JPH08228393A - ダブルコーンスピーカ - Google Patents

ダブルコーンスピーカ

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JPH08228393A
JPH08228393A JP3378295A JP3378295A JPH08228393A JP H08228393 A JPH08228393 A JP H08228393A JP 3378295 A JP3378295 A JP 3378295A JP 3378295 A JP3378295 A JP 3378295A JP H08228393 A JPH08228393 A JP H08228393A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 中高域の特性を改善したダブルコーンスピー
カを提供する。 【構成】 サブコーン8の外径を越えない範囲内で広が
り中心角度40゜〜120゜なる孔をメインコーン5の
略中心対称な位置に2個設けるとともに、サブコーン8
の外周部をメインコーン5に対して気密に取り付ける。 【効果】 メインコーン5の第2次高域共振モードが非
軸対称化されてピークが抑制される。またメインコーン
5とサブコーン8との音の干渉等が抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高域特性の改善を図った
ダブルコーンスピーカに関するものである。
【0002】
【従来の技術】小型ステレオやラジカセなどの音響機器
においては、スペースやコストの制約上、1個のフルレ
ンジスピーカで広帯域を再生することが望まれている。
ところが一般に、1個のフルレンジスピーカで低域から
高域までをフラットに再生することは難しい。低域を再
生するためには、コーンをある程度分厚くしてコーンの
強度を高くしなければならない。しかしこのようにする
とコーンの重量が大きくなるので、高域のレベルが低下
する傾向にある。
【0003】そこでサブコーンと呼ばれる小さく軽い高
域再生用コーンを付けて高域特性の改善を図った、いわ
ゆるダブルコーンスピーカがよく用いられている。
【0004】以下に、従来の高域特性の改善を図ったダ
ブルコーンスピーカについて、図面を参照しながら説明
する。
【0005】従来のダブルコーンスピーカとしては、文
献“スピーカ・システム(山本武夫著;(株)ラジオ技術
社発行)”のP186の図5.53(a)に示すようなものが一般
的でありよく知られている。図10はこのような従来の
口径8cmのダブルコーンスピーカの構造矢視図であ
る。また図11はこの従来のダブルコーンスピーカの効
果を示す音圧周波数特性図である。
【0006】図10において、口径19mmのボイスコ
イル54はフレーム53に取り付けられたダンパ52に
より、界磁部51の磁気ギャップの中に保持されてい
る。メインコーン55はボイスコイル54に取り付けら
れ、フレーム53に取り付けられたエッジ56によりそ
の外周を支持されている。メインコーン55の材質は厚
み0.2mmの紙であり、外径は55mmである。
【0007】そしてサブコーン58がボイスコイル54
に取り付けられ、メインコーン55の前面に配置されて
いる。またダストキャップ57はボイスコイル54の先
端部に取り付けられている。ダストキャップ57はサブ
コーン58と一体となっている。サブコーン58の材質
は厚み0.1mmの紙であり外径は26mmである。
【0008】この構成により、低域〜中域ではボイスコ
イル54の振動はメインコーン55とサブコーン58の
両方に伝わり、両者は一緒に振動する。メインコーン5
5は重量が大きいので、高域ではボイスコイル54の振
動が伝わりにくくなる。ところがサブコーン58は小さ
く軽いので、高域になってもボイスコイル54の振動は
サブコーン58の全体に容易に伝わり、サブコーン58
が高域を効率よく再生する。
【0009】図11に示すように、サブコーン58を設
けることにより、高域の音圧レベルが向上していること
が分かる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、図11に示す実線の特性の10kHz付近
の大きなピークから分かるように、メインコーンの第2
次高域共振の大きなピークが残ったままであった。
【0011】また重量の大きなメインコーンは高域でボ
イスコイルの振動が伝わりにくくなるとは言え、メイン
コーンから放射される音圧レベルは急峻には高域が減衰
しない。またサブコーンは表面からだけでなく裏面から
も音が放射される。従って図11に示す実線の特性の8
kHz付近と11kHz付近の鋭いディップから分かる
ように、高域においてサブコーンから放射される音とメ
インコーンから放射される音とが干渉したり、サブコー
ンの表面と裏面とから放射される音どうしが干渉したり
して、特性に乱れを生じていた。
【0012】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、メインコーンの第2次高域共振ピークを抑制するば
かりでなく、サブコーンとメインコーンとの音の干渉や
サブコーンの表面と裏面との音の干渉を抑制した、高域
特性の優れたダブルコーンスピーカを提供することを目
的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のダブルコーンスピーカは、ボイスコイルに取
り付けられたメインコーンと、ボイスコイルに取り付け
られメインコーンの前面に配置されたサブコーンとを備
え、サブコーンの外径を越えない範囲内で広がり中心角
度が40゜〜120゜なる孔をメインコーンに1個また
は略中心対称な位置に2個設けるとともに、サブコーン
の外周部をメインコーンに対して気密に取り付けたもの
である。
【0014】
【作用】この構成により、メインコーンに設けられた孔
がメインコーンの第2次高域共振モードを非軸対称化す
るので、このモードが分散されてメインコーンの第2次
高域共振ピークが抑制される。またこの孔はメカニカル
ハイカットフィルタとしても働くので、メインコーンか
らの音放射が高域で急峻に減衰しサブコーンからの音と
の干渉が抑制される。またサブコーン外周部はメインコ
ーンに対して気密に取り付けられているので、サブコー
ンの表と裏からの音が互いに干渉することが防がれる。
【0015】
【実施例】以下本発明の実施例について図面を参照しな
がら説明する。まず第1の発明(請求項1)について説
明する。図1は第1の発明のダブルコーンスピーカの一
実施例の構造矢視図である。また図2は本実施例のダブ
ルコーンスピーカの効果を示す音圧周波数特性図であ
る。
【0016】このダブルコーンスピーカは口径8cmで
ある。1は界磁部でありマグネットの大きさは外径60
mm、厚さ9mmである。2はダンパ、3はフレームで
ある。4はボイスコイルであり口径19mm、ボビン材
料は厚み0.05mmのアルミである。5はメインコー
ンであり直径は55mm、材質は厚み0.2mmの紙で
重量は0.37gである。
【0017】5aはメインコーンに設けられた孔であり
扇形をしている。孔の外径は40mm、内径は25m
m、広がり中心角度は72゜で、メインコーン5の略中
心対称な位置に2個設けられている。
【0018】6はエッジであり材質は厚み0.15mm
の布である。7はダストキャップであり直径22mm、
材質は厚み0.05mmのポリエステルフィルムであ
る。8はサブコーンであり、外径45mm、材質は厚さ
0.1mmの紙で重量は0.15gである。
【0019】ボイスコイル4はフレーム3に取り付けら
れたダンパ2により、界磁部1の磁気ギャップの中に保
持されている。メインコーン5はボイスコイル4に取り
付けられ、フレーム3に取り付けられたエッジ6により
その外周を支持されている。メインコーン孔5aはサブ
コーン8の外径よりも内側にある。サブコーン8はボイ
スコイル4に取り付けられ、メインコーン5の前面に配
置されている。サブコーン8の外周部はメインコーン5
に対してゴム系接着剤で気密に取り付けられている。ダ
ストキャップ7はサブコーン8に取り付けられている。
【0020】以上のように構成された本実施例のダブル
コーンスピーカについて、以下その動作について説明す
る。
【0021】低域〜中域では従来例と同様に、ボイスコ
イル4の振動はメインコーン5とサブコーン8の両方に
伝わり、両者は一緒に振動する。メインコーン5は重量
が大きいので、高域ではボイスコイル4の振動が伝わり
にくくなる。ところがサブコーン8は小さく軽いので、
高域になってもボイスコイル4の振動はサブコーン8の
全体に容易に伝わり、サブコーン8が高域を効率よく再
生する。
【0022】メインコーン5には10kHz付近に第2
次高域共振周波数が存在する。しかし、広がり中心角度
40゜〜120゜なるメインコーン孔5aがメインコー
ン5の略中心対称な位置に2個設けられているので、メ
インコーン5の第2次高域共振モードが非軸対称化さ
れ、このモードが分散されて10kHzの第2次高域共
振ピークが抑制される。
【0023】メインコーン孔5aはメカニカルハイカッ
トフィルタとしても働くので、メインコーン5からの音
放射が高域で急峻に減衰しサブコーン8からの音との干
渉が抑制される。またサブコーン8の外周部はメインコ
ーン5に対して気密に取り付けられているので、サブコ
ーン8の表と裏との音が互いに干渉することもない。ま
たもちろん本実施例のダブルコーンスピーカをキャビネ
ットに収納した場合に、メインコーン5の背面の空気が
前面にもれることもない。
【0024】従って高域が十分な音圧レベルで再生され
るばかりでなく、メインコーンのピークがなく、メイン
コーンとサブコーンとの音の干渉やサブコーンの表と裏
との音の干渉によるディップもない優れた高域特性が得
られる。
【0025】図2に本実施例のダブルコーンスピーカの
効果を示す。点線はサブコーンとメインコーン孔を除い
て、本実施例と同じ部品で構成された従来のコーン型ス
ピーカの音圧周波数特性であり、実線は本実施例のダブ
ルコーンスピーカの音圧周波数特性である。
【0026】本実施例のダブルコーンスピーカでは、従
来のコーン型スピーカに比べて高域の音圧レベルが向上
していることはもちろんのこと、10kHzのピークや
高域のディップのない優れた高域特性が得られている。
【0027】以上のように本実施例によれば、40゜〜
120゜の広がり中心角度をもつメインコーン孔がメイ
ンコーンの略中心対称な位置に2個設けられているの
で、メインコーンの第2次高域共振モードが非軸対称化
され、このモードが分散されてメインコーンの第2次高
域共振ピークが抑制される。
【0028】またこの孔はメカニカルハイカットフィル
タとしても働くので、メインコーンからの音放射が高域
で急峻に減衰しサブコーンからの音との干渉が抑制され
る。またサブコーン外周部はメインコーンに対して気密
に取り付けられているので、サブコーンの表と裏との音
が互いに干渉することもない。
【0029】従ってメインコーンのピークがないばかり
か、メインコーンとサブコーンとの音の干渉やサブコー
ンの表と裏との音の干渉によるディップもない、優れた
高域特性が得られる。
【0030】有限要素法コンピュータシミュレーション
と試作実験により、メインコーンの1箇所または略中心
対称な位置に2個の孔を設けるとメインコーンの第2次
高域共振モードが分散化されることが、また孔の広がり
中心角度が40゜〜120゜の場合が効果的であること
が分かった。また、この孔の広がり中心角度が大きいほ
ど、孔の幅が大きいほど、また孔が1個よりも2個の方
がメカニカルハイカットフィルタのカットオフ周波数が
低下することが分かった。また孔が大きいほどメインコ
ーンの重量が軽くなり、サブコーンを付けることでの振
動系質量増加による音圧レベル低下を緩和することもで
きる。
【0031】なお、本実施例ではメインコーン孔の広が
り中心角度を72゜、メインコーン孔の外径を40m
m、内径を25mmとしたが、本発明を行うに当たって
得られた上記知見に基づいて、ダブルコーンスピーカの
仕様に応じて適宜設定すればよい。
【0032】また本実施例では2個のメインコーン孔の
形、大きさを同じにしたが、メインコーン孔の形、広が
り中心角度や幅に違いがあっても同様の効果が得られ
る。
【0033】また本実施例ではメインコーン孔の形状を
扇型としたが、円形、長円形、矩形、その他の形状とし
ても構わない。
【0034】また広がり中心角度が40゜〜120゜の
メインコーン孔の他に、いくつかの孔をメインコーンに
追加してメカニカルハイカットフィルタの効果を増すこ
とも可能である。
【0035】また本実施例ではサブコーンをボイスコイ
ルの頂部より下方に取り付けたが、サブコーンをボイス
コイルの頂部に取り付けてもよい。また本実施例ではサ
ブコーンとダストキャップを別々にしたが、これらを一
体としてもよい。
【0036】また本実施例ではメインコーン、サブコー
ンともストレートコーンとしたが、これらコーンの断面
形状が他のものであってもよいことは言うまでもない。
またメインコーンやサブコーンが楕円、矩形、その他の
形状や非対称形状であっても同様の効果が得られる。
【0037】次に第2の発明(請求項2)の一実施例に
ついて説明する。図3は第2の発明のダブルコーンスピ
ーカの一実施例の構造矢視図である。
【0038】本実施例のダブルコーンスピーカも同じく
口径8cmであり、メインコーン孔15aを除いては先
に述べた第1の発明の一実施例とすべて同じ構成である
ので、これらの説明は省略する。
【0039】異なる点は、メインコーン15に設ける孔
を互いに近接して設けられた複数個の孔15aに分割し
たことである。本実施例では3個に分割されており、分
割された各々のメインコーン孔15aの直径は7mmで
あり、3個ずつ互いに近接してメインコーン15の略中
心対称な位置に2組、サブコーン18の外径を越えない
範囲内に計6個設けられている。本実施例では各々のメ
インコーン孔15aどうしの距離は2mmである。互い
に近接した3個のメインコーン孔の両端での広がり中心
角度は約105゜である。
【0040】分割された各々のメインコーン孔15aは
互いに近接しているので、本実施例のダブルコーンスピ
ーカの動作はこれらのメインコーン孔15aがつながっ
て1個の孔となった場合とほとんど同じである。
【0041】従って以上のように構成された本実施例の
ダブルコーンスピーカの動作は、先に述べた第1の発明
の一実施例と全く同様である。
【0042】しかしさらに、本実施例ではメインコーン
15に設ける孔を直径7mmの小さな円形孔に分割した
ので、ダブルコーンスピーカの量産に当たって孔あけ用
の精密で高価な抜き金型を作製しなくて済む。本実施例
では簡便で安価な丸孔ポンチ治具で孔あけをすることが
できる。
【0043】以上のように本実施例によれば、先に述べ
た第1の発明の一実施例と全く同様にメインコーンのピ
ークがないばかりか、メインコーンとサブコーンとの音
の干渉やサブコーンの表と裏との音の干渉によるディッ
プもない、優れた高域特性が得られる。さらにメインコ
ーンに設ける各々の孔は小さく簡単な形にできるので、
ダブルコーンスピーカの量産時の孔あけ治具を簡便で安
価なものとすることができる。
【0044】なお本実施例では分割した複数個の孔を円
形としたが、その他の形状でもよいことは言うまでもな
い。
【0045】また本実施例では分割した複数個の孔の形
状と大きさと孔の数を同じにしたが、これらの形状や大
きさや数が各々同じでなくても同様の効果が得られる。
【0046】次に第3の発明(請求項3)の一実施例に
ついて説明する。図4は第3の発明のダブルコーンスピ
ーカの一実施例の構造矢視図である。また図5は本実施
例のダブルコーンスピーカの効果を示す音圧周波数特性
図である。
【0047】本実施例のダブルコーンスピーカも同じく
口径8cmであり、粘弾性材料29を除いては先に述べ
た第1の発明の一実施例とすべて同じ構成であるので、
これらの説明は省略する。
【0048】異なる点は、サブコーン28の外周部をメ
インコーン25に対して粘弾性材料29を用いて気密に
取り付けたことである。本実施例では粘弾性材料として
シリコンゴム系のスピーカ用エッジ塗料を用いた。乾燥
後の重量は0.12gである。
【0049】以上のように構成された本実施例のダブル
コーンスピーカの動作は、先に述べた第1の発明の一実
施例と全く同様である。しかしさらに本実施例ではメイ
ンコーン25とサブコーン28の外周部に粘弾性材料が
付着し、薄くて軽量なるサブコーン28は粘弾性材料2
9のダンピング効果をよく受けて、サブコーン28の高
域共振モードが抑制される。従ってサブコーン28自体
の高域のピークまでもが低減される。
【0050】図5から分かるように本実施例のダブルコ
ーンスピーカでは、従来のコーン型スピーカに比べて高
域の音圧レベルが向上していることはもちろんのこと、
10kHzのピークや高域のディップもない。さらに6
〜8kHzにあったサブコーン自体の小さなピーク(図
2の実線の特性参照)までもが低減され、極めて優れた
高域特性が得られている。
【0051】以上のように本実施例によれば、先に述べ
た第1の発明の一実施例と全く同様にメインコーンのピ
ークがなく、メインコーンとサブコーンとの音の干渉や
サブコーンの表と裏との音の干渉によるディップもない
優れた高域特性が得られる。さらにサブコーンの外周部
に粘弾性材料が付着するので、薄くて軽量なるサブコー
ンは粘弾性材料のダンピング効果をよく受けてサブコー
ンの高域共振モードが抑制され、サブコーン自体の高域
のピークまでもが低減された極めて優れた高域特性が得
られる。
【0052】なお、本実施例では粘弾性材料としてシリ
コンゴム系スピーカ用エッジ塗料を用いたが、他にブチ
ルゴム、通気性の無視できる発泡ゴムや発泡ウレタン、
各種スピーカ用エッジ塗料、アクリル系粘着材、各種コ
ーキング材などが使用できる。
【0053】次に第4の発明(請求項4)の一実施例に
ついて説明するが、フルレンジユニットにおいては軸上
音圧周波数特性がフラットでは聴感上高域が不足である
ことが往々にしてあり、ピークディップがないことに加
えてハイ上がりな軸上音圧周波数特性が聴感上望まれる
ことがある。この第4の発明はこのような課題に応える
ためのものである。
【0054】図6は第4の発明のダブルコーンスピーカ
の一実施例の構造矢視図である。また図7は本実施例の
ダブルコーンスピーカの効果を示す音圧周波数特性図で
ある。
【0055】本実施例のダブルコーンスピーカも同じく
口径8cmであり、コルゲーション38aを除いては先
に述べた第1の発明の一実施例とすべて同じ構成である
ので、これらの説明は省略する。
【0056】異なる点は、サブコーン38のネック部に
コルゲーション38aを設けたことである。本実施例で
はコルゲーション38aはサブコーン38の直径27m
mの位置に設けられ、コルゲーション38aの断面形状
は半径0.25mmの略半円である。
【0057】以上のように構成された本実施例のダブル
コーンスピーカの動作は、先に述べた第1の発明の一実
施例と全く同様である。しかしさらに本実施例ではサブ
コーン38のネック部にコルゲーション38aを設けた
ので、コルゲーション38aがコンプライアンス成分、
サブコーン38が質量成分として動作するメカニカルロ
ーパスフィルタが形成される。このためこのメカニカル
ローパスフィルタのカットオフ周波数付近ではフィルタ
のQによってサブコーン38の振幅が増大するので、メ
カニカルローパスフィルタのカットオフ周波数を高域に
設定することによりハイ上がりな特性を得ることができ
る。本実施例ではこのカットオフ周波数は15kHz付
近である。
【0058】図7から分かるように本実施例のダブルコ
ーンスピーカでは、10kHzのピークや高域のディッ
プのない優れた高域特性が得られているばかりでなく、
15kHz付近にかけて音圧レベルが向上しており、ハ
イ上がりな特性が得られている。
【0059】以上のように本実施例によれば、先に述べ
た第1の発明の一実施例と全く同様にメインコーンのピ
ークがなく、メインコーンとサブコーンとの音の干渉や
サブコーンの表と裏との音の干渉によるディップもない
優れた高域特性が得られる。さらにサブコーンのネック
部にコルゲーションを設けたので、コルゲーションがコ
ンプライアンス成分、サブコーンが質量成分として動作
するメカニカルローパスフィルタが形成され、メカニカ
ルローパスフィルタのQによってハイ上がりな特性を得
ることができる。
【0060】なお本実施例ではコルゲーションの断面形
状を略半円としたが、これをその他任意の形状としても
よいことは言うまでもない。また本実施例ではダストキ
ャップをコルゲーションの外周側に取り付けたが、コル
ゲーションの内周側など任意の位置に取り付けてもよ
い。
【0061】次に第5の発明(請求項5)の一実施例に
ついて説明する。図8は第5の発明のダブルコーンスピ
ーカの一実施例の構造矢視図である。また図9は本実施
例のダブルコーンスピーカの効果を示す音圧周波数特性
図である。
【0062】本実施例のダブルコーンスピーカも同じく
口径8cmであり、吸音材49を除いては先に述べた第
1の発明の一実施例とすべて同じ構成であるので、これ
らの説明は省略する。
【0063】異なる点は、メインコーン45とサブコー
ン48との間の空間に吸音材49を設けたことである。
本実施例では吸音材49の材質は連続気泡発泡ウレタン
である。
【0064】以上のように構成された本実施例のダブル
コーンスピーカの動作は、先に述べた第1の発明の一実
施例と全く同様である。しかしさらに本実施例ではメイ
ンコーン45とサブコーン48との間の空間に吸音材4
9を設けたので、コーン45から後方へ放射された音が
フレーム43などで反射して戻ってきても、メインコー
ン孔45aの部分の吸音材49で吸収されるので、反射
による特性の乱れが低減される。
【0065】図9から分かるように本実施例のダブルコ
ーンスピーカでは、10kHzのピークや高域のディッ
プのない優れた高域特性が得られているばかりでなく、
1〜2kHz付近の特性が改善されている。
【0066】以上のように本実施例によれば、先に述べ
た第1の発明の一実施例と全く同様にメインコーンのピ
ークがなく、メインコーンとサブコーンとの音の干渉や
サブコーンの表と裏との音の干渉によるディップもない
優れた高域特性が得られる。さらにメインコーンとサブ
コーンとの間の空間に吸音材を設けたので、コーンから
後方へ放射された音がフレームやキャビネットなどで反
射して戻ってきても吸音材で吸収されるので、これらの
反射による特性の乱れが低減される。
【0067】なお本実施例では吸音材として連続気泡発
泡ウレタンを用いたが、フェルトやグラスウール、その
他の材料でもよい。
【0068】また本実施例では、吸音材をメインコーン
とサブコーンとの間のすべての空間に設けたが、メイン
コーン孔の付近だけに設けても同様の効果が得られる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように本発明のダブルコー
ンスピーカは、40゜〜120゜の広がり中心角度をも
つメインコーン孔を1個またはメインコーンの略中心対
称な位置に2個設けることにより、メインコーンの第2
次高域共振モードが非軸対称化され、このモードが分散
されてメインコーンの第2次高域共振ピークが抑制され
る。
【0070】またこの孔はメカニカルハイカットフィル
タとしても働くので、メインコーンからの音放射が高域
で急峻に減衰しサブコーンからの音との干渉が抑制され
る。またサブコーン外周部はメインコーンに対して気密
に取り付けられているので、サブコーンの表と裏との音
が互いに干渉することもない。従ってメインコーンのピ
ークがないばかりか、メインコーンとサブコーンとの音
の干渉やサブコーンの表と裏との音の干渉によるディッ
プもない、優れた高域特性が得られる。またもちろん本
発明のダブルコーンスピーカをキャビネットに収納した
場合に、メインコーンの背面の空気が前面にもれること
もない。
【0071】またメインコーンに設ける孔を互いに近接
して設けられた複数個の孔に分割することにより、メイ
ンコーンに設ける各々の孔を小さく簡単な形にできるの
で、ダブルコーンスピーカの量産時の孔あけ治具を簡便
で安価なものとすることができる。
【0072】またサブコーンの外周部をメインコーンに
対して粘弾性材料を用いて取り付けることにより、サブ
コーンの外周部に粘弾性材料が付着するので、薄くて軽
量なるサブコーンは粘弾性材料のダンピング効果をよく
受けてサブコーンの高域共振モードが抑制され、サブコ
ーン自体の高域のピークまでもが低減された極めて優れ
た高域特性が得られる。
【0073】またサブコーンのネック部にコルゲーショ
ンを設けることにより、コルゲーションがコンプライア
ンス成分、サブコーンが質量成分として動作するメカニ
カルローパスフィルタが形成され、メカニカルローパス
フィルタのQによってハイ上がりな特性を得ることがで
きる。
【0074】またメインコーンとサブコーンとの間の空
間に吸音材を挿入することにより、コーンから後方へ放
射された音がフレームやキャビネットなどで反射して戻
ってきても吸音材で吸収されるので、これらの反射によ
る特性の乱れが低減される。
【0075】以上のように本発明は大きな実用的価値を
もつものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の一実施例のダブルコーンスピーカ
の構造矢視図
【図2】第1の発明の一実施例のダブルコーンスピーカ
の効果を示す音圧周波数特性図
【図3】第2の発明の一実施例のダブルコーンスピーカ
の構造矢視図
【図4】第3の発明の一実施例のダブルコーンスピーカ
の構造矢視図
【図5】第3の発明の一実施例のダブルコーンスピーカ
の効果を示す音圧周波数特性図
【図6】第4の発明の一実施例のダブルコーンスピーカ
の構造矢視図
【図7】第4の発明の一実施例のダブルコーンスピーカ
の効果を示す音圧周波数特性図
【図8】第5の発明の一実施例のダブルコーンスピーカ
の構造矢視図
【図9】第5の発明の一実施例のダブルコーンスピーカ
の効果を示す音圧周波数特性図
【図10】従来のダブルコーンスピーカの構造矢視図
【図11】従来のダブルコーンスピーカの効果を示す音
圧周波数特性図
【符号の説明】
1 界磁部 2 ダンパ 3 フレーム 4 ボイスコイル 5 メインコーン 5a メインコーン孔 6 エッジ 7 ダストキャップ 8 サブコーン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボイスコイルに取り付けられたメインコ
    ーンと、前記ボイスコイルに取り付けられ前記メインコ
    ーンの前面に配置されたサブコーンとを備え、前記サブ
    コーンの外径を越えない範囲内で広がり中心角度が40
    ゜〜120゜なる孔を前記メインコーンに1個または略
    中心対称な位置に2個設けるとともに、前記サブコーン
    の外周部を前記メインコーンに対して気密に取り付けた
    ことを特徴とするダブルコーンスピーカ。
  2. 【請求項2】 メインコーンに設ける孔を、互いに近接
    して設けられた複数個の孔に分割したことを特徴とする
    請求項1記載のダブルコーンスピーカ。
  3. 【請求項3】 サブコーンの外周部をメインコーンに対
    して粘弾性材料を用いて気密に取り付けたことを特徴と
    する請求項1または2記載のダブルコーンスピーカ。
  4. 【請求項4】 サブコーンのネック部にコルゲーション
    を設けたことを特徴とする請求項1,2または3記載の
    ダブルコーンスピーカ。
  5. 【請求項5】 メインコーンとサブコーンとの間の空間
    に吸音材を設けたことを特徴とする請求項1,2,3ま
    たは4記載のダブルコーンスピーカ。
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