JPH08231455A - トリブロック化合物、潤滑剤及び磁気記録媒体 - Google Patents

トリブロック化合物、潤滑剤及び磁気記録媒体

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JPH08231455A
JPH08231455A JP7346020A JP34602095A JPH08231455A JP H08231455 A JPH08231455 A JP H08231455A JP 7346020 A JP7346020 A JP 7346020A JP 34602095 A JP34602095 A JP 34602095A JP H08231455 A JPH08231455 A JP H08231455A
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magnetic
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film
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JP7346020A
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English (en)
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Takahiro Furuya
隆博 古谷
Hideo Daimon
英夫 大門
Sayaka Sasamoto
さやか 篠本
Ichiji Miyata
一司 宮田
Tetsuo Mizumura
哲夫 水村
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Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気記録媒体用の潤滑剤を提供する。 【構成】 一般式、R1−Z1−R3−Z2−R2(式中、
1及びR2は同一であるか又は異なり、C4〜C34の直
鎖状、分岐状、又は環状の飽和炭化水素或いは不飽和炭
化水素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド及び
ポリカーボネート基からなる群から選択され,Z1及び
2は同一であるか又は異なり、アミド結合、エーテル
結合、ウレタン結合、ウレア結合及びカルボン酸とアミ
ンとの反応により生成するアミン塩結合からなる群から
選択され、R3は(CH2x(CF2y(CH2Z基で
あり、x及びzは同一又は異なり、1〜4の範囲内の整
数であり、yは4〜34の範囲内の整数である。)の化
合物は磁気記録媒体用の潤滑剤として好適に使用でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な有機化合物、
該化合物からなる磁気記録媒体用潤滑剤及び該潤滑剤層
を有する磁気記録媒体に関する。更に詳細には、本発明
は潤滑剤として特に有用な新規化合物、該潤滑剤及び該
潤滑剤層を有する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、強磁性金属又はそれらの合金な
どを真空蒸着などによって非磁性基体上に被着して作製
される強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、塗布型の磁
気記録媒体に比べて、磁性層の高抗磁力や薄膜化を図り
やすく高密度記録特性に優れているので、今後の磁気記
録媒体の主流となりつつある。しかし、その反面、塗布
型媒体のような強靱性結合材樹脂を使用せず、また、強
磁性金属薄膜層や保護層の表面平滑性が非常に高いの
で、媒体表面と磁気ヘッドとの間の摩擦係数が大きくな
って、摩耗や損傷を受けやすく、耐久性や走行性に劣る
ことが知られている。
【0003】薄膜型磁気記録媒体表面と磁気ヘッドなど
のような、相互に接触する2固体を低摩擦低摩耗で摺動
させ機器、装置の使用期間を延ばす目的のため、固体表
面の硬質化と潤滑剤の研究開発が行われている。特にO
A機器の分野ではダウンサイジングの要求が強く、摺動
部位には年々精密な機構が採用されている。精密部品が
幅広い環境で継続的あるいは断続的に摺動する将来の機
器ではこれまで以上に摺動開始時、終了時或いは摺動時
の摩擦及び摩耗を低下させ、モータ等の負荷を低減する
必要がある。このため、様々な潤滑剤の使用が提案さ
れ、試みられている。
【0004】これまでの保護潤滑系では摺動部位に硬く
摩耗しにくい表面層を設け、潤滑剤としてグリース或い
はオイル状の半固体または液体潤滑剤が用いられてい
る。特に液体潤滑剤は上述した特性を得るために低粘度
化が進められ、種々の改良が検討されている。しかしな
がら接触部位の平滑化が進む将来の精密機器では摺動す
る2固体間に存在する潤滑剤が液体である限り液体のメ
ニスカスによる張り付き現象が生じ、起動不良や摺動時
に偶発的に摩擦力が急増する問題が回避できない。
【0005】このように、表面平滑性が非常に高い薄膜
型磁気記録媒体に使用される潤滑剤には塗布型磁気記録
媒体に使用されてきた従来の潤滑剤と異なる厳しい特性
が要求され、今までの潤滑剤ではなく、全く新たな潤滑
剤の開発が強く求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は表面平滑性が非常に高い薄膜型磁気記録媒体に使用さ
れる潤滑剤として好適な新規な有機化合物及び該化合物
からなる潤滑剤と該潤滑剤層を有する薄膜型磁気記録媒
体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は下記の一般式(1)で示される化合物を提
供する。 R1−Z1−R3−Z2−R2 (1) (式中、R1及びR2は同一であるか又は異なり、C4〜
C34の直鎖状、分岐状、又は環状の飽和炭化水素或いは
不飽和炭化水素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリア
ミド又はポリカーボネート基からなる群から選択され,
Z1及びZ2は同一であるか又は異なり、アミド結合、エ
ーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合及びカルボン酸
とアミンとの反応により生成するアミン塩結合からなる
群から選択され、R3は(CH2)x(CF2)y(CH2)
Z基であり、x及びzは同一又は異なり、1〜4の範囲
内の整数であり、yは4〜34の範囲内の整数であ
る。)
【0008】更に、前記課題を解決するために本発明
は、前記一般式(1)で示される化合物からなる潤滑剤
を提供する。
【0009】また、前記課題を解決するために本発明
は、前記一般式(1)で示される化合物からなる潤滑剤
を保護膜上或いは磁性層中に有する磁気記録媒体を提供
する。
【0010】前記一般式(1)で示される化合物からな
る潤滑剤を使用すれば、接触部位の平滑化が進む将来の
薄膜型磁気記録媒体及び磁気ヘッドに於いても摺動する
2固体間でメニスカスが発生せず張り付き現象が起きな
い。従って摺動部位の起動不良や摺動時に偶発的に摩擦
力が急増する問題が回避でき、磁気記録媒体及び磁気ヘ
ッドの長寿命化が実現できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の化合物、潤滑剤、
保護膜及び磁気記録媒体について更に具体的に説明す
る。
【0012】本発明の新規化合物は下記の一般式(1)
で示される。 R1−Z1−R3−Z2−R2 (1)
【0013】前記式中、R1及びR2は同一であるか又は
異なり、C4〜C34の直鎖状、分岐状、又は環状の飽和
炭化水素或いは不飽和炭化水素、ポリエーテル、ポリエ
ステル、ポリアミド又はポリカーボネート基からなり、
好ましくはC8〜C18である。環状不飽和炭化水素は芳
香族化合物、縮合環式化合物、複素環式化合物、芳香族
化合物と飽和環式炭化水素化合物との縮合環式化合物又
は芳香族化合物と複素環式化合物との縮合環式化合物な
ど任意の環式不飽和炭化水素を含む。R1又はR2の炭素
原子数が4未満の場合、分子鎖長が短いために分子間相
互作用が小さく、十分な潤滑特性が発揮されない恐れが
ある。炭素原子数が6以上であれば溶剤や濃度の選択幅
が拡がるので好ましい。一方、炭素原子数が34を超え
ると、潤滑効果が飽和し、不経済となる。従って、実用
的な観点から、炭素原子数は18以下であることが好ま
しい。
【0014】前記式中、Z1及びZ2は同一であることも
できるし又は異なっていてもよい。Z1及びZ2はアミド
結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合及びカ
ルボン酸とアミンとの反応により生成するアミン塩結合
からなる群から選択される。カルボン酸とアミンとの反
応により生成するアミン塩結合は中和反応などではな
く、単なる配位結合又は共役結合により生成されるもの
であると思われる。また、スルホン酸又はリン酸とアミ
ンとの反応により生成するアミン塩結合も使用すること
ができる。中央部のフッ化炭化水素ブロックと両端のR
1及びR2を結合させることができ、前記以外の結合も使
用できる。
【0015】前記式中、R3は(CH2)x(CF2)y
(CH2)Z基であり、ここで、yは4〜34の範囲内の
整数、好ましくは6〜18の範囲内の整数である。yが
4未満の場合、(CF2)分子鎖長が短いために分子間
相互作用が小さく、フッ素特有の潤滑特性が発揮されな
い恐れがある。yが6以上であればフッ素特有の潤滑特
性が発揮でき好ましい。一方、yが34を超えると、潤
滑効果が飽和し、不経済となる。従って、実用的な観点
から、yは18以下であることが好ましい。
【0016】前記式中、x及びzは同一であることもで
きるし又は異なっていてもよく、1〜4の範囲内の整数
である。前記一般式(1)における、(CF2)y基の両
端に(CH2)基が1〜4個存在することが好ましい。
(CF2)y基の両端に(CH2)基が存在しなくても同
等の潤滑性は得られるが、−CH2−鎖が存在しない
と、(CF2)y基の強い電気陰性度のために、(CF
2)y基とR1及びR2を結合させているアミド結合、エー
テル結合、ウレタン結合、ウレア結合及びカルボン酸、
スルホン酸あるいはリン酸とアミンとの反応により生成
するアミン塩結合が苛酷な条件下では切断され易くな
る。しかし、(CF2)y基とR1及びR2とのアミド結
合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合及びカル
ボン酸、スルホン酸あるいはリン酸とアミンとの反応に
より生成するアミン塩結合の間に、−CH2−鎖を1〜
4個存在させることにより、−CF2−鎖による強い電
気陰性度が緩和でき、潤滑剤分子の分解を抑えることが
できる。−CH2−鎖は1個以上であれば効果があり、
5個以上では効果が飽和し、不経済となる。
【0017】本発明の前記一般式(1)で示される化合
物の製造方法は特に限定されない。工業的に有効な合成
法の一例を示すと、例えば、分子両末端に水酸基,カル
ボキシル基,アミノ基,イソシアネート基あるいはエポ
キシ基などを有するフッ化化合物と分子末端にカルボキ
シル基,水酸基,アミノ基,イソシアネート基あるいは
エポキシ基などを有する非フッ化化合物との官能基同士
を反応させて、両者をアミド結合,エーテル結合,ウレ
タン結合,ウレア結合あるいはアミノ基とカルボキシル
基などとの反応により生成するアミン塩結合などを介し
て化学結合させる方法がある。以下、これらの結合を有
する一般式(1)の化合物の代表的な製造方法を説明す
る。
【0018】Z1,Z2がアミド結合の場合 分子両末端にアミノ基を有する式(2)の含フッ素ジ
アミン H2N(CH2)x(CF2)y(CH2)zNH2 (2) (式中、x及びyは同一又は異なり、1〜4の範囲内の
整数であり、yは4〜34の範囲内の整数である)と式
(3)のカルボン酸の酸クロライド物 RCOCl (3) (式中、RはC4〜C34の直鎖状、分岐状、又は環状
飽和炭化水素或いは不飽和炭化水素、ポリエーテル、ポ
リエステル、ポリアミド又はポリカーボネート基からな
る)を式(4)に従い反応させる。また、カルボン酸の
酸クロライド物は塩化チオニルなどを用いてカルボン酸
から常法により合成することができる。 H2N(CH2)x(CF2)y(CH2)zNH2 + 2RCOCl → RCONH(CH2)x(CF2)y(CH2)zNHCOR + 2HCl(4)
【0019】分子両末端に塩素原子を有する式(5)
の含フッ素ジカルボン酸の酸クロライド物 ClCO(CH2)x(CF2)y(CH2)zCOCl (5) (式中、x及びyは同一又は異なり、1〜4の範囲内の
整数であり、yは4〜34の範囲内の整数である)と式
(6)のアミン RNH2 (6) (式中 、RはC4〜C34の直鎖状、分岐状、又は環状の
飽和炭化水素或いは不飽和炭化水素、ポリエーテル、ポ
リエステル、ポリアミド又はポリカーボネート基からな
る)を式(7)に従い反応させる。 ClCO(CH2)x(CF2)y(CH2)zCOCl + 2RNH2 → RNHOC(CH2)x(CF2)y(CH2)zCONHR + 2HCl (9)
【0020】Z1,Z2がエーテル結合の場合 分子両末端に水酸基を有する式(8)の含フッ素ジア
ルコール HO(CH2)x(CF2)y(CH2)zOH (8) (式中、x及びyは 同一又は異なり、1〜4の範囲内の
整数であり、yは4〜34の範囲内の整数である)と式
(9)のハロゲン化物 RX (9) (式中、RはC4〜C34の直鎖状、分岐状、又は環状の
飽和炭化水素或いは不飽和炭化水素、ポリエーテル、ポ
リエステル、ポリアミド又はポリカーボネート基からな
り、Xは塩素、臭素又はヨウ素である)を式(10)に
従い反応させる。 HO(CH2)x(CF2)y(CH2)zOH + 2RX → RO(CH2)x(CF2)y(CH2)zOR + 2HX (10)
【0021】Z1,Z2がウレタン結合の場合 分子両末端に水酸基を有する式(8)の含フッ素ジア
ルコールと式(11)のイソシアネート RNCO (11) (式中、RはC4〜C34の直鎖状、分岐状、又は環状の
飽和炭化水素或いは不飽和炭化水素、ポリエーテル、ポ
リエステル、ポリアミド又はポリカーボネート基からな
る)を式(12)に従い反応させる。 HO(CH2)x(CF2)y(CH2)zOH + 2RNCO → RNHCOO(CH2)x(CF2)y(CH2)zOCONHR (12)
【0022】Z1,Z2がウレア結合の場合 分子両末端にアミノ基を有する式(2)の含フッ素ジ
アミンと式(11)のイソシアネートを式(13)に従
い反応させる。 H2N(CH2)x(CF2)y(CH2)zNH2 + 2RNCO → RNHCONH(CH2)x(CF2)y(CH2)zNHCONHR (13)
【0023】Z1,Z2がアミン塩結合の場合 分子両末端にカルボキシル基を有する式(14)の含
フッ素ジカルボン酸 HOOC(CH2)x(CF2)y(CH2)2COOH (14) (式中、x及びyは同一又は異なり、1〜4の範囲内の
整数であり、yは4〜34の範囲内の整数である)と式
(6)のアミン RNH2 (6) (式中、RはC4〜C34の直鎖状、分岐状、又は環状の
飽和炭化水素或いは不飽和炭化水素、ポリエーテル、ポ
リエステル、ポリアミド又はポリカーボネート基からな
る)を式(15)に従い反応させる。 HOOC(CH2)x(CF2)y(CH2)2COOH + 2RNH2 → RNH3OOC(CH2)x(CF2)y(CH2)2COOH3NR (15)
【0024】本発明の前記一般式(1)で示される化合
物は潤滑剤として使用できることが発見された。本発明
の潤滑剤は摺動する2固体間に張り付き現象を生じさせ
ず、起動不良や摺動時に偶発的に摩擦力が急増する問題
を回避し、安定した摺動特性を得ることができる。本発
明の潤滑剤は固体又は液体の何れの形態でも使用でき
る。
【0025】本発明による潤滑剤はフッ化ブロックの両
端に非フッ化ブロックを連結させているため、含フッ素
系潤滑剤であるにもかかわらず非フッ素系溶媒に可溶で
ある。溶媒としてはn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−
オクタン、n−デカン、n−ドデカン、ベンゼン、トル
エン、キシレン、シクロヘキサン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノールジエチルエーテル、シクロヘキサ
ノン、テトラヒドロフランが使用できる。従って使用可
能な上記の溶媒はフッ素系溶媒に比べて安価である(例
えばn−ヘキサンは〜¥600/kg、パーフロロオク
タンは〜¥7000/kg)。またフッ素を含有しない
ため溶媒が蒸発し空気中に拡散しても大気汚染或いはオ
ゾン層破壊等の環境問題に対しても問題が無い。
【0026】本発明による潤滑剤の片末端或いは両末端
に−OH、−COOH、−NH2、−Cl、−Br、−
I、−SH、−CH2(O)CH3、−ONa、−COO
Na、−SO3Naなどの官能基を有していてもかまわ
ない。これらの官能基は極性が強く潤滑剤を磁気記録媒
体の磁性膜又は保護膜などの摺動部位に固着させる作用
があるため磁気記録媒体の長寿命化が実現できる。
【0027】磁気記録媒体の場合、磁性膜を保護したり
摺動特性を向上させるために、一般的に、磁性膜上に保
護膜を形成する。このような保護膜は、例えば、C、S
iCp、BNp、CBq、SiNq、CNq、SiOr、Zr
Or、TiOr、AlOs、SiMwOv、Fe3O4、Cr2
O3、Co3O4、Fe2O3、CoCr2O4、NiCr2O
4(但し、0.8<p<1.2,1.0<q<4.8,1.6
<r<2.0,1.2<s<1.5,1.6<v<2.0,
0.05<w<0.5であり、MはC,N及びBからなる
群から選択される少なくとも1種以上の元素である)か
らなる群から選択される少なくとも1種以上の材料で構
成させることができる。これらの保護膜は塗布型及び薄
膜型の両方の磁気記録媒体に使用可能である。
【0028】本発明による保護膜はビッカース硬度が1
000以上で硬く、化学的に安定であるばかりか、緻密
でかつ各保護膜材料を構成する元素の自己拡散係数が1
000℃に於いても1×10-9cm2・s-1未満と小さ
いために電気伝導性が低く防食性も高いという利点を有
する。
【0029】前記保護膜はプラズマCVD法等の化学蒸
着法で成膜する事が好ましい。真空蒸着やスパッタリン
グ等の物理蒸着法は保護膜形成時の被着粒子サイズが大
きくまた被着粒子流の指向性が高いため微細な凹凸が存
在する表面への付き回り性が悪く被覆率の高い保護膜が
得られにくい。一方、プラズマCVD法等の化学蒸着法
は使用するモノマガスがプラズマ中で分解して分子或い
は原子単位のラジカルやイオンとなりこれらの分子或い
は原子単位のラジカルやイオンが基体表面で再結合して
保護膜を形成するため被着粒子サイズが小さく、また被
着粒子流の指向性が低いため微細な凹凸を有する表面で
も付き回り性が良く被覆率の高い保護膜が得られる。
【0030】硬質保護膜厚は50〜500Åが適する。
50Å未満では欠陥の無い保護膜に成りにくく充分な保
護作用と水、酸素に対するガスバリヤ性が得られない。
500Åを越えると効果が飽和し不経済である。薄膜媒
体に適用する場合、保護膜厚の上限は300Åが好まし
い。300Åを越えると磁気ヘッド/媒体の空隙損失が
大きくなり、記録再生特性が劣化する。
【0031】特に、SiMwOv(ただし、1.6<v<
2.0,0.05<w<0.5であり、MはC,N及びB
からなる群から選択される少なくとも1種以上の元素で
ある)からなる保護膜が好ましい。この材料は磁性層用
の保護膜として使用できるばかりか、磁性体粒子の酸化
防止のために、非磁性基体と磁性層との界面に中間保護
層として設けたり、非磁性基体の裏面に背面保護層とし
て設けることもできる。
【0032】ハードディスクの無機保護膜としてシリコ
ン酸化物(SiOx:但し、1.5<x<2.0)を用い
る事は特開平6−12568号に開示されている。しか
し媒体に伸縮、曲げ等の外力が常時加わる磁気テープの
場合、SiOxはこれらの外力によりミクロな割れを生
じる。例えば60℃、90%R.H.下で腐食試験を行う
と発生した割れの部分から水と酸素が供給されてSiO
x保護膜上にCoの水酸化物が現れ、満足な防食作用は
得られない。
【0033】我々はこの問題を解決するためにシリコン
酸化物に伸縮性を付与する検討を行い、SiMwOv(た
だし、1.6<v<2.0,0.05<w<0.5であり、
MはC,N及びBからなる群から選択される少なくとも
1種以上の元素である)からなる保護膜が、従来のSi
Oxに比べて高い伸縮性と柔軟性が発現する事を発見し
た。従って、SiMwOv保護膜はハードディスクなどの
固定磁気ディスクの他、磁気テープ及びフロッピーディ
スクなどの可撓性磁気記録媒体にも有用な保護膜として
使用できる。
【0034】前記のように、Si−M−O保護膜の成膜
には被着粒子の指向性が低く被覆性の高いプラズマCV
D法を用いることが好ましい。成膜に使用するモノマガ
スはSi-C-O用としてSiH4とO2に気化性の炭化
水素を混合したもの、RxH3-xSi-O-SiH3-xRx
(Rは炭素数1〜6の炭化水素またはフッ素を含有した
炭化水素でXは1〜3の整数)とO2を混合したもの、
Si(OCH3)4あるいはSi(OC2H5)4とO2を混
合したものSi-N-O用としてSiH4とO2にN2を
混合したもの、RxH3-xSi-O-SiH3-xRx(Rは炭
素数1〜6の炭化水素またはフッ素を含有した炭化水素
でXは1〜3の整数)とO2にN2を混合したもの、Si
(OCH3)4あるいはSi(OC2H5)4とO2にN2を
混合したものSi-B-O用としてSiH4とO2にB2
H6を混合したもの、RxH3-xSi-O-SiH3-xRx
(Rは炭素数1〜6の炭化水素またはフッ素を含有した
炭化水素でXは1〜3の整数)とO2にB2H6を混合し
たもの、Si(OCH3)4あるいはSi(OC2H5)4
とO2にB2H6を混合したものが使用できる。成膜用ガ
スのキャリアにはHe、Ne、ArおよびKr或いはこ
れらの不活性ガス中に水素(H2)を加えて用い、全圧
を5〜200mTorrに制御する。プラズマの発生に
は10kHz〜13.56MHzの交流を単独で使用し
ても、或いはこれらの交流にマイクロ波(周波数2.4
5GHz)を併用しても良い。C、NおよびBの組成は
シリコンに対して5〜50モル%、より好ましくは10
〜20モル%が好ましい。5モル%未満では柔軟性が発
現せず、50モル%を越えると膜が硬化し過ぎ柔軟性が
失われる。また、vの値が1.6未満では酸化ケイ素と
しての十分な硬度が得られず、2.0を超えると酸素過
剰となる膜が脆くなる。
【0035】Si−M−O保護膜厚は50〜300Åが
適する。50Å未満では欠陥の無い薄膜が得られず、
水、酸素に対するガスバリヤ性が得られない。300Å
を越えると磁気ヘッド/媒体の空隙損失が大きくなり、
記録再生特性が劣化する。
【0036】プラズマCVD法を用いて保護膜を設ける
事により下層の磁性膜との付着性も改善できる。例え
ば、Co系磁性膜表面に存在する酸化コバルトCoOは
大気中の水を容易に化学吸着し、水酸化コバルトCo
(OH)2に変化する。水酸化コバルトはCo2+イオン
層とOH-イオン層が極めて弱い水素結合力で積み重な
った層状構造(結晶系:CdI2型構造)である。した
がってこの上に物理蒸着法で硬質保護膜を設けてもその
界面に存在するCo(OH)2層の結合力が弱いため、
外力によりたやすく保護膜が離脱する。しかし上述した
プラズマCVD法にはエッチング作用が有り、成膜初期
に結合力の弱い水酸化コバルト層を除去する事ができ
る。そのため磁性層と保護層の付着強度が大幅に向上し
耐久性、耐食性を高める事ができる。エッチング作用を
発現させるためにはプラズマ重合反応に使用するガス中
に還元性を有する水素ガス等を混合させる事、或いは上
述した高周波の使用により基板側に負バイアスを発生さ
せ成膜時の反応粒子の運動エネルギを高める事が有効で
ある。
【0037】このエッチング作用により磁性膜表面のC
o(OH)2層に加え、磁性膜表層の非磁性CoO層が
除去される。この作用はオージュ電子分光分析法(AE
S)を用い保護膜成膜後の試料の組成を膜表面から深さ
方向に調べる事により明確になる。保護膜の無い試料で
は磁性膜最表層には酸素とCoの元素比Co/Oが1未
満の非磁性CoO層が存在している。一方、上述したC
VD法によりSi-O-M保護膜を成膜した試料をAES
で深さ方向に分析すると表層のSiとOピークが減衰し
た後、元素比Co/Oが1より大きい中間層が存在し、
その後磁性膜の母合金組成となる。この事から本発明に
よる保護膜を設ける事によりそのエッチング作用により
保護膜成膜前に磁性層表面に存在した非磁性或いは磁性
の弱い酸化物層の厚さが薄くなる事が示される。保護膜
成膜時にエッチング作用の無い場合、実効的な非磁性層
厚は保護膜厚と磁性層表層に存在する非磁性酸化物層
(Co/Oが1以下の層)を加えた値になる。本発明で
は保護膜成膜時のエッチング作用により磁性層表層に存
在していた非磁性酸化物層の厚さが減少するため、実効
的非磁性層厚が保護膜成膜時にエッチング作用の無い場
合に比べ減少する。したがって本発明により保護膜を成
膜すれば磁気ヘッド/媒体間の実効的な空隙を減少させ
る事が可能となり、記録再生時の空隙損失が緩和され、
特に短波長領域に於ける記録再生特性を向上させる事が
できる。Si-M-O成膜時のエッチング作用が小さい場
合には本発明による保護膜成膜前に磁性膜表面をAr或
いはH2雰囲気中でプラズマエッチングし強制的に磁性
膜表層に存在する非磁性CoOを除去しても良い。
【0038】媒体の耐食性を一段と向上させるにはSi
−M−O膜を非磁性基体とCo系磁性膜の界面に中間層
又は下地層として設けたり、あるいは非磁性基体の裏面
に裏面保護層又はバックコート層として設ける事が有効
である。磁気テープの分野ではCo系磁性膜用の基体と
してPET、アラミド、PEN等の有機フィルムが使用
されるが、これらのポリマには水や酸素分子の分子サイ
ズ(2.0〜4.3Å)に比べて大きな空隙が存在してい
る。そのため磁性膜を有機フィルム基板上に直接設けた
場合、水と酸素は磁性層表面側のみならず基板フィルム
側からも供給され、腐食は磁性膜裏面からも進行する。
有機フィルムと磁性層界面にSi−M−O中間層又はバ
ックコート層を設ける事によりガスバリヤ性が高まり磁
性層裏面からの腐食を抑制する事ができる。Si−M−
O中間層(下地層)又はバックコート層(裏面保護層)
の成膜には保護膜と同様、被着粒子の指向性が低く被覆
性の高いプラズマCVD法を用いる。従来の物理蒸着法
でも同様の効果が有るが、プラズマCVD法の方が膜の
欠陥が少なく薄膜化に適する。中間層又はバックコート
層の厚さは50〜1000Åが好ましい。50Å未満で
は十分な連続薄膜が得られず、水、酸素に対するガスバ
リヤ性が得られない。1000Åを越えると効果が飽和
し不経済である。
【0039】前記のように、本発明の一般式(1)の化
合物からなる潤滑剤層は磁気記録媒体の磁性膜上に直接
形成することもできるが、磁性膜の上に設けられた保護
膜上に形成することが好ましい。前記のように、本発明
の一般式(1)の潤滑剤化合物は非フッ素系溶媒に可溶
性なので、これらの溶媒に溶解させて潤滑剤溶液を作製
することができる。そして、この溶液を保護膜上に塗布
し、溶媒を揮発させることにより、保護膜上に潤滑剤層
を形成させることができる。また、本発明の一般式
(1)の化合物からなる潤滑剤は磁気記録媒体のバック
コートなどに含有させておき、磁性膜及び保護膜上に転
写させてもよい。非磁性基体の裏面または背面に塗布し
たり、バックコート層中に添合させることもできる。更
に、塗布型磁気記録媒体の場合、磁性層表面に塗布して
も、或いは磁性層形成材料中に配合して使用することも
できる。また、潤滑剤を磁性膜及び保護膜上に安定に存
在させるために、潤滑剤の塗布前後のどちらか一方で、
熱処理、紫外線などの光処理あるいはアルゴン及び酸素
プラズマ処理等を行ってもよい。また、潤滑剤を塗布し
た後、余分な潤滑剤を溶剤などにより洗浄してもよい。
【0040】前記潤滑剤溶液を保護膜上に塗布する方法
としては単純浸漬塗布法、グラビア塗布法、スプレー塗
布法或いは蒸着による塗布法が使用される。これらの塗
布法により潤滑剤分子を硬質保護膜表面に吸着させる事
ができる。
【0041】しかし、これらの塗布法では潤滑剤分子と
硬質保護膜表面の結合は主に水素結合であるため、その
結合エネルギが小さい(20〜30kJmol-1)。潤
滑剤分子と保護膜との結合力を高め摺動による脱離を防
ぐためには例えば保護膜上に潤滑剤を塗布後、波長19
0nm未満の紫外線を照射する方法が有効であり、潤滑
剤分子を保護膜上に化学結合させ摩擦摩耗特性をさらに
向上する事ができる。紫外線照射はC−F結合を有する
潤滑剤分子に対して有効である。照射する紫外線の波長
は100nm〜190nmである。波長190nmを越
える紫外線はそのエネルギが硬質保護膜の仕事関数に満
たないため、硬質保護膜から光電子を発生させる事がで
きない。そのため光電子を介した含フッ素系潤滑剤分子
との光化学反応を開始させる事ができず、結果として含
フッ素系潤滑剤分子を硬質保護膜表面に化学吸着させる
事が不可能となる。紫外線の波長は190nm未満であ
れば特に限定されないが通常入手可能な光源の波長の下
限は100nmである。
【0042】紫外線照射を行う場合、処理室の雰囲気中
に酸素があってはならない。酸素は185nmの紫外線
によりオゾンを発生し、潤滑剤分子を分解する。したが
って、処理室は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気に
する必要がある。
【0043】紫外線照射前に潤滑剤を塗布した試料を5
0〜100℃で熱処理すると、摺動特性を一段と高める
事ができる。熱処理により潤滑剤分子はその熱エネルギ
により硬質保護膜表面を拡散し、紫外線照射前の潤滑剤
分子の被覆率が高まるためであると思われる。
【0044】紫外線照射により硬質保護膜上に化学結合
した非フッ化ブロック−Z1−フッ化アルキルブロック
−Z2−非フッ化ブロックから成る潤滑剤層が形成され
るが、潤滑剤塗布量に対する化学結合した潤滑剤の割合
には適切な範囲が存在する。化学吸着した潤滑剤を”n
−ヘキサンで10秒間超音波洗浄後も保護膜上に残存し
ているもの”と定義し、潤滑剤塗布後の試料および潤滑
剤を塗布し紫外線照射処理を行った後、n−ヘキサンで
10秒間超音波洗浄した試料をXPS(光電子分光分
析)で分析した時、洗浄後のフッ素強度と洗浄前のフッ
素強度の比が0.05〜0.65である事が好ましい。
0.05未満では化学結合した潤滑剤成分が少なく潤滑
特性を一段と高める事ができず、0.65を越えると物
理吸着したフリーな潤滑剤成分が不足しかえって潤滑特
性が劣化する。
【0045】これまで、磁気テープおよび磁気ディスク
の分野では、摩擦係数や磨耗の低減およびシリンダへの
貼り付きや磁気ヘッドの凝着を防止するため、表面に凹
凸を有する基板を使用してきた。磁気テープを例に挙げ
ると表面に易滑粒子層が設けられたベースフィルムを使
用していた。この上に磁性膜を蒸着すると磁性層表面に
凹凸が形成され摺動特性は高まるが、磁性層に多くの欠
陥が生じ媒体の耐食性が著しく低下する。上式の潤滑剤
は先にも述べた様に貼り付き現象を起こさずまた摺動時
の負荷を大幅に低減させる作用を有している。したがっ
てベースフィルムに平滑性の高いものが使用でき、媒体
の耐食性を高める事ができる。磁気テープ用のベースフ
ィルムとしては大容量化のために厚さ6.5μm未満の
PET、より好ましくは厚さ6.5μm未満のPEN、
アラミドが好ましい。PEN、アラミドはPETに比べ
てフィルムの剛性(ヤング率)が高く大容量化のために
ベース厚がさらに薄膜化した際に有利である。これらの
ベースの平滑性はRaで0.5nm〜1.5nmおよびR
zで3.0nm〜12.0nmである事が望ましい。R
a、Rzがそれぞれ0.5nmおよび3.0nmを下回る
超平滑ベースは現在の技術では作製が困難であり、R
a、Rzがそれぞれ1.5nmおよび12.0nmを越え
ると上層に形成される磁性膜中の欠陥が増加し満足な耐
食性が得られない。
【0046】本発明の潤滑剤が使用される磁気記録媒体
は特に限定されない。薄膜型及び塗布型の何れの媒体も
使用可能である。本発明の潤滑剤は薄膜型磁気記録媒体
に使用することが特に好ましい。
【0047】本発明の磁気記録媒体で使用される非磁性
基体は特に限定されない。従来から使用されてきた磁気
記録媒体用の非磁性基体ならば全て使用できる。例え
ば、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタ
レート,ポリカーボネート,ポリイミド,ポリ塩化ビニ
ルなどの合成樹脂基体,アルミニウム,アルミニウム合
金,チタン,チタン合金などの金属類,アルミナガラス
などのセラミック類,ガラス類などの硬質基体を用途に
合わせて適宜使用することができる。硬質基体を使用す
る場合、基体表面にアルマイト処理などの酸化皮膜やN
i−P皮膜などを形成し、その表面を硬化させたり、鏡
面仕上げすることもできる。また、非磁性基体の形態は
特に限定されない。テープ,シート,ディスク,カー
ド,ドラムなど磁気ヘッドと摺接することのできる形態
であれば全て使用できる。
【0048】本発明の磁気記録媒体の磁性膜の形成用磁
性体材料は特に限定されない。従来から磁気記録媒体の
磁性膜形成用磁性体材料として使用されてきた材料は全
て使用できる。このような磁性体は例えば、薄膜型磁気
記録媒体では、Co,Ni,Fe,Co−Ni,Co−
P,Co−Ni−P,Fe−Co−B,Fe−Co−N
i,Fe−Co−Ni−B,Fe−Ni,Fe−Co,
Co−Pt,Co−Ni−Pt,Co−Cr又はこれら
に酸素を加えたものなどからなる種々の材料を使用でき
る。薄膜型磁気記録媒体ではCoを50モル%よりも多
く含有するものが好ましい。薄膜型磁気記録媒体の場
合、前記の磁性体材料を真空蒸着,イオンプレーティン
グ,スパッタリング,メッキなどの公知慣用の方法で薄
膜に形成することができる。このようにして形成される
磁性薄膜の膜厚は特に限定されないが、一般的には、
0.03〜1μmの範囲内であることが好ましい。
【0049】塗布型磁気記録媒体の磁性膜形成用磁性体
材料としては、γ−Fe2O3,Fe3O4,γ−Fe2O3
とFe3O4の中間酸化状態の酸化鉄,Co含有γ−Fe
2O3,Co含有γ−Fe3O4,CrO2,バリウムフェ
ライトなどの酸化物系磁性粉や、Fe,Co,Fe−N
i−Cr合金などの金属磁性粉、窒化鉄のような窒化物
系磁性粉などの従来から公知の各種の磁性粉を適宜使用
できる。針状の磁性粉では、平均粒子径(長軸)が通
常、0.2〜1μm程度、平均軸比(平均長軸比/平均
短軸比)が通常、5〜10程度であることが好ましい。
板状の磁性粉では、平均長軸径が通常、0.07〜0.
3μm程度であるものが好ましい。これら磁性粉の結合
樹脂としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重
合体、繊維素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、ポリビニルブチラート樹脂、ポリアクリル系
樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイソシ
アネート系樹脂など、塗布型磁気記録媒体の結合剤とし
て通常使用されるものならば全て使用できる。
【0050】本発明の磁気記録媒体では、非磁性基体と
磁性膜との間に中間層を設けることもできる。例えば、
非磁性基体の表面に予め、Si,Ti,Bi,Sn,P
b,Sb,Ga,Ge,Inなどの低融点非磁性材料の
下地層を形成しておき、強磁性体材料を垂直又は斜め蒸
着し、磁性膜層内にこれら非磁性材料を拡散させ、面内
膜化すると共に、抗磁力を増大させることができる。
【0051】本発明の磁気記録媒体において、非磁性基
体の一面側のみに磁性膜を形成したものでは、その反対
面側にバックコート層を設けることもできる。このバッ
クコート層はカーボンブラック、炭酸カルシウムなどの
非磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリ
ウレタン系樹脂、繊維素系樹脂などの結合剤樹脂及び有
機溶剤と共に混合分散して、バックコート層用塗料を調
製し、これを非磁性基体の反対面側に塗布、乾燥して形
成される。
【0052】図1は本発明の磁気記録媒体の一例の断面
図であり、非磁性基体1の一方の面に磁性層2が形成さ
れており、その磁性層上に前記一般式(1)で示される
化合物からなる潤滑剤層3を有する。図2は本発明の磁
気記録媒体の別の例の断面図であり、磁性層2と潤滑剤
層3との間にSi−M−Oなどの保護層4を有する。図
3は本発明の磁気記録媒体の更に別の例の断面図であ
り、非磁性基体3の背面側にもSi−M−Oなどの保護
層4を有する。図4は本発明の磁気記録媒体の更に他の
例の断面図であり、磁性層2をSi−M−Oなどの保護
層4で挟持しており、非磁性基体1の背面側に公知のバ
ックコート層5が設けられている。図5は本発明の磁気
記録媒体の更に他の例の断面図であり、非磁性基体1と
磁性層2との間に、磁性層を面内膜化させるための下地
層6を有する。
【0053】
【実施例】以下、具体例により本発明を例証する。
【0054】トリブロック化合物の生成 実施例1 1H、1H、10H、10H−パーフルオロ−1、10
デカンジアミン0.5モル、ラウリル酸の酸クロライド
物1.2モル、ピリジン0.5モルとにトルエン800
gを加え、100℃で6時間反応させた。放冷後、水で
希釈して有機層を分離し、これを炭酸水素ナトリウム水
溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥してから溶媒を
留去した。残分を再結晶で精製し下式の構造で表される
トリブロック化合物1を製造した。本化合物の融点は6
2〜64℃であった。なお、本実施例及び下記の実施例
において、生成化合物の融点はPerkin-Elmer社製のRS-1
000を用い、−20℃から昇温速度5℃/minで測定し
た。 CH3(CH210CONHCH2(CF28CH2NHC
O(CH210CH3
【0055】実施例2 実施例1に於けるラウリル酸の酸クロライド物の代わり
にステアリン酸の酸クロライド物1.2モルを用い、実
施例1と同様に反応させて、下式の構造で表されるトリ
ブロック化合物2を製造した。本化合物の融点は108
〜110℃であった。 CH3(CH216CONHCH2(CF28CH2NHC
O(CH216CH3
【0056】実施例3 実施例1に於けるラウリル酸の酸クロライド物の代わり
にリノール酸の酸クロライド物1.2モルを用い、実施
例1と同様に反応させて、下式の構造で表されるトリブ
ロック化合物3を製造した。本化合物の沸点は220〜
222℃/1mmHgであった。なお、本実施例及び下
記の実施例において、生成化合物の沸点はRigaku社製の
TG装置:TG8110を用いて測定した。 CH3(CH24(CH=CHCH22(CH25CO
NHCH2(CF28CH2NHCO(CH25(CH2
CH=CH)2(CH24CH3
【0057】実施例4 実施例1に於けるラウリル酸の酸クロライド物の代わり
に2,3,4−トリメチル−2−ネオペンタン酸の酸ク
ロライド物1.2モルを用い、実施例1と同様に反応さ
せて、下式の構造で表されるトリブロック化合物4を製
造した。本化合物の沸点は189〜190℃/2mmH
gであった。 C1225CONHCH2(CF28CH2NHCOC12
25
【0058】実施例5 実施例1に於けるラウリル酸の酸クロライド物の代わり
に安息香酸の酸クロライド物1.2モルを用い、実施例
1と同様に反応させて、下式の構造で表されるトリブロ
ック化合物5を製造した。本化合物の融点は75〜77
℃であった。 C65CONHCH2(CF28CH2NHCOC65
【0059】実施例6 実施例1に於けるラウリル酸の酸クロライド物の代わり
にシクロヘキサンカルボン酸の酸クロライド物1.2モ
ルを用い、実施例1と同様に反応させて、下式の構造で
表されるトリブロック化合物6を製造した。本化合物の
融点は70〜72℃であった。 C611CONHCH2(CF28CH2NHCOC611
【0060】実施例7 実施例1に於けるラウリル酸の酸クロライド物の代わり
に3,6,9−オキシデカンカルボン酸の酸クロライド
物1.2モルを用い、実施例1と同様に反応させて、下
式の構造で表されるトリブロック化合物7を製造した。
本化合物の沸点は230〜232℃/0.08mmHg
であった。 CH3CH2O(CH2CH2O)2CH2CONHCH
2(CF28CH2NHCOCH2(OCH2CH22OC
2CH3
【0061】実施例8 1H、1H、10H、10H−パーフルオロ−1、10
−デカンジオール0.5モル、ステアリルブロマイド1
モル、ピリジン0.5モルとトルエン800gを加え、
130℃で6時間反応させた。放冷後、水で希釈して有
機層を分離し、これを炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄
し硫酸マグネシウムで乾燥してから溶媒を留去した。残
分を再結晶で精製し下式の構造で表されるトリブロック
化合物8を製造した。本化合物の融点は49〜51℃で
あった。 CH3(CH217OCH2(CF28CH2O(CH2
17CH3
【0062】実施例9 1H、1H、10H、10H−パーフルオロ−1、10
−デカンジオール0.5モル、ステアリルイソシアネー
ト1モル、トルエン800gを加え、80℃で6時間反
応させた。放冷後、再結晶で精製し下式の構造で表され
るトリブロック化合物9を製造した。本化合物の融点は
109〜110℃であった。この化合物のIRチャート
を図6に示す。このチャートは、Mattoson社製のRS-100
00を用い、KBr上で透過法により測定した。 CH3(CH217NHCOOCH2(CF28CH2OC
ONH(CH217CH3
【0063】実施例10 1H、1H、10H、10H−パーフルオロ−1、10
−デカンジアミン0.5モル、ステアリルイソシアネー
ト1モル、トルエン800gを加え、80℃で6時間反
応させた。放冷後、再結晶で精製し下式の構造で表され
るトリブロック化合物10を製造した。本化合物の融点
は110〜112℃であった。 CH3(CH217NHCONHCH2(CF28CH2
HCONH(CH217CH3
【0064】実施例11 1H、1H、10H、10H−パーフルオロ−1、10
−デカンジカルボン酸0.5モル、ステアリルアミン1
モル、イソプロピルアルコール800gを加え、130
℃で6時間反応させた。放冷後、再結晶で精製し下式の
構造で表されるトリブロック化合物12を製造した。本
化合物の融点は60〜62℃であった。 CH3(CH217NH4OCOCH2(CF28CH2
OOH4N(CH217CH3
【0065】実施例12 1H、1H、10H、10H−パーフルオロデカン−
1、10−ジグリシジルエーテル0.5モル、ステアリ
ルアルコール1モル、トルエン800gとに四塩化スズ
0.02モルを加え、100℃で6時間反応させた。放
冷後、再結晶で精製し下式の構造で表されるトリブロッ
ク化合物12を製造した。本化合物の融点は70〜72
℃であった。 CH3(CH217OCH2CH(OH)CH2OCH
2(CF28CH2OCH2CH(OH)CH2O(C
217CH3
【0066】実施例13 1H、1H、18H、18H−パーフルオロ−1、18
−オクタデカンジアミン0.5モル、ステアリン酸の酸
クロライド物ルブロマイド1モル、ピリジン0.5モル
とトルエン800gを加え、100℃で6時間反応させ
た。放冷後、水で希釈して有機層を分離し、これを炭酸
水素ナトリウム水溶液で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥
してから溶媒を留去した。残分を再結晶で精製し下式の
構造で表されるトリブロック化合物13を製造した。本
化合物の融点は130〜132℃であった。 CH3(CH216CONHCH2(CF216CH2NH
CO(CH216CH3
【0067】実施例14 1H、1H、18H、18H−パーフルオロ−1、18
−オクタデカンジオール0.5モル、ステアリルブロマ
イド1モル、ピリジン0.5モルとトルエン800gを
加え、130℃で6時間反応させた。放冷後、水で希釈
して有機層を分離し、これを炭酸水素ナトリウム水溶液
で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥してから溶媒を留去し
た。残分を再結晶で精製し下式の構造で表されるトリブ
ロック化合物14を製造した。本化合物の融点は53〜
55℃であった。 CH3(CH217OCH2(CF216CH2O(CH2
17CH3
【0068】実施例15 1H、1H、18H、18H−パーフルオロ−1、18
−オクタデカンジカルボン酸0.5モル、ステアリルア
ミン1モル、イソプロピルアルコール800gを加え、
130℃で6時間反応させた。放冷後、再結晶で精製し
下式の構造で表されるトリブロック化合物15を製造し
た。本化合物の融点は97〜99℃であった。 CH3(CH217NH4OCOCH2(CF216CH2
OOH4N(CH217CH3
【0069】実施例16 1H、1H、18H、18H−パーフルオロ−1、18
−オクタデカンジオール0.5モル、ステアリルイソシ
アネート1モル、トルエン800gを加え、80℃で6
時間反応させた。放冷後、再結晶で精製し下式の構造で
表されるトリブロック化合物16を製造した。本化合物
の融点は128〜129℃であった。 CH3(CH217NHCOOCH2(CF216CH2
CONH(CH217CH3
【0070】実施例17 1H、1H、18H、18H−パーフルオロ−1、18
−オクタデカンジアミン0.5モル、ステアリルイソシ
アネート1モル、トルエン800gを加え、80℃で6
時間反応させた。放冷後、再結晶で精製し下式の構造で
表されるトリブロック化合物17を製造した。本化合物
の融点は126〜128℃であった。 CH3(CH217NHCONHCH2(CF216CH2
NHCONH(CH217CH3
【0071】磁性膜及び保護膜の形成 実施例18 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後SiH4:20m
l/min、O2:40ml/min、He:150m
l/min、H2:30ml/minに成膜用ガスを制
御し、13.56MHz、1kWの高周波電源を用いプ
ラズマ重合法により磁性層上にSiOr保護膜を200
Å成膜した。
【0072】実施例19 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後C24:60ml
/min、H2:120ml/minに成膜用ガスを制
御し、13.56MHz、1kWの高周波電源を用いプ
ラズマ重合法により磁性層上にDLC(ダイヤモンドラ
イクカーボン)保護膜を200Å成膜した。
【0073】実施例20 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後Al(OC25
3:60ml/min、O2:90ml/min、He:
150ml/min、H2:30ml/minに成膜用
ガスを制御し、50kHz、1kWの高周波電源を用い
プラズマ重合法により磁性層上にAlOs保護膜を20
0Å成膜した。
【0074】実施例21 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後Ti(OC25
4:60ml/min、O2:120ml/min、H
e:150ml/min、H2:30ml/minに成
膜用ガスを制御し、50kHz、1kWの高周波電源を
用いプラズマ重合法により磁性層上にTiOr保護膜を
200Å成膜した。
【0075】実施例22 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後C24:30ml
/min、SiH4:30ml/min、He:150
ml/min、H2:30ml/minに成膜用ガスを
制御し、13.56MHz、1kWの高周波電源を用い
プラズマ重合法により磁性層上にSiCp保護膜を20
0Å成膜した。
【0076】実施例23 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後C24:20ml
/min、B26:80ml/min、He:150m
l/min、H2:30ml/minに成膜用ガスを制
御し、13.56MHz、1kWの高周波電源を用いプ
ラズマ重合法により磁性層上にBqC保護膜を200Å
成膜した。
【0077】実施例24 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後Zr(OC25
4:50ml/min、O2:75ml/min、He:
150ml/min、H2:30ml/minに成膜用
ガスを制御し、50kHz、1kWの高周波電源を用い
プラズマ重合法により磁性層上にZrOr保護膜を20
0Å成膜した。
【0078】実施例25 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後B26:80ml
/min、N2:160ml/min、H2:30ml/
minに成膜用ガスを制御し、13.56MHz、1k
Wの高周波電源を用いプラズマ重合法により磁性層上に
BNp保護膜を200Å成膜した。
【0079】実施例26 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後SiH4:60m
l/min、N2:160ml/min、H2:30ml
/minに成膜用ガスを制御し、13.56MHz、1
kWの高周波電源を用いプラズマ重合法により磁性層上
にSiNq保護膜を200Å成膜した。
【0080】実施例27 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後C24:20ml
/min、N2:100ml/min、H2:30ml/
minに成膜用ガスを制御し、13.56MHz、1k
Wの高周波電源を用いプラズマ重合法により磁性層上に
CNq保護膜を200Å成膜した。
【0081】実施例28 厚さ1.2mm、直径2.5インチのポリオレフィン基板
上にスパッタリング法により0.1μmのCr下地層、
0.03μmのCo−Cr−Pt系磁性層を順次成膜し
その後C24:60ml/min、H2:120ml/
minに成膜用ガスを制御し、13.56MHz、1k
Wの高周波電源を用いプラズマ重合法により磁性層上に
DLC(ダイヤモンドライクカーボン)保護膜を200
Å成膜した。
【0082】実施例29 厚さ1.2mm、直径2.5インチのポリオレフィン基板
上にスパッタリング法により0.1μmのCr下地層、
0.03μmのCo−Cr−Pt系磁性層を順次成膜し
その後SiH4:20ml/min、O2:40ml/m
in、He:150ml/min、H2:30ml/m
inに成膜用ガスを制御し、13.56MHz、1kW
の高周波電源を用いプラズマ重合法により磁性層上にS
iOr保護膜を200Å成膜した。
【0083】実施例30 厚さ0.8mm、直径2.5インチのポリオレフィン基板
上にスパッタリング法により0.1μmのCr下地層、
0.05μmのCo−Cr−Pt磁性層を順次成膜しそ
の後Zr(OC254:50ml/min、O2:75
ml/min、He:150ml/min、H2:30
ml/minに成膜用ガスを制御し、50kHz、1k
Wの高周波電源を用いプラズマ重合法により磁性層上に
ZrOr保護膜を200Å成膜した。
【0084】実施例31 厚さ1.2mm、直径2.5インチのポリカーボネイト基
板上にスパッタリング法により0.08μmのSiNx
エンハンス層、0.03μmのTb−Fe−Co磁性
層、0.02μmのSiNxエンハンス層、0.05μm
のAl合金反射層を順次成膜し次に10μmの紫外線硬
化樹脂を設けた。紫外線照射により樹脂を硬化させ、そ
の後C24:60ml/min、H2:120ml/m
inに成膜用ガスを制御し、13.56MHz、1kW
の高周波電源を用いプラズマ重合法により紫外線硬化樹
脂上にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)保護膜を
300Å成膜した。
【0085】実施例32 厚さ1.2mm、直径2.5インチのポリカーボネイト基
板上にスパッタリング法により0.08μmのSiNx
エンハンス層、0.03μmのTb−Fe−Co磁性
層、0.02μmのSiNxエンハンス層、0.05μm
のAl合金反射層を順次成膜し次に10μmの紫外線硬
化樹脂を設けた。紫外線照射により樹脂を硬化させ、そ
の後SiH4:20ml/min、O2:40ml/mi
n、He:150ml/min、H2:30ml/mi
nに成膜用ガスを制御し、13.56MHz、1kWの
高周波電源を用いプラズマ重合法により紫外線硬化樹脂
層上にSiOr保護膜を300Å成膜した。
【0086】実施例33 表面に厚さ15μmのNi−P鍍金層を有する厚さ1.
2mm、直径2.5インチのAl合金基板上にスパッタ
リング法により0.2μmのFeNi(パーマロイ)
層、0.1μmのTi層、0.05μmのCoCr磁性層
を順次成膜し、その後C24:60ml/min、
2:120ml/minに成膜用ガスを制御し、13.
56MHz、1kWの高周波電源を用いプラズマ重合法
により磁性層上にDLC(ダイヤモンドライクカーボ
ン)保護膜を200Å成膜した。
【0087】実施例34 表面に厚さ15μmのNi−P鍍金層を有する厚さ0.
8mm、直径2.5インチのAl合金基板上にスパッタ
リング法により0.2μmのFeNi(パーマロイ)
層、0.1μmのTi層、0.05μmのCoCr磁性層
を順次成膜し、その後SiH4:20ml/min、
2:40ml/min、He:150ml/min、
2:30ml/minに成膜用ガスを制御し、13.5
6MHz、1kWの高周波電源を用いプラズマ重合法に
より磁性層上にSiOr保護膜を200Å成膜した。
【0088】実施例35 表面に厚さ15μmのNi−P鍍金層を有する厚さ0.
8mm、直径2.5インチのAl合金基板上にスパッタ
リング法により0.1μmのCr下地層、0.03μmの
Co−Cr−Pt系磁性層を順次成膜しその後、C
24:60ml/min、H2:120ml/minに
成膜用ガスを制御し、13.56MHz、1kWの高周
波電源を用いプラズマ重合法により磁性層上にDLC
(ダイヤモンドライクカーボン)保護膜を200Å成膜
した。
【0089】実施例36 表面に厚さ15μmのNi−P鍍金層を有する厚さ0.
8mm、直径2.5インチのAl合金基板上にスパッタ
リング法により0.1μmのCr下地層、0.03μmの
Co−Cr−Pt系磁性層を順次成膜しその後、SiH
4:20ml/min、O2:40ml/min、He:
150ml/min、H2:30ml/minに成膜用
ガスを制御し、13.56MHz、1kWの高周波電源
を用いプラズマ重合法により磁性層上にSiOr保護膜
を200Å成膜した。
【0090】実施例37 表面に厚さ15μmのNi−P鍍金層を有する厚さ0.
8mm、直径2.5インチのAl合金基板上にスパッタ
リング法により0.1μmのCr下地層、0.03μmの
Co−Cr−Pt系磁性層を順次成膜しその後、Zr
(OC254:50ml/min、O2:75ml/m
in、He:150ml/min、H2:30ml/m
inに成膜用ガスを制御し、50kHz、1kWの高周
波電源を用いプラズマ重合法により磁性層上にZrOr
保護膜を200Å成膜した。
【0091】実施例38 厚さ1.2mm、直径2.5インチのポリカーボネイト基
板上にスパッタリング法により0.08μmのSiNx
エンハンス層、0.03μmのTb−Fe−Co磁性
層、0.02μmのSiNxエンハンス層、0.05μm
のAl合金反射層を順次成膜し次に10μmの紫外線硬
化樹脂を設けた。紫外線照射により樹脂を硬化させた。
その後、(CH33Si−O−Si(CH33:20m
l/min,O2:40ml/min、He:150m
l/min、H2:30ml/minに成膜用ガスを制
御し、50kHz、1kWの高周波電源を用いプラズマ
重合法により紫外線硬化樹脂層上にSi−O−C保護膜
を200Å成膜した。
【0092】実施例39 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後(CH33Si-O
-Si(CH33:20ml/min、O2:40ml/
min、He:150ml/min、H2:30ml/
minに成膜用ガスを制御し、50kHz、1kWの高
周波電源を用いプラズマ重合法により磁性層上にSi-
O-C保護膜を200Å成膜した。
【0093】潤滑剤溶液の調製 実施例40 実施例1〜17で得られた各種化合物の汎用溶媒への溶
解性をn−ヘキサン、シクロヘキサンおよびトルエンを
用いて調べた。室温に於いて各々の化合物各3gを97
gのn−ヘキサン、シクロヘキサンおよびトルエンに加
え、ガラス棒で5分間攪拌した。合成した各化合物は何
れもn−ヘキサン、シクロヘキサンおよびトルエン中に
完全に溶解し、得られた潤滑剤溶液は無色透明であっ
た。
【0094】潤滑剤層の形成及び摺動特性の測定 実施例41 実施例18〜27および39で成膜した媒体を8mm幅
に裁断し、実施例1〜17で得られた化合物の0.2w
t%n−ヘキサン溶液に中に各媒体を30秒間浸漬後、
溶液から引き上げ温風で溶媒を乾燥し、磁性層表面に潤
滑剤層を形成した。各試料を直径4cmの8mm用シリ
ンダに220度の巻き付け角でセットし、試料/磁気ヘ
ッド間相対速度11.3m/s、試料張力12.5gf/
cmの条件で波長1.6μmの正弦波を記録し、スチル
モードで再生出力およびスチル時のシリンダ負荷を測定
した。スチル寿命は再生出力が初期値から6dB低下す
るまでの時間とし、スチル時のシリンダ負荷は電圧計に
出力される電圧値を用いた。
【0095】比較例1 実施例18〜27および39で成膜した媒体を8mm幅
に裁断し、パーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤であ
るFomblin−Z−DOL〔HOCH2O(CF
2O)10(C24O)10CH2OH〕の0.2wt%パー
フルオロオクタン溶液中に各媒体を30秒間浸漬後、溶
液から引き上げ温風で溶媒を乾燥した。各試料を直径4
cmの8mm用シリンダに220度の巻き付け角でセッ
トし、試料/磁気ヘッド間相対速度11.3m/s、試
料張力10gf条件で波長1.6μmの正弦波を記録
し、スチルモードで再生出力およびスチル時のシリンダ
負荷を測定した。スチル寿命は再生出力が初期値から6
dB低下するまでの時間とし、スチル時のシリンダ負荷
は電圧計に出力される電圧値を用いた。
【0096】比較例2 実施例18〜27および39で成膜した媒体を8mm幅
に裁断し、パーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤であ
るFomblin−Z−AM2001〔H2CO263
OCH2O(CF2O)10(C24O)10CH2OC63
2CH2〕、の0.2wt%パーフルオロオクタン溶液
中に各媒体を30秒間浸漬後、溶液から引き上げ温風で
溶媒を乾燥した。各試料を直径4cmの8mm用シリン
ダに220度の巻き付け角でセットし、試料/磁気ヘッ
ド間相対速度11.3m/s、試料張力10gfの条件
で波長1.6μmの正弦波を記録し、スチルモードで再
生出力およびスチル時のシリンダ負荷を測定した。スチ
ル寿命は再生出力が初期値から6dB低下するまでの時
間とし、スチル時のシリンダ負荷は電圧計に出力される
電圧値を用いた。
【0097】実施例41、比較例1および2のスチル試
験結果を下記の表1に要約して示す。
【0098】
【表1】
【0099】表1に示された結果から明かな様に、本発
明による潤滑剤の使用により600分以上の優れたスチ
ル寿命が得られる。また従来のフォンブリン液体潤滑剤
に比べスチル時のシリンダ負荷が約25%低くスチル寿
命の向上とモータの消費電力低減が可能である。
【0100】CSS耐久性試験 実施例42 実施例28〜30および33〜37で得られたディスク
上に実施例1〜17の潤滑剤の0.2wt%n−ヘキサ
ン溶液をスピンコ−トした。各ディスクを定常時540
0rpm、線速10m/secで回転するディスクドラ
イブに装着し磁気ヘッドスライダによりCSS(コンタ
クト/スタート/ストップ)耐久試験を行った。CSS
寿命をディスク起動時に摩擦係数が急増するまでのサイ
クル数とした。
【0101】比較例3 実施例28〜30および33〜37で得られたディスク
上にパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤であるFo
mblin−Z−DOL〔HOCH2O(CF2O)
10(C24O)10CH2OH〕の0.2wt%パーフルオ
ロオクタン溶液をスピンコ−トした。各ディスクを定常
時5400rpm、線速10m/secで回転するディ
スクドライブに装着し磁気ヘッドスライダによりCSS
(コンタクト/スタート/ストップ)耐久試験を行っ
た。CSS寿命をディスク起動時に摩擦係数が急増する
までのサイクル数とした。
【0102】比較例4 実施例28〜30および33〜37で得られたディスク
上にパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤であるFo
mblin−Z−AM2001〔H2CO263OCH
2O(CF2O)10(C24O)10CH2OC632CH
2〕、の0.2wt%パーフルオロオクタン溶液をスピン
コ−トした。各ディスクを定常時5400rpm、線速
10m/secで回転するディスクドライブに装着し磁
気ヘッドスライダによりCSS(コンタクト/スタート
/ストップ)耐久試験を行った。CSS寿命をディスク
起動時に摩擦係数が急増するまでのサイクル数とした。
【0103】CSS耐久試験の結果をまとめて下記の表
2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】表2に示された結果から明かな様に、本発
明による潤滑剤は10万サイクル以上のCSS耐久性を
示し、また摩擦係数も0.20〜0.25と従来のパーフ
ルオロポリエーテル系液体潤滑剤に比べて低い事が判
る。
【0106】実施例41 実施例31〜32および38で得られたMOディスク上
に実施例1〜17の化合物の0.2wt%n−ヘキサン
溶液をスピンコ−トした。各ディスクをディスクドライ
ブに装着しプラスチック製スライダにより600rp
m、線速1.2m/secの回転数で接触状態で耐久試
験を行った。耐久性を回転時の摩擦係数が急増するまで
の回転数とした。
【0107】比較例5 実施例31〜33および38で得られたMOディスク上
にパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤であるFom
blin−Z−DOL〔HOCH2O(CF2O)10(C
24O)10CH2OH〕の0.2wt%パーフルオロオク
タン溶液をスピンコ−トした。各ディスクをディスクド
ライブに装着しプラスチック製スライダにより600r
pm、線速1.2m/secの回転数で接触状態で耐久
試験を行った。耐久性を回転時の摩擦係数が急増するま
での回転数とした。
【0108】比較例6 実施例31〜33および38で得られたMOディスク上
にパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤であるFom
blin−Z−AM2001〔H2CO263OCH2
O(CF2O)10(C24O)10CH2OC632
2〕の0.2wt%パーフルオロオクタン溶液をスピン
コ−トした。各ディスクをディスクドライブに装着しプ
ラスチック製スライダにより600rpm、線速1.2
m/secの回転数で接触状態で耐久試験を行った。耐
久性を回転時の摩擦係数が急増するまでの回転数とし
た。
【0109】耐久試験結果を下記の表3に要約して示
す。
【0110】
【表3】
【0111】表3に示された結果から明かな様に、本発
明の一般式(1)の化合物からなる潤滑剤は30万回転
以上の耐久性を示し、またディスク回転時の摩擦係数が
従来のパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤に比べて
低い事が判る。
【0112】実施例44 α−Fe磁性粉(保磁力1500Oe、飽和磁化120
emu/g)100部、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニ
ルアルコール共重合体(UCC社製のVAGH)20
部、多官能イソシアネート化合物5部、カーボンブラッ
ク3部、α−Al23粉3部、ミリスチン酸2部、実施
例2、8、9、10および11で合成した化合物3部、
シクロヘキサノン150部およびトルエン130部から
成る配合組成物をボールミル中で72時間混合分散し、
磁性塗料を調製した。この塗料を厚さ4μmのアラミド
フィルム上に乾燥後の厚さが0.5μmになる様に塗布
した。カレンダ処理後塗布型磁気テープを8mm幅に裁
断し、直径4cmの8mm用シリンダに220度の巻き
付け角でセットし、試料/磁気ヘッド間相対速度11.
3m/s、試料張力10gfの条件で波長1.6μmの
正弦波を記録し、スチルモードで再生出力およびスチル
時のシリンダ負荷を測定した。スチル寿命は再生出力が
初期値から6dB低下するまでの時間とし、スチル時の
シリンダ負荷は電圧計に出力される電圧値を用いた。
【0113】比較例7 実施例44に於いて磁性塗料調整時に実施例2、8、
9、10および11で合成した化合物を加えず、潤滑剤
には従来のミリスチン酸2部を加えた事以外は実施例4
2と同様な方法で塗布型磁気テープを作製した。塗布型
磁気テープを8mm幅に裁断し、直径4cmの8mm用
シリンダに220度の巻き付け角でセットし、試料/磁
気ヘッド間相対速度11.3m/s、試料張力10gf
の条件で波長1.6μmの正弦波を記録し、スチルモー
ドで再生出力およびスチル時のシリンダ負荷を測定し
た。スチル寿命は再生出力が初期値から6dB低下する
までの時間とし、スチル時のシリンダ負荷は電圧計に出
力される電圧値を用いた。
【0114】実施例44および比較例7のスチル試験結
果を下記の表4に要約して示す。
【0115】
【表4】
【0116】表4に示された結果から明かな様に、本発
明の一般式(1)の化合物からなる潤滑剤は600分以
上のスチル耐久性を示し、またスチル時のシリンダ負荷
が従来の潤滑剤であるミリスチン酸に比べて小さい事が
判る。
【0117】実施例45 α−Fe磁性粉(保磁力1500Oe、飽和磁化120
emu/g)100部、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニ
ルアルコール共重合体(UCC社製のVAGH)20
部、多官能イソシアネート化合物5部、カーボンブラッ
ク3部、α−Al23粉3部、ミリスチン酸2部、シク
ロヘキサノン150部およびトルエン130部から成る
配合組成物をボールミル中で72時間混合分散磁性塗料
を調整した。この塗料を厚さ4μmのアラミドフィルム
上に乾燥後の厚さが0.5μmになる様に塗布した。次
いで、実施例2、8、9、10および11で合成した化
合物をそれぞれ0.1wt%濃度となるように溶解させ
た潤滑剤溶液中に上記磁性層を浸漬し、乾燥して磁性層
表面に潤滑剤層を形成させた。その後、カレンダ処理
し、塗布型磁気テープを8mm幅に裁断し、直径4cm
の8mm用シリンダに220度の巻き付け角でセット
し、試料/磁気ヘッド間相対速度11.3m/s、試料
張力10gfの条件で波長1.6μmの正弦波を記録
し、スチルモードで再生出力およびスチル時のシリンダ
負荷を測定した。スチル寿命は再生出力が初期値から6
dB低下するまでの時間とし、スチル時のシリンダ負荷
は電圧計に出力される電圧値を用いた。
【0118】比較例8 実施例45に於いて塗布型磁気記録媒体上に塗布した潤
滑剤が0.1wt%のミリスチン酸であったこと以外
は、実施例45と同様に磁気テープを作製した。この塗
布型磁気テープを8mm幅に裁断し、直径4cmの8m
m用シリンダに220度の巻き付け角でセットし、試料
/磁気ヘッド間相対速度11.3m/s、試料張力10
gfの条件で波長1.6μmの正弦波を記録し、スチル
モードで再生出力およびスチル時のシリンダ負荷を測定
した。スチル寿命は再生出力が初期値から6dB低下す
るまでの時間とし、スチル時のシリンダ負荷は電圧計に
出力される電圧値を用いた。
【0119】実施例45および比較例8のスチル試験結
果を下記の表5に要約して示す。
【0120】
【表5】
【0121】表5に示された結果から明らかなように、
本発明の一般式(1)の化合物からなる潤滑剤を塗布型
磁気記録媒体の表面に塗布しても、600分以上のスチ
ル耐久性を示し、またスチル時のシリンダ負荷が従来の
潤滑剤であるミリスチン酸を塗布した試料に比べて小さ
いことが分かる。
【0122】Si−M−O保護膜の作成 実施例46 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後(CH3O)3Si
-O-Si(OCH33:20ml/min、O2:40
ml/min、H2:20ml/min、He:80m
l/minに成膜用ガスを制御し13.56MHz、1
kWの高周波電源を用い磁性膜上にSi-C-O保護膜を
200Å成膜した。
【0123】実施例47 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後SiH4:20m
l/min、C24:4ml/min、O2:40ml
/min、H2:20ml/min、He:80ml/
minに成膜用ガスを制御し13.56MHz、1kW
の高周波電源を用い磁性膜上にSi-C-O保護膜を20
0Å成膜した。
【0124】実施例48 厚さ6.3μmのPETフィルム上にCoを酸素雰囲気
中で0.15μm斜め蒸着し、その後SiH4:20m
l/min、C24:4ml/min、O2:40ml
/min、H2:20ml/min、He:80ml/
minに成膜用ガスを制御し13.56MHz、1kW
の交流に2.45GHz、1.5kWのマイクロ波を併用
し磁性膜上にSi-C-O保護膜を200Å成膜した。
【0125】実施例49 厚さ4μmのPENフィルム上にCoを酸素雰囲気中で
0.15μm斜め蒸着し、その後(CH3O)3Si-O-
Si(OCH33:20ml/min、O2:40ml
/min、H2:20ml/min、He:80ml/
minに成膜用ガスを制御し13.56MHz、1kW
の高周波電源を用い磁性膜上にSi-C-O保護膜を20
0Å成膜した。
【0126】実施例50 厚さ4μmのアラミドフィルム上にCoを酸素雰囲気中
で0.15μm斜め蒸着し、その後(CH3O)3Si-
O-Si(OCH33:20ml/min、O2:40m
l/min、H2:20ml/min、He:80ml
/minに成膜用ガスを制御し13.56MHz、1k
Wの高周波電源を用い磁性膜上にSi-C-O保護膜を2
00Å成膜した。
【0127】実施例51 厚さ4μmのPENフィルム上にCoを酸素雰囲気中で
0.15μm斜め蒸着し、その後(CH3O)3Si-O-
Si(OCH33:20ml/min、O2:40ml
/min、N2:10ml/min、H2:20ml/m
in、He:80ml/minに成膜用ガスを制御し1
3.56MHz、1kWの高周波電源を用い磁性膜上に
Si-N-O保護膜を200Å成膜した。
【0128】実施例52 厚さ4μmのPENフィルム上にCoを酸素雰囲気中で
0.15μm斜め蒸着し、その後(CH3O)3Si-O-
Si(OCH33:20ml/min、O2:40ml
/min、B26:10ml/min、H2:20ml
/min、He:80ml/minに成膜用ガスを制御
し13.56MHz、1kWの高周波電源を用い磁性膜
上にSi-B-O保護膜を200Å成膜した。
【0129】実施例53 厚さ6.3μmのPETフィルム上に(CH3O)3Si-
O-Si(OCH33:20ml/min、O2:40m
l/min、H2:20ml/min、He:80ml
/minに成膜用ガスを制御し13.56MHz、1k
Wの高周波電源を用い上にSi-C-O下地層を200Å
成膜した。この下地層上にCoを酸素雰囲気中で0.1
5μm斜め蒸着し、その後(CH3O)3Si-O-Si
(OCH33:20ml/min、O2:40ml/m
in、H2:20ml/min、He:80ml/mi
nに成膜用ガスを制御し13.56MHz、1kWの高
周波電源を用い磁性膜上にSi-C-O保護膜を200Å
成膜した。
【0130】実施例54 厚さ4μmのPENフィルム上に(CH3O)3Si-O-
Si(OCH33:20ml/min、O2:40ml
/min、H2:20ml/min、He:80ml/
minに成膜用ガスを制御し13.56MHz、1kW
の高周波電源を用い上にSi-C-O下地層を200Å成
膜した。この下地層上にCoを酸素雰囲気中で0.15
μm斜め蒸着し、その後(CH3O)3Si-O-Si(O
CH33:20ml/min、O2:40ml/mi
n、H2:20ml/min、He:80ml/min
に成膜用ガスを制御し13.56MHz、1kWの高周
波電源を用い磁性膜上にSi-C-O保護膜を200Å成
膜した。
【0131】実施例55 厚さ4μmのアラミドフィルム上に(CH3O)3Si-
O-Si(OCH33:20ml/min、O2:40m
l/min、H2:20ml/min、He:80ml
/minに成膜用ガスを制御し13.56MHz、1k
Wの高周波電源を用い上にSi-C-O下地層を200Å
成膜した。この下地層上にCoを酸素雰囲気中で0.1
5μm斜め蒸着し、その後(CH3O)3Si-O-Si
(OCH33:20ml/min、O2:40ml/m
in、H2:20ml/min、He:80ml/mi
nに成膜用ガスを制御し13.56MHz、1kWの高
周波電源を用い磁性膜上にSi-C-O保護膜を200Å
成膜した。
【0132】実施例46〜55で成膜したSi-C-O、
Si-N-O、Si-B-O保護膜およびSi-C-O下地層
の組成をX線光電子分光分析法により測定した結果を下
記の表6に要約して示す。
【0133】
【表6】
【0134】表6に示された結果から明かな様に、元素
組成比は全てSi:M(C、B、N):O=1:0.0
5〜0.5:1.60〜2.0の範囲にある事が判る。
【0135】比較例9 厚さ4μmのPENフィルム上にCoを酸素雰囲気中で
0.15μm斜め蒸着した。保護膜は成膜しなかった。
【0136】実施例49、実施例54および比較例9で
得られた試料を60℃、90%R.H.の環境に放置し、
飽和磁化の変化を測定した。結果を下記の表7に要約し
てに示す。
【0137】
【表7】
【0138】表7に示された結果から、保護膜の無い比
較例9に比べ、Si-C-O保護膜を設けた実施例49で
飽和磁化の減少が抑えられ、下地層と保護膜を設けた実
施例54に於いて最も飽和磁化の減少が小さい事が判
る。
【0139】実施例56 実施例46〜55において得られた試料を、実施例1で
得られた常温で固体の化合物の0.2wt%n−ヘキサ
ン溶液中に30秒間浸漬した後引き上げ8mm幅に裁断
しスチル耐久性を調べた。スチル条件はテープ張力1
2.5gf/cm、テープ巻き付け角220度、相対速
度11.3m/sで常温常湿下の雰囲気中で行った。ス
チル試験中にシリンダ負荷にも着目し、負荷をモータの
電圧値(mV単位)により測定した。
【0140】比較例10 厚さ4μmのPENフィルム上にCoを酸素雰囲気中で
0.15μm斜め蒸着した。その後保護膜を成膜する事
なく、試料をパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤で
あるFomblin-Z-DOLの0.2wt.%パーフル
オロオクタン溶液中に30秒間浸漬後引き上げ実施例5
6と同様の条件でスチル試験を行った。
【0141】比較例11 厚さ4μmのPENフィルム上にCoを酸素雰囲気中で
0.15μm斜め蒸着し、その後(CH3O)3Si-O-
Si(OCH33:20ml/min、O2:40ml
/min、H2:20ml/min、He:80ml/
minに成膜用ガスを制御し13.56MHz、1kW
の高周波電源を用い磁性膜上にSi-C-O保護膜を20
0Å成膜した。試料をパーフルオロポリエーテル系液体
潤滑剤であるFomblin-Z-DOLの0.2wt.%
パーフルオロオクタン溶液中に30秒間浸漬後引き上げ
実施例56と同様の条件でスチル試験を行った。
【0142】スチル試験結果を下記の表8に示す。スチ
ル寿命は再生出力が初期値から半減するまでの時間
(分)である。表8に示された結果から判る様に、本実
施例の試料は240分以上のスチル耐久性を示し、また
従来のパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤(比較例
10)に比べシリンダ負荷が約25%減少している。
【0143】
【表8】
【0144】実施例57 厚さ4μmのPENフィルム上に(CH3O)3Si-O-
Si(OCH33:20ml/min、O2:40ml
/min、H2:20ml/min、He:80ml/
minに成膜用ガスを制御し13.56MHz、1kW
の高周波電源を用いSi-C-O下地層を200Å成膜し
た。この下地層上にCoを酸素雰囲気中で0.15μm
斜め蒸着し、その後(CH3O)3Si-O-Si(OCH
33:20ml/min、O2:40ml/min、
2:20ml/min、He:80ml/minに成
膜用ガスを制御し13.56MHz、1kWの高周波電
源を用い磁性膜上にSi-C-O保護膜を200Å成膜し
た。その後試料を、実施例1で得られた常温で固体の化
合物の0.2wt.%n−ヘキサン溶液中に30秒間浸漬
した後引き上げ乾燥し保護膜上に存在する潤滑剤量をX
線光電子分光分析法(XPS)で求めた。次に試料を真
空槽内に保持し減圧後、真空槽内に取り付けた低圧水銀
ランプにより波長185nmの紫外線(UV)を10秒
〜10分間照射した。紫外線照射後試料をn−ヘキサン
中で10秒間超音波洗浄し、保護膜表面に残存する潤滑
剤量をXPSで求めた。XPSはPerkin-Elmer社製の5
500−MCを用いて測定した。潤滑剤量をXPSによ
るフッ素(F)の1sピーク強度で表した。結果を下記
の表9に示す。
【0145】
【表9】 ※F1s(UV)/F1s(Initial)はUV照射後洗浄した試料のF1sの強度対 潤滑剤浸漬塗布後の試料のF1s強度の比を表す。
【0146】実施例58 実施例57で得られた試料を8mm幅に裁断しスチル耐
久性を調べた。スチル条件はテープ張力12.5gf/
cm、テープ巻き付け角220度、相対速度11.3m
/sで常温常湿下の雰囲気中で行った。スチル試験中に
シリンダ負荷にも着目し、負荷をモータの電圧値(mV
単位)により測定した。結果を下記の表10に示す。紫
外線照射により表9に於いてF1s(UV)/F1s(Initial)の値
が0.05〜0.65の試料は4時間以上のスチル耐久性
を示し、またスチル時のシリンダ負荷が紫外線未照射の
試料に比べて低下している事が判る。しかし紫外線を1
0分間照射した試料では表9よりF1s(UV)/F1s(Initial)
の値が0.65を越え、フリーな潤滑剤成分が不足して
スチス寿命が低下している。
【0147】
【表10】
【0148】実施例59 厚さ4μmの平滑性の異なるPENフィルム上にCoを
酸素雰囲気中で0.15μm斜め蒸着し、その後(CH
3O)3Si-O-Si(OCH33:20ml/min、
2:40ml/min、H2:20ml/min、H
e:80ml/minに成膜用ガスを制御し13.56
MHz、1kWの高周波電源を用い磁性膜上にSi-C-
O保護膜を200Å成膜した。その後試料を実施例1で
得られた化合物の0.2wt%n−ヘキサン溶液中に3
0秒間浸漬した後引き上げ乾燥した。試料を60℃、9
0%R.H.の環境に14日放置し飽和磁化の変化を測定
した。また潤滑剤塗布後の試料を8mm幅に裁断し、テ
ープ張力12.5gf/cm、テープ巻き付け角220
度の条件でシリンダに巻き付け常温常湿下、シリンダへ
の貼り付き状態を調べた。結果を下記の表11に示す。
平滑性の高いベースを使用した場合には飽和磁化の低下
が小さく耐食性が向上する事が判る。また平滑性の高い
ベースを使用してもシリンダへの貼り付きを生じない事
が判る。
【0149】
【表11】
【0150】比較例12 実施例59で使用した厚さ4μmの平滑性の異なるPE
Nフィルム上にCoを酸素雰囲気中で0.15μm斜め
蒸着し、その後(CH3O)3Si-O-Si(OC
33:20ml/min、O2:40ml/min、
2:20ml/min、He:80ml/minに成
膜用ガスを制御し13.56MHz、1kWの高周波電
源を用い磁性膜上にSi-C-O保護膜を200Å成膜し
た。その後試料をパーフルオロポリエーテル系の液体潤
滑剤であるFomblin-Z-DOLの0.2wt.%パ
ーフルオロオクタン溶液中に30秒間浸漬した後引き上
げ乾燥した。試料を8mm幅に裁断し、テープ張力1
2.5gf/cm、テープ巻き付け角220度の条件で
シリンダに巻き付け常温常湿下、シリンダへの貼り付き
状態を調べた。その結果、全ての場合にシリンダへの貼
り付きが生じた。
【0151】
【発明の効果】以上説明した様に本発明によるトリブロ
ック化合物は潤滑剤として極めて有用であり、平滑化が
進む将来の磁気記録媒体に於いても摺動する磁気ヘッド
間に張り付き現象を生じさせず、起動不良や摺動時に偶
発的に摩擦力が急増する問題が回避され、安定した摺動
特性が得られる。さらに本発明による潤滑剤は安価な汎
用溶媒に溶解するため、これまでのフッ素系液体潤滑剤
用のフッ素系溶媒に比べ塗布時のコストが大幅に削減で
きる。
【0152】また、本発明では、磁気記録媒体は基体上
にプラズマCVD法によりSi-M-O(M:C、B、
N)下地層を設けこの上に薄膜磁性層さらに磁性層上に
プラズマCVD法によりSi-M-O(M:C、B、N)
保護層を成膜し、潤滑剤として本発明の化合物を使用し
た事により耐食性と耐久性が改善される。潤滑剤塗布後
に紫外線照射処理を行う事により保護膜表面に化学結合
した潤滑剤成分を適切な範囲に制御でき、耐久性をより
高める事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例の断面図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の別の例の断面図であ
る。
【図3】本発明の磁気記録媒体の更に別の例の断面図で
ある。
【図4】本発明の磁気記録媒体の更に他の例の断面図で
ある。
【図5】本発明の磁気記録媒体の更に他の例の断面図で
ある。
【図6】実施例9で得られた化合物のIRスペクトルを
示す波形図である。
【符号の説明】
1 非磁性基体 2 磁性層 3 潤滑層 4 Si−M−O膜 5 バックコート層 6 下地層
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 271/12 9451−4H C07C 271/12 275/14 9451−4H 275/14 C10M 105/26 C10M 105/26 105/54 105/54 105/68 105/68 G11B 5/71 G11B 5/71 // C10N 30:00 30:06 40:18 50:02 (72)発明者 宮田 一司 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 水村 哲夫 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1)で示される化合物。 R1−Z1−R3−Z2−R2 (1) (式中、R1及びR2は同一であるか又は異なり、C4
    34の直鎖状、分岐状、又は環状の飽和炭化水素或いは
    不飽和炭化水素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリア
    ミド及びポリカーボネート基からなる群から選択され,
    1及びZ2は同一であるか又は異なり、アミド結合、エ
    ーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合及びカルボン酸
    とアミンとの反応により生成するアミン塩結合からなる
    群から選択され、R3は(CH2x(CF2y(CH2
    Z基であり、x及びzは同一又は異なり、1〜4の範囲
    内の整数であり、yは4〜34の範囲内の整数であ
    る。)
  2. 【請求項2】 下記の一般式(1)で示される化合物か
    らなる潤滑剤。 R1−Z1−R3−Z2−R2 (1) (式中、R1及びR2は同一であるか又は異なり、C4
    34の直鎖状、分岐状、又は環状の飽和炭化水素或いは
    不飽和炭化水素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリア
    ミド及びポリカーボネート基からなる群から選択され,
    1及びZ2は同一であるか又は異なり、アミド結合、エ
    ーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合及びカルボン酸
    とアミンとの反応により生成するアミン塩結合からなる
    群から選択され、R3は(CH2x(CF2y(CH2
    Z基であり、x及びzは同一又は異なり、1〜4の範囲
    内の整数であり、yは4〜34の範囲内の整数であ
    る。)
  3. 【請求項3】 非磁性基体と、この基体の一方の面に設
    けられた磁性層とからなる磁気記録媒体において、前記
    磁性層の上面における保護層として、前記非磁性基体と
    磁性層との界面における中間層として及び/又は前記非
    磁性基体の前記磁性層の形成されている面と反対側の面
    におけるバックコート層として使用される、SiMwv
    (但し、MはC、N及びBからなる群から選択される少
    なくとも1種以上の元素であり、wは0.05〜0.5
    の範囲内であり、vは1.6〜2.0の範囲内である)
    からなる膜。
  4. 【請求項4】 前記SiMwv(但し、MはC、N及び
    Bからなる群から選択される少なくとも1種以上の元素
    であり、wは0.05〜0.5の範囲内であり、vは
    1.6〜2.0の範囲内である)からなる膜が磁性層上
    面の保護層として使用される場合、その膜厚は50〜3
    00Åの範囲内であり、非磁性基体と磁性層との界面に
    おいて中間層として使用される場合、その膜厚は50〜
    1000Åであり、前記非磁性基体の前記磁性層の形成
    されている面と反対側の面におけるバックコート層とし
    て使用される場合、その膜厚は50〜1000Åの範囲
    内である請求項3の膜。 【請求項4】 前記SiMwOv(但し、MはC、N及び
    Bからなる群から選択される少なくとも1種以上の元素
    であり、wは0.05〜0.5の範囲内であり、vは
    1.6〜2.0の範囲内である)からなる膜が磁性層上
    面の保護層として使用される場合、その膜厚は50〜3
    00Åの範囲内であり、非磁性基体と磁性層との界面に
    おいて中間層として使用される場合、その膜厚は50〜
    1000Åであり、前記非磁性基体の前記磁性層の形成
    されている面と反対側の面におけるバックコート層とし
    て使用される場合、その膜厚は50〜1000Åの範囲
    内である請求項3の膜。 【請求項4】 前記SiMwOv(但し、MはC、N及び
    Bからなる群から選択される少なくとも1種以上の元素
    であり、wは0.05〜0.5の範囲内であり、vは
    1.6〜2.0の範囲内である)からなる膜が磁性層上
    面の保護層として使用される場合、その膜厚は50〜3
    00Åの範囲内であり、非磁性基体と磁性層との界面に
    おいて中間層として使用される場合、その膜厚は50〜
    1000Åであり、前記非磁性基体の前記磁性層の形成
    されている面と反対側の面におけるバックコート層とし
    て使用される場合、その膜厚は50〜1000Åの範囲
    内である請求項3の膜。
  5. 【請求項5】 非磁性基体と、この基体の一方或いは両
    方の面に設けられた磁性層とからなる磁気記録媒体にお
    いて、前記磁性層の上面或いは内部に下記の一般式
    (1)で示される化合物、 R1−Z1−R3−Z2−R2 (1) (式中、R1及びR2は同一であるか又は異なり、C4〜
    C34の直鎖状、分岐状、又は環状の飽和炭化水素或いは
    不飽和炭化水素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリア
    ミド及びポリカーボネート基からなる群から選択され,
    Z1及びZ2は同一であるか又は異なり、アミド結合、エ
    ーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合及びカルボン酸
    とアミンとの反応により生成するアミン塩結合からなる
    群から選択され、R3は(CH2)x(CF2)y(CH2)
    Z基であり、x及びzは同一又は異なり、1〜4の範囲
    内の整数であり、yは4〜34の範囲内の整数であ
    る。)からなる潤滑剤層が設けられていることを特徴と
    する磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 非磁性基体と、この基体の一方の面に設
    けられた磁性層とからなる磁気記録媒体において、前記
    磁性層の上面にSiMwOv(但し、MはC、N及びBか
    らなる群から選択される少なくとも1種以上の元素であ
    り、wは0.05〜0.5の範囲内であり、vは1.6
    〜2.0の範囲内である)からなる、厚さが50〜30
    0Åの範囲内の保護膜を有し、該保護膜上に、下記の一
    般式(1)で示される化合物、 R1−Z1−R3−Z2−R2 (1) (式中、R1及びR2は同一であるか又は異なり、C4〜
    C34の直鎖状、分岐状、又は環状の飽和炭化水素或いは
    不飽和炭化水素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリア
    ミド及びポリカーボネート基からなる群から選択され,
    Z1及びZ2は同一であるか又は異なり、アミド結合、エ
    ーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合及びカルボン酸
    とアミンとの反応により生成するアミン塩結合からなる
    群から選択され、R3は(CH2)x(CF2)y(CH2)
    Z基であり、x及びzは同一又は異なり、1〜4の範囲
    内の整数であり、yは4〜34の範囲内の整数であ
    る。)からなる潤滑剤層が設けられていることを特徴と
    する磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 非磁性基体と磁性層との界面にSiMw
    Ov(但し、MはC、N及びBからなる群から選択され
    る少なくとも1種以上の元素であり、wは0.05〜
    0.5の範囲内であり、vは1.6〜2.0の範囲内で
    ある)からなる、厚さが50〜1000Åの範囲内の中
    間層を更に有する請求項6の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 非磁性基体の磁性層の形成されている面
    と反対側の面にSiMwOv(但し、MはC、N及びBか
    らなる群から選択される少なくとも1種以上の元素であ
    り、wは0.05〜0.5の範囲内であり、vは1.6
    〜2.0の範囲内である)からなる、厚さが50〜10
    00Åの範囲内のバックコート層を更に有する請求項6
    の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 非磁性基体が厚さ6.5μm未満のポリ
    エチレンナフタレート、PEN及びアラミドからなる群
    から選択される合成樹脂フィルムである請求項5〜8の
    磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 合成樹脂フィルムの表面粗さがRaで
    0.5〜1.5nmの範囲内であり、Rzで3.0〜1
    2.0nmの範囲内である請求項9の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 下記の一般式(1)で示される化合
    物、 R1−Z1−R3−Z2−R2 (1) (式中、R1及びR2は同一であるか又は異なり、C4〜
    C34の直鎖状、分岐状、又は環状の飽和炭化水素或いは
    不飽和炭化水素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリア
    ミド又はポリカーボネート基からなる群から選択され,
    Z1及びZ2は同一であるか又は異なり、アミド結合、エ
    ーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合及びカルボン酸
    とアミンとの反応により生成するアミン塩結合からなる
    群から選択され、R3は(CH2)x(CF2)y(CH2)
    Z基であり、x及びzは同一又は異なり、1〜4の範囲
    内の整数であり、yは4〜34の範囲内の整数であ
    る。)を非フッ素系溶媒に溶解させることにより潤滑剤
    溶液を調製し、この潤滑剤溶液を磁気記録媒体最上面の
    SiMwOv(但し、MはC、N及びBからなる群から選
    択される少なくとも1種以上の元素であり、wは0.0
    5〜0.5の範囲内であり、vは1.6〜2.0の範囲
    内である)からなる保護膜、カーボン保護膜、ZrOr
    保護膜又はSiOr保護膜(但し、前記Orにおけるrは
    1.6〜2.0の範囲内の値である)の表面に塗布し、
    その後、該潤滑剤溶液塗布面に波長100nm〜190
    nmの範囲内の波長の紫外線を不活性雰囲気中で照射す
    ることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 非フッ素系溶媒はn−ヘキサン、n−
    ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、
    ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチ
    ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノー
    ル、エタノール、イソプロパノールジエチルエーテル、
    シクロヘキサノン又はテトラヒドロフランである請求項
    11の方法。
  13. 【請求項13】 非フッ素系溶媒はn−ヘキサンである
    請求項12の方法。
  14. 【請求項14】 保護膜表面に潤滑剤溶液を塗布した
    後、磁気記録媒体を50〜100℃の範囲内の温度で加
    熱処理した後に、該潤滑剤溶液塗布面に波長100nm
    〜190nmの範囲内の波長の紫外線を不活性雰囲気中
    で照射することを特徴とする請求項11の磁気記録媒体
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 磁性層の上面又は磁性層上の保護層の
    上面に下記の一般式(1)で示される化合物、 R1−Z1−R3−Z2−R2 (1) (式中、R1及びR2は同一であるか又は異なり、C4〜
    C34の直鎖状、分岐状、又は環状の飽和炭化水素或いは
    不飽和炭化水素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリア
    ミド及びポリカーボネート基からなる群から選択され,
    Z1及びZ2は同一であるか又は異なり、アミド結合、エ
    ーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合及びカルボン酸
    とアミンとの反応により生成するアミン塩結合からなる
    群から選択され、R3は(CH2)x(CF2)y(CH2)
    Z基であり、x及びzは同一又は異なり、1〜4の範囲
    内の整数であり、yは4〜34の範囲内の整数であ
    る。)からなる潤滑剤層を有する磁気記録媒体におい
    て、磁気記録媒体表面の被紫外線照射潤滑剤層を非フッ
    素系溶媒中で超音波洗浄した際、洗浄前後のフッ素信号
    をXPS(X線光電子分光分析法)で測定して、洗浄後
    のフッ素強度対洗浄前のフッ素強度の比が0.05〜
    0.65の範囲内であることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  16. 【請求項16】 非フッ素系溶媒はn−ヘキサン、n−
    ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、
    ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチ
    ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノー
    ル、エタノール、イソプロパノールジエチルエーテル、
    シクロヘキサノン又はテトラヒドロフランである請求項
    15の磁気記録媒体。
  17. 【請求項17】 非フッ素系溶媒はn−ヘキサンである
    請求項15の磁気記録媒体。
  18. 【請求項18】 非磁性基体と、この基体の一方の面に
    設けられた磁性層とからなる磁気記録媒体において、前
    記磁性層の上面における保護層として、前記非磁性基体
    と磁性層との界面における中間層として及び/又は前記
    非磁性基体の前記磁性層の形成されている面と反対側の
    面におけるバックコート層として使用される、SiMw
    Ov(但し、MはC、N及びBからなる群から選択され
    る少なくとも1種以上の元素であり、wは0.05〜
    0.5の範囲内であり、vは1.6〜2.0の範囲内で
    ある)からなるSi−M−O膜をプラズマCVD法によ
    り成膜することを特徴とするSi−M−O膜の製造方
    法。
JP7346020A 1994-12-14 1995-12-11 トリブロック化合物、潤滑剤及び磁気記録媒体 Pending JPH08231455A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1998017617A1 (fr) * 1996-10-17 1998-04-30 Hitachi, Ltd. Compose fluore, lubrifiant, modificateur de surface, film lubrifiant, support d'enregistrement magnetique et dispositif d'enregistrement magnetique
JP2010250929A (ja) * 2009-03-27 2010-11-04 Wd Media Singapore Pte Ltd 磁気ディスク用潤滑剤化合物、磁気ディスク及びその製造方法

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