JPH08226717A - 冷媒圧縮機 - Google Patents
冷媒圧縮機Info
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- JPH08226717A JPH08226717A JP8001560A JP156096A JPH08226717A JP H08226717 A JPH08226717 A JP H08226717A JP 8001560 A JP8001560 A JP 8001560A JP 156096 A JP156096 A JP 156096A JP H08226717 A JPH08226717 A JP H08226717A
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Abstract
の使用を可能ならしめるフロン規制に対応した優れた冷
凍機油を用いて長期使用に耐え得る信頼性の高い冷媒圧
縮機を実現することにある。 【解決手段】本発明の冷媒圧縮機の密閉容器内に充填さ
れる冷凍機油は、エステル油、アルキルベンゼン、鉱油
等の冷凍機油に、分子内に2個以上のエポキシ基を保有
するエポキシ化合物を、さらに好ましくはフェノール系
酸化防止剤をも適量添加したものであり、冷媒と油ある
いは冷媒と水との反応により生成する酸をこのエポキシ
基が開環して捕捉し、これによって油の耐冷媒性を大巾
に改善する。油の全酸価の上昇や銅メッキ現象等による
圧縮機摺動部の腐食摩耗や損傷を防止することができ、
信頼性の高い冷媒圧縮機が実現できる。
Description
した冷媒圧縮機に係り、特に冷媒と比較的高温度で接触
しても劣化が少なく、圧縮機の信頼性を高めるのに好適
な冷凍機油組成物を内蔵した冷媒圧縮機に関する。
の問題から、分子中に塩素を含むフロン(クロロフルオ
ロカーボン類)が使用規制の対象になっている。規制の
対象となっているフロンは、フロン11、フロン12、
フロン113、フロン114、フロン115等で、例え
ば冷蔵庫など冷凍機器の冷凍サイクルに用いられてきた
フロン12も規制の対象となっている。
れる分子中に水素元素を含んだハイドロクロロフルオロ
カーボン系やフロン502(フロン22,48.8%と
フロン115の共沸混合冷媒)等が検討されているが、
これらはフロン12を1としたときのオゾン破壊係数が
フロン22で0.05、フロン502が0.3であり、恒
久的には分子中に塩素を含まないハイドロフルオロカー
ボン系が採用される気運にある。フロン134aはその
代表的冷媒である。すなわち、フロン134aはオゾン
破壊係数が0であり、不燃性で、熱力学的特性がフロン
12と近似しており、冷蔵庫、除湿機などの冷凍装置や
冷媒圧縮機の構造を大巾に変更することなく実用化でき
る利点がある。
CF3)は化学構造が特異なため非常に特徴的な性質を
有しており、フロン12の冷凍システムで使用されてき
た冷凍機油である鉱油(ナフテン系油、パラフィン系
油)や合成油のアルキルベンゼンとは全く相溶しないた
め、冷凍サイクル中に油が流出した場合には油戻りが悪
くなり、熱交換機器内に油が滞留して伝熱性能を低下さ
せるとともに、最悪の場合には圧縮機内の油が不足し、
潤滑不良により摺動部の焼付きや異常摩耗を生じるとい
う問題がある。したがって、フロン134a用の新たな
冷凍機油の開発が必要となっている。
としては、ポリグリコール系油やエステル系油などが知
られている。例えば特公平1−259093号公報には
「フロン圧縮機用冷凍機油」として、プロピレングリコ
ールモノエーテルを基油とするものでフロン134aの
圧縮に使用する方法が開示されている。この他に、特公
平1−259094号公報ではプロピレングリコールの
末端をエーテル化したジエーテルタイプの化合物が、特
公平1−259095号公報ではプロピレングリコール
とエチレングリコール共重合体のモノエーテルタイプ化
合物などが開示されている。また、雑誌「冷凍 第65
巻、第756号、第47〜52頁(1990年10月
号)」には「代替フロンR−134a用冷凍機油につい
て」としてエステル油が紹介されている。また、鉱油系
や合成系冷凍機油の熱安定性を向上させるためには、フ
ェニルグリシジルエーテルやアルキレンオキシド化合物
を添加することが知られている。この種の冷凍機油組成
物として関連するものには例えば特開昭57−1069
4号公報を挙げることができる。
イドロフルオロカーボンのフロン134a用冷凍機油の
場合、ポリグリコール油では(1)吸湿性が大きい(飽
和水分量10000〜30000ppm)、(2)電気
絶縁抵抗値が低い(体積抵抗率1012Ω・cm以下)、
(3)酸化劣化性が大きい、という欠点があり、駆動源
であるモータが一体となった密閉形圧縮機を用いる場合
には、モータコイルや端子部等の絶縁特性を低下させる
恐れがあり、信頼性の点で問題があった。
油に比べて、電気絶縁特性(体積抵抗率1012Ω・c
m)及び吸湿特性(飽和水分量1000〜5000pp
m)が改善されるが、それでもフロン12システムで使
用される冷凍機油である鉱油やアルキルベンゼンの飽和
水分量50〜100ppmに比べると吸湿性が大きく、
エステル油の分子構造上、加水分解は避けられない。し
たがって、水分濃度の高いエステル油を冷凍機油として
用いると、冷凍システム内で最も高温になる圧縮機摺動
部周辺でエステル油が加水分解して有機酸を生成し、冷
凍機油の全酸価が上昇する。これにより、圧縮機摺動材
料の腐食、損傷あるいは銅メッキの生成、さらには粘稠
な金属石けんを生成し摺動部が固渋する、冷凍サイクル
のキャピラリーチューブ内を閉塞する等、圧縮機および
冷凍装置としての長期信頼性を著しく損うことになり改
善が望まれていた。また、冷媒としてハイドロクロロフ
ルオロカーボン系のフロン22やフロン502を用い、
冷凍機油として鉱油やアルキルベンゼンを使用する冷凍
サイクルにおいては、圧縮機摺動部材料表面への銅メッ
キの発生があり、圧縮機の信頼性の点で問題があった。
解決することにあり、具体的にはフロン12の代替冷媒
であるハイドロフルオロカーボン系およびハイドロクロ
ロフルオロカーボン系の少なくとも1種の共存下におい
ても、耐熱安定性,耐摩耗性に優れた冷凍機油組成物を
密閉容器内に充填した冷媒圧縮機を提供することにあ
る。
し圧縮される圧縮機内に潤滑油として以下に詳述する冷
凍機油組成物を充填して成る冷凍圧縮機により達成され
る。すなわち、冷凍機油を貯溜する密閉容器内に回転子
と固定子からなるモーターと、前記回転子に嵌着された
回転軸と、この回転軸を介して前記モータに連結された
圧縮機部とを収納してなる冷凍サイクルに用いる冷媒圧
縮機であって、前記冷凍機油組成物として、エステル
油、アルキルベンゼン油及び鉱油からなる群から選択さ
れる少なくとも1種の油を基油とし、これに少なくとも
エポキシ基を2個以上保有するエポキシ化合物を所定量
含有せしめて構成される冷凍機油を充填して成る冷媒圧
縮機により、達成される。
ベンゼン油及び鉱油からなる群から選択される少なくと
も1種の基油と、少なくともエポキシ基を2個以上保有
するエポキシ化合物とを有してなる冷凍機油をその底部
に貯溜する密閉容器と、さらに前記密閉容器内に回転子
と固定子からなるモーターと、前記回転子に嵌着された
回転軸と、この回転軸を介して前記モータに連結された
圧縮機部と、ハイドロフルオロカーボン系及びハイドロ
クロロフルオロカーボン系の少なくとも1種から成る冷
媒とを収納して成る冷媒圧縮機を駆動し、それによって
前記冷媒と前記冷凍機油とを圧縮することを特徴とする
冷媒圧縮機の駆動方法によっても達成される。
ボン又はハイドロクロロフルオロカーボン系冷媒が臨界
温度40℃以上の相当に高い温度条件下で使用されて
も、油と冷媒あるいは油と水の反応を抑止するため、十
分に安定した状態で駆動可能な冷媒圧縮機が実現でき
る。
機(脂肪)酸のエステル反応により得られるヒンダード
エステル油及び多価アルコールと多塩基酸と有機(脂
肪)酸より得られるコンプレックスエステル油などを対
象とするもので、これらを単独もしくは複合して基油と
するものである。
量は0.05〜10重量%であり、また、好ましいエポ
キシ化合物としては、例えばアルキレングリコールジグ
リシジルエーテル及び脂肪族環状エポキシ化合物の少な
くとも1種を主成分として含有して成るものであり、具
体的には以下に示すような化合物を挙げることができ
る。
ーテルとしては、例えば、下記一般式1(ただし、式中
R1はアルキレン基、R2はH又はアルキル基)、式2
(ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル)、式
3(1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)
及び式4(ソルビトールポリグリシジルエーテル)の少
なくとも一つで表わされるグリシジルエーテル化合物を
含有して成るものが望ましい。
例えば下記式5で表わされる3,4−エポキシシクロヘ
キシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカル
ボキシレート、式10で表される環内エポキシ系化合
物、式110で表される環内エポキシ+グリシジルエー
テル系化合物、式12で表されるグリシジルエステル系
化合物、式13で表されるヒダントイン系化合物を挙げ
ることができる。
R2がHもしくはCH3から成り、下記式6(エチレン・
プロピレングリコールジグリシジルエーテル)もしくは
式7(プロピレン・ポリプロピレングリコールジグリシ
ジルエーテル)で表わされるエポキシ化合物を含有して
成るものが特に好ましい。
おり分子中に2個以上のエポキシ基を保有しているとこ
ろに特徴があり、例えばフェニルグリシジルエーテルの
如く分子中にエポキシ基を1個しか保有しないモノエポ
キシ化合物に比べて酸補捉効果が良好である。また、エ
ステル油、アルキルベンゼン油、鉱油の単独もしくは混
合油の基油に対するエポキシ基を2個以上保有するエポ
キシ化合物は、プロピレン・ポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテルもしくは3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカ
ルボキシレートが好ましく、基油への混合量は前述した
ように0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜1重
量%である。
粘度範囲のものでよく、本発明の目的を阻害しない範囲
であれば酸化防止剤、極圧剤、消泡剤等を配合しても差
し支えない。特に、酸化防止剤としてフェノール系化合
物を添加することは有効で、油の変質、劣化を防止して
耐久性を保持する上からも積極的に含有させることが望
ましい。わずかでも添加すればそれなりの効果は認めら
れるが、実用的に好ましい含有量は0.01〜5重量%
である。この種のフェノール系化合物の好ましい例とし
ては、下記式8、9で表される化合物を挙げることがで
きる。これらは単独でも混合しても良い。
ドロフルオロカーボン系冷媒の例としては、ジフルオロ
メタン(フロン32)、ペンタフルオルエタン(フロン
125)、1,1,2,2−テトラフルオロメタン(フ
ロン134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン
(フロン134a)、1,1,2−トリフルオロエタン
(フロン143a)、1,1−ジフルオロエタン(フロ
ン152a)、モノフルオロエタン(フロン161)等
が挙げられる。また、ハイドロクロロフルオロカーボン
系の例としては、ジクロロモノフルオロメタン(フロン
21)、モノクロロジフルオロメタン(フロン22)、
モノクロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン
(フロン124)、1−クロロ−1,1,2,2−テト
ラフルオロエタン(フロン124a)、ペンタフルオロ
エタン(フロン125)、1−クロロ−1,1−ジフル
オロエタン(フロン142b)、モノクロロジフルオロ
メタン(フロン22)とモノクロロペンタフルオロエタ
ン(フロン115)の共沸混合物(フロン502)等が
挙げられる。これらの中で特に1,1,2,2−テトラ
フルオロエタン(フロン134)、1,1,1,2−テ
トラフルオロエタン(フロン134a)、1,1,2−
トリフルオロエタン(フロン143)、1,1,1−ト
リフルオロエタン(フロン143a)は従来のジクロロ
フルオロメタン(フロン12)に近い沸点を持ってお
り、代替冷媒として好ましい。また、モノクロロジフル
オロメタン(フロン22)、モノクロロジフルオロメタ
ン(フロン22)とモノクロロペンタフルオロエタン
(フロン115)の共沸混合物(フロン502)は、オ
ゾン破壊係数が0ではないが冷媒としての実用実績があ
り、ジクロロフルオロメタン(フロン12)の短期的な
代替冷媒として有効である。
はハイドロクロロフルオロカーボン系冷媒を単独で用い
る他に2種以上の混合物として用いることも可能であ
る。ところで、冷媒の臨界温度を40℃以上としたのは
凝縮器での凝縮温度として40℃以上の冷凍装置を必要
としたことによる。
しくは混合油にエポキシ基を2個以上保有するエポキシ
化合物を添加することにより、エステル油の場合、加水
分解により生成する有機酸をエポキシ基が補捉し全酸価
の上昇を抑制することにより、圧縮機摺動材料の腐食摩
耗や銅メッキ現象および金属石けんの生成を防止して圧
縮機の正常な性能を確保するものである。すなわち、エ
ステル油が加水分解すると有機酸とアルコールに変る
が、そこにエポキシ基が存在するとそれが開環し有機酸
を補捉するものである。その反応機構は下記の式14に
示す如くである。
ドロクロロフルオロカーボン系冷媒の組合せの場合、過
酷な条件下では冷媒が油と反応して塩酸を生成し圧縮機
摺動部材料の腐食摩耗や銅メッキ現象を生じるが、同様
にエポキシ基が開環し塩酸を捕捉して圧縮機の正常な性
能を確保するものである。エポキシ基を分子内に1個保
有するモノグリシジルエーテルでも同様の効果が認めら
れるが、エポキシ基を2個以上保有するグリシジルエー
テルの方がその効果が顕著である。エポキシ基を2個以
上保有するエポキシ化合物の添加量は0.05〜10重
量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%
であり、0.05%未満では酸捕捉効果が十分ではな
く、10%を越えると基油の冷凍機油としての機能を阻
害する恐れがあり実用的でなくなる。
に具体的に説明する。
冷凍機油の一例を示すものである。
の比較例について耐冷媒安定性試験結果を示す。ここで
の耐冷媒安定性は次の方法により調べた。
験管中に、供試油を0.5ml採取し、この中に触媒と
して鉄片、銅片、アルミニウム片を入れ、これをドライ
アイスで冷却して0.5mlのフロン冷媒を採取し溶封
したものを175℃又は200℃で960時間加熱し
た。加熱後、ガラス試験管内の油・冷媒混合溶液の色を
ASTM標準色と比較して、油・冷媒間の化学反応の進
行度を評価した。また、鉄片表面に銅が付着するいわゆ
る銅メッキ現象の度合を5段階で目視評価し、銅メッキ
微少(+)〜鉄片全周銅メッキ(5+)として表わし
た。さらに、油・冷媒間の化学反応により生成する析出
物の有無を評価した。
成物であるヒンダードタイプエステル油に、式7に示し
たエチレン・プロピレングリコールジグリシジルエーテ
ル(エポキシと表わす)を0.25重量%添加した実
施例1および式5に示した3,4−エポキシシクロヘキ
シルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボ
キシレート(エポキシと表わす)を0.25重量%添
加した実施例2は、フロン134aとの共存状態におい
て油の変色が少なく、銅メッキおよび析出物がなく、比
較例1で示した同一のヒンダードエステルの上記エポキ
シ添加剤を加えないものの欠点である銅メッキや析出物
の生成を抑制し、油の耐冷媒安定性が大巾に改善されて
いる。
油に上記エポキシ、エポキシをそれぞれ0.25重
量%添加した実施例3〜6は、フロン22との共存状態
において、銅メッキおよび析出物がなく、比較例2、3
で示した従来油に比べて耐冷媒安定性が向上しているこ
とが明白である。
防止剤の一つである2,6ジターシャリブチル・パラク
レゾール(以下DBPCと略称)を0.25重量%添加
した実施例15〜18は、エポキシおよびエポキシ
を単独で添加したものに比べて、油の耐冷媒安定性がさ
らに向上した。また、この表中には示してないが、式9
で示したフェノール系酸化防止剤も略同等の作用効果を
示した。
発明の冷凍機油組成物の加水分解性試験結果を示す。こ
こでの加水分解性は次の方法により調べた。
試験管中に水分量を3000ppmに調整した供試油5
mlを採取し、この中に触媒として鉄片、銅片、アルミ
ニウム片を入れ、これをドライアイスで冷却して2ml
のフロン134aを採取し溶封したものを150℃で7
日及び21日間加熱した。加熱終了後、ガラス管内の
油、冷媒混合溶液の色、銅メッキの度合を評価したの
ち、ガラス管を開封し、油・冷媒混合溶液の全酸価をJ
IS.K2501「石油製品中和価試験方法」に準拠し
て測定した。
本発明の冷凍機油組成物であるヒンダードエステル油に
式7で示したエチレン・プロピレングリコールジグリシ
ジルエーテル(エポキシ)及び式5で示した3,4−
エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シ
クロヘキサンカルボキシレート(エポキシ)を、それ
ぞれ0.25重量%添加したものは、フロン134a共
存下での加熱後の全酸価が比較例4、5に示す添加剤を
入れない油に比べて明らかに低い値を示している。これ
はエステル油が加水分解してできる有機酸を、上記エポ
キシ化合物が有効に捕捉している証拠であり、耐加水分
解性が大巾に改善されている。
防止剤の一つである2,6ジターシャリブチル・パラク
レゾール(DBPC)を0.25重量%添加した実施例
19〜22は、エポキシおよびエポキシを単独で添
加したものに比べて、エステル油の耐加水分解性がさら
に向上した。また、この表中には示してないが、式9で
示したフェノール系酸化防止剤も略同等の作用効果を示
した。
機油組成物の酸化安定度試験結果を示す。酸化安定度試
験はJIS.K2514「潤滑油酸化安定度試験方法」
に準拠した。
チレン・プロピレングリコールジグリシジルエーテル
(エポキシ)及び3,4−エポキシシクロヘキシルメ
チル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレ
ート(エポキシ)を、それぞれ0.5重量%添加した
ものは、実施例10〜13に示すごとく酸化安定度試験
後の全酸価の上昇が比較例6、7で示す従来油に比べ
て、約1/10以下であり、酸化劣化に対しても有効に
作用することが確認できた。
断面正面図を、図2は、この冷媒圧縮機を備えた冷凍サ
イクルを模式的に示した冷凍装置の概略図を示したもの
である。図1において、1は油溜めを兼ねた密閉容器に
係るケースであり、このケース1内に電動機部22と圧
縮機部23とが収納されている。電動機22は、固定子
19と回転子20とからなり、回転子20には鋳鉄製の
回転軸4Aが嵌着されている。回転軸4Aは、偏心部3
を有し、一端側に中空状に軸穴17が形設されている。
線がエステルイミド被膜で覆われ、固定子のコア部と巻
線部の間にポリエチレンテレフタレートの電気絶縁フィ
ルムが挿着され、また回転軸4Aの表面は研削加工によ
り仕上げられている。
2、前記回転軸4Aの偏心部3に嵌入されシリンダ2の
内側に沿って偏心回転する鋳鉄製ローラ7、このローラ
7に先端が当接し他端がばね9に押されながらシリンダ
2の溝8内を往復運動する高速度鋼製ベーン10、前記
回転軸4Aの軸受とシリンダ2の側壁とを兼ね前記シリ
ンダの両端に配設されている鋳鉄又は鉄系焼結体の主軸
受5および副軸受6を主要機構要素としている。
り、サイレンサ28を形成するように吐出カバー25が
取付けられ、主軸受5、シリンダ2、副軸受6をボルト
21で締結している。ポンプ室12は、前記ベーン10
の背面11と、シリンダ2の溝8と、主軸受5、副軸受
6とで囲まれて構成されている。主軸受5には、ケース
1内の底部に貯溜した冷媒フロンガスの溶解した冷凍機
油13をポンプ室12内へ吸入できる吸込ピース14が
あり、副軸受6には、ポンプ室12から冷凍機油13を
送油管15へ吐出できる吐出ポート16がある。前記送
油管15は、回転軸4Aの軸穴17へ冷凍機油13を供
給し、さらに軸穴17から分岐穴18を通して所要の摺
動部へ給油できるようになっている。
作用について説明する。
すると、それに伴って調質鋳鉄製ローラ7が回転し、高
速度鋼製ベーン10は、ばね9によって押され、ローラ
7に先端を当接しながら鋳鉄又は鉄系焼結体のシリンダ
2の溝8内を往復運動し、冷媒吸込口(図示せず)から
流入した冷媒を圧縮し、冷媒は冷媒吐出口24を介して
吐出パイプ29から圧縮機外に吐出される。固定子19
の巻線部19a及び電気絶縁フィルム(図示せず)は、
冷媒が溶解した冷凍機油中に浸漬もしくは、ミストによ
り吹付けの環境に暴される。
13に例示した組成の冷凍機油を用いて運転したとこ
ろ、油が熱安定性、耐熱性、耐酸化劣化性に優れている
ことから、過酷な条件下で運転しても油劣化による圧縮
機摺動部の損傷、例えば軸受の腐食、焼き付き、電気系
統の絶縁不良の問題等が無くなり、長期にわたり信頼性
の高い運転を可能とする冷媒圧縮機を実現することがで
きた。
示したものである。同図において、40は冷媒圧縮機、
41は凝縮機、45は乾燥器、42は膨張器、43は蒸
発器を、それぞれ示す。図示のように、冷媒圧縮機40
は、上記実施例の冷凍機油を充てんしたものであり、低
温、低圧の冷媒ガスを圧縮し、高温、高圧の冷媒ガスを
吐出して凝縮器41に送る。凝縮器41に送られた冷媒
ガスは、その熱を空気中に放出しながら高温、高圧の冷
媒液となり乾燥器45で水分を除去されつつ、膨張機構
(例えば膨張弁またはキャピラリチューブ)42に送ら
れる。膨張機構を通過する高温、高圧の冷媒液は絞り効
果により低温、低圧の湿り蒸気となり蒸発器43へ送ら
れる。蒸発器43に入った冷媒は周囲から熱を吸収して
蒸発し、蒸発器43を出た低温、低圧の冷媒ガスは圧縮
機40に吸込まれ、以下同じサイクルが繰り返される。
冷蔵庫に適用したところ、図1に示した冷媒圧縮機40
の性能が発揮され、冷凍サイクル内の蒸発器から冷媒圧
縮機40への油戻りが良く、長期使用に耐え得る信頼性
の高い電気冷蔵庫を実現することができた。すなわち、
以上述べてきたように本発明によれば下記の如き冷凍サ
イクルでの寿命試験により、良好な結果を確認してい
る。
℃、圧縮機の吐出圧力13Kg/cm2G、冷凍サイク
ルのキャピラリーチューブ内径0.65mm、冷媒R−
134a、周囲温度40℃、冷凍機油としては、実施例
15及び17に記載のものを使用した。なお、この試験
は冷蔵庫の実運転の10年分に相当する。
含有しない冷凍機油を使用した場合は、約30日で、キ
ャピラリーチューブ内に金属石ケンが析出し、流路を閉
塞することが確認された。一方、本実施例の場合は、9
0日でも何ら異常が認められなかった。
の冷媒圧縮機は、ハイドロフルオロカーボンやハイドロ
クロロフルオロカーボン系冷媒との組合せに対して、優
れた熱安定性、耐加水分解性、耐酸化劣化性を有する冷
凍機油を充填しているので、フロン規制に対応した信頼
性の高い状態で長期間圧縮機の性能を維持することがで
きる。
ある。
ダ、3…偏心部、 4…回転
軸、5…主軸受、 6…副軸
受、7…ローラ、 8…シリ
ンダの溝、9…ばね、 1
0…ベーン、13…冷凍機油、
17…軸穴、19…固定子、
19a…巻線、20…回転子、
22…電動機、23…圧縮機部、
40…圧縮機、41…凝縮器、
42…膨張機構、43…蒸発器、
45…乾燥器。
Claims (11)
- 【請求項1】冷凍機油を貯溜する密閉容器内に回転子と
固定子からなるモーターと、前記回転子に嵌着された回
転軸と、この回転軸を介して前記モータに連結された圧
縮機部とを収納してなる冷凍サイクルに用いる冷媒圧縮
機であって、前記冷凍機油を、エステル油、アルキルベ
ンゼン油及び鉱油からなる群から選択される少なくとも
1種の油を基油とし、これに少なくともエポキシ基を2
個以上保有するエポキシ化合物を含有せしめて構成して
成る冷媒圧縮機。 - 【請求項2】冷凍機油を貯溜する密閉容器内に回転子と
固定子からなるモーターと、前記回転子に嵌着された回
転軸と、この回転軸を介して前記モータに連結された圧
縮機部とを収納してなる冷凍サイクルに用いる冷媒圧縮
機であって、前記冷凍機油を、エステル油、アルキルベ
ンゼン油及び鉱油からなる群から選択される少なくとも
1種の油を基油とし、これに少なくともエポキシ基を2
個以上保有するエポキシ化合物と、フェノール系酸化防
止剤とを含有を含有せしめて構成して成る冷媒圧縮機。 - 【請求項3】上記エポキシ化合物の含有量を0.05〜
10重量%、フェノール系酸化防止剤の含有量を0.0
1〜5重量%として成る請求項2記載の冷媒圧縮機。 - 【請求項4】上記フェノール系酸化防止剤が、下記一般
式8及び一般式9の少なくとも一方を満足するフェノー
ル系化合物から成る請求項2記載の冷媒圧縮機。 【化1】 【化2】 - 【請求項5】上記フェノール系酸化防止剤を2,6ジタ
ーシャリブチル・パラクレゾールとして成る請求項4記
載の冷媒圧縮機。 - 【請求項6】封入予定の冷媒が、臨界温度40℃以上の
ハイドロフルオロカーボン系及びハイドロクロロフルオ
ロカーボン系の少なくとも1種から成る請求項1乃至5
いずれか一つに記載の冷媒圧縮機。 - 【請求項7】上記エポキシ化合物が、アルキレングリコ
ールジグリシジルエーテル及び脂肪族環状エポキシ化合
物の少なくとも1種を主成分として含有して成る請求項
1乃至3のいずれか一つに記載の冷媒圧縮機。 - 【請求項8】上記アルキレングリコールジグリシジルエ
ーテルが下記一般式1(ただし、式中R1はアルキレン
基、R2はH又はアルキル基)、式2、式3及び式4の
少なくとも一つで表わされるエポキシ化合物を含有して
成る請求項7記載の冷媒圧縮機。 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 - 【請求項9】上記脂肪族環状エポキシ化合物が、下記式
5で表わされる3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレー
ト、式10で表される環内エポキシ系化合物、式11で
表される環内エポキシ+グリシジルエーテル系化合物、
式12で表されるグリシジルエステル系化合物、及び式
13で表されるヒダントイン系化合物からなる群から選
択される少なくとも1種のエポキシ化合物から成る請求
項7記載の冷媒圧縮機。 【化7】 【化8】 【化9】 【化10】 【化11】 - 【請求項10】上記一般式1のR1がCH2,R2がHも
しくはCH3から成り、下記式6もしくは式7で表わさ
れるエポキシ化合物を含有して成る請求項8記載の冷媒
圧縮機。 【化12】 【化13】 - 【請求項11】エステル油、アルキルベンゼン油及び鉱
油からなる群から選択される少なくとも1種の基油と、
少なくともエポキシ基を2個以上保有するエポキシ化合
物とを有してなる冷凍機油をその底部に貯溜する密閉容
器と、さらに前記密閉容器内に回転子と固定子からなる
モーターと、前記回転子に嵌着された回転軸と、この回
転軸を介して前記モータに連結された圧縮機部と、ハイ
ドロフルオロカーボン系及びハイドロクロロフルオロカ
ーボン系の少なくとも1種から成る冷媒とを収納して成
る冷媒圧縮機を駆動し、それによって前記冷媒と前記冷
凍機油とを圧縮することを特徴とする冷媒圧縮機の駆動
方法。
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