JPH08239217A - 三斜晶系構造のビスマス希土類酸化物固溶体とその 製造方法 - Google Patents
三斜晶系構造のビスマス希土類酸化物固溶体とその 製造方法Info
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- JPH08239217A JPH08239217A JP7070735A JP7073595A JPH08239217A JP H08239217 A JPH08239217 A JP H08239217A JP 7070735 A JP7070735 A JP 7070735A JP 7073595 A JP7073595 A JP 7073595A JP H08239217 A JPH08239217 A JP H08239217A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 一般式i2-2xLn2xO3 (ただし、LnはD
y、Ho、YまたはErであり、LnがDyまたはEr
の場合x=0.45〜0.5であり、LnがHoまたは
Yの場合x=0.4〜0.5である)で表される三斜晶
系構造のビスマス希土類酸化物固溶体。 【効果】 新規な三斜晶系構造のビスマス希土類酸化物
固溶体を創製することが可能となり、このビスマス希土
類酸化物固溶体を用いて、高機能なセンサー材料などの
各種高機能材料の提供が可能となる。
y、Ho、YまたはErであり、LnがDyまたはEr
の場合x=0.45〜0.5であり、LnがHoまたは
Yの場合x=0.4〜0.5である)で表される三斜晶
系構造のビスマス希土類酸化物固溶体。 【効果】 新規な三斜晶系構造のビスマス希土類酸化物
固溶体を創製することが可能となり、このビスマス希土
類酸化物固溶体を用いて、高機能なセンサー材料などの
各種高機能材料の提供が可能となる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、三斜晶系構造のビス
マス希土類酸化物固溶体とその製造方法に関するもので
ある。さらに詳しくは、この発明は、電気伝導体等とし
て、各諸分野における新規材料の創生と、その高機能化
および高性能化製品への応用に有用な、三斜晶系構造の
ビスマス希土類酸化物固溶体とその製造方法に関するも
のである。
マス希土類酸化物固溶体とその製造方法に関するもので
ある。さらに詳しくは、この発明は、電気伝導体等とし
て、各諸分野における新規材料の創生と、その高機能化
および高性能化製品への応用に有用な、三斜晶系構造の
ビスマス希土類酸化物固溶体とその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、電気産業、情報電
子産業、機械産業、および、生物工学産業などの諸分野
において、製品の高機能化および高性能化に寄与する材
料の発展には著しいものがあり、現在においても、その
さらなる発展のための精力的な研究が進められている。
子産業、機械産業、および、生物工学産業などの諸分野
において、製品の高機能化および高性能化に寄与する材
料の発展には著しいものがあり、現在においても、その
さらなる発展のための精力的な研究が進められている。
【0003】このような材料科学とその工学的応用分野
においては、新しい酸化物セラミックスの創製について
大きな関心が寄せられており、その酸化物セラミックス
の一つとして、たとえば、酸化ビスマス(Bi2 O3 )
と希土類酸化物(Ln2 O3)との二成分系固溶体など
のような、ビスマス系や希土類系の複合酸化物がある。
においては、新しい酸化物セラミックスの創製について
大きな関心が寄せられており、その酸化物セラミックス
の一つとして、たとえば、酸化ビスマス(Bi2 O3 )
と希土類酸化物(Ln2 O3)との二成分系固溶体など
のような、ビスマス系や希土類系の複合酸化物がある。
【0004】しかしながら現在まで、このような複合酸
化物については、必ずしもその相平衡や構造的特徴が明
確にされていないこともあり、このような複合酸化物を
用いた新しい材料としての発展には制約があるのが実情
であった。実際、従来までは、この酸化ビスマス(Bi
2 O3 )と希土類酸化物(Ln2O3 )との二成分系固
溶体における安定な構造は、たとえば、希土類酸化物の
組成が50モル%近傍までの酸化ビスマス過剰領域にお
いて、面心立方晶系に属する酸素欠損蛍石型構造である
とされていた。
化物については、必ずしもその相平衡や構造的特徴が明
確にされていないこともあり、このような複合酸化物を
用いた新しい材料としての発展には制約があるのが実情
であった。実際、従来までは、この酸化ビスマス(Bi
2 O3 )と希土類酸化物(Ln2O3 )との二成分系固
溶体における安定な構造は、たとえば、希土類酸化物の
組成が50モル%近傍までの酸化ビスマス過剰領域にお
いて、面心立方晶系に属する酸素欠損蛍石型構造である
とされていた。
【0005】だが、その後の研究で、この酸化ビスマス
と希土類酸化物との二成分系固溶体については、希土類
元素(Ln)が原子番号の小さい順でランタン(Ln)
からエルビウム(Er)まで、および、イットリウム
(Y)である場合、希土類酸化物の組成が20〜25モ
ル%付近においては、そのような二成分系固溶体の安定
相は六方晶系に属する層状構造を持つことがわかり、さ
らに、この安定相は低温安定相であることが明らかとな
った。さらに、この二成分系固溶体の面心立方晶系に属
する酸素欠損蛍石型構造の相は、室温程度に急冷凍結さ
れた高温安定相であることも判明した。
と希土類酸化物との二成分系固溶体については、希土類
元素(Ln)が原子番号の小さい順でランタン(Ln)
からエルビウム(Er)まで、および、イットリウム
(Y)である場合、希土類酸化物の組成が20〜25モ
ル%付近においては、そのような二成分系固溶体の安定
相は六方晶系に属する層状構造を持つことがわかり、さ
らに、この安定相は低温安定相であることが明らかとな
った。さらに、この二成分系固溶体の面心立方晶系に属
する酸素欠損蛍石型構造の相は、室温程度に急冷凍結さ
れた高温安定相であることも判明した。
【0006】そして、この二成分系固溶体における低温
安定相から高温安定相への転移温度は、希土類元素(L
n)とその組成に強く依存するが、一般的に、約700
〜800℃であることがわかり、このために、この酸化
ビスマスと希土類酸化物との二成分系について、面心立
方晶系に属する酸素欠損蛍石型構造の相は、その転移温
度以下では準安定であり、徐々に六方晶系の層状構造を
持つ相へと変化してしまうことも判明した。
安定相から高温安定相への転移温度は、希土類元素(L
n)とその組成に強く依存するが、一般的に、約700
〜800℃であることがわかり、このために、この酸化
ビスマスと希土類酸化物との二成分系について、面心立
方晶系に属する酸素欠損蛍石型構造の相は、その転移温
度以下では準安定であり、徐々に六方晶系の層状構造を
持つ相へと変化してしまうことも判明した。
【0007】このようにして現在では、酸化ビスマスと
希土類酸化物との二成分系固溶体については、面心立方
晶系に属する酸素欠損蛍石型構造だけでなく、六方晶系
に属する層状構造を持つ相も見いだされ、さらに新しい
構造を持つものが存在する可能性も考慮されている。そ
こでこの発明は、これまでに見いだされたビスマス希土
類酸化物固溶体の低温安定相の存在に鑑みて、さらに新
しいビスマス希土類酸化物固溶体を提供し、その技術的
発展に資することを目的としている。
希土類酸化物との二成分系固溶体については、面心立方
晶系に属する酸素欠損蛍石型構造だけでなく、六方晶系
に属する層状構造を持つ相も見いだされ、さらに新しい
構造を持つものが存在する可能性も考慮されている。そ
こでこの発明は、これまでに見いだされたビスマス希土
類酸化物固溶体の低温安定相の存在に鑑みて、さらに新
しいビスマス希土類酸化物固溶体を提供し、その技術的
発展に資することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するために、一般式Bi2-2xLn2xO3 (ただ
し、LnはDy、Ho、YまたはErであり、LnがD
yまたはErの場合x=0.45〜0.5であり、Ln
がHoまたはYの場合x=0.4〜0.5である)で表
される三斜晶系構造のビスマス希土類酸化物固溶体を提
供する。
を解決するために、一般式Bi2-2xLn2xO3 (ただ
し、LnはDy、Ho、YまたはErであり、LnがD
yまたはErの場合x=0.45〜0.5であり、Ln
がHoまたはYの場合x=0.4〜0.5である)で表
される三斜晶系構造のビスマス希土類酸化物固溶体を提
供する。
【0009】そして、さらにこの発明は、酸化ビスマス
もしくは加熱されることにより酸化ビスマスに分解され
る化合物に、Dy、Ho、YまたはErの希土類酸化物
もしくは加熱されることによりこの希土類酸化物に分解
される化合物を、DyあるいはErを含む希土類酸化物
の場合はその希土類酸化物の割合が45〜50モル%、
HoあるいはYを含む希土類酸化物の場合はその希土類
酸化物の割合が40〜50モル%となるように混合し、
この混合物を約900℃以下の温度で加熱して、一般式
Bi2-2xLn2xO3 (ただし、LnはDy、Ho、Yま
たはErであり、LnがDyまたはErの場合x=0.
45〜0.5であり、LnがHoまたはYの場合x=
0.4〜0.5である)で表される三斜晶系構造のビス
マス希土類酸化物固溶体を得ることを特徴とするビスマ
ス希土類酸化物固溶体の製造方法を提供する。
もしくは加熱されることにより酸化ビスマスに分解され
る化合物に、Dy、Ho、YまたはErの希土類酸化物
もしくは加熱されることによりこの希土類酸化物に分解
される化合物を、DyあるいはErを含む希土類酸化物
の場合はその希土類酸化物の割合が45〜50モル%、
HoあるいはYを含む希土類酸化物の場合はその希土類
酸化物の割合が40〜50モル%となるように混合し、
この混合物を約900℃以下の温度で加熱して、一般式
Bi2-2xLn2xO3 (ただし、LnはDy、Ho、Yま
たはErであり、LnがDyまたはErの場合x=0.
45〜0.5であり、LnがHoまたはYの場合x=
0.4〜0.5である)で表される三斜晶系構造のビス
マス希土類酸化物固溶体を得ることを特徴とするビスマ
ス希土類酸化物固溶体の製造方法を提供する。
【0010】すなわち、この発明の発明者は、従来から
存在が確認されている面心立方晶系構造のビスマス希土
類酸化物についてさらに詳しい分析検討を行い、酸化ビ
スマス(Bi2 O3 )と酸化ジスプロシウム(Dy2 O
3 )、酸化ビスマス(Bi2O3 )と酸化ホルミウム
(Ho2 O3 )、酸化ビスマス(Bi2 O3 )と酸化イ
ットリウム(Y2 O3 )、ならびに、酸化ビスマス(B
i2 O3 )と酸化エルビウム(Er2 O3 )の4つの系
において、新規な複酸化物を見いだしこの発明に至っ
た。
存在が確認されている面心立方晶系構造のビスマス希土
類酸化物についてさらに詳しい分析検討を行い、酸化ビ
スマス(Bi2 O3 )と酸化ジスプロシウム(Dy2 O
3 )、酸化ビスマス(Bi2O3 )と酸化ホルミウム
(Ho2 O3 )、酸化ビスマス(Bi2 O3 )と酸化イ
ットリウム(Y2 O3 )、ならびに、酸化ビスマス(B
i2 O3 )と酸化エルビウム(Er2 O3 )の4つの系
において、新規な複酸化物を見いだしこの発明に至っ
た。
【0011】
【作用】この発明のビスマス希土類酸化物固溶体は、上
記の通りの一般式Bi2-2XLn2XO3 で表され、希土類
元素(Ln)がDyあるいはErの場合、そのDyある
いはErの酸化物の組成が45〜50モル%、希土類元
素(Ln)がHoあるいはYの場合、そのHoあるいは
Yの酸化物の組成が40〜50モル%含有された三斜晶
系に属する構造を持つ低温安定相からなるものである。
記の通りの一般式Bi2-2XLn2XO3 で表され、希土類
元素(Ln)がDyあるいはErの場合、そのDyある
いはErの酸化物の組成が45〜50モル%、希土類元
素(Ln)がHoあるいはYの場合、そのHoあるいは
Yの酸化物の組成が40〜50モル%含有された三斜晶
系に属する構造を持つ低温安定相からなるものである。
【0012】希土類酸化物がDyあるいはErを含む場
合、その希土類酸化物は45モル%より少ない組成で、
また、HoあるいはYを含む場合、その希土類酸化物は
40モル%より少ない組成で、ビスマスに富む側の隣接
相との混合物となり、逆にその希土類酸化物が50モル
%より多い組成では、希土類元素に富む側の隣接相との
混合物となってしまうために、上記の組成領域でのみ三
斜晶系の構造を持つ単一相が得られる。また、この発明
におけるDy、Ho、Y、Er以外の希土類元素ではい
かなる組成でも三斜晶系の構造を持つ単一相を見いだす
ことはできない。
合、その希土類酸化物は45モル%より少ない組成で、
また、HoあるいはYを含む場合、その希土類酸化物は
40モル%より少ない組成で、ビスマスに富む側の隣接
相との混合物となり、逆にその希土類酸化物が50モル
%より多い組成では、希土類元素に富む側の隣接相との
混合物となってしまうために、上記の組成領域でのみ三
斜晶系の構造を持つ単一相が得られる。また、この発明
におけるDy、Ho、Y、Er以外の希土類元素ではい
かなる組成でも三斜晶系の構造を持つ単一相を見いだす
ことはできない。
【0013】この発明のビスマス希土類の酸化物固溶体
の一種である一般式Bi1.15Ho0. 85O3 (x=0.4
25に相当)で示される化合物について例示的にさらに
説明すると、CuKαを用いた、その粉末X線回折パタ
ーンは図1に、また、面間隔実測値、相対強度および面
指数(hkl)は表1および表2に示すことができる。
の一種である一般式Bi1.15Ho0. 85O3 (x=0.4
25に相当)で示される化合物について例示的にさらに
説明すると、CuKαを用いた、その粉末X線回折パタ
ーンは図1に、また、面間隔実測値、相対強度および面
指数(hkl)は表1および表2に示すことができる。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】 さらに、この化合物の示差熱分析の結果は図2に示すこ
とができる。この図から明らかなように、このビスマス
希土類酸化物固溶体は、約900℃で面心立方晶系に属
する酸素欠損蛍石型の高温安定相に非可逆的に転移する
ことがわかる。そこで、この発明の三斜晶系構造のビス
マス希土類酸化物固溶体の製造方法においては、約90
0℃よりも低い温度領域で加熱する。
とができる。この図から明らかなように、このビスマス
希土類酸化物固溶体は、約900℃で面心立方晶系に属
する酸素欠損蛍石型の高温安定相に非可逆的に転移する
ことがわかる。そこで、この発明の三斜晶系構造のビス
マス希土類酸化物固溶体の製造方法においては、約90
0℃よりも低い温度領域で加熱する。
【0016】また、この発明のビスマス希土類酸化物固
溶体の一種である一般式Bi1.1 Y0.9 O3 (x=0.
45に相当)で示される化合物について、温度による電
気伝導度の変化を示すと図3の通りとなる。この図3か
らは、この発明のビスマス希土類酸化物固溶体がかなり
良好な電気伝導体であること、ならびに約900℃付近
で非可逆的に面心立方晶系に属する酸素欠損蛍石型の高
温安定相に転移することがわかる。
溶体の一種である一般式Bi1.1 Y0.9 O3 (x=0.
45に相当)で示される化合物について、温度による電
気伝導度の変化を示すと図3の通りとなる。この図3か
らは、この発明のビスマス希土類酸化物固溶体がかなり
良好な電気伝導体であること、ならびに約900℃付近
で非可逆的に面心立方晶系に属する酸素欠損蛍石型の高
温安定相に転移することがわかる。
【0017】以上のことからも明らかなように、この発
明のビスマス希土類酸化物固溶体は電気伝導体として有
用であり、この電気伝導特性を利用したセンサー等への
応用が期待される。以下、実施例を示し、さらに詳しく
この発明について説明する。
明のビスマス希土類酸化物固溶体は電気伝導体として有
用であり、この電気伝導特性を利用したセンサー等への
応用が期待される。以下、実施例を示し、さらに詳しく
この発明について説明する。
【0018】
【実施例】実施例1 いずれも純度が99.9%以上の酸化ビスマス(Bi2
O3 )と酸化ホルミウム(Ho2 O3 )の粉末を、それ
ぞれの割合が57.5モル%、42.5モル%となるよ
うに秤量し、メノウ乳鉢中でエチルアルコールととも
に、十分に混合した。
O3 )と酸化ホルミウム(Ho2 O3 )の粉末を、それ
ぞれの割合が57.5モル%、42.5モル%となるよ
うに秤量し、メノウ乳鉢中でエチルアルコールととも
に、十分に混合した。
【0019】そして、これらの混合物を室温で乾燥した
後、この混合物を白金ルツボに充填し、カンタル線発熱
体電気炉に移し、そして、この混合物を室温から加熱し
始め、796℃で324時間保った。そして、その後、
白金ルツボをその電気炉から取り出し、生成物をメノウ
乳鉢中で、十分に粉砕混合した。酸化ビスマス(Bi2
O3 )と酸化ホルミウム(Ho2 O3 )の三斜晶系構造
の相への固相反応速度は非常に遅いために、上記と同様
な手順で800℃で495時間の熱処理後、メノウ乳鉢
中で十分に粉砕混合し、次に808℃で280時間の熱
処理後、メノウ乳鉢中で十分に粉砕混合し、さらに、8
09℃で186時間の熱処理後、メノウ乳鉢中で十分に
粉砕混合するという繰り返しの熱処理を行って、均一相
が合成された。
後、この混合物を白金ルツボに充填し、カンタル線発熱
体電気炉に移し、そして、この混合物を室温から加熱し
始め、796℃で324時間保った。そして、その後、
白金ルツボをその電気炉から取り出し、生成物をメノウ
乳鉢中で、十分に粉砕混合した。酸化ビスマス(Bi2
O3 )と酸化ホルミウム(Ho2 O3 )の三斜晶系構造
の相への固相反応速度は非常に遅いために、上記と同様
な手順で800℃で495時間の熱処理後、メノウ乳鉢
中で十分に粉砕混合し、次に808℃で280時間の熱
処理後、メノウ乳鉢中で十分に粉砕混合し、さらに、8
09℃で186時間の熱処理後、メノウ乳鉢中で十分に
粉砕混合するという繰り返しの熱処理を行って、均一相
が合成された。
【0020】得られた生成物を分析した結果、この生成
物は、一般式Bi1.15Ho0.85O3(x=0.425に
相当)で示される三斜晶系に属するビスマス・ホルミウ
ム酸化物であることが確認された。実施例2 実施例1と同様にして、酸化ビスマス(Bi2 O3 )と
酸化イットリウム(Y2O3 )の粉末を、それぞれの割
合が55モル%、45モル%となるように秤量・混合
し、809℃で275時間、815℃で391時間、8
07℃で298時間、809℃で183時間の4回の熱
処理を行った。これによってBi1.1 Y0. 9 O3 (x=
0.45に相当)を得た。実施例3 実施例1と同様にして、酸化ビスマス(Bi2 O3 )と
酸化ジスプロシウム(Dy2O3 )の粉末を、それぞれの
割合が57.5モル%、42.5モル%となるように秤
量・混合し、これを熱処理した。この熱処理では、80
9℃で183時間熱処理すると、図4(a)に示すよう
な面心立方晶系に属する単一相を呈するが、809℃で
228時間の加熱により、図4(b)に示すように、新
たな相の出現が認められる。さらに、808℃で254
時間、815℃で275時間、807℃で350時間の
3度の熱処理によって、図4(c)に示すようなBi
1.15Dy0.85 O3 (x=0.425に相当)で表される
三斜晶系に属する単一相を得た。実施例4 さらにまた、酸化ビスマス(Bi2 O3 )と酸化エルビ
ウム(Er2O3 )を、それぞれの割合が52.5モル
%、47.5モル%、となるように秤量・混合し、80
9℃で183時間熱処理した。図5(a)に示すような
面心立方晶系に属する相を含む三斜晶系の相が得られ
た。808℃で154時間の再度の加熱により、三斜晶
系に属する単一相となり(図5(b))808℃で20
7時間の三回目の熱処理によっても変化は認められず
(図5(c))、Bi1.05Er0.95 O3(x=0.47
5に相当)を得た。
物は、一般式Bi1.15Ho0.85O3(x=0.425に
相当)で示される三斜晶系に属するビスマス・ホルミウ
ム酸化物であることが確認された。実施例2 実施例1と同様にして、酸化ビスマス(Bi2 O3 )と
酸化イットリウム(Y2O3 )の粉末を、それぞれの割
合が55モル%、45モル%となるように秤量・混合
し、809℃で275時間、815℃で391時間、8
07℃で298時間、809℃で183時間の4回の熱
処理を行った。これによってBi1.1 Y0. 9 O3 (x=
0.45に相当)を得た。実施例3 実施例1と同様にして、酸化ビスマス(Bi2 O3 )と
酸化ジスプロシウム(Dy2O3 )の粉末を、それぞれの
割合が57.5モル%、42.5モル%となるように秤
量・混合し、これを熱処理した。この熱処理では、80
9℃で183時間熱処理すると、図4(a)に示すよう
な面心立方晶系に属する単一相を呈するが、809℃で
228時間の加熱により、図4(b)に示すように、新
たな相の出現が認められる。さらに、808℃で254
時間、815℃で275時間、807℃で350時間の
3度の熱処理によって、図4(c)に示すようなBi
1.15Dy0.85 O3 (x=0.425に相当)で表される
三斜晶系に属する単一相を得た。実施例4 さらにまた、酸化ビスマス(Bi2 O3 )と酸化エルビ
ウム(Er2O3 )を、それぞれの割合が52.5モル
%、47.5モル%、となるように秤量・混合し、80
9℃で183時間熱処理した。図5(a)に示すような
面心立方晶系に属する相を含む三斜晶系の相が得られ
た。808℃で154時間の再度の加熱により、三斜晶
系に属する単一相となり(図5(b))808℃で20
7時間の三回目の熱処理によっても変化は認められず
(図5(c))、Bi1.05Er0.95 O3(x=0.47
5に相当)を得た。
【0021】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、この発明に
よって、新規な三斜晶系構造のビスマス希土類酸化物固
溶体を創製することが可能となり、このビスマス希土類
酸化物固溶体を用いて、高機能な電気伝導体、たとえば
センサー材料などの各種高機能材料の提供が可能とな
る。
よって、新規な三斜晶系構造のビスマス希土類酸化物固
溶体を創製することが可能となり、このビスマス希土類
酸化物固溶体を用いて、高機能な電気伝導体、たとえば
センサー材料などの各種高機能材料の提供が可能とな
る。
【図1】この発明のBi1.15Ho0.85O3 (x=0.4
25に相当)で示される化合物の粉末X線回折パターン
である。
25に相当)で示される化合物の粉末X線回折パターン
である。
【図2】この発明のBi1.15Ho0.85O3 (x=0.4
25に相当)で示される化合物の示差熱分析曲線であ
る。
25に相当)で示される化合物の示差熱分析曲線であ
る。
【図3】この発明のBi1.1 Y0.9 O3 (x=0.45
に相当)で示される化合物の温度による電気伝導度の変
化である。
に相当)で示される化合物の温度による電気伝導度の変
化である。
【図4】この発明のBi1.15Dy 0.85O3 (x=0.4
25に相当)で示される化合物を合成する際の加熱処理
による相変化f示す粉末X回析パターンであり、(a)
は809℃で183時間、(b)は809℃で228時
間、(c)はさらに808℃で254時間、815℃で
275時間、807℃で350時間加熱処理後のパタ−
ンである。
25に相当)で示される化合物を合成する際の加熱処理
による相変化f示す粉末X回析パターンであり、(a)
は809℃で183時間、(b)は809℃で228時
間、(c)はさらに808℃で254時間、815℃で
275時間、807℃で350時間加熱処理後のパタ−
ンである。
【図5】この発明のBi1.05Er0.95 O3 (x=0.4
75に相当)で示される化合物を合成する際の加熱処理
による相変化を示す粉末X線回析パターンであり、(
a)は809℃で183時間、(b)は808℃で15
4時間、(c)は808℃で207時間の加熱処理後の
パタ−ンである。
75に相当)で示される化合物を合成する際の加熱処理
による相変化を示す粉末X線回析パターンであり、(
a)は809℃で183時間、(b)は808℃で15
4時間、(c)は808℃で207時間の加熱処理後の
パタ−ンである。
Claims (2)
- 【請求項1】 一般式Bi2-2xLn2xO3 (ただし、L
nはDy、Ho、YまたはErであり、LnがDyまた
はErの場合x=0.45〜0.5であり、LnがHo
またはYの場合x=0.4〜0.5である)で表される
三斜晶系構造のビスマス希土類酸化物固溶体。 - 【請求項2】 酸化ビスマスもしくは加熱されることに
より酸化ビスマスに分解される化合物に、Dy、Ho、
YまたはErの希土類酸化物もしくは加熱されることに
よりこの希土類酸化物に分解される化合物を、Dyある
いはErを含む希土類酸化物の場合はその希土類酸化物
の割合が45〜50モル%、HoあるいはYを含む希土
類酸化物の場合はその希土類酸化物の割合が40〜50
モル%となるように混合し、この混合物を約900℃以
下の温度で加熱して、一般式Bi2-2xLn2xO3 (ただ
し、LnはDy、Ho、YまたはErであり、LnがD
yまたはErの場合x=0.45〜0.5であり、Ln
がHoまたはYの場合x=0.4〜0.5である)で表
される三斜晶系構造のビスマス希土類酸化物固溶体を得
ることを特徴とするビスマス希土類酸化物固溶体の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7070735A JP2710272B2 (ja) | 1995-03-03 | 1995-03-03 | 三斜晶系構造のビスマス希土類酸化物固溶体とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7070735A JP2710272B2 (ja) | 1995-03-03 | 1995-03-03 | 三斜晶系構造のビスマス希土類酸化物固溶体とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08239217A true JPH08239217A (ja) | 1996-09-17 |
JP2710272B2 JP2710272B2 (ja) | 1998-02-10 |
Family
ID=13440086
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7070735A Expired - Lifetime JP2710272B2 (ja) | 1995-03-03 | 1995-03-03 | 三斜晶系構造のビスマス希土類酸化物固溶体とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2710272B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6306351B1 (en) * | 1997-01-20 | 2001-10-23 | Osaka Gas Co., Ltd. | Nitrogen oxides detection method, and sensor element for detection of nitrogen oxides |
JP2006151716A (ja) * | 2004-11-26 | 2006-06-15 | National Institute For Materials Science | ビスマス・エルビウム・タングステン酸化物固溶体からなる酸化物イオン伝導材料及びその製造方法 |
JP2007197259A (ja) * | 2006-01-26 | 2007-08-09 | National Institute For Materials Science | ビスマス・エルビウム・モリブデン酸化物固溶体からなる酸化物イオン伝導材料及びその製造方法 |
-
1995
- 1995-03-03 JP JP7070735A patent/JP2710272B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6306351B1 (en) * | 1997-01-20 | 2001-10-23 | Osaka Gas Co., Ltd. | Nitrogen oxides detection method, and sensor element for detection of nitrogen oxides |
JP2006151716A (ja) * | 2004-11-26 | 2006-06-15 | National Institute For Materials Science | ビスマス・エルビウム・タングステン酸化物固溶体からなる酸化物イオン伝導材料及びその製造方法 |
JP2007197259A (ja) * | 2006-01-26 | 2007-08-09 | National Institute For Materials Science | ビスマス・エルビウム・モリブデン酸化物固溶体からなる酸化物イオン伝導材料及びその製造方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP2710272B2 (ja) | 1998-02-10 |
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