JPH08225966A - 金属用化学研磨液および化学研磨方法 - Google Patents

金属用化学研磨液および化学研磨方法

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JPH08225966A
JPH08225966A JP5806395A JP5806395A JPH08225966A JP H08225966 A JPH08225966 A JP H08225966A JP 5806395 A JP5806395 A JP 5806395A JP 5806395 A JP5806395 A JP 5806395A JP H08225966 A JPH08225966 A JP H08225966A
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Yoshinari Yamamoto
良成 山本
Yoshiko Suehiro
佳子 末弘
Katsushige Takashita
勝滋 高下
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    • C23FNON-MECHANICAL REMOVAL OF METALLIC MATERIAL FROM SURFACE; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL; MULTI-STEP PROCESSES FOR SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL INVOLVING AT LEAST ONE PROCESS PROVIDED FOR IN CLASS C23 AND AT LEAST ONE PROCESS COVERED BY SUBCLASS C21D OR C22F OR CLASS C25
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】鉄−ニッケル系合金材料、および部品に対し
て、優れた化学研磨効果を示し、良好な光沢性、平滑性
を付与し、有害なNOxガスの発生も抑制する、化学研
磨液。 【構成】重量%で、塩酸0.7〜14.0、硝酸0.5
〜10.0を基本成分とする無機混合水溶液に、ベンゾ
チアゾール化合物、ベンゾチアゾリルチオカルボン酸化
合物、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾールとトリル
トリアゾールの1種以上の化合物0.001〜3.0
0、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ルとポリビニルアルコールの1種以上0.1〜10.
0、界面活性剤の1種以上0.01〜2.0と尿素0.
01〜0.1とを添加してなる金属用化学研磨液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属、特に鉄−ニッケ
ル−クロム系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−ニッケル
−コバルト系合金の材料およびそれらの加工品に適用で
きる化学研磨液および化学研磨方法に関する。鉄−ニッ
ケル−クロム系合金としては、例えば代表的な非磁性合
金としてオーステナイト系ステンレス鋼が知られている
が、これは一般に耐食性、加工性、溶接性に優れてお
り、化学装置、交通運輸機器、エネルギー機器、原子力
設備、海洋関連機械、家電製品、エレクトロニクス機器
などの各種用途に広く使用されている。鉄−ニッケル系
合金は、例えば代表的な磁性合金としてパーマロイが、
鉄−ニッケル−コバルト系合金は例えば代表的な合金と
してコバールが知られている。
【0002】これらの合金は磁気特性及び耐食性が良好
であるので、電子材料として、例えば時計、カメラ鉄
心、トランスコア、磁気シールドなどの軟質磁性材料、
ICリードフレーム、ハウメチックシール、リードスイ
ット、ICハウメチックシールなどの封着材料、バイメ
タル、テレビシャドーマスク用ブラケット、メカニカル
シールなどの低膨張材料に使用されている。特に、これ
らパーマロイ、コバールに代表される電子材料用鉄合金
は、高強度非磁性バネ、ガイドボール、OA機器等に使
われる非磁性材料の非磁性ステンレス鋼であるオーステ
ナイト系ステンレス鋼と組み合わされて、電子部品用材
料のブラウン管電子銃などに広く利用されている。
【0003】これらの電子部品は、圧延、パッチングな
どの機械的切断により製造されることが多いが、バリ及
び切断面の状態により適宣、バフ研磨、バレル研磨など
による機械研磨仕上げや化学的研磨による電解研磨を施
している。しかしながら、これらの研磨手段は、非研磨
材料の形状が複雑な部品や、小型部品、薄い箔などに対
しては適用が難しく、実施できたとしても局部的な光沢
ムラを生じたり、量産性に欠け、多大な労力と時間を要
し、経済性に劣るなどの種々の難点がある。このような
部品に関しては、化学研磨方法が使用されている。
【0004】化学研磨方法は、化学的に金属を均一に腐
食させることにより金属又はその合金の表面に光沢を付
与し、かつ平滑にする方法であり、金属、合金部品を適
当な化学薬品溶液中に浸漬するという簡単な操作によっ
て、美しい耐食性に富んだ金属表面を得ることができ
る。この方法の特徴は、操作が簡易であることであり、
機械的または電気的作業が不必要で、非研磨材料又は部
品をただ化学薬品溶液の中に短時間浸すだけで複雑な形
状を有する小型部品または薄い箔に対しても光沢性を付
与し、しかも平滑な表面が得られることにある。
【0005】
【従来の技術】従来、鉄−ニッケル−クロム系合金、鉄
−ニッケル系合金、鉄−ニッケル−コバルト系合金の部
品に用いる化学研磨液としては、 1)過酸化水素と硫酸、塩酸、リン酸、フッ酸、硝酸、
スルファミン酸及びそれらの酸性塩類の鉱酸を基本成分
として、アミノフェノール、アミノ安息香酸などの芳香
族アミン化合物を添加してなる金属の化学的溶解処理液
(特公平2−42903号) 2)酢酸、硝酸、リン酸よりなる鉄・ニッケル合金の化
学研磨液(特開昭60−190581号) 3)塩酸、硝酸の混合酸に、特定の有機硫黄化合物、ポ
リアルキレングリコール類、界面活性剤を含有するオー
ステナイト系ステンレス鋼の化学研磨浴(特開平6−1
36577号) 4)硝酸、硝酸鉄、尿素及び界面活性剤からなる金属の
化学溶解処理液(特公平2−54431)号 などが提
案されている。
【0006】しかしながら、過酸化水素と鉱酸を主成分
とする化学的溶解処理液は、幅広い金属に対して、優れ
た溶解性を示し、平滑な表面を与えることができるが、
良好な光沢性を付与することができない。また、非磁性
材料の鉄−ニッケル−クロム系合金の部品と磁性材料の
鉄−ニッケル系合金の部品又は鉄−ニッケル−コバルト
系合金の部品は、電子材料であるブラウン管電子銃など
で組み合わされて使用されているのであるが、これらの
鉄系合金の化学研磨を行うと、例えば、非磁性材料のオ
ーステナイト系ステンレス鋼の化学研磨によって溶解し
た3価のクロムイオンが、この化学研磨液の主成分であ
る過酸化水素によって酸化され6価のクロムを生成する
など、公害上並びに環境上好ましくない。この環境汚染
防止のため、廃水処理において複雑かつ高価な設備装置
を必要とするなど、経済的に不利となる問題があった。
【0007】酢酸を含有する化学研磨液は、鉄−ニッケ
ル−クロム系合金であるオーステナイト系ステンレス鋼
に対しては良好な平滑性、光沢性を付与するが、鉄−ニ
ッケル系合金、鉄−ニッケル−コバルト系合金について
はエッチング効果が主体となり、良好な光沢性は得られ
ない。また、酢酸は独特の臭気があるため、化学研磨の
処理工程において、排ガス装置等の排ガス処理によって
も完全にその臭気を除くことはできず、化学研磨に従事
する作業員の環境上、労働安全衛生上の問題があった。
【0008】塩酸、硝酸の系または硝酸と硝酸鉄の系を
基本成分とする化学研磨浴は、NOxガスの抑制のため
酸濃度を低くしてNOxガスの発生を少なくしたり、N
Ox抑制剤として尿素、チオ尿素を添加して抑制する方
法が取られているが、酸濃度を低くしすぎると、化学溶
解量が小さく、良好な光沢性を付与するために、浸漬時
間が長くなり研磨作業の工程に、素材の部分的過溶解な
どの問題を生じる。また、NOx抑制剤のチオ尿素を添
加することにより、このチオ尿素自身が分解し、有害ガ
スであるCS2またはCOS発生の原因となり、作業環
境上の問題が生じることになる。
【0009】また、他のNOx抑制剤である尿素を添加
した場合、NOxガスの抑制そのものはなされるもの
の、必要以上に添加すると金属表面の化学溶解量に大き
く影響し、光沢性にバラツキを生じることがある。しか
も、このNOx抑制のための分解挙動がはげしく、発生
したN2、CO2によって化学研磨液が化学研磨漕からあ
ふれでるなどの問題があった。さらに、金属表面の孔食
抑制作用および光沢作用などを有する特定の有機化合物
を必要以上に添加すると、鉄−ニッケル系合金、鉄−ニ
ッケル−コバルト系合金の被研磨部品に対する光沢性の
付与及び平滑性ができない状態になる場合があり、工業
上実用的な鉄−ニッケル−クロム系合金、鉄−ニッケル
系合金、および鉄−ニッケル−コバルト系合金を研磨す
る化学研磨液および化学研磨方法は提供されていないの
が現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来
の化学研磨液および化学研磨方法の現状に鑑み、金属、
特に鉄−ニッケル−クロム系合金、鉄−ニッケル系合
金、鉄−ニッケル−コバルト系合金の材料及び部品に対
して均一な光沢性を付与し、かつ金属表面を平滑化する
ことができ、良好な表面が得られる化学研磨液および化
学研磨方法を提供するものである。さらに化学研磨処理
時に有害ガスあるいは有害廃液を発生、生成しない化学
研磨液および化学研磨方法を提供することを目的として
いる。
【0011】
【課題が解決するための手段】すなわち、本発明に係わ
る化学研磨液は塩酸0.7〜14.0重量パーセント、
硝酸0.5〜10.0重量パーセントを基本成分とする
無機混合水溶液に下記、(A)〜(D)の各成分を添加
してなる金属用化学研磨液である。 (A)次の(a−1)〜(a−5)から成るグループか
ら選ばれた1種以上の化合物を0.001〜3.00重
量パーセント、 (a−1)化6で表わされるチアゾール化合物
【化6】 (ただし、R1は水素原子、ハロゲン、C1〜C4のアル
キル基のいずれかを、R2は硫黄原子を表わす。Xは水
素原子、−NR34、アルカリ金属、アルカリ土類金属
であり、nはXの価数と同じ整数を表わす。ここで
3,R4は、独立して水素原子または、C1〜C4のアル
キル基、または5員〜7員の脂環式の基であるか、もし
くは隣接窒素原子とともに複素環式基を形成してもよ
い。)
【0012】(a−2)化7で表わされるベンゾチアゾ
リルチオカルボン酸化合物
【化7】 (ただし、R5はアミノ基、メチル基、水酸基、カルボ
キシル基のいずれか1つの基を表わし、nは0〜2の整
数を表わす。R6はC0〜C10の直鎖もしくは分岐した飽
和もしくは不飽和脂肪族の二価基またはC6〜C10の芳
香族の二価基を表わす。Yは水素原子、アルカリ金属、
アルカリ土類金属であり、mはYの価数と同じ整数を表
わす。) (a−3)ベンゾチアゾール (a−4)ベンゾトリアゾール (a−5)トリルトリアゾール (B)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール及びポリビニルアルコールから選ばれた水溶性高分
子化合物の1種または2種以上を0.1〜10.0重量
パーセント、 (C)カチオン系および/またはノニオン系から選ばれ
た界面活性剤の1種以上を0.01〜2.0重量パーセ
ント、 (D)尿素0.01〜0.1重量パーセント
【0013】また、この混合系に (E)次の(e−1)〜(e−4)から成るグループか
ら選ばれた1種以上の化合物を0.020重量パーセン
ト以下を含有せしめたことからなる化学研磨液である。 (e−1)化8で表わされるスルホニウム化合物
【化8】 (ただし、R7は水素原子、メチル基、アセチル基、メ
トキシカルボニル基のいずれかをR89は独立して、水
素原子、ハロゲン、C1〜C4のアルキル基のいずれか
を、R10、R11はそれぞれ独立してC1〜C4のアルキル
基またはベンジル基を表わす。Zはハロゲンまたはメチ
ル硫酸を表わす。)
【0014】(e−2)化9で表わされるジチオカルバ
ミン酸金属塩化合物
【化9】 (ただし、R12、R13は水素原子またはC1〜C7の脂肪
族炭化水素基、単環または多環式芳香族炭化水素基ある
いは脂環式炭化水素、もしくはR12、R13は隣接する窒
素原子を含んだ複素環式基を意味する。Meは金属を表
わし、nは金属の価数を表わす。) (e−3)化10で表わされるチウラム化合物
【化10】 (ただし、R14〜R17は水素原子またはC1〜C4のアル
キル基、または5員〜7員の脂環式もしくは複素式基を
意味するが、R14〜R17がすべて水素原子であることは
ない。nは1〜2の整数を意味する。) (e−4)2−メルカプトチアゾリン
【0015】さらに、これら混合系に(F)アルコール
類および/またはエーテル類の1種または2種以上を
0.1〜10.0重量パーセント含有する金属用化学研
磨液、およびこれら上記の金属用化学研磨液を用いる金
属の化学研磨方法である。以下、本発明の金属の化学研
磨液を構成する各成分の具体例について記述する。
【0016】本発明の(a−1)で示されるチアゾール
化合物の例としては、2−メルカプトベンゾチアゾー
ル、4−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、5
−クロル−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メル
カプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、2−メルカプ
トベンゾチアゾールのリチウム塩、4−メチル−2−メ
ルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、2−メルカ
プトベンゾチアゾールの亜鉛塩、N−オキシジエチレン
ベンゾチアジル−2−スルフェンアミド、N,N−ジイ
ソプロピルベンゾチアジル−2−スルフェンアミドなど
が挙げられる。
【0017】(a−2)のベンゾチアゾリルチオカルボ
ン酸化合物としては、2−ベンゾチアゾリルチオ酢酸、
4−メチル−2−ベンゾチアゾリルチオ酢酸、6−アミ
ノ−2−ベンゾチアゾリルチオ酢酸、5−カルボキシ−
2−ベンゾチアゾリルチオ酢酸、3−(2−ベンゾチア
ゾリルチオ)プロピオン酸、3−(4−メチル−2−ベ
ンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸、3−(6−ヒドロ
キシ−2−ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸、2−
ベンゾチアゾリルチオ蟻酸、3−(4、6−ジメチル−
2−ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸、2−(2−
ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸、2−(4−メチ
ル−2−ベンゾチアゾリルチオ)−プロピオン酸、5−
(2−ベンゾチアゾリルチオ)吉草酸、3−(2−ベン
ゾチアゾリルチオ)(吉草酸、5−(4−メチル−2−
ベンゾチアゾリルチオ)吉草酸、3−(2−ベンゾチア
ゾリルチオ)アクリル酸、3−(4−メチル−2−ベン
ゾチアゾリルチオ)アクリル酸、4−(2−ベンゾチア
ゾリルチオ)酪酸、10−(2−ベンゾチアゾリルチ
オ)ウンデカン酸、10−(4−メチル−2−ベンゾチ
アゾリルチオ)ウンデカン酸、2−(2−ベンゾチアゾ
リルチオ)安息香酸、2−(4−メチル−2−ベンゾチ
アゾリルチオ)安息香酸2−(5−カルボキシ−2−ベ
ンゾチアゾリルチオ)安息香酸などが挙げられ、これら
のカルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属
塩であってもよく、アルカリ金属としては、リチウム、
ナトリウム、カリウム、が挙げられ、アルカリ土類金属
としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム
などが挙げられる。
【0018】本発明(C)の界面活性剤を例示すると、
カチオン系界面活性剤としてはオクタデシルトリメチル
アンモニウムクロライド、ドテシルトリメチルアンモニ
ウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム
クロライド、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニ
ウムクロライドなどの、アルキルトリメチルアンモニウ
ムクロライドや、ジアルキルジメチルアンモニウムクロ
ライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロラ
イドなどの4級アンモニウムクロライド、アルキルアミ
ン塩酸塩、アルキルイソキノリニウムブロマイドなどが
挙げられる。
【0019】(C)中、ノニオン系界面活性剤の例とし
ては、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシ
エチレンステアリルアミンなどの、ポリオキシエチレン
アルキルアミン、ポリオキシエチレンオレイルエーテ
ル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエ
チレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンア
ルキルエーテル型、ポリオキシエチレンノニルフェノー
ルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエ
ーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェノール
型、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエ
チレンモノステアレ−ト、ポリオキシエチレンオレエー
トなどのポリオキシエチレン脂肪酸エステル型、ソルビ
タンモノラウレートソルビタンモノパルミテート、ソル
ビタンモノステアレートなどのソルビタンエステル型、
オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー型、
グリセロールモノステアレート型やパーフルオロアルキ
ル化合物などが挙げられる。
【0020】(e−1)で示される、スルホニウム化合
物の例としては、p−ヒドロキシフェニルジメチルスル
ホニウムクロライド、p−メトキシフェニルジメチルス
ルホニウムクロライド、p−アセトキシフェニルジメチ
ルスルホニウムクロライド、p−メチキシカルボニルオ
キシフェニルジメチルスルホニウムクロライド、p−ヒ
ドロキシフェニルジメチルスルホニウムメチルサルフェ
ート、p−メトキシフェニルジメチルスルホニウムメチ
ルサルフェート、p−アセトキシフェニルジメチルスル
ホニウムメチルサルフェート、p−メトキシカルボニル
オキシフェニルジメチルスルホニウムメチルサルフェー
ト、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニ
ウムクロライド、ベンジル−4−メトキシフェニルメチ
ルスルホニウムクロライド、ベンジル−4−アセトキシ
フェニルメチルスルホニウムクロライド、ベンジル−4
−メトキシカルボニルオキシフェニルナフチルスルホニ
ウムクロライド、ベンジル−(3−クロロ−4−ヒドロ
キシフェニル)メチルスルホニウムクロライドなどが挙
げられる。
【0021】(e−2)のジチオカルバミン酸化合物の
例としては、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム
塩、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛塩、エチルフェニ
ルジチオカルバミン酸亜鉛塩、ジメチルジチオカルバミ
ン酸亜鉛塩、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル塩、
エチルフェニルジチオカルバミン酸ニッケル塩、ジ−n
−ブチルジチオカルバミン酸リチウム塩などが挙げられ
る。
【0022】(e−3)のチウラム化合物の例として
は、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチ
ルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムモノス
ルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラ
ブチルチウラムモノスルフィド、テトラブチルチウラム
ジスルフィド、テトラシクロヘキシルチウラムモノスル
フィド、ジシクロヘキシルチウラムジスルフィドなどが
挙げられる。
【0023】本発明(F)のアルコール類及びエステル
類を例示すると、アルコール類としては、メタノール、
エタノール、プロパノール、2−プロパノール、1−ブ
タノールなどの一価アルコール、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの二価
アルコールなどが挙げられる。エーテル類としては、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングルコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロ
ピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル
などのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレング
リコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアル
キルエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエー
テル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテルなどのジエチレン
グリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリ
コールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチル
エーテルなどのジプロピレングリコールモノアルキルエ
ーテル類、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなど
が挙げられている。
【0024】次に本発明の化学研磨液の有効成分量およ
び化学研磨方法を説明する。塩酸は0.7〜14.0重
量パーセントが好ましく、更に好ましくは、1.5〜
5.0重量パーセントである。硝酸は、0.5〜10.
0重量パーセントが好ましく、更に好ましくは、1.0
〜4.0重量パーセントである。 (A)グループの有機化合物は、0.001〜3.0重
量パーセントが好ましく、更に好ましくは0.1〜1.
0重量パーセントである。 (B)ポリエチレングリコール、ポリプレングリコール
及びポリビニルアルコールから選ばれた水溶性高分子化
合物は0.1〜10.0重量パーセントが好ましく、更
に好ましくは0.5〜3.0重量パーセントである。
【0025】(C)カチオン系またはノニオン系から選
ばれた界面活性剤の1種以上は0.01〜2.0重量パ
ーセントが好ましく、更に好ましくは0.05〜1.0
重量パーセントである。 (D)尿素は、0.01〜0.1重量パーセントが好ま
しく、更に好ましくは0.02〜0.05重量パーセン
トである。 (E)グループの有機化合物は、0.02重量パーセン
ト以下が好ましく、更に好ましくは0.001〜0.0
1重量パーセント以下である。 (F)アルコール類および/またはエーテル類は0.1
〜10.0重量パーセントが好ましく、更に好ましくは
1.0〜5.0重量パーセントである。
【0026】これら本発明の有効成分を、水または水と
水溶性有機溶媒、例えばアルコール類、エーテル類等と
の混合溶媒で溶解したものが本発明の金属の化学研磨液
である。さらに、塩酸、硝酸の混合水溶液に(A)〜
(E)の有効成分、アルコール類、エーテル類を添加し
た研磨液に、必要に応じてケトン類等の水溶性有機溶媒
を含む溶液で調製したものを加えて、本発明の化学研磨
液とすることもできる。また、本発明の化学研磨方法
は、化学研磨液中に被研磨材を96〜100℃、好まし
くは、98〜100℃の温度範囲において15秒〜5分
間浸漬し、その後水洗することにより、鉄−ニッケル−
クロム系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−ニッケル−コ
バルト系合金の金属表面を均一な光沢性のある平滑面に
仕上げるものである。なお、上記組成の化学研磨液に公
知の光沢化添加剤、例えば芳香族ジメチルアミノ化合
物、ニトロ化合物、アセチレン化合物、アルキルピリジ
ン化合物、脂肪族有機硫黄化合物、脂肪族有機酸等を適
量併用することも可能である。
【0027】
【作用】化学研磨とは、酸、アルカリ、またはこれらの
塩類を用いた浴に一定温度において金属または合金を浸
漬処理し、表面を溶解させて光沢のある平滑面を得るこ
とである。従って、これら金属の化学研磨の場合には、
その化学研磨液は合金成分である鉄、クロム、ニッケ
ル、コバルト等の元素をいずれも研磨液中に溶解するよ
うなものでなければならず、かつ均一溶解による平滑面
を与えるようなものでなければならない。
【0028】本発明の金属の化学研磨液および化学研磨
方法において無機酸は、これらの合金成分である金属を
溶解せしめるための基本成分であり、特に塩酸及び硝酸
は必須不可欠な基本成分である。本発明で使用される有
機化合物類の作用は定かではないが、本発明の有効成分
(A)で表わされる化合物については、金属表面に吸着
され、こらが局部的な酸腐食を抑制する結果、無機酸の
溶解作用と相まって、金属表面の均一溶解と光沢性の向
上に優れた効果を示すものと推考される。また、(A)
の有機化合物は、所定量以上添加しても格別の有効性が
見出せず、価格的に不利となるので好ましくない。
【0029】本発明の有効成分(E)で表わされる有機
化合物類についても、その作用は明らかでないが、本発
明の有効成分(A)で表わされる有機化合物の作用を補
助する効果を有するものと推考される。(E)の添加量
が0.020重量パーセント以上であると、特に鉄−ニ
ッケル系合金および鉄−ニッケル−コバルト系合金の平
滑性、光沢性が良好とならない。また、0.001重量
パーセント以下または無添加の場合、本発明の有効成分
(A)と相乗効果が少なく、光沢性のさらなる向上を示
さなくなる。
【0030】本発明の有効成分である(B)のポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリビ
ニルアルコールといった水溶性高分子化合物は、化学研
磨液の粘度を高め、かつ金属溶解速度の促進効果を有
し、有機化合物類との相乗作用によって金属の選択的溶
解を抑制し、しかも溶出金属の拡散をも抑制すると推定
される。このため、金属表面の平滑化ならびに光沢性の
向上にすぐれた効果を示し、処理表面は、著しく改善さ
れる。また、同時に一般の金属の酸による溶解時に見ら
れる薄黒色の不溶性物質、いわゆるスマットを溶解除去
するので、金属表面の均一溶解をさらに促進し、光沢性
の向上に効果がある。
【0031】(B)の水溶性高分子化合物は重合度によ
り、固体あるいは液体であり、例えばポリエチレングリ
コールは分子量600以上のものは常温で固体である
が、本発明においては、これら重合度のいずれのものを
使用しても効果に大きな変化はない。また、重合度の異
なるものを混合して使用したとしても研磨効果は、ほと
んど差異を生じない。F群の界面活性剤、アルコール類
及びエーテル類は、有機化合物の分散と吸着の手助けを
行うもので、金属の均一な侵食にも寄与するものと推定
している。
【0032】化学研磨時に、金属表面において合金中の
鉄は、下記 式1の反応式により、金属溶解反応が進行
し、酸化剤の硝酸は分解して亜硝酸が生成される。本発
明の有効成分である(D)の尿素は、この亜硝酸と反応
して、式2の反応を進行せしめて、有害ガスのNOxガ
スの発生を抑制し、作業環境の汚染を防止するものであ
る。従来の化学研磨剤におけるNOx抑制剤としての尿
素の添加量は、0.2重量パーセント以上であるが、本
発明の有効成分における尿素の添加量は0.01〜0.
1重量パーセントの範囲に限定している。これは0.1
重量パーセント以上では、式2のNOx抑制反応が強く
進行し、多量のN2、CO2が発生して、化学研磨液が研
磨槽からあふれ、化学研磨処理の作業に問題を生じ、ま
た、化学研磨溶解速度を大幅に低下させるなどの問題点
を生じせしめるからである。0.01重量パーセント以
下では、NOx抑制の効果がない。実に、尿素はこの添
加量の範囲において、NOxガスの発生を抑制し、さら
に他の有効成分との相乗作用で、金属表面の平滑性、光
沢性を向上させるものである。
【0033】
【式1】Fe+5HNO3+H+→Fe(NO33+2H
NO2+2H2
【0034】
【式2】2HNO2+CO(NH22→CO2↑+2N2
↑+3H2
【0035】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明の有効性を証明す
るが、これに限定されるものではない。 実施例 鉄−ニッケル−コバルト系合金の代表例として、コバー
ル鋼の電子部品、鉄−ニッケル系合金の代表例として4
2アロイの電子部品および鉄−ニッケル−クロム系合金
の代表例としてSUS304の電子部品を試験片として
使用する。これらの試験片を常法によりアルカリ脱脂
後、表1、表2に記載する本発明の各種組成の化学研磨
液NO.1〜10(残部は水である)を98〜100℃
に加熱して、試験片を60秒間浸漬した後、水洗、乾燥
させ、その表面光沢性を目視判定した。評価基準は、◎
印:金属光沢優、○印:金属光沢良好、△印:光沢な
し、×印:光沢性なく黒っぽいと表示判定した。評価結
果は、一括して表3に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】比較例 比較例として本発明の有効構成成分である(A)〜
(E)の内から1種以上を除いて建浴した表4、5に記
載する各組成の化学研磨液番号11〜20(残部は水で
ある)を用いて、実施例に準じて処理し、評価した。そ
の評価結果を表6に記載する。本発明の有効成分である
尿素を加えていない化学研磨液番号15および20につ
いては、NOxガスの発生がみられた。
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】なお、表1,2,4,5記載のエマルゲン
810(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエ−テ
ル)は花王株式会社製、カチオンBB(ドデシルトリメ
チルアンモニウムクロライド)は日本油脂株式会社製の
界面活性剤である。
【0044】
【本発明の効果】本発明に係る金属の化学研磨液は、比
較例の化学研磨液に比べて格段に優れた化学研磨効果を
示し、鉄−ニッケル−クロム系合金、鉄−ニッケル系合
金、鉄−ニッケル−コバルト系合金材料、および部品に
対して良好な光沢性、平滑性を付与する。また、有害な
NOxガスの発生も抑制する化学研磨液および化学研磨
方法を提供することができ、工業上非常に有益である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩酸0.7〜14.0重量パーセント、
    硝酸0.5〜10.0パーセントを基本成分とする無機
    酸混合水溶液に、(A),(B),(C),(D)の各
    成分を含有せしめてなる金属用化学研磨液。 (A)次の(a−1)〜(a−5)から成るグループか
    ら選ばれた1種以上の化合物を0.001〜3.00重
    量パーセント、 (a−1)化1で表わされるチアゾール化合物 【化1】 (ただし、R1は水素原子、ハロゲン、C1〜C4のアル
    キル基のいずれかを、R2は硫黄原子を表わす。Xは水
    素原子、−NR34、アルカリ金属、アルカリ土類金属
    であり、nはXの価数と同じ整数を表わす。ここで
    3,R4は、独立して水素原子または、C1〜C4のアル
    キル基、または5員〜7員の脂環式の基であるか、もし
    くは隣接窒素原子とともに複素環式基を形成してもよ
    い。) (a−2)化2で表わされるベンゾチアゾリルチオカル
    ボン酸化合物 【化2】 (ただし、R5はアミノ基、メチル基、水酸基、カルボ
    キシル基のいずれか1つの基を表わし、nは0〜2の整
    数を表わす。R6はC0〜C10の直鎖もしくは分岐した飽
    和もしくは不飽和脂肪族の二価基またはC6〜C10の芳
    香族の二価基を表わす。Yは水素原子、アルカリ金属、
    アルカリ土類金属であり、mはYの価数と同じ整数を表
    わす。 (a−3)ベンゾチアゾール (a−4)ベンゾトリアゾール (a−5)トリルトリアゾール (B)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
    ール及びポリビニルアルコールから選ばれた水溶性高分
    子化合物の1種以上を0.1〜10.0重量パーセン
    ト、 (C)カチオン系および/またはノニオン系から選ばれ
    た界面活性剤の1種以上を0.01〜2.0重量パーセ
    ント、 (D)尿素を0.01〜0.1重量パーセント
  2. 【請求項2】請求項1記載の金属用化学研磨液に、次の
    (e−1)〜(e−4)から成るグループから選ばれた
    1種以上の化合物を0.02重量パーセント以下を含有
    せしめてなる金属用化学研磨液。 (e−1)化3で表わされるスルホニウム化合物 【化3】 (ただし、R7は水素原子、メチル基、アセチル基、メ
    トキシカルボニル基のいずれかをR8、R9は独立して、
    水素原子、ハロゲン、C1〜C4のアルキル基のいずれか
    を、R10、R11はそれぞれ独立してC1〜C4のアルキル
    基またはベンジル基を表わす。Zはハロゲンまたはメチ
    ル硫酸を表わす。) (e−2)化4で表わされるジチオカルバミン酸金属塩
    化合物 【化4】 (ただし、R12、R13は水素原子またはC1〜C7の脂肪
    族炭化水素基、単環または多環式芳香族炭化水素基ある
    いは脂環式炭化水素、もしくはR12、R13は隣接する窒
    素原子を含んだ複素環式基を意味する。Meは金属を表
    わし、nは金属の価数を表わす。) (e−3)化5で表わされるチウラム化合物 【化5】 (ただし、R14〜R17は水素原子またはC1〜C4のアル
    キル基、または5員〜7員の脂環式もしくは複素式基を
    意味するが、R14〜R17がすべて水素原子であることは
    ない。nは1〜2の整数を意味する。) (e−4)2−メルカプトチアゾリン、
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2記載の金属用化学
    研磨液に、アルコール類および/またはエーテル類の1
    種または2種以上を、化学研磨液全量の0.1〜10.
    0重量パーセントになるように含有せしめてなる金属用
    化学研磨液。
  4. 【請求項4】鉄−ニッケル−クロム系合金に請求項1〜
    3記載の化学研磨液を適用してなる当該合金の化学研磨
    方法。
  5. 【請求項5】鉄−ニッケル系合金に請求項1〜3記載の
    化学研磨液を適用してなる当該合金の化学研磨方法。
  6. 【請求項6】鉄−ニッケル−コバルト系合金に請求項1
    〜3記載の化学研磨液を適用してなる当該合金の化学研
    磨方法。
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