JPH08222357A - カーボン発熱体の製造方法 - Google Patents
カーボン発熱体の製造方法Info
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- JPH08222357A JPH08222357A JP7046330A JP4633095A JPH08222357A JP H08222357 A JPH08222357 A JP H08222357A JP 7046330 A JP7046330 A JP 7046330A JP 4633095 A JP4633095 A JP 4633095A JP H08222357 A JPH08222357 A JP H08222357A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 例えば半導体装置に用いられるヒータとして
有用な、金属不純物が極めて少なく、材質強度ならびに
発熱特性に優れたカーボン発熱体の製造方法を提供する
こと。 【構成】 減圧蒸留により精製した、分子量100以
上、ゲル化時間5〜60分のフェノール樹脂にフランあ
るいはその誘導体化合物を混合して粘度1〜100ポイ
ズ、樹脂分50重量%以上のフェノール系樹脂を主体と
する熱硬化性樹脂液を調製し、該熱硬化性樹脂液を酸素
濃度が10〜70%の酸化性雰囲気中で易離型性かつ可
撓性を有する所定形状の成形型に注入して予備硬化処理
した後、予備硬化樹脂成形体を成形型から離型分離して
加熱硬化し、次いで非酸化性雰囲気下で800℃以上の
温度により焼成炭化処理する。
有用な、金属不純物が極めて少なく、材質強度ならびに
発熱特性に優れたカーボン発熱体の製造方法を提供する
こと。 【構成】 減圧蒸留により精製した、分子量100以
上、ゲル化時間5〜60分のフェノール樹脂にフランあ
るいはその誘導体化合物を混合して粘度1〜100ポイ
ズ、樹脂分50重量%以上のフェノール系樹脂を主体と
する熱硬化性樹脂液を調製し、該熱硬化性樹脂液を酸素
濃度が10〜70%の酸化性雰囲気中で易離型性かつ可
撓性を有する所定形状の成形型に注入して予備硬化処理
した後、予備硬化樹脂成形体を成形型から離型分離して
加熱硬化し、次いで非酸化性雰囲気下で800℃以上の
温度により焼成炭化処理する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば半導体製造装置
に用いられるヒーターとして有用な、金属不純物が極め
て少なく、材質強度ならびに発熱特性に優れたカーボン
発熱体の製造方法に関する。
に用いられるヒーターとして有用な、金属不純物が極め
て少なく、材質強度ならびに発熱特性に優れたカーボン
発熱体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素質発熱体は、耐熱性や化学的安定性
に良好で、熱膨張係数が小さいなどの特性を備えてお
り、このうち特に黒鉛材質の発熱体は非酸化性雰囲気中
において3000℃を越える高温度域でも極めて安定で
あるため、苛酷な高温条件下で使用されるヒータ部材と
して有用されている。
に良好で、熱膨張係数が小さいなどの特性を備えてお
り、このうち特に黒鉛材質の発熱体は非酸化性雰囲気中
において3000℃を越える高温度域でも極めて安定で
あるため、苛酷な高温条件下で使用されるヒータ部材と
して有用されている。
【0003】一般に、黒鉛発熱体は石油コークスやピッ
チコークスなどの粉粒体を骨材に、タール、ピッチのよ
うな炭化性バインダーを加えて混練、成形し、成形体を
焼成炭化したのち黒鉛化処理し、次いで所定の発熱体形
状に切削加工して製造されている。ところが、この工程
で製造された黒鉛発熱体には、通常、微量の金属成分が
混入しており、通電発熱させた際にこれら金属不純物が
組織内から蒸発、揮散する現象が生じる関係で、例えば
不純物による汚染を嫌う半導体単結晶引上装置用として
はそのまま使用することができない。したがって、黒鉛
材料をハロゲン含有ガスで処理して金属不純物をハロゲ
ン化物として気化除去した高純度発熱体が有効とされて
いる(特開平2−242579号公報)。しかし、黒鉛発熱体
は組織の結合力や緻密性が十分でないため、高温発熱時
において骨材の粉粒体が脱落したり、内蔵ガス成分が発
生する等の問題があり、前記の高純度処理を施しても汚
染に対する安全性は確保できない。
チコークスなどの粉粒体を骨材に、タール、ピッチのよ
うな炭化性バインダーを加えて混練、成形し、成形体を
焼成炭化したのち黒鉛化処理し、次いで所定の発熱体形
状に切削加工して製造されている。ところが、この工程
で製造された黒鉛発熱体には、通常、微量の金属成分が
混入しており、通電発熱させた際にこれら金属不純物が
組織内から蒸発、揮散する現象が生じる関係で、例えば
不純物による汚染を嫌う半導体単結晶引上装置用として
はそのまま使用することができない。したがって、黒鉛
材料をハロゲン含有ガスで処理して金属不純物をハロゲ
ン化物として気化除去した高純度発熱体が有効とされて
いる(特開平2−242579号公報)。しかし、黒鉛発熱体
は組織の結合力や緻密性が十分でないため、高温発熱時
において骨材の粉粒体が脱落したり、内蔵ガス成分が発
生する等の問題があり、前記の高純度処理を施しても汚
染に対する安全性は確保できない。
【0004】このため、上記のような通常の黒鉛材とは
異なる炭素質発熱体が提案されている。例えば特開昭5
8−128686号公報には有機高分子物質及びアスフ
ァルトピッチ類、乾留ピッチ類等の混合物を線状体に成
形した有機質線状体をコイル状に賦形したのち炭素化し
た炭素系コイル状抵抗発熱体が開示されている。また特
開平5−135858号公報には、主成分が固有抵抗1
600μΩcm以上、曲げ強度500kg/cm2以上のカーボ
ン材からなるカーボンヒーターが開示されており、ヒー
ターの材質形状として樹脂を焼成して作製されたガラス
状カーボン材(グラッシーカーボン)からなる渦巻状の
カーボンヒーターが例示されている。
異なる炭素質発熱体が提案されている。例えば特開昭5
8−128686号公報には有機高分子物質及びアスフ
ァルトピッチ類、乾留ピッチ類等の混合物を線状体に成
形した有機質線状体をコイル状に賦形したのち炭素化し
た炭素系コイル状抵抗発熱体が開示されている。また特
開平5−135858号公報には、主成分が固有抵抗1
600μΩcm以上、曲げ強度500kg/cm2以上のカーボ
ン材からなるカーボンヒーターが開示されており、ヒー
ターの材質形状として樹脂を焼成して作製されたガラス
状カーボン材(グラッシーカーボン)からなる渦巻状の
カーボンヒーターが例示されている。
【0005】ガラス状カーボンは、ガラス質の緻密な組
織構造を有する異質な炭素材料であり、黒鉛材や他のカ
ーボン材に比べて気体不透過性、耐摩耗性、耐食性、自
己潤滑性、表面平滑性および堅牢性等に優れ、更に真空
下または発熱時に内部組織からの脱ガス成分が極めて少
なく、発熱体とした場合に黒鉛発熱体のように外部汚染
を招くことが少ない。
織構造を有する異質な炭素材料であり、黒鉛材や他のカ
ーボン材に比べて気体不透過性、耐摩耗性、耐食性、自
己潤滑性、表面平滑性および堅牢性等に優れ、更に真空
下または発熱時に内部組織からの脱ガス成分が極めて少
なく、発熱体とした場合に黒鉛発熱体のように外部汚染
を招くことが少ない。
【0006】一般に、ガラス状カーボンはフェノール系
やフラン系などの炭化残留率の高い熱硬化性樹脂液を成
形し、成形体を硬化させたのち非酸化性雰囲気下で焼成
炭化する方法で製造されるが、焼成炭化過程が固相で進
行するため、樹脂成形体の熱分解によって多量に発生す
る揮発成分を固相外に排出し、体積収縮しながら炭化物
に転化する経過を辿る。したがって、樹脂成形体が厚肉
であると、発生する熱分解ガスや縮合水などが成形体内
から円滑に排出除去されずに組織内に残留し、それが原
因となって組織内部にポアを発生させ、十分な材質強度
が得られ難くなる。また、材質が硬質なガラス状を呈す
るため、製造後の切削加工は極めて困難となり、複雑形
状の発熱体を形成することができない問題点がある。
やフラン系などの炭化残留率の高い熱硬化性樹脂液を成
形し、成形体を硬化させたのち非酸化性雰囲気下で焼成
炭化する方法で製造されるが、焼成炭化過程が固相で進
行するため、樹脂成形体の熱分解によって多量に発生す
る揮発成分を固相外に排出し、体積収縮しながら炭化物
に転化する経過を辿る。したがって、樹脂成形体が厚肉
であると、発生する熱分解ガスや縮合水などが成形体内
から円滑に排出除去されずに組織内に残留し、それが原
因となって組織内部にポアを発生させ、十分な材質強度
が得られ難くなる。また、材質が硬質なガラス状を呈す
るため、製造後の切削加工は極めて困難となり、複雑形
状の発熱体を形成することができない問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ガラ
ス状カーボンを基材とし、特に半導体製造装置用ヒータ
ーとして好適な高純度で、材質強度が高く、かつ抵抗発
熱性に優れる複雑形状のカーボン発熱体を生産性よく製
造するための方法を提供することにある。
ス状カーボンを基材とし、特に半導体製造装置用ヒータ
ーとして好適な高純度で、材質強度が高く、かつ抵抗発
熱性に優れる複雑形状のカーボン発熱体を生産性よく製
造するための方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるカーボン発熱体は、減圧蒸留により精
製した分子量100以上、ゲル化時間5〜60分のフェ
ノール樹脂にフランあるいはその誘導体化合物を混合し
て粘度1〜100ポイズ、樹脂分50重量%以上のフェ
ノール系樹脂を主体とする熱硬化性樹脂液を調製し、該
熱硬化性樹脂液を酸素濃度が10〜70%の酸化性雰囲
気中において易離型性かつ可撓性を有する所定形状の成
形型に注入して予備硬化処理した後、予備硬化樹脂成形
体を成形型から離型して加熱硬化し、次いで非酸化性雰
囲気下で800℃以上の温度により焼成炭化処理するこ
とを構成上の特徴とする。
めの本発明によるカーボン発熱体は、減圧蒸留により精
製した分子量100以上、ゲル化時間5〜60分のフェ
ノール樹脂にフランあるいはその誘導体化合物を混合し
て粘度1〜100ポイズ、樹脂分50重量%以上のフェ
ノール系樹脂を主体とする熱硬化性樹脂液を調製し、該
熱硬化性樹脂液を酸素濃度が10〜70%の酸化性雰囲
気中において易離型性かつ可撓性を有する所定形状の成
形型に注入して予備硬化処理した後、予備硬化樹脂成形
体を成形型から離型して加熱硬化し、次いで非酸化性雰
囲気下で800℃以上の温度により焼成炭化処理するこ
とを構成上の特徴とする。
【0009】本発明の出発原料としては、フェノール樹
脂にフランあるいはその誘導体化合物を混合したフェノ
ール系樹脂を主体とする熱硬化性樹脂液が用いられる。
フェノール樹脂は、減圧蒸留により十分精製した分子量
100以上、ゲル化時間5〜60分の性状を有するもの
が選択使用される。予め減圧蒸留により精製したフェノ
ール樹脂を用いるのは、最終的に得られるガラス状カー
ボンの純度を高めるために必要な要件となる。分子量1
00以上のフェノール樹脂は組織強度の高いガラス状カ
ーボンを得るために有効であり、100未満の分子量で
は硬化後の架橋構造が弱くなって、高強度の炭化物に転
化しなくなる。また、5分未満でゲル化する通常の液状
熱硬化型フェノール樹脂では、硬化の進行が急速過ぎて
未反応物や縮合水が揮散せずに滞留するため多量のポア
が発生し、他方60分を越すゲル化時間では、硬化工程
に長時間を要して非能率になるうえ、硬化過程で外部か
らの汚染に晒される危険がある。
脂にフランあるいはその誘導体化合物を混合したフェノ
ール系樹脂を主体とする熱硬化性樹脂液が用いられる。
フェノール樹脂は、減圧蒸留により十分精製した分子量
100以上、ゲル化時間5〜60分の性状を有するもの
が選択使用される。予め減圧蒸留により精製したフェノ
ール樹脂を用いるのは、最終的に得られるガラス状カー
ボンの純度を高めるために必要な要件となる。分子量1
00以上のフェノール樹脂は組織強度の高いガラス状カ
ーボンを得るために有効であり、100未満の分子量で
は硬化後の架橋構造が弱くなって、高強度の炭化物に転
化しなくなる。また、5分未満でゲル化する通常の液状
熱硬化型フェノール樹脂では、硬化の進行が急速過ぎて
未反応物や縮合水が揮散せずに滞留するため多量のポア
が発生し、他方60分を越すゲル化時間では、硬化工程
に長時間を要して非能率になるうえ、硬化過程で外部か
らの汚染に晒される危険がある。
【0010】上記特性のフェノール樹脂にフランあるい
はその誘導体を混合した2成分系の組成にするのは、焼
成炭化時における炭素化収率の向上を図るためであり、
通常40〜60%の炭素化収率を65〜75%の範囲に
向上させることができる。フェノール樹脂に混合するフ
ランあるいはその誘導体化合物としては、化学構造中に
フラン環を有し、フェノール樹脂と相溶性のある物質が
有効で、例えばフルフリルアルコール、フルフラール、
フランカルボン酸メチルエステル等を挙げることができ
る。これらフラン系成分の混合比率は、樹脂性状に応じ
て適宜に定めるが、概ね5〜50重量%の範囲内に設定
することが好ましい。
はその誘導体を混合した2成分系の組成にするのは、焼
成炭化時における炭素化収率の向上を図るためであり、
通常40〜60%の炭素化収率を65〜75%の範囲に
向上させることができる。フェノール樹脂に混合するフ
ランあるいはその誘導体化合物としては、化学構造中に
フラン環を有し、フェノール樹脂と相溶性のある物質が
有効で、例えばフルフリルアルコール、フルフラール、
フランカルボン酸メチルエステル等を挙げることができ
る。これらフラン系成分の混合比率は、樹脂性状に応じ
て適宜に定めるが、概ね5〜50重量%の範囲内に設定
することが好ましい。
【0011】フェノール樹脂にフラン系成分を混合した
樹脂組成物は、粘度1〜100ポイズ、樹脂分50重量
%以上に調整される。粘度が1ポイズを下回ると炭化後
の組織強度が低下し、100ポイズを越えると硬化時に
縮合水の揮散が円滑に進行せずポアが多発する。また、
樹脂分が50%を下回ると硬化時に多量の未反応成分を
含有することになり、焼成炭化過程で割れなどの材質異
常が生じ易くなる。
樹脂組成物は、粘度1〜100ポイズ、樹脂分50重量
%以上に調整される。粘度が1ポイズを下回ると炭化後
の組織強度が低下し、100ポイズを越えると硬化時に
縮合水の揮散が円滑に進行せずポアが多発する。また、
樹脂分が50%を下回ると硬化時に多量の未反応成分を
含有することになり、焼成炭化過程で割れなどの材質異
常が生じ易くなる。
【0012】上記のフェノール樹脂を主体とする熱硬化
性樹脂液は、成形型に注入したのち予備硬化処理および
加熱硬化するが、これらの工程は酸素濃度が10〜70
%の酸化性雰囲気中で行われる。この酸素雰囲気処理は
均質緻密なガラス状カーボン材を歩留りよく得るために
重要な操作要件となるもので、酸素濃度が10%未満で
は成形、硬化過程での円滑な縮合反応の進行が阻害さ
れ、一方、70%を越えると炭素源となる樹脂成分まで
が酸化されて炭素化率の減少を招く。
性樹脂液は、成形型に注入したのち予備硬化処理および
加熱硬化するが、これらの工程は酸素濃度が10〜70
%の酸化性雰囲気中で行われる。この酸素雰囲気処理は
均質緻密なガラス状カーボン材を歩留りよく得るために
重要な操作要件となるもので、酸素濃度が10%未満で
は成形、硬化過程での円滑な縮合反応の進行が阻害さ
れ、一方、70%を越えると炭素源となる樹脂成分まで
が酸化されて炭素化率の減少を招く。
【0013】成形型は、易離型性で可撓性のある材質で
作成した樹脂質のものを使用することが好ましい。これ
らの材質としては塩化ビニール、ポリスチレン、ABS
樹脂、セルロース系プラスチック、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセ
タール、塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレー
ト、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリト
リフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン)などの樹
脂を挙げることができるが、本発明の目的にはポリプロ
ピレンまたはポリテトラフルオロエチレンが特に好適に
用いられる。成形型は、予め成形樹脂の収縮率を見込ん
で最終形状に沿う形状の凹部を形成したものが用いら
れ、その凹部形状は曲面を有する複雑形状であってもよ
い。成形は、前記の成形型に熱硬化性樹脂液を注入する
注型成形によって行われる。この際、樹脂中の低沸点成
分を除去するために10torr以下に減圧して脱泡するこ
とが好ましい。
作成した樹脂質のものを使用することが好ましい。これ
らの材質としては塩化ビニール、ポリスチレン、ABS
樹脂、セルロース系プラスチック、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセ
タール、塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレー
ト、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリト
リフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン)などの樹
脂を挙げることができるが、本発明の目的にはポリプロ
ピレンまたはポリテトラフルオロエチレンが特に好適に
用いられる。成形型は、予め成形樹脂の収縮率を見込ん
で最終形状に沿う形状の凹部を形成したものが用いら
れ、その凹部形状は曲面を有する複雑形状であってもよ
い。成形は、前記の成形型に熱硬化性樹脂液を注入する
注型成形によって行われる。この際、樹脂中の低沸点成
分を除去するために10torr以下に減圧して脱泡するこ
とが好ましい。
【0014】ついで、60〜80℃の温度に加熱するこ
とにより樹脂を予備硬化して半硬化の状態にしたのち成
形型から離型し、引き続き予備硬化樹脂成形体を80か
ら300℃の温度範囲で加熱硬化する。予備硬化樹脂成
形体を成形型から離型する手段は、比較的単純な形状の
場合には成形型の可撓性を利用して外力により変形させ
ながら取り外す方法で行うことができる。しかし、例え
ば円筒または円柱の外面にスパイラル状の凹部を形成し
た成形型を用いて注型成形するような場合には、そのま
まの状態で加熱硬化し、硬化成形体を成形型から離型せ
ずに後工程の焼成炭化工程に移すことにより成形型を燃
焼除去する方法も取り得るが、熱硬化性樹脂の硬化時の
収縮により成形体内部に歪を残すため好ましくない。
とにより樹脂を予備硬化して半硬化の状態にしたのち成
形型から離型し、引き続き予備硬化樹脂成形体を80か
ら300℃の温度範囲で加熱硬化する。予備硬化樹脂成
形体を成形型から離型する手段は、比較的単純な形状の
場合には成形型の可撓性を利用して外力により変形させ
ながら取り外す方法で行うことができる。しかし、例え
ば円筒または円柱の外面にスパイラル状の凹部を形成し
た成形型を用いて注型成形するような場合には、そのま
まの状態で加熱硬化し、硬化成形体を成形型から離型せ
ずに後工程の焼成炭化工程に移すことにより成形型を燃
焼除去する方法も取り得るが、熱硬化性樹脂の硬化時の
収縮により成形体内部に歪を残すため好ましくない。
【0015】成形体の焼成炭化処理は、非酸化性雰囲気
に保持された加熱炉を用い800℃以上の温度、好まし
くは1000〜2000℃の温度で加熱することによっ
て行われる。焼成炭化処理されたガラス状カーボン成形
体には、端部に金属を溶射してターミナル部を形成し、
発熱体とされる。
に保持された加熱炉を用い800℃以上の温度、好まし
くは1000〜2000℃の温度で加熱することによっ
て行われる。焼成炭化処理されたガラス状カーボン成形
体には、端部に金属を溶射してターミナル部を形成し、
発熱体とされる。
【0016】かくして得られるカーボン発熱体は、全灰
分が5ppm 以下、曲げ強度1000kg/cm2以上で電気比
抵抗は10×10-4Ωcm以上の性状特性を備え、通電発
熱させた場合に不純物の外部汚染がない高純度性能で、
細線形状にした際にも十分な実用強度を有し、かつ円滑
な抵抗発熱性を備えている。
分が5ppm 以下、曲げ強度1000kg/cm2以上で電気比
抵抗は10×10-4Ωcm以上の性状特性を備え、通電発
熱させた場合に不純物の外部汚染がない高純度性能で、
細線形状にした際にも十分な実用強度を有し、かつ円滑
な抵抗発熱性を備えている。
【0017】
【作用】本発明によれば、予め精製されたフェノール樹
脂主体の熱硬化性樹脂液を出発原料とし、成形・硬化段
階で酸素を介在させて縮合反応を活性化することによ
り、高純度で材質強度の高いガラス状カーボン成形体を
製造することができる。また、成形工程で易離型性で可
撓性を有する樹脂質の成形型を用いるため、目的に沿う
単純または複雑形状の成形体を容易に得ることができ、
焼成炭化後に切削加工する必要はなくなる。このため、
常に生産効率よく各種形状のカーボン発熱体を製造する
ことが可能となる。
脂主体の熱硬化性樹脂液を出発原料とし、成形・硬化段
階で酸素を介在させて縮合反応を活性化することによ
り、高純度で材質強度の高いガラス状カーボン成形体を
製造することができる。また、成形工程で易離型性で可
撓性を有する樹脂質の成形型を用いるため、目的に沿う
単純または複雑形状の成形体を容易に得ることができ、
焼成炭化後に切削加工する必要はなくなる。このため、
常に生産効率よく各種形状のカーボン発熱体を製造する
ことが可能となる。
【0018】また、得られるカーボン発熱体は、全灰分
5ppm 以下の高純度と、曲げ強度1000kg/cm2以上の
材質強度と、電気比抵抗10×10-4Ωcm以上の高抵抗
発熱性を具備しているから、特に半導体製造に使用され
るヒーター部材として有用である。
5ppm 以下の高純度と、曲げ強度1000kg/cm2以上の
材質強度と、電気比抵抗10×10-4Ωcm以上の高抵抗
発熱性を具備しているから、特に半導体製造に使用され
るヒーター部材として有用である。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比しなが
ら具体的に説明する。
ら具体的に説明する。
【0020】実施例1 減圧蒸留により精製したフェノールとホルマリンをアン
モニア存在下で付加縮合反応させて、分子量130、ゲ
ル化時間15分のフェノール樹脂初期縮合物を調製し
た。このフェノール樹脂液にフルフリルアルコールを3
0重量%の割合で添加混合して粘度4ポイズ、樹脂分5
5重量%の組成を有する原料樹脂液を調製した。この原
料樹脂液を図1に示したような可撓性ポリプロピレン製
の板状体に逆Ω型の成形凹部2を形成した成形型1〔Ω
部の内径D1;60mm、Ω部の外径D2;72mm 、棒状部の長
さL1;40mm、凹部深さ; 6mm〕に注入し、真空デシケー
タに入れて10torr以下の減圧下で3時間脱気処理を行
った。次いで、30%の酸素濃度に保持された清浄な電
気炉に入れて80℃の温度で一昼夜放置して予備硬化処
理したのち、成形型を変形させながら予備硬化樹脂成形
体を離型した。引き続き、同一の酸素雰囲気下で予備硬
化成形体を250℃の温度で24時間加熱硬化を施し
た。
モニア存在下で付加縮合反応させて、分子量130、ゲ
ル化時間15分のフェノール樹脂初期縮合物を調製し
た。このフェノール樹脂液にフルフリルアルコールを3
0重量%の割合で添加混合して粘度4ポイズ、樹脂分5
5重量%の組成を有する原料樹脂液を調製した。この原
料樹脂液を図1に示したような可撓性ポリプロピレン製
の板状体に逆Ω型の成形凹部2を形成した成形型1〔Ω
部の内径D1;60mm、Ω部の外径D2;72mm 、棒状部の長
さL1;40mm、凹部深さ; 6mm〕に注入し、真空デシケー
タに入れて10torr以下の減圧下で3時間脱気処理を行
った。次いで、30%の酸素濃度に保持された清浄な電
気炉に入れて80℃の温度で一昼夜放置して予備硬化処
理したのち、成形型を変形させながら予備硬化樹脂成形
体を離型した。引き続き、同一の酸素雰囲気下で予備硬
化成形体を250℃の温度で24時間加熱硬化を施し
た。
【0021】ついで、得られた硬化成形体の両面を不純
物5 ppm未満の高純度黒鉛板〔東海カーボン(株)製、
G347SS〕で挟み付け、高純度黒鉛ヒータを装備した
パッキングレスの高温加熱炉〔東海高熱工業(株)製、
TP150〕にセットし、炉内雰囲気を高純度アルゴン
ガスに保持しながら2000℃の温度まで昇温し、この
温度に保持して焼成炭化処理を行った。得られたガラス
状カーボン組織からなる逆Ω状の両端部に銅を溶射して
ターミナル部3を形成して、図2に示すカーボン発熱体
4〔Ω部の内径d1;50mm、Ω部の外径d2 ;60mm 、棒状
部の長さl1;30mm、厚さ; 5mm〕を製造した。
物5 ppm未満の高純度黒鉛板〔東海カーボン(株)製、
G347SS〕で挟み付け、高純度黒鉛ヒータを装備した
パッキングレスの高温加熱炉〔東海高熱工業(株)製、
TP150〕にセットし、炉内雰囲気を高純度アルゴン
ガスに保持しながら2000℃の温度まで昇温し、この
温度に保持して焼成炭化処理を行った。得られたガラス
状カーボン組織からなる逆Ω状の両端部に銅を溶射して
ターミナル部3を形成して、図2に示すカーボン発熱体
4〔Ω部の内径d1;50mm、Ω部の外径d2 ;60mm 、棒状
部の長さl1;30mm、厚さ; 5mm〕を製造した。
【0022】このカーボン発熱体の各種特性は、表1に
示すとおりであった。なお、表示の特性中、かさ比重は
JIS Z2509、電気比抵抗はJIS Z720
2、曲げ強度はJIS Z1601、熱伝導率はJIS
Z1611、熱膨張率はJIS Z2207、全灰分
はJIS Z7223によりそれぞれ測定した。
示すとおりであった。なお、表示の特性中、かさ比重は
JIS Z2509、電気比抵抗はJIS Z720
2、曲げ強度はJIS Z1601、熱伝導率はJIS
Z1611、熱膨張率はJIS Z2207、全灰分
はJIS Z7223によりそれぞれ測定した。
【0023】実施例2 実施例1の成形・硬化工程を50%酸素雰囲気とし、炭
化焼成温度を1000℃に代え、その他は全て実施例1
と同一条件によりカーボン発熱体を製造した。得られた
カーボン発熱体の各種特性を測定し、その結果を表1に
併載した。
化焼成温度を1000℃に代え、その他は全て実施例1
と同一条件によりカーボン発熱体を製造した。得られた
カーボン発熱体の各種特性を測定し、その結果を表1に
併載した。
【0024】比較例1 原料となるフェノール樹脂を減圧蒸留精製せず、成形・
硬化工程を5%酸素雰囲気とし、その他の条件は実施例
1と同一としてカーボン発熱体を製造した。得られたカ
ーボン発熱体の各種特性を測定し、その結果を表1に併
載した。
硬化工程を5%酸素雰囲気とし、その他の条件は実施例
1と同一としてカーボン発熱体を製造した。得られたカ
ーボン発熱体の各種特性を測定し、その結果を表1に併
載した。
【0025】比較例2 市販されている東海カーボン(株)製の黒鉛発熱体G−
157の特性を表1に併載した。
157の特性を表1に併載した。
【0026】
【表1】
【0027】表1の結果から、実施例のカーボン発熱体
は従来の黒鉛発熱体に比べて不純物が極めて低位にあ
り、曲げ強度が大きいうえに電気比抵抗が高い。したが
って、とくに汚染が問題となる半導体製造用のヒーター
部材として好適な特性を備えていることが判る。また、
実施例2のように焼成炭化温度を制御することにより、
発熱特性の指標となる電気比抵抗の調節することも可能
となる。これに対し、比較例1ではかさ比重、曲げ強度
が低下し、全灰分が多くなっていることが認められる。
は従来の黒鉛発熱体に比べて不純物が極めて低位にあ
り、曲げ強度が大きいうえに電気比抵抗が高い。したが
って、とくに汚染が問題となる半導体製造用のヒーター
部材として好適な特性を備えていることが判る。また、
実施例2のように焼成炭化温度を制御することにより、
発熱特性の指標となる電気比抵抗の調節することも可能
となる。これに対し、比較例1ではかさ比重、曲げ強度
が低下し、全灰分が多くなっていることが認められる。
【0028】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば均質緻密
組織のガラス状カーボンからなり、不純物が少なく、材
質強度が高く、かつ高水準の電気比抵抗を有するカーボ
ン発熱体を生産性よく製造することができる。したがっ
て、半導体製造装置などに使用される非汚染性のカーボ
ン発熱体として極めて有用である。
組織のガラス状カーボンからなり、不純物が少なく、材
質強度が高く、かつ高水準の電気比抵抗を有するカーボ
ン発熱体を生産性よく製造することができる。したがっ
て、半導体製造装置などに使用される非汚染性のカーボ
ン発熱体として極めて有用である。
【図1】実施例で用いた成形型の平面図である。
【図2】実施例で得られたカーボン発熱体の平面図であ
る。
る。
1 成形型 2 成形凹部 3 ターミナル部 4 カーボン発熱体
Claims (2)
- 【請求項1】 減圧蒸留により精製した分子量100以
上、ゲル化時間5〜60分のフェノール樹脂にフランあ
るいはその誘導体化合物を混合して粘度1〜100ポイ
ズ、樹脂分50重量%以上のフェノール系樹脂を主体と
する熱硬化性樹脂液を調製し、該熱硬化性樹脂液を酸素
濃度が10〜70%の酸化性雰囲気中において易離型性
かつ可撓性を有する所定形状の成形型に注入して予備硬
化処理した後、予備硬化樹脂成形体を成形型から離型し
て加熱硬化し、次いで非酸化性雰囲気下で800℃以上
の温度により焼成炭化処理することを特徴とするカーボ
ン発熱体の製造方法。 - 【請求項2】 成形型を構成する材質が、ポリプロピレ
ンあるいはポリテトラフルオロエチレンである請求項1
記載のカーボン発熱体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7046330A JPH08222357A (ja) | 1995-02-09 | 1995-02-09 | カーボン発熱体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7046330A JPH08222357A (ja) | 1995-02-09 | 1995-02-09 | カーボン発熱体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08222357A true JPH08222357A (ja) | 1996-08-30 |
Family
ID=12744145
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7046330A Pending JPH08222357A (ja) | 1995-02-09 | 1995-02-09 | カーボン発熱体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08222357A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000021890A (ja) * | 1997-07-31 | 2000-01-21 | Toshiba Ceramics Co Ltd | カーボンヒータ |
JP2000173750A (ja) * | 1998-12-01 | 2000-06-23 | Toshiba Ceramics Co Ltd | 発熱体封入ヒータ |
JP2002151237A (ja) * | 1997-07-31 | 2002-05-24 | Toshiba Ceramics Co Ltd | カーボンヒータ |
JP2005210587A (ja) * | 2004-01-26 | 2005-08-04 | Murata Mfg Co Ltd | 超音波センサ用音響整合層の製造方法および成形型 |
JP2008243820A (ja) * | 1997-07-31 | 2008-10-09 | Covalent Materials Corp | カーボンヒータ |
-
1995
- 1995-02-09 JP JP7046330A patent/JPH08222357A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000021890A (ja) * | 1997-07-31 | 2000-01-21 | Toshiba Ceramics Co Ltd | カーボンヒータ |
JP2002151237A (ja) * | 1997-07-31 | 2002-05-24 | Toshiba Ceramics Co Ltd | カーボンヒータ |
JP2008243820A (ja) * | 1997-07-31 | 2008-10-09 | Covalent Materials Corp | カーボンヒータ |
JP2000173750A (ja) * | 1998-12-01 | 2000-06-23 | Toshiba Ceramics Co Ltd | 発熱体封入ヒータ |
JP2005210587A (ja) * | 2004-01-26 | 2005-08-04 | Murata Mfg Co Ltd | 超音波センサ用音響整合層の製造方法および成形型 |
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