JPH08216808A - バンパーリインフォースメントの取り付け機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車がポール衝突し、バンパーリインフォ
ースメント１の中央部が車体方向に変形してサイドメン
バー２との取り付け部１ｂが中央方向に引っ張られるこ
とによって、引張力がバンパーリインフォースメント１
の長手方向に働いた場合、バンパーリインフォースメン
ト１の取り付け部１ｂを変位量に相当する距離だけ中央
方向に移動させることによって、取り付け部１ｂでの破
断を防止する。 【構成】 バンパーリインフォースメント１の両端位置
に設定された取り付け部１ｂには、バンパーリインフォ
ースメント１が長手方向に移動可能に支持されながらサ
イドメンバー２に取り付けられるように、長径方向が長
手方向に平行な長円形状の貫通穴１ａ・１ａが形成され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、衝突時に発生する衝突
エネルギーを吸収するバンパーリインフォースメントの
取り付け機構に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】バンパーの構成部品であるバンパーリイ
ンフォースメントは、障害物への衝突時に変形して衝撃
を和らげることにより乗員および車体の損傷を低減させ
るように、通常、両端部がサイドメンバーに取り付けら
れることにより自動車のフロントおよびリアーに配置さ
れている。

【０００３】上記のサイドメンバーへのバンパーリイン
フォースメントの取り付け機構は、従来、図１２に示す
ように、バンパーリインフォースメント５１の両端位置
の取り付け部５１ｂに形成された円形状の貫通穴５１ａ
・５１ａと、サイドメンバー５２の先端面５２ｂに形成
された貫通穴５２ａ・５２ａと、貫通穴５１ａ・５２ａ
に挿通されるボルトとからなっており、両貫通穴５１ａ
・５２ａを一致させながら取り付け部５１ｂと先端面５
２ｂとを当接させた後、貫通穴５１ａ・５２ａにボルト
を挿通して締結することによりバンパーリインフォース
メント５１をサイドメンバー５２に取り付けるようにな
っている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の取り付け機構では、バンパーリインフォースメント
５１とサイドメンバー５２とが貫通穴５１ａ・５２ａと
ボルトとで完全に固定された状態になっているため、図
１３に示すように、自動車を駐車させる際や急角度のカ
ーブを曲がる際に、車体５３の中央部が電柱等の柱状物
５４に衝突（以下、ポール衝突と称する）すると、比較
的に低速で衝突しても、図１４に示すように、バンパー
リインフォースメント５１の僅かな変形後に取り付け部
５１ｂが破断して車体５３に大きな損傷を与えるという
問題がある。

【０００５】従って、本発明は、衝突時のバンパーリイ
ンフォースメント５１の破断を防止することができるバ
ンパーリインフォースメントの取り付け機構を提供する
ことを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
に、バンパーリインフォースメントの両端位置に設定さ
れた取り付け部をサイドメンバーに取り付けるものであ
り、下記の特徴を有している。

【０００７】即ち、取り付け機構は、上記取り付け部を
バンパーリインフォースメントの長手方向に移動可能に
支持しながら上記サイドメンバーに取り付けるようにな
っていることを特徴としている。

【０００８】

【作用】上記の構成によれば、バンパーリインフォース
メントは、取り付け機構により長手方向に移動可能に支
持されながらサイドメンバーに取り付けられることにな
る。従って、自動車がポール衝突した場合、バンパーリ
インフォースメントの中央部が車体方向に変形してサイ
ドメンバーとの取り付け部が中央方向に引っ張られるこ
とによって、引張力がバンパーリインフォースメントの
長手方向に働くことになるが、バンパーリインフォース
メントの取り付け部が変位量に相当する距離だけ中央方
向に移動するため、取り付け部での破断が防止されるこ
とになる。

【０００９】

【実施例】

〔実施例１〕本発明の一実施例を図１ないし図５を用い
て説明する。本実施例に係るバンパーリインフォースメ
ントの取り付け機構は、図１に示すように、断面口形状
の中空形材からなるバンパーリインフォースメント１に
形成された貫通穴１ａ・１ａと、サイドメンバー２の先
端面２ｂに形成された貫通穴２ａ・２ａと、両貫通穴１
ａ・２ａに挿通される図示しないボルトとからなってい
る。

【００１０】上記のサイドメンバー２の先端面２ｂに形
成された貫通穴２ａ・２ａは、上下一対に配置されてお
り、バンパーリインフォースメント１の貫通穴１ａ・１
ａは、バンパーリインフォースメント１の両端位置の取
り付け部１ｂにおいてサイドメンバー２の貫通穴２ａ・
２ａに対応するように上下一対に配置されている。ま
た、サイドメンバー２の各貫通穴２ａは、サイドメンバ
ー２の先端面２ｂとの位置関係が固定されるように円形
状に形成されている。一方、バンパーリインフォースメ
ント１の各貫通穴１ａは、長円形状に形成されており、
長径方向がバンパーリインフォースメント１の長手方向
に対して平行となるように設定されている。これによ
り、バンパーリインフォースメント１は、両貫通穴１ａ
・２ａにボルトが挿通されて締結されることによって、
バンパーリインフォースメント１の長手方向に移動可能
に支持されながらサイドメンバー２に取り付けられるよ
うになっている。

【００１１】上記の構成において、取り付け機構の動作
について説明する。図２に示すように、自動車が柱状物
４にポール衝突した場合、バンパーリインフォースメン
ト１は、両端位置の取り付け部１ｂ・１ｂがサイドメン
バー２・２により支持されているため、中央部が図示し
ない車体方向に変形し、この中央部の変形に伴って取り
付け部１ｂ・１ｂが中央方向に引っ張られることにな
る。

【００１２】この際、バンパーリインフォースメント１
は、図１に示すように、バンパーリインフォースメント
１の長手方向に対して平行となるように長径方向が設定
された長円形状の貫通穴１ａとサイドメンバー２の貫通
穴２ａとを一致させてボルト締めすることによりサイド
メンバー２に取り付けられているため、長手方向に移動
可能になっている。

【００１３】従って、バンパーリインフォースメント１
の取り付け部１ｂ・１ｂが中央方向に引っ張られると、
この引張力がバンパーリインフォースメント１の長手方
向に働くことになるが、図２に示すように、取り付け部
１ｂ・１ｂがボルト締めされた状態で変位量に相当する
距離だけ矢符方向に移動するため、取り付け部１ｂ・１
ｂでの破断が防止されることになる。

【００１４】次に、上記の動作を確認するため、下記の
３点曲げ試験を行った。即ち、本実施例の取り付け機構
として長円形状の貫通穴を有したバンパーリインフォー
スメント１を用意すると共に、従来の取り付け機構とし
て円形状の貫通穴を有したバンパーリインフォースメン
ト１を用意し、各バンパーリインフォースメント１がサ
イドメンバー２に取り付けられた状態となるように、サ
イドメンバー２に相当する支持部材５をボルト締めによ
り接合した。この後、図３に示すように、バンパーリイ
ンフォースメント１の中央部に柱状物４を当接して矢符
方向に荷重を付与し、荷重（ｋｇｆ）とバンパーリイン
フォースメント１の変位量（ｍｍ）とを測定した。

【００１５】この結果、図４に示すように、本実施例の
取り付け機構は、変位量が２１０ｍｍ程度に達するまで
バンパーリインフォースメント１が破断しないのに対
し、図５に示すように、従来の取り付け機構では、変位
量が１６０ｍｍ程度でバンパーリインフォースメント１
が破断することが確認された。これにより、本実施例の
ように長円形状の貫通穴１ａを有した取り付け機構とす
ることによって、バンパーリインフォースメント１の取
り付け部１ｂにおける破断を防止しながら、より大きな
衝撃を十分に吸収できることが明らかになった。

【００１６】〔実施例２〕本発明の他の実施例を図６お
よび図７を用いて説明する。本実施例に係るバンパーリ
インフォースメントの取り付け機構は、図６に示すよう
に、バンパーリインフォースメント１の取り付け部１ｂ
・１ｂにボルト締め等により固設された一対の旋回支持
部材１１・１１を有している。これらの旋回支持部材１
１・１１は、バンパーリインフォースメント１の長手方
向および衝突方向を含む平面内でのみ旋回するように、
車体３の両側に配設されたサイドメンバー２・２の先端
部に回動自在に軸支されており、バンパーリインフォー
スメント１は、上記の旋回支持部材１１・１１により長
手方向に移動可能に支持されている。

【００１７】上記の構成によれば、図７に示すように、
自動車がポール衝突した場合、バンパーリインフォース
メント１の中央部が車体３方向に変形して取り付け部１
ｂ・１ｂが中央方向に引っ張られることによって、旋回
支持部材１１・１１が内側方向に回動することになる。
これにより、バンパーリインフォースメント１は、取り
付け部１ｂ・１ｂがボルト締めされた状態で変位量に相
当する距離だけ旋回支持部材１１・１１の旋回により中
央方向に移動するため、取り付け部１ｂ・１ｂでの破断
が防止されることになる。

【００１８】〔実施例３〕本発明の他の実施例を図８を
用いて説明する。本実施例に係るバンパーリインフォー
スメントの取り付け機構は、図８に示すように、バンパ
ーリインフォースメント１に形成された突条部１ｃと、
サイドメンバー２に形成された嵌合部２ｃとからなって
いる。上記の突条部１ｃは、バンパーリインフォースメ
ント１の長手方向に対して平行に形成されており、断面
形状がバンパーリインフォースメント１側を上辺とする
台形状に形成されている。一方、サイドメンバー２の嵌
合部２ｃは、上記の突条部１ｃの形状に一致するよう
に、先端面２ｂ側を上辺とする台形状に形成されてい
る。

【００１９】上記の構成によれば、バンパーリインフォ
ースメント１は、突条部１ｃがサイドメンバー２の嵌合
部２ｃに嵌合されることによりサイドメンバー２に取り
付けられることになり、突条部１ｃと嵌合部２ｃとの傾
斜面同士の当接によりサイドメンバー２からの脱落を防
止されながら長手方向に移動可能に支持されることにな
る。

【００２０】これにより、自動車がポール衝突した場
合、バンパーリインフォースメント１の中央部が車体方
向に変形してサイドメンバー２との取り付け部１ｂが中
央方向に引っ張られることによって、引張力がバンパー
リインフォースメント１の長手方向に働くことになる
が、サイドメンバー２の嵌合部２ｃに嵌合された突条部
１ｃが内側方向に移動し、取り付け部１ｂが変位量に相
当する距離だけ中央方向に移動することになるため、取
り付け部１ｂでの破断が防止されることになる。

【００２１】〔実施例４〕本発明の他の実施例を図９を
用いて説明する。本実施例に係るバンパーリインフォー
スメントの取り付け機構は、図９に示すように、バンパ
ーリインフォースメント１に形成された保持部１ｄと、
両保持部１ｄにより移動可能に保持されるスライド部材
１２とを有している。上記の保持部１ｄは、バンパーリ
インフォースメント１の上下位置に形成された一対の係
合部１ｅ・１ｅからなっており、これらの係合部１ｅ・
１ｅは、バンパーリインフォースメント１側からサイド
メンバー２側に立ち上げられた後、対向する係合部１ｅ
・１ｅ方向に曲折されることによって、保持部１ｄの断
面形状をＣ字形状に形成するようになっている。

【００２２】一方、スライド部材１２は、保持部１ｄを
構成する係合部１ｅ・１ｅ間に挿入される板状部材１３
と、板状部材１３のサイドメンバー２側に設けられた突
設部材１４・１４とからなっており、突設部材１４・１
４は、板状部材１３が係合部１ｅ・１ｅ間に挿入された
ときに、係合部１ｅ・１ｅ間から突出するように上下一
対に配置されている。また、突設部材１４・１４には、
貫通穴１４ａ・１４ａがそれぞれ形成されており、スラ
イド部材１２は、これらの貫通穴１４ａ・１４ａとサイ
ドメンバー２の貫通穴２ａ・２ａとにボルトが挿通され
て締結されることによって、スライド部材１２をサイド
メンバー２に取り付けさせるようになっている。

【００２３】上記の構成によれば、バンパーリインフォ
ースメント１の保持部１ｄにスライド部材１２の板状部
材１３を嵌入して取り付け部１ｂまで移動させた後、ス
ライド部材１２の突設部材１４・１４をサイドメンバー
２内に嵌入してボルト締めすることによって、バンパー
リインフォースメント１のサイドメンバー２への取り付
けが完了することになり、バンパーリインフォースメン
ト１は、保持部１ｄがスライド部材１２を保持すること
によって、サイドメンバー２からの脱落を防止されなが
ら長手方向に移動可能に支持されることになる。

【００２４】これにより、自動車がポール衝突した場
合、バンパーリインフォースメント１の中央部が車体方
向に変形してサイドメンバー２との取り付け部１ｂが中
央方向に引っ張られることによって、引張力がバンパー
リインフォースメント１の長手方向に働くことになる
が、スライド部材１２を保持した保持部１ｄが内側方向
に移動し、取り付け部１ｂが変位量に相当する距離だけ
中央方向に移動するため、取り付け部１ｂでの破断が防
止されることになる。

【００２５】〔実施例５〕本発明の他の実施例を図１０
を用いて説明する。本実施例に係るバンパーリインフォ
ースメントの取り付け機構は、図１０に示すように、バ
ンパーリインフォースメント１の外形に一致した挿通口
１６ａを有した支持体１６と、支持体１６に上下一対に
突設された突設部材１７・１７とからなるスライド部材
１５を有している。上記の突設部材１７・１７には、貫
通穴１７ａ・１７ａがそれぞれ形成されており、スライ
ド部材１５は、これらの貫通穴１７ａ・１７ａとサイド
メンバー２の貫通穴２ａ・２ａとにボルトが挿通されて
締結されることによって、スライド部材１５をサイドメ
ンバー２に取り付けさせるようになっている。

【００２６】上記の構成によれば、スライド部材１５の
支持体１６にバンパーリインフォースメント１を嵌挿し
て取り付け部１ｂまで移動させた後、スライド部材１５
の突設部材１７・１７をサイドメンバー２内に嵌入して
ボルト締めすることによって、バンパーリインフォース
メント１のサイドメンバー２への取り付けが完了するこ
とになり、バンパーリインフォースメント１は、スライ
ド部材１５によりサイドメンバー２からの脱落を防止さ
れながら長手方向に移動可能に支持されることになる。

【００２７】これにより、自動車がポール衝突した場
合、バンパーリインフォースメント１の中央部が車体方
向に変形してサイドメンバー２との取り付け部１ｂが中
央方向に引っ張られることによって、引張力がバンパー
リインフォースメント１の長手方向に働くことになる
が、バンパーリインフォースメント１の取り付け部１ｂ
が変位量に相当する距離だけ中央方向に移動するため、
取り付け部１ｂでの破断が防止されることになる。

【００２８】尚、本実施例５においては、バンパーリイ
ンフォースメント１をスライド部材１５に嵌挿し、この
スライド部材１５を介してサイドメンバー２に取り付け
るようになっているが、これに限定されることはなく、
図１１に示すように、サイドメンバー２に挿通口２ｄを
形成し、この挿通口２ｄにバンパーリインフォースメン
ト１を嵌挿するようになっていても良い。

【００２９】

【発明の効果】本発明は、以上のように、バンパーリイ
ンフォースメントの両端位置に設定された取り付け部を
長手方向に移動可能に支持しながらサイドメンバーに取
り付けるようになっている構成である。

【００３０】これにより、自動車がポール衝突し、バン
パーリインフォースメントの中央部が車体方向に変形し
てサイドメンバーとの取り付け部が中央方向に引っ張ら
れることによって、引張力がバンパーリインフォースメ
ントの長手方向に働いた場合でも、バンパーリインフォ
ースメントの取り付け部が変位量に相当する距離だけ中
央方向に移動するため、取り付け部での破断を防止する
ことができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を示すものであり、取り付け機構の斜視
図である。

【図２】ポール衝突したたきのバンパーリインフォース
メントの状態を示す説明図である。

【図３】３点曲げ試験を示す説明図である。

【図４】変位量と荷重との関係を示す説明図である。

【図５】変位量と荷重との関係を示す説明図である。

【図６】本発明を示すものであり、取り付け機構の平面
図である。

【図７】図６の取り付け機構がポール衝突した状態を示
す説明図である。

【図８】本発明を示すものであり、取り付け機構の斜視
図である。

【図９】本発明を示すものであり、取り付け機構の斜視
図である。

【図１０】本発明を示すものであり、取り付け機構の斜
視図である。

【図１１】本発明を示すものであり、取り付け機構の斜
視図である。

【図１２】従来例を示すものであり、取り付け機構の斜
視図である。

【図１３】ポール衝突する状態を示す説明図である。

【図１４】ポール衝突したときのバンパーリインフォー
スメントの状態を示す説明図である。

【符号の説明】

１ バンパーリインフォースメント １ａ 貫通穴 １ｂ 取り付け部 １ｃ 突条部 １ｄ 保持部 １ｅ 係合部 ２ サイドメンバー ２ａ 貫通穴 ２ｂ 先端面 ２ｃ 嵌合部 ２ｄ 挿通口 ３ 車体 ４ 柱状物 ５ 支持部材 １１ 旋回支持部材 １２ スライド部材 １３ 板状部材 １４ 突設部材 １５ スライド部材 １６ 支持体 １７ 突設部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バンパーリインフォースメントの両端位
   置に設定された取り付け部をサイドメンバーに取り付け
   るバンパーリインフォースメントの取り付け機構におい
   て、 上記取り付け部をバンパーリインフォースメントの長手
   方向に移動可能に支持しながら上記サイドメンバーに取
   り付けるようになっていることを特徴とするバンパーリ
   インフォースメントの取り付け機構。