JPH08214864A - 蒸留酒の製造方法 - Google Patents

蒸留酒の製造方法

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JPH08214864A
JPH08214864A JP5206695A JP5206695A JPH08214864A JP H08214864 A JPH08214864 A JP H08214864A JP 5206695 A JP5206695 A JP 5206695A JP 5206695 A JP5206695 A JP 5206695A JP H08214864 A JPH08214864 A JP H08214864A
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distilled
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Haruo Ooyashiki
春夫 大屋敷
Naohiro Kakimoto
尚宏 柿本
Tadaki Shigeno
忠樹 茂野
Takumi Takayama
卓美 高山
Atsushi Morita
敦之 森田
Tadanori Yano
忠▲徳▼ 矢野
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  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の加熱蒸留を改良し、香味の豊かな品質
の蒸留酒を、収率よく得る蒸留酒の製造方法を提供す
る。 【構成】 通常の加熱蒸留により得られる蒸留酒を製造
する方法において、当該蒸留工程で超音波処理する処理
を含む蒸留酒の製造方法。超音波処理は、蒸留缶での加
熱時の蒸気の発生するとき及び/又は凝縮器での蒸気の
凝縮するとき、すなわち発酵醪、液や蒸気に対して行う
ことが好ましい。 【効果】 味に深みのある香味バランスの優れた高品質
の蒸留酒を得ることができ、しかも蒸留時間を短縮し、
凝縮効率を向上することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蒸留酒の製造方法に関
し、更に詳しくは、香味が豊かで高品質な蒸留酒が収率
よく得られる蒸留酒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】蒸留酒は、アルコール含有醪や液を蒸留
して得られる酒類で、焼酎、ウイスキー、ブランデー、
スピリッツ、更には中国の蒸留酒としての白酒(パイチ
ウ)、台湾の米酒、韓国の焼酒等が知られている。蒸留
酒の一つである焼酎の蒸留装置としては、焼酎甲類には
連続式蒸留装置が、焼酎乙類には単式蒸留装置が用いら
れている。連続式蒸留装置で蒸留すると極めて精製度の
高い焼酎が得られる。一方、単式蒸留装置を用いる焼酎
の製造方法において、常圧下又は減圧下で蒸留する方法
が行われているが、発酵醪を加熱し揮発成分を蒸発・気
化させて蒸留するので、醪中の揮発成分の組成や含量が
連続的に変化し、留出液の揮発成分の組成や含量も連続
的に変化して出てくる特徴がある。蒸留酒は、原料や発
酵由来あるいは蒸留時の加熱や貯蔵熟成により生成され
る揮発成分等によって構成され複雑な香味となるが、香
味成分は蒸留法の差に大きく起因する。例えば、焼酎に
用いられる常圧蒸留法では、発酵醪が80℃以上で加熱
され、フルフラールやメラノイジン等加熱反応で生成さ
れる成分が多くなり、好ましくないので、減圧蒸留法が
開発された。すなわち、減圧蒸留法では、40〜70℃
の加熱で蒸留されるために加熱により生成される成分の
量も程よく、原料や発酵由来の香味成分を主体とした焼
酎が製造されることになる。更に、減圧蒸留法では、特
徴ある香味で多様化した品質の焼酎を得るために、常圧
蒸留法でも知られる蒸留の初留及び後留区分を除くこと
や減圧度を変えることにより、目的とする品質の焼酎を
得る方法が採られる。焼酎に含まれるエタノール以外の
香味成分としては、脂肪族アルデヒド類、高級アルコー
ル類、エステル類、有機酸及びフルフラール等があり、
風味の上ではこれらが総合して香味のバランスを形成し
ていると考えられ、この観点から香味良好な焼酎を得る
ために従来の単式蒸留装置の改良や蒸留方法に更に工夫
が行われている。
【0003】一方、超音波は、振動、音響流、放射圧、
キャビテーション(空洞現象)等の作用のあることが知
られている。酒類において、原料処理、発酵、ろ過・精
製、及び熟成工程等での使用が知られている。特公平3
−23149号公報には、希薄アルコール溶液内に配置
した振動部材に超音波振動を行わせてキャビテーション
を生じさせこのキャビテーションにより前記溶液中のア
ルコールを気化させることと、このアルコールの気化に
より生じてくる気体を所定位置へ導いて凝縮液化するこ
ととを包含することを特徴とする希薄アルコール溶液の
超音波処理方法が記載されている。この方法によると、
加熱することなく発酵液中の酵母を生かしたままでアル
コールを収得でき、液中のアルコール濃度を低下させる
ことができるので連続的にアルコール発酵ができる。す
なわち、従来のように直接加熱し蒸発させて凝縮液化さ
せるよりエネルギーの消費が少なくても済むという利点
があり、エネルギー源の代替を発明の課題としている。
しかしながら、従来公知の通常の加熱蒸留方法におい
て、蒸留缶での加熱時に、あるいは凝縮器での蒸気の凝
縮時に超音波処理を行い蒸留酒の品質改善を図ることは
知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】通常の加熱蒸留による
蒸留酒の製造方法において、蒸留缶での加熱時に工夫を
加え、蒸留酒の成分の蒸発を促進して蒸留効率を改善
し、また、凝縮器での凝縮効率を向上させ、香味が豊か
な品質の蒸留酒を得る蒸留酒の製造方法の開発が望まれ
ていた。本発明の目的は、上記従来技術にかんがみ、香
味の豊かな品質の蒸留酒を、収率よく得る蒸留酒の製造
方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は通常の加熱蒸留により得られる蒸留酒を製造する
方法において、当該蒸留工程で超音波処理する処理を含
むことを特徴とする蒸留酒の製造方法に関する。
【0006】本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、通
常の加熱蒸留により蒸留酒を製造する方法において、当
該蒸留工程で超音波処理する処理を含むことにより前記
課題を解決した高品質の製品を得ることが可能であるこ
とを見出した。
【0007】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
における蒸留酒としては、アルコール含有物を蒸留した
酒類をいい、焼酎、ウイスキー、ブランデー、スピリッ
ツ、更には中国の蒸留酒である白酒(パイチウ)、台湾
の米酒、韓国の焼酒等が挙げられる。焼酎を更に詳しく
分けると、原料の違いにより、例えば米焼酎、麦焼酎、
芋焼酎等があり、蒸留法による違いにより、例えば連続
式蒸留装置により蒸留した焼酎甲類、単式蒸留装置によ
り蒸留した焼酎乙類があり、更には近年甲乙混合のもの
も知られているが、本発明では原料や蒸留法の違いは問
わない。
【0008】単式蒸留装置は、発酵醪や液を加熱して蒸
気を発生させる蒸留缶、邪魔板や多孔板棚等が設けられ
た濃縮塔、蒸気を冷却する凝縮器等から構成される。常
圧蒸留法では、直接加熱、例えば直火だき、蒸気吹込み
並びに間接加熱を行い蒸留する。減圧蒸留法では、間接
加熱、例えば、加熱コイル、蒸気ジャケット、ドーナツ
管及び外部加熱により加熱を行い蒸留する。蒸気による
直接加熱の方式は、間接加熱の方式に比べると伝熱速度
が大きく、蒸留効率はよいが、飛沫同伴が多いこと、蒸
気により発酵醪や液が希釈されて廃液量が多くなる等の
特徴がある。一方、間接加熱の方式は、直接加熱の方式
に比べると、酒質は香味が濃く、酸類が多い傾向にあ
り、蒸留歩合が高く、廃液が少ないという特徴がある
が、焦げる恐れがあり、醪の場合には、かくはんを必要
とする。両者の加熱の方式には、それぞれ長所と短所が
あり、香味が豊かな品質の蒸留酒を得るための蒸留効率
の改善が重要となる。また、凝縮器では、蒸気が冷却面
に衝突し凝縮するが、凝縮液が冷却面を覆い熱伝導を低
下させ凝縮効率を下げている。そのため、冷却水の温度
を下げたり、使用量を増やしたりして対処しなければな
らない。この凝縮器での凝縮効率を向上させることも重
要となる。
【0009】蒸留される成分の面からみた蒸留酒の製造
方法の特徴は、例えば単式蒸留装置を用いる焼酎の製造
方法を例にとると、蒸留される発酵醪中の揮発成分の組
成と含量が連続的に変化する条件下で蒸留が進行し留出
液が出てくることにある。留出液の揮発成分の低沸点成
分としては、例えばアセトアルデヒド、酢酸エチル、エ
タノール、n−プロパノール、i−ブタノール、酢酸イ
ソアミル、n−ブタノール、i−アミルアルコール、カ
プロン酸エチル等が挙げられ、中高沸点成分としては、
例えばヘキシルアルコール、カプリル酸エチル、ヘプチ
ルアルコール、フルフラール、オクチルアルコール、カ
プリン酸エチル、コハク酸ジエチル、ラウリン酸エチ
ル、β−フェネチルアルコール、ミリスチン酸エチル、
パルミチン酸エチル等が挙げられる。これらの揮発成分
の組成と含量は、蒸留缶内の醪中の各種揮発成分の含量
比に大きく左右され、これらの成分を早く、多量に回収
して留出させることが重要である。
【0010】本発明の超音波処理は、蒸留缶中の発酵醪
や液に行ってもよく、蒸留により発生した蒸気に行って
もよく、あるいは凝縮器での蒸気の凝縮するときに行っ
てもよく、更にはそれらを併用してもよい。このように
すると、直接加熱、間接加熱に関わらず、蒸留酒の成分
の蒸発を促進して蒸留効率を改善し、また、凝縮器での
凝縮効率を向上させ、香味が豊かな品質の蒸留酒を得る
ことができる。
【0011】蒸留装置の種類は、連続式、単式のいずれ
でもよく特に限定されない。また、単式蒸留装置におい
ても、常圧蒸留法、減圧蒸留法のいずれでもよいが、好
ましくは減圧蒸留法が酒質と蒸留歩合の面から適してい
る。凝縮器については、例えば蛇管、チューブ、プレー
ト式等のものがあるが、いずれでもよく特に限定はな
い。
【0012】本発明に用いる超音波処理の条件は、発酵
醪、液や蒸気といった被処理物の種類及び形態により適
宜選択される。周波数は好ましくは15kHz以上、特
に好ましくは処理効果の観点から20kHz〜数100
MHzの範囲で適宜選択され、強度は好ましくは0.0
01W/cm2 超、特に好ましくは作用効果の面より
0.005W/cm2 超から適宜選択され、更に、処理
時間は好ましくは数秒〜数10時間、特に好ましくは数
10秒〜数時間の範囲で適宜選択される。超音波処理は
連続的に行ってもよいし、間欠的に行ってもよい。ま
た、被処理物へ直接及び/又は間接に行ってもよい。外
部加熱の場合には、加熱液の超音波噴霧を蒸留缶内に行
ってもよい。被処理物中での、超音波によるキャビテー
ションは、生じてもよく、生じなくともよく、特に限定
はないが、キャビテーションがないほうが飛沫同伴は少
なくなり好ましい。被処理物の温度は好ましくは35℃
以上、特に好ましくは40℃以上である。また、蒸留酒
の製造方法の還流蒸留(例えば連続式蒸留や、特願平6
−287183号明細書に記載の蒸留)と本発明を併用
して用いることもできる。超音波を発生させる振動子と
しては、超音波洗浄機に一般的に用いられている圧電セ
ラミックを2つの金属ブロックで挟みボルトで締めつけ
た構造をもつボルト締ランジュバン型振動子、構造上薄
くすることのできる圧電セラミックをガラス器材エポキ
シ樹脂基板に接着した構造の振動子等が挙げられる。微
弱超音波を発生させるためには圧電セラミック単体の振
動子を用いてもよい。
【0013】(検討1)蒸留缶における超音波処理効果
を確認するためのモデル試験を行った。常法により得ら
れた清酒醪(エタノール16%、v/vに蒸留水を添加
して調整)2リットルを耐圧製の容器に入れ、凝縮器に
連結して、減圧度300torrで、この容器を温水槽
中につけ65℃で蒸留した。一方は、清酒醪へ超音波処
理を周波数38kHz、強度0.4W/cm2 で蒸留し
た。対照は超音波処理せず蒸留した。減圧蒸留中の留出
液及びそのエタノールを測定して経時変化を評価した。
その結果を表1に示す。
【0014】
【表1】 表 1 蒸留経過 ─────────────────────────────────── 超音波処理区分 対 照 エタノール エタノール 処理 留出液 濃度 回収量 回収率 留出液 濃度 回収量 回収率 時間 (%、 (100%、v/v (%、 (100%、v/v (分) (ml) v/v) エタノー (%) (ml) v/v) エタノー (%) ル ml) ル ml) ─────────────────────────────────── 0 10 104 71.0 73.8 23.1 100 71.0 71 22.2 20 202 69.8 141.4 44.2 195 67.1 130.9 40.9 30 285 66.8 190.4 59.5 276 63.0 173.8 54.3 40 360 63.5 228.7 71.4 351 59.1 207.6 64.9 50 433 61.9 260.8 81.5 427 54.8 234.2 73.2 60 504 56.4 284.2 88.8 493 51.8 255.2 79.8 70 569 52.2 297.2 92.8 560 48.3 270.6 84.6 80 633 48.3 306.2 95.6 625 45.1 281.7 88.0 90 697 45.5 314.9 98.4 690 42.1 290.8 91.0 100 755 39.3 296.7 92.7 110 819 36.7 300.5 93.9 120 883 34.2 302.4 94.5 130 947 32.1 303.4 94.9 ───────────────────────────────────
【0015】表1から、エタノールの留出速度は、超音
波処理により、対照に比べ向上し、得られる留出液中の
エタノール濃度も高くなることがわかった。この実験条
件では、エタノール回収が92.7〜92.8%に達す
るのに超音波処理の場合70分(エタノール濃度52.
2%、v/v)、対照100分(エタノール濃度39.
3%、v/v)要することから、超音波処理により加熱
時間が約30%短縮されることになる。したがって、短
時間で高収率でエタノールを留出することができ、加熱
による焦げの恐れも著しく軽減することになる。これ
は、超音波処理により、振動、音響流、放射圧、キャビ
テーション等により特殊な環境となり、気相中へ揮発成
分の移行が促進されたものと推定される。
【0016】(検討2)次に、凝縮における超音波処理
効果を確認するためのモデル試験を行った。清酒100
ml(エタノール16%、v/v)を丸型フラスコに入
れ、蒸留水を追加し200mlとし、常圧で直火だきで
蒸留し、蒸発蒸気はシリコンチューブ(内径4mmφ、
外径8mmφ)を用いて、冷却する長さを50cmとし
て10℃、15℃、20℃、25℃の水槽に入れて、水
をかくはんしながら凝縮させた。凝縮における超音波処
理は周波数38kHz、強度0.4W/cm2 になるよ
うにした。対照は超音波処理せず凝縮した。留出液が1
00mlになった時点でエタノールを測定し、エタノー
ル回収率を計算した。その結果を表2に示す。
【0017】
【表2】 表 2 エタノール回収率 ──────────────────────────────── エタノール回収率(%) 冷却温度 ─────────────────── (℃) 超音波処理区分 対 照 ──────────────────────────────── 10 100 100 15 100 97 20 98 92 25 91 85 ────────────────────────────────
【0018】表2から、超音波処理すると対照に比べて
蒸気の凝縮がよく行われ、また冷却温度が高くなっても
エタノールの回収率が高く、凝縮効率が向上することが
確認できた。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0020】実施例1 精米歩合75%の粳白米を用い表3に示す仕込配合で、
三段仕込により米焼酎を試醸した。掛米としては、粳白
米を常法により浸漬、水切り、蒸煮した蒸米を用いた。
麹は、黄麹菌の胞子を接種し、常法により製麹して調製
した。酵母は協会701号を用いた。三段目に酵素剤ス
ピターゼM〔ナガセ生化学工業(株)製〕を1.6g添
加し、糖化・発酵は15℃で20日間行った。発酵終了
醪の成分分析値を表4に示す。
【0021】
【表3】 表 3 仕 込 配 合 ─────────────────────────────────── 一段 二段 三段 計 ─────────────────────────────────── 総米(g) 430 780 1390 2600 掛米(g) 310 660 1230 2200 麹米(g) 120 120 160 400 汲水(ml) 790 1110 2200 4100 乳酸(ml) 30 ─── ─── ─── ───────────────────────────────────
【0022】
【表4】 表 4 発酵終了醪の成分分析値 ───────────────────────────────── 成分及び指標値 分析値 ───────────────────────────────── エタノール(%、v/v) 17.2 pH 4.0 酸度(0.1N NaOH ml/10ml) 7.9 アミノ態窒素(mg%、w/v) 46.2 日本酒度 +10.0 直糖(%、w/v) 0.5 ─────────────────────────────────
【0023】発酵醪2リットルを用い、ポットスチルで
減圧蒸留した。減圧度300torr、蒸留温度65
℃、凝縮は冷却水温15℃で行った。本発明は、超音波
処理を発酵醪へ周波数38kHz、強度0.4W/cm
2 で蒸留した。対照は、超音波処理を行わずに蒸留し
た。初留及び後留(エタノール10%、v/vでカッ
ト)を除き、中留区分を分取した。この分取した中留区
分をエタノール25%、v/vになるように蒸留水で希
釈後、成分分析を行った。結果を表5に示す。
【0024】
【表5】 表 5 中留成分の留出液の成分分析値 ─────────────────────────────────── 成 分 本発明品 対 照 ────────────────────────────────── エタノール(%、v/v) 25 25 総エステル(ppm) 270 205 総アルデヒド(ppm) 9.5 13.0 酸度(0.1N NaOH ml/10ml) 0.16 0.11 pH 6.5 6.8 ─────────────────────────────────── 低沸点香気成分(ppm) アセトアルデヒド 15 19 酢酸エチル 100 61 n−プロパノール 124 120 酢酸イソアミル 13 5 i−ブタノール 225 200 カプロン酸エチル 2 0 i−アミルアルコール 420 280 ───────────────────────────────────
【0025】表5より、本発明品は、対照に比べて、エ
ステル含量が1.3倍と多く、酸度も高い酒質となっ
た。また、本発明の中留区分の留出時間は、75分(蒸
留歩合94.6%)に対して、対照は、105分(蒸留
歩合92.1%)であった。本発明により蒸留時間が短
縮され、蒸留歩合が向上した。次に、本発明品を対照と
比較して官能検査を行った。官能検査結果を表6に示
す。
【0026】
【表6】 表 6 官能検査結果 ────────────────────────────────── 項 目 本発明品 対 照 ────────────────────────────────── 香り 1.9 2.3 味 1.1 2.6 総合 1.7 2.4 評価意見 ○ 発酵の香りが豊か ○ 発酵の香りは普通 ○ 味に旨みと深みがある ○ 味が淡白で深み不足 ○ 香味バランスに優れる ○ 香味バランスは普通 ──────────────────────────────────
【0027】 注) 官能検査評価法 5点法 1:良い 〜 5:悪い パネラー 10名(平均値)
【0028】表6より、本発明品は対照に比べて発酵の
香気が豊かで、味に深みがあり旨みが多く、香味バラン
スに優れているとの評であった。
【0029】実施例2 精麦歩合70%の精白麦を常法により浸漬、水切り、蒸
煮及び放冷し、焼酎白麹菌を接種し、製麹して得た麹
2.2kgを汲水2.25リットルに仕込み、焼酎酵母
を添加して一次仕込を行い、20℃で7日間発酵させ
た。次いで、精麦歩合70%の精白麦を常法により調製
した蒸麦10kg、汲水12.5リットルを二次仕込と
して一次仕込醪へ添加して、引続き20℃で15日間発
酵させた。発酵の成分分析値を表7に示す。
【0030】
【表7】 表 7 発酵醪の成分分析値 ───────────────────────────────── 成分及び指標値 分析値 ───────────────────────────────── エタノール(%、v/v) 15.5 全糖(%、w/v) 1.1 直糖(%、w/v) 0.3 全窒素(mg%、w/v) 27.3 アミノ態窒素(mg%、w/v) 15.3 酸度(0.1N NaOH ml/10ml) 7.2 pH 4.2 ─────────────────────────────────
【0031】この発酵醪25リットルのうち、本発明
は、2リットルを減圧蒸留法(実施例1と同じ条件)に
より蒸留を行い、超音波処理は周波数38kHz、強度
0.4W/cm2 で発酵醪に行い、更に凝縮器での凝縮
するときにも同様に行った。対照は超音波処理を行わず
に蒸留し凝縮させた。初留及び後留(エタノール10
%、v/vでカット)を除き、中留区分を分取し、エタ
ノール25%、v/vになるように蒸留水で希釈後、成
分分析を行った。結果を表8に示す。
【0032】
【表8】 表 8 中留成分の留出液の成分分析値 ──────────────────────────────────── 成 分 本発明品 対 照 ──────────────────────────────────── エタノール(%、v/v) 25 25 総エステル(ppm) 186 152 総アルデヒド(ppm) 6.0 7.3 酸度(0.1N NaOH ml/10ml) 0.8 0.5 pH 6.5 6.8 ──────────────────────────────────── 低沸点香気成分(ppm) アセトアルデヒド 9 13 酢酸エチル 140 110 n−プロパノール 192 140 酢酸イソアミル 14 8 i−ブタノール 231 200 カプロン酸エチル 3 1 i−アミルアルコール 320 265 ────────────────────────────────────
【0033】表8より、本発明品は対照と比べて、エス
テルが多く、酸度が高い傾向にあった。また、蒸留時間
と歩合については、本発明と対照は、実施例1とほぼ同
様であった。次に、本発明品を対照と比較して官能検査
を行った。官能検査結果を表9に示す。
【0034】
【表9】 表 9 官能検査結果 ─────────────────────────────────── 項 目 本発明品 対 照 ─────────────────────────────────── 香り 2.3 2.7 味 2.2 2.9 総合 2.2 2.8 評価意見 ○ 発酵の香りが豊か ○ 発酵の香りは普通 ○ 味に幅がある ○ 味が単調 ○ 香味バランスに優れる ○ 香味バランスに欠ける ───────────────────────────────────
【0035】 注) 官能検査評価法 5点法 1:良い 〜 5:悪い パネラー 10名(平均値)
【0036】表9より、本発明品は対照に比べて発酵の
香気が豊かで、味に幅があり、香味バランスに優れてい
るとの評であった。
【0037】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に従って蒸留
酒を製造することにより、発酵醪で生成された良好な香
味成分が増強され、味に深みのある香味バランスの優れ
た高品質の蒸留酒を得ることができ、しかも蒸留時間を
短縮し、凝縮効率を向上させて、蒸留酒が収率よく得ら
れるので、本発明は品質及び生産性に有用な極めて優れ
た蒸留酒の製造方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高山 卓美 京都府宇治市南陵町2丁目1−58 (72)発明者 森田 敦之 京都府京都市伏見区中島河原田町31−1 グランデュール鴨川3番館1012号 (72)発明者 矢野 忠▲徳▼ 大阪府堺市竹城台3丁19−3

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 通常の加熱蒸留により得られる蒸留酒を
    製造する方法において、当該蒸留工程で超音波処理する
    処理を含むことを特徴とする蒸留酒の製造方法。
  2. 【請求項2】 超音波処理を蒸留缶での加熱時の蒸気の
    発生するとき及び/又は凝縮器での蒸気の凝縮するとき
    に行うことを特徴とする請求項1に記載の蒸留酒の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH11276152A (ja) * 1998-12-25 1999-10-12 Toru Hino 蒸留酒の蒸留装置及び製造方法
KR20000072393A (ko) * 2000-09-01 2000-12-05 유병택 매실 침출물을 함유한 증류주의 제조 방법
KR100830733B1 (ko) * 2006-01-17 2008-05-20 임경아 증류 한약의 제조 방법
JP2009273401A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Takara Shuzo Co Ltd 麦焼酎及びその製造方法
CN103409304A (zh) * 2013-08-27 2013-11-27 宜宾金喜来酒业有限公司 一种经膜蒸馏提质的特香型白酒的基酒及其膜蒸馏方法

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