JPH1029844A - 無機硬化性組成物、無機質成形体およびその製造方法 - Google Patents
無機硬化性組成物、無機質成形体およびその製造方法Info
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- JPH1029844A JPH1029844A JP18613196A JP18613196A JPH1029844A JP H1029844 A JPH1029844 A JP H1029844A JP 18613196 A JP18613196 A JP 18613196A JP 18613196 A JP18613196 A JP 18613196A JP H1029844 A JPH1029844 A JP H1029844A
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Abstract
を用い、セメント成形体の機械的特性とともに表面平滑
性を改善する。 【解決手段】 セメントなどの無機硬化性物質と補強繊
維とで構成された硬化性組成物において、補強繊維とし
て、(A)平均繊維径0.01〜1μm、平均繊維長100〜1,0
00μmであり、かつ軸比(L/D)が2,000〜100,000の微
小フィブリル化セルロースと、(B1)平均繊維径5〜50
μm、平均繊維長1〜5mmの解繊パルプ繊維、および
(B2)平均繊維径5〜50μm、平均繊維長1〜10mmの有
機合成繊維又は無機繊維から選択された少くとも一種の
繊維(B)とを組合せて使用する。この組成物のスラリ
ーを抄造し、硬化させることにより無機質成形体(セメ
ント成形体)を得る。
Description
物、無機質成形体およびその製造方法に関する。
スラリーを抄造して成形した成形品は、石綿スレート、
硅酸カルシウム板、パルプセメント板、スラグ石膏板な
どの建築材料として古くから用いられている。これらの
成形品には、石綿スレートに代表されるように、多量の
石綿が含まれているのが通例である。この石綿は、抄造
工程や品質物性に重要な役割を果たしている。しかし、
公害問題と関連して、石綿(アスベスト)の使用につい
ては世界的に厳しい規制が実施され、石綿を使用してい
た分野においては、石綿の使用量の低減、究極的には無
石綿化が指向されている。石綿に代わる繊維として種々
の繊維、例えば、天然繊維について解繊パルプ(特開昭
59−131551号公報など)、合成繊維についてビ
ニロン繊維やポリプロピレン繊維(特開昭62−781
36号公報など)、無機質繊維について炭素繊維やガラ
ス繊維などが検討されている。また、最近では森林資源
の保護や資源のリサイクル化のため、解繊パルプとして
古紙パルプを使用する方法も検討されている。
々な繊維が検討されているが、繊維の種類に応じて、そ
れぞれ、一長一短がある。例えば、有機合成繊維を使用
する場合、添加量が少な過ぎると十分な補強効果を発揮
できず、多過ぎると、難燃性が低下するばかりか、繊維
自身の分散性の低下に伴って成形品が不均一になる。ま
た、セメント系の養生方法として、蒸気養生・オートク
レーブ養生を採用する製品では繊維自身の熱劣化が問題
となる。難燃性を解決する手段として、パルプ繊維又は
無機繊維を使用する方法が提案されているが、パルプ繊
維の添加量が少なすぎると十分な補強効果が発揮でき
ず、補強効果を発揮する程度の量で添加すると、難燃性
の低下に加えて、濾水性が低下し、抄造による生産性が
大きく低下する。また、無機繊維としてガラス繊維を用
いると、耐アルカリ性が問題となり、炭素繊維を用いる
と、濾水性が高過ぎるために均一な成形品が得られない
ばかりか、抄造時の粉粒体の漏れによる歩留まりが低下
する。また、一般に無機繊維を使用した場合は、繊維自
身の表面が滑らかであり、かつセメントとの密着性も小
さいため、成形品を破断した際に、いわゆる繊維の擦り
抜けが起こり、繊維自身の強度は強いものの、成形品と
して十分な強度が発現しない。
80425公報には、ビニロン繊維やポリアクリルニト
リル繊維の極細繊維と、通常の繊維とを組み合わせて使
用することが提案されている。この方法は、極細繊維の
良好な粉末捕捉性と通常繊維のセメントとの密着性とを
同時に合わせ持たせることができる。しかし、有機合成
繊維を使用すると、無機繊維ほどではないものの、繊維
の剛直性に起因して、プレス法などによる賦形時に凸凹
表面が生じる虞があり、成形体を精度よく成形すること
が困難である。
は、抄造性、補強性とともに表面平滑性の高い無機硬化
性組成物、無機質成形体およびその製造方法を提供する
ことにある。本発明の他の目的は、少量の添加により高
い補強性を付与し、機械的特性を改善できる無機硬化性
組成物、無機質成形体およびその製造方法を提供するこ
とにある。本発明のさらに他の目的は、濾水性および歩
留りが高く、抄造による生産性が高く、円滑に無機質成
形体を得ることができる無機硬化性組成物、無機質成形
体およびその製造方法を提供することにある。
を達成するため鋭意検討の結果、前記繊維と微小フィブ
リル化セルロース繊維とを組合せて使用すると、濾水
性、歩留りおよび賦形時の表面性を大きく改善できるこ
とを見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明の
無機硬化性組成物は、無機硬化性物質と補強繊維とで構
成された硬化性組成物であって、補強繊維が、(A)平
均繊維径0.01〜1μm、平均繊維長100〜100
0μmであり、かつ軸比(L/D)が2,000〜10
0,000の微小フィブリル化セルロースと、(B1)平
均繊維径5〜50μm、平均繊維長1〜5mmの解繊パ
ルプ繊維、および(B2)平均繊維径5〜50μm、平均
繊維長1〜10mmの有機合成繊維又は無機繊維から選
択された少くとも一種の繊維(B)とで構成されてい
る。この組成物において、補強繊維の割合は、固形分換
算で、硬化性組成物全体に対して1〜10重量%程度で
ある。また、(B1)成分に対する(A)成分の割合は、
(A)成分/(B1)成分=5〜80重量%程度の範囲か
ら選択でき、(B2)成分の割合は、補強繊維全体の0〜
20重量%程度の範囲から選択する場合が多い。
例えば、抄造体を得る上で有用である。本発明の方法で
は、前記無機硬化性組成物の水性スラリーを抄造し、無
機質成形体を製造する。この方法において、水性スラリ
ーを抄造し、無機質抄造体を硬化させて無機質成形体を
得てもよい。なお、本明細書において、セルロース繊維
の「平均繊維長」は、重さ加重平均繊維長を意味する。
する無機硬化性物質および補強繊維について詳細に説明
する。 [無機硬化性物質]無機硬化性物質には、セメント、例
えば、気硬性セメント(セッコウ、消石灰やドロマイト
プラスターなどの石灰);水硬性セメント(例えば、ポ
ルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、アル
ミナセメント、急硬高強度セメント、焼きセッコウなど
の自硬性セメント;石灰スラグセメント、高炉セメント
など;混合セメント)などが含まれる。好ましいセメン
トには、例えば、セッコウ、ドロマイトプラスターおよ
び水硬性セメントなどが含まれる。
の用途や強度などに応じて選択でき、例えば、固形分換
算で、無機硬化性組成物全体に対して30〜90重量
%、好ましくは40〜90重量%、さらに好ましくは5
0〜90重量%程度である。 [補強繊維]本発明の特色は、(A)微小フィブリル化
セルロース(以下、単に微小セルロース繊維という場合
がある)と、(B1)解繊パルプ繊維および(B2)有機合
成繊維又は無機繊維から選択された少くとも一種の繊維
(B)とを組合せて補強繊維を構成する点にある。 [微小フィブリル化セルロース(A)]微小セルロース
繊維(A)は、単に細かい繊維であるだけでなく、多数
の枝分かれ構造を有し、フィブリル化している。そのた
め、抄造において少量の添加量でも濾水性・歩留まりを
大幅に改善できる。特に耐火性を重要視する場合、有機
繊維は多量に配合できず、炭素繊維などの無機繊維を配
合すると、剛直で、表面が平滑であるため、濾水性が高
過ぎ、しばしば製品の品質に悪影響を及ぼす。このよう
な繊維系に、微小セルロース繊維を少量添加すると、濾
水性を改善できるとともに、物性を低下させることなく
抄造体を製造できる。また、微小セルロース繊維が互い
に絡み合うため、網目状構造を形成し、その結果として
微小粉末の白水への漏れが少なくなり歩留まりが向上す
るだけでなく、安定した品質の製品が製造可能となる。
は、例えば、0.01〜1μm(例えば、0.01〜
0.8μm)、好ましくは0.03〜0.5μm、さら
に好ましくは0.05〜0.3μm程度であり、平均繊
維径0.1〜0.3μm程度である場合が多い。また、
微状セルロース繊維の平均繊維長は、例えば、100〜
1000μm(例えば、100〜900μm)、好まし
くは200〜900μm、好ましくは300〜800μ
m程度であり、400〜600μm程度である場合が多
い。さらに、微小セルロース繊維の軸比(L/D)は、
例えば、2,000〜100,000、好ましくは5,
000〜80,000、さらに好ましくは10,000
〜70,000程度であり、25,000〜75,00
0程度である場合が多い。さらに、微小セルロース繊維
の比表面積は、例えば、100〜300m2 /g、好ま
しくは150〜250m2 /g程度である。
ては、例えば、パルプ(木材パルプ、竹パルプ、バガス
パルプ、リンターパルプなど)が使用でき、パルプは、
バージンパルプであってもよく、新聞紙などの古紙パル
プなどであってもよい。微小セルロース繊維の製造方法
は特に制限されない。微小セルロース繊維は、例えば、
高圧ホモジナイザーなどを用いて、高剪断力、高衝撃力
をセルロース繊維に作用させ、セルロースを高度に裂解
して、微細化するととも極度にミクロフィブリル化する
ことにより調製できる。このような微小セルロース繊維
は、例えば、ダイセル化学工業(株)から商品名「セリ
ッシュ」として入手できる。微小セルロース繊維の添加
量は、スラリー粘度,濾水性などを損なわない範囲で選
択でき、例えば、補強繊維全体の5〜50重量%、好ま
しくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜30
重量%程度である。
ース繊維の使用量は、例えば、無機硬化性組成物全体の
0.1〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%、さら
に好ましくは0.5〜1.5重量%程度である。さら
に、(B1)成分に対する(A)成分の割合は、例えば、
(A)成分/(B1)成分=5〜80重量%、好ましくは
10〜50重量%、さらに好ましくは10〜40重量%
(例えば、10〜30重量%)程度である。 [解繊パルプ繊維(B1)]解繊パルプ繊維(B1)、すな
わちパルプ繊維としては、叩解により得られる種々のパ
ルプ、例えば、木材パルプ、竹パルプ、バガスパルプ、
リンターパルプなどが使用でき、木材パルプは、メカニ
カルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプのい
ずれであってもよい。また、解繊パルプ繊維としては、
NUKP,NBKPなどのバージンパルプ、新聞紙、段
ボールなどの古紙パルプ、あるいはそれらの再生品など
を使用することができる。
される。解繊パルプ繊維(B1)の平均繊維径は、例え
ば、5〜50μm(例えば、10〜50μm)、好まし
くは10〜40μm,さらに好ましくは10〜30μm
程度であり、平均繊維長は、例えば、1〜5mm(例え
ば、2〜5mm)、好ましくは2〜4mm程度である。
パルプ繊維の添加量は、補強性などを損なわない範囲で
選択でき、例えば、補強繊維全体の20〜90重量%、
好ましくは30〜85重量%、さらに好ましくは50〜
80重量%程度である。無機硬化性組成物全体に対する
パルプ繊維の使用量は、例えば、無機硬化性組成物全体
の0.5〜10重量%、好ましくは1〜7重量%、さら
に好ましくは2〜5重量%程度である。
繊維は、成型品に耐衝撃性を付与したり成形品の難燃性
を向上させるため、有機合成繊維や無機繊維を含んでい
てもよい。有機繊維には、例えば、レーヨン繊維、アセ
テート繊維、オレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプ
ロピレンなど)、ポリアクリロニトリル繊維などのアク
リル系繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリウ
レタン繊維、ビニロン繊維(ポリビニルアルコール繊
維)、ポリ塩化ビニル繊維、フェノール繊維などが含ま
れる。無機繊維には、例えば、ガラス繊維、ロックウー
ル、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、金属繊
維などが例示できる。有機合成繊維又は無機繊維はそれ
ぞれ単独で又は二種以上混合して使用でき、有機合成繊
維と無機繊維とを組合せて使用してもよい。
として使用される。有機合成繊維及び無機繊維(B2)の
平均繊維径は、例えば、5〜50μm(例えば、10〜
50μm)、好ましくは10〜40μm,さらに好まし
くは10〜30μm程度であり、平均繊維長は、例え
ば、1〜10mm(例えば、2〜8mm)、好ましくは
2〜10mm(例えば、3〜6mm)、さらに好ましく
は3〜8mm(例えば、3〜6mm)程度である。繊維
(B2)の割合は、例えば、補強繊維全体の0〜20重量
%、好ましくは3〜15重量%、さらに好ましくは5〜
15重量%程度の範囲から選択できる。有機合成繊維及
び/又は無機繊維(B2)の割合が20重量%を越える
と、繊維の分散性が低下し、成形品の物性に悪影響を及
ぼすとともに、表面平滑性,地合が低下しやすい。
の使用量は、例えば、無機硬化性組成物全体の0.1〜
20重量%、好ましくは0.3〜15重量%、さらに好
ましくは0.5〜10重量%程度である。補強繊維は、
(A)微小フィブリル化セルロースと、(B1)解繊パル
プ繊維および(B2)繊維の少くともいずれか一方の繊維
(B)とで構成されていればよいが、(A)微小フィブリ
ル化セルロースと、(B1)解繊パルプ繊維と、(B2)有
機合成繊維及び/又は無機繊維とで構成する場合が多
い。前記微小セルロース繊維(A)と、解繊パルプ繊維
(B1)および繊維(B2)から選択された少くとも一種の
繊維(B)とで構成された補強繊維の割合は、固形分換
算で、硬化性組成物全体の1〜10重量%(例えば、1
〜7重量%)、好ましくは2〜5重量%、さらに好まし
くは3〜5重量%程度である。
系成形用組成物は、例えば、前記セメントと水とのペー
スト組成物(セメントペースト)として使用してもよ
く、セメントと水と骨材(例えば、砂、ケイ砂、パーラ
イト、バーミキュライトなどの細骨材や軽量骨材、砕
石、砂利などの粗骨材)を含むモルタル組成物やコンク
リート組成物として使用してもよい。無機硬化性組成物
には、抄造体の寸法安定性を向上させるため、マイカな
どの無機分散剤(充填剤)を添加してもよい。無機硬化
性組成物は、さらに必要に応じて、セメント混和剤を含
んでいてもよい。セメント混和剤には、例えば、水溶性
バインダー、減水剤や流動化剤、着色剤、硬化剤、塩化
カルシウムなどの硬化促進剤、ポリアクリルアミドなど
で構成された凝固剤、ポリビニルアルコール,ベントナ
イトなどの増粘剤、アルミニウム粉末などの発泡剤、合
成樹脂エマルジョンなどの防水剤、可塑剤などの種々の
添加剤を含んでいてもよい。
水溶性セルロース誘導体[セルロースエーテル(例え
ば、メチルセルロース、エチルセルロースなどのアルキ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキ
シエチルセルロースなどのカルボキシルアルキルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルア
ルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセ
ルロースなど)]、ポリビニルアルコールなどが例示さ
れ、前記減水剤や流動化剤としては、例えば、リグニン
スルホン酸塩、亜硫酸法パルプ廃液、オキシカルボン酸
塩、ナフタレンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩、
メラミンスルホン酸塩のホルマリン縮合物などのスルホ
ン酸塩(トリアジン系分散剤)、アビエチン酸などの松
やに成分のアルカリ金属塩などで構成された、減水剤、
AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤などが例
示できる。
と、(A)微小フィブリル化セルロースと、(B1)解繊
パルプ繊維および(B2)有機合成繊維又は無機繊維から
選択された少くとも一種の繊維(B)とで構成された補
強繊維とを、必要に応じて前記添加剤とともに混合する
ことにより調製できる。本発明の無機硬化性組成物は、
成形性が高いため、種々の成形法、例えば、流し込み、
抄造,吹き付け、プレスなどの種々の成形法で無機質成
形体(繊維強化セメント成形体)を得ることができる。
特に、無機硬化性組成物は抄造性に優れている。そのた
め、好ましい無機質成形体には、前記成分を含むスラリ
ーを、ハチェック(丸網)式やプレス式などの抄造法を
利用して抄造することにより得られる抄造体が含まれ
る。抄造体は、1枚の抄造シートであってもよく、複数
枚の抄造シートを積層した積層体であってもよい。
繊維とで構成された水硬化性組成物の水性スラリーを抄
造し、無機質成形体(繊維強化セメント成形体)を調製
する。その際、前記補強繊維として、(A)微小フィブ
リル化セルロースと、(B1)解繊パルプ繊維、および
(B2)有機合成繊維又は無機繊維から選択された少くと
も一種の繊維(B)とで構成された補強繊維を用いる。
このような抄造により高品質のコンクリート製品(セメ
ント成形体)を効率よく生産できる。前記スラリーの抄
造は慣用の方法、例えば、抄造機を用いる抄造法などに
より行うことができる。スラリー濃度は抄造性を損わな
い限り特に制限されず、例えば、0.1〜30重量%程
度であってもよい。抄造による成形体は表面平滑性が高
いとともに、前記(A)微小セルロース繊維と繊維(B)
とで補強されている。特に、(A)微小セルロース繊維
により、繊維間の絡み合いが強固であり、抄造体(成形
体)の機械的特性を改善できるとともに、濾水性のみな
らず粉粒体に対する高い捕捉能により歩留りを高めるこ
とができる。
体)は、1又は複数の抄造シートを積層し、必要に応じ
て加圧成形した後、硬化させることにより得る場合が多
い。繊維強化セメント成形体の硬化は、慣用の方法(例
えば、常温常圧養生、常圧蒸気養生,水中養生、オート
クレーブ養生など)で養生することにより行うことがで
きる。本発明の無機質成形体は、例えば、カーテンウォ
ール、壁材などのコンクリートパネル、コンクリートブ
ロックなどの製造に有用である。成形品は、形状などに
応じて種々の用途、例えば、床材、内装材、外装材、遮
音材などの建材用成形品として利用できる。
繊維と叩解セルロース繊維又は有機合成又は無機繊維と
の組合せにより構成されているため、抄造性、補強性と
ともに表面平滑性が高い。また、補強繊維の少量の添加
により高い補強性を付与でき、曲げ強度や衝撃強度の大
きな成形体を得ることができる。さらには、濾水性およ
び歩留りが高く、抄造による生産性を改善でき、円滑に
無機質成形体を得ることができる。
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1 石膏、スラグ、パーライト、ワラストナイト、ビニロン
繊維(平均繊維径15μm,平均繊維長6mm,クラレ
(株)製,ビニロンRM182−6)、消石灰、解砕パ
ルプ繊維[ミキサー解砕処理したNUKP繊維(重さ加
重平均繊維長2.76mm,平均繊維径15μm、軸比
約200]および微小セルロース繊維[NUKPを高圧
ホモジナイザーで処理した微小セルロース繊維(重さ加
重平均繊維長0.51mm,平均繊維径0.1μm、軸
比約5100)]を用い、表1に示される配合処方に従
って、1リットルのスラリー(固形分濃度2重量%)を
調製した。パルプ繊維1重量部に対する微小セルロース
繊維の割合は25重量%である。セルロース繊維の繊維
長は測定機(KAJAANI社製,型式FS-200)で測定し、重
さ加重平均繊維長を記載し、繊維径は、光学顕微鏡を用
いた観察結果に基づいて、最も代表的な値を記載した。
りを測定したところ、表1に示す結果が得られた。 濾水性:80メッショの金網を通過するスラリーの濾過
速度を基準とし、スラリー500mlを濾過するのに要
した時間を測定した。 歩留り:仕込んだ固形分量と、濾水性の測定の際に金網
上に残留した固形分の重量比とから算出した。 比較例1 微小セルロース繊維に代えて解砕セルロース繊維を用
い、セルロース繊維を解砕パルプ繊維で構成する以外、
実施例1と同様にして濾水性および歩留りを測定したと
ころ、表1に示す結果が得られた。
ルロース繊維を微小セルロース繊維で構成する以外、実
施例1と同様にして濾水性および歩留りを測定したとこ
ろ、表1に示す結果が得られた。
較例2では濾水性および歩留りを高いレベルでバランス
よく向上させることが困難であるのに対して、実施例1
では、濾水性および歩留りの双方を向上できる。 実施例2および比較例3 石膏、スラグ、パーライト、ワラストナイト、ビニロン
繊維(平均繊維径15μm,平均繊維長6mm,クラレ
(株)製,ビニロンRM182−6)、消石灰、解砕パ
ルプ繊維[解砕処理したNBKP繊維(重さ加重平均繊
維長3.05mm,平均繊維径15μm、軸比約20
0)]および微小セルロース繊維[新聞故紙を高圧ホモ
ジナイザーで処理して得られた微小セルロース繊維(重
さ加重平均繊維長0.72mm,平均繊維径0.2μ
m、軸比約3500)]を用い、表2に示される配合処
方に従って混合し、少量の凝集剤(市川毛織(株)製,
IKフロック)を添加しながら、スラリー混合物を丸網
抄造成形した後、60℃で1日蒸気養生し、60℃で1
日乾燥することにより無機質板を得た。なお、パルプ繊
維1重量部に対する微小セルロース繊維の割合は30重
量%である。
スラリーを抄造したところ、白水のスラリー濃度は1.
4重量%であり、歩留り90%で抄造できた。 比較例3 微小セルロース繊維に代えて解砕パルプ繊維を用い、セ
ルロース繊維を解砕パルプ繊維で構成する以外、実施例
2と同様にして無機質板を得た。得られた無機質板(抄
造板)について、曲げ強度、衝撃強度、表面平滑性(地
合)、難燃性を評価した。曲げ強度は、JIS A 1
408に準じて測定し、衝撃強度は、球形重り(直径3
cm、重さ300g)を高さ40cmと、高さ100c
mから落下させ、落下に伴って生成する窪みの直径を測
定することにより評価した。また、表面平滑性(地合)
は目視で判定し、難燃性はJIS A 1321に準じ
て測定した。結果を表2に示す。
め、実施例2および比較例3の難燃試験では大きな差が
認められなかったが、比較例3に比べて実施例2の抄造
板では、曲げ強度、衝撃強度、表面平滑性(地合)が大
きく改善されている。
Claims (12)
- 【請求項1】 無機硬化性物質と補強繊維とで構成され
た硬化性組成物であって、補強繊維が、(A)平均繊維
径0.01〜1μm、平均繊維長100〜1000μm
であり、かつ軸比(L/D)が2,000〜100,0
00の微小フィブリル化セルロースと、(B1)平均繊維
径5〜50μm、平均繊維長1〜5mmの解繊パルプ繊
維、および(B2)平均繊維径5〜50μm、平均繊維長
1〜10mmの有機合成繊維又は無機繊維から選択され
た少くとも一種の繊維(B)とで構成されている無機硬
化性組成物。 - 【請求項2】 補強繊維が、(A)微小フィブリル化セ
ルロースと、(B1)解繊パルプ繊維と、(B2)有機合成
繊維又は無機繊維とで構成されている請求項1記載の無
機硬化性組成物。 - 【請求項3】 補強繊維の割合が、固形分換算で、硬化
性組成物全体の1〜10重量%である請求項1記載の無
機硬化性組成物。 - 【請求項4】 補強繊維の割合が、固形分換算で、硬化
性組成物全体の1〜5重量%である請求項1記載の無機
硬化性組成物。 - 【請求項5】 (B1)成分に対する(A)成分の割合
が、(A)成分/(B1)成分=5〜80重量%である請
求項1記載の無機硬化性組成物。 - 【請求項6】 (B1)成分に対する(A)成分の割合
が、(A)成分/(B1)成分=10〜50重量%である
請求項1記載の無機硬化性組成物。 - 【請求項7】 (B2)成分の割合が、補強繊維全体の0
〜20重量%である請求項1記載の無機硬化性組成物。 - 【請求項8】 無機硬化性物質がセメントである請求項
1記載の無機硬化性組成物。 - 【請求項9】 請求項1記載の無機硬化性組成物で構成
されている無機質成形体。 - 【請求項10】 無機硬化性組成物の抄造体である請求
項9記載の無機硬化性組成物。 - 【請求項11】 請求項1記載の無機硬化性組成物の水
性スラリーを抄造し、無機質形体を製造する方法。 - 【請求項12】 水硬化性組成物の水性スラリーを抄造
し、無機質抄造体を硬化させる請求項11記載の無機質
成形体の製造方法。
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JP18613196A JP3763614B2 (ja) | 1996-07-16 | 1996-07-16 | 無機硬化性組成物、無機質成形体およびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007231438A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-09-13 | Daicel Chem Ind Ltd | 微小繊維状セルロース及びその製造方法 |
JP2017119600A (ja) * | 2015-12-28 | 2017-07-06 | 株式会社クラレ | セルロースナノファイバー担持水硬性成形体用補強繊維およびそれを含む水硬性組成物、水硬性成形体 |
JP2022078328A (ja) * | 2016-04-04 | 2022-05-24 | ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド | 強度の上昇した天井、床材、および建材製品を提供するための組成物および方法 |
-
1996
- 1996-07-16 JP JP18613196A patent/JP3763614B2/ja not_active Expired - Fee Related
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