JPH08219487A - 冷風の供給方法及び冷風装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外気の温度や湿度等に影響を受けずに、冷気
の流れを確実に生じさせ、この冷気の流れを床から上方
に向けて吹き出させる冷風の供給方法及び冷風装置を提
供すること。 【構成】 本発明に係る冷風の供給方法は、空気通路２
５内の上部から下方に向け水をシャワー状に噴出させ、
前記シャワーにより空気通路２５内の上方から下方に流
動する空気流れ２５ａを形成すると共に、空気通路２５
の上部から空気通路２５内に空気を吸い込み、シャワー
を構成する水滴の気化に伴う熱により前記空気流れ２５
ａを冷却し、冷却された空気流れ２５ａを空気通路２５
の下部から床３１の下方に供給し、冷却された空気流れ
２５ａを床３１から上方に向けて流出させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は屋内や、或は、屋外の休
憩所等に好適な冷風を供給する方法及び冷風装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】野外広場等において一定の場所だけで夏
の暑さを抑えようとする場合には、一般に、植物等によ
って日陰を作る程度のことしかなされていないのが現状
である。これは、屋内と比較した場合、屋外では、その
空間が開放されているため、電動式のクーラー等では能
力的に限界があるためである。そこで、このような野外
での暑さを抑えるものとして、一定の場所に冷気を吹き
出させる冷却塔が知られている。

【０００３】この種の冷却塔は、砂漠地帯等で使用され
ているもので、地盤側から立設された塔体を備え、塔体
の内部には上下にわたって空間部が設けられている。こ
の塔体の上部には外気導入口が設けられ、外気導入口に
水蒸発部材が取着され、水蒸発部材には水が供給され
る。そして、外気が水蒸発部材を通過する際に冷却され
て外気導入口から前記空間部に至り、冷却されて比重が
大きくなった冷気が自重により前記空間部の下部に流
れ、塔体下部の吹き出し口から冷気が吹き出される構造
となっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな冷風供給方式によれば、冷気の自重により塔体の内
部に空気の流れを作る方式であるため、外気温度が非常
に高く且つ乾燥している場合以外は、塔体内部に冷気の
流れを生じさせることが余り期待できないという問題が
あった。すなわち、砂漠等のような所では外気温度が４
０℃以上で、湿度が２０％前後であるため、１５ｍ程度
の高さの塔を設置すれば、１０℃以上冷やされた冷気が
塔体の下部に０．３〜０．５ｍ／ｓ程度の流速で得られ
るが、日本国内の夏の場合では、最高外気温度が３５℃
で、湿度が５０〜７０％前後であるため、１５ｍ程度の
高さの塔を設置しても冷気の流れを効果的に得ることが
できない。本発明は前記事情に鑑み案出されたものであ
って、本発明の目的は、外気の温度や湿度等の影響を受
けずに、冷気の流れを確実に生じさせることができ、更
に床上の空気の輻射熱の吸収して床上の空気の冷却を可
能とした冷風の供給方法及び冷風装置を提供することに
ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明に係る冷風の供給方法は、空気通路内の上部から
下方に向け水をシャワー状に噴出させ、前記シャワーに
より前記空気通路内の上方から下方に流動する空気流れ
を形成すると共に、前記空気通路の上部から空気通路内
に空気を吸い込み、前記シャワーを構成する水滴の気化
に伴う熱により前記空気流れを冷却し、前記冷却された
空気流れを空気通路の下部から床の下方に供給し、前記
冷却された空気流れを床から上方に向けて流出させるよ
うにしたことを特徴とする。

【０００６】また、本発明に係る冷風装置は、略鉛直に
立設され内部に上下方向に延在する空気通路が形成され
た塔体と、前記塔体の上部に形成され空気を取入れる空
気取り入れ口と、前記空気通路内において空気通路の上
部から下方に向けて水をシャワー状に噴出させる水噴出
手段と、前記空気通路内を落下する前記シャワーの水を
受ける水回収手段と、床の下方に設けられ前記空気通路
内の下部に連通する床下空間部と、前記床に設けられ前
記床下空間部に連通する空気吹出し口とを備えることを
特徴とする。また、本発明は、前記床の下方には前記水
回収手段を構成する池が設けられ、前記床下空間部は池
の水面と床との間に画成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記塔体が建物の屋根から上方に突出
して設けられ、前記塔体の下部は前記建物の床を貫通
し、これにより前記空気通路と前記床下空間部が連通し
ていることを特徴とする。

【０００７】

【作用】シャワーの落下により空気通路内において上方
から下方に向かう空気流れが作られる。そして、空気流
れにおいて水滴が気化し、この気化熱により空気流れ中
の空気が冷却され、冷却された空気が冷風となって床下
空間部に流出し、床下空間部から空気吹出し口を通じて
冷風が上方に吹き出される。また、床の下の池により床
上の空気の輻射熱が吸収され、床上の空気が冷却され
る。

【０００８】

【実施例】以下に、本発明の一実施例を図面に基づき説
明する。図１は休息所に適用した本実施例の冷風装置の
断面正面図を示す。１は野外に設けられた休憩所で、休
憩所１は複数の柱３と、これら柱３により支持された屋
根５とにより構成されている。７は冷風装置であり、こ
の冷風装置７は、鉛直に立設された塔体９と、塔体９の
上部に形成された空気取り入れ口１１と、塔体９の下部
に形成された下部開口１３と、水噴出手段１５と、水回
収手段１８等により構成されている。

【０００９】前記塔体９は、休息所１の建物の中央部分
で上下方向に延在し屋根５の中心部分を貫通するパイプ
２１と、パイプ２１の外周を覆う断熱材２３により構成
され、パイプ２１の内部には上下端が開放された空気通
路２５が形成されている。前記空気取り入れ口１１は、
断熱材２３の上端周壁に周方向に間隔をおいて複数形成
され、断熱材２３の上端には、雨水の空気通路２５への
侵入を阻止する水平な屋根部材２７が取着されている。
前記パイプ２１を構成する材料としては、合成樹脂や金
属等を用いることができ、また、断熱材２３としては、
木材やコンクリート等を用いることができ、断熱材２３
は、少なくとも、屋根５から露出したパイプ２１の外周
面に設けられ、外気からの輻射熱を遮断するようにして
いる。前記パイプ２１の下部開口１３は床３１を貫通
し、床３１の下方の床下空間部３３に連通している。

【００１０】前記水噴出手段１５は、水をシャワー状に
して前記空気通路２５内の上端から下方に向けて噴出さ
せるもので、空気通路２５に臨むようにパイプ２１の上
端に取着された複数のシャワーノズル３５と、シャワー
ノズル３５に供給する水が収容された池１７と、シャワ
ーノズル３５と池１７とを接続する給水管３７と、給水
管３７に介設されたポンプ３９等で構成されている。前
記水回収手段１８は空気通路２５内を落下するシャワー
の水を受けるもので、実施例では前記池１７により構成
されている。従って、この実施例では、前記池１７は水
噴出手段１５の一部と水回収手段１８の双方を兼ねてい
る。

【００１１】前記池１７は、休息所１の床３１の下方
に、床面と同一形状で略同一の面積に形成され、例え
ば、コンクリート構造物により形成されている。池１７
の深さは、池１７内に存在する水の水面と床３１との間
に所定の高さの床下空間部３３が形成される寸法で形成
されている。さらに、床３１には、休息所１の内部空間
と床下空間３３とを連通する複数の吹出し口４１が設け
られている。尚、前記吹出し口４１は、例えば、図２に
示すように、歩行に支障を来さない程度の大きさの多数
の小孔４１ａにより構成してもよく、また、図３に示す
ように、複数の連通口４３が設けられた網状の金属部材
４５を床３１に設けられた孔部３１Ａに嵌め込むことで
構成してもよい。

【００１２】次に、作用について説明する。ポンプ３９
を駆動させると、池１７の水が給水管３７を通じてシャ
ワーノズル３５に供給され、シャワーノズル３５から水
がシャワー状となって空気通路２５内の上部から下方に
向けて噴出され、シャワー状となった水が空気通路２５
内を落下する。このシャワー状の水の落下により空気通
路２５内の空気が下方へ流動し、空気通路２５内におい
てシャワーの水と共に、空気通路２５内を上部から下方
に向かう空気流れ２５ａが形成される。この空気流れ２
５ａにより、空気取り入れ口１１から外気が空気通路２
５に吸い込まれ、吸い込まれた外気が空気通路２５内を
通過して空気流れ２５ａとなって空気通路２５の下端に
至る。

【００１３】そして、空気通路２５内のシャワーを構成
する水滴の気化に伴う気化熱によって、空気通路２５内
を流れる空気流れ２５ａ中の空気が冷却され、冷却され
た空気は、空気通路２５内の下部開口１３から床下空間
部３３内に至り、床３１に設けられた複数の吹出し口４
１から冷風として上方に向けて吹き出され、休息所１の
内部に冷風が供給される。これと共に、空気通路２５内
を落下するシャワーの水は池１７に集められ、池１７の
水はポンプ３９により給水管３７を通じてシャワーノズ
ル３５に還流され、繰返し空気通路２５内での空気の冷
却が行なわれる。

【００１４】このように本実施例によれば、空気通路２
５内においてシャワーにより空気流れ２５ａを強制的に
作ると共に、シャワーの気化熱により空気を冷却するの
で、外気の温度や湿度等に影響を受けずに、冷気の流れ
を建物内部に確実に供給することができる。また、床３
１から上方に向けて冷風が吹き出されるので、従来とは
趣きが異なったおもしろさを休息している人に与えるこ
とができる。さらに、シャワーの水を受ける水回収手段
１７を、建物の床３１の下方に設けられた池１７で構成
したので、池１７の水により建物内部の輻射熱が吸収さ
れて建物内部が冷却されることになり、建物内部の冷却
効果をより一層高めることが可能となる。

【００１５】次に、本発明者が試験した実験例について
説明する。外気温度が３５℃、相対湿度が５０％の下
で、空気通路２５の断面を６００mm×６００mmの矩形と
し、空気通路２５の長さを３ｍとし、池１７に収容した
水を１５０リットルとし、シャワーノズル３５を四個用
い、各シャワーノズル３５より各々３リットル／ｍｉｎ
の水を噴出したところ、空気通路２５内において風速１
ｍ／ｓｅｃ程度の空気流れ２５ａが発生し、また、この
空気流れ２５ａの空気吹き出し口４１における温度は約
２８℃程度となった。また、外気温度３０℃、相対湿度
７０％程度の高湿度の条件下において同様にして実験を
行なったところ、空気流れ２５ａは風速が１ｍ／ｓｅｃ
で、空気吹き出し口４１における温度が２６℃程度の結
果が得られた。この実験例からも明らかなように、外気
の温度や湿度等に影響を受けずに冷気の流れを確実に生
じさせることができ、しかも、空気通路２５の長さ、す
なわち塔体９の高さを大きくすることなく前記効果を達
成できた。

【００１６】尚、シャワーの噴出量を増やせば増やす
程、空気流れ２５ａの流速を大きくすることができる。
また、水をシャワー状に噴出させる場合、そのノズル３
５の径を小さくしていくとやがて霧状となるが、本発明
においてシャワー状とは霧状も含む。この場合、ノズル
３５の径を小さくして行くにつれて、水滴も小さくな
り、空気流れ２５ａの流速は小さくなっていく。

【００１７】尚、実施例では、水をシャワーノズル３５
と池１７との間で循環させて使用する場合について説明
したが、水を循環せずに使用することも無論可能であ
る。また、実施例では、野外の休憩所１に適用した場合
について説明したが、塔体９のみを野外に設け、塔体９
の付近の床から冷風を上方に吹き出させるようにしても
よく、或は、野外に限らず、例えば、通常の一般住宅や
オフィスビル、体育館等の屋内にも広く適用可能であ
る。また、塔体９のパイプ２１や床３１を透明部材で形
成し、シャワーの水が見えるようにすることにより、清
涼感を与えるようにすることも可能である。さらに、実
施例では、建物の中央部分から塔体を立設したが、これ
に限らず、建物の側部でも、また、建物と離して塔体を
立設しても同様の効果を得ることができる。

【００１８】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、空気通路内でシャワー状に噴出させた水により
冷却された空気流れを作り、この冷却された空気流れを
床から上方に吹き出させるようにしたので、外気の温度
や湿度等の影響を受けずに確実に冷気の流れを生じさせ
ることができる。また、床から上方に向けて冷風が吹き
出されるので、従来とは趣きが異なったおもしろさを休
息している人に与えることができる。さらに、床の下方
に池を設けたことにより、池の水により床上の空気の輻
射熱が吸収されて床上の空気が冷却されることになり、
冷却効果をより一層高めることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】冷風装置の断面正面図である。

【図２】空気吹出し口の要部平面図である。

【図３】空気吹出し口の要部平面図である。

【符号の説明】

１ 休憩所 ７ 冷風装置 ９ 塔体 １１ 空気取り入れ口 １５ 水噴出手段 １７ 池 １８ 水回収手段 ２５ 空気通路 ２５ａ 空気流れ ３１ 床 ３３ 床下空間部 ４１ 空気吹出し口

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢島 聡 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目６番15号 株 式会社フジタ内 (72)発明者 石木 美都夫 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目６番15号 株 式会社フジタ内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気通路内の上部から下方に向け水をシ
   ャワー状に噴出させ、 前記シャワーにより前記空気通路内の上方から下方に流
   動する空気流れを形成すると共に、前記空気通路の上部
   から空気通路内に空気を吸い込み、 前記シャワーを構成する水滴の気化に伴う熱により前記
   空気流れを冷却し、 前記冷却された空気流れを空気通路の下部から床の下方
   に供給し、 前記冷却された空気流れを床から上方に向けて流出させ
   るようにした、 ことを特徴とする冷風の供給方法。
2. 【請求項２】 略鉛直に立設され内部に上下方向に延在
   する空気通路が形成された塔体と、 前記塔体の上部に形成され空気を取入れる空気取り入れ
   口と、 前記空気通路内において空気通路の上部から下方に向け
   て水をシャワー状に噴出させる水噴出手段と、 前記空気通路内を落下する前記シャワーの水を受ける水
   回収手段と、 床の下方に設けられ前記空気通路内の下部に連通する床
   下空間部と、 前記床に設けられ前記床下空間部に連通する空気吹出し
   口と、 を備えることを特徴とする冷風装置。
3. 【請求項３】 前記床の下方には前記水回収手段を構成
   する池が設けられ、前記床下空間部は池の水面と床との
   間に画成されている請求項２記載の冷風装置。
4. 【請求項４】 前記塔体が建物の屋根から上方に突出し
   て設けられ、前記塔体の下部は前記建物の床を貫通し、
   これにより前記空気通路と前記床下空間部が連通してい
   る請求項２又は３記載の冷風装置。