JPH08231257A - 複合無機質板 - Google Patents

複合無機質板

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JPH08231257A
JPH08231257A JP3721395A JP3721395A JPH08231257A JP H08231257 A JPH08231257 A JP H08231257A JP 3721395 A JP3721395 A JP 3721395A JP 3721395 A JP3721395 A JP 3721395A JP H08231257 A JPH08231257 A JP H08231257A
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JP
Japan
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paper
composite inorganic
chip
inorganic plate
paper chip
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Application number
JP3721395A
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English (en)
Inventor
Norifumi Nagata
憲史 永田
Shinkichi Tanabe
進吉 田辺
Yoshikazu Nakakuki
義和 中茎
Tadanori Miyaji
貞憲 宮路
Kenta Masuda
賢太 増田
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Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Chichibu Onoda Cement Corp
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Publication date
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    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/91Use of waste materials as fillers for mortars or concrete

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 無機質結合材にフィラー材を配合してなる複
合無機質板において、該フィラー材には、紙チップが必
須成分として配合されていることを特徴とする、複合無
機質板。 【効果】 本発明の複合無機質板は、曲げ強度およびネ
ジ・釘引き抜き抵抗力が大幅に改善されている。また、
紙チップの配合により、混合時の混練水の配合量を大幅
に少なくできるため、複合無機質板の不要な軽量化が抑
制され、それに伴う強度低下を未然に防止できる。さら
に、水の配合が少ないことは、その後の乾燥工程におけ
るエネルギーも少なくてすみ、経済的効果を高めてい
る。さらにまた、昨今問題となっている故紙も有効利用
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙チップを配合した複
合無機質板に関するものである。さらに詳しくは本発明
は、曲げ強度およびネジ・釘引き抜き抵抗力が著しく優
れた複合無機質に関するものである。
【0002】
【従来の技術および課題】近年、建築物の多様化によ
り、建材に対しても様々な性能を改善することが求めら
れている。とくに板状建材では、曲げ強度およびネジ・
釘引き抜き抵抗力の改善に対する要望が強く、そのた
め、例えば石膏板やセメント板のような無機質板に、繊
維材料を配合することが知られている。その繊維材料と
しては、繊維化したパルプが代表的である。
【0003】無機質板に繊維化したパルプを配合して複
合化するには、例えば、パルプ原料をハンマーミルなど
の衝撃型粉砕機、あるいはパルパーなどの湿式解繊機等
を用いて繊維化し、これを無機質板の結合材のマトリッ
クス中に分散させることにより行われている。この方法
は、無機質板の補強には有効である。しかしながら、実
際の製造工程において、解繊された繊維は非常にかさ高
となり、このようなかさ高な繊維と無機質板の結合材、
例えば水和硬化性の粉体とを、水と共に混練しようとし
ても、均一な混合物を効率よく得るには技術的に困難で
ある。従来技術における繊維化したパルプは、通常、長
さが約0.1〜3mm、幅が約10〜100μmの微細
繊維であり、このような繊維は、原材料の混合時にスラ
リー中で互いに絡まり合い、スラリーの流動性を著しく
低下させる。従って、このような湿式の製造工程を経て
得られた板状建材には、通常、約0.1〜2%、多くと
も3%程度の繊維しか配合できない。この程度の繊維の
配合割合では、得られる無機質板の特性、とくに、曲げ
強度、ネジ・釘引き抜き抵抗力等の特性は期待されるほ
ど改善されるに至らず、むしろ製造時に生じる材料の分
離などによって、繊維を配合してもかえってこの特性が
損なわれる場合もあった。
【0004】一方で、無機質板に大量の繊維を配合する
ことを望むならば、繊維配合の増加に伴うスラリーの粘
度上昇を緩和するために、混練水の配合量を著しく増量
させることで一応製造は可能であるが、この場合は、得
られる無機質板の比重の低下に伴う強度低下が生じ、目
的とする強度の改善は達成されない。また、軽量化に伴
うネジ・釘引き抜き抵抗力の低下も明白である。さらに
混練水の増大は、反応余剰水が増加するため、これに伴
い無機質板の乾燥エネルギーの増大も招くことにもな
る。
【0005】以上の点から、繊維化したパルプと無機質
板とを複合化する方法には、多くの問題点があり、無機
質板の曲げ強度や、ネジ・釘引き抜き抵抗力など、各種
性能の有効な改善策とはなり得なかった。
【0006】一方、現在わが国では情報化社会を迎え、
情報伝達の媒体となる新聞、雑誌および広告などの出版
量はますます増加しつつある。また、各企業におけるO
A化の進展とともに、オフィスで発生する書類は膨大な
量になってきている。このような背景において、情報の
伝達を終え、用済みとなった新聞故紙、OA故紙などが
大量に発生するようになるに至り、これらの有効利用に
関する技術の開発が強く望まれるようになってきてい
る。
【0007】また、環境保全に対しても人々の関心が高
まってきており、リサイクルへの取り組みは、各種産業
においても本格化しつつある。建材業界でも環境問題に
積極的に取り組んでおり、例えば、石膏ボード工業にお
いては、建築現場から発生する端材、建造物の解体によ
る廃材および製造工場で発生するロス材についてリサイ
クルさせる動きが見られるようになってきた。例えば、
回収した石膏ボードの表面の装飾材の分離技術等が提案
されているが(特開平第6−142638号公報)、反
面、分離された装飾材(例えば紙)の処理方法が新たに
問題となっている。
【0008】これらの故紙の有効利用の一つの方法とし
ては、上記のように故紙を適当な手段により繊維化パル
プとし、建材に配合することである。しかし、前述のよ
うに、繊維と結合材との均一性が得られにくく、配合割
合も2〜3%が限度である等の点から、故紙の利用にあ
まり有効な方法とは言えない。
【0009】本発明は、上記のような従来の課題を解決
し、とくに曲げ強度およびネジ・釘引き抜き抵抗力に優
れた複合無機質板を提供することを目的とするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、故紙の有
効利用も鑑み、曲げ強度およびネジ・釘引き抜き抵抗力
が大幅に改善された複合無機質板を得るために鋭意検討
を重ねた結果、無機質結合材に紙チップを配合すること
により、板状建材として要求される曲げ強度やネジ・釘
引き抜き抵抗力を十分に満足する複合無機質板が得られ
ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち本発明は、無機質結合材にフィラ
ー材を配合してなる複合無機質板において、該フィラー
材には、紙チップが必須成分として配合されていること
を特徴とする、複合無機質板を提供するものである。
【0012】また本発明は、紙チップの配合割合が、無
機質結合材の重量に対して、0.2〜25重量%であ
る、前記の複合無機質板を提供するものである。
【0013】さらに本発明は、紙チップが、1mm×1mm
以上の大きさの平面部を有する、前記の複合無機質板を
提供するものである。
【0014】さらにまた本発明は、紙チップが、1〜1
0の長辺/短辺比を有する、前記の複合無機質板を提供
するものである。
【0015】以下、本発明をさらに詳細に説明する。 (無機質結合材)本発明で使用できる無機質結合材は、
紙チップを分散・保持できるマトリックスとなり得る無
機物であればとくに制限されないが、例えば水和硬化性
の石膏系、セメント系、スラグ石膏系、スラグセメント
系等、従来から用いられているものであることができ
る。例えば、水和硬化性の石膏としては、焼き石膏、α
型半水石膏、III型無水石膏およびII型無水石膏が挙げ
られる。これらは、水の存在下で水和反応によって二水
石膏に変化し硬化する石膏である。これらの石膏の水和
活性度はそれぞれ異なり、硬化速度も異なるため、使用
する製造プロセスでの混合時間、稼働速度などの条件に
応じて適宜選択して単体あるいは混合して使用する。ま
た、セメント系の無機質結合材としては、例えば普通ポ
ルトランドセメント、早強セメント、アルミナセメン
ト、ジェットセメント等のセメントが、スラグ石膏系、
スラグセメント系では、上記の石膏、セメントの他に、
高炉水砕スラグ、消石灰等が添加され使用される。これ
らの配合は公知の技術に基づいて実施することができ
る。またこれら無機質結合材は、適用する製造方法およ
び得られる複合無機質板に望まれる用途や性能を考慮し
て、適宜選択することができる。複数の材料を混合して
使用することも可能である。例えば、以下で述べるバッ
チ法、抄造法、連続流し込み成型法等、原料のスラリー
を流展してこれを硬化させることで複合無機質板を得る
には、水和硬化性の無機質結合材を用いるのがよい。ま
た、有機系の接着剤等を配合したプレス圧密などで複合
無機質板を得るには、非水和硬化性の無機質結合材、例
えば二水石膏などを用いることができる。
【0016】(紙チップ)本発明で使用できる紙チップ
の原料としては、例えば新聞紙、折り込み広告用紙、雑
誌・文庫等の書籍用紙、コピー用紙および複写紙等の一
般に流通する紙、またはこれらの廃棄物、さらに建材
(例えば板紙を用いた石膏ボード等)の端材、廃材およ
びロス材等から分離された紙を使用することができる。
また、段ボール紙、包装用紙および工作用紙、あるいは
これらの廃棄物も好ましく使用できる。さらに、上記各
種紙またはその廃棄物の他にも、それらの紙の製造途中
に発生するロス紙や切断くずなども使用できる。
【0017】ここで本発明において紙チップとは、得ら
れる複合無機質板の所望される物性が達成されるよう
に、上記のような紙質原料を適当なサイズにしたものと
いうことができる。紙チップのサイズは、目的とする複
合無機質板の強度や無機質結合材の種類等を考慮して適
宜選択されるものではあるが、例えば、1mm×1mm以上
の紙チップの平面部があることが望ましい。さらに好適
には、3mm×3mm〜10mm×10mmである。紙チップが
1mm×1mm以上の平面部を有することにより、無機質結
合材との混合時、原料スラリーの流動性の低下が抑制さ
れるという効果が奏される。また、上記のように平面部
のサイズを設定することにより、紙チップの比表面積が
繊維パルプ等に比較して小さくなり、これにより吸水性
が抑えられ、少量の混練水で高強度の複合無機質板を得
ることができる。一方で、紙チップのサイズの上限は、
目的とする複合無機質板の厚さや製造時の原料スラリー
の粘性に応じて、適宜選択して決定する必要があり、通
常、30mm〜50mm程度が限度である。
【0018】紙チップの厚さは、紙チップの層間での剥
離傾向に影響を及ぼす。従って、目的とする複合無機質
板が厚い場合は、紙も厚いものを用いるのがよい。また
薄い場合は、薄い紙を使用するなどの選択が好ましい。
具体的には、複合無機質板の厚さが20〜30mm程度の
厚い場合、紙チップの厚さは0.5〜2mm、また5〜2
0mm程度の薄い場合、紙チップの厚さは0.05〜0.5
mm程度が好ましい。
【0019】紙チップの形状は、とくに制限されない
が、例えば正方形、長方形、円形、三角形あるいは異形
なものであることができる。ただし、紙チップの縦と横
の比が極端に大きい場合、たとえば紐状のような形状で
は、スラリーの粘性を高める原因にもなるため好ましく
ない。ここで、紙チップは、その長辺/短辺比は1〜1
0、好ましくは1〜3であることが望ましい。この比が
10を超えると、原料スラリー中でチップ同士が絡み合
いやすくなり好ましくない。10以下であると、スラリ
ーの粘度の増加が抑制される。またこの比が10以下の
紙チップは、製造や搬送が容易となり好ましい。なお、
ここでいう長辺および短辺とは、紙チップの長さ方向お
よび幅方向とも言い換えることができる。
【0020】紙チップの製造方法はとくに制限されな
い。例えば、工業的手段としては、公知である乾式粉砕
法および湿式粉砕法等が挙げられる。この際、紙チップ
の大きさが均一になることが望ましく、そのために粉砕
機の稼働条件を適宜選択して設定するのがよい。例え
ば、乾式粉砕法では、粉砕機のスクリーン径を調整した
り、湿式粉砕法では、撹拌および粉砕時間を調節したり
する方法が挙げられる。紙チップの製造は、紙を適当な
手段により切断または粉砕する単純な工程だけでよいた
め、パルプおよび故紙の繊維化に比較してより少ないエ
ネルギー消費量で実施できる。
【0021】(配合割合)無機質結合材に対する紙チッ
プの配合割合は、目的とする複合無機質板のサイズや用
途等により適宜選択することができるが、例えば、複合
無機質板の曲げ強度およびネジ・釘引き抜き抵抗力を大
幅に改善するためには、無機質結合材に対して、紙チッ
プを0.2〜25重量%、好ましくは2〜10重量%、
さらに好ましくは5〜8重量%配合することが好まし
い。こうした目的に加えて、故紙の利用率を高めたい場
合には、前述した以上に紙チップを配合してもよい。な
お、紙チップは可燃物であるため、配合量に応じて複合
無機質板の防火性が低下するが、例えば通常は、不燃級
の実現には5重量%以下の紙チップの配合を、準不燃級
の実現には25重量%以下の配合を、また難燃級の実現
には50重量%以下程度の配合を目安とする。これらの
防火性は、JIS A1321およびA1322あるい
は建設省告示第1828および1231号にて決定され
るものである。
【0022】(その他のフィラー材)本発明の複合無機
質板には、所望の特性を改善するために、紙チップ以外
のフィラー材も配合することができる。例えば軽量化、
不燃化、高強度化等を望む場合には、無機質結合材およ
び紙チップからなる基本配合に加え、骨材、難燃材、バ
インダー等の各種副資材を配合することができる。具体
的には、おがくず、木質チップ、パーライト、ひる石、
でん粉、PVA、酸化でん粉等が挙げられる。また、従
来から行われている複合化手法であるパルプ繊維、ガラ
ス繊維あるいはロックウール等の各種繊維材料の配合
も、強度のさらなる改善あるいは防火性の改善を目的に
行うことができる。中でも好ましいその他のフィラー材
は、ガラス繊維のチョップドストランドである。これら
のその他のフィラー材の配合割合は、例えば無機質結合
材に対して、0.1〜3重量%程度がよい。さらに本発
明においては、所望により紙チップの表面処理、毛羽立
ち加工等を組み合わせることもできる。
【0023】(本発明の複合無機質板の製造)本発明の
複合無機質板の製造は任意であるが、代表的な製造方法
を以下に記す。バッチ法 :無機質結合材、紙チップ、水、必要に応じて
その他のフィラー材を均一に混練し、スラリー化し、こ
れを所望の形状の型枠に入れ硬化させる方法である。型
枠に入れた後に圧縮するプレス成型方法も利用できる。抄造法 :無機質結合材、紙チップ、水、必要に応じてそ
の他のフィラー材を均一に混練して得られたスラリー
を、メッシュドラムを備えたタンクに入れる。メッシュ
ドラムは、一般的には円筒形の本体上にワイヤーがネッ
ト状に設けられているものであり、適当な手段により本
体の筒内部の空気を吸引し、メッシュドラムの外面にス
ラリーを付着させ、これをエンドレスのフェルトベルト
に転移させ、これを巻取り、所定の厚さになったら切断
し、乾燥工程を経て複合無機質板を得るという方法であ
る。連続流し込み成型方法 :無機質結合材、紙チップ、水、
必要に応じてその他のフィラー材を撹拌装置を備えた容
器に入れ、スラリー化したものを、移動コンベア上に連
続的に流し出し、所望のサイズとした後、切断、乾燥工
程を経て複合無機質板を得るという方法である。振動締め固め成型方法 :無機質結合材、紙チップ、水、
必要に応じてその他のフィラー材を均一に混練し、スラ
リー化し、これを所望の形状の型枠に入れ、バイブレー
タ等の振動手段を用いて締め固め、硬化させる方法であ
る。この方法は、振動締め固めにより十分な流動現象が
得られ、緻密な複合無機質板が得られる。
【0024】なお、紙チップは、得られる複合無機質板
の厚さ方向に対して垂直な面と平行に配向していること
が望ましい。これにより曲げ強度やネジや釘の引き抜き
抵抗力が顕著に高まる。紙チップをこのように配向する
ためには、上記の抄造法や流し込み成型方法が有利であ
る。抄造法は、紙チップを配向させる傾向が高いため本
発明の実施には好ましい。しかし、紙チップのサイズが
大きすぎると、いずれの成型法においても複合無機質板
の厚さ方向と偶然的に垂直に並ぶ危険性があるので、上
記の紙チップのサイズの好適な範囲内において適宜選択
する必要がある。
【0025】このようにして得られる本発明の複合無機
質板の比重は、通常0.5〜1.6g/cm3、好ましくは
0.7〜1.5g/cm3がよい。
【0026】
【作用】本発明においては、無機質結合材に、フィラー
材の必須成分として紙チップを配合したため、その曲げ
強度およびネジ・釘引き抜き抵抗力が従来技術に比べて
飛躍的に向上するが、これは、以下の理由によるもので
あると考えられる。従来技術においては、フィラー材と
して繊維化したパルプを使用する例があるが、この方法
では、製造時の混練作業性が極端に悪化する。すなわ
ち、このような繊維材料は、比表面積が大きく、細かな
形状を有し、且つかさ高なため水を保持しやすく、原料
スラリーの粘度が極度に上昇する。従って、従来技術で
は、繊維材料を0.1〜2%程度、多くとも3%程度し
か配合できないため、複合板の曲げ強度およびネジ・釘
引き抜き抵抗力はさほど改善されなかった。これに対し
て本発明に用いられる紙チップは、従来の繊維材料に比
較して圧倒的に比表面積が小さく、吸水性が著しく低い
ため、原料スラリーの粘度の極端な上昇がみられず、無
機質結合材に対して十分な量の紙チップを少量の混練水
で配合でき、この結果、曲げ強度およびネジ・釘引き抜
き抵抗力が大幅に改善されることになる。また、混練水
が少量であるので、複合無機質板が軽量化することによ
る強度低下が防止され、同時に、多量の水の配合による
乾燥エネルギー増大を未然に防止できる点でも経済的効
果を発揮する。また、従来の繊維材料は、その微細さと
かさ高さのために、輸送コストの増大、あるいは計量時
の困難性があったが、本発明で用いる紙チップでは、こ
れらの問題が一掃された。さらに昨今問題となっている
故紙の有効利用の観点からは、故紙の配合を増量した建
材の出現が望まれていたが、従来技術では、その配合の
増量には限度があった。しかしながら本発明では、安価
に製造した紙チップを、必要に応じて大量に使用するこ
とができ、しかも様々な種類および流通形態、例えば完
全に分別されているもの、他の紙質と混合されているも
の、あるいは故紙以外の各種廃棄物を混入したもの等の
紙質が使用できるので、故紙の有効利用の観点からも優
れている。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により説
明するが、本発明はこれらの例によって限定されるもの
ではない。以下の実施例および比較例で示された各種特
性の測定方法を以下に記す。曲げ強度 :得られた複合無機質板の縦5cm×横20cm×
厚さ1cmの試験体を用意し、インストロン万能試験機を
用いて3点曲げにて載荷し、支点間距離15cm、載荷速
度2mm/分で測定した。釘の引き抜き抵抗力 :JIS Z2121「木材の釘引
き抜き抵抗試験方法」に準拠し、JIS A5508
「鉄丸くぎ」規定のN50釘を用いて評価した。ネジの引き抜き抵抗力 :JIS A5908「パーティ
クルボード」記載の方法に準拠し、JIS B1112
「十字穴付き木ネジ」規定のd=2.7mm、l=16mm
の木ネジを使用して評価した。スラリー流動性 :コンクリート用細骨材の表乾試験用コ
ーンに混合物スラリーを充填し、コーンを静かに引き抜
いた後のスラリーの広がり(フロー値)で判定した。
【0028】実施例1および2 無機質結合材として、焼き石膏(日本石膏ボード株式会
社製、標準混水量65%)を用い、紙チップとしては、
一般オフィスから廃棄された使用済みのPPC用紙を事
務用シュレッダー(株式会社明光商会製 4270M
U)に3回通して裁断し、8mmのふるいを通過した紙チ
ップを使用した。PPC用紙は繊維化されておらず、3
mmのふるい上が62%、1mmふるい上が96.5%であ
った。次に、表1に示される配合割合において、焼き石
膏および紙チップ合計1000gをポリ塩化ビニル製の
袋に入れ、乾式混合した。得られた混合物を、表1に示
される水(水道水)/石膏比においてハンドミキサーを
用いて60秒間撹拌し、これを型枠に流し込み、上部か
らアクリル板で押し拡げながら縦20cm×横20cm×厚
さ1cmに成型した。成型物は、流し込み後2時間室内養
生し、45℃で2日間乾燥して本発明の複合無機質板を
得た。各種特性を併せて表1に示す。
【0029】実施例3および4 紙チップとして、市販上質PPC用紙をカッターナイフ
で正確に2mm角および10mm角にそれぞれ切断したもの
を使用し、減水剤(株式会社花王製マイテイー150)
を焼き石膏に対して1重量%および酸化デンプンを0.
5重量%配合したこと以外は、実施例1を繰り返し、複
合無機質板を得た。なお、各原料の配合割合は、表1に
示されるように変更した。測定された各種特性も併せて
表1に示す。
【0030】実施例 5 パーティクルボード製造工程で廃棄されるおがくずと実
施例1に用いた紙チップとを1:1の重量比で併用し、
表1の配合割合において、実施例1を繰り返した。各種
特性の結果も併せて表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】実施例1〜5の結果から分かるように、本
発明の複合無機質板は、ネジ・釘の引き抜き抵抗力が非
常に優れている。また、混練水の配合割合が少量である
にもかかわらず、流動性の低下が少ない。さらに、おが
くずなどの他のフィラー材を併用しても、紙チップの補
強効果が発揮され、他のフィラー材の単独使用に比較し
て、曲げ強度およびネジ・釘引き抜き抵抗力に優れてい
る。
【0033】実施例6および7 無機質結合材として、早強ポルトランドセメント(秩父
小野田株式会社製)を用い、紙チップとして、一般オフ
ィスから廃棄されたPPC用紙をターボカッター(ター
ボ工業株式会社製、スクリーン径5mm)で乾式粉砕した
ものを使用した。PPC用紙は繊維化されておらず、2
mmのふるい上が39%、1mmふるい上が76%であっ
た。次に、表2に示される配合割合において、早強ポル
トランドセメントおよび紙チップ、さらに軽量化の目的
のためにパーライト合計1000gをポリ塩化ビニル製
の袋入れ、乾式混合した。得られた混合物を、表2に示
される水(水道水)/セメント比においてハンドミキサ
ーを用いて60秒間撹拌し、これを型枠に投入し、縦2
0cm×横20cm×厚さ1cmとなるように押え板で挟み込
みながら、バイブレータを用いて振動締め固め成型し
た。成型物は、流し込み後20℃で24時間湿空養生
し、60℃にて6時間蒸気養生後、14日間室内養生
し、45℃で2日間乾燥して本発明の複合無機質板を得
た。各種特性を併せて表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】表2の結果から分かるように、本実施例の
複合無機質板は、無機質結合材としてセメントを用いた
場合においても、ネジ・釘の引き抜き抵抗力が非常に優
れていた。また、混練水の配合割合が少ないにもかかわ
らず、流動性の低下は少なかった。
【0036】実施例8および9 無機質結合材として、実施例1と同様の焼き石膏を用
い、紙チップとして、一般家庭から回収された新聞故紙
を20mmのスクリーンを備えたハンマークラッシャーで
粉砕したものを用いた。この粉砕物は、破断面が繊維化
した紙チップであり、10mmふるい上が32%、5mmふ
るい上が93%であった。次に、表3に示される配合割
合において、焼き石膏および紙チップ合計1000gを
ポリ塩化ビニル製の袋に入れ、乾式混合した。得られた
混合物を、表3に示される水(水道水)/石膏比におい
てレーディゲミキサーを用いて60秒間混合し、これを
縦20cm×横20cm×厚さ1cmとなるように5分間圧縮
成型した。成型物は、圧縮成型後2時間室内養生し、4
5℃で2日間乾燥して本発明の複合無機質板を得た。
【0037】
【表3】
【0038】表3の結果から分かるように、本実施例の
複合無機質板の曲げ強度およびネジ・釘引き抜き抵抗力
共に優れていた。また、混練水の配合が少ないにもかか
わらず、圧縮成型時には水が速やかに材料内部に浸透し
た。さらに、最少量の混練水で成型できるため、圧縮時
に水が排出されることがなく、極めて簡便に複合無機質
板が得られた。
【0039】比較例 1 紙チップを用いずに実施例1を繰り返した。その結果、
表4にも示されるように、ネジ・釘引き抜き抵抗力に乏
しく、建材としての用途は限定されるものであった。
【0040】比較例 2〜4 フィラー材として紙チップは用いずに、表4に示される
配合割合において針葉樹パルプの湿式粉砕物を用いたこ
と以外は、実施例1を繰り返した。本比較例ではパルプ
が繊維化されており、これは水を極めて保持しやすいも
のであった。表4に示されるように、比較例2では、混
合物の流動性を確保するためにパルプ配合量を2%に抑
えたため、この程度の配合量では、複合無機質板のネジ
・釘引き抜き抵抗力はほとんど改善されなかった。比較
例3では、フィラー材を実施例3と同様に配合し、水を
少し増量したが、混合物の流動性が全く得られず、成型
前に硬化してしまい、複合無機質板は得られなかった。
さらに比較例4では、混合物の流動性を確保するために
水の配合量をさらに増量したが、この結果、得られた複
合無機質板は不必要な軽量化が起き、曲げ強度ならびに
ネジ・釘引き抜き抵抗力は実用的レベルに達していない
ことが分かる。
【0041】比較例 5 フィラー材としておがくずのみを用いたこと以外は、実
施例5とほぼ同様に複合無機質板を製造した。表4の結
果から分かるように、得られた複合無機質板のネジ・釘
引き抜き抵抗力はほとんど改善されていないと同時に、
混合物スラリーの流動性が低く好ましくない。
【0042】比較例 6 紙チップを用いないこと以外は、実施例6および7と同
様に複合無機質板を製造した。表4の結果から分かるよ
うに、得られた複合無機質板は、ネジ、釘共ともに打ち
込み時に割れてしまい、建材としての性能は十分でな
い。
【0043】比較例7および8 2mmのスクリーンを備えた奈良式粉砕機(奈良機械株式
会社製)を用いて新聞故紙を乾式粉砕し、得られた細か
い綿くず状繊維物をフィラー材とし、実施例8および9
と同様に複合無機質板を製造した。このフィラー材は水
を保持しやすいため、実施例8および9に比較して多量
に水を配合したにも係わらず、強度発現は十分ではな
く、且つ、釘の打ち込み時に割れが生ずる問題を有して
いた。
【0044】
【表4】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、無機質結合材にフィラ
ー材として紙チップを配合したため、得られる複合無機
質板の曲げ強度およびネジ・釘引き抜き抵抗力が大幅に
改善される。また、紙チップの配合により、混合時の混
練水の配合量を大幅に少なくできるため、複合無機質板
の不要な軽量化が抑制され、それに伴う強度低下を未然
に防止できる。さらに、水の配合が少ないことは、その
後の乾燥工程におけるエネルギーも少なくてすみ、経済
的効果を高めている。さらにまた、昨今問題となってい
る故紙の有効利用の観点からも、本発明の意義は大きい
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮路 貞憲 千葉県佐倉市大作二丁目4番2号 秩父小 野田株式会社中央研究所内 (72)発明者 増田 賢太 千葉県佐倉市大作二丁目4番2号 秩父小 野田株式会社中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機質結合材にフィラー材を配合してな
    る複合無機質板において、該フィラー材には、紙チップ
    が必須成分として配合されていることを特徴とする、複
    合無機質板。
  2. 【請求項2】 紙チップの配合割合が、無機質結合材の
    重量に対して、0.2〜25重量%である、請求項1に
    記載の複合無機質板。
  3. 【請求項3】 紙チップが、1mm×1mm以上の大きさの
    平面部を有する、請求項1または2に記載の複合無機質
    板。
  4. 【請求項4】 紙チップが、1〜10の長辺/短辺比を
    有する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の複合
    無機質板。
JP3721395A 1995-02-24 1995-02-24 複合無機質板 Pending JPH08231257A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000059842A1 (fr) * 1999-03-30 2000-10-12 Building Materials Technology Laboratories, K.K. Fabrication de plaques de platre et dispositif a cet effet
JP2004010402A (ja) * 2002-06-05 2004-01-15 A & A Material Corp 繊維含有石膏板及びその製造方法

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WO2000059842A1 (fr) * 1999-03-30 2000-10-12 Building Materials Technology Laboratories, K.K. Fabrication de plaques de platre et dispositif a cet effet
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