JP3017369B2 - オーステナイト系ステンレス鋼の化学研磨浴 - Google Patents

オーステナイト系ステンレス鋼の化学研磨浴

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JP3017369B2
JP3017369B2 JP4311262A JP31126292A JP3017369B2 JP 3017369 B2 JP3017369 B2 JP 3017369B2 JP 4311262 A JP4311262 A JP 4311262A JP 31126292 A JP31126292 A JP 31126292A JP 3017369 B2 JP3017369 B2 JP 3017369B2
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良成 山本
澄夫 赤司
信次 林
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三新化学工業株式会社
株式会社横浜ネプロス
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    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23FNON-MECHANICAL REMOVAL OF METALLIC MATERIAL FROM SURFACE; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL; MULTI-STEP PROCESSES FOR SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL INVOLVING AT LEAST ONE PROCESS PROVIDED FOR IN CLASS C23 AND AT LEAST ONE PROCESS COVERED BY SUBCLASS C21D OR C22F OR CLASS C25
    • C23F3/00Brightening metals by chemical means
    • C23F3/04Heavy metals
    • C23F3/06Heavy metals with acidic solutions

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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オーステナイト系ステ
ンレス鋼の全鋼種の材料ならびにそれらの加工品に適用
できる化学研磨浴に関する。ステンレス鋼、特にオース
テナイト系ステンレス鋼は、耐食性能ならびに延性が極
めて高く、じん性に富み、溶接性や深絞り等の冷間加工
性が優れ、液体窒素の低温環境から赤熱の高温環境まで
優れた特性を持つ。このため、SUS304を代表とし
て添加元素によって鋼種も30種以上におよび、家庭用
品、建築用材料、自動車、鉄道車両用材、産業用材料の
需要は益々増加している。ここで特に装置類、装飾金具
類、真空機器、医療用機器等は、表面の光沢性、平骨性
の付与や耐食性の向上などを目的として光輝仕上げが行
われている。
【0002】このオーステナイト系ステンレス鋼材料の
光輝仕上げとしては、バフ研磨、バレル研磨等による機
械研磨仕上げや電解研磨法が実用化されている。しかし
ながら、これらの研磨仕上げ法は、被研磨材の形状が複
雑なものや小物品、薄い箔等に対しては適用し難く、実
施できたとしても局部的な光輝ムラを生じたり、多大の
労力と時間を要し、経済性に劣るなどの種々の難点があ
り、この様な製品に関しては、化学研磨法が使用されて
いる。
【0003】この化学研磨法は、化学的に金属を均一に
腐食させることにより金属又は合金の表面に光沢を付与
し、かつ平滑にする方法であり、金属、合金製品を適当
な化学薬品溶液中に浸漬するという簡単な操作によって
美しい耐食性に富んだ金属表面を得ることができる。こ
の方法の特徴は操作が簡易であることであり、機械的ま
たは電気的作業が不必要で、製品をただ化学薬品溶液の
中に短時間浸すだけで複雑な形状を有する小物または薄
い箔に対しても光沢をもち、しかも平滑な表面が得られ
ることにある。
【0004】
【従来の技術】このオーステナイト系ステンレス鋼の化
学研磨に用いる研磨浴としては、リン酸、塩酸、硝酸も
しくは塩酸、硝酸、フッ酸等に場合により硫酸、酢酸を
添加した酸混合水溶液から成る基本成分にフェノール、
キノリン、ナフタレン、ニトロ基またはジメチルアミノ
基を有する芳香族化合物、ポリアミンまたはその塩、チ
オアルコール類、チオアミン類またはこれらの塩酸、リ
ン酸および酢酸塩、チオ尿素類、チオ酸類及びこれらの
モノ、ジ、トリエタノールアミン塩類等といった脂肪族
有機硫黄化合物、乳酸、酒石酸、リンゴ酸等の脂肪族有
機酸、アミノカルボン酸類、ホスホノカルボン酸等の有
機キレート化合物、ポリエチレングリコール、ポリビニ
ルアルコール等の水溶性高分子化合物、アルキルピリジ
ン化合物、あるいはポリオキシエチレンラウリルエーテ
ル等のカチオンまたはアニオン系界面活性剤等を添加し
た溶液が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
オーステナイト系ステンレス鋼の化学研磨浴は、クロム
およびニッケル合金オーステナイト系ステンレス鋼の代
表鋼のSUS304においては、研磨ムラなく、表面を
平滑化し、優れた光沢面に仕上げることができる。しか
し、クロム、ニッケルの含有量を増やしてた鋼種、例え
ばクロム22%〜25%、ニッケル12%〜20%を添加し、耐
熱性、耐酸化性に優れたSUS309S、SUS310
S等において、あるいは非酸化性の酸に対する耐食性を
向上させるためにモリブデンを添加したSUS316、
SUS316L、SUS317L等の高耐食鋼のオース
テナイト系ステンレス鋼に対しては、未だ工業上満足な
金属光沢は得られておらず、また製品に要求される研磨
ムラなしに平滑化することは充分にできない状態であ
る。特に異なるグレードの鋼種の組立品の場合、すべて
の鋼種を、均一な光沢面に仕上げ、かつ平滑化すること
は難しい状況である。この様に、未だオーステナイト系
ステンレス鋼の全鋼種に工業上実用的な研磨浴は提供さ
れていないのが現状である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる従来の
難点を解消し、オーステナイト系ステンレス鋼の全鋼種
およびそれらの組立品、特に溶接組立品に対しても均一
な光沢面に仕上げ、かつ平滑化することができる化学研
磨浴を提供するものである。本発明に係る化学研磨浴は
塩酸0.7〜14.0重量%、硝酸0.5〜10.0重量%
を基本成分とする無機酸混合水溶液に、 (A)次の(a−1)〜(a−5)から成る有機硫黄化
合物から任意に選ばれた2種以上の混合物を0.03〜
3.0重量%、 (a−1)化5で表わされるスルホニウム化合物、
【化5】 (ただし、R1は水素原子、メチル基、アセチル基、メ
トキシカルボニル基のいずれかを、R2,R3は独立して
水素原子、ハロゲン、C1〜C4のアルキル基のいずれか
を、R4,R5は独立してC1〜C4のアルキル基またはベ
ンジル基を示す。Xはハロゲンまたはメチル硫酸を示
す。) (a−2)化6で表わされるチアゾール化合物、
【化6】 (ただし、R6は水素原子、ハロゲン、C1〜C4アルキ
ル基のいずれかを、R7は水素原子またはメルカプト基
または−S−NR89で表わされる。ここで、R8,R9
は独立して水素原子またはC1〜C4のアルキル基、また
は5員〜7員の脂環式の基であるか、もしくは隣接窒素
原子とともに複素環式基を形成してもよい。) (a−3)化7で表わされるジチオカルバミン酸化合
物、
【化7】 (ただし、R10,R11は独立して水素原子またはC1
4のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、シクロヘ
キシル基であるか、R10,R11は隣接窒素原子とともに
複素環式基を形成してもよい。Meは金属を表わし、n
は金属の価数を示す。) (a−4)化8で表わされるチウラム化合物、
【化8】 (ただし、R12〜R15はそれぞれ独立して水素原子また
はC1〜C4のアルキル基、または5員〜7員の脂環式の
基であるか、隣接窒素原子とともに複素環式基を形成し
てもよい。ただし、R12〜R15がすべて水素原子である
ことはない。nは1〜2の整数を示す。) (a−5)2−メルカプトチアゾリン (B)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール及びポリビニルアルコールから選ばれた水溶性高分
子化合物の1種または2種以上を0.1〜10.0重量
% (C)カチオン系またはノニオン系から選ばれた界面活
性剤の1種または2種以上を0.01〜2.0重量%か
らなる溶液である。 また上記の混合系にアルコール類およびエーテル類の1
種または2種以上を更に添加してもよい。これを用いる
ことによって、更に優れた研磨効果が生じる。
【0007】本発明で使用される有機硫黄化合物を例示
すると、スルホニウム化合物としては、p−ヒドロキシ
フェニルジメチルスルホニウムクロライド、p−メトキ
シフェニルジメチルスルホニウムクロライド、p−アセ
トキシフェニルジメチルスルホニウムクロライド、p−
メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニウ
ムクロライド、p−ヒドロキシフェニルジメチルスルホ
ニウムメチルサルフェート、p−メトキシフェニルジメ
チルスルホニウムメチルサルフェート、p−アセトキシ
フェニルジメチルスルホニウムメチルサルフェート、p
−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニ
ウムメチルサルフェート、ベンジル−4−ヒドロキシフ
ェニルメチルスルホニウムクロライド、ベンジル−4−
メトキシフェニルメチルスルホニウムクロライド、ベン
ジル−4−アセトキシフェニルメチルスルホニウムクロ
ライド、ベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェ
ニルナフチルスルホニウムクロライド、ベンジル−(3
−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウ
ムクロライドなどが挙げられる。
【0008】チアゾール化合物とは、2−メルカプトベ
ンゾチアゾール、4−メチル−2−メルカプトベンゾチ
アゾール、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾー
ル、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフ
ェンアミド、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−
スルフェンアミド、N,N−ジイソプロピルベンゾチア
ジル−2−スルフェンアミドなどが挙げられる。
【0009】ジチオカルバミン酸化合物としては、ジメ
チルジチオカルバミン酸ナトリウム塩、ジエチルジチオ
カルバミン酸亜鉛塩、エチルフェニルジチオカルバミン
酸亜鉛塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛塩、ジメチ
ルジチオカルバミン酸ニッケル塩、エチルフェニルジチ
オカルバミン酸ニッケル塩、ジ−n−ブチルジチオカル
バミン酸リチウム塩などが挙げられる。
【0010】チウラム化合物としては、テトラメチルチ
ウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフ
ィド、テトラエチルチウラムモノスルフィド、テトラエ
チルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムモノ
スルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テト
ラシクロヘキシルチウラムモノスルフィド、ジシクロヘ
キシルチウラムジスルフィド、ジモルホリノチウラムモ
ノスルフィドなどが挙げられる。
【0011】界面活性剤を例示すると、カチオン系界面
活性剤としては、オクタデシルトリメチルアンモニウム
クロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、
パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウムクロライ
ドなどのアルキルトリメチルアンモニウムクロライド
や、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アル
キルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの4
級アンモニウムクロライド、アルキルアミン塩酸塩、ア
ルキルピコリニウムクロライド、アルキルイソキノリニ
ウムブロマイドなどが挙げられる。
【0012】ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンラウルアミン、ポリオキシエチレンステアリ
ルアミンなどのポリオキシエチレンアルキルアミン、ポ
リオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレ
ンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエー
テルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル型、ポ
リオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリオキ
シエチレンオクチルフェノールエーテルなどのポリオキ
シエチレンアルキルフェノール型、ポリオキシエチレン
モノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレー
ト、ポリオキシエチレンオレエートなどのポリオキシエ
チレン脂肪酸エステル型、ソルビタンモノラウレートソ
ルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレー
ト等のソルビタンエステル型、オキシエチレンオキシプ
ロピレンブロックポリマー型、グリセロールモノステア
レート型やパーフルオロアルキル化合物などが挙げられ
る。
【0013】アルコール類及びエーテル類を例示する
と、アルコール類としては、メタノール、エタノール、
プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなど
の一価アルコール、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ブチレングリコールなどの二価アルコールな
どが挙げられる。エーテル類としては、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチ
レングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレング
リコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエ
ーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテ
ル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテルなどのジエチレングリコール
モノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノ
メチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエ
ーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルな
どのジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、
トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロ
ピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられて
いる。
【0014】次に、本発明の化学研磨浴成分を説明す
る。塩酸は0.7〜14.0重量%が好ましく、更に好ま
しくは1.5〜5.0重量%である。硝酸は0.5〜10.
0重量%が好ましく、更に好ましくは1.0〜4.0重量
%である。 (A)有機硫黄化合物は0.03〜3.0重量%が好まし
く、更に好ましくは0.1〜1.0重量%である。 (B)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール及びポリビニルアルコールから選ばれた水溶性高分
子化合物は0.1〜10.0重量%が好ましく、更に好ま
しくは0.5〜3.0重量%である。 (C)カチオン系又はノニオン系から選ばれた界面活性
剤の1種または2種以上は0.01〜2.0重量%が好ま
しく、更に好ましくは0.05〜1.0重量%である。ア
ルコール類及びエーテル類は0.1〜10.0重量%が好
ましく、更に好ましくは1.0〜5.0重量%である。
【0015】これら本発明の有効成分を、水または水と
水溶性有機溶媒、例えばアルコール類、エーテル類等と
の混合溶媒で溶解したものが本発明の化学研磨浴であ
る。また、塩酸,硝酸の混合水溶液に(A)〜(C)の
有効成分、アルコール類及びエーテル類をさらに添加し
た研磨浴に、必要に応じてケトン類等の水溶性有機溶媒
を含む溶液で調製したものを加えて本発明の化学研磨浴
とすることもできる。この研磨浴中に被研磨材を96〜
100℃、好ましくは、98〜100℃の温度において
30秒〜5分間浸漬し、その後水洗中和することによ
り、オーステナイト系の全鋼種のステンレス鋼の表面を
均一な光輝ある平滑面に仕上げることができる。なお、
上記組成の研磨浴に公知の光沢化添加剤、例えば芳香族
ジメチルアミノ化合物、ニトロ化合物、アセチレン化合
物、アルキルピリジン化合物、脂肪族有機イオウ化合
物、脂肪族有機酸等を適量併用することも可能である。
【0016】
【作用】化学研磨とは、酸、アルカリ、またはこれらの
塩類を用いた浴に一定温度において金属または合金を浸
漬処理し、表面を溶解させて光沢のある平滑面を得るこ
とは周知である。従って、オーステナイト系ステンレス
鋼の化学研磨の場合には、その研磨浴は合金成分である
鉄、クロム、ニッケル等の元素をいずれも溶解するよう
なものでなければならず、かつ均一溶解による平滑面を
与えるようなものでなければならない。
【0017】本発明の化学研磨浴において無機酸は、ス
テンレス鋼を溶解せしめるための基本成分であり、特に
塩酸及び硝酸は必須不可欠な基本成分である。本発明で
使用される有機硫黄化合物類の作用は定かではないが、
これらの化合物がステンレス鋼表面に吸着され、これが
局部的な酸腐食を抑制する結果、無機酸の溶解作用と相
まってステンレス表面の均一溶解と光輝性の向上に優れ
た効果を示すものと推考される。
【0018】また、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール及びポリビニルアルコールといった水
溶性高分子化合物は、研磨浴の粘度を高め、かつ金属溶
解速度の促進効果を有し、有機硫黄化合物類との相乗作
用によって金属の選択的溶解を抑制し、しかも溶出金属
の拡散をも抑制すると推定される。このため、表面の平
滑化ならびに光輝性の向上にすぐれた効果を示し、処理
表面は、著しく改善される。また、同時に一般の金属の
酸による溶解時に見られる薄黒色の不溶性物質、いわゆ
るスマットを溶解除去するので、表面の均一溶解をさら
に促進し、光輝性の向上に効果がある。
【0019】水溶性高分子化合物は重合度により、固体
あるいは液体であり、例えばポリエチレングリコールは
分子量600以上のものは常温で固体であるが、本発明
においては、これら重合度のいずれのものを使用しても
効果に変化はない。また、重合度の異なるものを混合し
て使用したとしても研磨効果は、ほとんど差異を生じな
い。界面活性剤、アルコール類及びエーテル類は、有機
硫黄化合物の分散と吸着の手助けを行うものでステンレ
ス鋼の均一な侵食にも寄与する。
【0020】これら有機硫黄化合物、界面活性剤ならび
に水溶性高分子化合物を併用添加してなる化学研磨浴に
よって、充分満足すべき研磨効果は得られるが、更にア
ルコール類及びエーテル類を用いることによって、有機
硫黄化合物の分散性を向上させ、更に一層優れた平滑及
び光輝効果を得ることができる。化学研磨浴において、
オーステナイト系ステンレス鋼材料およびそれらの加工
品を光沢のある平滑な表面に仕上げることができる。
【0021】本発明におけるこれら有効成分の単独添加
あるいは有機イオウ化合物の1種のみの添加では、光沢
のある研磨面は得られず、また本発明の有効な構成成分
から1種以上減じても均一な光沢ある平滑面に仕上げる
ことはできない。実に本発明の組成において初めて充分
なるオーステナイト系の全鋼種のステンレス鋼に研磨効
果が得られる。例として、18%クロムおよび8%ニッ
ケル合金のSUS304およびSUS304Lで製作し
た構成部品と18%クロム、10.5%ニッケルおよび
2.5%モリブデン合金鋼のSUS316、SUS31
6Lで作った構成部品とを結合する溶接組立品の研磨を
も可能にする。
【0022】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明の有効性を証明す
るが、これに限定されるものではない。 実施例1 オーステナイト系ステンレス鋼の代表例として、SUS
304及びSUS316LのNo.2B仕上げ圧延板の
50×20×1mmを試験片として使用する。これらの
試験片を常法によりアルカリ脱脂後、表1,2に記載す
る本発明の各種組成の化学研磨浴No.1〜10(残部
は水である)を98〜100℃に加温して、試験片を5
分間浸漬した後、水洗中和、乾燥させ表面光沢性を目視
判定した。評価基準は、◎印;金属光沢優、○印;金属
光沢良好、△印;光沢性若干有り、×印;光沢なしと表
示判定した。評価結果は一括して表3に示したとおりで
ある。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】比較例 比較例として本発明の有効構成成分である有機硫黄化合
物の1種を使用して建浴した表4,5に記載する各種組
成の化学研磨浴No.11〜20(残部は水である)を
用いて実施例1に準じて処理した。その評価結果を表6
に記載する。
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】
【表6】
【0030】なお、表1,2,4,5記載のエマルゲン
810(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテ
ル)は花王株式会社製、カチオンBB(ドデシルトリメ
チルアンモニウムクロライド)は日本油脂株式会社製の
界面活性剤である。
【0031】実施例2 実施例1の研磨浴の浴No.1の配合系から成る建浴液
を98〜100℃に加温して、オーステナイト系ステン
レス鋼のSUS301、SUS303、SUS304、
SUS304L、SUS305、SUS309S、SU
S310S、SUS316、SUS316L、SUS3
17L、SUS321のNo.2B仕上げ圧延板50×
20×1mmの11種の鋼種をアルカリ脱脂した試料を
5分間浸漬後、水洗、中和、乾燥して、表面光沢性を肉
眼で評価した。評価基準は、実施例1と同じである。評
価結果は一括して表7に示したとおりである。
【0032】
【表7】
【0033】
【発明の効果】本発明に係る研磨浴は、比較例の研磨浴
によるものに比べて格段に優れた研磨効果を示し、オー
ステナイト系ステンレス鋼の全鋼種に対し、良好な光沢
性、平滑性を付与する。また、異なるグレードの鋼種の
組立品に対しても均一な光沢面に仕上げ、かつ平滑化す
るための有効な化学研磨浴を提供することができ、工業
上非常に有益である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23F 3/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩酸0.7〜14.0重量%、硝酸0.5〜
    10.0重量%を基本成分とする無機酸混合水溶液に (A)次の(a−1)〜(a−5)から成る有機硫黄化
    合物から任意に選ばれた2種以上の混合物を0.03〜
    3.0重量%、 (a−1)化1で表わされるスルホニウム化合物、 【化1】 (ただし、R1は水素原子、メチル基、アセチル基、メ
    トキシカルボニル基のいずれかを、R2,R3は独立して
    水素原子、ハロゲン、C1〜C4のアルキル基のいずれか
    を、R4,R5はそれぞれ独立してC1〜C4のアルキル基
    またはベンジル基を示す。Xはハロゲンまたはメチル硫
    酸を示す。) (a−2)化2で表わされるチアゾール化合物、 【化2】 (ただし、R6は水素原子、ハロゲン、C1〜C4アルキ
    ル基のいずれかを、R7は水素原子またはメルカプト基
    または−S−NR89で表わされる。ここで、R8,R9
    は独立して水素原子またはC1〜C4のアルキル基、また
    は5員〜7員の脂環式の基であるか、もしくは隣接窒素
    原子とともに複素環式基を形成してもよい。) (a−3)化3で表わされるジチオカルバミン酸化合
    物、 【化3】 (ただし、R10,R11は独立して水素原子またはC1
    4のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、シクロヘ
    キシル基であるか、R10,R11は隣接窒素原子とともに
    複素環式基を形成してもよい。Meは金属を表わし、n
    は金属の価数を示す。) (a−4)化4で表わされるチウラム化合物、 【化4】 (ただし、R12〜R15はそれぞれ独立して水素原子また
    はC1〜C4のアルキル基、または5員〜7員の脂環式の
    基であるか、隣接窒素原子とともに複素環式基を形成し
    てもよい。ただし、R12〜R15がすべて水素原子である
    ことはない。nは1〜2の整数を示す。) (a−5)2−メルカプトチアゾリン (B)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
    ール及びポリビニルアルコールから選ばれた水溶性高分
    子化合物の1種または2種以上を0.1〜10.0重量
    % (C)カチオン系またはノニオン系から選ばれた界面活
    性剤の1種または2種以上を0.01〜2.0重量%、
    を含有せしめてなるオーステナイト系ステンレス鋼の化
    学研磨浴
  2. 【請求項2】請求項1記載の研磨浴にアルコール類およ
    びエーテル類の1種または2種以上を研磨浴全量の0.
    1〜10.0重量%になるように含有せしめたことを特
    徴とするオーステナイト系ステンレス鋼の化学研磨浴
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