JPH08227956A - 基板の製造方法 - Google Patents

基板の製造方法

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JPH08227956A
JPH08227956A JP7310651A JP31065195A JPH08227956A JP H08227956 A JPH08227956 A JP H08227956A JP 7310651 A JP7310651 A JP 7310651A JP 31065195 A JP31065195 A JP 31065195A JP H08227956 A JPH08227956 A JP H08227956A
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喜之 山本
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Katsuko Harano
佳津子 原野
Yukihiro Ota
進啓 太田
Naoharu Fujimori
直治 藤森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い放熱特性を持った基板を容易に得ること
ができる基板の製造方法を提供する。 【解決手段】 a)熱伝導率10W/cm・K以上の高熱
伝導性物質より成る薄板の片面に、レーザー光線による
加工により冷却用媒体が通過する為の流路を形成する工
程と、b)前記加工の施された面に基材を接着させる工
程を含むことを特徴とする基板の製造方法、および熱伝
導率10W/cm・K以上の高熱伝導性物質から成る板の
片面に、レーザー光線を利用して、冷却用媒体を通過す
るための流路を形成する工程と、前記加工の施された面
に、熱伝導率10W/cm以上の高熱伝導性物質よりなる
板を接着させる工程を含むことを特徴とする基板の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超高速MPU、大
出力半導体レーザーなど、大きな発熱密度を持つ半導体
素子を実装するための基板(高放熱性を要求される透過
窓を包含する)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】海底ケーブルなどに使用される半導体レ
ーザーは、長距離伝送を実現するため、大出力化が進ん
でおり、それに伴い素子自体の発熱量も急増している。
また、情報処理システム等の小型化、処理速度高速化に
伴い、これらの機器に内蔵される半導体素子の単位面積
当たり処理能力の向上が急速に進展している。これらの
ことは、半導体素子の発生する単位面積当たりの熱量の
増大を招き、実装する基板を設計する上でその放熱性を
確保することの重要性が注目されている。一方、放射光
実験装置に使用される窓材に代表される各種光学窓材
は、その透過光強度や、使用される環境が年々厳しくな
っている。そのため、窓材の機械的強度、放射性に対す
る要求が今後さらに厳しくなることが予想される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在パッケージに用い
られているアルミナなどの材料では、上記のような高性
能な素子が実用化された際、その放熱特性が問題となる
ことが確実である、すなわち、現状パッケージでは、そ
の熱抵抗が大きく、素子自体の発熱を十分に放散させる
ことができずに素子温度が上昇し、その結果素子が誤動
作、あるいは暴走をおこすなどの問題が生じる。この問
題を解決するためには、前述したようにより高熱伝導性
の材料を用いることが有効であり、現存する物質中でも
っとも熱伝導率の大きいダイヤモンドも半導体レーザダ
イオードなどでは使用されている。
【0004】しかしながら、放熱基板が輸送する熱は最
終的には外界の空気や冷却水などに伝達して排出しなけ
ればならない。搭載する半導体素子などの発生する熱量
が大きくなれば、高熱伝導率材料を使用しなければなら
ないのはもちろん、高熱伝導性材料を伝導してきた大量
の熱をいかに効率的に基板から放熱するかが重要にな
る。その為、基板の裏面にフィンや冷却水配管を取り付
けて放熱面積、放熱効率の増大を図る工夫がなされてい
る。しかし、基板の裏側に冷却水配管を取り付けるとそ
の取り付け部分に余計な熱抵抗が入るのは防止できない
し、フィンではさらに冷却効率が落ちるため、さらに効
率的な冷却ができる高い放熱性を持った基板の開発が要
請されている。
【0005】特開平4−273466号公報には、ダイ
ヤモンドを用いた3次元集積回路基板において、基板の
側面部に穴を設け、冷媒を流す構造が提案されている。
しかしながら、この構造では基板の中央付近(実際には
最も温度が上昇すると予想される部分)が最も冷媒の通
過するところから離れており、効率が悪い。
【0006】また、各種透過窓材として用いられる材料
としては、例えば、Be、Si、ZnSeなどが挙げら
れる。これらの窓材に、大きなエネルギーの光を照射す
ると、窓材自体の温度が上昇し、溶解、変質などの問題
が生じる。そのため、窓材の周囲から冷却する等の対策
が施されているが、充分ではなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、以
上のような問題点に鑑み、より冷却効率の大きな基板を
得るべく鋭意研究を重ね、基板に直接冷媒を通すための
流路を形成することにより従来の基板よりも格段に放熱
効率の向上した基板を得ることに成功した。
【0008】本発明は、a)熱伝導率10W/cm・K以
上の高熱伝導性物質より成る薄板の片面に、レーザー光
線による加工を利用して、冷却用媒体が通過する為の流
路を形成する工程と、 b)前記加工の施された面に基材を接着させる工程を含
むことを特徴とする基板の製造方法を提供する。また、
本発明は、熱伝導率10W/cm・K以上の高熱伝導性物
質から成る板の片面に、レーザー光線を利用して、冷却
用媒体を通過するための流路を形成する工程と、前記加
工の施された面に、熱伝導率10W/cm以上の高熱伝導
性物質よりなる別の板を接着させる工程を含むことを特
徴とする基板の製造方法を提供する。
【0009】加えて、本発明は、熱伝導率10W/cm・
K以上の高熱伝導性物質よりなる板の側面より、レーザ
ー光線を利用して冷却用媒体の通過するための流路を形
成する工程を含むことを特徴とする基板の製造方法を提
供する。さらに、本発明は、a)熱伝導率10W/cm・
K以上の高熱伝導性物質より成る薄板の片面に、マスク
を部分的に施す工程と、 b)マスクが施されていない部分を選択的にエッチング
することにより冷却用媒体が通過するための流路を形成
する工程と、 c)マスクを除去する工程と、 d)前記加工の施された面に基材を接着する工程を含む
ことを特徴とする基板の製造方法を提供する。
【0010】さらに加えて、本発明は、板状材料に溝を
形成する工程と、板状材料上に気相合成法によりダイヤ
モンドを成長させる工程と、板状材料を除去して溝入り
ダイヤモンド自立膜を得る工程と、前記溝を有する面に
基材を接着させる工程を含むことを特徴とする基板の製
造方法を提供する。さらに加えて本発明は、基材にマス
クを施す工程と、気相合成法によりダイヤモンドを成長
させる工程と、マスクを除去することにより冷却用媒体
を通過させるための流路を得る工程とを含むことを特徴
とする基板の製造方法を提供する。さらに加えて、本発
明は、板状材料にマスクを施す工程と、気相合成法によ
りダイヤモンドを成長させる工程と、マスクおよび板状
材料を除去し溝入りダイヤモンド自立膜を得る工程と、
該自立膜の溝の形成されている面に基材を接着させる工
程を含むことを特徴とする基板の製造方法を提供する。
【0011】本発明において、「基板」という用語は、
半導体素子を実装する基板のみならず、透過窓をも包含
する。
【0012】以下に、本発明の具体的な内容について詳
細に開示する。本発明における基板の1つの形態におい
ては、高熱伝導性物質層が基材の上に積層されており、
高熱伝導性物質層と基材との界面に、冷媒を流すための
溝が高熱伝導性層側に形成されている。すなわち、高熱
伝導性物質層の表面に配置された半導体装置などの発熱
体から生じる熱は、高熱伝導性物質層の中を温度勾配が
小さいまま伝えられ、物質層裏面に形成された溝を通過
する冷媒によって効率よく除去される。
【0013】高熱伝導性物質層としては、熱伝導性は高
い方が素子温度を押さえることができ好ましい。その熱
伝導率は、高ければ高い程良いが、10W/cm・K以上
あることが適当である。この様な材質を持つ物質として
は、天然ダイヤモンド、高圧合成ダイヤモンド、および
気相合成ダイヤモンドが挙げられる。これらはいずれも
本発明における高熱伝導性物質層として適当であるが、
特に気相合成法により得られるダイヤモンドを利用する
と、比較的大面積の高熱伝導性物質層が安価に得ること
ができる。熱伝導率は、一般に温度依存性があり、上記
ダイヤモンドは、室温以上の温度領域では温度上昇と共
にその熱伝導率は低下する。通常の半導体素子を搭載す
る基板の場合、搭載される素子温度は精々100℃から
200℃以下であり、この温度領域で熱伝導率が10W
/cm・K以上であることが本発明における高熱伝導性物
質層においても望ましい。高熱伝導性物質層の厚さは、
少なくとも30μm以上、より好ましくは70μm以上あ
ることが好ましい。高伝導性物質層の厚さの上限は、通
常、10mm、例えば5mmである。高熱伝導性物質は、半
導電性または導電性であってもよいが、絶縁性であるこ
とが好ましい。高熱伝導性物質の抵抗率は、1x108
Ω・cm以上、より好ましくは1x109Ω・cm以上であ
ることが好ましい。
【0014】高熱伝導性物質層に存在する溝について
は、その深さは深いほど熱交換率は上昇するが、あまり
深すぎるとその機械強度が弱くなるので好ましくない。
具体的には、溝の深さ(c)は20μm以上、より好ま
しくは50μm以上である。溝の深さは、高熱伝導性物
質層の膜厚の90%未満、より好ましくは80%未満が
好ましい。また、溝の幅(a)は広いほど熱交換率は上
昇するが、そのかわり基材に接する部分の強度を保つた
めに溝の数が少なくなるために広すぎても逆に熱交換率
は悪くなる。一方、溝の間隔(b)についても幅と同様
なことがいえ、広すぎても狭すぎても良くない。溝の幅
および間隔は、20μm以上10mm以下、より好ましく
は40μm以上2mm以下であることが望ましい。幅
(a)と間隔(b)の長さの比(a/b)の範囲につい
て、半導体用基板の場合に、下限は、0.02、より好
ましくは0.04であり、一方、上限は、50、より好
ましくは25であることが望ましく、一方、窓材である
場合に、下限は、0.02、より好ましくは0.04であ
り、一方、上限は、10、より好ましくは5であること
が望ましい。幅(a)と深さ(c)の長さの比(a/
c)の範囲について、半導体用基板の場合に、下限は、
0.05、より好ましくは0.1であり、一方、上限は1
00、より好ましくは50であることが望ましく、一
方、窓材である場合に、下限は、0.02、より好まし
くは0.05であり、一方、上限は、50、より好まし
くは25であることが望ましい(図4参照)。
【0015】但し、最適な幅、間隔については、放熱基
板上に搭載される素子に依存する。なお、溝の形状とし
ては、断面が長方形である必要はなく、半円形、半楕円
形やさらに複雑な形状をとりうる。また、1つの基板中
で、上記のa, b, cの値が一定である必要はなく、上に
示した条件の中で変化させうる。溝によって占められる
高熱伝導性物質層の表面の割合は、高熱伝導性物質層の
表面の面積に対して、半導体用基板の場合に通常、2〜
90%、好ましくは10〜80%であり、窓材の場合に
通常、2〜75%、好ましくは10〜50%である。溝
の側面が高熱伝導性物質層表面に対する鉛直線となす角
度(テーパー角)は、30°以下であることが好まし
い。
【0016】この冷媒の通過するべき溝は、本基板上に
設置される半導体素子などの発熱体の配置に応じて適宜
形成することができる。搭載される半導体素子などの発
熱体により、最も発熱する部分、あるいは最も低温であ
ることが要求される部分が最も効率的に冷却されるよう
に溝を形成することが望ましい。具体的には、最も冷却
したい部分に冷媒が最も多く通過する様に溝を配置す
る。溝の断面形状を複雑にし、溝の表面積を大きくする
ことによっても冷却効率を上げることができる。また、
冷媒の導入口付近は最も冷媒の温度も低いので、冷却効
率が高くなる。従って、発熱体の発熱量分布がほぼ均等
である場合、中央部分が最も温度が高くなるので、中央
部に導入口を設け、そこから螺旋状、あるいは放射線状
に冷媒溝を配置すると効率的でよい。
【0017】溝は、高熱伝導性物質層を形成した後に、
該物質層をレーザー加工(例えば、エキシマレーザーを
使用する)すること、エッチング法により加工すること
などによって形成することができる。溝の表面に、厚さ
1nm以上1μm以下の非ダイヤモンドの炭素成分(例え
ば、グラファイト、非結晶質カーボン)から成る層が存
在してよい。非ダイヤモンド層は、非酸化雰囲気(例え
ば、不活性ガス雰囲気)において、高熱伝導性物質層を
1000〜1500℃に30分〜10時間(例えば、1
時間)加熱することによって、形成することができる
(この場合には、溝以外の高熱伝導性物質層の表面にも
非ダイヤモンド層が形成されるが、これは、研磨などに
よって除去することができる。)。非ダイヤモンド層の
有無は、ラマン分光法によって測定することが可能であ
る。
【0018】溝の表面において、冷媒に対する濡れ性が
良好であることが好ましい。接触角は、通常65°以
下、より好ましくは60°以下であることが好ましい。
ダイヤモンドの表面には、水素原子が存在するので、こ
のままの状態では、水などの冷媒をはじく。そこで、水
素原子に代えて、酸素原子を含む親水基(例えば、OH
基)をつけることによってダイヤモンド層表面の親水性
を上げることができる。溝の表面の濡れ性の向上するに
は、例えば、酸化雰囲気(例えば、大気雰囲気)におい
て、500〜800℃で10分〜20時間アニールする
か、またはあるいは酸素または酸素を含む気体のプラズ
マで処理すればよい。溝を形成する方法として酸素プラ
ズマを使用する場合には、幾分親水性が上がっていると
考えられるが、さらに上記の濡れ性向上の操作を行って
よい。さらに、溝の表面の冷媒に対する濡れ性を改善す
る処理としては、上記の他、窒素、ホウ素あるいは不活
性ガス等を含むガス中でのプラズマ処理を挙げることが
できる。
【0019】溝を形成した後に、高熱伝導性層を基材に
張り合わせる。張り合わせは、金属または接着剤などで
行ってよい。金属層または接着剤層の厚さは、通常0.
01〜10μmである。あるいは張り合わせは、金属な
どの物質を使用せずに、高熱伝導性層を直接に基材に付
着させることによって行ってもよい。
【0020】基材は、例えば、B、Be、Al、Cu、
Si、Ag、Ti、Fe、Ni、Mo、W、これらの合
金およびこれらの化合物(例えば、炭化物、窒化物)な
どの物質からできている。窓材として用いる場合は、そ
の用途に応じて、基材を使いわけることができる。例え
ば、X線透過用窓としては、Beを、赤外線透過用窓で
あれば、Si、ZnSeなどを使用できる。基材は、例
えば、絶縁性であってよい。基材は、板状であってよ
い。基材の厚さは、通常0.1〜10mm、好ましくは0.
5〜5mmである。
【0021】素子を基板上に実装する場合に、素子は高
熱伝導物質層の上に配置されることが好ましい。冷媒と
しては、例えば、水、空気、不活性ガス(例えば、窒
素、アルゴンなど)、フルオロカーボン、液体窒素、液
体酸素、液体ヘリウムなどを使用する。本発明の基板
は、半導体デバイス、例えば、レーザーチップ、MPU
および各種光学用窓材(例えば、赤外線、紫外線、X
線、SORなどのための窓材)などにおいて有用であ
る。
【0022】さて、以下にこの冷媒の通過する溝を基材
との界面に有する基板の製造方法について説明する。ま
ず、基材に、冷媒通過溝を持つ高熱伝導性物質層を接着
して得る方法について示す。高熱伝導性物質層となる物
質を、所望の大きさに用意する。これに、冷媒が通過す
る溝を配置するには、レーザー光線を利用した加工方
法、選択的なエッチングなどが利用できる。レーザー加
工は、物質表面にレーザー光線を集光することによって
物質の削除加工を行い、溝を表面に形成する。この方法
によれば、任意の配置の溝を得ることができる。高熱伝
導性物質の表面に、十分なエネルギー密度を持ったレー
ザー光線を集光し、物質を削除しながら徐々に集光位置
を移動させて溝を表面に形成する。レーザー光線として
は、YAGレーザー、エキシマレーザーなどが利用でき
るが、特にエキシマレーザーはその加工精度の点から、
任意の深さ、配置の溝を再現性よく形成することができ
好ましい。
【0023】レーザー光の波長は、360nm以下、例え
ば、190〜360nmの範囲であることが好ましい。照
射する光のエネルギー密度は、10〜1011W/cm2
ある。パルス状レーザー光を用い、その1パルス当たり
のエネルギー密度が10-1J/cm2以上で、106J/cm
2以下の範囲とすることが好ましい。さらに、レーザー
発振器より発振される際のレーザー光の広がり角度が1
-2〜5x10-1mradとし、レーザー光の発振スペクト
ルの半値幅を10-4〜1nmとすることが好ましい。レー
ザー光のビーム断面におけるエネルギー分布の均一性は
10%以下であることが好ましい。パルスレーザー光を
円筒型レンズまたは円筒型ミラーにより集光することに
よって、良好な加工の結果を得る。このようなエキシマ
レーザーによる表面溝加工において、適当な雰囲気中で
加工を行うことによって、ダイヤモンド表面の改質を行
うことができ、冷媒との濡れ性をも改善することが可能
となる。例えば、含アミノ基化合物(例えばアンモニ
ア、ヒドラジンなど)雰囲気中において上記の加工を行
うことによって、形成された溝の表面にアミノ基が導入
され、親水性を向上させることが可能である。
【0024】一方、エッチング法による表面溝加工は、
以下のように行うことができる。即ち、適当なマスクを
高熱伝導性物質層上に形成した後、マスクはエッチング
せず、高熱伝導性物質のみをエッチングする条件で処理
する。その後マスクを除去して、表面に溝を持った高熱
伝導性物質層が得られる。ダイヤモンド上にマスク材料
としてAl、あるいはSiO2を形成し、酸素あるいは酸
素を含むガスによりダイヤモンドを選択的にエッチング
することができると知られており(第53回応物学会予
稿集第二分冊第411頁参照)、この技術を利用してダ
イヤモンド上に溝加工ができる。また、酸素あるいは酸
素を含むガスの代わりに、窒素または水素を利用しても
よい。
【0025】こうして所望の溝を形成した高熱伝導性物
質層を、別途用意した基材に張り付けすることにより、
非常に大きな放熱効率を有する基板を得ることができ
る。基材には、別途上記層に設けた溝に通すべき冷却媒
体を導入する出入口を設けておく。
【0026】高熱伝導性物質層と基材との張り付けは、
メタライズ処理によって、あるいは接着剤によって、行
うことができる。結合する2つの面を公知の方法でメタ
ライズ処理し、金属を溶融させることによって行ってよ
い。メタライズ処理で使用する金属の例は、Ti、P
t、Au、Sn、Pb、In、Agなどである。接着剤
(例えば、Ag/エポキシ系、Ag/ポリイミド系、A
u/エポキシ系)あるいはAg系ロウ剤、および他の接
着方法を使用してよい。
【0027】また、高熱伝導性物質層として、気相合成
法により合成されたダイヤモンドを利用する場合、溝を
形成するのにレーザー光線、エッチング法などによる加
工ではなく、マスクによる選択成長を使用することがで
きる。これは、例えば特開平1−104761号公報、
特開平1−123423号公報等に開示されている。基
材(例えば、Si、SiC、Cu、Mo、cBN等)の表面
に、マスク材を形成したい溝と対応する形状に配置して
おき、その上に気相合成法によりダイヤモンドを積層さ
せればよい。この時、50μm以上ダイヤモンドを成長
させることにより、ダイヤモンドがマスクの上部にも横
方向成長し、結果として全面を覆うようになる。その
後、基材を溶解などの方法で除去すれば、取り出される
ダイヤモンドは基材面側に溝を有している。マスクは、
Ti、SiO2、Mo等を公知の方法で形成すればよい。こ
の方法の利点は、ダイヤモンドを成長させた後に衝撃を
与える必要がないので、加工中の破損などが生じにくい
ことが挙げられる。
【0028】上記の方法において、マスクを形成する代
わりに、板状材料そのものを加工し、溝と対応する形状
に凸凹を設けておき、その上に気相合成法によりダイヤ
モンドを成長させることもできる。所望の厚さに成長さ
せた後、板状材料を除去すると、板状材料面側には溝を
有するダイヤモンド自立膜を得ることができる。板状材
料としては、例えば、Si、SiC、Moなどが挙げら
れる。
【0029】さらに、高熱伝導性物質層として気相合成
ダイヤモンドを使う場合には、上記の方法を発展させ、
接着の工程を省略することもできる。即ち、基材の上
に、まずマスクをつけ、その上に気相合成ダイヤモンド
を成長させた後、マスクのみを溶解する事により、基材
とダイヤモンドの界面のダイヤモンド側に冷媒の通過す
る溝を有する基板を得ることができる。この方法によれ
ば、接着材を使用する必要がないため、基板全体の放熱
効率をさらに上げることができる。このような基材とし
ては、Si、SiC、Cu、Moが好ましい。
【0030】前記のいずれの方法も高熱伝導性物質層/
基材の界面の高熱伝導性層側に溝を有する基板の製造に
有効である。エッチングによる方法は、微細な溝を精度
良く形成することができる。レーザー加工による方法
は、その形成速度が速い。また、選択成長による方法
(マスクを使用する方法)は、比較的大きな溝を形成す
るのが容易である。
【0031】本発明における基板の他の形態において、
流路の上下方向と横方向は、高熱伝導性物質によって包
囲されている。すなわち、基板の表面に配置された半導
体素子などの発熱体から生じる熱は、高熱伝導性物質の
中を温度勾配が小さいまま伝えられ、流路を通過する冷
媒によって効率よく除去される。
【0032】高熱伝導性物質としては、熱伝導性は高い
方が素子温度を押さえることができ好ましい。その熱伝
導率は、高ければ高い程良いが、10W/cm・K以上あ
ることが適当である。この様な材質を持つ物質として
は、天然ダイヤモンド、高圧合成ダイヤモンド、および
気相合成ダイヤモンドが挙げられる。これらはいずれも
本発明における高熱伝導性物質として適当であるが、特
に気相合成法により得られるダイヤモンドを利用する
と、比較的大面積の高熱伝導性物質が安価に得ることが
できる。熱伝導率は、一般に温度依存性があり、上記ダ
イヤモンドは、室温以上の温度領域では温度上昇と共に
その熱伝導率は低下する。
【0033】通常の半導体素子を搭載する基板の場合、
搭載される素子温度は精々100℃から200℃以下で
あり、この温度領域で熱伝導率が10W/cm・K以上で
あることが本発明における高熱伝導性物質においても望
ましい。SOR光用の窓材等に利用される場合に、照射
されるエネルギーが膨大であるために、従来タイプの窓
材では、それ自体の温度も数百℃まで上昇してしまう。
すると、ダイヤモンドを使用していても、その熱伝導率
は大幅に低下するを免れない。しかし、本発明の窓材を
使用することによって、放熱効果を大きくすることが可
能になるので、窓材自体の温度上昇を防ぎ、かつ熱伝導
率も高いまま維持することができる。
【0034】基板の厚さは、30μm以上、より好まし
くは70μm以上であることが好ましい。基板の厚さの
上限は、通常、10mm、例えば5mmである。高熱伝導性
物質は、半導電性または導電性であってもよいが、絶縁
性であることが好ましい。高熱伝導性物質の抵抗率は、
1x108Ω・cm以上、より好ましくは1x109Ω・cm
以上であることが好ましい。
【0035】流路については、典型的には、その断面形
状は長方形である。流路の高さは大きければ大きいほど
熱交換率は上昇するが、あまり大きすぎるとその機械強
度が弱くなるので好ましくない。具体的には、流路の高
さ(c)は20μm以上、より好ましくは50μm以上で
ある。流路の高さは、基板の厚さの90%未満、より好
ましくは80%未満が好ましい。また、流路の幅(a)
は広いほど熱交換率は上昇するが、基板の強度を保つた
めに流路の数が少なくなるために広すぎても逆に熱交換
率は悪くなる。一方、流路の間隔(b)についても幅と
同様なことがいえ、広すぎても狭すぎても良くない。流
路の幅および間隔は、20μm以上10mm以下、より好
ましくは40μm以上2mm以下であることが望ましい。
【0036】幅(a)と間隔(b)の比(a/b)の範
囲について、半導体基板の場合に、下限は、0.02、
より好ましくは0.04であり、一方、上限は、50、
より好ましくは25であることが望ましく、窓材である
場合に、下限は0.02、より好ましくは0.04であ
り、一方、上限は、10、より好ましくは5であること
が望ましい。幅(a)と高さ(c)の比(a/c)の範
囲について、半導体用基板である場合に、下限は、0.
05、より好ましくは0.1であり、一方、上限は10
0、より好ましくは50であることが望ましく、窓材で
ある場合に、下限は0.02、より好ましくは0.05で
あり、一方、上限は、50、より好ましくは25である
ことが望ましい。
【0037】但し、最適な幅、間隔、高さについては、
基板上に搭載される素子および基板の発熱状態などに依
存する。なお、流路の形状としては、断面が長方形であ
る必要はなく、半円形、半楕円形やさらに複雑な形状を
とりうる。また、1つの基板中で、上記のa, b, cの値
が一定である必要はなく、上に示した条件の中で変化さ
せうる。流路によって占められる基板の表面の割合(基
板の平面に対して垂直方向にみた場合に流路が基板表面
に占める面積の割合)は、半導体用基板である場合に、
通常2〜90%、好ましくは10〜80%であり、窓材
である場合に、通常2〜75%、好ましくは10〜50
%である。流路の側面が基板の表面に対する鉛直線とな
す角度(テーパー角)は、30°以下であることが好ま
しい。
【0038】流路は、基板上に設置される半導体素子な
どの発熱体の配置などに応じて適宜形成することができ
る。最も発熱する部分、あるいは最も低温であることが
要求される部分が最も効率的に冷却されるように流路を
形成することが望ましい。具体的には、最も冷却したい
部分に冷媒が最も多く通過する様に流路を配置する。流
路の断面形状を複雑にし、流路の表面積を大きくするこ
とによっても冷却効率を上げることができる。また、冷
媒の導入口付近は最も冷媒の温度も低いので、冷却効率
が高くなる。従って、発熱体の発熱量分布がほぼ均等で
ある場合、中央部分が最も温度が高くなるので、中央部
に導入口を設け、そこから螺旋状、あるいは放射線状に
冷媒流路を配置すると効率的でよい。
【0039】流路の表面に、厚さ1nm以上1μm以下の
非ダイヤモンドの炭素成分(例えば、グラファイト、非
結晶質カーボン)から成る層が存在してよい。非ダイヤ
モンド層は、非酸化雰囲気(例えば、不活性ガス雰囲
気)において、高熱伝導性物質膜を1000〜1500
℃に30分〜10時間(例えば、1時間)加熱すること
によって、形成することができる(この場合には、流路
以外の基板の表面にも非ダイヤモンド層が形成される
が、これは、研磨などによって除去することができ
る。)。非ダイヤモンド層の有無は、ラマン分光法によ
って測定することが可能である。
【0040】流路の表面において、冷媒に対する濡れ性
が良好であることが好ましい。接触角は、通常65°以
下、より好ましくは60°以下であることが好ましい。
ダイヤモンドの表面には、水素原子が存在するので、こ
のままの状態では、水などの冷媒をはじく。そこで、水
素原子に代えて、酸素原子を含む親水基(例えば、OH
基)をつけることによってダイヤモンド膜表面の親水性
を上げることができる。
【0041】流路の表面の濡れ性の向上するには、例え
ば、酸化雰囲気(例えば、大気雰囲気)において、50
0〜800℃で10分〜10時間アニールするか、また
はあるいは酸素または酸素を含む気体のプラズマで処理
すればよい。流路を形成する方法として酸素プラズマを
使用する場合には、幾分親水性が上がっていると考えら
れるが、さらに上記の濡れ性向上の操作を行ってよい。
【0042】さらに、流路の表面の冷媒に対する濡れ性
を改善する処理としては、上記の他、窒素、ホウ素ある
いは不活性ガス等を含むガス中でのプラズマ処理を挙げ
ることができる。
【0043】冷媒としては、例えば、水、空気、不活性
ガス(例えば、窒素、アルゴンなど)、フルオロカーボ
ン、液体窒素、液体酸素、液体ヘリウムなどを使用す
る。本発明の基板は、高熱伝導性物質の板に、高熱伝導
性物質以外の基材[厚さ0.1〜10mm、例えば、B、
Be、Al、Cu、Si、Ag、Ti、Fe、Ni、M
o、W、これらの合金およびこれらの化合物(例えば、
炭化物、窒化物)]をはり合わせたものであってよい。
本発明の基板は、半導体デバイス、例えば、レーザーチ
ップ、MPUなどにおいて有用である。また、放射光、
例えば、赤外線、紫外線、X線、SOR放射光を透過さ
せる窓材としても有用である。
【0044】さて、以下に、流路を有する基板の製造方
法について説明する。基板は、例えば、レーザー加工な
どにより、基板の側面に直接に穴をあけて流路を形成す
ることによって形成できる。また、基板は、1枚の膜に
溝を形成した後、他の膜を貼り合わせることによっても
形成できる。
【0045】前者の方法では、まず所望の形状の高熱伝
導性物質からなる板を用意し、この側面にレーザー光線
を集光することにより、穴加工を施し、高熱伝導性物質
板の内部に冷媒を通過させる流路を形成する。
【0046】第1高熱伝導性物質膜と第2高熱伝導性物
質膜との貼り合わせによって得る方法を以下に示す。第
1高熱伝導性物質膜には、流路になる溝が形成されてお
り、第2高熱伝導性物質膜には溝が形成されていない。
高熱伝導性物質からなる膜を所望の大きさに用意する。
第1高熱伝導性物質膜の片面に、完成時に内部に埋め込
まれるべき流路をレーザー光線による加工方法、選択的
なエッチングによる加工方法等によって形成する。
【0047】レーザー加工は、物質表面にレーザー光線
を集光することによって物質の削除加工を行い、溝を表
面に形成する。この方法によれば、任意の配置の流路を
得ることができる。高熱伝導性物質の表面に、十分なエ
ネルギー密度を持ったレーザー光線を集光し、物質を削
除しながら徐々に集光位置を移動させて溝を表面に形成
する。レーザー光線としては、YAGレーザー、エキシ
マレーザーなどが利用できるが、特にエキシマレーザー
はその加工精度の点から、任意の深さ、配置の流路を再
現性よく形成することができ好ましい。
【0048】レーザー光の波長は、360nm以下、例え
ば、190〜360nmの範囲であることが好ましい。照
射する光のエネルギー密度は、10〜1011W/cm2
ある。パルス状レーザー光を用い、その1パルス当たり
のエネルギー密度が10-1J/cm2以上で、106J/cm
2以下の範囲とすることが好ましい。さらに、レーザー
発振器より発振される際のレーザー光の広がり角度が1
-2〜5x10-1mradとし、レーザー光の発振スペクト
ルの半値幅を10-4〜1nmとすることが好ましい。レー
ザー光のビーム断面におけるエネルギー分布の均一性は
10%以下であることが好ましい。パルスレーザー光を
円筒型レンズまたは円筒型ミラーにより集光することに
よって、良好な加工の結果を得る。このようなエキシマ
レーザーによる表面溝加工において、適当な雰囲気中で
加工を行うことによって、ダイヤモンド表面の改質を行
うことができ、冷媒との濡れ性をも改善することが可能
となる。例えば、含アミノ基化合物(例えばアンモニ
ア、ヒドラジンなど)雰囲気中において上記の加工を行
うことによって、形成された溝の表面にアミノ基が導入
され、親水性を向上させることが可能である。
【0049】一方、エッチング法による流路形成は、以
下のように行うことができる。即ち、適当なマスクを高
熱伝導性物質膜上に形成した後、マスクはエッチングせ
ず、高熱伝導性物質のみをエッチングする条件で処理す
る。その後マスクを除去して、表面に溝を持った第1高
熱伝導性物質膜が得られる。ダイヤモンド上にマスク材
料としてAl、あるいはSiO2を形成し、酸素あるいは
酸素を含むガスによりダイヤモンドを選択的にエッチン
グすることができると知られており(第53回応物学会
予稿集第二分冊第411頁参照)、この技術を利用して
ダイヤモンド上に溝加工ができる。また、酸素あるいは
酸素を含むガスの代わりに、窒素または水素を利用して
もよい。
【0050】こうして所望の溝を形成した第1高熱伝導
性物質膜を、別途用意した第2高熱伝導性物質膜に貼り
付けすることにより、非常に大きな放熱効率を有する基
板を得ることができる。第2高熱伝導性物質膜には、別
途、流路に通すべき冷却媒体を導入する出入口を設けて
おいてよい。
【0051】第1高熱伝導性物質膜にのみ、溝を形成す
る方法を上記に示したが、第2高熱伝導性物質膜にも膜
を形成し、双方の溝を有する面同士を貼り合わせること
もできる。但し、この場合工程が複雑になるので、第1
高熱伝導性物質膜のみに溝を形成することが好ましい。
【0052】第1高熱伝導性物質膜と第2高熱伝導性物
質膜との貼り付けは、メタライズ処理によって、あるい
は接着剤によって、行うことができる。結合する2つの
面を公知の方法でメタライズ処理し、金属を溶融させる
ことによって行ってよい。メタライズ処理で使用する金
属の例は、Ti、Pt、Au、Sn、Pb、In、Ag
などである。接着剤(例えば、Ag/エポキシ系、Ag
/ポリイミド系、Au/エポキシ系)あるいはAg系ロ
ウ剤、および他の接着方法を使用してよい。接着剤層の
厚さは、通常0.01〜10μmである。
【0053】また、高熱伝導性物質膜として、気相合成
法により合成されたダイヤモンドを利用する場合、溝を
形成するのにレーザー光線、エッチング法などによる加
工ではなく、マスクによる選択成長を使用することがで
きる。これは、例えば特開平1−104761号公報、
特開平1−123423号公報等に開示されている。基
材(例えば、Si、SiC、Cu、Mo、cBN等)の表面
に、マスク材を形成したい溝と対応する形状に配置して
おき、その上に気相合成法によりダイヤモンドを積層さ
せればよい。この時、50μm以上ダイヤモンドを成長
させることにより、ダイヤモンドがマスクの上部にも横
方向成長し、結果として全面を覆うようになる。その
後、基材を溶解などの方法で除去すれば、取り出される
ダイヤモンドは基材面側に溝を有している。マスクは、
Ti、SiO2、Mo等を公知の方法で形成すればよい。こ
の方法の利点は、ダイヤモンドを成長させた後に衝撃を
与える必要がないので、加工中の破損などが生じにくい
ことが挙げられる。
【0054】上記の方法において、マスクを形成する代
わりに、板状材料そのものを加工し、溝と対応する形状
に凸凹を設けておき、その上に気相合成法によりダイヤ
モンドを成長させることもできる。所望の厚さに成長さ
せた後、板状材料を除去すると、板状材料面側には溝を
有するダイヤモンド自立膜を得ることができる。板状材
料としては、例えば、Si、SiC、Moなどが挙げら
れる。
【0055】さらに、高熱伝導性物質膜として気相合成
ダイヤモンドを使う場合には、上記の方法を発展させ、
接着の工程を省略することもできる。即ち、ダイヤモン
ド膜の上に、まずマスクをつけ、その上に気相合成ダイ
ヤモンドを成長させた後、マスクのみを溶解する事によ
り、流路を有する基板を得ることができる。この方法に
よれば、接着材を使用する必要がないため、基板全体の
放熱効率をさらに上げることができる。
【0056】前記のいずれの方法も流路を有する基板の
製造に有効である。エッチングによる方法は、微細な溝
を精度良く形成することができる。レーザー加工による
方法は、その形成速度が速い。また、選択成長による方
法(マスクを使用する方法)は、比較的大きな溝を形成
するのが容易である。以下、添付図面を参照して、本発
明を説明する。
【0057】図1は、本発明における溝付高熱伝導性物
質層の概念を示す平面図である。高熱伝導性物質層11
には、溝が形成されていない表面が櫛型状になるよう
に、溝12が設けられている。図2は、本発明における
放熱基板の側面図である。放熱基板16は、高熱伝導性
物質層11、基材13および接着剤層15を有してな
る。基材13には、溝12と連絡する2つの冷媒出入口
14が設けられている。基材13における冷媒出入口1
4の大きさおよび数は、特に限定されない。例えば、溝
の両端に対応する基材の部分のそれぞれに、冷媒出入口
が存在してよい。図3は、本発明における溝付高熱伝導
性物質層の概念を示す平面図である。高熱伝導性物質層
21には、ら旋状に溝22が形成されている。図4は、
高熱伝導性物質層に形成される溝を示す断面図である。
溝12は、幅aおよび深さcを有しており、間隔bで形
成されている。
【0058】図5は、本発明の基板を示す平面図であ
る。基板111には流路112が形成されており、流路
112は基板内部に埋め込まれている。図6は、図5の
基板の正面図である。基板111は、流路112が形成
されている第1高熱伝導性物質膜113、第2高熱伝導
性物質膜114および接着剤層115を有してなる。流
路112は、2つの冷媒出入口116に接続している。
冷媒出入口116は、このような位置になくてもよく、
第1高熱伝導性物質膜113または第2高熱伝導性物質
膜114の主表面に設けられていてもよい。冷媒出入口
の大きさおよび数は、特に限定されない。
【0059】図7は、本発明の別の基板を示す平面図で
ある。基板121には、ら旋状に流路122が形成され
ている。図8は、本発明における基板に形成される流路
を示す断面図である。流路112は、幅aおよび高さc
を有しており、間隔bで形成されている。
【0060】図9は、ダイヤモンドおよび非ダイヤモン
ド炭素のラマンスペクトルを示す。曲線aは、ダイヤモ
ンドのスペクトルであり、1333cm-1に強いピーク
を有する。曲線bは、非ダイヤモンド炭素を多く含む物
質のスペクトルであり、ブロードな2つのピークを有す
る。
【0061】
【実施例】以下、実施例により、具体的に本発明を開示
する。実施例1 CVD、レーザー溝入れ、貼り付け、CuW:傷つけ処
理をした多結晶Si基材(10mmx10mmx厚さ2mm)上
に、マイクロ波プラズマCVD法によりダイヤモンドを
成長させた。成長条件は、メタン1%−水素系で、圧力
80Torr、基板温度は900℃であった。400hrの
成長の後、成長面を研磨し、Si基材を酸により溶解し
たところ、10mmx10mmx厚さ0.5mmのダイヤモン
ド自立膜を得た。熱伝導率を測定したところ17.2W
/cm・Kであった。
【0062】上記のようにして得たダイヤモンド自立膜
の片面に、KrFエキシマレーザーを線集光および点集
光し、図1の様な溝を形成した。溝の深さは約150μ
m、幅は約500μm、間隔は約400μmであった。こ
の溝付ダイヤモンドおよびCuW合金(10mmx10mm
x厚さ2mm)の両方にTi、Pt、Auを蒸着した後、
Auの溶融を行うことによって接着した。Ti/Pt/
Au/Pt/Ti層の厚さは0.1μmであった。CuW
合金には、あらかじめダイヤモンドの溝に導入する冷媒
の出入口(直径:400μm)を設けてある(図2)。以
上のようにして作製した溝入りダイヤ/CuW基板の溝
に、冷却用水(水温25℃)を供給した。この時、ダイヤ
モンドの表面から冷媒の水の間の熱抵抗を測定したとこ
ろ、0.014℃/Wであった。
【0063】実施例2 高圧合成、溝入れレーザー、貼り付け、CuW:高温高
圧下で合成したIb型ダイヤモンド(8mm×8mm×0.6m
m、熱伝導率18.3W/cm・K)を用いて、実施例1と
同様に溝入りダイヤ/CuW基板を作製した。但し、ダ
イヤモンドに形成する溝は、ArFエキシマレーザーを
使用し、深さ約200μm、幅約350μm、間隔約40
0μmであった(図3)。こうして作製した溝入りダイヤ
/CuW基板の溝に、実施例1と同様に冷却用水(水温2
5℃)を供給した。この時、ダイヤモンドの表面から冷
媒の水の間の熱抵抗を測定したところ、0.021℃/
Wであった。
【0064】実施例3 CVD、エッチング、貼り付け:実施例1と同様の条件
で10mmx10mmx厚さ0.25mmのダイヤモンド自立
膜を得た。この片面に、Alのマスクパターンを線幅1
00μm、間隔50μmで形成した。これを、アルゴンと
酸素の混合ガスによりプラズマエッチングした。酸素の
比率20%、全圧力0.05Torr、RF出力200W
で、3hr処理を行った。処理後、Alを酸により溶解除
去し、深さ50μm、線幅50μm、間隔100μmの溝
入りダイヤモンド自立膜を得た。ダイヤモンド自立膜を
Be基材(10mmx10mmx厚さ3mm)上に接着して
(基材周辺部にTi/Pt/Auのメタライズを施し、
その後Ag系ロウ材を使ってロウ付した。)、窓材を得
た。この窓材を、シンクロトロン放射光(SOR)ビー
ムライン(500MeV)用の窓材として使用した。冷
媒としてフルオロカーボン(フロン112)(25℃)
を使用した。10時間の放射の後において変化(または
変質)は観測されなかった。
【0065】実施例4 CVD、溝入れ選択成長、貼り付け:傷つけ処理をした
多結晶Si基材(10mmx10mmx厚さ2mm)上に、まず
Tiによるマスクを図3の様に形成した。この基材の上
に、熱フィラメントCVD法でダイヤモンドを成長させ
た。成長条件は、メタン2%−水素系で、圧力80Tor
r、フィラメント温度は2100℃、基材温度は880
℃であった。650hr成長させたところ、Siから成長
したダイヤモンドがTiマスク上を含めた基材全体を覆
い、その厚さは約950μmになった。成長面を研磨
し、酸によりマスクとSi基材を溶解除去し、裏面に溝
の入ったダイヤモンド自立膜(膜厚850μm)を得た。
溝の間隔は約700μm、幅は約300μm、深さは約8
0μmであった。この基材の熱伝導率を測定したとこ
ろ、14.8W/cm・Kであった。上記のようにして得
られた溝付ダイヤモンドを、CuW合金上に接着した。
CuW合金には、あらかじめダイヤモンドの溝に導入す
る冷媒の出入口を設けてある。実施例1、2と同じよう
に、冷却用水(水温25℃)を供給した。この時、ダイヤ
モンドの表面から冷媒の水の間の熱抵抗を測定したとこ
ろ、0.018℃/Wであった。
【0066】実施例5 CVD、溝入れ選択成長、一体化:実施例3と同様に、
多結晶SiC基材(10mmx10mmx厚さ4mm)上に、Ti
マスクを形成した後、熱フィラメントCVD法によりダ
イヤモンドを成長させた。このとき、多結晶SiC基材
にあらかじめマスク(最終的に溝となる部分)の両端部
に、冷媒を導入する出入口を設けておいた。こののち、
酸によりマスクのTiのみを溶解除去し、溝入りダイヤ
/SiC基板を得た。実施例1、2と同様に、冷却用水
(水温25℃)を供給した。この時ダイヤモンドの表面か
ら冷媒の水の間の熱抵抗を測定したところ、0.025
℃/Wであった。
【0067】実施例6 大気アニール 実施例1と同様にして、図1のような溝入りダイヤモン
ドを得た。これを600℃で大気中30分アニールした
後、実施例1と同様にCuW基板上に貼り付けた。こう
して作製した溝入りダイヤ/CuW基板の溝に、冷媒の
水(水温25℃)を導入した。ダイヤモンド表面から冷
媒の間の熱抵抗を調べたところ、0.012℃/Wであ
った。
【0068】実施例7 真空アニール 実施例1と同様にして、図1のような溝入りダイヤモン
ドを得た。これを、1200℃で真空中30分アニール
した。この試料に対し、ラマンスペクトル測定を行った
ところ、非ダイヤモンド成分を示すピークがみられた。
この後、実施例1と同様にCuW基板上に貼り付けた。
こうして作製した溝入りダイヤ/CuW基板の溝に、冷
媒の水(水温25℃)を導入した。ダイヤモンド表面か
ら冷媒の間の熱抵抗を調べたところ、0.011℃/W
であった。
【0069】実施例8 実施例1と同様にして、図1のような溝入りダイヤモン
ドを得た。これを、μ波プラズマにより、水素中100
Torr、温度800℃で30分処理した。この試料のラ
マンスペクトル測定を行った。すると、図8のaに示す
ようにダイヤモンドの鋭いピークがみられた。この後、
実施例1と同様にCuW基板上に貼り付けた。こうして
作製した溝入りダイヤ/CuW基板の溝に、冷媒の水
(水温25℃)を導入した。ダイヤモンド表面から冷媒
の間の熱抵抗を調べたところ、0.038℃/Wであっ
た。
【0070】実施例9 CVD、レーザー流路入れ、貼り付け:傷つけ処理をし
た多結晶Si基材(10mmx10mmx厚さ2mm)を2枚用
意し、その上にマイクロ波プラズマCVD法によりダイ
ヤモンドを成長させた。成長条件は、メタン1%−水素
系で、圧力80Torr、基材温度は900℃であった。
1枚は250hr、もう1枚は200hrの成長の後、成長
面を研磨し、Si基材を酸により溶解したところ、10
mm x 10mm x 厚さ0.3mmおよび10mm x10mm
x 0.15mmの2枚のダイヤモンド自立膜を得た。熱伝
導率を測定したところ、それぞれ17.2W/cm・K
(厚さ0.3mmのもの、第1ダイヤモンド自立膜)およ
び16.9W/cm・K(厚さ0.15mmのもの、第2ダイ
ヤモンド自立膜)であった。
【0071】上記のようにして得た第1ダイヤモンド自
立膜(厚さ0.3mmのダイヤモンド自立膜)の片面に、
KrFエキシマレーザーを線集光および点集光し、図5
の様な溝を形成した。溝の深さは約150μm、幅は約
500μm、間隔は約400μmであった。両者にTi、
PtおよびAuを蒸着により積層した後、Auを溶融す
ることにより、第1ダイヤモンド自立膜を第2ダイヤモ
ンド自立膜に接着し、基板を作製した(図5および図
6)。Ti/Pt/Au/Pt/Ti層の厚さは0.1
μmであった。以上のようにして作製した基板の流路
に、冷却用水(水温25℃)を供給した。ダイヤモンドの
表面から冷媒の水の間の熱抵抗を測定したところ、0.
011℃/Wであった。
【0072】実施例10 高圧合成、流路入れレーザー、貼り付け:高温高圧下で
合成したIb型ダイヤモンド[第1ダイヤモンド自立膜
(8mm×8mm×厚さ0.4mm、熱伝導率18.3W/cm・
K)および第2ダイヤモンド自立膜(8mm×8mm×厚さ
0.2mm、熱伝導率18.3W/cm・K)を用いて、実施
例9と同様に流路入りダイヤ基板を作製した。但し、第
1ダイヤモンド自立膜に形成する流路は、ArFエキシ
マレーザーを使用し、深さ約200μm、幅約350μ
m、間隔約400μmであり、図7に示すようなものであ
った。第2ダイヤモンド自立膜には、流路に導入する冷
媒の出入口として、2箇所に穴をKrFエキシマレーザ
ーを点集光して加工した。こうして作製した基板の流路
に、実施例9と同様に冷却用水(水温25℃)を供給し
た。この時、ダイヤモンドの表面から冷媒の水の間の熱
抵抗を測定したところ、0.013℃/Wであった。
【0073】比較例1 AlN、流路あり:第1AlN自立膜(10mm x 10
mm x 厚さ0.5mm、熱伝導率1.8〜1.9W/cm・
K)の片面に実施例9と同様にKrFエキシマレーザー
を使用して、溝を形成した。溝の深さは約150μm、
幅は約500μm、間隔は約400μmであった。第1A
lN自立膜を第2AlN自立膜(10mm x 10mm x
厚さ0.3mm、熱伝導率1.8〜1.9W/cm・K)と接
着し、流路を有する基板を得た。AlN基板の流路に冷
却用水(水温25℃)を供給した。この時、AlNの表
面から冷却用水の間の熱抵抗を測定したところ、0.0
88℃/Wであった。
【0074】比較例2 CVD、流路なし:実施例9と同様に、気相合成ダイヤ
10mmx10mmx0.5mmの自立膜(熱伝導率17.2W
/cm・K)を作製した。これの片面に、25℃の空気を
吹き付けながら、表面と空気の間の熱抵抗を測定したと
ころ、2.8℃/Wであった。
【0075】比較例3 CVD、流路細すぎ:実施例9と同様に、気相合成によ
って、第1ダイヤモンド自立膜(10mmx10mmx0.3
mm、熱伝導率17.2W/cm・K)および第2ダイヤモン
ド自立膜(10mm x 10mm x 0.15mm、熱伝導率
17.2W/cm・K)を作製した。第1ダイヤモンド自
立膜に、KrFエキシマレーザーを利用して、図5に示
すように、光線を線集光して溝を形成した。溝の深さは
約150μm、幅は約10μm、間隔は約990μmであ
った。この溝付第1ダイヤモンド自立膜を、第2ダイヤ
モンド自立膜に接着し、ダイヤモンド基板を作成した。
ダイヤモンド基板の流路に、冷却用水(水温25℃)を供
給した。この時、ダイヤモンドの表面から冷媒の水の間
の熱抵抗を測定したところ、0.32℃/Wであった。
【0076】実施例11 大気アニール:実施例9と同様にして、第1ダイヤモン
ド自立膜および第2ダイヤモンド自立膜を得た。第1ダ
イヤモンド自立膜を、大気炉にセットし、600℃、3
0分間大気中でアニールした。この後、実施例9と同様
に、第2ダイヤモンド自立膜を貼り付け、ダイヤモンド
基板を得た。上記基板に、冷却用水(水温25℃)を供
給した。ダイヤモンド表面から冷媒の水の間の熱抵抗を
調べたところ、0.01℃/Wであった。
【0077】実施例12 真空アニール:実施例9と同様にして、第1ダイヤモン
ド自立膜および第2ダイヤモンド自立膜を得た。第1ダ
イヤモンド自立膜を、真空炉にセットし、1200℃、
30分間真空中でアニールした。この自立膜に対し、ラ
マンスペクトル測定を行ったところ、図9のbに示すよ
うに非ダイヤモンド成分を示すピークがみられた。この
後、実施例9と同様に、第2ダイヤモンド自立膜を貼り
付け、ダイヤモンド基板を得た。上記基板に、冷却用水
(水温25℃)を供給した。ダイヤモンド表面から冷媒
の間の熱抵抗を測定したところ、0.01℃/Wであっ
た。
【0078】実施例13 側面より溝入れ:傷つけ処理をした多結晶Si基材(4
×4×1mm)を用意し、その上に熱フィラメントCVD
法によりダイヤモンドを成長させた。成長条件はメタン
2%−水素系で、圧力100Torr、基材温度は850
℃、フィラメントはタングステンで温度は2100℃で
あった。成長後、研磨し、Si基材を酸により溶解した
ところ、4×4×0.55mmのダイヤモンド自立膜を得
た。熱伝導率は15.9W/cm・Kであった。上記のよ
うにして得たダイヤモンド膜の側面から、KrFエキシ
マレーザーを点集光し、貫通穴を形成した。穴の高さは
約250μm、幅は約300μm、間隔は約300μmで
あった。以上のようにして作製した基板の流路に、別途
冷媒の出入口を配管し、そこから冷却用水(水温25
℃)を供給した。ダイヤモンドの表面から冷媒の水の間
の熱抵抗を測定したところ、0.012℃/Wであっ
た。
【0079】実施例14 エッチング:実施例9と同様の条件で10mm×10mm×
0.3mmの第1ダイヤモンド自立膜を得た。この片面
に、A1のマスクパターンを線幅約100μm、間隔約
50μmで形成した。これをアルゴンと酸素の混合ガス
によりプラズマエッチングした。酸素の比率20%、全
圧力0.05Torr、RF出力200Wで、3時間処理を
行った。処理後、A1を酸により溶解除去し、深さ約5
0μm、線幅約50μm、間隔約100μmの溝入り第1
ダイヤモンド自立膜を得た。上記第1ダイヤモンド自立
膜を、別途用意した第2ダイヤモンド自立膜(10mm×
10mm×0.15mm)と、両者にTi、Pt、Auを蒸
着により積層した後、Auを溶融させることによって接
着し、基板を作製した。Ti/Pt/Au/Pt/Ti
層の厚さは1μmであった。以上のようにして作製した
基板の流路に、冷却用水(水温25℃)を供給した。ダ
イヤモンドの表面から冷媒の水の間の熱抵抗を測定した
ところ、0.021℃/Wであった。
【0080】実施例15 多結晶Si基材(10×10×厚さ2mm)を2枚用意
し、その上にμ波プラズマCVD法によりダイヤモンド
を成長させた。2枚のSi基材のうち1枚には、深さ約
60μm、線幅約100μm、間隔約200μmの溝を形
成してある。成長条件は、メタン1%−水素系で、圧力
80Torr、基材温度は900℃であった。成長面を研
磨し、Si基材を溶解除去したところ、10mm×10mm
×0.3mm(第1自立膜)および10mm×10mm×0.1
5mm(第2自立膜)の2枚のダイヤモンド自立膜を得
た。第1自立膜には、溝が形成してあるSi基材上に成
膜したために、表面に深さ60μm、線幅200μm、間
隔100μmの溝が形成された。熱伝導率は、第1自立
膜が15.9W/cm・K、第2自立膜が18.2W/cm・
Kであった。上記2枚の自立膜を、実施例9と同様に貼
り合わせ、基板を作製した。基板に、冷却用水(水温2
5℃)を供給した。ダイヤモンド表面から冷媒の水の間
の熱抵抗を測定したところ、0.017℃/Wであっ
た。
【0081】実施例16 多結晶Si基材(10×10×厚さ2mm)を2枚用意
し、その上に熱フィラメントCVD法によりダイヤモン
ドを成長させた。2枚には、線幅約100μm、間隔約
20μm、厚さ約2μmのモリブデン膜を両者同様に蒸着
してある。成長条件は、実施例13と同様にした。成長
面を研磨し、酸で基材とモリブデンを溶解除去したとこ
ろ、10mm×10mm×0.3mm(第1自立膜)および1
0mm×10mm×0.15mm(第2自立膜)を得た。各々、
表面に深さ約40μm、線幅約200μm、間隔約100
μmの溝が形成された。熱伝導率は第1自立膜が15.2
W/cm・K、第2自立膜が16.9W/cm・Kであっ
た。上記2枚の自立膜を、実施例9と同様に、両者の溝
がうまく一致するように貼り合わせ、基板を作製した。
基板に、冷却用水(水温25℃)を供給した。ダイヤモ
ンド表面から冷媒の水の間の熱抵抗を測定したところ、
0.018℃/Wであった。
【0082】実施例17 多結晶Si基材(10×10×厚さ2mm)を1枚用意
し、その上に熱フィラメントCVD法によりダイヤモン
ドを成長させた。成長条件は、実施例13と同様にし
た。成長面を研磨し、酸で基材を溶解除去したところ、
10mm×10mm×0.15mm(第1自立膜)を得た。こ
の自立膜上に、線幅約100μm、間隔約200μm、厚
さ約5μmのモリブデン膜を蒸着した後、同様の条件で
ダイヤモンドの成膜を続行した。成長面を再度研磨した
後、酸によりモリブデンを溶解除去し、厚さ450μm
の基板を得た。溝の高さは約60μm、線幅約200μ
m、間隔約100μmであった。上記基板に、冷却用水
(水温25℃)を供給した。ダイヤモンド表面から冷媒
の水の間の熱抵抗を測定したところ、0.02℃/Wで
あった。
【0083】
【発明の効果】本発明による基板の製造方法を用いる
と、高い放熱特性を持った基板を容易に得ることができ
る。特に、これまでの基板では対応が困難であった高エ
ネルギー密度のレーザーチップなど、単位面積あたりの
発熱量の非常に大きな素子を搭載する場合に、大きな効
果を発揮することができる。また、基材として各種の光
透過性の高い物質を使うことによって、高熱伝導性の窓
材の製法としても非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における溝付高熱伝導性物質層の概念
を示す平面図。
【図2】 本発明における放熱基板の側面図。
【図3】 本発明における溝付高熱伝導性物質層の概念
を示す平面図。
【図4】 高熱伝導性物質層に形成される溝を示す断面
図である。
【図5】 高熱伝導性物質が流路周囲を包囲する本発明
の基板の平面図。
【図6】 図5の基板の正面図。
【図7】 高熱伝導性物質が流路周囲を包囲する本発明
の別の基板の平面図。
【図8】 本発明の基板に形成される流路を示す断面
図。
【図9】 ダイヤモンドおよび非ダイヤモンド炭素のラ
マンスペクトル。
【符号の説明】
11、21…高熱伝導性物質層 12、22…冷媒通過用の溝 13…基材 14…冷媒出入口 15…接着層 16…基板 111、121…基板 112、122…冷媒通過用の流路 113…第1高熱伝導性膜 114…第2高熱伝導性膜 115…接着層 116…冷媒出入口
フロントページの続き (72)発明者 太田 進啓 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 藤森 直治 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)熱伝導率10W/cm・K以上の高熱
    伝導性物質より成る薄板の片面に、レーザー光線による
    加工を利用して、冷却用媒体が通過する為の流路を形成
    する工程と、 b)前記加工の施された面に基材を接着させる工程を含
    むことを特徴とする基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 レーザー光線が、エキシマレーザー光で
    あることを特徴とする請求項1に記載の基板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 高熱伝導性物質が、ダイヤモンドである
    ことを特徴とする請求項1に記載の基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 ダイヤモンドが、気相合成ダイヤモンド
    であることを特徴とする請求項3に記載の基板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 冷却用媒体を通過させるための流路の表
    面の、冷却用媒体に対する濡れ性を向上させる処理工程
    を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    の基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 熱伝導率10W/cm・K以上の高熱伝導
    性物質から成る板の片面に、レーザー光線を利用して、
    冷却用媒体を通過するための流路を形成する工程と、前
    記加工の施された面に、熱伝導率10W/cm・K以上の
    高熱伝導性物質よりなる別の板を接着させる工程を含む
    ことを特徴とする基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 熱伝導率10W/cm・K以上の高熱伝導
    性物質よりなる板の側面より、レーザー光線を利用して
    冷却用媒体の通過するための流路を形成する工程を含む
    ことを特徴とする基板の製造方法。
  8. 【請求項8】 a)熱伝導率10W/cm・K以上の高熱
    伝導性物質より成る薄板の片面に、マスクを部分的に施
    す工程と、 b)マスクが施されていない部分を選択的にエッチング
    することにより冷却用媒体が通過するための流路を形成
    する工程と、 c)マスクを除去する工程と、 d)前記加工の施された面に基材を接着する工程を含む
    ことを特徴とする基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記基材が熱伝導率10W/cm・K以上
    の高熱伝導性物質から成る薄板であることを特徴とする
    請求項8に記載の基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 マスクが施されていない部分を選択的
    にエッチングする工程が、酸素または酸素を含む反応ガ
    スのプラズマを用いて行われることを特徴とする請求項
    8に記載の基板の製造方法。
  11. 【請求項11】 板状材料に溝を形成する工程と、板状
    材料上に気相合成法によりダイヤモンドを成長させる工
    程と、板状材料を除去して溝入りダイヤモンド自立膜を
    得る工程と、前記溝を有する面に基材を接着させる工程
    を含むことを特徴とする基板の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記基材がダイヤモンド自立膜である
    ことを特徴とする請求項11に記載の基板の製造方法。
  13. 【請求項13】 基材にマスクを施す工程と、気相合成
    法によりダイヤモンドを成長させる工程と、マスクを除
    去することにより冷却用媒体を通過させるための流路を
    得る工程とを含むことを特徴とする基板の製造方法。
  14. 【請求項14】 板状材料にマスクを施す工程と、気相
    合成法によりダイヤモンドを成長させる工程と、マスク
    および板状材料を除去し溝入りダイヤモンド自立膜を得
    る工程と、該自立膜の溝の形成されている面に基材を接
    着させる工程を含むことを特徴とする基板の製造方法。
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