JPH082221A - タイヤ空気圧異常判定装置 - Google Patents

タイヤ空気圧異常判定装置

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JPH082221A
JPH082221A JP13850194A JP13850194A JPH082221A JP H082221 A JPH082221 A JP H082221A JP 13850194 A JP13850194 A JP 13850194A JP 13850194 A JP13850194 A JP 13850194A JP H082221 A JPH082221 A JP H082221A
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秀樹 大橋
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弘之 河井
Hiroyoshi Kojima
弘義 小島
Koji Umeno
孝治 梅野
Katsuhiro Asano
勝宏 浅野
Nobuyoshi Onoki
伸好 小野木
Yuichi Inoue
祐一 井上
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Abstract

(57)【要約】 【目的】タイヤの空気圧を検出してそれが異常に低いか
否かを判定する装置において、タイヤの使用時間が長い
ほど自然もれによって空気圧が低下している可能性が高
いという事実を考慮して判定を行うことにより、判定の
正確性と速応性とを両立させる。 【構成】電磁ピックアップ12,波形整形器18および
コンピュータ20によって車輪の回転速度を検出し、コ
ンピュータ47によってその回転速度に基づいてタイヤ
の空気圧を推定し、その空気圧が基準値以下である場合
に空気圧が異常に低いと判定する装置において、タイヤ
の使用時間を時計70によって計測し、前記基準値をタ
イヤの使用時間が長い場合において短い場合におけるよ
り大きくなるように変更する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のタイヤ空気圧が
異常に低いか否かを判定するタイヤ空気圧異常判定装置
に関するものであり、特に、その判定の正確性と速応性
とを両立させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記タイヤ空気圧異常判定装置は一般
に、車両のタイヤの空気圧自体またはそれに関連する物
理量である空気圧関連量を検出し、その検出結果が予め
定められた低圧判定条件を満たす場合に空気圧が異常に
低いと判定するように構成される。
【0003】それの一従来例が特開平3−50006号
公報に記載されている。これは、左右輪のそれぞれの回
転速度を検出して左右輪間における回転速度差をタイヤ
空気圧関連量として検出し、その回転速度差が0ではな
く左右輪間に回転速度差が存在する状態が一定時間以上
継続するという低圧判定条件が満たされたときに左右輪
の一方の空気圧が異常に低いと判定するタイヤ空気圧異
常判定装置である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この従来のタイヤ空気
圧異常判定装置は、空気圧低下判定の正確性を確保する
ために、左右輪間に回転速度差が発生しても直ちに空気
圧が異常に低下したとは判定せず、左右輪間に回転速度
差が発生し続ける時間が設定値に到達したときにはじめ
て空気圧が異常に低下したと判定する。また、このタイ
ヤ空気圧異常判定装置は、空気圧が低下する可能性は常
に同じであるとの前提を採用しているから、低圧判定条
件、すなわち、左右輪間に回転速度差が発生し続ける時
間が到達すべき時間が固定されている。
【0005】しかし、空気圧が低下する可能性は常に同
じであるわけではない。例えば、タイヤ内の空気はタイ
ヤに外傷等がなくても放置しておくとタイヤのゴムを自
然に透過して少しずつもれたり、タイヤとホイールとの
間の僅かな隙間から少しずつもれるという、自然もれと
称される現象があり、この自然もれによりタイヤの使用
期間,走行時間等が増加するほど、空気圧が低下する可
能性は高くなる。そのため、この従来のタイヤ空気圧異
常判定装置では、空気圧が低下する可能性が高いか否か
を問わず常に同じ低圧判定条件下で空気圧低下判定が行
われるから、空気圧が低下している可能性が高く、空気
圧低下の事実を極力迅速に検出することが望ましい状況
において十分には迅速にその事実を検出することができ
ない。
【0006】以上要するに、この従来のタイヤ空気圧異
常判定装置には、空気圧低下判定の正確性と速応性とを
十分には両立させることができないという問題があるの
であり、本発明は、空気圧が低下している可能性の高さ
を推定してその可能性の高さに応じて低圧判定条件を変
更することにより、空気圧低下判定の正確性と速応性と
を両立可能とすることを課題としてなされたものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、車両のタイヤの空気圧関連量を検出し、そ
の検出結果が予め定められた低圧判定条件を満たすとき
に空気圧が異常に低いと判定するタイヤ空気圧異常判定
装置において、(a) タイヤの使用履歴に基づいて空気圧
が低下している可能性の高さを推定する空気圧低下可能
性推定部と、(b) 低圧判定条件を、空気圧低下可能性推
定部が空気圧が低下している可能性が高いと推定した場
合においてその可能性が低いと推定した場合におけるよ
り容易に満たされる条件に変更する低圧判定条件変更部
とを設けたことを特徴とする。
【0008】なお、ここに「空気圧関連量」は、空気圧
それ自体を排除する意味ではなく、空気圧それ自体を包
含するのはもちろんである。
【0009】
【作用】自然もれに起因するタイヤ空気圧の低下量はタ
イヤの使用履歴に基づいてある程度推定可能であり、こ
のことはタイヤの使用履歴から空気圧低下の可能性を推
定可能であることを意味する。したがって、この推定に
よる情報をも考慮して空気圧低下判定を行えば、判定の
正確性と速応性とを十分に両立させ得る。
【0010】そのような知見に基づき、本発明に係るタ
イヤ空気圧異常判定装置においては、空気圧低下可能性
推定部が、タイヤの使用履歴に基づいて空気圧が低下し
ている可能性の高さを推定し、低圧判定条件変更部が、
低圧判定条件を、空気圧低下可能性推定部が空気圧が低
下している可能性が高いと推定した場合においてその可
能性が低いと推定した場合におけるより容易に満たされ
る条件に変更する。すなわち、検出結果が同じでも、空
気圧低下の可能性が高い場合においてその可能性が低い
場合におけるより容易に空気圧が異常に低いと判定され
るように低圧判定条件を変更するのである。
【0011】
【発明の効果】したがって、本発明によれば、空気圧低
下の可能性の変化に適応するように低圧判定条件が変更
されるから、空気圧低下の可能性が高い状況において空
気圧が低下した事実をより迅速に検出可能となり、空気
圧低下判定の正確性と速応性とを十分に両立させ得る効
果が得られる。
【0012】
【発明の望ましい実施態様】以下、本発明の望ましい実
施態様のいくつかを列挙する。 (1) 請求項1の発明であって、前記空気圧低下可能性推
定部が、少なくとも、タイヤに空気が封入されたときま
たはタイヤが交換されたときからの車両の走行距離を前
記タイヤの使用履歴として取得し、その取得した走行時
間が長いほど空気圧が低下している可能性が高いと推定
するものであるタイヤ空気圧異常判定装置。
【0013】(2) 請求項1の発明であって、前記空気圧
低下可能性推定部が、少なくとも、タイヤに空気が封入
されたときまたはタイヤが交換されたときからの経過時
間(走行時間のみならず停車時間をも含む)を前記タイ
ヤの使用履歴として取得し、その取得した経過時間が長
いほど空気圧が低下している可能性が高いと推定するも
のであるタイヤ空気圧異常判定装置。
【0014】(3) (1) または(2) の発明であって、前記
空気圧低下可能性推定部が、運転者による操作部材の操
作に基づき、タイヤに空気が封入された時期またはタイ
ヤが交換された時期を検出するものであるタイヤ空気圧
異常判定装置。
【0015】(4) (1) または(2) の発明であって、前記
空気圧低下可能性推定部が、車両停止中における空気圧
関連量の検出値の増加速度が基準値を超えたか否かを判
定し、超えたと判定したときに、現在タイヤに空気が封
入されたかまたはタイヤが交換されたと判定するもので
あるタイヤ空気圧異常判定装置。
【0016】(5) 請求項1の発明であって、空気圧関連
量の検出値が基準値以下となったときに空気圧が異常に
低いと判定するタイヤ空気圧異常判定装置において、前
記低圧判定条件変更部が、前記基準値を、空気圧が低下
している可能性が高いと推定された場合においてその可
能性が低いと推定された場合におけるより大きくなるよ
うに変更するものであるタイヤ空気圧異常判定装置。
【0017】(6) 請求項1の発明であって、空気圧関連
量の検出値が基準値以上となった回数が基準回数以上と
なったときに空気圧が異常に低いと判定するタイヤ空気
圧異常判定装置において、前記低圧判定条件変更部が、
前記基準回数を、空気圧が低下している可能性が高いと
推定された場合においてその可能性が低いと推定された
場合におけるより小さくなるように変更するものである
タイヤ空気圧異常判定装置。
【0018】(7) 請求項1の発明であって、空気圧関連
量の検出値が基準値以上であり続けた時間が基準時間以
上となったときに空気圧が異常に低いと判定するタイヤ
空気圧異常判定装置において、前記低圧判定条件変更部
が、前記基準時間を、空気圧が低下している可能性が高
いと推定された場合においてその可能性が低いと推定さ
れた場合におけるより短くなるように変更するものであ
るタイヤ空気圧異常判定装置。
【0019】(8) 請求項1,(1) 〜(7) の各発明であっ
て、タイヤ側に取り付けられた圧力センサおよび発信器
によりタイヤ空気圧を直接に検出してそれに応じた信号
を発するとともに、車体側に取り付けられた受信器によ
り発信器からの信号を受信してタイヤ空気圧に変換する
方式(タイヤと車体間の信号伝達は磁気結合または電波
による)でタイヤ空気圧を検出するタイヤ空気圧異常判
定装置。
【0020】(9) 請求項1,(1) 〜(7) の各発明であっ
て、 タイヤ空気圧自体ではなくそれに関連する物理
量を検出する検出部と、 その検出部による検出値に
基づいてタイヤ空気圧を推定する推定部と、 その推
定部による推定値と前記低圧判定条件との関係に基づい
て空気圧が異常に低いか否かを判定する判定部とを含む
タイヤ空気圧異常判定装置。
【0021】(10)(9) の発明であって、前記検出部が車
輪の運動状態量を上記関連する物理量として検出するも
のであり、前記推定部が、検出部により検出された車輪
運動状態量の複数の周波数成分のうち設定周波数範囲内
において強度が実質的に最大となるものの周波数が低い
ほどタイヤ空気圧が低いと推定するものであるタイヤ空
気圧異常判定装置。
【0022】(11)(9) の発明であって、前記検出部が車
輪の運動状態量を上記関連する物理量として検出するも
のであり、前記推定部が、少なくとも、タイヤ空気圧に
関連する車輪情報の基礎値である車輪情報基礎値と前記
検出部により検出された車輪運動状態量とから、車輪に
対する外乱を検出する外乱オブザーバと、検出された外
乱に基づき、車輪情報の実際値である車輪情報実際値
の、車輪情報基礎値からの変化量を推定する車輪情報変
化量推定部とを有するものであるタイヤ空気圧異常判定
装置。
【0023】なお、ここに「車輪運動状態量」には例え
ば、車輪の回転速度,回転角速度,上下速度,上下加速
度,前後速度,前後加速度等を選ぶことができる。
【0024】また、「タイヤ空気圧に関連する車輪情
報」には例えば、タイヤのばね定数,ダンパ係数等を選
ぶことができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を図示のいくつかの実施例に基
づいて具体的に説明する。図2において10はロータ、
12は電磁ピックアップである。ロータ10は図3に示
す車輪14と共に回転するものであり、外周に多数の歯
16を備えている。電磁ピックアップ12はそれらの歯
16の通過に応じて周期的に変化する電圧を発生する。
この電圧は波形整形器18によって矩形波に整形され、
コンピュータ20のI/Oポート22に供給される。車
輪14は4個あり、それらに設けられている各電磁ピッ
クアップ12が全て波形整形器18を経てコンピュータ
20に接続されるが、図2には代表的に1組のみが図示
されている。
【0026】車輪14は図3に示すように、ホイール2
4の外周にタイヤ26が取り付けられたタイヤ付ホイー
ルであるが、図4に示すように、相対回転可能なリム側
部28とベルト側部30とがねじりばね32によって連
結されたものと考えることができる。上記ロータ10は
ホイール24と一体的に回転するように取り付けられる
ため、電磁ピックアップ12は厳密にはリム側部28の
角速度を検出することになる。
【0027】コンピュータ20は図2に示すように処理
装置としてのCPU40,第一記憶装置としてのROM
42および第二記憶装置としてのRAM44を備えてお
り、ROM42に図示しない制御プログラムが格納され
ることによって、図1に示すリム側部回転速度演算部4
5を構成している。このコンピュータ20は別のコンピ
ュータ47と接続されている。このコンピュータ47
は、図2に示すように、処理装置としてのCPU48,
第一記憶装置としてのROM49,第二記憶装置として
のRAM50および入出力装置としてのI/Oポート5
1を備えており、ROM49に図7のフローチャートで
表されているタイヤ空気圧異常判定ルーチンおよび図9
にフローチャートで表されている基準値決定ルーチンを
始めとする種々の制御プログラムが格納されることによ
って、図1に示す外乱オブザーバ52,パラメータ同定
部53(相関演算部56,正規化部58および空気圧変
化量演算部60)および異常判定部62を構成してい
る。
【0028】コンピュータ47のI/Oポート51には
図2に示すように、異常判定部62の判定結果を運転者
に知らせる表示装置66が接続されている。表示装置6
6は本実施例においては液晶ディスプレイであるが、点
灯あるいは点滅するランプ等別の表示装置を用いること
も可能であり、音声で運転者に知らせる音声報知装置な
どを含めて種々の形態の報知装置を採用することが可能
である。コンピュータ47のI/Oポート51にはさら
に、ホイール24(リム側部28)に加えられる駆動・
制動トルクを、ホイール24の軸に取り付けられた歪み
ゲージ等により検出する駆動・制動トルク検出装置68
が接続されている。さらに時計70および走行距離算出
装置72も接続されている。時計70は現在の時刻を電
気的に計測して表示するデジタル式であり、また、走行
距離算出装置72は車両走行開始時から現在までの走行
距離を電気的に算出して表示するデジタル式である。
【0029】外乱オブザーバ52は、車輪14の図4に
示すモデルに基づいて構成されている。以下、この外乱
オブザーバ52の構成について説明する。車輪14を、
相対回転可能な慣性モーメントJR のリム側部28と慣
性モーメントJB のベルト側部30とがばね定数Kのね
じりばね32により接続されたものとしてモデル化すれ
ば、(1) 〜(3) の状態方程式が成立し、これによって線
形システムが構成される。 JR ωR ′=−KθRB+T1 ・・・(1) JB ωB ′= KθRB−Td ・・・(2) θRB′=ωR −ωB ・・・(3) ただし、 ωR :リム側部28の角速度 ωR ′:リム側部28の角加速度 ωB :ベルト側部30の角速度 ωB ′:ベルト側部30の角加速度 θRB :リム側部28とベルト側部30とのねじり角 T1 :駆動・制動トルク検出装置68により検出され
る駆動・制動トルク Td :路面からの外乱トルク
【0030】なお、実際にはリム側部28とベルト側部
30との間にはダンパが存在するが、その影響は比較的
小さいため、本実施例においてはその存在が無視されて
いる。
【0031】上記状態方程式をベクトルおよび行列を用
いて表せば(4) 式となる。
【0032】
【数1】
【0033】ここで、タイヤ26の空気圧が変化し、ね
じりばね32のばね定数が正規値であるKからK+ΔK
に変化したときの車輪14の状態方程式は(5) 式とな
る。
【0034】
【数2】
【0035】すなわち、ばね定数KがΔKだけ変化する
ことは正常なタイヤ26に(6) 式の右辺の最終項で表さ
れる外乱が加えられるのと等価である。この外乱にはば
ね定数Kの変化量ΔKの情報が含まれており、かつ、ば
ね定数Kはタイヤ26の空気圧に応じて変化するので、
この外乱を推定することによってタイヤの空気圧の変化
量を検出することができる。この外乱の推定に外乱オブ
ザーバの手法を用いるのであり、いま路面からのトルク
d をも外乱として扱うことにすれば、推定すべき外乱
wは(6) 式で表される。
【0036】
【数3】
【0037】しかし、理論上、外乱[w]の中の一つの
要素しか推定することができないため、第2要素である
2 を推定することとする。外乱w2 を(7) 式で定義す
れば、車輪14の状態方程式は(8) 式のようになるた
め、この(8) 式に基づいて外乱オブザーバを構成する。 w2 =(−1/JB )Td +(ΔK/JB )θRB・・・(7)
【0038】
【数4】
【0039】外乱オブザーバは外乱をシステムの状態変
数の一つとして推定するものである。そこで、(7) 式の
外乱w2 をシステムの状態に含めるために、推定すべき
外乱のダイナミクスを(9) 式で近似する。 w2 ′=0・・・(9) これは図5に示すように連続して変化する外乱を階段状
に近似(零次近似)することを意味し、外乱オブザーバ
52の外乱推定速度を推定すべき外乱の変化に比べて十
分速くすれば、この近似は十分に許容される。(9) 式よ
り、外乱w2 をシステムの状態に含めると(10)式の拡張
系が構成される。
【0040】
【数5】
【0041】(10)式において[ωB θRB2T
検出することができない状態となる。したがって、この
システムに基づいて外乱オブザーバ52を構成すれば、
外乱w2 と元々測定できない状態変数ωB ,θRBとを推
定することができる。記述を簡単にするために、(10)式
のベクトルおよび行列を分解して次のように表すことと
する。
【0042】
【数6】
【0043】このとき、状態[z]=[ωB θRB
2T を推定する最小次元オブザーバの構成は(11)式で
表される。 [zp ′]=[A21][xa ]+[A22][zp ]+[B2 ][u]+[G]{ [xa ′]−([A11][xa ]+[A12][zp ]+[B1 ][u])}=( [A21]−[G][A11])[xa ]+([A22]−[G][A12])[zp ] +[G][xa ′]+([B2 ]−[G][B1 ])[u]・・・(11) ただし、 [zp ] :[z]の推定値 [zp ′]:推定値[zp ]の変化率 [G] :外乱オブザーバ52の推定速度を決めるゲ
イン この方程式をブロック線図で表わすと図6のようにな
る。なお、図において[I]は単位行列、sはラプラス
演算子である。また、真値[z]と推定値[zp ]との
誤差[e]を[e]=[z]−[zp]とおき、誤差
[e]の変化率を[e′]とすると、(12)式の関係を得
る。 [e′]=([A22]−[G][A12])[e]・・・(12) これは外乱オブザーバ52の推定特性を表しており、行
列([A22]−[G][A12])の固有値がすなわち外
乱オブザーバ52の極となる。したがって、この固有値
がs平面の左半面において原点から離れるほど外乱オブ
ザーバ52の推定速度が速くなる。オブザーバゲイン
[G]は希望の推定速度になるように決定すればよい。
【0044】以上のように構成された外乱オブザーバ5
2においては、リム側部回転速度演算部45において演
算された車輪14の回転速度vからタイヤ半径Rを考慮
して演算された角速度ωR を入力として、ねじりばね3
2のばね定数KがΔK変化した場合の(7) 式で表される
外乱w2 が推定され、外乱推定値w2pが取得されるが、
その外乱と共に、検出が不可能であるベルト側部30の
角速度ωB ,リム側部−ベルト側部間のねじり角θRB
推定され、それぞれ推定値ωBp,θRBp が取得される。
【0045】なお、車輪14の回転速度vは周速度で演
算されるが、そのためにはタイヤ26の実質的な半径R
(タイヤが荷重で変形した状態における路面から車輪1
4の中心までの距離)が必要であり、これはタイヤ26
の空気圧によって変わる。よって、当初は空気圧が正規
である場合の正規の半径Rが使用されるが、後に説明す
る処理によってタイヤ26の空気圧変化が判明した場合
は、予めROM42に格納されいているタイヤ径テーブ
ルからその空気圧変化に対応したタイヤ半径Rが読み出
されて使用される。
【0046】上記外乱w2pとねじり角θRBp を用いて相
関演算部56において相関演算が行われ、正規化部58
で正規化が行われて、ねじりばね32のばね定数Kの変
化が求められる。
【0047】ねじりばね32のばね定数Kの変化の取得
を図8のフローチャートに基づいて説明する。S21の
初期設定において、整数iが1にリセットされ、前記
(7) 式で表される外乱w2 の推定値w2pとねじり角推定
値θRBp との相互相関C(w2p,θRBp)とねじり角推
定値θRBp の自己相関C(θRBp ,θRBp )とが0にリ
セットされる。RAM50の相互相関メモリおよび自己
相関メモリの内容が0にされるのである。
【0048】続いて、S22で現時点の外乱推定値w
2p(i) およびねじり角推定値θRBp(i)が読み込まれ、S
23で外乱推定値w2p(i) とねじり角推定値θRBp(i)
の積が演算され、相互相関C(w2p,θRBp )に加算さ
れる。ただし、最初にS23が実行される際には相互相
関C(w2p,θRBp )が0であるため、相互相関メモリ
に外乱推定値w2p(i) とねじり角推定値θRBp(i)との積
が格納されるのみである。同様にS24でねじり角推定
値θRBp(i)の二乗が演算され、自己相関メモリの自己相
関C(θRBp ,θRBp )に加算される。
【0049】S25において整数iが予め定められた基
準値M以上になったか否かが判定されるが、当初は判定
がNOであるため、S26で整数iが1増加させられ、
再びS22〜S24が実行される。この実行がM回繰り
返されたときS25の判定がYESとなり、相互相関C
(w2p,θRBp )の1回の演算と自己相関C(θRBp
θRBp )の1回の演算とがともに終了する。
【0050】相関演算部56において以上のようにして
相互相関C(w2p,θRBp )と自己相関C(θRBp ,θ
RBp )とが求められた後、正規化部58において(13)式
によりLK 値が求められ、RAM50のLK 値メモリに
格納される。 Lk =C(w2p,θRBp )/C(θRBp ,θRBp )・・・(13) このLK 値は前記(7) 式に基づき、(14)式で表される。 Lk =(−1/JB )C0 +ΔK/JB ・・・(14) ただし、C0 はC(Tdp,θRBp )/C(θRBp ,θ
RBp )で表される値であり、ばね定数Kの変化とは無関
係であるので、タイヤ空気圧が正常の状態で予め求めて
おくことによって補償することができる。また、C(T
dp,θRBp )は外乱トルクTd の推定値とねじり角θRB
の推定値との相互相関を表している。
【0051】空気圧変化量演算部60においては、LK
値メモリに格納されているLK =C(w2p,θRBp )/
C(θRBp ,θRBp )に基づき、タイヤ26の空気圧P
の実際値の、正規値からの変化量ΔPが決定される。L
K 値と変化量ΔPとの関係がタイヤ空気圧テーブルとし
て予めROM49に格納されており、それに従ってL K
値に対応する空気圧変化量ΔPが決定されるのである。
【0052】異常判定部62においては、演算された今
回の変化量ΔPが負の基準値ΔP0と比較され、変化量
ΔPが基準値ΔP0 より小さいとの判定が連続して基準
値N回繰り返されたときにタイヤ26の空気圧が異常に
低いと判定され、その旨が表示装置66により運転者に
知らされる。変化量ΔPが基準値ΔP0 より小さいとの
判定が一度なされても直ちには空気圧が異常に低いとは
判定されず、連続して基準値N回繰り返されたときには
じめて空気圧が異常に低いと判定されるようになってい
るのは、変化量ΔPの推定誤差によって誤った判定がな
されることを回避するためであるが、基準値Nは固定値
ではなく、可変値とされている。空気圧が低下している
可能性は常に同じではないという事実に着目し、空気圧
が低下している可能性が高いほど減少する可変値とされ
ているのであり、これにより、空気圧低下を迅速に検出
可能となっている。
【0053】空気圧低下の可能性は一般に、タイヤ26
に空気が封入されたときからの経過時間Tが長いほど増
加し、また、車両の走行距離Lが長いほど増加する。そ
こで、この異常判定部62においては、それら経過時間
Tと走行距離Lとの少なくとも一方に基づいて基準値N
が決定されるのであり、この基準値決定のために図9の
基準値決定ルーチンが設けられているのである。
【0054】以上、図1に示す外乱オブザーバ52,相
関演算部56,正規化部58,空気圧変化量演算部60
および異常判定部62の各々の機能を個別的に説明した
が、以下、それら構成要素全体の作動を図7のフローチ
ャートと図9のフローチャートとに基づいて説明する。
【0055】図7のタイヤ空気圧異常判定ルーチンにお
いてはまず、S101において、整数nが0にリセット
される。次に、S102において、外乱オブザーバ52
における各種変数が初期化される。続いて、S103に
おいて、コンピュータ20から回転速度vが読み込ま
れ、その後、S104において、読み込まれた回転速度
vに基づき、外乱オブザーバを用いることによって外乱
2 およびねじり角θRBがそれぞれ推定される。すなわ
ち、コンピュータ47のうちこのS104を実行する部
分によって外乱オブザーバ52が構成されているのであ
る。さらに、S105において、前記相関演算および正
規化によってLK 値が演算され、そのLK値に基づいて
空気圧Pの変化量ΔPが演算される。すなわち、コンピ
ュータ47のうちこのS105を実行する部分によって
相関演算部56,正規化部58および空気圧変化量演算
部60が構成されているのである。
【0056】なお、車両のキースイッチがON状態にあ
るが車両が実質的に停止状態にあるために回転速度vが
0に十分に近い場合には、外乱オブザーバ52による推
定が禁止される一方、変化量ΔPの今回値が前回値に固
定され、これにより、回転速度vが0に十分に近い場合
においても変化量ΔPの取得が可能となっている。
【0057】その後、S106において、変化量ΔPが
負の基準値ΔP0 より小さいか否か、すなわち、空気圧
Pが異常に低いか否かが判定される。変化量ΔPが基準
値ΔP0 より小さくはない場合には判定がNOとなり、
S107において整数nを0にリセットする指令が出さ
れ、一方、変化量ΔPが基準値ΔP0 より小さい場合に
は判定がYESとなり、S108において、整数nが1
増加させられる。
【0058】いずれの場合にもその後、S109におい
て、RAM50から最新の基準値Nが読み込まれる。基
準値Nは後に詳述する基準値決定ルーチンの実行によっ
て予め決定されてRAM50に格納されている。続い
て、S110において、整数nの値、すなわち、変化量
ΔPが基準値ΔP0 より小さいと判定し続けられた回数
が基準値Nより大きいか否かが判定される。基準値Nよ
り大きくはない場合には判定がNOとなり、今回は空気
圧Pが異常に低くはないと判定され、S103に戻り、
一方、基準値Nより大きい場合には判定がYESとな
り、S111において、今回は空気圧Pが異常に低いと
判定され、その旨が表示装置66により運転者に知らさ
れる。この場合にはその後、S101に戻る。すなわ
ち、本実施例においては、変化量ΔPが基準値ΔP0
り小さいと判定し続けられた回数nが基準値Nより大き
くなることが、請求項1の発明における「低圧判定条
件」なのである。
【0059】図9の基準値決定ルーチンにおいてはま
ず、S151において、タイヤ26の一連の自然もれの
開始時であるか否かが判定される。人間によってタイヤ
26に空気が封入された時期またはタイヤ26が別なも
のに交換された時期はタイヤ26の一連の自然もれの開
始時であり、このときには運転者が操作部材74(図2
参照)を操作することによって現時点が一連の自然もれ
の開始時であることをコンピュータ47に対して入力す
るように定められている。すなわち、このS151にお
いては、結局、運転者によって操作部材74が操作され
たか否かが判定されるのである。
【0060】なお、現時点が一連の自然もれの開始時で
あるか否かの判定は運転者の操作によらず、自動的に行
うことも可能である。例えば、本実施例におけるように
車輪14の回転中にしか空気圧の変化を検出し得ない装
置ではなく、電波式の如き、車輪14の回転中であるか
否かを問わず空気圧の変化を検出し得る装置において、
空気圧の増加が検出されたときにはその増加は人間によ
る空気圧の封入またはタイヤ交換によると推定すること
とすれば、空気圧の増加を検出したときに一連の自然も
れの開始時であると自動的に判定することが可能にな
る。
【0061】今回は操作部材74が操作されたと仮定す
れば判定がYESとなり、S152以下のステップに移
行する。
【0062】S152においては、時計70から現在時
刻tC が読み込まれ、S153において、それが基準時
刻tS とされる。さらに、S154において、その基準
時刻tS から現時点までの経過時間Tが0とされる。そ
の後、S155において、走行距離算出装置72から現
在距離LC が読み込まれ、S156において、それが基
準距離LS とされる。さらに、S157において、その
基準距離LS を走行した時点から現時点までに車両が走
行した走行距離Lが0とされる。
【0063】その後、S158において、それら経過時
間Tと走行距離Lとの少なくとも一方に基づいて基準値
Nが決定される。基準値Nは例えば、経過時間Tと基準
値Nとの関係であって例えば図10にグラフで表される
如く、経過時間Tの増加につれて基準値Nが減少する関
係(ROM49に格納されている)に従い、経過時間T
のみから決定したり、それに準じ、走行距離Lのみから
決定することができる。さらに、経過時間Tから決定し
た基準値Nの暫定値と走行距離Lから決定した基準値N
の暫定値とを総合的に用いて基準値Nの最終値を決定す
ることもできる。例えば、2個の暫定値の平均値として
最終値を決定したり、2個の暫定値のうち大きい方とし
て最終値を決定したり、小さい方として最終値を決定す
ることができる。以上のようにして決定された基準値N
はRAM50に格納される。
【0064】すなわち、経過時間Tおよび走行距離Lが
タイヤ26の使用履歴として取得されてそれら経過時間
Tまたは走行距離Lの増加につれて基準値Nが減少させ
られ、一方、基準値Nが小さいほど簡単に空気圧が異常
に低いと判定されるなるから、結局、経過時間Tまたは
走行距離Lの増加につれて低圧判定条件が緩和されるこ
とになるのである。
【0065】その後、S151に戻り、操作部材74の
操作の有無が判定されれば、今回はその操作がないと仮
定すれば判定がNOとなり、S159以下のステップに
移行する。
【0066】S159においては、時計70から現在時
刻tC が読み込まれ、続いて、S160において、その
現在時刻tC から前記基準時刻tS を引くことによって
経過時間Tが演算される。さらに、S161において、
走行距離算出装置72から現在距離LC が読み込まれ、
続いて、S162において、その現在距離LC から前記
基準距離LS を引くことによって走行距離Lが演算され
る。その後、S158に移行し、前記の場合と同様にし
て基準値Nが決定される。その後、S151に戻る。
【0067】すなわち、コンピュータ47のうちタイヤ
空気圧異常判定ルーチンのS106〜S111を実行す
る部分と基準値決定ルーチンを実行する部分とが互いに
共同して、図1に示す異常判定部62を構成しているの
である。
【0068】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、コンピュータ47のうち図9のS151〜
S157およびS159〜S162を実行する部分が時
計70,走行距離算出装置72および操作部材74と共
同して、請求項1の発明における「空気圧低下可能性推
定部」を構成し、また、コンピュータ47のうち同図の
S158を実行する部分が「低圧判定条件変更部」を構
成しているのである。
【0069】次に、別の実施例に基づいて本発明を具体
的に説明する。本実施例であるタイヤ空気圧異常判定装
置は、先の実施例とは異なり、外乱オブザーバを利用し
て空気圧を検出するものではなく、回転速度vの複数の
周波数成分のうち設定周波数範囲内において強度が実質
的に最大であるものの周波数が空気圧が低いほど低いと
いう事実を利用することによって空気圧を検出するもの
である。そのため、本実施例においては、図11に示す
ように、コンピュータ47において、先の実施例におけ
る外乱オブザーバ52,相関演算部54,正規化部56
および空気圧変化量演算部58に代えて、周波数分析部
82,共振点検出部84および空気圧演算部86が設け
られている。ただし、本実施例は先の実施例と共通する
部分もあり、共通する部分については同一の符号を使用
することによって説明を省略する。
【0070】周波数分析部82は、コンピュータ20か
ら取り込んだ回転速度信号の周波数特性をFFT(高速
フーリエ変換)方式で取得するものである。共振点検出
部84は、周波数分析部82から供給された周波数特性
の分析結果に基づき、回転速度信号の複数の周波数成分
のうち設定周波数範囲内において強度が実質的に最大で
あるものの周波数を共振周波数f0 (共振点)として検
出するものである。空気圧演算部86は、共振周波数f
0 が低いほど空気圧Pが低いという関係を利用して空気
圧Pを演算するものである。
【0071】それら周波数分析部82,共振点検出部8
4および空気圧演算部86は異常判定部88と共に、コ
ンピュータ47のROM49に図12にフローチャート
で表されているタイヤ空気圧異常判定ルーチンを始めと
する種々の制御プログラムが格納されることによって構
成されている。以下、このタイヤ空気圧異常判定ルーチ
ンの内容を説明するが、先の実施例と共通する部分につ
いては簡単に説明する。
【0072】本ルーチンにおいてはまず、S201にお
いて、前記操作部材74の操作、すなわち、タイヤ26
の一連の自然もれの開始を指示する自然もれ開始指示操
作があったか否かが判定される。自然もれ開始指示操作
がなかった場合には判定がNOとなり、直ちにS203
に移行するが、自然もれ開始指示操作があった場合には
判定がYESとなり、S202において、時計70から
現在時間tC が必要な情報として読み込まれ、それが基
準時間tS とされてRAM50に格納され、その後、S
203に移行する。
【0073】いずれの場合にもS203においては、時
計70からは現在時刻tC 、RAM50からは基準時刻
S がそれぞれ読み込まれ、現在時刻tC から基準時刻
Sを引くことにより、自然もれ開始指示操作が最後に
行われた時期からの経過時間Tが演算される。続いて、
S204において、演算された経過時間Tが最大時間T
MAX を超えたか否かが判定される。空気圧Pは自然もれ
によって例えば図13のグラフで表される如く経過時間
Tの増加につれて低下すると考えられ、経過時間Tが最
大時間TMAX となったときには空気圧Pは自然もれによ
って異常に低下したと判定される領域に進入したと考え
られる。そこで、本実施例においては、経過時間Tが最
大時間TMAX を超えたときには、後述の空気圧Pの推定
なしで直ちにS218において空気圧Pが異常に低いと
判定されるようになっている。したがって、経過時間T
が最大時間TMAX を超えた後には、空気圧Pの推定なし
でも空気圧の異常警告が可能となるため、その推定に係
る装置が作動し得ない状態(例えば、装置の故障等に起
因する)においても空気圧の異常警告が可能となるとい
う特有の効果が得られる。
【0074】これに対し、経過時間Tが最大時間TMAX
を超えない場合にはS204の判定がNOとなり、S2
05以下のステップに移行する。S205において、演
算された経過時間Tに基づき、基準値MとNがそれぞれ
決定される。それら基準値M,Nはそれぞれ、図14お
よび図15にグラフで表される如く、経過時間Tの増加
につれて減少するように決定される。
【0075】続いて、S206において、コンピュータ
20から回転速度vが読み込まれ、RAM50の回転速
度メモリに格納される。その後、S207において、そ
の回転速度メモリに格納されている複数の回転速度vに
基づき、回転速度信号の周波数分析が行われる。周波数
とゲインとの関係が演算されるのである。続いて、S2
08において、周波数分析が行われた回数を表す整数m
が1増加させられる。なお、整数mは本ルーチンの実行
開始に伴って0に初期化される。その後、S209にお
いて、整数mが基準値Mより大きいか否かが判定され
る。今回は基準値Mより大きくはないと仮定すれば判定
がNOとなり、S201に戻る。
【0076】S201〜S209の実行が何回も繰り返
された結果、整数mが基準値Mより大きくなれば、S2
09の判定がYESとなり、S210において、後続す
る一連の周波数分析に備えて整数mが0に初期化された
後、S211において、周波数分析結果に対する平均化
処理が行われる。複数回の周波数分析結果に基づき、各
周波数毎にゲインの平均値が求められるのである。
【0077】続いて、S212において、周波数と平均
ゲインとの関係である今回の平均周波数分析結果に基づ
き、それが表すグラフを平滑化する平滑化処理が行われ
る。例えば、高さがi番目の周波数のゲインYi が、
(i−1)番目から(i+1)番目までの、平滑化処理
前におけるゲインyi-1 ,yi ,yi+1 の平均値とされ
る。すなわち、平均周波数分析結果に対し、 Yi =(yi-1 +yi +yi+1 )/3 なる式で表される規則に従って平滑化処理が行われるの
である。なお、平均化処理に用いられる平滑化処理前に
おけるゲインの数は3個に限られるものではなく、任意
の個数とすることができる。
【0078】すなわち、コンピュータ47のうちS20
6〜S209およびS210〜S212を実行する部分
が、図11に示す周波数分析部82を構成しているので
ある。
【0079】その後、S213において、その平滑化処
理後の平均周波数分析結果に基づき、設定周波数範囲内
においてゲイン(信号の「強度」を記述する単位の一例
である)が実質的に最大となる周波数が共振周波数f0
として検出される。すなわち、コンピュータ47のうち
このS213を実行する部分が図11に示す共振点検出
部84を構成しているのである。
【0080】続いて、S214において、検出された共
振周波数f0 に基づき、共振周波数f0 と空気圧Pとの
関係であって予めROM49に格納されているものに従
って現在の空気圧Pが演算される。すなわち、コンピュ
ータ47のうちこのS214を実行する部分が図11に
示す空気圧演算部86を構成しているのである。さら
に、このS214においては、空気圧Pが基準値P0
り低いか否かが判定される。今回は基準値P0 以上であ
ると仮定すれば判定がNOとなり、S215において、
空気圧Pが基準値P0 より低いと判定し続けられた回数
を表す整数nが0に初期化され、一方、今回は空気圧P
が基準値P0 より低いと仮定すれば判定がYESとな
り、S216において、整数nが1増加させられる。
【0081】いずれの場合にもS217において、整数
nが基準値Nより大きいか否かが判定される。今回は基
準値Nより大きくはないと仮定すれば判定がNOとな
り、直ちにS201に戻るが、今回は基準値Nより大き
いと仮定すれば判定がYESとなり、S218におい
て、今回は空気圧Pが異常に低いと判定され、その旨が
表示装置66により運転者に知らされる。その後、S2
01に戻る。すなわち、本実施例においては、空気圧P
が基準値P0 より低いと判定し続けられた回数nが基準
値Nより大きいことが請求項1の発明における「低圧判
定条件」の一例なのである。
【0082】すなわち、コンピュータ47のうちタイヤ
空気圧異常判定ルーチンのS201〜S205,S21
5〜S218を実行する部分が、図11に示す異常判定
部88を構成しているのである。
【0083】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、経過時間Tが長いほど空気圧が低下してい
る可能性が高いと推定され、その結果に従い、1個の共
振周波数f0 を取得するのに必要な周波数分析の回数M
が小さくされるとともに、空気圧が異常に低いと判定さ
れるまでに基準値P0 と比較されるべき空気圧Pの数N
が小さくされる。したがって、本実施例によれば、空気
圧が低下している可能性が高いほど、共振周波数f0
いては空気圧Pのサンプリング周期が短縮化されるとと
もに空気圧異常判定に係る低圧判定条件が緩和されるか
ら、空気圧の異常低下が実際に発生してからそれが検出
されるまでに取得される共振周波数f0の数も空気圧P
の数も減少し、その結果、空気圧の異常低下を早期に発
見し得るという効果が得られる。
【0084】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、コンピュータ47のうち図12のS201
〜S203を実行する部分が時計70および操作部材7
4と共同して、請求項1の発明における「空気圧低下可
能性推定部」を構成し、また、コンピュータ47のうち
同図のS205を実行する部分が「低圧判定条件変更
部」を構成しているのである。
【0085】以上、本発明を二実施例に基づいて具体的
に説明したが、本発明はその他の態様で実施することが
できる。
【0086】例えば、それら二実施例においてはいずれ
も、経過時間Tまたは走行距離Lという、空気圧の自然
もれ量を左右する自然もれ量因子と各基準値M,Nとが
直接に関連させられ、自然もれ量因子から直ちに各基準
値M,Nが決定されるようになっているが、例えば、自
然もれ量因子から各時期における自然もれ量を予想し、
その予想した自然もれ量から各基準値M,Nが決定され
るようにして本発明を実施することができる。
【0087】すなわち、自然もれにのみ起因して空気圧
が低下すると仮定した場合の空気圧の経時的変化は図1
3にグラフで表されているが、このグラフは例えば次式
で近似的に表現することができる。
【0088】
【数7】
【0089】ただし、 PN :自然減圧特性による空気圧P Pint :空気圧PN の初期値(自然もれ開始時における
値) κ1 ,κ2 :定数 T :経過時間(自然もれ開始時からの増分) L :走行距離(自然もれ開始時からの増分)
【0090】したがって、この式を用いて自然もれにの
み起因する空気圧の経時的変化ひいては空気圧の自然も
れ量を予想する一方、自然もれ量と各基準値M,Nとの
関係を予めROM49に格納しておけば、自然もれ量か
ら各基準値M,Nを決定するようにして本発明を実施す
ることができるのである。
【0091】なお、上記式において「定数κ1 ,κ2
は固定値としてもよいが、例えば、タイヤの種類(例え
ば、タイヤのメーカ,サイズ等)に応じて変化する可変
値とし、タイヤの種類を指示するために運転者によって
操作される操作部材を設け、その操作に応じて定数
κ1 ,κ2 を変化させることが空気圧Pの予測精度向上
のために望ましい。
【0092】空気圧PN はまた、例えば次式を用いて近
似的に取得することもできる。
【0093】
【数8】
【0094】ただし、 tmp :タイヤ内空気温度 tmp 0 :タイヤ内空気温度の初期値(自然もれ開始時に
おける値)
【0095】ここにおいて、「タイヤ内空気温度tmp 」
は例えば、外気温度と車輪14の回転に起因する温度上
昇分との和として推定することができ、この場合、外気
温度は車両の室内空調装置やエンジン制御装置の外気温
度センサから取得することができ、一方、車輪14の回
転エネルギは車輪14の回転速度vから取得することが
できる。すなわち、例えば、
【0096】
【数9】
【0097】なる式を用いてタイヤ内空気温度tmp を取
得することができるのである。ただし、 Θ :外気温度 κ3 ,κ4 :定数(タイヤの種類によって変更可能)
【0098】その他、いちいち例示することはしない
が、種々の改良,変形を加えた態様で本発明を実施する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるタイヤ空気圧異常判定
装置の機能ブロック図である。
【図2】上記タイヤ空気圧異常判定装置の構成ブロック
図である。
【図3】上記タイヤ空気圧異常判定装置において外乱を
検出される車輪の一部を示す断面図である。
【図4】上記車輪の力学モデルを示す図である。
【図5】上記タイヤ空気圧異常判定装置における外乱の
ダイナミクスの近似を説明するためのグラフである。
【図6】上記タイヤ空気圧異常判定装置における外乱オ
ブザーバの構成を示すブロック線図である。
【図7】上記タイヤ空気圧異常判定装置の一構成要素で
あるコンピュータ47のROMに格納されている制御プ
ログラムを示すフローチャートである。
【図8】図7におけるS105の詳細を説明するための
フローチャートである。
【図9】上記タイヤ空気圧異常判定装置の一構成要素で
あるコンピュータ47のROMに格納されている別の制
御プログラムを示すフローチャートである。
【図10】図9の制御プログラムにおける基準値Nの特
性を説明するためのグラフである。
【図11】本発明の別の実施例であるタイヤ空気圧異常
判定装置の機能ブロック図である。
【図12】上記タイヤ空気圧異常判定装置の一構成要素
であるコンピュータ47のROMに格納されている制御
プログラムを示すフローチャートである。
【図13】タイヤの空気圧が自然もれによって低下する
様子を説明するためのグラフである。
【図14】図12の制御プログラムにおける基準値Mの
特性を説明するためのグラフである。
【図15】図12の制御プログラムにおける基準値Nの
特性を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
10 ロータ 12 電磁ピックアップ 14 車輪(タイヤ付ホイール) 20,47 コンピュータ 24 ホイール 26 タイヤ 28 リム側部 30 ベルト側部 32 ねじりばね 62,88 異常判定部 70 時計 72 走行距離算出装置 74 操作部材
フロントページの続き (72)発明者 大橋 秀樹 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 河井 弘之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 小島 弘義 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 梅野 孝治 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 浅野 勝宏 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 小野木 伸好 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 井上 祐一 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両のタイヤの空気圧関連量を検出し、そ
    の検出結果が予め定められた低圧判定条件を満たすとき
    に空気圧が異常に低いと判定するタイヤ空気圧異常判定
    装置において、 前記タイヤの使用履歴に基づき、前記空気圧が低下して
    いる可能性の高さを推定する空気圧低下可能性推定部
    と、 前記低圧判定条件を、前記空気圧低下可能性推定部が空
    気圧が低下している可能性が高いと推定した場合におい
    てその可能性が低いと推定した場合におけるより容易に
    満たされる条件に変更する低圧判定条件変更部とを設け
    たことを特徴とするタイヤ空気圧異常判定装置。
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