JPH08231965A - 重質炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents

重質炭化水素油の水素化処理方法

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Publication number
JPH08231965A
JPH08231965A JP7337431A JP33743195A JPH08231965A JP H08231965 A JPH08231965 A JP H08231965A JP 7337431 A JP7337431 A JP 7337431A JP 33743195 A JP33743195 A JP 33743195A JP H08231965 A JPH08231965 A JP H08231965A
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JP
Japan
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oil
asphaltene
hydrotreating
heavy hydrocarbon
weight
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JP7337431A
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English (en)
Inventor
Hidehiro Azuma
英 博 東
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JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Original Assignee
Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間安定して経済的に収率よく不純物量の
少ない脱硫減圧蒸留軽油および脱歴油が得られるような
重質炭化水素油の水素化処理方法を提供する。 【解決手段】 (a)アスファルテンを含有する重質炭
化水素油を、水素化処理触媒の存在下でアスファルテン
の分解率が40〜75重量%の範囲となる条件で水素化
処理する工程と、(b)前記(a)工程で得られた生成
油を減圧蒸留して減圧蒸留軽油と減圧蒸留残渣油とに分
離し、分離された減圧蒸留軽油を回収する工程と、
(c)前記(b)工程で得られた減圧蒸留残渣油を溶剤
脱歴処理して脱歴油とアスファルテンを含む脱歴残渣と
に分離し、分離された脱歴油を回収する工程とからなる
重質炭化水素油の水素化処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、重質炭化水素油の水素化
処理方法に関し、さらに詳しくは、長期間安定して経済
的に収率よく脱硫減圧蒸留軽油および脱歴油が得られる
ような重質炭化水素油の水素化処理方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】現在、白油(留出燃料油)の需要
は急速に増加する傾向にあるため、アスファルテンなど
の重質分を多く含む原油を、水素処理の原料油として用
いなければならなくなっている。
【0003】このため、白油を得るために減圧蒸留軽油
などを水素化分解し、ガソリンおよび灯油を得る方法が
検討され、また、同様の目的で常圧蒸留残渣油、減圧蒸
留残渣油などのような重質炭化水素油(重質油類)の水
素化処理も工業的に行われている。
【0004】この重質炭化水素油の水素化処理は、重質
炭化水素油中に不純物として含まれている硫黄分(硫黄
化合物)、窒素分(窒素化合物)、残留炭素分、Ni、
Vなどの金属化合物などを水素と反応させて除去し、こ
れにより重質炭化水素油を精製して、公害を未然に防止
できるような不純物量の少ない燃料油を得る目的で行わ
れている。なお、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油など
の重質炭化水素油には不純物として多量の硫黄分、窒素
分および残留炭素分が含まれ、Ni、Vなどの金属化合
物が含まれている。
【0005】また、このようにして得られた燃料油に含
まれている不純物が少なければ少ない程、この燃料油を
接触分解してガソリンや軽油(LCO-Light Cycle Oil )
に変化させたり、水素化分解して品質のよいガソリン、
灯油、軽油に変化させたりする際、接触分解装置や水素
化分解装置の操作条件、あるいは触媒などの点で好まし
い。
【0006】このような事情から、従来、重質炭化水素
油に含まれている不純物のほとんどが除去できるように
なるまで重質炭化水素油を水素化処理していた。しかし
ながら、従来法で重質炭化水素油を水素化処理すると、
水素化処理触媒が急激に失活して、固定床式反応器を用
いた場合には反応器の運転可能な期間が短くなり、懸濁
床式反応器または沸騰床式反応器を用いた場合には重質
炭化水素油を水素化処理するために膨大な量の水素化処
理触媒が消費されるといった問題点があった。
【0007】さらに、重質炭化水素油を高度に水素化処
理するために水素化処理温度を高くすると、生成油中に
多量の固形炭素質が発生し、この固形炭素質が、燃料油
としての製品の品質を低下させ、しかも生成油の2次処
理、すなわち、熱交換器などの装置各部の詰まりを起こ
し、生成油の接触分解処理や水素化分解処理が困難にな
るという問題点があった。
【0008】本発明者らは、従来の重質炭化水素油の水
素化処理方法で上記のような問題点が生じた原因を究明
するため、各種重質油の性状を調べたところ、 1)油種ごとに重質炭化水素油に含まれているアスファ
ルテン(n−ヘプタン不溶分)の量、組成、分子量およ
び熱安定性が異なり、また、 2)油種ごとに重質油に不純物として含まれている硫黄
分量、窒素分量、残留炭素分量、ニッケルおよびバナジ
ウムの量が異なり、 3)さらに、ニッケルおよびバナジウムは、主としてア
スファルテン中に含まれていることを見出した。
【0009】これらの事実から、本発明者らは、従来法
で重質炭化水素油を水素化処理すると、水素化処理触媒
が急激に失活して、固定床式反応器を用いた場合には反
応器の運転可能な期間が短くなり、懸濁床式反応器また
は沸騰床式反応器を用いた場合には重質炭化水素油を水
素化処理するために膨大な量の水素化処理触媒を必要と
するのは、重質炭化水素油中には水素との反応性が異な
る種々の不純物が含まれているのにもかかわらず、これ
ら不純物の反応性に関わりなく一律に重質炭化水素油中
の不純物をほとんど全て水素と反応させるようにして重
質炭化水素油を水素化処理した点に原因があると考察し
た。
【0010】本発明者らは、アスファルテンを含む重質
炭化水素油を水素化処理触媒の存在下で水素化処理し、
重質炭化水素油をどの程度水素化処理したら水素化処理
触媒の失活が激しくなるのか、水素化処理触媒の失活程
度と重質炭化水素油中に含まれるアスファルテンの分解
率との関係を調べた。
【0011】この結果、アスファルテンの分解率が75
重量%に達するまでは重質炭化水素油が比較的容易に水
素化処理されて重質炭化水素油中のアスファルテンが分
解されるが、アスファルテンの分解率が75重量%を越
えると急激に水素化処理触媒上にコークが付着して触媒
の失活が生じると同時に生成油中に固形炭素質(以下、
ドライスラッジということがある。)が急激に増加する
ようになることを見出した。
【0012】本発明者らは、さらに得られた生成油を減
圧蒸留して減圧蒸留軽油と減圧蒸留残渣油とに分離して
減圧蒸留軽油を回収した後、得られた減圧蒸留残渣油を
溶剤脱歴処理して脱歴油とアスファルテンを含む脱歴残
渣とに分離する際にも、重質炭化水素油中のアスファル
テンの分解率を40重量%以上とした場合には不純物量
の少ない脱硫減圧蒸留軽油および脱歴油が収率よく得ら
れるが、重質炭化水素油中のアスファルテンの分解率が
40重量%未満の場合には減圧蒸留軽油および脱歴油中
の不純物が多くなることを見出した。
【0013】本発明は、上記知見に基づいて完成された
ものである。
【0014】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術の問題
点を解決するためになされたものであって、長期間安定
して経済的に収率よく不純物量の少ない脱硫減圧蒸留軽
油および脱歴油が得られるような重質炭化水素油の水素
化処理方法を提供することを目的としている。
【0015】
【発明の概要】本発明に係る重質炭化水素油の水素化処
理方法は、(a)アスファルテンを含有する重質炭化水
素油を、水素化処理触媒の存在下でアスファルテンの分
解率が40〜75重量%の範囲となる条件で水素化処理
する工程と、(b)前記(a)工程で得られた生成油を
減圧蒸留して減圧蒸留軽油と減圧蒸留残渣油とに分離
し、分離された減圧蒸留軽油を回収する工程と、(c)
前記(b)工程で得られた減圧蒸留残渣油を溶剤脱歴処
理して脱歴油とアスファルテンを含む脱歴残渣とを分離
し、分離された脱歴油を回収する工程とからなることを
特徴としている。
【0016】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る重質炭化水素
油の水素化処理方法について具体的に説明する。
【0017】本発明に係る重質炭化水素油の水素化処理
方法では、(a)アスファルテンを含有する重質炭化水
素油を、水素化処理触媒の存在下でアスファルテンの分
解率が40〜75重量%の範囲となる条件で水素化処理
している。
【0018】本発明で用いられる重質炭化水素油として
は、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油などのアスファル
テンを含む重質炭化水素油が挙げられる。本発明で水素
化処理される重質炭化水素油は、アスファルテン含量が
2重量%以上、好ましくは4重量%以上であることが望
ましい。
【0019】本明細書中で、アスファルテンとは、重質
炭化水素油に含まれているn−ヘプタン不溶部分を意味
し、アスファルテンの分解率は次式で定義される。
【0020】
【数1】
【0021】なお、上記式中のアスファルテン量は、例
えば次のようにして測定される。 1)試料油2gを予め精秤してある100mlの三角フ
ラスコに採取し、化学天秤で1mgの精度で測定する。
【0022】2)この三角フラスコにn−ヘプタンを4
0ml加えてよく混合した後、この混合物を室温で1時
間放置する。 3)予め温n−ヘプタンでの洗浄、乾燥および精秤がこ
の順序でなされた定量用濾紙N0.5cを用いて、上記
混合物を70〜80℃の温度で加温しながら濾過する。
【0023】4)前記濾紙上の残渣を100mlの温n
−ヘプタンで洗浄する。 5)洗浄後の濾紙上に残存する残渣を、濾紙とともに1
05±2℃で1時間乾燥し、次いでデシケーター中で3
0分間放冷した後、精秤する。
【0024】6)精秤された濾紙と残渣との合計重量か
ら予め精秤された濾紙の重量を差し引いて得られた残渣
の重量がアスファルテン量である。なお、試料のアスフ
ァルテン含有率(重量%)は次式で計算できる。
【0025】
【数2】
【0026】本発明では、上記のようなアスファルテン
を含む重質炭化水素油の水素化処理が、水素化処理触媒
の存在下で行われる。水素化処理触媒としては、通常の
水素化処理触媒を用いることができるが、特に周期律表
第Vb族、第VIb族および第VIII族から選ばれる
少なくとも一種の元素を水素化活性金属成分として多孔
性無機酸化物に担持した触媒などが好ましい。
【0027】上記水素化活性金属成分を具体的に例示す
ると、リン、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、
コバルト、ニッケルなどが挙げられる。また、多孔性無
機酸化物としては、アルミナ、シリカ、シリカ/アルミ
ナ、ゼオライト、チタニアなどの多孔性無機酸化物が挙
げられる。特に、アルミナが好ましい。
【0028】これら水素化活性金属成分の担持量は、通
常の水素化処理触媒と同様、約3〜30重量%であるこ
とが好ましい。また、水素化処理触媒は、細孔容積が
0.41ml/g以上、好ましくは0.50〜1.20
ml/gであって、平均細孔直径が60〜150オング
ストローム、好ましくは80〜130オングストローム
であるようなシャープな細孔分布を有し、しかも比表面
積が120m2 /g以上、好ましくは150〜350m
2/gであることが望ましい。特に、触媒の平均細孔直
径±10オングストロームの範囲の細孔径の占める細孔
容積が、全細孔容積に対する割合(細孔集約率)が70
%以上であることが望ましい。
【0029】本発明では、上記のような水素化処理触媒
の存在下で、アスファルテンの分解率が40〜75重量
%、好ましくは50〜70重量%の範囲となるように、
アスファルテンを含む重質炭化水素油が水素化処理され
る。
【0030】アスファルテンを含む重質炭化水素油を水
素化処理すると、アスファルテンの分解率が75重量%
に達するまでアスファルテンが比較的容易に分解し、ア
スファルテンの分解に伴って水素化処理触媒が急激に失
活するということはない。
【0031】これに対し、アスファルテンの分解率が7
5重量%を越えると、アスファルテンを含む重質炭化水
素油の水素化処理過程でコークの付着による水素化処理
触媒の失活が急激に生じ、さらに生成油中にドライスラ
ッジが急激に増加するようになる。
【0032】逆に、アスファルテンの分解率が40重量
%未満である場合には、水素化処理後の生成油を減圧蒸
留しても、減圧蒸留軽油中の不純物量を充分に低減でき
ず、さらに減圧蒸留後に分離された減圧蒸留残渣油を溶
剤脱歴処理しても脱歴油中の不純物量を充分に低減でき
ない。
【0033】アスファルテンの分解率を上記範囲内に制
御する方法としては、例えば水素化処理触媒、反応温
度、液空間速度などの反応条件を変える方法が挙げられ
る。この反応条件は、通常の水素化処理条件の範囲内で
選択することが可能である。
【0034】上記(a)工程で用いられる重質炭化水素
油中に含まれているニッケル、バナジウムなどの金属
は、未分解のアスファルテンに多く含まれていることが
望ましい。
【0035】このような点から、上記(a)工程では、
生成油中に含まれているニッケルとバナジウムとの合計
量の50重量%以上、好ましくは60重量%以上が未分
解のアスファルテン中に残存するように、また生成する
固形炭素質分が0.1重量%以下、好ましくは0.05重
量%以下となるように、重質炭化水素油を水素化処理す
ることが望ましい。
【0036】通常、固形炭素質分は、温度の高い反応器
内では、溶媒和した固形炭素質前駆体の状態で存在する
が、油の温度が低下すると、該前駆体は凝集し、固形炭
素質となる。前記(a)工程で得られた生成油に含まれ
る固形炭素質分が0.1重量%よりも多い場合には、下
流装置での熱交換器などの詰まりの問題が起こることが
あるので望ましくない。
【0037】本発明において、固形炭素質分とは、以下
に記載するSHFT法(Shell HotFiltration Test法)
で測定される炭素質の不溶性の固形分を云う。すなわ
ち、固形炭素質分は、試料の油を5〜10g秤量し、該
試料を温度100℃に保持した状態で、定量濾紙(ワッ
トマンNo.50)を用いて濾紙の上側を5kg/cm2Gに
加圧し、さらに濾紙の下側を−100mmHgに減圧し
て濾過する。なお、濾過時間が25分間を越えないよう
に試料の油の量は5〜10gの範囲で調節される。次い
で、10mlのn-ヘプタンで洗浄後、110℃で20分
間乾燥して残渣の重量を測定して定量される。
【0038】本発明に係る重質炭化水素油の水素化処理
方法は、上記(a)工程で得られた生成油を減圧蒸留し
て減圧蒸留軽油と減圧蒸留残渣油、例えば沸点566℃
未満の成分と沸点566℃以上の成分とに分離し、分離
された減圧蒸留軽油、例えば沸点566℃未満の成分を
回収する工程〔(b)工程〕を含んでいる。
【0039】減圧蒸留方法としては、石油を精製する際
に通常採用されている方法が挙げられる。本発明に係る
重質炭化水素油の水素化処理方法は、上記(b)工程で
得られたアスファルテンを多く含む減圧蒸留残渣油を、
プロパンなどを用いて溶剤脱歴処理し、これにより脱歴
油と主としてアスファルテンからなる脱歴残渣とに分離
し、分離された脱歴油を回収する工程〔(c)工程〕を
含んでいる。
【0040】上記(b)工程を経て回収された減圧蒸留
軽油および上記(c)工程を経て回収された脱歴油は、
ともに上記(a)工程で重質炭化水素油中のアスファル
テンが40重量%以上分解されているので不純物量が少
なく、2次処理用原料、すなわち接触分解してガソリン
や軽油(LCO-Light Cycle Oil )に変化させたり、水素
化分解して品質のよいガソリン、灯油、軽油に変化させ
たりする際の原料などとして用いられる。
【0041】また、上記(c)工程で主としてアスファ
ルテンからなる少量の脱歴残渣が得られ、この脱歴残渣
は、アスファルトの原料、製油所燃料、コーカー原料な
どとして用いられ、またドライスラッジ分をほとんど含
まないため、軽油(LCD)等で溶解し、再び液体燃料
として使用することも可能である。
【0042】上記本発明方法で重質炭化水素油を水素化
処理する場合、例えば図1に示す水素化処理システムが
用いられる。図1に示すシステムは、水素化処理装置1
と気液分離装置2とフラクショネーター3と減圧蒸留塔
4と脱歴装置5とから構成されている。
【0043】このうち、水素化処理装置1には、上述し
たような水素化処理触媒が充填されており、水素化処理
装置1でアスファルテンを含む重質炭化水素油が水素化
処理され、この水素化処理条件に応じてアスファルテン
が40〜75重量%分解された生成油が得られる。すな
わち、水素化処理装置1で、アスファルテンの分解率が
40〜75重量%となる条件で、重質炭化水素油が水素
化処理される〔(a)工程〕。
【0044】水素化処理装置1で得られた生成油は、未
反応の水素などと共に気液分離装置2に供給され、気液
分離装置2で未反応の水素などと分離される。気液分離
装置2で分離された水素は水素化処理装置1に循環さ
れ、生成油は気液分離装置2からフラクショネーター3
に供給される。
【0045】フラクショネーター3に供給された生成油
は、フラクショネーター3でナフサ、軽油成分を分離・
回収した後、減圧蒸留塔4に供給され、減圧蒸留塔4で
減圧蒸留により減圧蒸留軽油と減圧蒸留残渣油とに分離
され、このうちの減圧蒸留軽油が回収される〔(b)工
程〕。
【0046】このようにして得られた減圧蒸留残渣油
は、例えば沸点が566℃以上の留分が大部分であり、
脱歴装置5に供給され、脱歴装置5でプロパンなどの溶
剤を用いた溶剤脱歴処理により脱歴油と脱歴残渣とに分
離され、このうちの脱歴油が回収される〔(c)工
程〕。
【0047】上記のようにして重質炭化水素油を水素化
処理すると、後述する実施例から明らかなように脱歴油
の回収率が80重量%となる。このことは、本発明方法
によれば、重質炭化水素油中の不純物のほとんどがアス
ファルテンとともに分離されることを示している。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、アスファルテンの分解
率が75%以下となる条件でアスファルテンを含む重質
炭化水素油を水素化処理しているので、水素化処理温度
を低くすることができ、また、水素化処理触媒上にコー
クが付着することによって生じる触媒の失活が未然に防
止でき、また水素化処理装置内での重質炭化水素油の偏
流や差圧上昇を防止できる。このため、本発明方法で重
質炭化水素油を水素化処理すると、水素化処理触媒の寿
命を大幅に向上させることができる。また、ドライスラ
ッジ分の発生がほとんどないので、下流の熱交換器など
の装置各部の詰まりが起きず、生成油の2次処理が容易
にできる。
【0049】さらに、本発明によれば、水素化処理後の
重質炭化水素油を減圧蒸留して減圧蒸留軽油を回収し、
さらにこの減圧蒸留残渣油を溶剤脱歴処理して脱歴油を
回収しているので、次いでこれらの油に接触分解処理、
水素化分解処理などの2次処理を行うことにより高品位
の燃料油が大量に得られる。
【0050】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0051】実施例を説明するのに先立ち、参考例とし
て各種重質炭化水素油(重質油)の性状を明らかにす
る。
【0052】
【参考例1】各種重質油の性状を明らかにするため、メ
キシカンブレンド油、オマーン油、イラニアンヘビー
油、クウェート油、ウムシェイフ油の5種重質油につ
き、それぞれの重質油に含まれているアスファルテンの
分子量分布を液体クロマトグラフィー法で測定した。
【0053】結果を図2に示す。図2に示す結果から明
らかなように、アスファルテンの量、組成および分子量
は油種ごとに異なる。
【0054】
【参考例2】オマーン油とクウェート油とにつき、それ
ぞれの重質油に含まれているアスファルテンの示差熱分
析を行った。
【0055】結果を図3に示す。図3に示す結果は、重
質油に含まれているアスファルテンの熱安定性は油種ご
とに異なる。
【0056】参考例1および参考例2は、油種ごとに重
質炭化水素油に含まれているアスファルテンの量、組
成、分子量および熱安定性が異なることを示しており、
このことから重質炭化水素油を水素化処理する際の水素
とアスファルテンとの反応性は油種ごとに異なると推定
される。
【0057】
【参考例3】クウェート常圧残渣油とイラニアンヘビー
常圧残渣油とにつき、それぞれに不純物として含まれて
いる硫黄分、窒素分、残留炭素分、アスファルテン分、
ニッケルおよびバナジウムの量をそれぞれ測定した。
【0058】結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】上記表1に示す結果から明らかなように、
不純物として含まれている硫黄分、窒素分、残留炭素
分、アスファルテン分、ニッケルおよびバナジウムの量
は油種ごとに異なる。
【0061】
【参考例4】上記表1に示すクウェート常圧残渣油とイ
ラニアンヘビー常圧残渣油とにつき、それぞれのアスフ
ァルテン中に含まれている硫黄分量、窒素分量およびニ
ッケルとバナジウムとの合計量を測定した。
【0062】結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】上記表2に示す結果から明らかなように、
上記表1に示すクウェート常圧残渣油およびイラニアン
ヘビー常圧残渣油では、残渣油に含まれている硫黄分の
うちの約10重量%がアスファルテン中に含まれ、残渣
油に含まれているニッケルとバナジウムとの合計量を1
00重量%とした場合、このうちの約43重量%がアス
ファルテン中に含まれ、残渣油に含まれている窒素分の
うちの約18重量%がアスファルテン中に含まれてい
る。
【0065】このことは、アスファルテンを含む重質炭
化水素油からほとんどの不純物を除去するためには、そ
れぞれのアスファルテン中に高濃度で含まれる金属類
(例えばクウェート常圧残渣油、イラニアンヘビー常圧
残渣油の場合には、残渣油中の約45〜41重量%)の
不純物をも水素と反応させて処理する必要があることを
示している。
【0066】
【実施例1】表3に示す性状を有する水素化処理触媒A
を用いて、下記運転条件で、アスファルテンの分解率が
水素化処理反応(以下、反応という)初期段階で66重
量%、反応終了段階で75重量%になるようにして上記
表1に示すクウェート常圧残渣油を水素化処理した。 運転条件 LHCV (hr -1) 0.5 初期反応温度 (℃) 381 反応圧力 (kg/cm2) 150 末期反応温度 (℃) 420 H2 /H.C (nM3/kl) 800 運転時間 (hrs) 3800
【0067】
【表3】
【0068】上記のようにして得られた生成油中の硫黄
分は0.3重量%であった。運転時間と反応温度との関
係を図4に示す。運転時間が1900時間に達した時点
での生成油の性状および生成油中の不純物がアスファル
テン中にどの程度存在し、全生成油中の不純物に対して
どの程度存在するかを調べた結果を表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】上記表4は、生成油中に1.5重量%のア
スファルテンが存在し、そのアスファルテン中に硫黄が
16重量%、窒素が6.5重量%存在し、ニッケルおよ
びバナジウムは合計量で実に89重量%存在することを
示している。
【0071】
【比較例1】アスファルテンの分解率が88重量%にな
るようにした以外は実施例1と同様にして上記表1に示
すクウェート常圧残渣油を水素化処理した。
【0072】このようにして得られた生成油中の硫黄分
は0.1重量%であった。上記のようにしてクウェート
常圧残渣油を水素化処理した場合の運転時間と反応温度
との関係を図4に併記する。
【0073】図4に示された結果から、実施例1の方が
比較例1に比較して格段と運転時間が長いことが分か
る。
【0074】
【実施例2】上記水素化処理触媒Aを用い、下記運転条
件で、アスファルテンの分解率が反応初期段階で43重
量%、反応終了段階で56重量%になるようにしてアラ
ビアンヘビー減圧残渣油を水素化処理した。 運転条件 LHSV (hr -1) 0.2 初期反応温度 (℃) 378 反応圧力 (kg/cm2) 150 末期反応温度 (℃) 412 H2 /H.C (nM3/kl) 700 運転時間 (hrs) 5000 上記のようにして得られた生成油中の硫黄分は1.0重
量%であった。
【0075】運転時間と反応温度との関係を図5に示
す。また、使用した原料油(アラビアンヘビー減圧残渣
油)、反応温度395℃(運転時間3500時間目)に
対応する生成油の性状を表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】運転3500時間目の生成油に含まれてい
るアスファルテン中の不純物量を表6に示す。なお、表
6中にはアスファルテン中の不純物量が生成油に含まれ
ている不純物量の何重量%に該当するかも示されてい
る。
【0078】
【表6】
【0079】上記表6は、生成油中のアスファルテンに
は、0.38重量%の硫黄分、348ppmの窒素分、
26.7ppmのNi+V(ニッケルとバナジウムの合
計量)が含まれており、生成油中に含まれている硫黄分
の38重量%、窒素分の13重量%、Ni+Vの99重
量%が生成油中のアスファルテンに含まれていることを
示している。
【0080】次いで、図1に示す装置を用いて得られた
生成油を処理した。得られた減圧蒸留軽油、減圧蒸留
残渣油、脱歴油および脱歴残渣の性状は、上記表
5に示されている。
【0081】上記表5から明らかなように、回収された
ナフサ、軽油、減圧蒸留軽油および脱歴油の合計量は8
6%である。また、脱歴残渣50VOL%と軽油(L
CO)50VOL%の割合で混合したものは、沈殿物は
観察されず、脱歴残渣の溶解性は良好であった。なお、
生成油の固形炭素質分の量が0.1重量%になった時の
反応温度は405℃で反応時間は4,400時間であっ
た。
【0082】
【比較例2】アスファルテンの分解率が77重量%にな
るようにした以外は実施例2と同様にして上記表5に示
すアラビアンヘビー減圧残渣油を水素化処理した。
【0083】上記のようにしてアラビアンヘビー減圧残
渣油を水素化処理した場合の運転時間と反応温度との関
係を図5に併記する。図5に示された結果から、比較例
2の方が実施例2に比較して水素化処理触媒の寿命が短
いことが分かる。
【0084】
【実施例3】表3に示す触媒Aおよび表7に示す性状を
有するそれぞれの水素化処理触媒を使用して、表8に示
すような割合で脱メタル触媒と脱硫触媒とを組み合せて
用い、実施例2に示す運転条件で、アスファルテンの分
解率が反応初期段階で43重量%、反応終了段階で56
重量%になるように表5に示すアラビアンヘビー減圧残
渣油を水素化処理した。
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】実験1〜4での水素化処理の運転時間と反
応温度の関係を、実施例2の結果とともに図6に示す。
また、生成油の固形炭素質分の量が0.1重量%になっ
た時の反応温度と反応時間を実施例2での結果とともに
表9に示す。なお、図6中の●は固形炭素分が0.1重
量%の量で発生したときの温度およびその時間を示す。
【0088】
【表9】
【0089】図6より、触媒A(脱硫触媒)を単独で用
いた場合よりも、触媒Aと触媒B(脱メタル触媒)とを
組合せて用いた場合の方が、運転時間が長く触媒寿命に
優れていることがわかる。この触媒Aおよび触媒Bは、
平均細孔径が最適な範囲(80〜130オングストロー
ム)にあり、しかも細孔集約率も80%と高いため、触
媒寿命に優れていると考えられる。
【0090】一方触媒Eおよび触媒Fは、平均細孔径が
大きすぎるため、生成油の固形炭素質分が0.1重量%
になるまでの反応時間が短い。さらに触媒Cおよび触媒
Dは、いずれも細孔集約率が必ずしも高くないため、触
媒寿命は必ずしも長くない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明方法で用いられる水素化処理シ
ステムの一例を模式的に表した図面である。
【図2】図2は、各種重質油に含まれているアスファル
テンの分子量分布を示す図面である。
【図3】図3は、アスファルテンの示差熱分析結果を示
す図面である。
【図4】図4は、重質炭化水素油の水素化処理過程にお
ける水素化処理運転時間と水素化処理反応温度との関係
を示す図面である。
【図5】図5は、重質炭化水素油の水素化処理過程にお
ける水素化処理運転時間と水素化処理反応温度との関係
を示す図面である。
【図6】図6は、重質炭化水素油の水素化処理過程にお
ける水素化処理運転時間と水素化処理反応温度との関係
を示す図面である。
【符号の説明】
1 … 水素化処理装置 2 … 気液分離装置 3 … フラクショネーター 4 … 減圧蒸留塔 5 … 脱歴装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 35/10 301 B01J 35/10 301A // C10G 21/14 9279−4H C10G 21/14 45/04 9547−4H 45/04 A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)アスファルテンを含有する重質炭化
    水素油を、水素化処理触媒の存在下でアスファルテンの
    分解率が40〜75重量%の範囲となる条件で水素化処
    理する工程と、 (b)前記(a)工程で得られた生成油を減圧蒸留し
    て、減圧蒸留軽油と減圧蒸留残渣油とに分離し、分離さ
    れた減圧蒸留軽油を回収する工程と、 (c)前記(b)工程で得られた減圧蒸留残渣油を溶剤
    脱歴処理して、脱歴油とアスファルテンを含む脱歴残渣
    とに分離し、分離された脱歴油を回収する工程とからな
    ることを特徴とする重質炭化水素油の水素化処理方法。
  2. 【請求項2】 前記(a)工程で、周期律表第Vb族、
    第VIb族および第VIII族から選ばれる少なくとも
    一種の元素を水素化活性金属成分として多孔性無機酸化
    物に担持した触媒であって、細孔容積が0.41ml/
    g以上であり、平均細孔直径が60〜150オングスト
    ロームであり、比表面積が120m2/g以上である水
    素化処理触媒を用いることを特徴とする請求項1に記載
    の水素化処理方法。
  3. 【請求項3】 前記(a)工程で得られた生成油に含ま
    れているニッケルとバナジウムとの合計量の50重量%
    以上が、未分解のアスファルテンに残存し、かつ、固形
    炭素質分が0.1重量%以下であることを特徴とする請
    求項1または2に記載の水素化処理方法。
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