JPH08232314A - キッチン用シンク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 キッチン用のシンクにおいて、排水口が塞が
れることなく水洗い作業ができしかもキャビネットに内
部空間も収納用として有効利用できるようにし、さらに
シンク周りの備付け品の使い勝手を向上させること。 【解決手段】 シンクの奥側の左右コーナー部にベース
を突設してこれらのベースに挟まれたシンク奥壁を後方
に突き出した膨出部とし、この膨出部の中に排水口の全
体または一部を位置させると共に、一方のベースには水
栓及び他方のベースには水石鹸用のディスペンサをそれ
ぞれ配置し、膨出部をシンクの間口方向の端部の内周壁
からベースによって隔てた配置により食器等が内周壁に
当たることなく膨出部の中に差し込める使い勝手とした
り排水口が食器等に被さらないようにして速やかな排水
を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、キッチンキャビネ
ットに組み込まれるシンクに関する。

【０００２】

【従来の技術】キッチン用のシンクは、シングル又はダ
ブル等のように槽の数を変えたり、深さにもバリエーシ
ョンを持たせたものが従来から採用されている。これら
のシンクは、食器等を洗うスペースを確保すること、排
水が速やかに行われること及び水栓の使い勝手が良いこ
と等を基本思想として設計されている。

【０００３】図８はシンクの従来のシングルタイプの典
型的な例である。図示のように、キャビネット１の上に
設けたカウンター２にシンク３が一体に組み込まれてい
る。カウンター２はステンレス板又は人工大理石等によ
って成形され、奥行き寸法は６００ ｍｍ程度を標準仕
様とすることが一般的である。

【０００４】シンク３に吐水するための単水栓又は湯水
混合栓等の水栓４は、シンク３の奥側のカウンター２上
に固定される。水栓４はそのスパウト４ａを首振り自在
として吐水範囲を広くしているので、図８の（ａ）のよ
うにシンク３のほぼ中央や、同図（ｂ）のように中央か
ら少し偏らせた配置となっている。また、シンク３の底
部には排水口３ａが開けられ、これをキャビネット１の
中に配管した排水管（図示せず）に接続している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】シンク３を使って食器
や食品等を水洗いするときには、洗浄用のボールや鍋及
び食器等をシンク３の中に置いて作業することが多い。
この場合、ボールや食器等が排水口３ａの上に載ってこ
れを塞ぐことがあり、排水が流れ難くなる。このため、
水洗い作業の邪魔になり、汚れた水に食器が浸りやす
い。これを避けるためには、ボールや食器等を排水口３
ａ側に置かなければよいが、シンク３の中に納められる
量が少なくなり、使い勝手も悪くなる。

【０００６】また、図９に示すように、キャビネット１
の中には排水口３ａに接続した排水管３ｂが床排水又は
壁排水型として設けられる。一方、排水口３ａは同図の
（ａ）のようにシンク３の奥行き方向のほぼ中間に設け
られ、シンク３の全体から速やかに排水できるようにな
っている。このため、排水口３ａに接続する排水管３ｂ
も、同図（ａ）のようにキャビネット１の奥行き方向の
中間部を走る配管となる。なお、図示の例は床排水型で
あるが、壁排水型の場合であっても、同様にキャビネッ
ト１の中間部を配管が通る構造となる。

【０００７】このように、排水管３ｂがキャビネット１
の中の奥行き方向の中間部を走ると、排水管３ｂよりも
奥側に品物を納めるのに都合が悪い。また、図９の
（ｂ）のように、シンク３の中央部から奥側へ排水管３
ｂを振って配管のみを後方側へ位置させた場合でも、排
水管３ｂが下に突き出ているので、収納物の高さに制限
を受ける。このため、たとえば米櫃や醤油壜等の収納が
うまく行えず、キャビネット１の内部空間の有効利用に
支障をきたす。

【０００８】以上のように、従来のシンクでは、排水口
が洗い物等によって塞がれやすく、キャビネットの内部
の収納空間の有効利用にも障害を与えていた。

【０００９】また、従来、水石鹸を供給する、いわゆる
ソープディスペンサや、シンク周りに備え付ける洗剤、
あるいはタワシ・スポンジ類は、水栓の周囲に配置され
るため、水栓が邪魔になり、使い難いという問題もあ
る。

【００１０】本発明において解決すべき課題は、排水口
が塞がれることなく水洗い作業ができしかもキャビネッ
トに内部空間も収納用として有効利用できるようにし、
さらにシンク周りの備付け品の使い勝手を向上させるこ
とにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、シンクの奥側
の左右コーナー部にベースを突設し、該ベースに挟まれ
たシンク奥壁を後方に突き出した膨出部に排水口の全体
または一部を設け、さらに前記ベースの一方に水栓を設
けたことを特徴とする。

【００１２】また、このような構成において、一対のベ
ースのうち、水栓を固定しないもう一方に、水石鹸用の
ディスペンサを備え付けることもできる。

【００１３】

【発明の実施の形態】シンクの左右方向の内周壁に対し
て、後方に突き出した膨出部はその左右に位置している
ベースによって隔てられ、大きな鍋を洗うようなときに
は、左右の内周壁に鍋に突き当たることなく膨出部にそ
の一部を入り込ませるようなセットが可能となる。そし
て、ベースの一方にのみ水栓を設けるのであっても、大
きな食器や鍋等を膨出部に合わせて位置させるようにす
れば、片側配置の水栓でも十分に洗い物作業を行うこと
が可能となる。

【００１４】また、膨出部の中に排水口の少なくとも一
部が含まれるような配置とすることで、シンクの中に置
いた洗い物が排水口に被さりにくくなり、速やかな排水
が維持される。また、排水口をシンクの奥側に偏らせて
配置できるので、この排水口に接続する排水管も奥側に
位置させることができ、シンクの下にキャビネットを備
えるような厨房設備の場合では、このキャビネットの内
部の収納空間を広く活用できるものとなる。

【００１５】

【実施例】図１は本発明のキッチン用シンクの要部を示
す斜視図、図２は平面図である。

【００１６】従来例でも示したように、キャビネット１
の上にカウンター２が固定され、カウンター２にはシン
ク３が組み込まれている。カウンター２の奥行き寸法
は、従来の６００ ｍｍ程度に対して６００ 〜８００
ｍｍ程度まで長くし、シンク３の奥行きも従来品より
長くなっている。

【００１７】シンク３の奥側の左右コーナー部にベース
５を設け、このベース５に挟まれた部分を後方に突き出
して膨出部６を形成している。ベース５は、カウンター
２のレベルよりも少し低くなるように段差を持たせて形
成され、右側のベース５に水栓４を立上げてそのスパウ
ト４ａを首振り自在としてシンク３ａ側に突き出してい
る。

【００１８】ベース５の突き出し長さは、シンク３の全
体の奥行き寸法が５００〜６００ｍｍ程度に対して、１
００〜２００ｍｍ程度としている。ここで、ベース５の
左右寸法を小さく抑えれば膨出部６が広くなるので、シ
ンクの奥行きを広くすることができ、大きな中華鍋等も
シンク３内で洗うことができる。また、水栓４を立ち上
げない左側のベース５には、水石鹸用のディスペンサ７
を設けている。

【００１９】このように右側のベース５に水栓４を設
け、また左側のベース５にソープディスペンサ７を設け
ることによって、シンク３での作業者の身体の中心線か
ら左右の一方よりに水栓４が、もう一方よりにディスペ
ンサ７が位置することになり、それぞれ使用時に一方が
邪魔になることが無く、極めて使い勝手のよいものとな
る。また、水栓４とディスペンサ７を離して設けること
により、二人ならんで共同して洗いものをすることがで
き、スキンシップのある作業ができる。

【００２０】一対のベース５に挟まれた膨出部６は、ベ
ース５の上端からシンク３の底面まで一様横断面を持っ
ている。換言すると、シンク３の前端からベース５の前
端までの長さが、従来のシンクとほぼ同じ程度であり、
膨出部６はベース５部分を残して奥側へシンク３の内部
を拡大したものである。そして、排水口３ａは膨出部６
の中に含まれるように設けられている。

【００２１】排水口３ａはその全体が膨出部６の中に含
まれるようにするほか、洗浄用のボールや食器等が排水
口３ａの全体に被さらない程度にその半分を膨出部６の
中に納めるようにしてもよい。このように膨出部６の中
に排水口３ａの全体又は半分以上を部分的に含ませてお
けば、食器やボール等をシンク３の中に置いても、前側
に突き出したベース５の立上げ壁５ａに当たって排水口
３ａに被さらない。このため、シンク３の中に多数の食
器等を置いて水洗いしても、排水口３ａが塞がれること
はなく、排水を速やかに送り出すことができる。

【００２２】また、排水口３ａは、シンク３の奥側であ
って更に膨出部６の中に含ませるようにしているので、
従来構造に比べると排水口３ａの位置を更に奥側へ移す
ことができる。すなわち、図３の縦断面図に示すよう
に、奥行き寸法を図９の（ａ）及び（ｂ）で示した従来
構造に比べて大きくすると共に、排水口３ａを膨出部６
の中に納めたので、排水管３ｂの位置を奥側へずらすこ
とができる。このため、排水管３ｂの手前を広く開ける
ことができ、キャビネット１の収納機能を損ねることは
ない。

【００２３】このように、シンク３を使っての洗い物作
業が改善されるだけでなく、排水管３ｂも奥側へ移すこ
とによってキャビネット１の収納空間を広げることがで
きる。したがって、水洗い作業の使い勝手の向上ととも
に、キャビネット１も有効に利用でき、カウンター２及
びキャビネット１の奥行きを大きくしたことによる利点
が活かされる。

【００２４】図４は別の例を示す要部の概略平面図であ
り、これは図１〜図３の例において示した水石鹸用のデ
ィスペンサ７を設備していないものである。

【００２５】水栓４のベース５や膨出部６に対する配置
は先の例と全く同様であるが、ディスペンサ７が膨出部
６を挟んだ側に位置していないことから、水栓４のスパ
ウト４ａを長くても、図において時計方向に回して左側
のベース５の上に位置させても干渉を伴わない。このた
め、水栓４のスパウト４ａを長くした仕様とすることが
でき、カウンター２及びシンク３の奥行き寸法を大きく
していてもスパウト４ａを手前側に十分に繰り出すこと
ができ、使い勝手の向上が図られる。

【００２６】以上のように、左右に配置するベース５の
間に膨出部６を形成することによって、シンク３の内部
を広く使えるほか、排水口３ａが塞がれることなく排水
が速やかに行われ、しかもキャビネット１の中も収納部
として十分に活用することができる。

【００２７】これに対して、図５に示すように、ベース
５をシンク３の右端から間口方向の中央を超える部分ま
で形成し、膨出部６を左端部のみに設けるような場合で
も、排水口３ａが洗い物に干渉しない点や、排水管を奥
側配置とすることによってキャビネット内の収納空間を
確保できるという点においては、本発明のシンクと同様
の利点を持つ設備として使える。

【００２８】また、図６及び図７に示すように、図１及
び図２で示したベースと膨出部との位置関係を逆にした
シンクの場合でも、膨出部に排水口を位置させることに
よって、図５の場合と同様に排水口３ａの洗い物との干
渉や排水管によるキャビネット１内の収納部への障害を
なくすことができる。そして、図中に示すように、排水
口３ａを設けた側の膨出部６を跨いで洗剤やスポンジ等
を載せるトレー２０をセットすれば、このトレー２０は
浮いた状態になるのでその真下の排水口３ａに向けての
水切りも速やかに行われる。

【００２９】このように図５〜図７の構成においてもそ
れぞれに好適な使い勝手が得られるが、図５の例では膨
出部６はシンク３の左端の内周壁に沿う位置にあるの
で、たとえば円形の大きな鍋をシンク３の中に落とし込
んでも、この鍋の縁部はシンク３の左側の内周壁に当た
ってしまい、奥側に開いた膨出部６は鍋の一部を収納す
る空間としては利用できない場合がある。これに対して
も、図１〜図４の例では、膨出部６がシンク３の間口方
向のほぼ中央に位置しているので、大きな鍋でもその奥
側の一部をこの膨出部６の中に差し込むように置くこと
ができ、膨出部６の空間を最適利用することができる。

【００３０】そして、図６及び図７の例においても、左
右の膨出部６はシンク３の左右の内周壁に沿う位置にあ
るので、図５の例の場合と同様に大きな鍋等の洗い物作
業にはこれらの膨出部６を備えているにも拘わらず、こ
れを最大限に活用するまでには至らないことにもなる。

【００３１】このように、図５から図７に例示したもの
と比較してより一層明らかなように、シンク３の奥側の
左右にベース５を設けてこれに挟まれた部分を膨出部６
としてこれに含まれる部分に排水口３ａを備えるという
構成は、シンク３を使っての洗い物において作業性や使
い勝手の面で一様に優れていて、排水はその配管につい
ても最も好ましいことが判る。

【００３２】

【発明の効果】本発明によって以下の効果を奏すること
ができる。

【００３３】（１）シンクの両奥側コーナーに設けたベ
ースの一方に水栓を取付け、両ベースの間に排水口を設
けたので、シンクの前方を有効に使える。さらに、もう
一方のベースには、洗剤やタワシ・スポンジ類をおいた
り、石鹸のディスペンサの取付け用ベースとしたりと多
くの用途に使用でき便利である。

【００３４】（２）ベースの一方に水栓を、ベースのも
う一方に水石鹸供給用のディスペンサを備えれば、シン
クでの作業者の身体の中心線から左右の一方よりに水栓
が、もう一方よりにディスペンサが位置することにな
り、それぞれ使用時に一方が邪魔になることが無く、極
めて使い勝手のよいものとなる。また、水栓とディスペ
ンサを離して設けることにより、二人ならんで共同して
洗いものをすることができ、スキンシップのある作業が
できる。

【００３５】（３）排水口をシンク中央奥に設けたの
で、汚れた食器や洗い桶等で排水口が塞がれることも少
なく、速やかに排水することができる。また、排水管を
キャビネットの奥側に寄せることができ、キャビネット
内への収納の邪魔にならず、収納量を確保できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のキッチン用シンクの要部を示す斜視図
である。

【図２】図１におけるシンク周りを示す概略平面図であ
る。

【図３】図１及び図２の例におけるシンクと排水管の接
続構造であって、排水管のキャビネット内での位置を示
すための要部の縦断面図である。

【図４】水石鹸用のディスペンサを備えない設備とした
例の概略平面図である。

【図５】ベースをシンクの右端から幅方向の中央部を超
える範囲までに形成し、膨出部をシンクの左端部に形成
した例を示す概略平面図である。

【図６】シンクの奥側の中央部にベースを備えその左右
に膨出部を設けた例の斜視図である。

【図７】図６の例の概略平面図である。

【図８】シンクの従来例であって、同図の（ａ）はその
斜視図、同図の（ｂ）は水栓及び排水口の位置を示すた
目の概略平面図である。

【図９】従来例における排水管のキャビネット内での配
管を示す概略縦断面図である。

【符号の説明】

１ ：キャビネット ２ ：カウンター ３ ：シンク ３ａ：排水口 ３ｂ：排水管 ４ ：水栓 ４ａ：スパウト ５ ：ベース ５ａ：立上げ壁 ６ ：膨出部 ７ ：ディスペンサ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シンクの奥側の左右コーナー部にベース
   を突設し、該ベースに挟まれたシンク奥壁を後方に突き
   出した膨出部に排水口の全体または一部を設け、さらに
   前記ベースの一方に水栓を設けたことを特徴とするキッ
   チン用シンク。
2. 【請求項２】 前記ベースのもう一方に水石鹸用のディ
   スペンサを備え付けたことを特徴とする請求項１記載の
   キッチン用シンク。