JP2001066557A - ヒドロゲルおよびそれからなる眼用レンズ - Google Patents

ヒドロゲルおよびそれからなる眼用レンズ

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JP2001066557A
JP2001066557A JP23789299A JP23789299A JP2001066557A JP 2001066557 A JP2001066557 A JP 2001066557A JP 23789299 A JP23789299 A JP 23789299A JP 23789299 A JP23789299 A JP 23789299A JP 2001066557 A JP2001066557 A JP 2001066557A
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hydrogel
acrylate
vinyl
monomer unit
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Takashi Makabe
隆 真壁
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 含水率および酸素透過性が高く、耐汚染性、
機械的強度および柔軟性に優れ、しかも温度による視力
矯正能の変化が少ない眼用レンズを与えるヒドロゲルを
提供する。 【解決手段】 フッ素含有単量体単位、親水性単量体単
位および2個以上の重合性基を有する単量体単位からな
る共重合体からなり、35℃における貯蔵弾性率(E
2’)が3.0×106〜7.0×106dyn/cm2
でありかつ20℃における貯蔵弾性率(E1’)と35
℃における貯蔵弾性率(E2’)との比(E2’/E
1’)が0.8〜1.2であるヒドロゲルにより上記の
課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒドロゲルおよび
それからなる眼用レンズに関する。本発明のヒドロゲル
は、含水率および酸素透過性が高く、耐汚染性、柔軟性
および機械的強度に優れ、しかも温度による視力矯正能
の変化が少ないことから、コンタクトレンズ、眼内レン
ズ、人工水晶体などの眼用レンズの材料として有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ソフトコンタクトレンズ用の材料
としては2−ヒドロキシエチルメタクリレートを主成分
とする共重合体ヒドロゲルが汎用されてきた。その理由
は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート系共重合体が
機械による切削研摩性に優れていて容易にレンズに加工
でき、しかもそれを水和膨潤して得られるヒドロゲルが
適度な強度および柔軟性を有していることによる。しか
しながら、2−ヒドロキシエチルメタクリレート系共重
合体ヒドロゲルの含水率は一般に40重量%よりも低
く、該ヒドロゲルから形成したソフトコンタクトレンズ
は酸素透過性に劣っている。そのため、2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート系共重合体ヒドロゲル製のソフト
コンタクトレンズを装着した際に、角膜への酸素供給量
が生理的な要求を満たさず、長期にわたって装着すると
角膜組織が酸素不足になって眼障害を引き起こす危険が
ある。
【0003】そこで、酸素透過性の低い2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート系共重合体ヒドロゲルの代わり
に、酸素透過性の高いソフトコンタクトレンズおよびそ
のための材料の開発が試みられており、そのような従来
技術としては、 (1) N−ビニルラクタム類と(メタ)アクリル系モ
ノマーなどの、互いに共重合しにくい2種のビニルモノ
マーを用いて架橋重合体を製造する際に、架橋剤とし
て、一方のビニルモノマーに対し共重合性の高い架橋剤
ともう一方のビニルモノマーに対し共重合性の高い架橋
剤の2種類の架橋剤を用いて、眼用レンズ材料などとし
て用いる二重架橋構造を有する高分子材料を製造する方
法(特開昭50−3487号公報、特開昭50−140
594号公報); (2) ジメチルアクリルアミドとフルオロアルキル
(メタ)アクリレートから主としてなる組成物を共重合
させて成形した含水性ソフトコンタクトレンズ(特開昭
63−293520号公報); (3) N,N−ジメチルアクリルアミドおよび特定の
フルオロアルキル(メタ)アクリレートを特定の量で含
有し、場合により他の共重合性ビニルモノマーおよび架
橋剤を所定量以下で含有する重合性組成物を共重合して
なる共重合体並びにそれよりなるコンタクトレンズ(特
開平2−70713号公報);を挙げることができる。
【0004】しかしながら、上記(1)の従来技術で得
られる高分子材料は、コンタクトレンズなどの眼用レン
ズにおいて必須の要件とされている耐汚染性を有してお
らず、そのためその高分子材料からなるソフトコンタク
トレンズを装着した際に、レンズへの汚染物質の付着が
多く、角膜障害を引き起こしたり、視力矯正が十分に行
えないなどの問題がある。 また、上記(2)および(3)の従来技術で得られるコ
ンタクトレンズは、強度が極めて低くて破損し易く、耐
久性がないために、実用的ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかして、本発明の目
的は、含水率および酸素透過性が高く、耐汚染性、機械
的強度および柔軟性(装用感)に優れ、しかも温度によ
る視力矯正能の変化が少ない眼用レンズを与えるヒドロ
ゲルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明者らは研究を行ない、(i)重合性の親水
性モノマー、N−ヒドロキシメチルアクリルアミドおよ
び架橋剤を重合させて得られる共重合体よりなるヒドロ
ゲル;(ii)N−ビニルラクタムと特定のフルオロアル
キル(メタ)アクリレートの共重合体よりなる含水性眼
用レンズ材料;(iii)N−アクリロイルモルホリン、
フッ素含有不飽和モノマーおよび架橋性モノマーを含有
するモノマー混合物を重合して得られる共重合体からな
る含水性眼用レンズ材料;並びに(iv)N−ビニルラク
タム、N,N−ジメチルアクリルアミド、フルオロアル
キル(メタ)アクリレートおよび架橋性モノマーを含有
するモノマー混合物を重合して得られる共重合体よりな
る眼用レンズ材料がソフトコンタクトレンズなどの眼用
レンズの材料として適していることを見出して先に出願
した(特開平6−134029号公報、特開平7−53
639号公報、特開平8−239431号公報および特
開平9−278832号公報を参照)。
【0007】そして、本発明者らは、上記した研究を踏
まえてさらに検討を重ねた結果、フッ素含有単量体単
位、親水性単量体単位および2個以上の重合性基を有す
る単量体単位からなる共重合体からなり、特定の弾性率
特性を有するヒドロゲルが、温度による視力矯正能の変
化が少なく、どのような環境下でも安定して視力が得ら
れやすく、さらに高含水性、高酸素透過性、耐汚染性、
高強度、高柔軟性などの特性を兼ね備えており、ソフト
コンタクトレンズなどの眼用レンズの材料として用いる
のに極めて適していることを見出した。
【0008】すなわち、本発明は、フッ素含有単量体単
位、親水性単量体単位および2個以上の重合性基を有す
る単量体単位からなる共重合体からなり、35℃におけ
る貯蔵弾性率(E2’)が3.0×106〜7.0×1
6dyn/cm2でありかつ20℃における貯蔵弾性率
(E1’)と35℃における貯蔵弾性率(E2’)との
比(E2’/E1’)が0.8〜1.2であるヒドロゲ
ルおよびそれからなる眼用レンズである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明のヒドロゲルを構成する共重合体は、フッ
素含有単量体単位、親水性単量体単位および2個以上の
重合性基を有する単量体単位からなる。
【0010】上記のフッ素含有単量体単位は、ヒドロゲ
ルおよびそれからなる眼用レンズ、特にコンタクトレン
ズに対して、蛋白質などの汚染物質の付着を防止する耐
汚染性を付与すると共に、その機械的強度を向上させる
のに寄与する。上記の単位を誘導するフッ素含有単量体
としては、(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエス
テル、すなわちフルオロアルキル(メタ)アクリレート
が好ましく用いられる。フルオロアルキル(メタ)アク
リレートしては、フルオロアルキル基の炭素数が2〜1
5であるフルオロアルキル(メタ)アクリレートが、ヒ
ドロゲルおよびそれからなる眼用レンズの透明性を一層
良好なものとする点から好ましく用いられる。
【0011】本発明で好ましく用いられるフルオロアル
キル(メタ)アクリレートの例としては、2,2,2−
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,
3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレー
ト、3,3,4,4−テトラフルオロブチル(メタ)ア
クリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
イソプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,
4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペン
チル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,
5−ヘプタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘ
キシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,
4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル
(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,
5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフル
オロノニル(メタ)アクリレート、5−トリフルオロメ
チル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオ
ロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3
−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレートなどを
挙げることができ、これらのフルオロアルキル(メタ)
アクリレートは1種のみを使用してもまたは2種以上を
用いてもよい。
【0012】特に、本発明では、フッ素含有単量体とし
て、フルオロアルキル(メタ)アクリレートのうちで
も、下記の一般式(I): CH2=C(R1)−COO−(CH2)m−(CF2)n−CF2H (I) (式中、R1は水素原子またはメチル基、mは1〜4の
整数、nは1〜10の整数を表す。)で示されるフルオ
ロアルキル(メタ)アクリレートが、光学的透明性に優
れるヒドロゲルを提供する点からより好ましく用いられ
る。
【0013】上記の一般式(I)で表されるフルオロア
ルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2,
2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレ
ート、3,3,4,4−テトラフルオロブチル(メタ)
アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オク
タフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフル
オロヘプチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘ
キサデカフルオロノニル(メタ)アクリレートなどを挙
げることができる。
【0014】また、本発明では、フッ素含有単量体とし
て、そのフルオロアルキル基に置換基として水酸基を有
するフルオロアルキル(メタ)アクリレートを単独で使
用しても、またはこれと上記した水酸基を有しないフル
オロアルキル(メタ)アクリレートとを併用してもよ
い。フルオロアルキル基に水酸基を有するフルオロアル
キル(メタ)アクリレートは、親水性単量体との相溶性
が高いため、得られるヒドロゲルにおけるフッ素含有単
量体単位の含有割合を高くして、耐汚染性、光学的透明
性、機械的強度に一層優れるヒドロゲルを得ることがで
きる。
【0015】フルオロアルキル基に水酸基を有するフル
オロアルキル(メタ)アクリレートの例としては、3−
(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、3−(パーフルオロヘキシル)−2
−ヒドロシキプロピル(メタ)アクリレート、3−(パ
ーフルオロオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブ
チル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、3−(パーフルオロ−3−メチルヘキシル)−2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パー
フルオロ−3−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、こ
れらは1種のみを使用してもまたは2種以上を使用して
もよい。
【0016】上記の親水性単量体単位は、ヒドロゲルに
親水性を付与する成分である。該単位を誘導する親水性
単量体としては、ヒドロゲルの耐汚染性を高める観点か
ら、水分や湿分の存在下に解離して陰イオンや陽イオン
を生じる解離性の基、例えばカルボキシル基、スルホン
酸基等の酸性基、アンモニウム基等のアルカリ性基など
を有しておらず、しかもヒドロゲルに親水性を付与する
基または結合、例えばカルボニル基、アミド基、グリシ
ジル基、窒素や酸素等の炭素以外の原子を有する複素環
基、エーテル結合、エステル結合を有するものが好まし
く用いられる。
【0017】上記の解離性基を有しない親水性単量体と
しては、N−ビニルラクタム、アルキレンオキシド(メ
タ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミドから選
ばれる少なくとも1種の単量体が好ましく、機械加工性
の点から、N−ビニルラクタムとアルキレンオキシド
(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミドと
を組み合わせて使用するのがより好ましい。
【0018】上記のN−ビニルラクタムとして、環内に
式:−CON(CH=CH2)−で示される原子団を有す
る環式化合物(すなわち環内の窒素原子にビニル基が結
合しているラクタム)のいずれもが使用でき特に制限さ
れない。本発明で用い得るN−ビニルラクタムとして
は、各種のN−ビニル−β−プロピオラクタム類、N−
ビニル−γ−ブチロラクタム類(N−ビニル−2−ピロ
リドン類)、N−ビニル−δ−バレロラクタム類(N−
ビニル−2−ピペリドン類)、N−ビニル−ε−カプロ
ラクタム類などを挙げることができる。
【0019】より具体的には、本発明で用い得るN−ビ
ニルラクタムとして、例えば、N−ビニル−2−ピロリ
ドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、N−
ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5
−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−エチル−
2−ピロリドン、N−ビニル−4,5−ジメチル−2−
ピロリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロ
リドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチル−2−ピ
ロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチル−2−
ピロリドン、N−ビニル−3,4,5−トリメチル−3
−エチル−2−ピロリドン等のN−ビニル−2−ピロリ
ドン類;N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3
−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4−メチル−
2−ピペリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピペリ
ドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−
ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−
3,5−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,
4−ジメチル−2−ピペリドン等のN−ビニル−2−ピ
ペリドン類;N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビ
ニル−3−メチル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−
4−メチル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−7−メ
チル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−
ε−カプロラクタム、N−ビニル−3,5−ジメチル−
ε−カプロラクタム、N−ビニル−3,5−ジメチル−
ε−カプロラクタム、N−ビニル−4,6−ジメチル−
ε−カプロラクタム、N−ビニル−3,5,7−トリメ
チル−ε−カプロラクタムなどのN−ビニル−ε−カプ
ロラクタム類などを挙げることができる。本発明では親
水性単量体として、前記したN−ビニルラクタムの1種
のみを使用してもまたは2種以上を併用してもよい。そ
のうちでも、本発明では、親水性単量体としてN−ビニ
ル−2−ピロリドンおよびN−ビニル−2−ピペリドン
の一方または両方が好ましく用いられる。
【0020】本発明では、上記の(メタ)アクリルアミ
ドとして、下記の一般式(II): CH2=C(R2)−CO−N(R3)(R4) (II) [式中、R2は水素原子またはメチル基であり、R3およ
びR4はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基
または水酸基を有する炭素数1〜4のアルキル基である
か、あるいはR3とR4が結合して式:−(CH2n
(式中nは4〜6の整数を表す)で示されるアルキレン
基または式:−(CH22−O−(CH22−で示され
る2価の基を形成している。]で示される(メタ)アク
リルアミドが好ましく用いられる。
【0021】上記の一般式(II)で表される(メタ)ア
クリルアミドにおいて、R3とR4が結合して式:−(C
2n−(nは上記と同じ)で示されるアルキレン基ま
たは式:−(CH2)2−O−(CH2)2−で示される2価の
基を形成している場合は、これらの2価の基と(メタ)
アクリルアミドにおけるアミド窒素原子とによって窒素
を有する複素環が形成される。
【0022】本発明で好ましく用いられる(メタ)アク
リルアミドの具体例としては、(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N
−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メ
タ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロ
キシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイ
ルモルホリンなどを挙げることができ、これらの(メ
タ)アクリルアミドは1種のみを使用してもまたは2種
以上を使用してもよい。そのうちでも、本発明では(メ
タ)アクリルアミドとしては、親水性、柔軟性および機
械的強度の点から、アクリルアミド、N−ヒドロキシメ
チルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド
およびN−アクリロイルモルホリンから選ばれる少なく
とも1種の(メタ)アクリルアミドがより好ましく用い
られ、前記特性に加えて、機械加工性の点から、N−ア
クリロイルモルホリンがさらに好ましく用いられる。
【0023】上記の重合性基を少なくとも2つ以上有す
る単量体単位は、ヒドロゲルおよび眼用レンズに形状安
定性および強度を付与する成分である。重合性基を少な
くとも2つ以上有する単量体単位を誘導する単量体とし
ては、フッ素含有単量体および親水性単量体と共重合可
能な重合性基を2個以上有する単量体であればいずれも
使用でき特に制限されない。該重合性基としては、(メ
タ)アクリロイルオキシ基、ビニル基およびアリル基か
ら選ばれる少なくとも1種の基が好ましい。
【0024】上記の重合性基を少なくとも2つ以上有す
る単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、
1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネ
オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのア
ルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ジエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレング
リコールジ(メタ)アクリレート類;アリル(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、2,2−ビス[p−(γ−メタクリロイルオ
キシ−β−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]ブロパ
ン、メチレンビス(メタ)アクリアミド、アリル(メ
タ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、シア
ヌル酸トリアリルなどを挙げることができる。これらの
重合基を少なくとも2つ以上有する単量体は1種類のみ
を使用してもまたは2種以上を併用してもよい。
【0025】本発明のヒドロゲルを構成する共重合体
は、得られる眼用レンズの装用感をよくし、温度による
視力矯正能の変化を少なくする観点から、全単量体単位
の合計重量に基づいて、フッ素含有単量体単位10〜2
5重量%、親水性単量体単位73〜88重量%、重合性
基を少なくとも2つ以上有する単量体単位0.01〜1
0重量%からなるのが好ましく、フッ素含有単量体単位
10重量%以上20重量%未満、親水性単量体単位78
重量%以上88重量%以下、重合性基を少なくとも2つ
以上有する単量体単位0.3重量%以上3重量%以下か
らなるのがより好ましい。また、同様の観点から、上記
の親水性単量体単位は、全親水性単量単位の合計重量に
基づいてN−ビニルラクタム単位60〜80重量%とア
ルキレンオキシド(メタ)アクリレート単位または(メ
タ)アクリルアミド単位40〜20重量%からなるのが
好ましく、N−ビニルラクタム単位63〜78重量%と
アルキレンオキシド(メタ)アクリレート単位または
(メタ)アクリルアミド単位37〜22重量%からなる
のがより好ましい。
【0026】本発明のヒドロゲルを構成する共重合体
は、上記した単量体単位と共に、本発明の目的を阻害し
ない範囲内で、必要に応じて他の共重合可能な単量体の
単位を含有していてもよい。そのような他の共重合可能
な単量体の例としては、酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウ
リン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類などを挙げることがで
きる。これらの他の単量体は1種類のみを用いても、ま
たは2種以上を用いてもよい。上記の他の単量体単位を
含有させる場合は、全単量体単位の合計重量に基づい
て、約5重量%以下にするのが、上記した優れた特性を
有するヒドロゲルおよび眼用レンズを得る上で好まし
い。
【0027】本発明のヒドロゲルの35℃における貯蔵
弾性率(E2’)は、3.0×10 6〜7.0×106
yn/cm2の範囲内である。該貯蔵弾性率が3.0×
106dyn/cm2未満の場合には、弾性率が低すぎ
て、レンズが柔らかく、レンズの視力矯正能が低下し、
7.0×106dyn/cm2を超える場合には、弾性率
が高すぎて、異物感が強くなり、得られる眼用レンズの
装用感が低下する。上記の35℃における貯蔵弾性率と
しては、装用感および視力矯正能の観点から、3.5×
106〜6.5×106dyn/cm2の範囲内であるの
が好ましく、3.5×106〜6.0×106dyn/c
2の範囲内であるのがより好ましい。
【0028】本発明のヒドロゲルの20℃における貯蔵
弾性率(E1’)と35℃における貯蔵弾性率(E
2’)との比(E2’/E1’)は0.8〜1.2の範
囲内である。一般に眼用レンズは、20〜25℃付近で
調温調湿された環境で製造されるが、この眼用レンズを
使用する際には眼組織の温度(35〜37℃)条件下に
おかれる。つまり、眼用レンズを装用すると、眼用レン
ズは必ず温度変化を受けることとなる。本発明者らは、
上記の貯蔵弾性率の比を上記の範囲内にすることによ
り、ヒドロゲルから得られる眼用レンズの温度による焦
点の鮮明度の変化およびそれに伴う視力矯正能の変化を
小さくすることができることを見出したのである。上記
の貯蔵弾性率の比(E2’/E1’)が0.8未満の場
合および1.2を超える場合には、眼用レンズが眼組織
の温度に順応するまでの間にレンズの剛性(柔軟性)が
変化して眼用レンズの焦点の鮮明度が低下し、そのよう
な眼用レンズ、特にソフトコンタクトレンズを装用した
場合には、装用直後に一時的に装用者の矯正視力が不安
定になることがある。眼用レンズの温度による焦点の鮮
明度の変化および視力矯正能の変化をより小さくする観
点から、上記の貯蔵弾性率の比は、0.8〜1.1の範
囲内であるのが好ましく、0.8〜1.0の範囲内であ
るのがより好ましい。
【0029】本発明のヒドロゲルは、フッ素含有単量体
10〜25重量%、親水性単量体73〜88重量%およ
び2個以上の重合性基を有する単量体0.01〜10重
量%からなる単量体混合物を重合させ、得られた共重合
体を生理食塩液などの等張水溶液に浸漬することによっ
て製造することができる。その場合の重合法としては、
通常採用されている方法を採用すればよく、特に制限さ
れない。典型的には、上記の共重合体は、熱活性化重合
開始剤および/またはエネルギー線(光など)活性化重
合開始剤を用いて常法により重合することによって得る
ことができる。熱活性化重合開始剤を用いて加熱下に単
量体混合物を重合させる場合は、温度調節が容易な恒温
水槽や熱風循環式加熱装置などを使用して加熱下に重合
させる方法が好ましく用いられ、その場合には一般に3
0〜120℃の重合温度が好ましく用いられる。また、
エネルギー線照射により重合を行う場合は、上記した単
量体混合物にエネルギー線活性化重合開始剤を添加し
て、エネルギー線(紫外線、X線、電子ビーム、可視光
線など)を照射することにより、上記の共重合体を得る
ことができる。
【0030】重合に用い得る熱活性化重合開始剤および
エネルギー線活性化重合開始剤の種類などは特に制限さ
れず従来既知のものを使用することができる。熱活性化
重合開始剤の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、
イソプロピルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイ
ド、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスメチル
イソブチレート、2,2’−アゾビスジメチルバレロニ
トリル、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,
2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルなどを挙げることがで
きる。また、エネルギー線活性化重合開始剤の例として
は、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フ
ェニルアセトフェノン、フェノチアジン、ジイソプロピ
ルキサントゲン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテ
ルなどを挙げることができる。熱活性化重合開始剤およ
びエネルギー線活性化重合開始剤は1種のみを使用して
もまたは2種以上を併用してもよい。また、熱活性化重
合開始剤とエネルギー線活性化重合開始剤を併用しても
よい。熱活性化重合開始剤およびエネルギー線活性化重
合開始剤は、一般に、単量体混合物の全重量に基づいて
0.01〜5重量%の割合で用いるのが好ましい。
【0031】また、本発明では、着色したヒドロゲルを
得る目的で、単量体の混合物に色素を添加しておいても
よく、また得られたヒドロゲルを着色してもよい。
【0032】上記のようにして得られるヒドロゲルは、
温度によるレンズの視力矯正能の変化が小さく、しかも
含水率および酸素透過性が高く、耐汚染性および機械的
強度に優れており、かつ適度な貯蔵弾性率特性を有して
いる。したがって、ソフトコンタクトレンズ、眼内レン
ズ、人工硝子体などの眼用レンズ用の素材として好適で
あり、特にソフトコンタクトレンズ用素材として適して
いる。
【0033】本発明のヒドロゲルからなる眼用レンズを
製造するに当たっては、プラスチック製の眼用レンズを
製造するのに従来から採用されている方法のいずれもが
採用でき特に制限されない。例えば、 (1) フッ素含有単量体、親水性単量体および重合性
基を少なくとも2つ以上有する単量体を必須単量体とし
て含有し、必要に応じて他の単量体、色素などを含有す
る単量体混合物を重合・成形して、所定形状の成形品
(例えばシート状物、板状物、ブロック状成形品など)
を製造し、その成形品を切削・研磨するレースカット
法; (2) 前記の単量体混合物を、眼用レンズに相当する
型キャビティーを有する型内に充填して型内で重合・成
形するモールド法; (3) 前記の単量体混合物を、眼用レンズの一部分に
相当する型キャビティーを有する型内に充填して型内で
重合・成形した成形品を切削・研磨するブランクモール
ド法; (4) 回転軸の周りに高速回転する型面に前記の単量
体混合物を滴下し、単量体混合物を型面上で放射状に流
延拡散させると同時に重合・成形するスピンキャスト
法; などの方法を採用して眼用レンズの形状の成形品を製造
し、該成形品を生理食塩水、蒸留水などの水性液に浸漬
して水和膨潤させると、ソフトコンタクトレンズ等のコ
ンタクトレンズ、眼内レンズ、人工硝子体などの眼用レ
ンズを製造することができる。ヒドロゲルまたは眼用レ
ンズの含水率としては、柔軟性、機械的強度の点から、
50重量%以上であるのが好ましく、50〜85重量%
の範囲内であるのがより好ましく、55〜75重量%の
範囲内であるのがさらに好ましい。このようにして得ら
れる本発明の眼用レンズは、100g/mm2以上の高
い引張強度、30×10-11cc・cm/cm2・sec
・mmHg以上の高い酸素透過係数および耐汚染性等の
優れた性能を有している。
【0034】
【実施例】以下に本発明について実施例などにより具体
的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されな
い。以下の例においては、ヒドロゲルの含水率、引張強
度および貯蔵弾性率、眼用レンズ(ソフトコンタクトレ
ンズ)の酸素透過性(酸素透過係数)、耐汚染性、焦点
の鮮明度の温度変化および装用感は、次のようにして測
定または評価した。
【0035】ヒドロゲルの含水率:下記の実施例および
比較例において得られた共重合体を直径15mmおよび
厚さ0.2mmになるように切断して円形フイルム状の
試験片を作製した。この試験片を25℃の生理食塩水中
に一晩以上浸漬して飽和状態になるまで水和膨潤させた
後、生理食塩水より取り出して表面に付着している余分
の水を吸水紙ですばやく吸い取って、試験片(ヒドロゲ
ル)の重量(Wa)を測定した。次いで、水和膨潤させ
た試験片をその重量が一定になるまで100℃の温度で
脱水乾燥して、そのときの重量(Wb)を測定し、下記
の式により、含水率を算出した。 含水率(重量%)={(Wa−Wb)/Wa}×100
【0036】ヒドロゲルの引張強度:下記の実施例およ
び比較例において得られた共重合体を長さ10mm、厚
さ0.3mmおよび幅2mmの短冊状の平板に切断して
試験片を作製した。この試験片の両端を試験機(島津製
作所製「オートグラフ IM−100型」)のつかみ具
に固定し、25℃の蒸留水中で、50mm/分の引張速
度で試験片(ヒドロゲル)が破断するまで引っ張って、
破断時の応力を読み取って、引張強度とした。
【0037】ヒドロゲルの貯蔵弾性率:下記の実施例お
よび比較例において得られた共重合体を水和膨潤させた
後、長さ10mm、厚さ1.61mmおよび幅5.08
mmの直方体に切断して試験片を作製した。この試験片
の両端を試験機(レオロジー社製 FTレオスペクトラ
ー DVE−V4)のつかみ具に固定し、10℃の蒸留
水中で、5℃/分の昇温速度で試験片を振幅幅1μm、
1Hzの正弦波で引張り、20℃および35℃における
貯蔵弾性率をそれぞれ測定した。下記の数式に基づいて
貯蔵弾性率の比を算出した。 貯蔵弾性率の比=(35℃での貯蔵弾性率)/(20℃
での貯蔵弾性率)
【0038】ソフトコンタクトレンズの酸素透過係数: (1) 下記の実施例および比較例において得られた共
重合体を直径15mm、厚さ10mmになるように切断
し、これを常法により切削研磨加工した後、水和膨潤
し、ベースカーブ8.7mm、パワー0ジオプトリー、
直径13.5mm、並びに厚みがそれぞれ0.05m
m、0.10mm、0.15mmおよび0.20mmの
4枚のソフトコンタクトレンズを作製した。 (2) 上記(1)で作製したソフトコンタクトレンズ
の酸素透過率を35℃の蒸留水中で製科研式フイルム酸
素透過率計(理科精機工業株式会社製)により測定し
た。厚さの逆数をX軸とし、酸素透過率の逆数をY軸と
してグラフ上にプロットし、これらの回帰直線のY切片
を読み取り、その逆数を眼用レンズ(ソフトコンタクト
レンズ)の酸素透過係数とした。
【0039】ソフトコンタクトレンズの耐汚染性: (1) 下記の実施例および比較例において得られた共
重合体を直径15mm、厚さ10mmになるように切断
し、これを常法により切削研磨加工した後、水和膨潤
し、ベースカーブ8.7mm、パワー0ジオプトリー、
直径13.5mm、および厚みが0.20mmのソフト
コンタクトレンズを作製した。 (2) 上記(1)で作製したソフトコンタクトレンズ
を白色家兎に2日間連続して装用させた。装用後、拡大
投影機にてレンズを投影し(拡大率10倍)、投影図を
観察して、汚れの付着がみとめられないものを良好
(○)、汚れの付着が明らかに認められるものを不良
(×)として評価した。
【0040】ソフトコンタクトレンズの焦点の鮮明度の
温度変化: (1) 下記の実施例および比較例において得られた共
重合体を直径15mm、厚さ10mmになるように切断
し、これを常法により切削研磨加工した後、水和膨潤さ
せ、ベースカーブ8.7mm、パワー−3.00ジオプ
トリー、直径13.5mmおよび厚みが0.20mmの
ソフトコンタクトレンズを作製した。 (2) 上記(1)で作製したソフトコンタクトレンズ
を20℃の生理食塩水中で、ニデック社製レンズメータ
ー(LM−750C)によりレンズの頂点屈折力を測定
し、その際の焦点の鮮明度を判定した。さらに、35℃
の生理食塩水中で、20℃の場合と同様の方法で焦点の
鮮明度を浸漬直後、浸漬後3分、浸漬後5分の時点でそ
れぞれ判定し、下記の評価基準に基づいて焦点の鮮明度
の温度変化を評価した。 ×:35℃の焦点の鮮明度が、浸漬直後、浸漬後3分お
よび浸漬後5分の時点のすべてにおいて20℃の焦点の
鮮明度より低下している。 △:35℃の焦点の鮮明度が、浸漬直後および浸漬後3
分の時点では20℃の焦点の鮮明度より低下している
が、浸漬後5分の時点では20℃の焦点の鮮明度とほぼ
同等である。 ○:35℃の焦点の鮮明度が、浸漬直後では20℃の焦
点の鮮明度より低下しているが、浸漬後3分および浸漬
後5分の時点では20℃の焦点の鮮明度とほぼ同等であ
る。 ◎:35℃の焦点の鮮明度が、浸漬直後、浸漬後3分お
よび浸漬後5分の時点のすべてにおいて20℃の焦点の
鮮明度とほぼ同等である。
【0041】ソフトコンタクトレンズの装用感: (1) 下記の実施例および比較例において得られた共
重合体を直径15mm、厚さ10mmになるように切断
し、これを常法により切削研磨加工した後、水和膨潤
し、ベースカーブ7.5mm、パワー0ジオプトリー、
直径13.0mm、および厚みが0.20mmのソフト
コンタクトレンズを作製した。 (2) 上記(1)で作製したソフトコンタクトレンズ
を白色家兎(角膜の平均曲率半径:6.25〜6.75
mm)に2日間連続して装用させた。レンズを取り外し
た後、家兎の前眼部を細隙灯顕微鏡(倍率:6倍)で観
察し、下記の評価基準に基づいて装用感を評価した。 ◎:結膜の充血が認められず、かつ分泌物が認められな
い ○:分泌物は認められないが、結膜の充血が認められ
る。 △:結膜の充血が認められ、かつ分泌物が眼内のみに認
められる。 ×:結膜に充血が認められ、分泌物が眼外に流出してい
る。
【0042】《実施例1〜5》 (1) 下記の表2に示す組成を有する単量体混合物1
0.0gに熱活性化重合開始剤として2,2’−アゾビ
スイソ酪酸ジメチル0.01gを添加した後、ポリプロ
ピレン製の試験管(容量20ml)に入れて、窒素置換
後に密封した。これを55℃の恒温水槽中に24時間浸
漬して重合させた後、100℃の熱風循環式加熱装置に
移して2時間保持して重合を完結させた。冷却後、試験
管より共重合体を取り出した。 (2) 上記(1)で得た共重合体を用いて、上記した
方法で試験片(ヒドロゲル)およびソフトコンタクトレ
ンズを作製し、上記した方法により、ヒドロゲルの含水
率、引張強度および貯蔵弾性率、眼用レンズ(ソフトコ
ンタクトレンズ)の酸素透過性(酸素透過係数)、耐汚
染性、焦点の鮮明度の温度変化および装用感の測定また
は評価を行った。その結果を下記の表3に示す。
【0043】《比較例1〜3》 (1) 下記の表2に示す組成を有する単量体混合物1
0.0gに熱活性化重合開始剤として2,2’−アゾビ
スイソ酪酸ジメチル0.01gを添加した後、ポリプロ
ピレン製の試験管(容量20ml)に入れて、窒素置換
後に密封した。これを55℃の恒温水槽中に24時間浸
漬して重合させた後、100℃の熱風循環式加熱装置に
移して2時間保持して重合を完結させた。冷却後、試験
管より共重合体を取り出した。 (2) 上記(1)で得た共重合体を用いて、上記した
方法で試験片(ヒドロゲル)およびソフトコンタクトレ
ンズを作製し、上記した方法により、ヒドロゲルの含水
率、引張強度および貯蔵弾性率、眼用レンズ(ソフトコ
ンタクトレンズ)の酸素透過性(酸素透過係数)、耐汚
染性、焦点の鮮明度の温度変化および装用感の測定また
は評価を行った。なお、比較例2は特開昭63−293
520号公報に、比較例3は特開平2−70713号公
報に記載された発明またはそれに類似する発明に相当す
る。その結果を下記の表3に示す。
【0044】下記の表2では、および他の単量体を略号
で記載しているが、その内容は下記の表1に示すとおり
である。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】上記の表2および表3の結果から、実施例
1〜5で得られたヒドロゲルおよび眼用レンズ(ソフト
コンタクトレンズ)は、67重量%以上の高い含水率、
100g/mm2以上の高い引張強度、30×10-11
c・cm/cm・sec・mmHg以上の高い酸素透過
係数および良好な耐汚染性、装用感等の諸特性に優れ、
しかも焦点の鮮明度の温度変化が少ないことがわかる。
【0049】これに対して、フッ素含有単量体単位を含
有せず、35℃における貯蔵弾性率が7.0×106
り大きい比較例1のヒドロゲル[親水性単量体と重合性
基を少なくとも2つ以上含有する単量体の混合物を用い
て得られたヒドロゲル]は、酸素透過性、耐汚染性およ
び装用感に劣ることが分かる。特開昭63−29352
0号公報に記載された発明またはそれに類似する発明に
相当する比較例2および特開平2−70713号公報に
記載された発明またはそれに類似する発明に相当する比
較例3では、20℃における貯蔵弾性率(E1’)と3
5℃における貯蔵弾性率(E2’)との比(E2’/E
1’)が本発明で規定する範囲の値より小さく、それぞ
れ0.20および0.33であり、焦点の鮮明度の温度
変化が大きく、また酸素透過性が低いことがわかる。さ
らに、比較例2のヒドロゲルは含水率が低く、比較例3
のヒドロゲルは耐汚染性に劣ることが分かる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、含水率および酸素透過
性が高く、耐汚染性、機械的強度および柔軟性に優れ、
しかも温度による焦点の鮮明度の変化が少なく、視力矯
正能の変化がほとんどない眼用レンズを与えるヒドロゲ
ルが提供される。また、本発明のヒドロゲルから得られ
る、コンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズ、
眼内レンズ、人工硝子体等の眼用レンズは装用感に優れ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H006 BB03 BB05 BB09 4J100 AL08Q AL62R AL63R AL66R AL75R AM15P AM17P AM19P AM21P AM24R AQ06P AQ07P AQ08P AQ21R BA02P BA02R BA03P BA03R BA08R BB07Q BB11Q BB17Q BB18Q BC43R CA05 CA31 DA37 DA49 DA51 HA53 HB29 JA34

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素含有単量体単位、親水性単量体単
    位および2個以上の重合性基を有する単量体単位からな
    る共重合体からなり、35℃における貯蔵弾性率(E
    2’)が3.0×106〜7.0×106dyn/cm2
    でありかつ20℃における貯蔵弾性率(E1’)と35
    ℃における貯蔵弾性率(E2’)との比(E2’/E
    1’)が0.8〜1.2であるヒドロゲル。
  2. 【請求項2】 共重合体が、フッ素含有単量体単位10
    〜25重量%、親水性単量体単位73〜88重量%およ
    び2個以上の重合性基を有する単量体単位0.01〜1
    0重量%からなることを特徴とする請求項1記載のヒド
    ロゲル。
  3. 【請求項3】 含水率が50重量%以上である請求項1
    または2記載のヒドロゲル。
  4. 【請求項4】 親水性単量体単位が、N−ビニルラクタ
    ム、アルキレンオキシド(メタ)アクリレートおよび
    (メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも1種の
    単量体から誘導される単位である請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載のヒドロゲル。
  5. 【請求項5】 重合性基が、(メタ)アクリロイルオキ
    シ基、ビニル基およびアリル基から選ばれる少なくとも
    1種の基である請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒ
    ドロゲル。
  6. 【請求項6】 フッ素含有単量体単位が、フルオロアル
    キル(メタ)アクリレート単位である請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載のヒドロゲル。
  7. 【請求項7】 フルオロアルキル(メタ)アクリレート
    単位が、下記の一般式(I); CH2=C(R1)−COO−(CH2)m−(CF2)n−CF2H (I) (式中、R1は水素原子またはメチル基、mは1〜4の
    整数、nは1〜10の整数を表す。)で示されるフルオ
    ロアルキル(メタ)アクリレートから誘導される単位で
    ある請求項6に記載のヒドロゲル。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のヒ
    ドロゲルからなる眼用レンズ。
  9. 【請求項9】 ソフトコンタクトレンズである請求項8
    記載の眼用レンズ。
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