JP4100984B2 - 水素センサー及び水素濃度の検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
水素を高感度で検出するセンサーとして、光学式、接触燃焼式、半導体式、起電力式、電流検出式(電池型)、水素吸着や水素吸蔵特性を利用した圧変化型機械式、MOS型キャパシタ式等の各方式のセンサーが開発されており、それぞれの特性を活かして多様な用途に使い分けられている。例えば、ガス漏れの検知には、TiO2、SnO2等の材料を用いた半導体式が一般に用いられている。また、工業用や燃焼機器のガス漏れ、温度制御には接触燃焼式が一般に用いられている。
【0003】
また、近年ではAl等の高温溶融溶液中で水素の検出が可能な水素センサーとして、プロトン伝導体であるSrCeYO3等を用いたものが開発されている。
【0004】
また、水素センサーと同様に可燃ガスを検出する炭化水素センサーとして、固体電解質に、酸化物イオン(酸化物イオンは、O2-の他、MO-、MxOyα―等で表わされる)の伝導体であるカルシウムジルコニウム系酸化物を用いたものが知られている。このセンサーは、構成が単純でありながら水素選択性に優れるという特徴がある。例えば、Pd−Au電極を用いた起電力式センサー(名古屋大学、’95電気化学協会春季大会要旨集参照)、また多孔質アルミナを拡散律速層に用いた限界電流検出式センサー(トヨタ中研、’96化学センサー学会秋季大会要旨集参照)はよく知られている。
【0005】
このように、固体電解質に使用するイオン伝導体として、SrCeO3系酸化物、CaZrO3系酸化物等のプロトン伝導体や、ジルコニア、セリア等の酸化物イオン伝導体が用いられ、各種の高感度、高水素選択性を備えた水素センサーの提案がなされてきている。
【0006】
しかし、安価で、水素選択性に富み、高濃度域まで測定できる水素センサーは未だ開発されていない。例えば、光学式は精密な分析には適するが、高価である。
【0007】
また、接触燃焼式や半導体式は、比較的安価で長期測定時の信頼性も高いが、CO等直接測定の対象としない還元性ガスとも反応するため水素選択性が悪く、%オーダーの高濃度の検出には適さない。さらに、半導体式では、使用する半導体材料に触媒活性な材料を混合させて水素選択性を高めているが、高濃度域の測定には適さない。
【0008】
また、固体電解質に酸化物イオン伝導体であるカルシウムジルコニウム系酸化物を用いた起電力式や電流検出式では、イオン伝導体の特性によって、水素濃度の検出精度が左右される問題があった。さらに、イオン伝導体のプロトン伝導性が小さく(600℃で約5×10-4S/cm)、水素濃度の検出精度が低い欠点があり、このため、起電力式では、水素濃度検出時のセンサーの温度を700℃以上の高温に設定する必要があり、電流検出式では、固体電解質の薄膜化を実現する必要があった。また、圧力変化型機械式やMOS型キャパシタ式は、検出の応答性に劣り、実用的価値が低いものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
現在、住環境における水素の検出、燃料電池から漏れる水素の選択的検出、室温の空気に含まれる水素の検出、又は密閉室内の水素の濃度の検出を行う水素センサーが求められている。特に、燃料電池や水素使用機器の制御用として、安価で、水素選択性に富み、応答性が良く、高濃度域の水素濃度まで簡便に検出できる水素センサーが望まれているが、前述したとおり、これらの要求を十分に満たす水素センサーは未だ得られていない。
【0010】
本発明の目的は、安価であり、さらに水素選択性や検出の応答性も良好であって、高濃度域の水素の測定ができる水素センサーを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の水素センサーは、プロトンと酸化物イオンを伝導するイオン伝導体を含む固体電解質と、前記固体電解質の表面に形成された第1及び第2の電極とを備え、前記第1及び第2の電極間に電圧を印加したときに前記第1及び第2の電極間に流れる電流を測定することにより水素濃度を検出するように構成される。前記イオン伝導体は、一般式、BaCe 1-X-Y L X M Y O 3- α(ここで、Lは4価の元素、Mは3価の元素、0<X<1、0<Y<1、αは、酸素の欠損を示す)で表されるバリウムセリウム系酸化物である。前記イオン伝導体の酸化物イオンの伝導度C O 及びプロトンの伝導度C H と、前記イオン伝導体の導電率T(S/cm)が、300℃〜450℃の温度範囲において、T・C O /(C O +C H )≦2.7×10 -3 (S/cm)の関係を満たす。水素濃度検出時のセンサーの温度が300℃〜450℃の温度範囲に制御され、前記第1及び第2の電極間に印加される電圧によって前記固体電解質内に形成される電解電界強度が1.11V/mm以下である。
【0013】
本発明の水素濃度の検出方法は、プロトンと酸化物イオンを伝導するイオン伝導体を含む固体電解質と、前記固体電解質の表面に形成された第1及び第2の電極とを備えた水素センサーを、水素濃度を検出すべき雰囲気中に配置し、前記水素センサーの温度を制御し、前記第1及び第2の電極間に電圧を印加して、前記第1及び第2の電極間に流れる電流を測定することにより水素濃度を検出する方法である。前記イオン伝導体は、一般式、BaCe 1-X-Y L X M Y O 3- α(ここで、Lは4価の元素、Mは3価の元素、0<X<1、0<Y<1、αは、酸素の欠損を示す)で表されるバリウムセリウム系酸化物である。前記イオン伝導体の酸化物イオンの伝導度C O 及びプロトンの伝導度C H と、前記イオン伝導体の導電率T(S/cm)が、300℃〜450℃の温度範囲において、T・C O /(C O +C H )≦2.7×10 -3 (S/cm)の関係を満たす。前記水素センサーの温度を300℃〜450℃の温度範囲に制御し、前記第1及び第2の電極間に印加される電圧を、前記固体電解質内に形成される電解電界強度が1.11V/mm以下となるように制御する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の水素センサーによれば、安価であり、さらに水素選択性や検出の応答性も良好であって、高濃度域の水素の測定ができる水素センサーが提供される。
【0015】
本発明の水素センサーにおいて、前記第1及び第2の電極間に印加される電圧によって前記固体電解質内に形成される電解電界強度を、水素濃度検出時のセンサーの温度に応じて可変するとことが好ましい。
【0016】
また、本発明の水素センサーは、前記水素濃度検出時の前記電解電界強度が、0.044〜1.11V/mmの範囲に制御されることが好ましい。また、前記第1及び前記第2の電極が、白金、金、銀、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む構成とすることができる。
【0017】
また、本発明の水素濃度の検出方法において、前記第1及び第2の電極間に印加される電圧によって前記固体電解質内に形成される電解電界強度を、水素濃度検出時のセンサーの温度に応じて可変とすることが好ましい。
【0018】
また、本発明の水素濃度の検出方法において、前記水素濃度検出時の前記電解電界強度を、0.044〜1.11V/mmの範囲に制御することが好ましい。また、前記第1及び前記第2の電極が、白金、金、銀、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む構成とすることができる。
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1(a)に、本実施の形態における水素センサー10の断面構成を示し、図1(b)に、その動作の概略を示す。11は、固体電解質であり、プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)を伝導するイオン伝導体からなる。固体電解質11の表面には、固体電解質11にイオンを伝導させるための第1の電極12と第2の電極13がそれぞれ形成され、その下面には、固体電解質11を加熱するためのヒータ14が備えられている。ヒータ14は、例えば、パターニングされた白金焼結体で形成することができる。
【0021】
水素センサー10は、いわゆる電流検出式のセンサーであり、第1の電極12と第2の電極13の間に一定電圧が印加され、第1の電極12と第2の電極13の間を酸化物イオンの伝導による電流が定常的に流れており、これに、プロトンによる電流が加わり変化した電流値を測定して、被測定ガスの水素濃度の検出が行われる。
【0022】
固体電解質11には、バリウムとセリウムを含む酸化物、例えばバリウムセリウム系酸化物を使用することができる。バリウムセリウム系酸化物は、その他、ジルコニウム、ガドリニウム、イッテルビウム、及びインジウムからなる群から選ばれた少なくとも1つの元素を含んでいても良い。このようなバリウムセリウム系酸化物の具体例としては、BaZr0.4Ce0.4In0.2O3-α、BaZr0.6Ce0.2Gd0.2O3-α、BaCe0.8Gd0.2O3-α、BaZr0.4Ce0.4Gd0.2O3-α、BaZr0.4Ce0.4Yb0.2O3-α、BaZr0.2Ce0.65Gd0.15O3 -α、BaCe0.9Gd0.1O3-α、BaZr0.5Ce0.3Gd0.2O3-α、BaZr0.6Ce0.2Nd0.2O3-α、BaZr0.2Ce0.65In0.15O3-α、BaCe0.85Gd0.15O3-α、BaZr0.52Ce0.24Gd0.24O3-α、BaZr0.6Ce0.2Y0.2O3-α、BaZr0.3Ce0.5In0.2O3-α、BaZr0.56Ce0.24Gd0.2O3-α、BaZr0.3Ce0.5In0.2O3-α(ここで、αは、酸素の欠損を示す。)等の各焼結体が挙げられる。これらは、一般式、BaCe1-X-YLXMYO3-α(ここで、Lは4価の元素、Mは3価の元素、0≦X<1、0≦Y<1、α=1/2Yである。)で表すことができる。また、元素Lとしては、Zr又はHf、元素Mとしては、希土類元素がそれぞれ挙げられる。
【0023】
また、第1の電極12と第2の電極13は、水素の酸化反応に対して触媒作用を有する材料からなり、かつ、同種の材料からなる。具体的には、白金、金、銀、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む金属が使用でき、例えば、白金、金、銀、パラジウム、又はルテニウムの純粋金属が使用できる。また、第1の電極12と第2の電極13は、金属ペーストの焼成、スパッタリング等の物理的方法、又はCVD(化学気相成長法)によって形成することができる。
【0024】
本実施の形態の水素センサー10において、第1の電極12をカソードとし、第2の電極13をアノードとして、両者間に一定電圧を印加すると、被測定ガスに含まれる水素は、第2の電極13において解離してプロトンとなり、固体電解質11を伝導し、第1の電極12で水素又は水となって放出される。一方、被測定ガスに含まれる酸素は、第1の電極12で分解して酸化物イオンとなり、固体電解質11を伝導し、第2の電極13で水素又は水となって放出される。こうして、図1(b)に示すように、固体電解質11をプロトンと酸化物イオンの形で電荷が移動し、電流が流れる。
【0025】
ここで、第1の電極12と第2の電極13に使用する材料を適宜変更することによって、水素濃度の変化に応じて変化する電流の大きさを変えることができる。電流の変化は、以下の2つの場合に分けられる。即ち、酸化物イオンの伝導による電流が定常的に流れているときに、プロトンの伝導による電流が加わり、電流値が増加する場合と、同じく酸化物イオンの伝導による電流が定常的に流れているときに、カソード側で水素が触媒によって酸化され、酸化物イオンの伝導が減少し、電流値が減少する場合である。
【0026】
以下、本実施の形態による水素センサー10によって、空気の水素濃度を測定した結果について説明する。ここでは、固体電解質11として、BaZr0.4Ce0.4In0.2O3-α焼結体とBaZr0.6Ce0.2Gd0.2O3-α焼結体を用いた。固体電解質11の大きさは、10mm角、厚さ0.5mmとした。また、第1の電極12と第2の電極13は、白金ペーストを焼成して形成した。
【0027】
図2に、固体電解質11としてBaZr0.4Ce0.4In0.2O3-α焼結体とBaZr0.6Ce0.2Gd0.2O3-α焼結体を用いた場合のそれぞれにおいて、固体電解質11の導電率T(S/cm)に酸化物イオンとプロトンの伝導度比CO/(CO+CH)を乗じた値T・CO/(CO+CH)(S/cm)と温度(℃)との関係を示す(CO:酸化物イオンの伝導度(S/cm)、CH:プロトンの伝導度(S/cm))。この結果より、いずれの材料においても、温度の上昇に伴って、T・CO/(CO+CH)の値が増加することが判る。
【0028】
図3に、被測定ガスとして10vol%の酸素を含む空気を用い、T・CO/(CO+CH)≦2.7×10-3(S/cm)の場合における、第1の電極12と第2の電極13との間を流れる電流値と、被測定ガスの水素濃度との関係を示す。このようにプロトンの伝導度が、酸化物イオンの伝導度に比して大きい場合は、プロトンの伝導による電流値の増加が支配的となり、水素濃度の上昇に伴い、電流値が増加する。
【0029】
また、図4に、被測定ガスとして10vol%の酸素を含む空気を用い、T・CO/(CO+CH)≧3.2×10-3(S/cm)の場合における、第1の電極12と第2の電極13との間を流れる電流値と、被測定ガスの水素濃度との関係を示す。このようにプロトンの伝導度が、酸化物イオンの伝導度に比して小さい場合は、酸化物イオンの伝導による電流の減少が支配的となり、水素濃度の上昇に伴い、電流が減少する(図2の横軸の温度、及び図3と図4のグラフに示した温度は、水素濃度検出時のセンサーの温度を示す)。また、応答性も、最終電流値の90%に達する時間が約10秒と良好であった。
【0030】
以上のように、水素センサー10においては、固体電解質の種類や雰囲気温度によらず、T・CO/(CO+CH)によって、被測定ガスの水素濃度の上昇に対応して、検出される電流値が増加するか、又は減少するかが決定される。
【0031】
さらに、本実施の形態において、他種のガスの混在による影響を調べるため、メタン、エタン、プロパン、ブタン、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化炭素、室温飽和水蒸気を各2vol%被測定ガスに添加し、電流値の増減を観察したところ、雰囲気温度が600℃以下では、電流値の変動はほとんど見られず、その測定状態は極めて安定していた。
【0032】
本実施の形態の水素センサー10によれば、応答性と水素選択性に優れ、空気中において酸素の共存下、0〜5vol%の高濃度域の水素濃度を安定かつ容易に検出することができる。また、水素センサー10は、構造が簡単なため、価格も安価となり、その信頼性も高いものとなる。
【0033】
(実施の形態2)
図5(a)に、本実施の形態における水素センサー20の断面構成を示し、図5(b)に、その動作の概略を示す。11は、固体電解質であり、プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)を伝導するイオン伝導体からなる。固体電解質11の表面には、固体電解質11にイオンを伝導させるための第1の電極21と第2の電極22がそれぞれ形成され、その下面には、固体電解質11を加熱するためのヒータ14が備えられている。ヒータ14は、例えば、パターニングされた白金焼結体で形成することができる。
【0034】
水素センサー20は、実施の形態1における水素センサー10と同様、いわゆる電流検出式のセンサーである。固体電解質11には、実施の形態1の水素センサー10と同様のバリウムとセリウムを含む酸化物、例えばバリウムセリウム系酸化物が使用できる。
【0035】
また、第1の電極21は、酸素のイオン化を防止する機能を有する材料からなる。具体的には、アルミニウム、銅、及びニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む金属が使用でき、例えば、アルミニウム、銅、又はニッケルの純粋金属が使用できる。この場合、電極の表面は、自然酸化によって酸化された状態となる。第1の電極21には、これら元素の他、PdやAuを含む混合物や合金を使用することもできる。また、第2の電極22は、白金、金、銀、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む金属が使用でき、例えば、白金、金、銀、パラジウム、又はルテニウムの純粋金属が使用できる。また、第1の電極21と第2の電極22は、金属ペーストの焼成、スパッタリング等の物理的方法、又はCVD(化学気相成長法)によって形成することができる。
【0036】
本実施の形態の水素センサー20において、第1の電極21をカソードとし、第2の電極22をアノードとして、両者間に一定電圧を印加すると、被測定ガスに含まれる水素は、第2の電極22において解離してプロトンとなり、固体電解質11を伝導し、第1の電極21で水素又は水となって放出される。一方、被測定ガスに含まれる酸素は、第1の電極21において分解して酸化物イオンとなり、固体電解質11を伝導し、第2の電極22で水素又は水となって放出される。こうして、図5(b)に示すように、固体電解質11をプロトンと酸化物イオンの形で電荷が移動し、電流が流れる。
【0037】
ここで、第1の電極21は、酸素のイオン化を防止する動作を有する材料からなるため、酸素は、第1の電極21においてイオン化されず、実質的に酸化物イオンに基づく電流は流れない。このため、水素センサー20においては、第1の電極21において酸素と結びついて電流値を変動させる水素の影響が小さくなり、空気に含まれる高濃度の水素をより選択的に検出することができる。
【0038】
以下、本実施の形態による水素センサー20によって、被測定ガスの水素濃度を測定した結果について説明する。ここでは、固体電解質11として、BaZr0.4Ce0.4In0.2O3-α焼結体とBaZr0.6Ce0.2Gd0.2O3-α焼結体を用いた。固体電解質11の大きさは、10mm角、厚さ0.5mmとした。また、第1の電極21は、アルミニウムと金との混合物で形成し、第2の電極22は、白金ペーストを焼成して形成した。
【0039】
また、被測定ガスとして、1リットル/minで流した窒素と酸素の混合ガス(酸素:20vol%)に、0〜10vol%の水素を1リットル/minで添加したものを用いた。
【0040】
図6に、水素センサー20の第1の電極21と第2の電極22の間を流れる電流値と、被測定ガスの水素濃度との関係を示す。ここでは、ヒータ14によって固体電解質11を加熱し、センサーの温度を種々変えて測定した(図6のグラフに示した温度は、水素濃度検出時のセンサーの温度を示す)。
【0041】
図6から明らかなように、約20vol%の酸素を含む空気中、センサー温度が600〜750℃の状態で、0〜5vol%の高濃度域の水素濃度を安定して検出することができた。また、応答性も、最終電流値の90%に達する時間が約10秒と良好であった。
【0042】
さらに、本実施の形態において、他種のガスの混在による影響を調べるため、メタン、エタン、プロパン、ブタン、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化炭素、室温飽和水蒸気を各2vol%被測定ガスに添加し、電流値の増減を観察したところ、雰囲気温度が600℃以下では、電流値の変動はほとんど見られず、その測定状態は極めて安定していた。
【0043】
本実施の形態の水素センサー20によれば、応答性と水素選択性に優れ、空気中、酸素の共存下、0〜5vol%の高濃度域の水素濃度を安定かつ容易に検出することができる。また、水素センサー20は、構造が簡単なため、価格も安価となり、その信頼性も高いものとなる。
【0044】
(実施の形態3)
図7(a)に、本実施の形態における水素センサー30の構成図を示し、図7(b)に、その動作の概略を示す。11は、固体電解質であり、プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)を伝導するイオン伝導体からなる。固体電解質11の表面には、固体電解質11にイオンを伝導させるための第1の電極31と第2の電極32がそれぞれ形成され、その下面には、固体電解質11を加熱するためのヒータ14が備えられている。ヒータ14は、例えば、パターニングされた白金焼結体で形成することができる。
【0045】
水素センサー30は、いわゆる起電力式のセンサーであり、第1の電極31と第2の電極32の間の起電力を測定することによって、被測定ガスの水素濃度の検出を行うものである。固体電解質11には、実施の形態1〜2の水素センサーと同様のバリウムとセリウムを含む酸化物、例えばバリウムセリウム系酸化物が使用できる。
【0046】
また、第1の電極31は、酸素のイオン化を防止する動作を有する材料からなる。具体的には、アルミニウム、銅、及びニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む金属が使用でき、例えば、アルミニウム、銅、又はニッケルの純粋金属が使用できる。この場合、電極の表面は、自然酸化によって酸化された状態となる。第1の電極31には、これら元素の他、PdやAuを含む混合物や合金を使用することもできる。また、第2の電極32は、水素の酸化反応に対して触媒作用を有する材料からなる。具体的には、白金、金、銀、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む金属が使用でき、例えば、白金、金、銀、パラジウム、又はルテニウムの純粋金属が使用できる。
また、第1の電極31と第2の電極32は、金属ペーストの焼成、スパッタリング等の物理的方法、又はCVD(化学気相成長法)によって形成することができる。
【0047】
本実施の形態の水素センサー30において、第1の電極31は、酸素のイオン化を防止する動作を有する材料からなるため、第1の電極31上では、水素が周囲の酸素と反応して水となる。一方、第2の電極32は、水素の酸化反応に対して触媒作用を有するため、水素と酸素との反応が起こりにくく、水の発生が少ない。このため、第1の電極31と第2の電極32との間で、水蒸気の濃度が高い電極側から、水蒸気の濃度が低い電極側にプロトンが伝導するため、水蒸気の濃度差に基づく起電力が生じる。本実施の形態の水素センサー30では、この原理を利用して、図7(b)に示すように、第1の電極31と第2の電極32の間の起電力を測定することによって、被測定ガスの水素濃度の検出を行うことができる。
【0048】
以下、本実施の形態による水素センサー30によって、被測定ガスの水素濃度を測定した結果について説明する。ここでは、固体電解質11として、BaZr0.4Ce0.4In0.2O3-α焼結体とBaZr0.6Ce0.2Gd0.2O3-α焼結体を用いた。固体電解質11の大きさは、10mm角、厚さ0.5mmとした。また、第1の電極31は、アルミニウムと金との混合物で形成し、第2の電極32は、白金ペーストを焼成して形成した。
【0049】
また、被測定ガスとして、1リットル/minで流した窒素と酸素の混合ガス(酸素:20vol%)に、0〜6vol%の水素を1リットル/minで添加したものを用いた。図8に、水素センサー30の第1の電極31と第2の電極32との間を流れる電流値と、被測定ガスの水素濃度との関係を示す。ここでは、ヒータ14によって固体電解質11を加熱し、センサーの温度を種々変えて測定した(図8のグラフに示した温度は、水素濃度検出時のセンサーの温度を示す)。
【0050】
図8から明らかなように、約20vol%の酸素を含む空気中、センサー温度が350〜500℃の状態で、0〜3vol%の高濃度域の水素濃度を検出することができた。また、応答性も、最終電流値の90%に達する時間が約10秒と良好であった。また、300〜350℃の比較的低温条件においても安定して水素濃度を検出できた。
【0051】
さらに、本実施の形態において、他種のガスの混在による影響を調べるため、メタン、エタン、プロパン、ブタン、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化炭素、室温飽和水蒸気を各2vol%被測定ガスに添加し、電流値の増減を観察したところ、雰囲気温度が500℃以下では、電流値の変動はほとんど見られず、その測定状態は極めて安定していた。
【0052】
本実施の形態の水素センサー30によれば、応答性と水素選択性に優れ、空気中、酸素の共存下、比較的低温条件においても、0〜3vol%の高濃度域の水素濃度を安定かつ容易に検出することができる。また、水素センサー30は、構造が簡単なため、価格も安価となり、その信頼性も高いものとなる。
【0053】
(実施の形態4)
図9(a)に、本実施の形態における水素センサー40の断面構成を示し、図9(b)に、その動作の概略を示す。11は、固体電解質であり、プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)を伝導するイオン伝導体からなる。固体電解質11の上下面には、固体電解質11にイオンを伝導させるための第1の電極41と第2の電極42が対向して形成されている。43は、第2の電極42に到達する水素の量を制限する制御手段であって、フォルステライト基板43aとガラス43bからなり、これらによって、第2の電極42を蔽うように形成されている。ガラス43bには、貫通孔43hが形成されており、ここから、第2の電極42に水素を含む被測定ガスが導入される。なお、制御手段43の構成はこれに限られるものではなく、第2の電極42に到達する水素の量を制限しうるものであればその他の構成でも良い。ガラス43bの下面には、固体電解質11を加熱するためのヒータ14が備えられている。ヒータ14は、例えば、パターニングされた白金焼結体で形成することができる。
【0054】
本実施の形態の水素センサー40は、いわゆる限界電流式のセンサーである。このセンサーにおいては、第1の電極41と第2の電極42の間に一定電圧が印加され、第1の電極41と第2の電極42の間を酸化物イオンの伝導による電流が定常的に流れている。ここで、制御手段43によって、貫通孔43hを通過する水素が制限され、当該水素の量と、固体電解質11を通過し、第2の電極42から排出される水素の量とが平衡に達する。この平衡時の水素の量は、被測定ガスの水素濃度とほぼ比例する。また、平衡時に、第1の電極41と第2の電極42との間を流れる限界電流は、平衡時の水素の量とほぼ比例する。したがって、限界電流を測定することで、被測定ガスの水素濃度が精確に検出される。
【0055】
固体電解質11には、実施の形態1〜3の水素センサーと同様のバリウムとセリウムを含む酸化物、例えばバリウムセリウム系酸化物が使用できる。また、第1の電極41と第2の電極42は、水素の酸化反応に対して触媒作用を有する材料からなり、かつ、同種の材料からなる。具体的には、白金、金、銀、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む金属が使用でき、例えば、白金、金、銀、パラジウム、又はルテニウムの純粋金属が使用できる。第1の電極41と第2の電極42は、金属ペーストの焼成、スパッタリング等の物理的方法、又はCVD(化学気相成長法)によって形成することができる。
【0056】
本実施の形態の水素センサー40において、第1の電極41をカソードとし、第2の電極42をアノードとして、両者間に一定電圧を印加すると、固体電解質11をプロトン及び酸化物イオンの形で電流が流れる。即ち、このとき、図9(b)に示すように、被測定ガスに含まれる水素は、第2の電極42において解離してプロトンとなり、固体電解質11を伝導し、第1の電極41で水素又は水となって放出され、一方、被測定ガスに含まれる酸素は、第1の電極41で分解して酸化物イオンとなり、固体電解質11を伝導し、第2の電極42で水素又は水となって放出される。
【0057】
以下、本実施の形態による水素センサー40によって、被測定ガスの水素濃度を測定した結果について説明する。ここでは、固体電解質11として、BaZr0.56Ce0.24In0.2O3-α焼結体を用いた。固体電解質11の大きさは、10mm角、厚さ0.5mmとした。また、第1の電極41と第2の電極42は、白金ペーストを焼成して形成した。
【0058】
また、被測定ガスとして、1リットル/minで流した窒素と酸素の混合ガス(酸素:20vol%)に、0〜10vol%の水素を1リットル/minで添加したものを用いた。図10に、水素センサー40の第1の電極41と第2の電極42との間を流れる電流値と、被測定ガスの水素濃度との関係を示す。ここでは、ヒータ14によって固体電解質11を加熱し、センサーの温度を600℃として測定した(図10のグラフに示した温度は、水素濃度検出時のセンサーの温度を示す)。
【0059】
図10から明らかなように、約20vol%の酸素を含む空気中、0〜5vol%の高濃度域の水素濃度を検出することができた。また、限界電流が検知されたことから、水素濃度に対する電流の傾きが上昇し、水素濃度の検出精度が向上した。また、応答性も、最終電流値の90%に達する時間が約2秒と非常に良好であった。
【0060】
さらに、本実施の形態において、他種のガスの混在による影響を調べるため、メタン、エタン、プロパン、ブタン、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化炭素、室温飽和水蒸気を各2vol%被測定ガスに添加し、電流値の増減を観察したところ、雰囲気温度が600℃以下では、電流値の変動はほとんど見られず、その測定状態は極めて安定していた。
【0061】
本実施の形態の水素センサー40によれば、応答性と水素選択性に優れ、空気中、酸素の共存下、0〜5vol%の高濃度域の水素濃度を安定かつ容易に検出することができる。また、水素センサー40は、構造が簡単なため、価格も安価となり、その信頼性も高いものとなる。
【0062】
(実施の形態5)
図11(a)に、本実施の形態における水素センサー50の断面構成を示し、図11(b)に、その動作の概略を示す。11は、固体電解質であり、プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)を伝導するイオン伝導体からなる。固体電解質11の上下面には、それぞれ固体電解質11にイオンを伝導させるための第1の電極51と第2の電極52が対向して形成されている。43は、第2の電極52に到達する水素の量を制限する制御手段であって、フォルステライト基板43aとガラス43bからなり、これらによって、第2の電極52を蔽うように形成されている。ガラス43bには、貫通孔43hが形成されており、ここから、第2の電極52に水素を含む被測定ガスが導入される。なお、制御手段43の構成はこれに限られるものではなく、第2の電極52に到達する水素の量を制限しうるものであればその他の構成でも良い。ガラス43bの下面には、固体電解質11を加熱するためのヒータ14が備えられている。ヒータ14は、例えば、パターニングされた白金焼結体で形成することができる。
【0063】
本実施の形態の水素センサー50は、実施の形態4における水素センサー40と同様、いわゆる限界電流式のセンサーである。固体電解質11には、実施の形態1〜4の水素センサーと同様のバリウムとセリウムを含む酸化物、例えばバリウムセリウム系酸化物が使用できる。また、第1の電極51と第2の電極52の少なくとも一方は、酸素のイオン化を防止する機能を有する材料からなる。具体的には、アルミニウム、銅、及びニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む金属を使用することができ、例えば、アルミニウム、銅、又はニッケルの純粋金属が使用できる。この場合、電極の表面は、自然酸化によって酸化された状態となる。第1の電極51には、これら元素の他、PdやAuを含む混合物や合金を使用することもできる。
【0064】
本実施の形態では、第1の電極51に酸素のイオン化を防止する機能を有する材料を用いたが、第2の電極52にこの材料を使用することもできる。第1の電極51に酸素のイオン化を防止する機能を有する材料を用いる場合、第2の電極52は、導電性が高い材料で形成できる。例えば、水素の酸化反応に対して触媒作用を有する材料で形成することが好ましい。具体的には、白金、金、銀、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む金属が使用でき、例えば、白金、金、銀、パラジウム、又はルテニウムの純粋金属が使用できる。第1の電極51と第2の電極52は、金属ペーストの焼成、スパッタリング等の物理的方法、又はCVD(化学気相成長法)によって形成することができる。
【0065】
本実施の形態の水素センサー50において、第1の電極51をカソードとし、第2の電極52をアノードとして、両者間に一定電圧を印加すると、固体電解質11をプロトン及び酸化物イオンの形で電流が流れる。即ち、このとき、図11(b)に示すように、被測定ガスに含まれる水素は、第2の電極52において解離してプロトンとなり、固体電解質11を伝導し、第1の電極51で水素又は水となって放出され、一方、被測定ガスに含まれる酸素は、第1の電極51で分解して酸化物イオンとなり、固体電解質11を伝導し、第2の電極52で水素又は水となって放出される。
【0066】
水素センサー50では、第1の電極51が、酸素のイオン化を防止する機能を有するため、酸素は、第1の電極51においてイオン化されず、実質的に酸化物イオンは流れない。このため、水素センサー50においては、第1の電極51で酸素と結びついて電流値を変動させる水素の影響が小さくなり、空気に含まれる水素をより選択的に検出することができる。
【0067】
以下、本実施の形態による水素センサー50によって、被測定ガスの水素濃度を測定した結果について説明する。ここでは、固体電解質11として、BaZr0.2Ce0.6In0.2O3-α焼結体を用いた。固体電解質11の大きさは、10mm角、厚さ0.5mmとした。また、第1の電極51は、アルミニウムと金との混合物を用いて形成し、第2の電極52は、白金によって形成した。
【0068】
また、被測定ガスとして、1リットル/minで流した窒素と酸素の混合ガス(酸素:20vol%)に、0〜10vol%の水素を1リットル/minで添加したものを用いた。図12に、水素センサー50の第1の電極51と第2の電極52との間を流れる電流値と、被測定ガスの水素濃度との関係を示す。ここでは、ヒータ14によって固体電解質11を加熱し、センサーの温度を750℃とした(図12のグラフに示した温度は、水素濃度検出時のセンサーの温度を示す)。
【0069】
図12から明らかなように、約20vol%の酸素を含む空気中、0〜5vol%の高濃度域の水素濃度を検出することができた。また、限界電流が検知されたことから、水素濃度に対する電流の傾きが上昇し、水素濃度の検出精度が向上した。また、応答性も、最終電流値の90%に達する時間が約2秒と非常に良好であった。
【0070】
さらに、本実施の形態において、他種のガスの混在による影響を調べるため、メタン、エタン、プロパン、ブタン、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化炭素、室温飽和水蒸気を各2vol%被測定ガスに添加し、電流値の増減を観察したところ、雰囲気温度が600℃以下では、電流値の変動はほとんど見られず、その測定状態は極めて安定していた。
【0071】
本実施の形態の水素センサー50によれば、応答性と水素選択性に優れ、空気中、酸素の共存下、0〜5vol%の高濃度域の水素濃度を安定かつ容易に検出することができる。また、水素センサー50は、構造が簡単なため、価格も安価となり、その信頼性も高いものとなる。
【0072】
(実施の形態6)
図13に、本実施の形態による水素センサーの断面構成とその動作を示す。この水素センサーは、実施の形態1〜2における水素センサー10、20と同様、いわゆる電流検出式のセンサーである。101は固体電解質であり、プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)を伝導するBaZr0.6Ce0.2Gd0.2O3-α焼結体を用いている。また、その大きさは、10mm角、厚さ0.45mmとした。102は白金製のアノード電極であり、103は白金製のカソード電極(電極面積0.5cm2)である。これら電極は、いずれも白金ぺーストの焼き付けにより製造したものである。これら電極は、水素の酸化反応に対して触媒作用を有する。104は、固体電解質101を加熱するためのヒータである。
【0073】
この水素センサーを用い、アノード電極102とカソード電極103に電圧を印加し、その値を適宜変更した。このとき、ヒータ−104の温度を400℃に設定してセンサーの温度を400℃に保ち、空気と、空気と水素の混合ガスを1リットル/minで供給し、それぞれの状態で、センサーの検出状態を観察した。
【0074】
図14に、本実施の形態により、印加電圧をそれぞれ0.6V(1.33V/mm)(()内数値は、固体電解質101の単位厚さ当たりの電位勾配である電解電界強度を示す。以下、同様である。)と0.02V(0.044V/mm)にしたときのセンサー出力の経時変化をグラフ化して示す。図14のグラフにおいて、破線はセンサー出力(μA)を示し、この破線に沿った%表示は、それぞれのセンサー出力(μA)が得られた際の水素の添加量(vol%)を示す。また、実線はそれぞれの印加電圧におけるベース電流、即ち、空気に水素を添加しない状態で、定常的にカソード電極103とアノード電極102との間に流れる電流を示す)。このように、印加電圧が0.02V、電解電界強度が0.044V/mmのときは、印加電圧が0.6V、電解電界強度が1.33V/mmのときと比べ、べ一ス電流は低い値(0.78±0.01μA)で極めて安定し、水素濃度の検出精度は非常に良好になった。
【0075】
また、印加電圧を0.02Vとしたときは、水素を2.0vol%添加し、水素濃度を高めても、べ一ス電流は18±1μAと低い値で安定しており、水素濃度の検出精度は良好なままであった。また、応答性も、最終電流値の90%に達する時間が約2秒と非常に良好であった。
【0076】
また、図示を省略したが、印加電圧が0.01V(0.022V/mm)、0.04V(0.089V/mm)、0.06V(0.13V/mm)、0.1V(0.22V/mm)であるときも、べ一ス電流(μA)はいずれも低い値で安定し、センサー出力(μA)もべ一ス電流(μA)の10倍以上となり、水素濃度の検出精度は良好であった。しかし、印加電圧を0.6V(1.33V/mm)、0.8V(1.78V/mm)、1.0V(2.2V/mm)と上昇させると、これに伴いべ一ス電流も上昇して水素濃度の検出精度が悪化し、センサー出力(μA)のドリフト量も、センサー出力(μA)100%に対して±5%以上となり、センサーの検出状態が不安定になった。
【0077】
この現象の原因は、次のように説明できる。即ち、一般に固体電解質に電圧を印加すると、空気中では主に酸化物イオンが伝導する。ここで印加電圧を高くすると、それに応じてより多くの酸化物イオンに基づく電流が流れる。また、固体電解質のイオン伝導性(抵抗値)は、雰囲気温度や環境のガス濃度に依存して変動する。したがって、印加電圧を高くすると、雰囲気温度や環境のガス濃度に依存して変化する電流量も増えるため、センサー出力(μA)のドリフト量が多くなる。
【0078】
本実施の形態の水素センサーによれば、印加電圧が0.5V以下、即ち、電解電界強度が1.11V/mm以下、好ましくは0.22V/mm以下であることにより、ベース電流(μA)が低い値で安定し、水素濃度の検出精度が高められる。
【0079】
また、通常、高電圧をかけて酸化物イオンを強制的に流すと局部的に酸素が欠乏しセンサーを劣化させる原因となるところ、本実施の形態の水素センサーによれば、印加電圧や電解電界強度が低く抑えられるため、センサーの劣化も有功に防止できる。
【0080】
なお、本実施の形態では、水素濃度検出時のセンサーの温度を400℃としたが、この温度は200〜450℃の範囲であれば良い。
【0081】
(実施の形態7)
本実施の形態における水素センサーは、電流検出式であり、実施の形態6の水素センサーと同様な構成である。この水素センサーを用い、アノード電極102とカソード電極103に電圧を印加し、その値を適宜変更した。このとき、センサーの温度を順次変え、各温度毎に、空気に水素を0〜2.0vol%の範囲で添加した状態で、センサーの検出状態を観察した。ここでは、空気と水素の混合ガスを1リットル/minで供給した。表1にその結果を示す。
【0082】
【表1】
表1において、安定電圧、安定電解電界強度の「安定」とは、ベース電流が5μA(べ一ス電流密度;10μA/cm2)以下の低い値で安定したことを意味する。
【0083】
表1に示すように、本実施の形態によれば、水素濃度検出時のセンサーの温度が300℃以上、250℃近傍、及び200℃近傍のとき、電解電界強度を、各温度に応じて変化させ、それぞれ0.044〜1.11V/mm、0.044〜1.78V/mm、及び2.22〜3.11V/mmの各範囲に設定すると、ベース電流(μA)が安定して、水素濃度の検出精度が高められる。
【0084】
(実施の形態8)
本実施の形態における水素センサーは、電流検出式であり、実施の形態6〜7の水素センサーと同様な構成である。この水素センサーを用い、アノード電極102とカソード電極103に0.02〜1.0Vの範囲で電圧を印加し、その値を適宜変更した。こうして、ベース電流を変えた状態で、空気を1リットル/minで供給し、センサー出力特性を観察した。表2に、空気中でのべ一ス電流密度(μA/cm2)[ベース電流(μA)を電極面積(cm2)で除した値]と、測定をした24時間内のべ一ス電流密度(μA/cm2)のドリフト量(%)の関係を示す。
【0085】
【表2】
表2に示すように、本実施の形態によれば、水素濃度の検出時、べ一ス電流密度が3μA/cm2以下、好ましくは2μA/cm2以下であることにより、べ一ス電流密度のドリフト量が6.2%以下に抑えられ、センサーの検出状態が安定する。
【0086】
この現象の原因は、次のように説明できる。即ち、一般に固体電解質に電圧を印加すると、空気中では主に酸化物イオンが伝導する。ここでベース電流、即ち、固体電解質に定常的に流れる電流量を多くすると、それに応じてより多くの酸化物イオンに基づく電流が流れる。また、固体電解質のイオン伝導性(抵抗値)は、雰囲気温度や環境のガス濃度に依存して変動する。したがって、電極単位面積当たりに流れるベース電流が増えると、雰囲気温度や環境のガス濃度に依存して変化するベース電流量も増えるため、ベース電流密度のドリフト量も多くなる。
【0087】
本実施の形態では、水素濃度検出時のセンサーの温度を350℃としたが、この温度は200〜450℃の範囲であれば良い。
【0088】
なお、実施の形態6〜8では、固体電解質の厚さを0.45mmとしたが、固体電解質の厚さは、印加電圧が低くて済むことからなるべく薄い方が好ましく、実用的範囲としては0.20〜1.00mmが好ましい。
【0089】
また、実施の形態6〜8では、固体電解質にBaZr0.6Ce0.2Gd0.2O3-α焼結体を用いたが、プロトンと酸化物イオンを伝導するバリウムセリウム系酸化物等のイオン伝導体であればその他のイオン伝導体でも良い。例えば、BaZr0.4Ce0.4In0.2O3-α、BaCe0.8Gd0.2O3-α、BaZr0.4Ce0.4Gd0.2O3-α、BaZr0.4Ce0.4Yb0.2O3-α、BaZr0.2Ce0.65Gd0.15O3-αの各焼結体等、実施の形態1〜5で例示したバリウムセリウム系酸化物を使用することもできる。
【0090】
(実施の形態9)
図15に、本実施の形態による水素センサーの概略構成を示す。この水素センサーはいわゆる定電解式固体型のセンサーである。ここで、105は、固体電解質であり、プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)を伝導するBaZr0.4Ce0.4In0.2O3-α焼結体を用いている。また、その大きさは、10mm角、厚さ0.5mmとしている。106は白金ぺーストの焼き付けにより製造した白金製のアノード電極、108はヒーター、109はセラミックス製のヒーター基板、107は白金ぺーストの焼き付けにより製造した白金製のカソード電極であり、ヒーター基板109を挟んで、ヒーター108の上部に配置される。
【0091】
本実施の形態における水素センサーにおいて、カソード電極107、アノード電極106の双方に白金等の水素の酸化反応に対して大きな触媒作用を有する材料を使用すると、両電極は等電位となり印加電位のみに依存した電流が流れる。ここで、一方の電極を加熱したり冷却したりすると、電極間の温度差によって電位差を生じる。例えば、カソード電極107を加熱してアノード電極106よりも水素の酸化反応に対する触媒作用を促進させると、カソード電極107側で酸化反応が活性化する。そして、プロトンがアノード電極106からカソード電極107に固体電解質105を流れると同時に、外部回路のカソード電極107からアノード電極106に電流が流れる。即ち、水素が添加された空気を測定すると、外部回路では電池の正極側から負極側に流れる電流量が増加する。この原理を利用することにより、水素濃度の検出精度を高めることができる。
【0092】
この水素センサーを用い、アノード電極106とカソード電極107に0.02Vの電圧を印加した。このとき、ヒータ−108の温度を400℃に設定してセンサーの温度を400℃に保ち、空気と、空気と水素の混合ガスを1リットル/minで供給し、それぞれの状態で、センサーの検出状態を観察した。
【0093】
図16に、本実施の形態により、カソード電極107の近傍にヒーター108を配置して加熱した場合と、アノード電極106の近傍にヒーター108を配置して加熱した場合のセンサー出力特性のグラフを対比して示す。前者の方が、べ一ス電流は若干大きくなるものの、べ一ス電流密度が3μA/cm2以下と低い値となり、水素濃度の検出精度は良好であった。また、ヒーター108の温度を200℃、300℃に変更したときも、カソード電極107の近傍にヒーター108を配置して加熱した方が、水素濃度の検出精度は良好であった。
【0094】
このように、本実施の形態の水素センサーによれば、カソード電極107の近傍にヒーター108を配置して加熱することにより、べ一ス電流密度(μA/cm2)が低い値で安定し、水素濃度の検出精度が高められる。
【0095】
なお、本実施の形態の水素センサーでは、電極とヒーターは別体とし、上下方向で接した状態としたが、電極とヒーターは一体化したものでも良いし、水平方向で接していても良い。また、電極は上下方向でなく、例えば、実施の形態6における水素センサーのように、固体電解質上に水平方向に並んで配置されていても良い。また、電極が固体電解質上に水平方向に配置されている場合、カソード電極は、左右のいずれに配置されていても良く、このとき、ヒーターはカソード電極の上部に配置されていても良い。
【0096】
また、本実施の形態では、固体電解質にBaZr0.4Ce0.4In0.2O3-α焼結体を用いたが、プロトンと酸化物イオンを伝導するバリウムセリウム系酸化物等のイオン伝導体であればその他のイオン伝導体でも良い。例えば、BaZr0.6Ce0.2Gd0.2O3-α、BaCe0.8Gd0.2O3-α、BaZr0.4Ce0.4Gd0.2O3-α、BaZr0.4Ce0.4Yb0.2O3-α、BaZr0.2Ce0.65Gd0.15O3-αの各焼結体等、実施の形態1〜5で例示したバリウムセリウム系酸化物を使用することもできる。
【0097】
なお、実施の形態6〜9では、電極の面積は0.5cm2であったが、電極の面積はセンサーの小型化の観点からは小さい方が好ましく、一方、センサー出力を高める観点からは大きい方が好ましいことから、実用上は電極の面積は0.01〜2.0cm2の範囲が良い。
【0098】
また、実施の形態6〜9では、電極の材料に白金を用いたが、その他、電極の材料として具体的には、白金、金、銀、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む金属が使用でき、例えば、金、銀、パラジウム、又はルテニウムの純粋金属やこれら金属の合金が使用できる。また、実施の形態6〜9では、白金電極を白金ペーストの焼き付けにより製造したが、スパッタ等の物理的蒸着法やCVD(Chemical Vapor Depositionの略、化学気相成長法)によって製造しても良い。
【0099】
(実施の形態10)
図17(a)に、本実施の形態における水素センサー60の断面構成を示し、図17(b)に、その動作の概略を示す。11は固体電解質であり、プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)を伝導するイオン伝導体を用いている。固体電解質11の表面には、固体電解質11にイオンを伝導させるための第1の電極61と第2の電極62がそれぞれ形成され、その下面には、固体電解質11を加熱するためのヒータ14が備えられている。ヒータ14は、例えば、パターニングされた白金焼結体で形成することができる。第1の電極61と第2の電極62はいずれも水素の酸化反応に対して触媒作用を有する白金製の電極(電極面積0.5cm2)である。これら電極は、いずれも白金ぺーストの焼き付けにより製造したものである。
【0100】
水素センサー60は、実施の形態1〜2における水素センサー10、20と同様、いわゆる電流検出式のセンサーである。固体電解質11には、実施の形態1の水素センサー10と同様のバリウムとセリウムを含む酸化物、例えばバリウムセリウム系酸化物が使用できる。
【0101】
本実施の形態の水素センサー60において、第1の電極61をカソードとし、第2の電極62をアノードとして、両者間に一定電圧を印加すると、被測定ガスに含まれる水素は、第2の電極62において解離してプロトンとなり、固体電解質11を伝導し、第1の電極61で水素又は炭化水素となって放出される。こうして、図17(b)に示すように、固体電解質11をプロトンの形で電荷が移動し、電流が流れる。
【0102】
以下、本実施の形態による水素センサー60によって、被測定ガスの水素濃度を測定した結果について説明する。ここでは、固体電解質11として、BaZr0.4Ce0.4In0.2O3-α焼結体を用いた。固体電解質11の大きさは、10mm角、厚さ0.5mmとした。
【0103】
また、被測定ガスとして、0.2リットル/minで流したプロパンガスに、0〜5vol%の水素を1リットル/minで添加したものを用いた。
【0104】
図18に、第1の電極61と第2の電極62の間に印加する電圧を0.6Vにしたときのセンサー出力の経時変化をグラフ化して示す。図18において、グラフに沿った%表示は、それぞれのセンサー出力(μA)が得られた際の水素の添加量(vol%)を示す。ここでは、ヒータ14によって固体電解質11を加熱し、水素センサー60の温度を350℃に保持した。
【0105】
図18から明らかなように、プロパンガスの還元性雰囲気中、センサー温度が350℃の状態で、0〜5vol%の高濃度域の水素濃度を安定して検出することができた。また、プロパンガスの代りにブタンガスを用いたところ、この実験結果と同様、水素濃度が高感度で検出された。
【0106】
(実施の形態11)
図19(a)に、本実施の形態における水素センサー70の断面構成を示し、図19(b)に、その動作の概略を示す。11は、固体電解質であり、プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)を伝導するイオン伝導体からなる。固体電解質11の上下面には、固体電解質11にイオンを伝導させるための第1の電極71と第2の電極72が対向して形成されている。43は、第2の電極72に到達する水素の量を制限する制御手段であって、フォルステライト基板43aとガラス43bからなり、これらによって、第2の電極72を蔽うように形成されている。ガラス43bには、貫通孔43hが形成されており、ここから、第2の電極72に水素を含む被測定ガスが導入される。なお、制御手段43の構成はこれに限られるものではなく、第2の電極72に到達する水素の量を制限しうるものであればその他の構成でも良い。ガラス43bの下面には、固体電解質11を加熱するためのヒータ14が備えられている。ヒータ14は、例えば、パターニングされた白金焼結体で形成することができる。
【0107】
本実施の形態の水素センサー70は、いわゆる限界電流式のセンサーである。このセンサーにおいては、第1の電極71と第2の電極72の間に一定電圧が印加され、第1の電極71と第2の電極72の間を酸化物イオンの伝導による電流が定常的に流れている。ここで、図19(b)に示すように、制御手段43によって、貫通孔43hを通過する水素が制限され、当該水素の量と、固体電解質11を通過し、第2の電極72から排出される水素の量とが平衡に達する。この平衡時の水素の量は、被測定ガスの水素濃度とほぼ比例する。また、平衡時に、第1の電極71と第2の電極72との間を流れる限界電流は、平衡時の水素の量とほぼ比例する。したがって、限界電流を測定することで、被測定ガスの水素濃度が精確に検出される。
【0108】
固体電解質11には、BaCe0.8Gd0.2O3-α、BaZr0.4Ce0.4Gd0.2O3-α、BaZr0.4Ce0.4Yb0.2O3-α、BaZr0.2Ce0.65Gd0.15O3-α等、プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)を伝導するイオン伝導体が使用できる。また、第1の電極71と第2の電極72には、白金を用いている。
【0109】
以下、本実施の形態による水素センサー70によって、被測定ガスの水素濃度を測定した結果について説明する。ここでは、固体電解質11として、BaZr0.4Ce0.4In0.2O3-α焼結体を用いた。固体電解質11の大きさは、10mm角、厚さ0.5mmとした。また、第1の電極71と第2の電極72は、白金ペーストを焼成して形成した。
【0110】
また、被測定ガスとして、1リットル/minで流した水素、ブタンガス、プロパンガス、メタンガスに、それぞれ0〜10vol%の水素を1リットル/minで添加したものを用いた。図20に、水素センサー70の第1の電極71と第2の電極72との間を流れる電流値(センサー出力)と、第1の電極71と第2の電極72に印加した電圧との関係を示す。ここでは、ヒータ14によって固体電解質11を加熱し、センサーの温度を500℃として測定した(図20のグラフに示した温度は、水素濃度検出時のセンサーの温度を示す)。
【0111】
図20から明らかなように、水素、ブタンガス、プロパンガス、メタンガスの還元性雰囲気中、センサー温度が500℃の状態で、0〜5vol%の高濃度域の水素濃度を安定して検出することができた。また、限界電流が検知されたことから、水素濃度に対する電流の傾きが上昇し、水素濃度の検出精度が向上した。また、応答性も、最終電流値の90%に達する時間が約10秒と良好であった。
【0112】
さらに、本実施の形態において、他種のガスの混在による影響を調べるため、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化炭素、室温飽和水蒸気を各2vol%被測定ガスに添加し、電流値の増減を観察したところ、電流値の変動はほとんど見られず、その測定状態は極めて安定していた。
【0113】
なお、本実施の形態では、第1の電極71と第2の電極72には、白金を用いたが、水素の酸化反応に対して触媒作用を有する材料からなり、かつ、同種の材料からなる材料であれば、他の材料を用いることもできる。具体的には、白金、金、銀、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む金属が使用でき、例えば、金、銀、パラジウム、又はルテニウムの純粋金属が使用できる。さらに、第1の電極71と第2の電極72には、アルミニウム、銅、ニッケル等の酸素のイオン化を防止する機能を有する材料も使用できる。また、第1の電極71と第2の電極72は、金属ペーストの焼成、スパッタリング等の物理的方法、又はCVD(化学気相成長法)によって形成することができる
本実施の形態の水素センサー70によれば、応答性と水素選択性に優れ、還元性雰囲気中、0〜5vol%の高濃度域の水素濃度を安定かつ容易に検出することができる。また、水素センサー70は、構造が簡単なため、価格も安価となり、その信頼性も高いものとなる。
【0114】
【発明の効果】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1における水素センサーの断面構成図(a)、動作を示す概略図(b)
【図2】 実施の形態1における水素センサーによるT・CO/(CO+CH)の値と温度との関係の一例を示すグラフ
【図3】 実施の形態1における水素センサーによる水素濃度と電流値との関係を示すグラフ
【図4】 実施の形態1における水素センサーによる水素濃度と電流値との関係を示すグラフ
【図5】 実施の形態2における水素センサーの断面構成図(a)、動作を示す概略図(b)
【図6】 実施の形態2における水素センサーによる水素濃度と電流値との関係を示すグラフ
【図7】 実施の形態3における水素センサーの断面構成図(a)、実施の形態3における水素センサーの動作を示す概略図(b)
【図8】 実施の形態3における水素センサーによる水素濃度と電流値との関係を示すグラフ
【図9】 実施の形態4における水素センサーの断面構成図(a)、動作を示す概略図(b)
【図10】 実施の形態4における水素センサーによる水素濃度と電流値との関係を示すグラフ
【図11】 実施の形態5における水素センサーの断面構成図(a)、動作を示す概略図(b)
【図12】 実施の形態5における水素センサーの水素濃度と電流値との関係を示すグラフ
【図13】 実施の形態6における水素センサーの概略構成図
【図14】 実施の形態6による水素センサーのセンサー出力とベース電流の経時変化を示すグラフ
【図15】 実施の形態9における水素センサーの概略構成図
【図16】 実施の形態9における水素センサーのセンサー出力と空気の水素濃度との関係を示すグラフ
【図17】 実施の形態10における水素センサーの断面構成図(a)、動作を示す構成図(b)
【図18】 実施の形態10による水素センサーのセンサー出力とベース電流の経時変化を示すグラフ
【図19】 実施の形態11における水素センサーの断面構成図(a)、動作を示す構成図(b)
【図20】 実施の形態11における水素センサーのセンサー出力と電極に印加した電圧との関係を示すグラフ
【符号の説明】
10、20、30、40、50、60、70、80 水素センサー
11、101、105 固体電解質
12、21、31、41、51、61、71 第1の電極
13、22、32、42、52、62、72 第2の電極
14、108 ヒータ
43 制御手段
43a フォルステライト基板
43b ガラス
43h 貫通孔
102、106 アノード電極
103、107 カソード電極
109 ヒーター基板
Claims (8)
- プロトンと酸化物イオンを伝導するイオン伝導体を含む固体電解質と、前記固体電解質の表面に形成された第1及び第2の電極とを備え、前記第1及び第2の電極間に電圧を印加したときに前記第1及び第2の電極間に流れる電流を測定することにより水素濃度を検出するように構成された水素センサーにおいて、
前記イオン伝導体は、一般式、BaCe 1-X-Y L X M Y O 3- α(ここで、Lは4価の元素、Mは3価の元素、0<X<1、0<Y<1、αは、酸素の欠損を示す)で表されるバリウムセリウム系酸化物であり、
前記イオン伝導体の酸化物イオンの伝導度C O 及びプロトンの伝導度C H と、前記イオン伝導体の導電率T(S/cm)が、300℃〜450℃の温度範囲において、T・C O /(C O +C H )≦2.7×10 -3 (S/cm)の関係を満たし、
水素濃度検出時のセンサーの温度が300℃〜450℃の温度範囲に制御され、前記第1及び第2の電極間に印加される電圧によって前記固体電解質内に形成される電解電界強度が1.11V/mm以下であることを特徴とする水素センサー。 - 前記第1及び第2の電極間に印加される電圧によって前記固体電解質内に形成される電解電界強度を、水素濃度検出時のセンサーの温度に応じて可変とした請求項1に記載の水素センサー。
- 前記水素濃度検出時の前記電解電界強度が、0.044〜1.11V/mmの範囲に制御される請求項2に記載の水素センサー。
- 前記第1及び前記第2の電極が、白金、金、銀、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む請求項1〜3のいずれかに記載の水素センサー。
- プロトンと酸化物イオンを伝導するイオン伝導体を含む固体電解質と、前記固体電解質の表面に形成された第1及び第2の電極とを備えた水素センサーを、水素濃度を検出すべき雰囲気中に配置し、前記水素センサーの温度を制御し、前記第1及び第2の電極間に電圧を印加して、前記第1及び第2の電極間に流れる電流を測定することにより水素濃度を検出する水素濃度の検出方法において、
前記イオン伝導体は、一般式、BaCe 1-X-Y L X M Y O 3- α(ここで、Lは4価の元素、Mは3価の元素、0<X<1、0<Y<1、αは、酸素の欠損を示す)で表されるバリウムセリウム系酸化物であり、
前記イオン伝導体の酸化物イオンの伝導度C O 及びプロトンの伝導度C H と、前記イオン伝導体の導電率T(S/cm)が、300℃〜450℃の温度範囲において、T・C O /(C O +C H )≦2.7×10 -3 (S/cm)の関係を満たし、
前記水素センサーの温度を300℃〜450℃の温度範囲に制御し、
前記第1及び第2の電極間に印加される電圧を、前記固体電解質内に形成される電解電界強度が1.11V/mm以下となるように制御することを特徴とする水素濃度の検出方法。 - 前記第1及び第2の電極間に印加される電圧によって前記固体電解質内に形成される電解電界強度を、水素濃度検出時のセンサーの温度に応じて可変とする請求項5に記載の水素濃度の検出方法。
- 前記水素濃度検出時の前記電解電界強度を、0.044〜1.11V/mmの範囲に制御する請求項6に記載の水素濃度の検出方法。
- 前記第1及び前記第2の電極が、白金、金、銀、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む請求項5〜7のいずれかに記載の水素濃度の検出方法。
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