形状にして製造し
ても、またはモノマー混合物を水和膨潤前の眼用レンズ
に相当する形状および寸法の型キャビティーを有する成
形型内で重合させて直接成形して製造してもよい。そし
て、そのようにして得られる切削研磨加工品または成形
品を生理食塩水、蒸留水などの水性液に浸漬して水和膨
潤させると、ソフトコンタクトレンズなどの水和膨潤し
た含水眼用レンズが得られる。
【0030】
【実施例】以下に本発明について実施例などにより具体
的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されな
い。以下の例においては、眼用レンズ材料の含水率、眼
用レンズ(ソフトコンタクトレンズ)の蛋白質付着量お
よび酸素透過係数、並びに眼用レンズ材料の引張強度を
下記のようにして測定した。
【0031】[眼用レンズ材料の含水率]下記の実施例
および比較例において重合によって得られた共重合体
(眼用レンズ材料)を直径15mmおよび厚さ0.2m
mになるように切断して円形フイルム状の試験片を製造
した。この試験片を25℃の生理食塩水中に一晩以上浸
漬して飽和状態になるまで水和膨潤させた後、生理食塩
水より取り出して表面に付着している余分の水を吸水紙
を用いてすばやく吸い取って、試験片の重量(Wa)を
測定した。次いで、水和膨潤させた試験片をその重量が
一定になるまで100℃の温度で脱水乾燥して、そのと
きの重量(Wb)を測定し、下記の式により、含水率を
算出した。
【0032】
【数1】 含水率(重量%)={(Wa−Wb)/Wa}×100
【0033】[眼用レンズ(ソフトコンタクトレンズ)
の蛋白質付着量] (1) 下記の実施例および比較例において重合により
得られた共重合体(眼用レンズ材料)を直径15mm、
厚さ10mmになるように切断し、これを常法によって
切削研磨加工した後、25℃の生理食塩水中で一晩水和
膨潤させ、ベースカーブ8.7mm、パワー0ジオプト
リー、直径13.5mmおよび厚み0.15mmのソフ
トコンタクトレンズを製造し、このソフトコンタクトレ
ンズを各例ごとに3枚ずつ用意した。 (2) 白色家兎(平均体重2.5kg/兎)を各例ご
とに3兎ずつ準備し、それそれの兎の片方の眼に上記
(1)で製造したソフトコンタクトレンズを2日間連続
して装用させた。装用後にソフトコンタクトレンズを兎
の眼から外し、1枚のレンズを1%ドデシル硫酸ナトリ
ウム(SDS)水溶液2ml中に35℃の温度で18時
間浸漬してレンズに付着している蛋白質を抽出し、その
抽出液中に含まれている蛋白質量をBCA蛋白測定キッ
ト(PIERCE社製)を用いて測定し、3枚のソフト
コンタクトレンズに付着していた蛋白質量を合計して、
その値を蛋白質付着量として下記の表3に記載した。
【0034】[眼用レンズ(ソフトコンタクトレンズ)
の酸素透過係数]下記の実施例および比較例において重
合により得られた重合体(眼用レンズ材料)を直径15
mm、厚さ10mmになるように切断し、これを常法に
よって切削研磨加工した後、25℃の生理食塩水中で一
晩水和膨潤させ、ベースカーブ8.7mm、パワー0ジ
オプトリーおよび直径13.5mmで、厚みがそれぞれ
0.05mm、0.10mm、0.15mmおよび0.
20mmの4枚のソフトコンタクトレンズ用のレンズを
作製した。これらのレンズの35℃における蒸留水中で
の酸素透過率を製科研式フイルム酸素透過率計(理科精
機工業株式会社製)により測定した。得られた測定値
を、厚さの逆数をX軸として、酸素透過率の逆数をY軸
とするグラフ上にプロットし、回帰直線のY切片を読み
とり、その逆数を酸素透過係数とした。
【0035】[眼用レンズ材料の引張強度]下記の実施
例および比較例において重合によって得られた共重合体
(眼用レンズ材料)を長さ10mm、厚さ0.3mmお
よび幅2mmの短冊状の平板に切断して試験片を製造し
た。この試験片の両端を試験機(島津製作所製「オート
グラフ IM−100型」)のつかみ具に固定し、25
℃の蒸留水中で、50mm/分の引張速度で試験片が破
断するまで引っ張って、破断時の応力を読み取ってその
引張強度とした。
【0036】《実施例1〜7》下記の表2に示すモノマ
ー組成を有するモノマー混合物の10.0gに対して、
熱活性化重合開始剤として2,2’−アゾビスイソ酪酸
ジメチル0.01gを添加した後、ポリプロピレン製の
試験管(容量20ml)に入れて、窒素置換後に密封し
た。これを55℃の恒温水槽中に24時間浸漬した後、
100℃の熱風循環式加熱装置に移して2時間保持し
て、重合を完結させた。冷却後に、試験管から共重合体
を取り出して、上記した方法で、試験片またはソフトコ
ンタクトレンズを作製して、その含水率、蛋白質付着
量、酸素透過係数および引張強度の測定を行った。その
結果を下記の表3に示す。
【0037】《比較例1〜3》下記の表2に示すモノマ
ー組成を有するモノマー混合物を使用した以外は実施例
1〜7と同様にして共重合体を製造し、その共重合体を
用いて試験片またはソフトコンタクトレンズを作製し
て、その含水率、蛋白質付着量、酸素透過係数および引
張強度の測定を上記した方法で行った。その結果を下記
の表3に示す。
【0038】《比較例 4》下記の表2に示すモノマー
組成を有するモノマー混合物を用いて実施例1〜7と同
様にして重合体を製造して、従来より汎用されている2
−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)系共重
合体よりなるソフトコンタクトレンズ材料およびソフト
コンタクトレンズを作製し、その含水率、蛋白質付着
量、酸素透過係数および引張強度を上記した方法で測定
したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0039】なお、下記の実施例1〜7および比較例1
〜4においては、モノマーを略号で示しているが、略号
とモノマーの種類の具体的な内容は下記の表1に示すと
おりである。
【0040】
【表1】 略 号 : モノマーの種類 ACMO :N−アクリロイルモルホリン NVP :N−ビニル−2−ピロリドン HEMA :2−ヒドロキシエチルメタクリレート 8FM :2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル メタクリレート EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート NMBAA:N,N’−メチレンビスアクリアミド MMA :メチルメタクリレート nHMA :n−ヘキシルメタクリレート
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】上記の表2および表3の結果から、N−ア
クリロイルモルホリン(A1)、フッ素含有不飽和モノ
マー(B)(8FM)および架橋性モノマー(C)(E
GDMA)の3種を含有するモノマー混合物を重合して
得られた実施例1の共重合体からなるソフトコンタクト
レンズ用材料およびソフトコンタクトレンズ、並びにN
−アクリロイルモルホリン(A1)、非解離性親水性モ
ノマー(A2)(NVP)、フッ素含有不飽和モノマー
(B)(8FM)および架橋性モノマー(C)(EGD
MA)の4種を含有するモノマー混合物を重合して得ら
れた実施例2〜7の共重合体からなるソフトコンタクト
レンズ用材料およびソフトコンタクトレンズは、いずれ
も蛋白質の付着がほとんどなく、耐汚染性に極めて優れ
ていること、しかも含水率がいずれも40%よりも高く
ソフトコンタクトレンズに必要とされている高い酸素透
過係数を有していること、その上、ソフトコンタクトレ
ンズに必要とされるレベルの良好な引張強度を備えてい
ることがわかる。更に、上記の表2および表3の結果か
ら、親水性モノマー(A)としてN−アクリロイルモル
ホリン(A1)と共に非解離性親水性モノマー(A2
(NVP)を用いて得られた実施例2〜7の共重合体か
らなる含水性眼用レンズ材料および含水性眼用レンズで
は、蛋白質の付着が全くなく耐汚染性に極めて優れてい
るという上記と同様の特性を有すると共に、含水率、酸
素透過係数および引張強度に一層優れており、ソフトコ
ンタクトレンズ用材料として極めて適していることがわ
かる。
【0044】これに対して、N−アクリロイルモルホリ
ン(A1)と架橋性モノマー(C)(NMBAA)のみ
を含有するモノマー混合物を重合して得られた比較例1
のソフトコンタクトレンズ用材料およびソフトコンタク
トレンズの場合は、含水率が極めて高いものの、蛋白質
の付着量が大きく、しかも酸素透過係数と引張強度が測
定できないほど強度が低いことがわかる。また、親水性
モノマー(A)と架橋性モノマー(C)のみを含むモノ
マー混合物を重合して得られた比較例2のソフトコンタ
クトレンズ用材料およびソフトコンタクトレンズ、並び
に親水性モノマー(A)としてN−アクリロイルモルホ
リン(A1)を含有しないモノマー混合物を重合して得
られた比較例3のソフトコンタクトレンズ用材料および
ソフトコンタクトレンズは、いずれも蛋白質の付着量が
極めて大きく、耐汚染性が劣っていることがわかる。更
に、従来公知のソフトコンタクトレンズに相当する比較
例4のソフトコンタクトレンズ用材料およびソフトコン
タクトレンズは、実施例1〜7のものに比べて蛋白質の
付着量が極めて大きく、蛋白質の付着を防止できないこ
と、しかも含水率も40%よりも低くて十分な酸素透過
性能を有していないことがわかる。
【0045】
【発明の効果】本発明の含水性眼用レンズ材料、それか
らなる含水眼用レンズは、レンズへの蛋白質などの汚染
物質の付着がほとんどなく、耐汚染性に極めて優れてい
るので、蛋白質のレンズへの付着により従来発生してい
た、ソフトコンタクトレンズなどの含水眼用レンズの白
濁や黄変、それに伴う視力矯正能の低下、眼障害や眼疾
患の発生を効果的に防止することができる。そして、本
発明の含水性眼用レンズ材料およびそれよりなる含水眼
用レンズは、眼用レンズとして必要な良好な含水率およ
び酸素透過性を備えているので、角膜障害などを生ずる
ことなく長期に亙って連続装用することができる。更
に、本発明の含水性眼用レンズ材料およびそれよりなる
含水眼用レンズは、、十分な強度を有しているので、耐
久性に優れ、破損が少ない。そして、本発明の含水性眼
用レンズ材料は、上記した良好な耐汚染性、高い含水
率、高い酸素透過性、高強度などの特性により、ソフト
コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工硝子体などの含水
眼用レンズとして有効に使用することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) 親水性モノマーとして、N−ア
    クリロイルモルホリンを含有するか;またはN−アクリ
    ロイルモルホリンおよびN−アクリロイルモルホリンと
    共重合可能で且つ解離性の基をもたない親水性モノマー
    を含有し;且つ(B) N−アクリロイルモルホリンと
    共重合可能なフッ素含有不飽和モノマー;並びに(C)
    架橋性モノマー;を含有するモノマー混合物を重合し
    て得られる共重合体からなる含水性眼用レンズ材料。
  2. 【請求項2】 モノマー混合物が、上記の親水性モノマ
    ー(A)として、N−アクリロイルモルホリンと共重合
    可能で且つ解離性の基をもたない親水性モノマーを含有
    しない場合に、モノマー混合物の全重量に基づいて、N
    −アクリロイルモルホリンの含有量が50〜80重量
    %、フッ素含有不飽和モノマーの含有量が15〜50重
    量%および架橋性モノマーの含有量が0.05〜5重量
    %であるモノマー混合物を重合して得られる共重合体か
    らなる請求項1の含水性眼用レンズ材料。
  3. 【請求項3】 モノマー混合物が、上記の親水性モノマ
    ー(A)として、N−アクリロイルモルホリンおよびN
    −アクリロイルモルホリンと共重合可能で且つ解離性の
    基をもたない親水性モノマーを含有する場合に、モノマ
    ー混合物の全重量に基づいて、N−アクリロイルモルホ
    リンの含有量が10〜70重量%、フッ素含有不飽和モ
    ノマーの含有量が10〜50重量%、架橋性モノマーの
    含有量が0.05〜5重量%であって、且つN−アクリ
    ロイルモルホリンと前記親水性モノマーとの合計含有量
    が50〜85重量%であるモノマー混合物を重合して得
    られる共重合体からなる請求項1の含水性眼用レンズ材
    料。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項の含水性眼
    用レンズ材料よりなる含水眼用レンズ。
  5. 【請求項5】 (A) 親水性モノマーとして、N−ア
    クリロイルモルホリンを含有するか;またはN−アクリ
    ロイルモルホリンおよびN−アクリロイルモルホリンと
    共重合可能で且つ解離性の基をもたない親水性モノマー
    を含有し;且つ(B) N−アクリロイルモルホリンと
    共重合可能なフッ素含有不飽和モノマー;並びに(C)
    架橋性モノマー;を含有するモノマー混合物を重合し
    て得られる共重合体。
  6. 【請求項6】 モノマー混合物が、上記の親水性モノマ
    ー成分(A)として、N−アクリロイルモルホリンと共
    重合可能で且つ解離性の基をもたない親水性モノマーを
    含有しない場合に、モノマー混合物の全重量に基づい
    て、N−アクリロイルモルホリンの含有量が50〜80
    重量%、フッ素含有不飽和モノマーの含有量が15〜5
    0重量%および架橋性モノマーの含有量が0.05〜5
    重量%であるモノマー混合物を重合して得られる請求項
    5の共重合体。
  7. 【請求項7】 モノマー混合物が、上記の親水性モノマ
    ー(A)として、N−アクリロイルモルホリンおよびN
    −アクリロイルモルホリンと共重合可能な親水性モノマ
    ーを含有する場合に、モノマー混合物の全重量に基づい
    て、N−アクリロイルモルホリンの含有量が10〜70
    重量%、フッ素含有不飽和モノマーの含有量が10〜5
    0重量%、架橋性モノマーの含有量が0.05〜5重量
    %であって、且つN−アクリロイルモルホリンと前記親
    水性モノマーとの合計含有量が50〜85重量%である
    モノマー混合物を重合して得られる請求項5の共重合
    体。
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JP2011524542A (ja) * 2008-06-02 2011-09-01 ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド タンパク質の取り込みが少ないシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ

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