JPH08231909A - インクジェット記録用インク - Google Patents

インクジェット記録用インク

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JPH08231909A
JPH08231909A JP3856495A JP3856495A JPH08231909A JP H08231909 A JPH08231909 A JP H08231909A JP 3856495 A JP3856495 A JP 3856495A JP 3856495 A JP3856495 A JP 3856495A JP H08231909 A JPH08231909 A JP H08231909A
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郷司 前田
Tetsuo Shimomura
哲生 下村
Yasunari Hotsuta
泰業 堀田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高品位な画像記録、印字が可能であり、かつ高
い目詰まりに対する信頼性と保存安定性を両立するイン
クジェット記録用インクの提供。 【構成】カーボンブラックの水系微分散体を用いたイン
クにおいて、エチレン−プロピレン共重合体、メチルス
チレンを主体とする共重合体、エチレン−(メタ)アク
リル酸共重合体、アイオノマー樹脂等からなる、比重
0.9〜1.05、平均粒子径0.2〜1.0μmの合
成樹脂微粒子を0.5〜15重量%含有することを特徴
とするインクジェット記録用インク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータ用プリン
タ、ワードプロッセサ用プリンタ、ファクシミリ、デジ
タル複写機、CAD出力用プロッタ、ポップ(POP)
ライター、大型看板、ポスター用プリンタ等から、布
地、絨毯、壁紙等のプリントにまで幅広く用いられてき
ているインクジェット記録用インクに関するものであ
り、さらに詳しくは、記録材としてカーボンブラックの
微分散粒子を用いたインクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録技術は、非接触記録
であり、しかも小型記録機器から超大型機器まで広い適
用範囲を持ち、さらにカラー化が比較的容易であるため
OA用から産業用にまで広い範囲で用いられている。イ
ンクジェット記録はその形態から連続ジェット型とオン
デマンドジェット型に大別される。前者は主に産業用プ
リンタに、後者は主に小型のOA用、携帯用プリンタに
用いられている。特にサ−マルバブルジェット方式、あ
るいはピエゾ方式によるオンデマンド型の小型プリンタ
は近年その需要が急速に伸びている。産業用プリンタに
用いられるインクは即乾性に対する要求から主に溶剤型
インクが、OA用、携帯用プリンタでは使用環境に対す
る配慮から水系インクが主に用いられている。
【0003】(水溶性染料インク)水系インクの多くは
水溶性染料型インクである。水溶性染料型インクは主と
して酸性染料、直接染料、一部の食品用染料等に分類さ
れる水溶性染料の水溶液に、保湿剤としてグリコール
類、アルカノールアミン類、表面張力等の調製のための
界面活性剤、アルコール類等を少量添加したものであ
る。バインダー成分として水溶性の樹脂成分を添加する
特許提案の散見されるが、実用的にはノズル目詰まり等
に対する懸念からあまり用いられてはいない模様であ
る。これら水溶性染料型インクはノズル目詰まりに対す
る高い信頼性から、最も一般的に用いられている。しか
しながらかかる水溶性染料型インクは、染料の水溶液で
あるが故に記録紙上でにじみやすく、また逆に見掛けの
乾燥速度を早める必要から記録紙に素早く浸透するよう
に調製されるが故にインクのニジミによる記録品位の低
下を余儀なくされている。また水溶性の染料であるがゆ
えに耐水性に劣ることは自明である。さらに記録紙に単
に浸透し、乾燥固着しているだけの水溶性染料は「染
着」しているとはいい難く耐光堅牢度は非常に低い。
【0004】(樹脂微粒子添加−水溶性染料型インク)
以上述べてような水溶性染料インクの問題点を解決する
方策として、エマルジョン、ラテックス等の樹脂微粒子
を添加することが古くから検討されている。特開昭55
−18418には、「ゴム、樹脂等の成分を乳化剤によ
り微細粒子(粒径約0.01〜数μm)の形で水中に分
散せしめた一種のコロイド溶液」であるラテックスを添
加したインクジェット記録用インクに関する提案があ
る。好ましく用いられるラテックスとしてはスチレン−
ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブ
タジエン共重合体ラテックス、ポリクロロプレンラテッ
クス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンラテック
ス、ブチルゴムラテックス、ポリブタジエンラテック
ス、ポリイソプレンラテックス、多硫化ゴムラテック
ス、等の合成ゴム系ラテックス、あるいは、アクリルエ
ステル系ラテックス、スチレン−ブタジエンレジンラテ
ックス、酢酸ビニル系ラテックス、塩化ビニル系ラテッ
クス、塩化ビニリデン系ラテックス、等の合成樹脂系ラ
テックスが例示されている。該提案において、添加でき
るラテックス粒子の粒子径は約0.01〜数μmの範囲
であるとされている。しかしながら、0.2μm未満の
粒子径では記録紙上でのてインクのニジミ防止効果が不
十分であり、高い記録品位を得ることはできない。また
粒子径が1.0μm以上になるとノズルの目詰まりが頻
繁になり信頼性の面から使用することは困難となる。し
たがって現実的に使用できる範囲は概0.2〜1.0μ
mの範囲であると考えられる。
【0005】かかる樹脂微粒子をインク中に添加した場
合、粒子の比重と媒体の比重差による沈降あるいは浮上
に関する注意が必要となる。水系インクの場合、媒体の
比重はは1.0から大きく離れることは難しい。およそ
0.2μm以上の大きさの微粒子においてはブラウン運
動による粒子の拡散力に比較して重力の効果が大きいた
め、かかる領域では粒子比重と媒体比重の差を0.1以
下、好ましくは0.07以下程度に抑える必要がある。
該特許提案に例示された合成ゴム系ラテックスの比重は
概0.9〜1.0の範囲にあり、かかる条件をある程度
満たすものの、合成ゴムの多くは分子内に不飽和二重結
合を有し、耐光性、耐候性の面で問題がある。また加硫
を行い不飽和結合を減じた場合には粒子の記録紙上への
定着が阻害され、記録品位に問題がでる。さらに過度に
加硫を行なうと比重が1.1以上となるため沈降の問題
が生じる。さらにかかる合成ゴム系のラテックスはガラ
ス転移温度が低いために室温で造膜しやすく、インクジ
ェットノズル先端部にて乾燥された場合ノズルの目詰ま
りを生じやすく、しかも乾燥物が柔軟でやや粘着性を持
つためその除去が非常に困難である。
【0006】該特許に例示された合成樹脂ラテックスに
関しては比重が1.1以上、特にハロゲン元素を含む合
成樹脂の場合には比重1.3〜1.5近くに達するた
め、ニジミ防止効果が発現する粒径範囲においてはすべ
て沈降が生じてしまう。さらにこれらのラテックス全般
にいえることであるが、ラテックスを製造する際に用い
られる乳化剤の多くはインクの泡立ちを促進しやすく、
表面張力を必要以上に低下せしめるために問題が多い。
特開昭54−146109には溶剤にて膨潤され、かつ
油性染料にて着色されたビニル重合体微粒子を添加した
水溶性染料型インクに関する提案がなされている。好適
に用いられる重合体としては主に(メタ)アクリル酸エ
ステル系共重合体微粒子が例示され、さらにガラス転移
温度が30℃以下であることが好適な条件であると記さ
れている。該提案においては粒子径に関する記述は一切
ない。かかる低ガラス転移温度でさらに溶剤にて膨潤し
た微粒子が室温乾燥した場合に造膜性を有することは自
明であり、かかるインクを使用した場合にはノズル目詰
まりが頻繁に生じるであろうことが容易に類推される。
【0007】(顔料分散型インク)水溶性染料型インク
の欠点を改良するために、記録材としてカーボンブラッ
ク、あるいは有機顔料を用いる提案がなされている。こ
のような顔料分散型インクにおいてはインクの耐水性は
大幅に改良される。しかしながらこれら顔料は比重が
1.5〜2.0と高く、分散粒子の沈降に対する注意が
必要である。かかる高比重の顔料を安定的に分散させる
ためには平均粒子径を概0.1μm以下にまで微分散す
ることが必要であり、分散コストが高く非常に高価なイ
ンクとなる。さらに0.1μm以下の粒子径ではニジミ
防止効果は不十分であり高品位な記録文字・画像を得る
ことはできない。さらに分散に際して用いられる分散剤
により表面張力、起泡性等のインク物性が制限される等
の問題がある。
【0008】(着色樹脂粒子型インク)油溶性染料ない
し疎水性染料により水分散性樹脂を着色する提案がイン
クジェット記録用インクとしてなされている。これらは
「着色されたポリマー微粒子を記録剤として用いたイン
ク」に関する提案である。例えば特開昭54−5850
4においては、疎水性染料溶液とビニル重合体微粒子の
混合物を水中油型分散させたインクが提案されている。
ビニル重合体微粒子は疎水性染料溶液と混合されること
により染料溶液の溶媒にて膨潤し、さらに染料により着
色されることが本文にて開示されている。疎水性染料を
記録剤とするため、得られる画像は耐水性を有するもの
となるとある。該提案では、連続相として水を用い、分
散相として溶剤にて膨潤した着色ビニル重合体粒子を用
いることにより、インク粘度の支配を水に持たせ、溶剤
としてある程度高粘度(低揮発性)のものを用いること
を許容させている。特開昭55−139471、特開平
3−250069には染料によって染色された乳化重合
または分散重合粒子を用いたインクが提案されている。
提案の主旨は特開昭54−58504と同様、着色した
粒子を分散質、水(透明)を媒体とすることによるニジ
ミ防止であるが、この提案の場合には溶剤を含まないた
め、粒子が造膜することにより記録紙に定着されること
が必要となる。造膜の必要、分散安定性の確保の観点よ
り、望ましい粒子径はサブミクロン領域であることが示
唆されている。
【0009】いずれの提案においても水分散性樹脂はビ
ニル重合体である。これらビニル重合体においては樹脂
に対する染料の溶解度が低いために高濃度の着色を行う
ことは難しい。特開昭54−58504では重合体微粒
子を溶剤にて膨潤させることにより染着性を稼ぐことが
容認されているが、この場合にはノズル先端部での乾燥
造膜によりノズル目詰まりの問題が生じる。特開平4−
185672には着色された樹脂粒子と水性媒体からな
るインクにおいて水溶性化合物を水性媒体に溶解させる
ことにより着色樹脂粒子と水性媒体との比重差を0.0
4以下とし、粒子の沈降を防止することが提案されてい
る。ここに水溶性化合物としては無機塩類が好ましく用
いられるとされている。しかしながら、かかる無機塩類
を水性媒体に溶解した場合、系内のイオン強度が増し、
分散系の安定性が低下するために着色樹脂粒子は凝集し
インクジェットインクとしての流体特性を保持できな
い。特開平4−185673、特開平4−185674
には着色された樹脂粒子と水性媒体からなるインクにお
いて着色樹脂粒子を溶剤にて膨潤させることにより実効
的な比重を下げ、着色樹脂粒子と水性媒体との比重差を
0.04以下にすることが提案されている。かかる場合
には前述したようにノズル目詰まりを避けることが困難
である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきたよう
に、従来技術では水溶性染料型インクの記録品位を向上
させることは難しく、さらに水溶性染料型インクの問題
点を解決するべく開発されている顔料分散型インク、着
色樹脂粒子型インクにおいても満足な結果は得られてい
ない。本発明者らはインクジェット記録用の水系インク
の記録品位向上を目的とし、特にカーボンブラックの微
分散体を記録材に用いたインクにおいて、ある特定の樹
脂微粒子を添加した際にのみ、著しい記録品位向上と粒
子沈降に対する安定性、ノズル目詰まりに対する信頼性
を両立させることが可能であることを見出し、本発明に
到達した。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、記録
剤としてカーボンブラックの水系微分散体を用いたイン
クジェット記録用インクにおいて、比重0.9〜1.0
5、平均粒子径0.2〜1.0μmの合成樹脂微粒子を
0.5〜15重量%含有することを特徴とするインクジ
ェット記録用インクであり、前記合成樹脂微粒子の比重
が0.93〜1.00の範囲であり、平均粒子径が0.
3〜0.8μmの範囲であることを特徴とするインクジ
ェット記録用インクであり、前記合成樹脂微粒子が低級
アルコールおよびまたはアルキレングリコールおよびま
たはアルカノールアミン類に対して非膨潤性であること
を特徴とするインクジェット記録用インクであり、前記
合成樹脂微粒子がエチレンおよびまたはプロピレンを5
0重量%以上含有する(共)重合体からなることを特徴
とするインクジェット記録用インクであり、前記合成樹
脂微粒子がメチルスチレン50重量%以上からなる
(共)重合体からなることを特徴とするインクジェット
記録用インクであり、前記合成樹脂微粒子がエチレン/
(メタ)アクリル酸共重合体からなることを特徴とする
インクジェット記録用インクである。
【0012】さらに、前記合成樹脂微粒子がエチレン/
(メタ)アクリル酸共重合体からなるアイオノマー樹脂
からなり、ビカット軟化点が40〜100℃の範囲であ
ることを特徴とするインクジェット記録用インクであ
り、前記合成樹脂微粒子が乳化剤を用いない乳化手段に
より得られるものであることを特長とするインクジェッ
ト記録用インクであり、さらに前記カーボンブラックの
分散粒子径が0.1μm以下であることを特徴とするイ
ンクジェット記録用インクである。
【0013】本発明において用いられるカーボンブラッ
クとしては、サーマルブラック、アセチレンブラック、
チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラ
ック等を用いることができる。また水分散の手法として
はサンドミル、ボールミル、アトライター、ペイントシ
ェイカー等を用いることができる。水分散化する際に必
要な分散剤としてはアニオン系、ノニオン系、カチオン
系の公知の分散剤を必要に応じて用いることができる。
しかしながら本発明においてはかかる分散剤の使用量は
最低限度に抑えるべきであり、好ましくは表面処理、グ
ラフト処理を行なったカーボンブラックを用い分散剤を
用いずに水分散化したものが望ましい。カーボンブラッ
クはインク中に0.3〜15wt%、好ましくは0.5〜
10wt%、さらに好ましくは2.0〜8.0wt%程度配
合される。カーボンブラックの分散粒子径は0.1μm
以下であることが好ましく、0.08μm以下であるこ
とがなお好ましく、さらには0.05μm以下であるこ
とが好ましい。分散粒子径が大きいとカーボンブラック
粒子の沈降が懸念される。
【0014】本発明では色相等の調整のために少量の水
溶性染料を添加してもよい。水溶性染料は公知の染料か
ら適宜選択して用いることができる。水溶性染料として
は酸性染料、直接染料、一部の食品用染料等のアニオン
性染料、塩基性染料等のカチオン染料が好ましく用いら
れる。より具体的には、C.I.Direct Bla
ck 17、19、32、51、108、146、C.
I.Acid Black 1、2、7、24、31、
52、63、112、 118、119、121、12
2、155、156、C.I.Food Black
2 等を用いることができる。水溶性染料の添加は耐水
性の低下を招くために最低限に抑える必要がある。通
常、インクジェット記録用インクにおいてはインクの表
面張力、粘度、保湿性、記録紙への浸透速度の調製等を
目的として水溶性有機化合物が添加され、本発明でも例
外ではない。水溶性有機化合物としては、メタノール、
エチルアルコール、プロパノール、イソプロパノール、
ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、チオジグリコール、プロピレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール、グリセリン、モノエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、ニトリルトリエタノール、エ
チレンジアミンエチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、
タ−シャルブチルセルソルブ、アルキレングリコールモ
ノエーテル等の化合物等を単独あるいは適宜複数成分を
組合わせて用いることができる。とくにアルキレングリ
コール類はインク中に2〜10wt%、好ましくは3〜7
wt%程度添加されることが好ましい。
【0015】本発明の特長はかかるカーボンブラックの
水系微分散インクに、比重0.9〜1.05、平均粒子
径0.2〜1.0μmの合成樹脂微粒子を0.5〜15
重量%含有することである。前記合成樹脂微粒子の比重
は好ましくは0.93〜1.00の範囲でありさらに好
ましくは0.94〜0.98の範囲である。また平均粒
子径は好ましくは0.3〜0.8μmの範囲であり、さ
らに好ましくは0.35〜0.7μmの範囲であり、な
お好ましくは0.4〜0.6μmの範囲である。比重が
この範囲を下回るとインクを長期保存した際に粒子の浮
上による相分離する可能性がある。比重がこの範囲を大
きく越えた場合には沈降が生じる可能性がある。また平
均粒子径がこの範囲を下回る場合には記録品位の向上が
不十分であり、特に再生紙のような紙質の悪い紙におい
てニジミが生じやすくなる。平均粒子径がこの範囲を越
える場合においては沈降、あるいは浮上による相分離の
危険性が大きくなるばかりか、ノズル目詰まり等に対す
る危険度が増す。さらに興味深いことであるが、この範
囲を越える粒子径のものを添加した場合においてはニジ
ミ防止効果が次第に低下してしまう。これは粒子の径が
大きすぎるために、かえって記録紙の繊維間隙を粒子が
閉塞させる効果が薄れるためであると考察される。なお
本発明においては粒子径分布の下限は、インクの粘度上
昇等の問題が生じない限りにおいて制限はなく概0.0
1μm程度までの範囲が許容される。しかしなが粒子径
分布の上限は2.0μm程度、好ましく1.5μm、さ
らに好ましくは1.2μm以下に制御される必要があ
る。すなわち本発明における好ましい粒度分布は必ずし
も正規分布ではなく、小径粒子側にやや尾を引いた形状
が好ましい。単分散性の高い粒子は必ずしも好ましいと
は言えない。
【0016】さらにかかる合成樹脂微粒子にはインク添
加剤である水溶性有機化合物である低級アルコールおよ
びまたはアルキレングリコールおよびまたはアルカノー
ルアミン類に対して非膨潤性であることが必要とされ
る。ここに非膨潤性とは、樹脂のバルクとしての物性と
して該有機化合物に対して溶解しないことはもちろん、
該有機化合物を10wt%、好ましくは5wt%以上吸収し
ない樹脂であることを意味するものとし、また別の観点
より、かかる樹脂粒子の水分散体において10℃以上、
好ましくは5℃以上の造膜温度の低下を生じないことを
意味するものとする。インクに補助的に添加されるこれ
らの水溶性有機化合物に膨潤する場合にはノズル先端部
にて樹脂粒子の乾燥造膜が生じ、ノズル目詰まりの原因
となる。
【0017】本発明に用いられる樹脂微粒子においては
最低造膜温度が40℃以上であることが好ましく、60
℃以上であることがさらに好ましく、なおさらには70
〜100℃の範囲であることが好ましく、そのうえさら
に80〜100℃の範囲であることが好ましい。かかる
最低造膜温度を実現するためにはASTM D1525
−70にて定義されるビカット軟化点が40〜100で
あることが好ましく、さらに45〜80℃であることが
好ましく、なおさらに50〜70℃であることが好まし
い。
【0018】かかる性質を有する樹脂微粒子としては、
エチレンおよびまたはプロピレンを50重量%以上含有
する(共)重合体、メチルスチレン50重量%以上から
なる(共)重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重
合体の樹脂微粒子を例示することができる。メチルスチ
レンとしてはα、オルト、メタ、パラ位の何れの異性体
を用いてもよいが特にメタ位、パラ位にメチル基を有す
るものが好ましい。かかる樹脂微粒子は所謂乳化重合法
等の任意の方法により得ることができるが、本発明にお
いて特に乳化重合法により得られる樹脂微粒子を用いる
場合ソープフリー乳化重合等の乳化剤を用いない手法に
より得られるものを使用することが好ましい。乳化剤等
はインクジェット記録用インクとしての諸性能に好まし
からざる影響を与えることが多いからである。本発明に
おいて特に好ましく用いられる樹脂粒子はエチレン/
(メタ)アクリル酸共重合体を主成分とし、アルカリ金
属イオン、あるいはアルカリ土類金属イオン、あるいは
アンモニウム系イオン等により部分的にイオン架橋され
た所謂アイオノマー樹脂からなる水分散体を用いること
が好ましい。かかる樹脂の水分散体は加熱と機械的撹拌
を併用する強制機械乳化等、乳化重合以外の方法により
得ることが可能であり、乳化剤を用いずに樹脂粒子の微
分散体を得る方法の自由度が高い。かかる樹脂の水分散
体としては商品名ケミパールS−100、同S−20
0、同S−300、同SA−100タイプ[三井石油化
学社製]等を例示することができる。
【0019】本発明のインクにはフッ素系、ないしはシ
リコ−ン系の消泡剤などを添加することができる。さら
に各種殺菌剤や防カビ剤、また必要に応じて、透明性を
損なわない程度に無機、有機系の顔料類を添加すること
もできる。また5〜50ppm 程度の微量のアルカリ金属
イオン、アルカリ土類金属イオンの添加は水分散体の粘
度を低下させるために好ましい場合がある。本発明のイ
ンクのpHは4以上が好ましく、6以上がさらに好まし
く、7.5以上がまたさらに好ましく、7.5〜9.5
の範囲がなおさらに好ましい。本発明のインクの粘度は
1.5〜30センチポイズの範囲が好ましく、1.8〜
15センチポイズがさらに好ましく、2.0〜10セン
チポイズの範囲がなおさらに好ましく、3.0〜6.0
センチポイズの範囲がその上好ましい。本発明のインク
ジェット記録用インクは、駆動力として熱エネルギーを
用いないインク吐出手段と組合わせることが好ましい。
また、本発明のインクジェット記録用インクは、記録紙
を40℃に加熱することによりインク定着を行なう手段
と組合わせることが好ましい。
【0020】カーボンブラックの比重は1.8〜2.5
程度と高いために0.1μm以下程度に微分散しないと
長期に静置保存した場合に沈降を生じ、インク固形分の
不均一を招く恐れがある。かかる粒子径は一般の記録紙
表面の繊維間隙に比較して充分小さいため、記録紙上に
おけるカーボンブラック粒子の微視的な流動挙動は水溶
性染料に近い。したがって記録品位、印字品位に関る
「ニジミ」の程度は水溶性染料型インクと大差なく、若
干の改良が見られる程度である。水溶性染料型インクに
樹脂微粒子を添加した場合に記録品位が向上することは
広く知られており、特許提案も多数なされている。同様
のことはカーボンブラックを微分散させたインクにおい
ても成立すると考えられる。よってカーボンブラックの
水分散体型インクの記録品位向上のために樹脂微粒子を
添加するという手段そのものは容易に類推できる。しか
しながらこれまでに提案されてきたそれら樹脂微粒子を
インクに添加して記録品位向上を図る試みは、記録品位
のみを問題とし、インク自身の保存安定性、インクジェ
ットノズルの目詰まりに対する信頼性に対して何等配慮
したものではない。本発明の目的とするところは保存安
定性、目詰まりに対する信頼性を満足した上で高い記録
品位を実現するインクを提供することにあり、数ある樹
脂微粒子の中でも特定の物のみがこの目的を満足するこ
とを見出した結果なされたものである。
【0021】本発明においては樹脂の比重と分散粒子径
が同時に規定されるがこれらを両立することによって初
めて保存安定性と記録品位の両立がなされるものであ
る。さらにこの条件を満たした上で特定の軟化温度を有
し、他のインク添加成分によりその物性が大きく影響さ
れない特性を実現することによりノズル目詰まりに対す
る信頼性が確保されるのである。さらに本発明において
特筆すべきことはかかる樹脂微粒子をインクに添加する
ことにより記録濃度が向上することである。この事実
は、記録紙の繊維に沿って媒体(水)とともに浸透拡散
していくカーボンブラック微粒子成分が、添加された樹
脂微粒子によりせき止られることによりニジミが抑制さ
れるとともに、記録紙の表面近傍に比較的多く残るため
であると理解することができる。本発明の限定条件を満
足する樹脂微粒子において特にこの効果が際立って観察
されることから、逆にニジミ防止効果の高さを評価でき
る。
【0022】以下に実施例を示し、本発明をより具体的
に説明するが本発明はここに示す実施例に限定されるも
のではない。。
【実施例1】カーボンブラックの水分散体「マイクロピ
グモ ブラック WMBK−5」(オリエント化学社
製、平均粒子径0.05μm)、脱イオン水、所定量の
エチレングリコール、イソプロピルアルコール、ニトリ
ルトリエタノールを加え混合した。さらに別に準備した
樹脂微粒子の水分散体を撹拌下に静かに滴下し十分に混
合した後、1.0μmのメンブレンフィルタ−にて濾過
し下記組成のインクジェット記録用インクを調製した。 試作インク(1) カーボンブラック (顔料分換算)10.0wt% エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% エチレン−プロピレン共重合体微粒子 (不揮発分換算)5.0wt% 水 残 ここにエチレン−プロピレン共重合体微粒子はエチレン
90wt%、プロピレン10wt%からなるソープフリー乳
化重合により得られた共重合体樹脂粒子水分散体であ
り、 平均粒子径 0.40μm 樹脂比重 0.95 最低造膜温度 95℃ ビカット軟化点 76℃ である。
【0023】本樹脂はメタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、エチレングリコール、ニトリルトリ
エタノールに対して溶解せず、膨潤している様子も観察
されなかった。さらに不揮発分濃度を20wt%に調製し
た水分散体100wt部にイソプロピルアルコール10wt
部を添加した場合においても最低造膜には変化がなく、
粒子径にも変化がないため低級アルコールによる膨潤性
は事実上ないと判断された。インクの粘度は2.8セン
チポイズ、表面張力は52dyn/cmに調整された。
また以下に示す実施例、比較例においても一定条件下に
て比較するべき観点よりインク粘度は2.5〜3.2セ
ンチポイズの範囲内に、表面張力は48〜54dyn/
cmの範囲に入るように調整された。なお平均粒子径は
光散乱式粒度分布計、樹脂比重は浮沈法、最低造膜温度
は常法、ビカット軟化点はASTMD1525−70準
拠の方法で測定した。得られた試作インク(1)をイン
クジェットプリンタIO735X[シャープ社製]に仕
込み、再生紙に印字を行い記録品位を目視評価した。ま
た書道用半紙に1ドット幅の細線と1ドット幅の線間を
有する平行線パターンを印字し、ドットピッチから計算
される本来の線幅と実際に印字された線幅より線の太り
を求め、ニジミ幅とした。同時にベタ印字部の光学濃度
(マクベス社製光学濃度計)を測定した。得られた記録
物をイオン交換水に浸漬し、色材のニジミだしにより耐
水性を評価した。インクを仕込んだ状態のインクジェッ
トプリンタを40℃30%RHの高温乾燥雰囲気中に1
週間放置し、その後にプリンタを再起動しヘッド回復ま
でに必要なヘッドクリーニング回数にてノズル目詰まり
性を評価した。さらに試作インクを深さ10cmの試験
管に満たし、密封して3ヶ月間静置し、三ヶ月後に試験
管の最下部における沈殿物の有無、液面下5mmからサ
ンプリングしたインクと、底から1cm上の部分からサ
ンプリングしたインクとの固形分濃度比をもって保存安
定性の評価を行なった。なお固形分濃度とは初期の濃度
を100として現したものであり、インク不揮発分中の
樹脂粒子成分に換算(記録材の沈降・濃度勾配は生じな
いと仮定)した値である。結果を表1.表2.に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】 なお、表1、表2中で、 MFT:最低造膜温度 SP :ビカット軟化点 記録品位(目視):1ドット幅ライン長1cmあたりのヒゲ状ノイズ 1本未満 ◎ 1〜2本 ○ 2〜4本 △ 4本以上 × 耐水性 :記録剤のニジミ出しなし ○ あり × 耐目詰まり性 :復帰までに要したクリーニング動作回数 電源オン時のクリーニングにて復帰した場合 ◎ 強制クリーニング 1回で回復 ○ 強制クリーニング 2〜3回で回復 △ 強制クリーニング3回にて回復せず × である。
【0026】
【実施例2】下記組成のインクジェット記録用インクを
実施例1と同様の手順にて調製し、同様の評価を行なっ
た。結果を表1.表2.に示す。 試作インク(2) カーボンブラック (顔料分換算)10.0wt% エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% パラメチルスチレン−メタクリル酸ブチル共重合体微粒子 (不揮発分換算)5.0wt% 水 残 ここにパラメチルスチレン−メタクリル酸ブチル共重合
体微粒子はパラメチルスチレン75wt%、メタクリル酸
ブチル20wt%、ジビニルベンゼン5wt%からなるソー
プフリー乳化重合により得られた共重合体樹脂粒子水分
散体であり、 平均粒子径 0.45μm 樹脂比重 1.02 最低造膜温度 102℃ ビカット軟化点 95℃ である。本樹脂は、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、エチレングリコール、ニトリルトリエタノー
ルに対して溶解しなかった、ただしメタノールに対し若
干膨潤が観察された。不揮発分濃度を20wt%に調製し
た水分散体100wt部にイソプロピルアルコール10wt
部を添加した場合においては最低造膜が約4℃低下した
が、粒子径には検出できる程の変化がないため低級アル
コールによる膨潤性は低いと判断された。
【0027】
【実施例3】下記組成のインクジェット記録用インクを
実施例1と同様の手順にて調製し、同様の評価を行なっ
た。結果を表1.表2.に示す。 試作インク(3) カーボンブラック (顔料分換算)10.0wt% エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% アイオノマー樹脂微粒子S−200 (不揮発分換算)5.0wt% 水 残 ここにアイオノマー樹脂微粒子はアルカリ金属イオンに
より部分的イオン架橋されたエチレン−メタクリル酸共
重合体(エチレン80〜90wt%、メタクリル酸10〜
20wt%)からなりソープフリー乳化手法により得られ
た水分散体であり、ケミパールS−200として三井石
油化学社より上市されているものであり、 平均粒子径 0.43μm 樹脂比重 0.95 最低造膜温度 85℃ ビカット軟化点 57℃ である。本樹脂はメタノール、エタノール、イソプロピ
ルアルコール、エチレングリコール、ニトリルトリエタ
ノールに対して溶解せず、膨潤している様子も観察され
なかった。さらに不揮発分濃度を20wt%に調製した水
分散体100wt部にイソプロピルアルコール10wt部を
添加した場合においても最低造膜には変化がなく、粒子
径にも変化がないため低級アルコールによる膨潤性は事
実上ないと判断された。
【0028】
【実施例4】下記組成のインクジェット記録用インクを
実施例1と同様の手順にて調製し、同様の評価を行なっ
た。結果を表1.表2.に示す。 試作インク(4) カーボンブラック (顔料分換算)10.0wt% エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% アイオノマー樹脂微粒子S−300 (不揮発分換算)2.0wt% 水 残 ここにアイオノマー樹脂微粒子はアルカリ金属イオンに
より部分的イオン架橋されたエチレン−メタクリル酸共
重合体(エチレン80〜90wt%、メタクリル酸10〜
20wt%)からなりソープフリー乳化手法により得られ
た水分散体であり、ケミパールS−300として三井石
油化学社より上市されているものであり、 平均粒子径 0.53μm 樹脂比重 0.95 最低造膜温度 94℃ ビカット軟化点 67℃ である。本樹脂は実施例3に用いられたアイオノマー樹
脂と同様、低級アルコールによる膨潤性は事実上ないと
判断された。
【0029】
【実施例5】下記組成のインクジェット記録用インクを
実施例1と同様の手順にて調製し、同様の評価を行なっ
た。結果を表1.表2.に示す。 試作インク(5) カーボンブラック (顔料分換算)10.0wt% エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% 変性アイオノマー樹脂微粒子SA−100(不揮発分換算)2.0wt% 水 残 ここに変性アイオノマー樹脂微粒子はアルカリ金属イオ
ンにより部分的イオン架橋されたエチレン−メタクリル
酸共重合体(エチレン80〜90wt%、メタクリル酸1
0〜20wt%)にさらにスチレンをグラフトしたグラフ
ト共重合体からなるソープフリー乳化手法により得られ
た水分散体であり、ケミパールSA−100として三井
石油化学社より上市されているものであり、 平均粒子径 0.75μm 樹脂比重 1.00 最低造膜温度 70℃ ビカット軟化点 55℃ である。本樹脂は、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、エチレングリコール、ニトリルトリエタノー
ルに対して溶解しなかった、ただしメタノールに対し若
干膨潤が観察された。不揮発分濃度を20wt%に調製し
た水分散体100wt部にイソプロピルアルコール10wt
部を添加した場合においては最低造膜が約2℃低下した
が、粒子径には検出できる程の変化がないため低級アル
コールによる膨潤性は低いと判断された。
【0030】
【比較例1】下記組成のインクジェット記録用インクを
実施例1と同様の手順にて調製し、同様の評価を行なっ
た。結果を表1.表2.に示す。 試作インク(6) カーボンブラック (顔料分換算)10.0wt% エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% 水 残 カーボンブラックは実施例1と同様「マイクロピグモ
ブラック WMBK−5」を用いた。本試作インクは樹
脂粒子を含まない所謂典型的なカーボンブラック微分散
型インクである。
【0031】
【比較例2】下記組成のインクジェット記録用インクを
実施例1と同様の手順にて調製し、同様の評価を行なっ
た。結果を表1.表2.に示す。 試作インク(7) カーボンブラック (顔料分換算)10.0wt% エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% 塩化ビニリデン共重合体ラテックス (不揮発分換算)5.0wt% 水 残 ここに塩化ビニリデン共重合体ラテックスは塩化ビニリ
デン−塩化ビニル共重合体の脂肪族石鹸を用いた乳化分
散ラテックスである。 平均粒子径 0.15μm 樹脂比重 1.36 最低造膜温度 135℃ ビカット軟化点 125℃ である。本樹脂は実施例1と同様の評価の結果、低級ア
ルコールによる膨潤性は低いと判断された。
【0032】
【比較例3】下記組成のインクジェット記録用インクを
実施例1と同様の手順にて調製し、同様の評価を行なっ
た。結果を表1.表2.に示す。 試作インク(8) カーボンブラック (顔料分換算)10.0wt% エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% 塩化ビニリデン共重合体ラテックス (不揮発分換算)5.0wt% 水 残 ここに塩化ビニリデン共重合体ラテックスは比較例1と
同様、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体の脂肪族石
鹸を用いた乳化分散ラテックスである。 平均粒子径 0.45μm 樹脂比重 1.36 最低造膜温度 135℃ ビカット軟化点 125℃ であり比較例1に対して粒子径が大となっている。本樹
脂は実施例1と同様の評価の結果、低級アルコールによ
る膨潤性は低いと判断された。
【0033】
【比較例4】下記組成のインクジェット記録用インクを
実施例1と同様の手順にて調製し、同様の評価を行なっ
た。結果を表1.表2.に示す。 試作インク(9) カーボンブラック (顔料分換算)10.0wt% エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(不揮発分換算)5.0wt% 水 残 ここにスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスはスチ
レン25wt%を含む共重合体の脂肪族石鹸を用いた乳化
分散ラテックスである。 平均粒子径 0.38μm 樹脂比重 1.08 最低造膜温度 24℃ ビカット軟化点 10℃ である。本樹脂は、メタノール、エタノール、イソプロ
パノールに溶解した。エチレングリコール、ニトリルト
リエタノールに対して溶解しなかった。不揮発分濃度を
20wt%に調製した水分散体100wt部にイソプロピル
アルコール10wt部を添加した場合においては最低造膜
は24℃以上低下、すなわち氷点以下にならない場合に
は自然乾燥により造膜した。したがって膨潤性は非常に
高い判断された。
【0034】
【比較例5】下記組成のインクジェット記録用インクを
実施例1と同様の手順にて調製し、同様の評価を行なっ
た。結果を表1.表2.に示す。 試作インク(10) カーボンブラック (顔料分換算)10.0wt% エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% ポリメチルメタクリレートラテックス (不揮発分換算)5.0wt% 水 残 ここにポリメチルメタクリレートラテックスはソープフ
リー乳化重合により得られた単分散性の高いラテックス
粒子である。 平均粒子径 0.52μm 樹脂比重 1.19 最低造膜温度 120℃ ビカット軟化点 110℃ である。本樹脂は、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、エチレングリコール、ニトリルトリエタノー
ルに対して溶解はしなかったが、メタノール、イソプロ
パノールに対して若干表面が軟化膨潤のきざしを示し
た。不揮発分濃度を20wt%に調製した水分散体100
wt部にイソプロピルアルコール10wt部を添加した場合
においては最低造膜は12℃低下した。膨潤性はそれほ
ど高くないが若干は認められるものとされた。
【0035】
【比較例6】下記組成のインクジェット記録用インクを
実施例1と同様の手順にて調製し、同様の評価を行なっ
た。結果を表1.表2.に示す。 試作インク(11) カーボンブラック (顔料分換算)10.0wt% エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% アクリル系共重合体ラテックス (不揮発分換算)5.0wt% 水 残 ここにアクリル系共重合体ラテックスはメチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート
からなる乳化重合により得られた共重合体ラテックス粒
子である。 平均粒子径 0.45μm 樹脂比重 1.07 最低造膜温度 84℃ ビカット軟化点 80℃ である。本樹脂は、エタノール、エチレングリコール、
ニトリルトリエタノールに対して溶解はしなかったが、
メタノール、イソプロパノールに対して若干溶解性が観
察された。不揮発分濃度を20wt%に調製した水分散体
100wt部にイソプロピルアルコール10wt部を添加し
た場合においては最低造膜は30℃近く低下し、膨潤性
は高いと判断された。
【0036】
【比較例7】下記組成のインクジェット記録用インクを
実施例1と同様の手順にて調製し、同様の評価を行なっ
た。ただし1.0μmメンブレンフィルターによる濾過
工程は省略した。結果を表1.表2.に示す。 試作インク(12) カーボンブラック (顔料分換算)10.0wt% エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% ポリオレフィン微粒子W−500 (不揮発分換算)5.0wt% 水 残 ここにポリオレフィン微粒子は低分子量ポリオレフィン
(主にポリエチレン)からなりソープフリー乳化手法に
より得られた水分散体であり、ケミパールW−500と
して三井石油化学社より上市されているものであり、 平均粒子径 2.50μm 樹脂比重 0.92 最低造膜温度 90℃ ビカット軟化点 38℃ である。本樹脂はメタノール、エタノール、イソプロピ
ルアルコール、エチレングリコール、ニトリルトリエタ
ノールに対して溶解せず、膨潤している様子も観察され
なかった。さらに不揮発分濃度を20wt%に調製した水
分散体100wt部にイソプロピルアルコール10wt部を
添加した場合においても最低造膜には変化がなく、粒子
径にも変化がないため低級アルコールによる膨潤性は事
実上ないと判断された。
【0037】
【比較例8】下記組成のインクジェット記録用インクを
実施例1と同様の手順にて調製し、同様の評価を行なっ
た。結果を表1.表2.に示す。 試作インク(13) 水溶性染料 C. I. Direct Blue 86 精製品 1.0wt % エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% 水 残 本試作インクは樹脂粒子を含まない所謂典型的な水溶性
染料型インクである。
【0038】
【比較例9】下記組成のインクジェット記録用インクを
実施例1と同様の手順にて調製し、同様の評価を行なっ
た。結果を表1.表2.に示す。 試作インク(14) カーボンブラック (顔料分換算)10.0wt% エチレングリコール 5.0wt% イソプロピルアルコール 0.8wt% ニトリルトリエタノール 0.2wt% 水 残 ここにカーボンブラックは「マイクロジェット ブラッ
ク SMP−4−0211」(オリエント化学社製)平
均粒子径0.15μm、を用いた。本カーボンブラック
の水分散体は表面処理を行なったカーボンブラックを用
いたものである。
【0039】
【比較例10】カーボンブラック「プリンテックス15
0T」(DEGUSSA社製20重量部、スチレン−マ
レイン酸共重合樹脂の部分エステル化物(酸価2000
eq/ton)の水溶液(不揮発分20wt%)10重量部、イ
オン交換水70重量部をアトライターに仕込み、約3時
間分散処理を行なった。得られた分散体を5Bろ紙にて
濾過した後にメンブレンフィルター1.0μm、メンブ
レンフィルター0.4μm、メンブレンフィルター0.
2μmと濾過し、最終的に平均粒子径0.08μmのカ
ーボンブラック水分散体を得た。このようにして得られ
た顔料水分散体を用い、それ以外は比較例1と同様の組
成と手順にして試作インク(15)を得た。以下実施例1
と同様の評価を行い、結果を表1.表2.に示す。プリ
ンテックス150Tは酸性のカーボンブラックとして知
られている。
【0040】
【実施例6】比較例9で用いたカーボンブラック「マイ
クロジェット ブラック SMP−4−0211」(オ
リエント化学社製)を用い、他の組成、手順は実施例3
と同様にして試作インク(16)を得た。以下同様に評価
した。結果を表1.表2.にしめす。
【0041】
【実施例7】比較例10で作製したカーボンブラック
「プリンテックス150T」の水分散体「を用い、他の
組成、手順は実施例3と同様にして試作インク(17)を
得た。以下同様に評価した。結果を表1.表2.にしめ
す。
【0042】
【実施例8】カーボンブラック「スペシャルブラック
4」(DEGUSSA社製)の水分散体を比較例10の
手順にしたがって作製した。次いで、他の組成、手順は
実施例0と同様にして試作インク(18)を得た。以下同
様に評価した。結果を表(表1、表2)にしめす。
【0043】
【実施例9】カーボンブラック「プリンテックス35」
(DEGUSSA社製)の水分散体を比較例10の手順
にしたがって作製した。次いで、他の組成、手順は実施
例3と同様にして試作インク(19)を得た。以下同様に
評価した。結果を表にしめす。プリンテックス35はア
ルカリ性のカーボンブラックであることが知られてい
る。
【0044】
【実施例10】カーボンブラック「プリンテックス5
5」(DEGUSSA社製)の水分散体を比較例10の
手順にしたがって作製した。次いで、他の組成、手順は
実施例3と同様にして試作インク(20)を得た。以下同
様に評価した。結果を表にしめす。
【0045】
【実施例11】カーボンブラック「スペシャルブラック
550」(DEGUSSA社製)の水分散体を比較例1
0の手順にしたがって作製した。次いで、他の組成、手
順は実施例3と同様にして試作インク(21)を得た。以
下同様に評価した。結果を表にしめす。
【0046】
【比較例11】インクジェットプリンタ「デスクジェッ
ト1200C」(ヒューレットパッカード社製)のブラ
ックインクを試作インク(22)として用いた。本インク
はカーボンブラックを記録剤として用いていることが学
会報告等で公開されている。以下同様に評価した。結果
を表にしめす。
【0047】
【実施例12】「デスクジェット1200C」のブラッ
クインク80重量部にアイオノマーS−200水分散体
(固形分27%)20重量部を混合し試作インク(23)
とした。以下同様に評価した。結果を表にしめす。
【0048】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明のインク
ジェット記録インクは高い高品位な記録画像、印字が可
能であるとともにノズル目詰まりに対する耐性が高く、
また長期間静置保存した場合にも安定な優れた特性を有
する物である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 陽三 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録剤としてカーボンブラックの水系微
    分散体を用いたインクジェット記録用インクにおいて、
    比重0.9〜1.05、平均粒子径0.2〜1.0μm
    の合成樹脂微粒子を0.5〜15重量%含有することを
    特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. 【請求項2】 前記合成樹脂微粒子の比重が0.93〜
    1.00の範囲であり、平均粒子径が0.3〜0.8μ
    mの範囲である請求項1記載のインクジェット記録用イ
    ンク。
  3. 【請求項3】 前記合成樹脂微粒子が低級アルコールお
    よびまたはアルキレングリコールおよびまたはアルカノ
    ールアミン類に対して非膨潤性である請求項1記載のイ
    ンクジェット記録用インク。
  4. 【請求項4】 前記合成樹脂微粒子がエチレンおよびま
    たはプロピレンを50重量%以上含有する(共)重合体
    である請求項1記載のインクジェット記録用インク。
  5. 【請求項5】 前記合成樹脂微粒子がメチルスチレン5
    0重量%以上からなる(共)重合体である請求項1記載
    のインクジェット記録用インク。
  6. 【請求項6】 前記合成樹脂微粒子がエチレン/(メ
    タ)アクリル酸共重合体である請求項1記載のインクジ
    ェット記録用インク。
  7. 【請求項7】 前記合成樹脂微粒子がエチレン/(メ
    タ)アクリル酸共重合体からなるアイオノマー樹脂から
    なり、ビカット軟化点が40〜100℃の範囲である請
    求項1記載のインクジェット記録用インク。
  8. 【請求項8】 前記合成樹脂微粒子が乳化剤を用いない
    乳化手段により得られるものである請求項1記載のイン
    クジェット記録用インク。
  9. 【請求項9】 前記カーボンブラックの分散粒子径が
    0.1μm以下である請求項1記載のインクジェット記
    録用インク。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016175985A (ja) * 2015-03-19 2016-10-06 富士ゼロックス株式会社 インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法
JP2017031382A (ja) * 2015-08-06 2017-02-09 セイコーエプソン株式会社 インクセットおよび記録方法
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