JPH08239178A - エレベーターの制御ケーブル点検装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、作業員がピット内に移動すること
なく目視点検を行えるようにし、点検作業の作業性を向
上させることを目的とするものである。 【構成】 制御ケーブル６を目視点検するための点検用
開口部１３を乗場三方枠４に設け、この点検用開口部１
３を開閉する点検扉１４の裏面に、先端部に広角レンズ
を有する点検筒１６を設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えば昇降運転中の
制御ケーブルの横揺れ、片寄り、及び捩れ現象等の有無
を点検するためのエレベーターの制御ケーブル点検装置
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図５は従来の制御ケーブル動特性点検方
法の一例を示す構成図である。図において、１は昇降
路、２は昇降路１内を昇降するかご、３は昇降路１の上
部に設けられている機械室であり、この機械室３内に
は、かご２を昇降させる巻上機（図示せず）や運転を制
御する制御装置（図示せず）等が設けられている。４は
各階の乗場に設けられ乗場側の出入口を構成する乗場三
方枠である。

【０００３】５は昇降路１の壁部に設けられ機械室３内
の制御装置に接続されている中間継ぎ箱、６は一端部が
中間継ぎ箱５に他端部がかご２にそれぞれ接続され、昇
降路１内に吊り下げられている制御ケーブル、７は昇降
路１の最下部に位置するピット１ａの壁部に設けられて
いるピット灯、８はかご２の下部に設けられているかご
下灯である。

【０００４】次に、動作について説明する。制御ケーブ
ル６の動特性を点検する場合、まず１人の作業員が最下
階の乗場からピット１ａ内に入りピット灯７を点灯させ
る。次に、別の作業員がかご２内に乗り込み、ピット１
ａ内の作業員の直上までかご２を下降させる。そして、
ピット１ａ内の作業員がかご下灯８を点灯させる。

【０００５】この後、ピット１ａ内の作業員がかご２内
の作業員に合図を送ることにより、かご２内の作業員が
手動運転によりかご２を最上階まで上昇させる。この
間、ピット１ａ内の作業員は、制御ケーブル６の動特
性、即ち制御ケーブル６自体の横揺れ、片寄り、捩れ現
象等の有無を目視点検する。かご２が最上階に到着した
ら、今度は下降する旨の合図を送り、下降中の動特性に
ついて目視点検する。

【０００６】このようにして、上昇中及び下降中の制御
ケーブル６の動特性の点検が終了すると、ピット１ａ内
の作業員はピット灯７及びかご下灯８を消灯させて最下
階の乗場に出る。なお、昇降行程の高い建物などでは、
上記の目視点検時にピット１ａ内の作業員が双眼鏡を使
用する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のエ
レベーターの制御ケーブル動特性点検方法においては、
作業員がピット１ａ内に降りる必要があるため、ピット
１ａへの出入りや照明の入切、連絡合図の煩わしさが伴
うという問題点があった。

【０００８】この発明は、上記のような問題点を解決す
ることを課題としてなされたものであり、作業員がピッ
ト内に移動することなく目視点検を行うことができ、点
検作業の作業性を向上させることができるエレベーター
の制御ケーブル点検装置を得ることを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明に係るエ
レベーターの制御ケーブル点検装置は、制御ケーブルを
目視点検するための点検用開口部が設けられている乗場
三方枠と、この乗場三方枠に設けられ点検用開口部を開
閉する点検扉とを備えたものである。

【００１０】請求項２の発明に係るエレベーターの制御
ケーブル点検装置は、先端部に広角レンズが取り付けら
れた点検筒を、点検扉の裏面に設けたものである。

【００１１】請求項３の発明に係るエレベーターの制御
ケーブル点検装置は、点検扉を開放時に水平に保持する
水平保持機構を乗場三方枠と点検扉との間に設けたもの
である。

【００１２】請求項４の発明に係るエレベーターの制御
ケーブル点検装置は、点検用開口部からの制御ケーブル
の点検時にかごを自動運転するための保守スイッチを制
御装置に設けたものである。

【００１３】請求項５の発明に係るエレベーターの制御
ケーブル点検装置は、点検用開口部と点検扉との間に施
錠装置を設け、この施錠装置が保守スイッチからの指令
に応じて開錠するようにしたものである。

【００１４】請求項６の発明に係るエレベーターの制御
ケーブル点検装置は、制御ケーブルを照らすための照明
器具を昇降路内に設け、この照明器具が保守スイッチか
らの指令に応じて点灯するようにしたものである。

【００１５】

【作用】請求項１の発明においては、乗場三方枠に設け
た点検用開口部から制御ケーブルを目視点検することに
より、作業員がピット内に入る必要がなくなり、作業性
が向上する。

【００１６】請求項２の発明においては、点検扉を開放
することにより点検扉の裏面の点検筒を出し、この点検
筒を覗き込むことにより制御ケーブルの目視点検を容易
にする。

【００１７】請求項３の発明においては、開放状態の点
検扉を水平保持機構により水平に保持することで、点検
扉の裏面の点検筒も水平に保持され、点検作業が容易に
なる。

【００１８】請求項４の発明においては、点検用開口部
からの点検時に保守スイッチでかごを自動運転すること
により、点検作業を１人で行うことができるようにす
る。

【００１９】請求項５の発明においては、保守スイッチ
からの指令がないと点検扉の施錠装置が開錠せず、従っ
て一般の乗客等が点検扉を開放することがなく、安全性
が向上する。

【００２０】請求項６の発明においては、保守スイッチ
からの指令で昇降路内の照明器具を点灯させることによ
り、作業性を一層向上させる。

【００２１】

【実施例】以下、この発明の実施例を図について説明す
る。図１はこの発明の一実施例によるエレベーターの制
御ケーブル点検装置を示す構成図であり、図５と同一又
は相当部分には同一符号を付し、その説明を省略する。

【００２２】図において、１１は機械室３内に設置さ
れ、かご２の昇降を制御する制御装置、１２は制御装置
１１に設けられている保守スイッチであり、この保守ス
イッチ１２からの指令により、保守点検時にかご２が自
動運転されるようになっている。１３は乗場三方枠４に
設けられている点検用開口部、１４は点検用開口部１３
を開閉する点検扉、１５は点検扉１４を施錠するための
施錠装置（例えば電磁式施錠装置）であり、この施錠装
置１５は、保守スイッチ１２からの指令により開錠す
る。

【００２３】１６は点検扉１４の裏面に着脱可能に取り
付けられている点検筒、１７は中間継ぎ箱５に設けられ
ている中間灯であり、昇降路１内の照明器具、即ちピッ
ト灯７，かご下灯８及び中間灯１７は、保守スイッチ１
２からの指令を受けて点灯する。

【００２４】図２は図１の要部を示す側面図、図３は図
２の正面図である。図において、１８は点検扉１４を乗
場三方枠４に回動自在に取り付けるための蝶番、１９は
点検扉１４の裏面上に設けられている受け台、２０は点
検筒１６に設けられ受け台１９に着脱可能に装着されて
いる取付台である。

【００２５】２１は点検筒１６の先端部（昇降路１側端
部）に固着されている広角レンズ、２２は点検筒１６の
基端部（乗場側端部）に装着されている鏡であり、この
鏡２２により点検筒１６を上方から覗き込めるようにな
っている。２３は一端部が点検扉１４の裏面の支点２４
に回動自在に取り付けられている吊り棒、２５は点検用
開口部１３に設けられ吊り棒２３の他端部が掛け止めら
れる突起であり、これらの吊り棒２３，支点２４及び突
起２５により水平保持機構２６が構成され、開放時の点
検扉１４が水平に保持される。

【００２６】なお、図４は図１の制御ケーブル６と点検
用開口部１３との位置関係を示す構成図である。また、
上記の点検用開口部１３は、昇降路１の昇降行程に応じ
て複数箇所、即ち複数の階の乗場に設けることが好まし
い。

【００２７】次に、動作について説明する。まず、作業
員は機械室３に出向き保守スイッチ１２を閉じる。これ
により、制御装置１１の運転が通常の運転モードから保
守点検用の自動運転モードに切り換えられ、施錠装置１
５が開錠されるとともに、各照明器具７，８，１７が点
灯する。

【００２８】次に、作業員は点検用開口部１３が設けら
れている乗場へ移動し、点検扉１４を引き開ける。この
とき、吊り棒２３の他端部を突起２５に掛け止め、点検
扉１４を水平状態にする。そして、取付台２０を受け台
１９に嵌め込むことにより、点検扉１４の裏面、即ち上
面に点検筒１６をセットする。

【００２９】これらの準備が完了した後、かご２の保守
用自動運転を開始させる。そして、かご２の昇降運転
中、作業員は点検筒１６を覗き込み制御ケーブル６の動
特性を目視点検する。このような目視点検作業は、点検
用開口部１３が設けられた全ての階で行う。各階におけ
る目視点検作業の後、点検扉１４は閉じておく。そし
て、全ての階の作業が終了した後、再び機械室３に出向
き、保守スイッチ１２を開く。これにより、制御装置１
１が通常の運転モードに戻され、かつ施錠装置１５が点
検扉１４をロックするとともに、各照明器具７，８，１
７が消灯される。

【００３０】このような制御ケーブル点検装置を用いた
ことにより、作業員がピット１ａ内に降りる必要がなく
なり、作業効率が向上する。また、開放状態の点検扉１
４が水平保持機構２６により水平に保持されので、点検
作業が容易になる。さらに、保守スイッチ１２で制御装
置１１の運転モードを自動運転モードに切り換えること
により、かごを自動運転することができるので、点検作
業を１人で行うことができ、連絡合図の煩わしさもな
く、作業性が一層向上する。

【００３１】さらにまた、保守スイッチ１２からの指令
がないと点検扉１４の施錠装置１５が開錠せず、従って
一般の乗客等が点検扉１４を開放することがなく、安全
性が向上する。また、保守スイッチ１２からの指令で昇
降路１内の照明器具７，８，１７を点灯させることがで
きるので、作業性が一層向上する。

【００３２】なお、上記実施例では点検筒１６を着脱可
能としたが、点検用開口部１３の設置箇所が少ない場合
には、点検扉１４に固定しておいてもよく、携帯する手
間が省ける。

【００３３】また、上記実施例では保守スイッチ１２を
閉じることにより制御装置１１を自動運転モードに切り
換える例を示したが、停止手段（運転スイッチを切る）
によりかご２が停止した状態での制御ケーブル６の点
検、即ち静特性（吊り状態）の点検を行うことも可能で
ある。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明の
エレベーターの制御ケーブル点検装置は、制御ケーブル
を目視点検するための点検用開口部を乗場三方枠に設け
るとともに、この点検用開口部を開閉する点検扉を設け
たので、作業員がピット内に移動することなく制御ケー
ブルの目視点検を行うことができ、点検作業の作業性を
向上させることができるという効果を奏する。

【００３５】請求項２の発明のエレベーターの制御ケー
ブル点検装置は、先端部に広角レンズが取り付けられた
点検筒を点検扉の裏面に設けたので、上記請求項１の発
明と同様の効果に加えて、制御ケーブルの目視点検を容
易にすることができるという効果を奏する。

【００３６】請求項３の発明のエレベーターの制御ケー
ブル点検装置は、点検扉を開放時に水平に保持する水平
保持機構を乗場三方枠と点検扉との間に設けたので、上
記請求項２の発明と同様の効果に加えて、開放した点検
扉を台として点検筒も水平に保持することができ、点検
作業を一層容易にすることができるという効果を奏す
る。

【００３７】請求項４の発明のエレベーターの制御ケー
ブル点検装置は、点検用開口部からの制御ケーブルの点
検時にかごを自動運転するための保守スイッチを制御装
置に設けたので、上記請求項１の発明と同様の効果に加
えて、点検作業を１人で行うことができ、作業効率を向
上させることができるという効果を奏する。

【００３８】請求項５の発明のエレベーターの制御ケー
ブル点検装置は、点検用開口部と点検扉との間に施錠装
置を設け、この施錠装置が保守スイッチからの指令に応
じて開錠するようにしたので、上記請求項４の発明と同
様の効果に加えて、一般の乗客等が点検扉を開放するの
が防止され、安全性を向上させることができるという効
果を奏する。

【００３９】請求項６の発明のエレベーターの制御ケー
ブル点検装置は、制御ケーブルを照らすための照明器具
を昇降路内に設け、この照明器具が保守スイッチからの
指令に応じて点灯するようにしたので、上記請求項４の
発明と同様の効果に加えて、作業性を一層向上させるこ
とができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の一実施例によるエレベーターの制
御ケーブル点検装置を示す構成図である。

【図２】 図１の要部を示す側面図である。

【図３】 図２の正面図である。

【図４】 図１の制御ケーブルと点検用開口部との位置
関係を示す構成図である。

【図５】 従来の制御ケーブル動特性点検方法の一例を
示す構成図である。

【符号の説明】

４ 乗場三方枠、６ 制御ケーブル、７ ピット灯（照
明器具）、８ かご下灯（照明器具）、１１ 制御装
置、１２ 保守スイッチ、１３ 点検用開口部、１４
点検扉、１５ 施錠装置、１６ 点検筒、１７ 中間灯
（照明器具）、２１ 広角レンズ、２６ 水平保持機
構。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 制御ケーブルを目視点検するための点検
   用開口部が設けられている乗場三方枠と、この乗場三方
   枠に設けられ、上記点検用開口部を開閉する点検扉とを
   備えていることを特徴とするエレベーターの制御ケーブ
   ル点検装置。
2. 【請求項２】 先端部に広角レンズが取り付けられた点
   検筒が点検扉の裏面に設けられていることを特徴とする
   請求項１記載のエレベーターの制御ケーブル点検装置。
3. 【請求項３】 点検扉を開放時に水平に保持する水平保
   持機構が乗場三方枠と上記点検扉との間に設けられてい
   ることを特徴とする請求項２記載のエレベーターの制御
   ケーブル点検装置。
4. 【請求項４】 かごの運転を制御する制御装置には、点
   検用開口部からの制御ケーブルの点検時にかごを自動運
   転するための保守スイッチが設けられていることを特徴
   とする請求項１ないし請求項３のいずれかに記載のエレ
   ベーターの制御ケーブル点検装置。
5. 【請求項５】 点検用開口部と点検扉との間には施錠装
   置が設けられており、上記施錠装置は保守スイッチから
   の指令に応じて開錠するようになっていることを特徴と
   する請求項４記載のエレベーターの制御ケーブル点検装
   置。
6. 【請求項６】 制御ケーブルを照らすための照明器具が
   昇降路内に設けられており、上記照明器具は保守スイッ
   チからの指令に応じて点灯するようになっていることを
   特徴とする請求項４又は請求項５記載のエレベーターの
   制御ケーブル点検装置。