JPH08224084A - ポリヌクレオチドの生体内標識化方法 - Google Patents

ポリヌクレオチドの生体内標識化方法

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JPH08224084A
JPH08224084A JP7332416A JP33241695A JPH08224084A JP H08224084 A JPH08224084 A JP H08224084A JP 7332416 A JP7332416 A JP 7332416A JP 33241695 A JP33241695 A JP 33241695A JP H08224084 A JPH08224084 A JP H08224084A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の分析物の検出、実験上、工業上、また
は医学・医療上応用することができる標識ポリヌクレオ
チドを、量産における高コスト等の従来方法における制
約なしに、生物学的手法を用いて生体内標識することに
より提供する。 【解決手段】 標識しようとするポリヌクレオチドを特
徴とする宿主を、その宿主が成長するのに必要とする、
標識を有する塩基、ヌクレオシドもしくはヌクレオチ
ド、またはその同族体もしくは先駆体の存在下で培養し
て標識をポリヌクレオチド中に組み込む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリヌクレオチド
の生体内(in vivo )標識に関する。より詳細には、本
発明は、DNAの生物学的標識に関し、分析物に対して
ヒブリド化したそれらDNAの検出を可能とする。本発
明の方法により作製された生物学的に標識されたポリヌ
クレオチドは、種々の分析物の検出が必要とされる多く
の研究、工業、医薬上の応用において有用である。
【0002】
【従来の技術】以下の記載において、次の用語を使用す
る。
【0003】分析物: 存在を検出しかつ所望ならば定
量すべき物質もしくは複数の物質のそれぞれ単独物また
は混合物。この分析物は、低分子量または高分子量のD
NAもしくはRNA分子、これらの分子を含む複合体分
子、または例えばウィルス、細胞もしくは細胞群のよう
な核酸を含有する生物系とすることができる。一般的な
分析物には、核酸(DNAおよびRNA)もしくはその
断片、単一鎖もしくは二重鎖のもの、ウィルス、細菌、
培養細胞などがある。グラム陽性細菌およびグラム陰性
細菌を含め全体としてもしくはその断片としての細菌、
真菌、藻類およびその他の微生物も分析物であり、さら
に動物(たとえば哺乳動物)および植物の細胞および組
織も包含される。
【0004】プローブ: 特定分析物のポリヌクレオチ
ドに対し相補的であり、かつこの分析物ポリヌクレオチ
ド配列へヒブリド化する、標識されたポリヌクレオチ
ド。
【0005】標識: そのままで、または信号部分もし
くは架橋部分と信号部分との組合せが共有結合した後
に、または信号部分もしくは架橋部分と信号部分との組
合せが非共有結合した後に、検出しうるまたはある場合
には定量化しうる信号を発生する、ポリヌクレオチドに
結合された部分。この種の標識を有する化合物は、例え
ばグルコシル化ヌクレオチド、グリコシル化ヌクレオチ
ド、5−ヒドロキシメチルウラシル、BrdURおよび
5−メチルシトシンを包含する。
【0006】架橋部分: ポリヌクレオチド配列の標識
へ共有結合または非共有結合する際、標識と信号部分と
の間で結合手または架橋として作用する部分。
【0007】信号部分: ポリヌクレオチドの標識へま
たはこの標識に結合された架橋部分へ共有結合または非
共有結合する際に、標識を検出するための信号を発生す
る部分。
【0008】信号: 標識または信号部分の特性であっ
て、標識を持たないヌクレオチド群から標識または信号
部分を検出可能とするもの。
【0009】生物試料および非生物試料における微量の
物質の分析および検出は、臨床実験および分析実験にお
いて日常の手段となった。これらの検出技術は次の2つ
の主たる群に分類することができる。すなわち: (1)リガンド−レセプターの相互作用に基づくもの(例
えば免疫分析に基づく技術)および、(2)核酸ヒブリド
化に基づくもの(ポリヌクレオチドに基づく技術)であ
る。
【0010】免疫分析に基づく技術は、抗体とそれに相
補的な抗原との非共有結合からなる一連の工程を特徴と
する。例えば、T. Chard, "An Introduction To Radioi
mmunoassay And Related Techniques" (1978) を参照す
ることができる。
【0011】ポリヌクレオチドに基づく検出技術は、標
識されたポリヌクレオチド配列またはプローブをアデニ
ン(A)とチミジン(T)、およびグアニン(G)とシ
チジン(C)のワトソン−クリックの塩基対合に従っ
て、ヒブリド化条件下で分析物の相補配列へ非共有結合
させ、かつそのヒブリド化を検出することからなる一連
の工程を特徴とする。〔M. GrunsteinおよびD. S. Hogn
ess, "Colony Hybridization: A Method For The Isola
tion Of Cloned DNAs That Contain A SpecificGene",
Proc. Natl. Acd. Sci. USA, 72, pp. 3961-65 (197
5)〕。
【0012】一般的意味において、分析物の相補配列に
対する標識配列もしくはプローブの非共有結合は、ポリ
ヌクレオチドに基づく検出技術の主たる識別過程であ
る。この結合過程は、プローブと分析物との相補ヌクレ
オチドの正確な分子配列および相互作用によって起こ
る。これは、非共有結合の自由エネルギー、例えば水素
結合自由エネルギー、積層自由エネルギーなどの放出に
よりエネルギー性に促進される。
【0013】主たる識別過程の他に、さらに標識ヌクレ
オチドと分析物の相補配列部分との間で結合が生ずる時
点を検出することが必要である。この検出は信号過程で
行われる。信号過程は定量的もしくは定性的な検出を可
能にし、例えば主たる識別過程の発生をヒトまたは装置
の検出系で検知することを可能にする。
【0014】ポリヌクレオチド配列に基づく検出技術の
主たる識別過程および信号過程は、直接的にまたは間接
的に、或いは比例的にまたは逆比例的に組み合わせるこ
とができる。例えば充分量の放射性標識したプローブに
よる核酸ヒブリド化のような系において、放射能の量は
一般に存在する分析物の量に比例する。逆比例の技術
は、例えば検出される信号の量が試料中に存在する分析
物の量が多くなるにつれて低下するような競合免疫分析
を包含する。
【0015】信号過程を主たる識別過程に対し、1:1
より大きい比で関連させるよう検出を向上させるために
増幅技術を使用することもできる。例えば分析の信号成
分を各識別成分に対し10:1の比で存在させて、10
倍の感度増加を与えることもできる。
【0016】主たる識別過程の発生を検出するには多く
の種類の信号過程を使用することができる。選択する信
号過程は、主たる識別過程で使用されるポリヌクレオチ
ドの標識または信号部分を特徴とする特定信号に依存す
る。標識はこれへ信号部分または架橋部分と信号部分と
の組合せを結合させる処理なしにそれ自身で検出されう
るが、この標識に対しそれ自身で検出されうるまたはさ
らに改変した後に検出され得るようになる信号部分また
は架橋部分と信号部分との組合せを共有結合または非共
有結合させるのがより一般的である。
【0017】もちろん、上記の架橋部分と信号部分との
組合せは標識へ結合させる前に作製し得ること、或いは
標識へ順次に結合させうることを了解すべきである。例
えば、架橋部分を先ず標識へ結合させ、次いで信号部分
をその架橋部分へ結合させることができる。さらに、幾
つかの架橋部分および/または信号部分を一緒に架橋部
分と信号部分との組合せにおいて使用することもでき
る。
【0018】標識に対する信号部分または架橋部分と信
号部分との組合せの共有結合の例は、例えば放射性部
分、蛍光性部分または検出手段となりうる信号をそれ自
体で与える他の部分のような信号部分による標識の化学
的改変、或いは信号を与えるための架橋部分と信号部分
との少なくとも1つの組合せによる標識の化学的改変で
ある。
【0019】標識に対する信号部分または架橋部分と信
号部分との組合せの非共有結合の例は、適当な手段によ
りそれ自身で検出されうる信号部分の標識に対する非共
有結合、或いはこれら手段の1つにより検出されうる信
号を発生する非共有結合である。例えばポリヌクレオチ
ドの標識を抗体、蛍光性部分または適当な手段によって
検出しうる他の部分へ非共有結合させることができる。
或いは、標識を架橋部分(例えばレクチン)へ結合さ
せ、次いでレクチン、すなわち架橋部分を介して適当な
手段により検出しうる他の部分へ結合させることもでき
る。
【0020】分析物検出系においてプローブとして有用
なポリヌクレオチドの標識へ共有結合させ、または非共
有結合させるのに使用しうる極めて多くの種類の信号部
分および架橋部分が存在する。これらは多くの種類の放
射性および非放射性信号部分を包含し、さらに多くの種
類の非放射性架橋部分を包含する。必要とされること
は、信号部分が適当な手段により検出されうる信号を与
えること、並びに存在すれば架橋部分が標識に対し共有
結合または非共有結合する能力および信号部分と結合す
る能力を特徴とすることである。
【0021】放射性の信号部分並びに各種の架橋部分と
放射性信号部分との組合せは、例えばP32,I131 ,C
14,H3 ,Co60,Ni59,Ni63などの様な1種もし
くはそれ以上の放射性同位元素を特徴とする。好ましく
は、使用する同位元素はβ線またはγ線を放出し、かつ
長い半減期を有する。次いで、特に一般的には放射能信
号の検出は、例えばフィルムへ露出するような放射能検
出器によって行われる。
【0022】非放射性信号部分、ならびに架橋部分と非
放射性信号部分との組合せは、研究および臨床分野にお
いてますますその使用が増大しつつある。これらの信号
および架橋部分は放射能を含まないので、これらを使用
する技術および標識プローブは安全、クリーンかつ一般
的に貯蔵の際より安定であり、その結果安価に使用でき
る。さらに、非放射性信号部分の検出感度は、放射性標
識技術と同程度に高いかまたはそれ以上である。
【0023】非放射性標識と共に使用しうる好適な非放
射性信号部分または架橋−信号部分の組合せの内には、
ビオチン/アビジン結合系に基づくものがある〔P. R.
Langerら, "Enzymatic Synthesis Of Biotin-Labeled P
olynucleotides : Novel Nucleic Acid Affinity Probe
s", Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78, pp. 6633-37(19
81);J. Stavrianopoulosら, "Glycosylated DNA Probe
s for Hybridization/ Detectio Of Homologous Sequen
ces", 組換えDNA研究に対する第3階会議(1983
年)において発表;R. H. SingerおよびD. C. Ward、"A
ctin Gene Expression Visualized In Chicken Muscle
Tissue Culture By Using In Situ Hybridization With
A Biotinated Nucleotide Analog", Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 79, pp. 7331-35 (1982)〕。非放射性信
号系および架橋−信号系、ビオチン/アビジンなどにつ
いては、D. C. Wardら, "Modified Nucleotides And Me
thodsOf Preparing And Using Same"、欧州特許出願第
63879号明細書を参照することができる。
【0024】非放射性標識ポリヌクレオチドは、検出系
においてそれほど広く使用されていない。なぜなら、検
出系においてプローブとして有用なポリヌクレオチドに
対する標識(ヒブリド化を阻害しないもの)の結合が高
価となるからである。
【0025】第1に、標識を加えるようポリヌクレオチ
ド重合対を改変するのに有用である化学反応条件は、し
ばしば苛酷すぎて特定ヌクレオチドについては選択する
ことができない。さらに重要なことに、ポリヌクレオチ
ドヌクレオチド配列の化学的標識は、しばしばヒブリド
化を阻害する。なぜなら、この標識はヒブリド化に必要
な水素結合を阻害するからである。例えば、ケトキサー
ルまたはグリオキサールのようなジカルボニル試薬はグ
アニン残基と反応する〔Shapiro ら, Biochemi stry, 5,
pp. 2799-2807 (1966) ; M. Litt , Biochemistry, 8,
pp. 3249-53 (1969) ; Politzら, Biochemistry, 20,
pp. 372-78 (1981) 〕。しかしながら、ケトキサールお
よびグリオキサールで標識したヌクレオチドは、分析物
における相補配列に対しヒブリド化しない。なぜなら、
この標識はヒブリド化に必要な水素結合を阻害するから
である。
【0026】従って、プローブとして使用するポリヌク
レオチドを標識するためには、標識された単量体ヌクレ
オチドを合成し、次いでこれをポリヌクレオチド中に組
み込まねばならない。標識がヒブリド化を阻害しないよ
うな方法で個々のヌクレオチドを標識するには種々の方
法が使用できる。これら標識された単量体ヌクレオチド
をポリヌクレオチドプローブへ結合させるにも、種々の
化学的および酵素的方法が使用できる。例えば、2’−
デオキシウリジン5’−トリホスフェート5−アリルア
ミンビオチンのような標識されたヌクレオチドを、DN
Aプローブにおいてニック翻訳によって置換することが
でき〔P. R. Langerら, "Enzymatic Synthesis Of Biot
in-Labeled Polynucleotides : Novel Nucleic Acid Af
finity Probes", Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78, p
p. 6633-37 (1981)〕、または末端デオキシヌクレオチ
ジルトランスフェラーゼを用いるDNAプローブへの末
端付加により置換することができる。
【0027】しかしながら、これらの方法には製造上の
制約がある。例えば、標識された単量体ヌクレオチドを
ポリヌクレオチドプローブ中へ組み込む前に、これらヌ
クレオチドを合成する必要がある。この合成は、しばし
ば高価な化学的方法を包含する。ポリヌクレオチド中へ
の標識された単量体ヌクレオチドの結合も高価につく。
例えば酵素的結合に使用する酵素は高価である。これに
関連する制約は、この方法を工業的規模まで拡大するの
に困難を伴いかつ費用が嵩むことである。その結果、こ
れらの方法は、現在希望するよりも高価につく非放射性
標識したポリヌクレオチドを生産する。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、分析
物の検出においてプローブとして有用である生体内また
は生物学的に標識したポリヌクレオチドを提供すること
により、上記の製造上の制約を解消することである。こ
れらの配列は、問題とする分析物を検出するための方法
およびキットに使用することができる。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明の標識したDNA
の製造方法は、一般にその1具体例において、所望ポリ
ヌクレオチドの生体内標識化を包含する。或いは、本発
明の方法を使用して、予め標識された塩基、ヌクレオシ
ドもしくはヌクレオチドを所望のポリヌクレオチド中へ
生体内で組み込むこともできる。本発明のこれら両具体
例は、従来のポリヌクレオチド標識方法に対する改良で
ある。さらに、これら両者は、非放射性標識したプロー
ブを種々の検出系に使用するのに一層低価格で容易に供
給することを可能にする。
【0030】より詳細には、本発明のポリヌクレオチド
の生体内標識方法における第1の具体例は、標識しよう
とするポリヌクレオチドと少なくとも1種の他のポリヌ
クレオチドとを特徴とする宿主を培養する工程から成
り、前記他のポリヌクレオチドは、培養される宿主の複
製に際し、所望のポリヌクレオチドを標識する産生物を
発現する。好ましくは、この方法は、さらに標識された
ポリヌクレオチドから成る少なくとも1種のポリヌクレ
オチドを培養された宿主から単離する工程をも包含す
る。より好ましくは、培養された宿主から単離されたポ
リヌクレオチドは、標識されたポリヌクレオチド自身の
1部または全部である。
【0031】本発明の1つの好適具体例においては、標
識しようとする異質DNAをT4バクテリオファージゲ
ノム(これは一般にヒドロキシメチル化されかつグルコ
シル化されたDNAを含有する)中へ挿入する。宿主T
4ファージは、ヒドロキシメチル化されかつグルコシル
化されたDNAを産生する条件下で増殖される。挿入さ
れたプローブDNAを含有するT4ファージを回収し、
そしてプローブDNAを好ましくは周知のin situ もし
くはin vitroヒブリド化法においてヒブリド化プローブ
として使用するために切断する(例えばサウザンブロッ
ト、ノーザンブロット、ドットブロット、コロニーヒブ
リド化またはプラークリフト法)。或いは、挿入された
生体内標識したプローブDNAを含有するT4ファージ
ゲノムをプローブとして使用することもできる。
【0032】次いで分析物へヒブリド化したプローブの
存在を、例えば架橋部分と信号部分との組合せを用いて
検出する。例えば、コンカナバリンA(ConA)をグ
ルコシル化プローブDNA配列に結合させ、そして元来
グリコシル化されている酵素に対する架橋として作用さ
せる。酵素(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ)は適
当な基質(例えばHやジアミノベンジジン)に接
触すると比色分析しうる生成物を生成し、これを検出す
ることができる。さらに、他の検出系または抗体、或い
は周知の方法を用いる他の検出系も、ヒブリド化DNA
を検出するために使用することができる。
【0033】本発明による方法の他の具体例において
は、所望の標識を有する塩基、ヌクレオシドもしくはヌ
クレオチドまたはその同族体もしくは先駆体を生体内で
ポリヌクレオチド中へ組み込む。この具体例において、
本発明のポリヌクレオチドの生体内標識方法は、標識し
ようとするポリヌクレオチドを特徴とする宿主をその宿
主が成長するのに必要とする標識を有する塩基、ヌクレ
オシドもしくはヌクレオチドまたはその同族体もしくは
先駆体の存在下で培養して、この標識をポリヌクレオチ
ド中へ組み込む工程を包含する。ここでも標識されたポ
リヌクレオチドから成る少なくとも1種のポリヌクレオ
チドを培養された宿主から単離することが好ましい。更
に好ましくは、培養された宿主から単離されたポリヌク
レオチドは、標識されたポリヌクレオチド自身の部また
は全部である。
【0034】標識を有する塩基、ヌクレオシドもしくは
ヌクレオチドまたはその同族体もしくは先駆体をポリヌ
クレオチド中へ生体内で組み込むための本発明による1
つの好適具体例において、標識しようとするポリヌクレ
オチドを特徴とするイー・コリのチミンもしくはチミジ
ン要求性の突然変異種をチミンもしくはチミジンの代わ
りにBrdURを補充した培地で増殖させて、所望のポ
リヌクレオチドをBrdURによって生物学的に標識す
る。
【0035】この標識プローブのその後の使用は実質的
に上記した通りである。プローブ検出/分析物ヒブリド
化の過程は、BrdUR標識したプローブDNAのビオ
チン化と幾つかの公知方法のいずれかによるビオチン成
分の検出を介して行うことができる。或いは、抗体また
は他の検出方式を使用して、BrdUR置換したDNA
を直接に検出することもできる〔H. G. Gratzner, "Mon
oclonal Antibody To5-Bromo- and 5-Iodo-deoxyuridin
e : A new Reagent For Detection Of DNA Replicatio
n", Science , 218, pp. 474-75 (1982)〕。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明をより一層良く理解するた
めに、以下詳細に説明する。
【0037】生体内標識されるポリヌクレオチドの原料 多数のポリヌクレオチドを本発明の方法に使用して標識
しかつ分析物の検出に使用することができる。例えば、
これには各種のウィルス、ウィロイド、真菌、寄生虫ま
たは細菌の感染、遺伝子障害を特徴づけるポリヌクレオ
チド、または検出しようとする分析物における他のポリ
ヌクレオチドが包含される。これらは合成物、半合成
物、または天然由来物とすることができる。
【0038】多数の入手しうる原料のいずれかを使用し
て、生体内標識されたポリヌクレオチドを産生させるこ
とができる。例えば、T−偶数ファージ(すなわちT
2、T4、およびT6)が包含され、これらは天然にお
いてモノリン酸シチジンの代わりにグルコシル化された
モノリン酸ヒドロキシメチルデオキシシチジンを有する
〔I. R. Lehmanら, J. Biol. Chem., 235, pp. 3254-59
(1960) 〕;さらに5−ヒドロキシメチルウラシルによ
りチミジン残基を置換する枯草菌ファージSPO1〔R.
G. Kallenら, J. Mol. Biol., 5, pp. 248-50 (1962)
〕;5−メチルシトシンによりC残基を置換するキサ
ントモナス・オリゼ(Xanthomonus oryzea)ファージX
P12〔T. T. Kuo ら, J. Mol. Biol., 34, pp. 373-7
5 (1968)〕;並びにT残基の62%がホスホグルクロン
化されかつグルコシル化された5-(4',5'-ジヒドロキ
シペンチル)ウラシルにより置換された枯草菌ファージ
SP15〔H. Hayashiら, J. Amec. Chem. Soc. , 95,
pp. 8749-57 (1973)〕が包含される。そして本発明の変
法において、5−ブロム−デオキシウリジン(BrdU
R)または他の標識された塩基、ヌクレオシドもしくは
ヌクレオチドによるプローブDNAの標識化は、これら
塩基、ヌクレオシドもしくはヌクレオチドを成長に必要
とする突然変異種をこれらの存在下で増殖させて行う。
【0039】標識しようとするポリヌクレオチドと標識
の原料とは、多くの方法で宿主中において組み合わせる
ことができる。例えば、標識しようとするポリヌクレオ
チドは、元来、特定宿主のゲノムの1部とすることがで
き、或いは例えば組換えDNA技術の方法を用いてその
ゲノム中へ挿入することもできる。或いは、標識すべき
ポリヌクレオチドは、複製させかつ標識するよう宿主を
形質転換させるのに使用するクローン化ベヒクル、ファ
ージDNAまたはその他のDNAの1部とすることもで
きる。
【0040】さらに標識に原料を、種々の方法で宿主中
に存在させることもできる。例えば、標識の原料が、標
識しようとするポリヌクレオチドを特徴とする宿主中で
そのポリヌクレオチドが複製する際にそのポリペプチド
を標識する産生物を発現するDNAである場合、このD
NAを宿主中に存在させることができる。なぜならば、
これは宿主の天然ゲノムの1部であったか、或いはその
ゲノム中に挿入されたものであるからである。或いは、
標識の原料であるDNA配列は、複製のために宿主を形
質転換させるのに使用するクローン化ベヒクル、ファー
ジDNAまたはその他のDNAの1部とすることもでき
る。本発明の1つの好適具体例において、標識すべきポ
リヌクレオチドは、標識の原料であるDNAと同じクロ
ーン化ベヒクルまたはファージDNAに存在する。或い
は、2種のDNAが宿主中に別々に存在していても良
い。特に好ましくは、標識すべきポリヌクレオチドを、
標識に原料であるDNA中にクローン化させる。いずれ
にせよ、宿主を培養する際、所望のDNAは、複製中ま
たは複製後に、標識の原料であるDNAにより発現され
た産生物の結果として標識される。
【0041】標識の原料が、塩基、ヌクレオシドもしく
はヌクレオチドまたはその同族体もしくは先駆体である
場合、これは宿主における複製の際に所望のポリヌクレ
オチド中に組み込まれる。なぜならば、この宿主は、成
長のために、所望の標識を有する標識保持物質、すなわ
ち塩基、ヌクレオシドもしくはヌクレオチドまたはその
同族体もしくは先駆体を培養培地へ加えることを必要と
する変種であるからである。次いで、本発明の方法によ
り培養する際、所望のポリヌクレオチド配列が、宿主に
おける複製に際し標識の組み込みによって生体内標識さ
れる。
【0042】本発明の方法に有用な宿主は、極めて多く
の公知生物から選択することができる。これらは、例え
ばイー・コリ、バチルス、シュードモナス、ストレプト
ミセス並びに各種の真菌類、藻類のような各種の微生物
並びに植物およびヒトの培養細胞を包含する。必要なこ
とは、標識しようとするポリヌクレオチドを宿主中で複
製させ、かつ宿主の増殖のために選択された培養条件下
で標識の原料により標識することだけである。
【0043】分析物の原料および検出 本発明の生物学的に産出されたプローブDNAは、多く
の実用的用途を有する。1つの用途は分析物の検出であ
る。検出すべき分析物は任意の生物学的または非生物学
的試料、例えば臨床試料(例えば血液、尿、糞便、唾
液、膿、精子、血清、その他の組織)、発酵用ブロス、
培養培地などに存在することができる。
【0044】必要に応じ、分析物は、その核酸を濃縮す
るために公知方法により予備抽出し或いは精製すること
ができる。この種の核酸濃縮法は、例えばフェノール抽
出、クロロホルム−イソアミルアルコールもしくはクロ
ロホルム−オクタノールによる処理、カラムクロマトグ
ラフィー(例えば、セファデックス、ヒドロキシルアパ
タイト)およびCsCl平行遠心分離を包含する。分析
物は、存在する夾雑物と一緒に混合物中で或いは精製し
た状態で試験することができ、或いは分析物は分析前に
固定化することもできる。
【0045】本発明の検出方法およびキットについても
多数の用途がある。試料中において検出しかつ分析しよ
うとする任意の分析物を本発明の方法及びキットにかけ
ることができる。例えば、この方法およびキットを使用
して、ウィルス性および細菌性のDNAを検出し、かつ
同定することができ、例えばヘルペスウィルスの検出が
可能である。
【0046】さらに本発明の方法およびキットを使用し
てヒトの遺伝子障害を診断することができ、その際遺伝
子障害に関連するDNAに対し相補的なプローブを作製
し、かつ主たる識別過程の存在または不存在を検出す
る。これらの遺伝子障害には、例えば地中海貧血症があ
る。この地中海貧血症の診断は、プローブポリヌクレオ
チドをゲノムDNAへヒブリド化させて行うことができ
る。
【0047】本発明の方法およびキットの他の用途は染
色体の核型分類であり、これは染色体のそれぞれに特異
的に位置する一連の特定DNAに対応する一連の標識ポ
リヌクレオチドを使用し、次いで主たる識別過程を検出
することから成っている。
【0048】ヒブリド化分析の方法 試験を行うため、分析物を含有すると思われる組成物
を、標識されたプローブポリヌクレオチドと一緒に、分
析物のポリヌクレオチドとプローブ上の識別用ポリヌク
レオチドとの間のヒブリド化を惹起するのに充分な時間
および条件の下で培養する。これらの条件は、分析物お
よびプローブの性質および量に応じて変化する〔D. E.
Kennell, "Principles And Practices Of Nucleic Acid
Hybridization", Progr. Nucl. Acid Res. Mol. Bio
l., 11, pp. 259-301 (1971)〕。
【0049】多くの種類の信号過程を用いて、主たる識
別過程の発生、すなわち分析物における相補配列に対す
る標識DNAのヒブリド化を検出することができる。選
択する特定の信号過程は、ポリヌクレオチドの標識また
は改変標識を特徴とする特定の信号に依存する。
【0050】例えば、ポリヌクレオチドにより担持され
る標識は、これに信号部分または架橋部分と信号部分と
の少なくとも1つの組合せを結合させる処理なしに検出
することができる。しかしながら、より一般的にはそれ
自身で検出しうる或いはさらに改変した後に検出し得る
ようになる(上記)信号部分或いは架橋部分と信号部分
との少なくとも1つの組合せを共有結合させ、または非
共有結合させる。
【0051】ポリヌクレオチドの標識に共有結合させう
る信号部分および架橋部分の例は、放射性化合物、蛍光
性化合物、フルオレシン、ローダミン、ダンシル、磁性
化合物、キレート剤並びにこれら標識に対し共有結合さ
せうるその他の信号部分および架橋部分を包含する。
【0052】ポリヌクレオチドの標識に対し、非共有結
合させうる信号部分および架橋部分の例はポリペプチ
ド、蛋白質、レクチン、CoA、酵素、アルカリホスフ
ァターゼ、酸ホスファターゼ、抗原、抗体、結合された
ストレプトアビジン基を有するポリペプチド、β−ガラ
クトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、西洋ワサビペ
ルオキシダーゼ、キレート剤並びにこれら標識に対し非
共有結合させうるその他の信号部分および架橋部分を包
含する。
【0053】例えば、酵素を信号部分としてポリヌクレ
オチドプローブの標識へ非共有結合させることができ
る。次いで、基質を加えて発色させる(蛍光、放射能も
しくはキレート検出の方式も使用することができる)。
或いは、標識に結合された部分がビオチン成分であれ
ば、例えばアビジン、ストレプトアビジンまたはアンチ
−ビオチン抗体のようなビオチン結合分子を次いでこれ
に加えることもできる。次いで、ビオチン結合分子が酵
素、蛍光性化合物、電子密度の濃い化合物または不溶性
固体相へ結合させて、適当な手段により検出を行うこと
ができる。
【0054】
【実施例】本発明を一層良く理解するよう、以下に実施
例を示す。これら実施例は、本発明の説明を目的とする
ものであって、本発明を限定するものではない。
【0055】実施例1 A)バクテリオファージT4におけるグルコシル化プロ
ーブDNAの産生 組換えDNA技術を用いて、プローブDNAを、グルコ
シル残基で標識するためにT4バクテリオファージ中に
挿入することができる。
【0056】T4DNAは、天然グルコシル化されてい
る。一般的に使用される制限エンドヌクレアーゼの殆ど
は、グルコシル化DNAを加水分解しないので、エンド
ヌクレアーゼによる開裂およびプローブDNAの挿入に
先立ってT4DNAからグルコース残基を除去する必要
がある。ファージによって誘導される酵素、ヒドロキシ
メチルシチジングルコシダーゼは、グルコース部分をグ
ルコシル化DNAから除去して、これをその逆反応でU
DPへ移動させる〔J. Josseら、J. Biol. Che m., 237,
pp. 1968-76 (1962) ; S. R. Zimmerman ら、J. Biol.
Chem., 237, pp. 512-18 (1962)〕。或いは、T4ファ
ージを、シトシンがヒドロキシメチル誘導体を置換する
ような条件下で増殖させることもできる〔K. Carlson
ら、J. Vir ol., 36, pp. 1-17 (1979) ; P. O'Farrell
ら、Mol. Gen. Genet., 179, pp. 421-35 (1980) ; L.
Snyder ら、Proc. Natl. Acd. Sci. USA, 73, pp. 309
8-3102 (1976) 〕。
【0057】T4DNAが上記のように脱グルコシル化
された後、プローブDNA配列を脱グルコシル化された
T4ゲノム中へ挿入する。脱グルコシル化T4ゲノム中
へのプローブDNAの挿入は、各種の公知方法で行うこ
ともできるが、これは標識の後にT4DNAから除去し
得るような方法で挿入するのが好適である。
【0058】T4ファージにおいては、C残基のみがグ
ルコシル化されているので、DNA配列TTTAAAを
識別し、かつ開裂する制限エンドヌクレアーゼAha III
が原T4DNAを開裂しうる数少ないエンドヌクレアー
ゼの1種である。従って、本発明の1つの好適具体例に
おいて、プローブDNAは、部分脱グルコシル化された
T4DNA中へ挿入する前に両末端にAha III 制限部位
を有するように改変される(図1)。このような構成に
おいて、プローブDNAは次いでAha III での制限によ
りT4DNAから、標識の後に単離することができる。
【0059】DNAプローブの作製、T4DNA中への
その挿入および標識後におけるその除去に関する一般的
方法を下記に説明し、且つ図1に示す: (1) まず最初にDNA配列pTTTAAAp(公知技術
により合成)をプローブDNAの3’末端に結合させ、
これをRNAリガーゼを用いてT4ゲノム内に挿入す
る。コンカテマーの生成を防止するには、DNA配列p
TTTAAApの3’末端と5’末端との両者にリン酸
を必要とする。
【0060】次いで、プライマDNAであるTTTAA
Ap(常法により合成)を上記で作製されたDNAへ非
共有結合させる(図1)。このDNA(TTTAAA
p)は、プライマとして作用し、従ってDNAポリメラ
ーゼとデオキシヌクレオチド三リン酸dATP,dTT
P,dGTPおよびデオキシヒドロキシメチルCTP
(dHMCTP)の存在下で複製する際、2つのDNA
が生成される(図1)。これらのDNAは、プローブD
NA配列の対抗末端にAha III 制限エンドヌクレアーゼ
認識部位を有する(図1)。これらはさらに、DNA鎖
の一方に標識を有する。
【0061】第2のAha III 認識部位をプローブDNA
配列の他の末端へ付加させるため、同様な一連の工程を
実施する。ここでもDNA配列pTTTAAApを予め
作製されたDNA配列の3´末端へ結合させる。次いで
DNATTTAAApをプライマとして使用して生成し
たDNAへ非共有結合させ(図1)、そして処理された
配列をDNAポリメラーゼおよび4種のデオキシヌクレ
オチド三リン酸の存在下で前記の様に複製させる(図
1)。
【0062】この一連の工程の結果、各端部がAha III
制限エンドヌクレアーゼ認識部位でフランキングされ、
かつ両DNA鎖に標識を有するプローブDNAから成る
DNAが生成される(図1)。これら工程の副産物とし
て、2種の単一鎖DNAも生成される。これらの単一鎖
DNAは、2つのAha III 制限エンドヌクレアーゼ認識
部位を有する目的のプローブDNAから容易に分離する
ことができる。
【0063】次いで、プローブDNAをT4ゲノム中へ
挿入する前に、リン酸基をプローブDNAの末端からア
ルカリホスファターゼにより除去する。
【0064】(2) 上述と同様に作製された部分脱グルコ
シル化されたファージT4DNAを制限エンドヌクレア
ーゼにより開裂させた後、プローブDNAをT4ゲノム
の非必須部分中、すなわちファージ複製、ヒドロキシメ
チルシトシン生成およびDNAグルコシル化に必要とさ
れない遺伝子中へ挿入する。Bam HIは、このような部位
においてT4DNAを開裂する。開裂の後、必要に応じ
単一鎖末端をDNAポリメラーゼIによってATP,T
TP,GTPおよびdHMCTPの存在下で埋め込む。
【0065】(3) Aha III 認識部位を有するプローブD
NA配列をT4ゲノムの予め開裂された非必須領域へ鈍
端結合させる〔V. Sgramella, "Enzymatic Oligomeriza
tion Of Bacteriophage P22 DNA And Of Linear Simian
Virus 40 DNA", Proc. Natl. Acd. Sci. USA , 69, pp.
3389-93 (1972)〕。
【0066】(4) プローブをT4ゲノム中へ挿入した
後、好ましくは全組換えDNA分子をαおよびβグルコ
シルトランスフェラーゼによってUDP−グルコースの
存在下で〔J. Josseら、上述〕in vitroでグルコシル化
することにより、組換えDNA分子をファージのエンド
ヌクレアーゼ攻撃から保護する。
【0067】(5) 組換えT4プローブDNA分子のin v
itroにおける被包は、L. W. Black, "In Vitro Packagi
ng Of Bacteriophage T4 DNA", Virology , 113, pp. 3
36-44(1981)の方法に従って行うことができる。
【0068】(6) プローブDNAを含有するこれらクロ
ーンに関する形質転換宿主T4ファージのスクリーニン
グは、相補的ビオチン化DNAプローブを用いたヒブリ
ド化によって、またはその他任意の慣用的なスクリーニ
ング方法によって実施される。
【0069】(7) DNAを多くの公知の方法のいずれか
により、プローブDNAを含有するT4クローンから単
離する〔例えば、G. L. Cantoni およびD. R. Davies
編、Proc edures in Nucleic Acid Reserch, New York:
Harper and Row (1966) を参照〕。
【0070】(8) 生体内標識されたプローブDNAは、
組換えT4ゲノムから取り出すことができ、これを上述
のように作製されたフランキング配列でAha III 制限エ
ンドヌクレアーゼで開裂することにより、検出系で使用
することができる。或いは、プローブDNAを含有する
全組換えT4ゲノムをプローブとして使用することもで
きる。
【0071】B)グルコシル化DNAの検出:コンカナ
バリンA−グリコシル化酵素複合体の使用 ConA、すなわち架橋部分は、グルコシル化DNAと
グリコシル化蛋白質(信号部分)との両者に結合する。
pH5および室温よりも低い温度にて、ConAは2量
体であって、2つのグリコシル結合部位を有する。生理
的pHおよび室温もしくはそれより若干高い温度(37
℃)にて、原ConAは4量体であって、4つの結合部
位を有する。アルカリ性(pH8.5以上)かつより高
温において、ConAは不活性なサブユニットに解離す
る。ConAがグリコシル残基に結合するには、マンガ
ンもしくはマグネシウムとカルシウムとが必要とされ
る。ConAの保存溶液をTCMN緩衝液(5mMトリ
スHCl,pH7.0,1mM CaCl,1mM
MnCl,1M NaCl)における1〜5mg/m
lの濃度にてガラス管の中に保つ。なぜなら、ConA
は、5mg/mlより大きい濃度にてプラスチック表面
に付着しかつ凝固するからである。ConAは、4℃に
て約3ヶ月間貯蔵することができる。
【0072】(1) ConAおよびグリコシル化酵素によ
るグルコシル化DNAの順次の処理 グルコシル化されたT4DNAをドットしたニトロセル
ロース紙を、2%酸性化ウシ血清アルブミン(BS
A)、1×TCMNおよび0.1%v/vトリトンX−
100を含有する緩衝液において湿潤チャンバー中で4
2℃にて一晩ブロッキングした。これらニトロセルロー
ス濾紙を、次いでそれぞれ1%BSAと1×TCMNと
を含有する緩衝液により5分間3回洗浄した。次いで、
これらニトロセルロース濾紙を0.1%BSAおよび1
×TCMNにおける100−200μgConA/ml
よりなるConA溶液中で培養した。この溶液をニトロ
セルロース濾紙1cm当たり0.018mlまたはワ
ットマン(登録商標)3MM紙1cm当たり0.2m
lの量で塗布し、そして37℃にて1時間培養した。培
養後、これら濾紙をそれぞれ0.1%BSAおよび1×
TCMN緩衝液において5分間3〜4回洗浄した。これ
ら濾紙を2〜10単位の酵素を含有する0.1%BSA
および1×TCMNの溶液中で培養した。これら溶液を
ニトロセルロース1cm当たり0.018ml、或い
はワットマン3MM濾紙1cm当たり0.2mlの量
で塗布した。培養を37℃にて1時間行った。次いで、
これらの濾紙をそれぞれNBTT緩衝液(0.5M N
aCl、0.1%BSA、0.05%ツイーン20、1
0mMトリスHCl,pH7.2)にて5分間3回およ
びそれぞれNCBT緩衝液(0.3M NaCl、0.
03Mクエン酸ナトリウム、0.1%BSA、0.05
%ツイーン20)にて5分間2回洗浄した。
【0073】グリコシル化された酵素−ConA−誘導
化DNAは、次のように検出した: (A) 西洋ワサビペルオキシダーゼ ConA−グルコシル化DNAとグリコシル化酵素とを
含有する濾紙を、5mgのジアミノベンジジンと0.0
1%のHとを5mMトリスHCl(pH7.5)
10ml中に含有する新たに調製した溶液中に浸漬し、
そして遮光した。褐色がインジケータとして生じた。
【0074】(B) 酸ホスファターゼ ConAグルコシル化DNAとグリコシル化酵素とを含
有する濾紙を、0.2M NaOAc1ml当たり0.
1mgのナフトールAS−MXリン酸を含有する基質溶
液(pH5.8)に浸漬し、暗所にて37℃にて培養し
た。インジケータとしてバラ色が生じた。
【0075】(C) グルコースオキシダーゼ 50mMトリス/HCl(pH7.5)1ml中の6.
7mgのβ−Dグルコースおよび0.67mgのニトロ
青テトラゾリウムを、37℃にて1時間培養した。10
0μlの100×PMS(フエナジンメトサルフェー
ト、0.0167mg/ml蒸留水中)を加え、そして
溶液を混合した。ConA−グルコシル化DNAおよび
グリコシル化酵素を含有する濾紙を、次いでこの混合物
中で暗所にて37℃で1時間、或いは室温で一晩培養し
た。インジケータとして強い青色が生じた。
【0076】反応の感度: (A) 西洋ワサビペルオキシダーゼ 150〜250ピコグラムのDNAが検出された。貯蔵
後には褪色した。
【0077】(B) 酸ホスファターゼ ヒブリド化したDNAブロットのみを分析し、7〜15
ピコグラムのDNAが検出された。
【0078】(C) グルコースオキシダーゼ グルコシル化DNAのブロットのみを検査し、150〜
250ピコグラムのDNAが検出された。
【0079】ConA検出のこの方法は、最適でないこ
とが判明した。ConAに続く酵素の順次の添加は、分
析検出系において過度のバックグラウンドを生ずること
が判明した。さらに、この方法は比較的時間がかかり、
検出感度が所望よりも低いものであった。従って、Co
nAとグルコシル化DNAと酵素とを接触させる第2の
方法を使用した。
【0080】(2) 複合ConA/グリコシル化酵素によ
るグルコシル化DNAの処理 ConAとグリコシル化酵素とをTCMN緩衝液中で
1:1のモル比にて混合し、そして37℃で2時間、或
いは25℃で4〜6時間、或いは4℃で一晩乃至48時
間培養した。(培養期間の後、混合物は透明となる。も
し透明でなければ、ConAが過剰に存在し、より多量
の酵素を加えねばならない。)T4グルコシル化DNA
を含有するニトロセルロースフィルタのブロッキングを
上述のように行った。次いで、これら濾紙をそれぞれT
CMN緩衝液および1%BSAで5分間洗浄した。次い
で、上記のように作製したConA−酵素複合体を0.
018ml/cmの容量にて濾紙に接触させ、或いは
約2〜10単位の酵素を含有する量で接触させた。培養
は37℃で1時間行った。培養後、これら濾紙を先ずそ
れぞれNBTTで5分間3回、次いでそれぞれNCBT
で5分間2回洗浄した。
【0081】西洋ワサビペルオキシダーゼ反応を上述と
同様に行った。この過程で31.25ピコグラムのDN
Aを検出することができ、かつ上述の検出技術によるよ
りも遥かにバックグラウンドが少なかった。さらに同様
な検出手順をConA−酸ホスファターゼ複合体、Co
nA−グルコースオキシダーゼ複合体ならびにその他の
同様なConA−酵素複合体を用いて行うことができ
る。
【0082】さらに、レクチン/抗体およびその他の検
出系も使用することができる〔Wardら、上述参照〕。
【0083】実施例2 グルコシル化T4DNAのビオチン化 グルコシル化プローブDNAと分析物との間におけるヒ
ブリド化反応の検出を助けるため、グルコシル化プロー
ブDNAをさらにビオチン成分で誘導体とした。これに
対しては標準検出系が既知である。
【0084】0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.
3)における1mg/mlのT4DNA1mlを0.1
mlの新たに作製した1M NaIO溶液と混合し
た。この混合物を暗所にて室温で3時間培養した。
【0085】酸化反応が完結した後、溶液を暗所中で4
℃にて0.05M酢酸ナトリウム(pH4.0)、0.
1M NaClを2回取り替えてかつ0.3Mホウ酸ナ
トリウム(pH9.0〜9.3)、0.1M NaCl
を2回取り替えて透析した。次いで、この溶液をpH
9.3のジアミン貯蔵溶液からの1,6−ジアミノヘキ
サン中で0.4Mにした。この混合物を暗所で90分間
培養した。得られたシッフ塩基をNaBHで還元し
た。水中で2Mの濃度まで新たに溶解させたNaBH
をこの混合物へ30分間感覚で4回加え、NaBH
濃度を徐々に0.025M〜0.1Mまで増加させた。
全培養時間は3時間であった。4M酢酸ナトリウム(p
H4.0)を加えることによりpHを5.0〜5.5に
調製して、NaBHを冷却した。このDNA含有溶液
を0.1Mリン酸ナトリウム(pH6.7)において1
2時間透析し、次いで40%v/vDMFおよび20m
MビオチンNHSエステルにした。この溶液を12時間
培養した。過剰のビオチンおよびビオチンNHSエステ
ルを、溶出緩衝剤として1×SSCを用いるG50セフ
ァデックスカラムを通しての濾過により除去した。DN
Aを含有するフラクションをカラムから集め、混合し、
かつ0.1M NaCl、0.001M EDTA(p
H7.0)を含有する溶液に対して透析し、そして後に
使用するまで−20℃にて貯蔵した。
【0086】実施例3 形質転換されたチミン要求性イー・コリ突然変異種にお
けるBrdUR標識されたDNAの作製 この実施例においては、標識しようとするポリヌクレオ
チドを含有する宿主を、その標識を有するヌクレオチ
ド、塩基もしくはヌクレオシドの同族体の存在下で培養
することにより、標識をポリヌクレオチド中に生体内で
組み込んだ。なぜなら、この宿主は標識担持同族体を必
要とする変種であるからである。上述のように、標識し
ようとするポリヌクレオチドは宿主のゲノムの1部とす
ることができ、或いはゲノムへ加えることができる。さ
らに、これは宿主を形質転換させるのに使用するDNA
配列または他のクローン化ベヒクルもしくはファージの
1部とすることもできる。
【0087】標識しようとするDNAを特徴とするイー
・コリのチミン要求性突然変異種(thyA)をチミジ
ンの代わりに5−ブロムデオキシウリジン(BrdU
R)を補充した培地において、Millerの、Experiments
In Molecular Genetics 〔Cold Spring Harbor Laborat
ory, (1972) 〕の技術に従って増殖させた。細胞を回収
し、そして標識されたプローブDNAを含有するDNA
を単離した。このDNAをヒブリド化の研究に直接使用
することができる。或いは、標識されたプローブの全部
または1部を先ずDNAの残部からエンドヌクレアーゼ
切断によって除去し、そして分析物の検出用に単独で使
用することができる。
【0088】分析物に対する標識プローブのヒブリド化
は、BrdURに対するモノクローナルもしくはポリク
ローナル抗体との反応により検出することができる〔Gr
atzner, "Monoclonal Antibody To 5-Bromo- And 5-Iod
odeoxyuridine: A New Reagent For Detection Of DNA
Replication", Science , 218, pp. 474-75 (198
2)〕。或いは、このプローブをさらに、例えばチオビ
オチンのような成分を加えることにより化学的に誘導体
とすることができる。次いで、このチオビオチン化した
DNAプローブを検出することができ、この場合プロー
ブは、例えばデテック(登録商標)1−hrpの様なビ
オチン検出系、或いは他のこの種のビオチン検出系を用
いて分析物にヒブリド化させる。
【0089】実施例4 5−ブロムデオキシウリジンを含有するDNAのビオチ
ン化 実施例3において作製され、かつ分析物にヒブリド化さ
れたBrdUR標識プローブDNAを検出するため、こ
のBrdUR標識したプローブDNAをさらにビオチン
で誘導体とすることができる。
【0090】ブロムデオキシウリジン残基を有するDN
Aのロリエチルアンモニウム塩200μgを、2mlの
無水ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解させた。
この溶液へ無水DMF中の50mMチオビオチン0.5
mlを加え、そして混合物をアルゴンガスの下で60℃
にて2時間培養した。40℃にて減圧下で蒸発させて溶
剤を除去した。残渣を0.5mlの1×SSCに溶解さ
せた。未溶解物質を遠心分離により除去した。溶出緩衝
剤として1×SSCを用いるG50セファデックスカラ
ムでの濾過によって過剰のビオチンを上澄液から除去し
た。DNA含有フラクションをカラムから回収し、混合
しかつ後に使用するまで−70℃にて貯蔵した。
【0091】以上、本発明を多数の具体例につき説明し
たが、この基本構成を改変して本発明の方法および組成
物を使用する他の具体例を提供しうることが了解されよ
う。従って、本発明は、上述の具体例のみに限定され
ず、本発明の範囲内において多くの改変を為し得ること
が了解されよう。
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、従来の製造上の制約な
しに、目的とする分析物を検出するための方法およびキ
ットに使用しうるプローブとして有用な生体内もしくは
生物学的に標識したポリヌクレオチド配列が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生体内標識方法に使用するためのプロ
ーブDNA配列の両末端へAhaIII 制限エンドヌクレア
ーゼ認識部位を結合させる方法の1具体例の工程略図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヒューイ ラング ヤング アメリカ合衆国、ニュー ジャージー州 07670、テナフライ、エングル ストリー ト 76番 (72)発明者 ノーマン イー ケルカー アメリカ合衆国、ニュー ヨーク州 10016、ニュー ヨーク、イースト 30番 ストリート 343番

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 標識しようとするポリヌクレオチドを含
    有する宿主を、この宿主またはその変種が増殖のために
    必要とする塩基、ヌクレオシドまたはヌクレオチド、ま
    たはそれらの同族体もしくは先駆体の存在下で培養する
    工程から成るポリヌクレオチドを生体内で標識する方法
    であって、前記塩基、ヌクレオシドまたはヌクレオチ
    ド、またはそれらの同族体もしくは先駆体が所望の標識
    を備えている、ポリヌクレオチドを生体内で標識する方
    法。
  2. 【請求項2】 前記標識しようとするポリヌクレオチド
    が、前記宿主の原ゲノムの一部であるDNA、前記宿主
    の原ゲノムに挿入されるDNA、および前記宿主を形質
    転換させるために使用するDNA配列の少なくとも一部
    を構成するDNAより成る群から選択される、特許請求
    の範囲第1項に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記宿主を形質転換させるために使用す
    るDNAが、標識しようとするポリヌクレオチドを有す
    ること並びに前記宿主中で複製し得ることを特徴とする
    クローン化ベヒクルおよびファージより成る群から選択
    される、特許請求の範囲第2項に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記宿主が、チミンもしくはチミジン欠
    損変異株から選択され、標識を備える同族体が5−ブロ
    モデオキシウリジン(BrdUR)である、特許請求の
    範囲第1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 信号部分、架橋部分、または架橋部分と
    信号部分との少なくとも1つの組合せ物をポリヌクレオ
    チドの前記標識に結合させる工程をさらに含む、特許請
    求の範囲第1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記信号部分、架橋部分、または架橋部
    分と信号部分との組合せ物が、前記標識に共有結合され
    る、特許請求の範囲第5項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記信号部分および架橋部分が、放射性
    化合物、ビオチン、蛍光性化合物、フルオレセン、ロー
    ダミン、ダンシル、磁性化合物、キレート剤、並びに標
    識ポリヌクレオチドへ共有結合され得る他の信号部分お
    よび架橋部分より成る群から選択される、特許請求の範
    囲第6項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記信号部分、架橋部分、または架橋部
    分と信号部分との組合せ物が、前記標識に非共有結合さ
    れる、特許請求の範囲第5項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記信号部分および架橋部分が、ポリペ
    プチド、蛋白質、レクチン、コンカナバリンA、酵素、
    アルカリホスファターゼ、酸ホスファターゼ、抗原、抗
    体、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、
    西洋ワサビペルオキシダーゼ、キレート剤、並びに標識
    ポリヌクレオチドへ非共有結合され得る他の信号部分お
    よび架橋部分より成る群から選択される、特許請求の範
    囲第8項に記載の方法。
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