JPH08220060A - 酸素センサー - Google Patents

酸素センサー

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JPH08220060A
JPH08220060A JP7082755A JP8275595A JPH08220060A JP H08220060 A JPH08220060 A JP H08220060A JP 7082755 A JP7082755 A JP 7082755A JP 8275595 A JP8275595 A JP 8275595A JP H08220060 A JPH08220060 A JP H08220060A
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oxygen
cathode
oxide
oxygen sensor
sensor
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Noboru Taniguchi
昇 谷口
Koji Gamo
孝治 蒲生
Eiichi Yasumoto
栄一 安本
Kunihiro Tsuruta
邦弘 鶴田
Nobuhisa Ito
信久 伊藤
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低温で作動可能で、ヒーター不要な小型、低
コスト、かつ簡便に酸素濃度を測定できる酸素センサー
を提供する。 【構成】 バリウムセリウム系酸化物の層、前記の層の
同じ表面または異なる表面に形成されたアノードおよび
カソードよりなる酸素センサー。バリウムセリウム系酸
化物には、式BaCe1ーxx3-α(式中Mは、La、
Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、YおよびYbよりなる群から選択される少な
くとも一種の希土類元素、0.16≦x≦0.23、0
<α<1)で表される酸化物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、室温から800℃程度
の高温までの温度領域における酸素濃度の検知に用いら
れる酸素センサーに関するものであり、この酸素センサ
ーは住環境の酸素濃度の検知から、エンジンやストーブ
などの燃焼機器の燃焼制御(リーンバーン)用の酸素濃
度検知器として利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】酸素濃度を測定あるいは検知する方法と
して、材料で大別すると半導体型、電解質型などある。
TiO2、SnO2などの材料を用いた半導体型は、気相
の酸素濃度によって、酸化物バルク全体の電気伝導度が
変化することを利用する。n型であるTiO2の焼結体
素子は、700℃で導電率σはPO2 -1/4に比例する。そ
の導電率σは、理論空燃比でステップ状の変化をするの
で、高温で使用する自動車エンジン等の空燃比制御用、
SnO2は石油ストーブやガスストーブの完全燃焼モニ
タ用、給湯器等の燃焼モニタ用に注目されている。その
他、Co1-xMgxOなどの材料も半導体型である。しか
しながら、理論空燃比(酸素濃度15%でステップ状に
変化する半導体型は、酸素濃度15%前後のリーンバー
ン制御、燃焼制御として有用であるが、15%以上ある
いは15%以下での酸素濃度の把握が困難で、定量性に
欠ける。
【0003】一方、電解質型でも電解質の種類により固
体電解質型、溶液電解質型に区別される。また、電池電
流で検知するのか、電池起電力で検知するのかにより電
流測定型、電位測定型に分類される。溶液電解質型は、
一般にガルバニ電池式と呼ばれるもので、室温付近で使
用されるものである。従って、燃焼機器などの高温での
酸素センサーには適応しない。現在、800℃付近での
酸素センサー、あるいは自動車エンジン用リーンバーン
センサーとしてジルコニア系の固体電解質型センサーが
一部実用化されている。ジルコニア系酸化物は、炭化水
素ガスや還元雰囲気下でも化学的に安定であり、高酸化
物イオン伝導体であるので、幅広い分野で使用されてい
る。純粋な酸化物イオン伝導体であるため、酸素濃度を
濃淡電池の起電力により正確に検知できる。しかしなが
ら、起電力型では電位変化が理論空燃比である酸素濃度
14.5%で急激に変化し、それ以上の濃度のリーンバ
ーン領域ではフラットになってしまう。
【0004】限界電流式は、リーンバーン領域のセンサ
ーとして注目されている。カソード反応を利用する電気
化学式のものであり、固体電解質を挟む両極間に一定の
電圧を印加し、その電流変化を読みとる。溶液を用いる
ガルバニ型電気化学センサーでは、ポーラログラフィの
場合のように電極面上に被検成分の拡散層を生じさせる
ことにより、濃度に対応する電流を得ることができる
が、固体電解質中では酸化物イオン濃度が一定になるの
で、電極上の気相の酸素に拡散層を生じさせる構造をも
たせることにより、気相の酸素濃度に対する電流変化を
得る。センサー出力は空気過剰率λに対して直線的で、
半導体型のものに比べて高感度であり、高い空燃比まで
使用可能である。しかし、作動温度が高く(700
℃)、作動温度を低下させることが課題とされている。
構造が簡単で低温で作動する酸素センサーが望まれてい
る。固体電解質型のセンサーの電極は、高温(800
℃)で長期安定な白金が用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】住環境の酸素濃度の検
知、エンジンやストーブなどの燃焼機器の燃焼制御(リ
ーンバーン)用の酸素濃度検知器として、高感度で信頼
性が高く、かつ小型、簡便、低コストなセンサーが望ま
れている。ジルコニア系酸化物を含めて従来の酸化物を
用いた半導体式および限界電流式のセンサーでは、高温
で作動させなければならない。そのため被検環境が40
0℃以下程度であるとき、ヒーターが必要となる。ま
た、ジルコニアおよび白金電極各々は長期に安定ではあ
るが、ジルコニアと白金電極の界面抵抗がかなり大き
く、かつ抵抗増加速度も大きいという問題がある。更
に、白金ー白金を電極に用いた限界電流式では、酸素の
拡散を抑制する層が必要となる。従って、低温200℃
付近まで高い導電率を有し、かつ化学的に安定であり、
望ましくは白金電極でも界面抵抗が小さくなるような固
体電解質、および長期に渡り安定な電極が求められてい
る。また、小型、低コスト化のため、ヒーターや酸素の
拡散を抑制する抵抗板あるいは多孔質層が不要なセンサ
ーが求められている。
【0006】本発明は、上記課題に鑑み、低温で作動可
能で、ヒーター不要な小型、低コスト、かつ簡便に酸素
濃度を測定できる酸素センサーを提供することを目的と
する。また、本発明は、酸素の拡散を抑制する抵抗板の
ようなものが不要な小型、低コスト、かつ簡便に酸素濃
度を測定できる酸素センサーを提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、バリウムセリ
ウム系酸化物の層、前記の層の同じ表面または異なる表
面に形成されたアノードおよびカソードよりなる酸素セ
ンサーを提供する。前記酸化物は、少なくとも一種の希
土類元素を第3元素として含むことが好ましい。さらに
好ましくは、前記酸化物は、式BaCe1-xx3-α
(式中Mは、La、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、YおよびYbよりなる群
から選択される少なくとも一種の希土類元素、0.16
≦x≦0.23、0<α<1)で表される酸化物であ
る。なかでもMがGdであることが好ましい。本発明の
一態様における酸素センサーは、前記酸化物が、プロト
ンおよび酸化物イオンよりなる群から選択される少なく
とも一種のイオンの伝導体であり、前記アノードとカソ
ードとの間の酸化物の電気伝導度の変化により酸素濃度
を検出する半導体式酸素センサーである。この半導体式
酸素センサーにおいては、アノードとカソードとを前記
酸化物層の同じ表面に設けた構成をとることができる。
本発明の他の態様における酸素センサーは、前記酸化物
が固体電解質であり、前記両電極間に一定電圧を印加し
たときの出力電流の変化により酸素濃度を検出する限界
電流式酸素センサーである。この限界電流式酸素センサ
ーにおいては、前記カソード側の固体電解質への酸素の
拡散を抑制する手段を有する。この限界電流式酸素セン
サーにおいては、アノードおよびカソードの少なくとも
一方を白金または白金を主成分とする材料から構成する
ことができる。さらに、アノードおよびカソードの少な
くとも一方を銀または銀を主成分とする材料から構成す
ることができる。
【0008】また、本発明は、固体電解質層、前記固体
電解質層の同じ表面または異なる表面に形成されたカソ
ードおよびアノードを具備し、前記アノードが白金、銀
またはいずれか一方を主成分とする材料からなり、前記
カソードが金または金を主成分とする材料からなる限界
電流式の酸素センサーを提供する。さらに、本発明は、
固体電解質層、前記固体電解質層の同じ表面または異な
る表面に形成されたカソードおよびアノードを具備し、
前記アノードが銀または銀を主成分とする材料からな
り、前記カソードが白金または白金を主成分とする材料
からなる酸素センサーを提供する。本発明は、また固体
電解質層、前記固体電解質層の同じ表面または異なる表
面に形成されたカソードおよびアノードを具備し、前記
カソードが、電子(ホール)とイオンの混合伝導体であ
る酸素センサーを提供する。前記混合伝導体は、90%
を超える真密度の緻密体であることが好ましい。
【0009】
【作用】本発明は、酸素センサー素子を構成する酸化物
にバリウムセリウム系酸化物を用いる。なかでも式Ba
Ce1ーxx3-α(式中Mは、La、Pr、Nd、P
m、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yお
よびYbよりなる群から選択される少なくとも一種の希
土類元素、αは酸素欠損量であり、0.16≦x≦0.
23、0<α<1)で表される酸化物は、プロトンおよ
び酸化物イオンの優れた伝導体であるところから、半導
体式センサーおよび限界電流式センサーの素子として有
効に機能する。すなわち、従来半導体式センサーでは、
TiO2、SiO2などの酸化物が理論空燃比付近で電気
伝導度が変化することを利用していた。しかし、リーン
バーン領域では、電気伝導度の変化は極めて小さく、セ
ンサーに利用することはできなかった。上記の酸化物
は、リーンバーン領域においても電気伝導度の変化が大
きい。従って、本発明のセンサーは、理論空燃比のみで
なく、リーンバーン領域においても酸素の検知を行え
る。
【0010】また、従来の限界電流式酸素センサーに用
いられていた酸化物の代表的なものは、ジルコニア系酸
化物であり、その酸化物イオンの導伝率は、700℃で
約2×10ー2S/cm、500℃で約10ー3S/cmで
あった。これに対して上記のバリウムセリウム系酸化物
は、500℃でジルコニア系酸化物の約100倍の酸化
物イオン伝導度を有するから、高感度のセンサーを与え
る。また、200℃程度の低温においても十分な酸素ポ
ンプ能力を有するから、従来より低温で使用することが
できる。限界電流式酸素センサーにおいては、通常カソ
ード側に、酸素の拡散を抑制する抵抗板などの手段を設
ける必要がある。本発明の酸素センサーにおいては、ア
ノードに白金または銀、カソードに金、またはアノード
に銀、カソードに白金というように、酸素に対する活性
がアノードより低い材料をカソードに用いることによ
り、カソード側で酸素の解離を抑制し、前記抵抗板のよ
うな付加的要素を省くことができる。また、カソード
を、電子(ホール)とイオンの混合伝導体で構成するこ
とにより、同様に酸素拡散を抑制する手段を省くことが
できる。この場合は、アノード材料に特別な制約はな
い。
【0011】本発明は、またアノードまたはカソードに
銀を用いることにより、界面抵抗の小さい、長期に渡り
安定な酸素センサーを与える。従来、高温で作動する酸
素ポンプの電極には、白金が用いられてきた。これは、
高価であるが、500℃以上の高温で安定であるからで
ある。しかし、500℃より低い温度では、銀の方が酸
素に対する活性が高く、かつ電解質との界面抵抗が小さ
く、酸素ポンピングをスムーズにさせることができる。
なお、銀は、800℃を超える温度では、使用が困難で
ある。上記のように、高感度で信頼性が高く、かつ、小
型、簡便、低コストな酸素センサーを作製することが可
能である。本発明の酸素センサーは、酸化物にバリウム
セリウム系酸化物を用いる場合、室温から800℃程度
の高温までの温度領域で、室内の酸素濃度の検知、およ
びエンジンやストーブなどの燃焼機器の燃焼制御(リー
ンバーン)用の酸素濃度検知機として利用できる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例により、詳しく説明す
る。 [実施例1]本実施例では、半導体式の酸素センサーの
例を説明する。バリウムセリウム系酸化物として、Ba
Ce0.80.23-αまたはBaCe0. 75Eu0.253-α
からなる厚さ0.5mm、直径13mmの円盤を用い
た。この円盤の両面に白金電極を設けた。このセンサー
素子を電気炉に入れ、所定の温度のもとで炉内の雰囲気
を1%酸素を含む窒素雰囲気から空気に変えて酸化物素
子の抵抗変化を調べた。その結果を従来のジルコニアと
比較して表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】なお、抵抗値比は、(空気雰囲気の抵抗
値)/(1%酸素雰囲気の抵抗値)を表す。表1から、
バリウムセリウム系酸化物は、酸素濃度の変化により抵
抗値の変化が大きく、酸素に対する感度が高いことがわ
かる。本実施例の素子は、250〜300℃の低温で、
従来の材料に比べて約2倍から4倍酸素に対して活性で
あることがわかる。また、バリウムセリウム系酸化物を
式BaCe1ーxx3-αで表したとき、MがGd、D
y、Ybなどである場合も同様に酸素に対して高感度で
あることがわかった。xの値は、0.4を超えると酸化
物の合成が困難であった。本実施例から明らかなよう
に、バリウムセリウム系酸化物を用いた酸素センサー
は、従来の酸化物を用いたものに比べて感度が高く、か
つ低温で検知可能であり、ヒーター不要の分構造が簡単
になり、安価になる。
【0015】[実施例2]図1は、本発明による酸素セ
ンサの構成を示すもので、酸化物1にはプロトンと酸化
物イオンの混合イオン伝導体であるBaCe0.8Gd0.2
3-αを用いている。この酸化物は、ペロブスカイト型
酸化物であり、熱的に安定で、通常この種の酸化物は還
元雰囲気中で不安定なものが多いが、これは還元雰囲気
でも安定である。酸化物1のサイズは、大きさ10mm
×10mm、厚さ0.4mmで、酸化物1を挟んで両側
に白金電極2を取り付けてある。
【0016】このセンサ素子を300〜500℃の温度
に保ち、各酸素濃度の被検ガスを流し、センサの特性を
調べた。図2に500℃における特性を示す。比較例と
して酸化物半導体Co0.3Mg0.7Oを用いた酸素センサ
の900℃における特性を併せて示す。図2から分かる
ように、本実施例の酸素センサを用いることにより、比
較例の半導体Co0.3Mg0.7Oを用いたときよりも低温
でリーンバーン領域における電気伝導度の差を大きくす
ることができ、より正確な酸素濃度の検知が可能とな
る。また、低温使用が可能となるため、幅広い用途に使
用することができると判断される。
【0017】[実施例3]図3は、本実施例の酸素セン
サの構成を示すもので、実施例2と同様に酸化物1には
プロトンと酸化物イオンの混合イオン伝導体であるBa
Ce0.8Gd0.23-αを用いている。酸化物1のサイズ
は、大きさ5mm×15mm、厚さ0.4mmで、酸化
物1の一方の面に一対の白金電極2を取り付けてある。
このセンサ素子を300〜500℃の温度に保ち、各酸
素濃度の被検ガスを流し、センサの特性を調べた。図4
に500℃における特性を実施例2のセンサの特性と併
せて示す。図4から、同一面に一対の電極を取り付けて
も先の実施例2のセンサと同等の性能を有することが分
かる。このセンサは、同一面に電極を取り付けるので、
センサの製作工程を減らし、簡単で高性能な酸素センサ
となり得る。また、酸化物にBaCe0.8Nd0.23-α
を用いたセンサーは、BaCe0.8Gd0.23-αを用い
たセンサーと同等の性能を有することがわかった。
【0018】[実施例4]図5および図6は、本実施例
の限界電流式酸素センサーの構造を示す。センサー部の
固体電解質11は、大きさ10mm×10mm、厚さ
0.5mmのBaCe0.8Gd0.23-α焼結体からでき
ている。白金微粉末をテルピネオールでペースト状にし
たフリットレスPtペーストを、固体電解質11の両面
に塗布し、900℃で1時間焼きつけてアノード12お
よびカソード13を形成した。カソード側には、大きさ
10mm×10mm、厚さ0.5mmのアルミナ板から
なる酸素拡散を抑制する抵抗板14を、直径2mmのガ
ス取り込み口を残してセラミック接着剤15で封着し
た。16および17は各々アノード12およびカソード
13のリードである。
【0019】このセンサーの各種温度における限界電流
特性を、サイクリックボルタンメトリー(CV)法によ
り調べた。試験ガスとして、空気、10%酸素、および
0%酸素の各々を窒素ガスバランスで供給し、酸素濃度
と限界電流値の関係を調べた。図7に本発明のセンサー
(a)と比較例のジルコニア式センサー(b)の500
℃における電流ー電圧特性を示す。本発明のセンサー
(a)は、ジルコニア式に比べ明らかに相対感度的に優
れていることがわかる。図8に本発明のセンサー(a)
の200℃、300℃、350℃および400℃におけ
る電流ー電圧特性を示す。図8には、ジルコニア式セン
サー(b)の200℃における電流ー電圧特性も示す。
本発明のセンサーは、200℃の低温でも充分に酸素濃
度差を限界電流で感知することがわかる。また、この固
体電解質BaCe0.8Gd0.23-αは、炭化水素、還元
ガス中でも安定であることは、5000時間におよぶ燃
料電池試験で実証済みである。
【0020】本実施例から明らかなように、バリウムセ
リウム系酸化物を固体電解質として用いたも酸素センサ
ーは、従来のジルコニア式に比べ感度が高く、また低温
でも直接検知可能で、ヒーター不要の分構造が簡便にな
り、安価になる。また、ジルコニアー白金電極間の界面
抵抗と、BaCe0.8Gd0.23-αー白金電極間の界面
抵抗を交流インピーダンス法により測定した。その結
果、500℃において、ジルコニアー白金間の界面抵抗
は数MΩcmであるのに対して、BaCe0.8Gd0.2
3-αー白金間の界面抵抗は数十Ωcmであった。従っ
て、バリウムセリウム系酸化物と白金の組み合わせによ
り、界面抵抗を抑制できることがわかる。
【0021】[実施例5]本実施例は、電極に電子(ホ
ール)とイオンの混合伝導体を用いた酸素センサーの例
である。このセンサーは、電極(カソード)自身に酸化
物イオンの伝導を抑制する機能をもたせるもので、酸素
拡散抵抗板が不要になる。センサーの構造は、固体電解
質に大きさ10mm×10mm、厚さ0.5mmのBa
Ce0.8Gd0.23-α焼結体を、アノードに白金、カソ
ードに混合伝導体であるLa0.5Sr0.5Co0.8Mn0.2
3を用い構成した。まず、ペースト粉末La0.5Sr
0.5Co0.8Mn0.23を固体電解質に厚膜になるように
塗布し、1300℃で焼結焼き付けを行い、その後白金
電極を焼き付けた。このとき、カソードLa0.5Sr0.5
Co0.8Mn0.23は、真密度の92%の緻密な電極で
あり、ガス透過はほとんどなかった。
【0022】実施例4と同様にして限界電流特性を、サ
イクリックボルタンメトリー(CV)法により調べた。
試験ガスとして、空気、10%酸素、および0%酸素の
各々を窒素ガスバランスで供給し、酸素濃度と限界電流
値の関係を調べた。図9に本発明のセンサー(c)の7
00℃における電流ー電圧特性を示す。この結果から明
らかなように、本発明のセンサーによれば、酸素濃度差
を限界電流で感知できることがわかる。カソードに混合
伝導体を用いた本発明の酸素センサーが、酸素拡散抵抗
板を不要にし、簡便かつ低コストな酸素センサーを提供
できることがわかる。カソードに真密度の90%の密度
のものを用いたセンサーについて、同様に電流ー電圧特
性を調べたところ、酸素濃度差による限界電流密度の著
しい差が認められず、この密度以下では酸素検知が困難
であることがわかった。
【0023】La0.4Sr0.6Co0.8Fe0.23,La
0.5Sr0.5Co0.8Ni0.23,La0. 5Sr0.5Co0.6
Cu0.43などの混合伝導体をカソードに用いた場合も
同様に、酸素拡散抵抗板なしで酸素濃度を限界電流方式
で測定することが可能であった。本実施例では、電極に
LaSrCoMnO系の混合伝導体を用いた事例を示し
ているが、電子(ホール)とイオンの混合伝導体であれ
ば、BaSrCoO系でも、LaBaFeO系でも良
い。
【0024】[実施例6]本実施例は、アノードとカソ
ードが異種の電極材料で構成されている酸素センサーに
ついての例である。実施例5と同様にして、固体電解質
に大きさ10mm×10mm、厚さ0.5mmのBaC
0.8Dy0.23-α焼結体を用い、アノードに白金、カ
ソードに金を用い酸素センサーを構成した。実施例5と
同様にして限界電流特性を、サイクリックボルタンメト
リー(CV)法により調べた。試験ガスとして、空気、
10%酸素、0%酸素を窒素ガスバランスで供給し、酸
素濃度と限界電流値の関係を調べた。図10に本発明の
センサー(d)の500℃における電流ー電圧特性を示
す。この結果から明らかなように、酸素濃度差を限界電
流で感知できることがわかる。電極表面の活性度の違い
により、酸素の拡散を異ならせ、片方の電極(カソー
ド)に酸素の拡散を抑制する抵抗板が付加されているの
と同等の効果をもたらす。アノードとカソードが異種の
電極材料で構成された本発明の酸素センサーが、酸素拡
散抵抗板を不要にし、簡便かつ低コストな酸素センサー
を提供できることがわかる。また、本実施例では、アノ
ードに白金、カソードに金を用いた事例を示している
が、アノードに銀、カソードに金を用いてもよい。
【0025】[実施例7]本実施例はアノードまたはカ
ソードの少なくとも一方に銀または銀を主成分とする材
料を用いた酸素センサーの例である。実施例4と同様に
して、センサー部の固体電解質に大きさ10mm×10
mm、厚さ0.5mmのイットリウム8モル%を含む安
定化ジルコニア焼結体を用いた。この固体電解質の両面
に、銀微粉末をテルピネオールでペースト状にしたフリ
ットレスAgペーストを塗布し、800℃で1時間焼き
つけてアノード、カソードを形成した。カソード側に、
大きさ10mm×10mm、厚さ0.5mmのフォルス
テライト板からなる酸素拡散抵抗板を、2mmのガス取
り込み口を残してガラス5で封着した。
【0026】このときの電極の界面抵抗を交流インピー
ダンス法により測定し、従来の白金電極の場合と比較し
た。800℃、700℃では顕著な界面抵抗の差は見ら
れなかったが、600℃以下で差が増大していくことが
わかった。500℃での白金電極、銀電極各々のコール
・コールプロットの結果を図11に示す。図11の縦軸
は抵抗(嘘数)を表し、横軸は抵抗(実数)を表す。図
11から明らかなように、銀電極の方が界面抵抗が小さ
いことがわかる。また、室温→500℃→室温のヒート
サイクルを1000時間で200回繰り返して寿命特性
を調べてみたところ、白金電極では界面抵抗が7%増加
したのに対して、銀電極では1%程度であった。このよ
うに、ジルコニア系固体電解質に対して白金電極より銀
電極の方が界面抵抗が小さく、高感度、かつ長期に渡る
安定性に優れていることが明かである。また、固体電解
質にBaCe0.8Gd0.23-α焼結体を用いた場合も、
同様な結果が得られており、白金電極より銀電極の方が
優れていることがわかる。
【0027】なお、実施例4〜7では、固体電解質にB
aCe0.8Gd0.23-α、BaCe0.8Dy0.23-α、
ジルコニア系固体電解質などを用いた事例を示したが、
BaCe0.80.23-αやBaCe0.8Tb0.23-αな
どを用いても良い。この他セリア系、ハフニア系、ビス
マス系などこの種限界電流式酸素センサーに用いられて
いる固体電解質を用いることができる。もちろん、事例
で用いられている白金や銀、金の電極は、他の成分との
混合物でも良い。また、電解質、混合伝導体の合成や製
造法も、塗布法、蒸着法、スパッタ法、C.V.D法な
どを用いても良い。
【0028】[実施例8]本実施例では、酸化物にプロ
トンと酸化物イオンの混合イオン伝導体であるBaCe
0.8Nd0.23-αを用いている。酸化物のサイズは、大
きさ5mm×15mm、厚さ0.4mmで、酸化物の一
方の面に一対の銀電極を取り付けてある。センサの構成
は、電極以外は、実施例3と同じである。このセンサ素
子を300〜500℃の温度に保ち、各酸素濃度の被検
ガスを流し、センサの特性を調べた。図12に本実施例
および実施例3のセンサーの500℃における特性を示
す。図12から、電極として銀を用いても白金を用いた
センサと同等の性能を有することが分かる。本実施例で
は、電解質にはプロトンと酸化物イオンの混合イオン伝
導体であるBaCe0.8Nd0.23-αを用いたが、もち
ろんプロトンと酸化物イオンの混合イオン伝導体であれ
ば、置換元素や置換量を変えたBaCe0.9Gd0.13-
α、BaCe0.90.13-α等を用いることもできる。
また、一対の電極についても同一のものである必要はな
く、電極材料に関してもPt、Agの他、Auなどを使
用することもできる。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、高感度で信頼性が高
く、かつ、小型、簡便、低コストな酸素センサーを実現
できる。本発明の酸素センサーは、特に低温200℃付
近での酸素濃度の検知に優れ、エンジンやストーブなど
の燃焼機器の燃焼制御(リーンバーン)用の酸素濃度検
知機として小型、簡便、低コストを実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例2における酸素センサーの縦断
面図である。
【図2】同酸素センサーの酸素分圧と電気抵抗の関係を
示す図である。
【図3】実施例3における酸素センサーの縦断面図であ
る。
【図4】同酸素センサーの酸素分圧と電気抵抗の関係を
示す図である。
【図5】実施例4における限界電流式酸素センサーの縦
断面図である。
【図6】同酸素センサーの平面図である。
【図7】実施例4のセンサーとジルコニア式センサーの
500℃における電流ー電圧特性の比較を示す図であ
る。
【図8】実施例4のセンサーとジルコニア式センサーの
200℃における電流ー電圧特性の比較を示す図であ
る。
【図9】実施例5のセンサーの700℃における電流ー
電圧特性を示す図である。
【図10】実施例6のセンサーの500℃における電流
ー電圧特性を示す図である。
【図11】実施例7のセンサーの500℃における白金
電極、銀電極各々のコール・コールプロットを示す図で
ある。
【図12】実施例8における酸素センサーの酸素分圧と
電気抵抗の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鶴田 邦弘 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 伊藤 信久 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バリウムセリウム系酸化物の層、前記の
    層の同じ表面または異なる表面に形成されたアノードお
    よびカソードよりなる酸素センサー。
  2. 【請求項2】 前記酸化物が、少なくとも一種の希土類
    元素を第3元素として含む請求項1記載の酸素センサ
    ー。
  3. 【請求項3】 前記酸化物が、式BaCe1ーxx3-α
    (式中Mは、La、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、G
    d、Tb、Dy、Ho、Er、YおよびYbよりなる群
    から選択される少なくとも一種の希土類元素、0.16
    ≦x≦0.23、0<α<1)で表される酸化物である
    請求項2記載の酸素センサー。
  4. 【請求項4】 MがGdである請求項3記載の酸素セン
    サー。
  5. 【請求項5】 前記酸化物が、プロトンおよび酸化物イ
    オンよりなる群から選択される少なくとも一種のイオン
    の伝導体であり、前記アノードとカソードとの間の酸化
    物の電気伝導度の変化により酸素濃度を検出する請求項
    1記載の酸素センサー。
  6. 【請求項6】 前記アノードとカソードとが前記酸化物
    層の同じ表面に設けられている請求項5記載の酸素セン
    サー。
  7. 【請求項7】 前記酸化物が固体電解質であり、前記両
    電極間に一定電圧を印加したときの出力電流の変化によ
    り酸素濃度を検出する請求項1記載の酸素センサー。
  8. 【請求項8】 さらに、前記カソード側の固体電解質へ
    の酸素の拡散を抑制する手段を有する請求項7記載の酸
    素センサー。
  9. 【請求項9】 アノードおよびカソードの少なくとも一
    方が銀または銀を主成分とする材料からなる請求項7ま
    たは8記載の酸素センサー。
  10. 【請求項10】 固体電解質層、前記固体電解質層の同
    じ表面または異なる表面に形成されたカソードおよびア
    ノードを具備し、前記カソードが、電子(ホール)とイ
    オンの混合伝導体である酸素センサー。
  11. 【請求項11】 前記混合伝導体が、90%を超える真
    密度の緻密体である請求項10記載の酸素センサー。
  12. 【請求項12】 固体電解質層、前記固体電解質層の同
    じ表面または異なる表面に形成されたカソードおよびア
    ノードを具備し、前記アノードが白金、銀またはいずれ
    か一方を主成分とする材料からなり、前記カソードが金
    または金を主成分とする材料からなる酸素センサー。
  13. 【請求項13】 固体電解質層、前記固体電解質層の同
    じ表面または異なる表面に形成されたカソードおよびア
    ノードを具備し、前記アノードが銀または銀を主成分と
    する材料からなり、前記カソードが白金または白金を主
    成分とする材料からなる酸素センサー。
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