JPH08211919A - フィードバック式加工条件補正装置およびフィードバック式加工方法 - Google Patents

フィードバック式加工条件補正装置およびフィードバック式加工方法

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JPH08211919A
JPH08211919A JP1439095A JP1439095A JPH08211919A JP H08211919 A JPH08211919 A JP H08211919A JP 1439095 A JP1439095 A JP 1439095A JP 1439095 A JP1439095 A JP 1439095A JP H08211919 A JPH08211919 A JP H08211919A
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千智 加藤
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芳彦 山川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】加工機10とポストプロセス測定機16との間
に複数の加工終了ワークが待機させられ、加工機の加工
条件に加えられた補正値Uの影響が直ちにはポストプロ
セス測定機による測定値Xに反映されない加工システム
に使用され、測定値Xに基づき、最新の補正値Uが測定
値Xに反映される毎に新たな補正値Uを決定するフィー
ドバック式加工条件補正装置において、補正値Uの測定
値Xへの反映時期を正確に把握することにより、補正値
Uの決定精度を向上させる。 【構成】補正値Uが測定値Xに反映されると測定値Xが
急変するという事実を利用し、測定値Uの今回値と前回
値との差である測定値前後差を逐次求め、その測定値前
後差が極値を示し、かつ、そのときの値が設定値以上と
なった時期が補正値Uの測定値Xへの反映時期であると
判定する毎に新たな補正値Uを決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工されたワークの寸
法誤差に関連する情報をフィードバックすることによ
り、次に加工されるべきワークの加工条件を補正するフ
ィードバック式加工条件補正装置およびフィードバック
式加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記フィードバック式加工条件補正装置
(以下単に「補正装置」ともいう)は一般に、(a) 複数
のワークを順に加工する加工機と、(b) 外部から供給さ
れた補正値に基づいて加工機の加工条件を決定し、その
決定した加工条件に従って加工機を制御する加工機制御
装置と、(c) 加工機により加工された複数のワークの寸
法を順に測定する測定機とを備えた加工システムにおい
て使用され、 測定機による測定値に基づき、加工機
により次に加工されるべきワークの加工条件の補正値を
決定する補正値決定部と、 決定された補正値を加工
機制御装置に供給する補正値供給部とを含むように構成
される。
【0003】加工機により加工されたワークが直ちに測
定機によって測定される形式の加工システムにおいて
は、最新の補正値の影響を受けた加工条件に従って加工
されたワークが直ちに測定機によって測定され、最新の
補正値の影響が直ちに測定値に現れるから、最新の補正
値の適否を迅速に判断することができる。したがって、
この形式の加工システムにおいて上記の補正装置を使用
する場合には、加工条件の補正精度を向上させることが
比較的簡単である。しかし、加工システムには、加工機
と測定機との間にその測定機による測定を待つ少なくと
も1個のワークが存在する形式も存在し(図2参照)、
この加工システムにおいては、最新の補正値の影響を受
けたワークが直ちには測定機によって測定されず、最新
の補正値の影響がむだ時間の経過後にはじめて測定値に
現れる。そのため、このむだ時間存在式の加工システム
において上記の補正装置を使用する場合には、加工条件
の補正精度を向上させることが比較的困難である。
【0004】なお、ここに「むだ時間」は本来「時間」
の概念であり、加工機によって加工された後に測定機に
よる測定を待っている待機ワークの数である「待機ワー
ク数」と厳密には一致しないが、制御システムの特性を
定義するパラメータとしては等価であるため、以下、
「むだ時間」と「待機ワーク数」とをそれぞれ互いに対
応する概念として使用することとする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような事情を背景
とし、本出願人はこのむだ時間存在式の加工システムで
の使用に適した補正装置を研究中である。その結果、本
出願人は先に次のような補正装置を提案した。それは、
前記補正値決定部が、決定した最新の補正値の影響を受
けた加工条件に従って最初に加工されたワークである先
頭補正ワークが測定機により測定される毎に、測定機に
よる測定値に基づいて新たな補正値を決定する補正装置
である。
【0006】この第1の補正装置は例えば、補正値決定
部が、測定機による測定値を逐次蓄積し、蓄積した測定
値の数が設定複数個になったときに、蓄積した設定複数
個の測定値に基づいて補正値を決定するとともに、先頭
補正ワークが測定機により測定される毎に測定値の蓄積
を無蓄積状態から再開する態様として実施することがで
きる。
【0007】この実施態様である補正装置による測定値
と補正値との関係は例えば図16にグラフで示すものと
なる。このグラフは、横軸に測定機による測定ワーク数
i、縦軸に測定値Xがとられている。データ蓄積段階に
おいて測定値Xが逐次蓄積され、その数が設定複数個と
なったときに補正値Uが決定される。しかし、その補正
値Uは直ちに測定値Xに反映されず、むだ時間の経過後
にはじめて反映され、その結果、測定値Xが階段状に大
きく変化する。その後、新たなデータ蓄積段階が開始さ
れる。
【0008】また、本出願人は、次のような別の補正装
置をも提案した。それは、補正値決定部が、測定機によ
る測定値を逐次蓄積し、蓄積した複数の測定値に基づ
き、加工機により次に加工されるべきワークの加工条件
の補正値を逐次決定するとともに、各補正値の決定時期
から、その各補正値の影響を受けた加工条件に従って最
初に加工されたワークである先頭補正ワークが測定機に
よって測定される時期までの間に測定機によって測定さ
れる複数の測定値を、その各補正値と同じ量だけシフト
させて蓄積する補正装置である。すなわち、この第2の
補正装置は、先頭補正ワークが測定機によって測定され
ることを待つことなく新たな補正値を決定可能とするた
め、補正値はそのまま測定値に反映されると仮定した上
で、補正値の決定時期からその補正値に係る先頭補正ワ
ークが測定機によって測定される時期までの間に測定機
によって測定される複数のワーク(以下「前回補正ワー
ク群」という)の複数の測定値をそれぞれその補正値と
同じ量だけずつシフトさせて蓄積することにより、前回
補正ワーク群に属する各ワークがさらにその補正値の影
響を受けた加工条件にも従って加工され、かつ、直ちに
測定機によって測定されたと仮定した場合に取得される
こととなる測定値を予測し、その予測後の測定値に基づ
いて新たな補正値を決定するのである。
【0009】この第2の補正装置による補正値と測定値
との関係は例えば図17にグラフで示すものとなる。こ
のグラフは図16のグラフと同様なグラフであるが、む
だ時間の経過中にもデータ蓄積が行われる。そして、そ
のデータ蓄積段階においては、測定値Xがそのまま蓄積
されるのではなく、グラフにおいて破線で示すようにシ
フトさせられて蓄積される。
【0010】なお、この第2の補正装置は、ある補正値
を決定した後、その補正値が測定値に反映されることを
待つことなく別の補正値を決定可能である。そのため、
ある補正値の決定時期とその補正値が測定値に反映され
る時期との間に別の補正値が決定される場合がある。こ
の場合には、測定値に反映される補正値は、最新の補正
値ではなく、未だ測定値に反映されていない補正値のう
ち最も先に決定されたものとなる。以下、この補正値を
最先未反映補正値という。
【0011】以上、本出願人が提案した第1の補正装置
と第2の補正装置の構成をそれぞれ説明したが、これら
の補正装置が補正値を精度よく、しかも迅速に決定する
ことができるようにするためには、先頭補正ワークが測
定機によって測定された時期を正確に把握することが必
要である。
【0012】待機ワーク数すなわちむだ時間が常に一定
であることが保証される場合には、そのむだ時間の長さ
の実際値を事前に求めておき、補正装置において内部パ
ラメータとして設定されるむだ時間(以下「設定むだ時
間」という)を実際のむだ時間に固定しておいても問題
はない。しかし、このように設定むだ時間を固定値とし
た場合には、実際のむだ時間が変動する場合には問題と
なる。
【0013】その問題の発生原因をまず、第1の補正装
置について具体的に説明する。この問題は特に、実際の
むだ時間が設定むだ時間より長い場合に重大である。こ
の場合、例えば、図26にグラフで示すように、実際の
むだ時間が経過せず、補正値Uが測定値Xに反映されな
いうちに新たなデータ蓄積段階が開始されてしまい、そ
のデータ蓄積段階においては補正値Uを反映しない測定
値Xが蓄積されてしまうからである。
【0014】この問題は、設定むだ時間を実際のむだ時
間の最大値より長く設定することによって解決すること
ができる。しかし、この場合には、実際のむだ時間が経
過しても設定むだ時間が経過しない限り新たなデータ蓄
積段階を開始することができず、新たな補正値を決定す
るまでに時間がかかり、補正値の決定を迅速に行うこと
ができないという別の問題が生じる。例えば図27に示
すように、1個の測定機が複数の個別加工ラインから成
る複合加工ラインによって複数の加工機と連携させられ
る場合があり、この場合には、実際のむだ時間の最大値
は、あるワークが加工される個別加工ラインとは別の個
別加工ライン上に存在する待機ワークの数の影響も受け
るため、かなり大きくなってしまう。そのため、特にこ
の場合には、ある補正値を決定してから新たな補正値を
決定するまでにかなり長い時間がかかり、ワークの加工
寸法の実際の変化に対して補正値を迅速に応答させるこ
とができない。
【0015】次に、設定むだ時間を固定値とした場合の
問題の発生原因を第2の補正装置について具体的に説明
する。例えば、設定むだ時間が実際のむだ時間より長い
場合には、実際のむだ時間の終了後にも測定値の予測が
行われ、その結果、例えば図28にグラフで示すよう
に、その実際のむだ時間の経過時期から設定むだ時間の
経過時期までの間の期間においては、既に補正値Uが反
映されている測定値Xに対してシフト(すなわち、予
測)が予定外に行われてしまい、同じ測定値において補
正の影響と予測の影響とが重なり合い、そのため、不正
確な測定値が蓄積され、補正値の決定精度が低下する。
また、逆に、設定むだ時間が実際のむだ時間より短い場
合には、実際のむだ時間が経過する前、すなわち、補正
値が測定値に反映される前に測定値の予測が終了してし
まい、実際のむだ時間の経過時期から設定むだ時間の経
過時期までの間においては、本来であれば予測が行われ
るべきであるにもかかわらず実際には予測が行われず、
この場合にも、不正確な測定値が蓄積され、補正値の決
定精度が低下する。
【0016】以上、実際のむだ時間が変動するにもかか
わらず設定むだ時間を固定値とした場合の問題を第1の
補正装置と第2の補正装置とについてそれぞれ具体的に
説明したが、それらの問題は、むだ時間を実際に測定す
る装置、例えば、加工機によりあるワークの加工が終了
する毎に、加工機と測定機との間に存在するワークの数
である待機ワーク数を実際に測定するワーク数カウンタ
を設置することによってある程度解消することができ
る。しかし、完全に解消されるわけではない。実際の加
工においては、あるワークの加工が終了し、そのワーク
についてワーク数カウンタによって待機ワーク数が測定
された後、加工機と測定機との間に存在しているワーク
が作業者によって何らかの理由で抜き取られる場合や、
何らかの理由で別の加工済ワークが挿入される場合があ
るからである。
【0017】以上、実際のむだ時間を正確に把握して補
正値を決定しないと補正精度が低下するという問題を第
1の補正装置と第2の補正装置とについてそれぞれ具体
的に説明したが、第2の補正装置についてはさらに以下
のような別の問題もある。
【0018】この第2の補正装置においては、前記のよ
うに、測定値の予測が、補正値がそのまま測定値に反映
されるとの仮定の下に、各測定値を補正値と同じ量でシ
フトさせることによって行われる。しかし、実際には、
例えば図29にグラフで示すように、補正値Uがそのま
ま測定値Xに反映されない場合がある。この場合に、例
えば図30にグラフで示すように、むだ時間の経過中に
おいて未だ補正値Uが反映されていない測定値Xに対し
て予測(シフト)を行うことによって求められた値と、
むだ時間の経過後に補正値Uが反映された測定値Xとの
間にやや大きな差が生じてしまい、測定値の予測精度が
低下し、ひいては補正値の決定精度も低下する。すなわ
ち、第2の補正装置には、補正値が測定値に反映される
量を実際に検出することなく、測定値に反映されるであ
ろうと見込まれる値で予測を行うため、予測の精度を高
めるにも限度があり、補正精度も十分に高めることがで
きないという別の問題があるのである。
【0019】以上、第1の補正装置と第2の補正装置と
が有するいくつかの問題を説明したが、それらの問題
は、補正値決定に必要な要素を実際値を考慮しないでオ
ープンループ方式で検出して補正値を決定することを原
因とする点で互いに共通すると考えることができる。
【0020】それらの事情を背景とし、請求項1の発明
は、フィードバック式加工条件補正装置において、測定
機によって順に測定される複数の測定値は補正値が反映
されたときに大きく変化するという事実を利用して補正
反映時期を実際値を考慮してクローズドループ方式で検
出して補正値を決定することにより、実際のむだ時間の
変動にもかかわらず精度よく補正値を決定することを課
題としてなされたものである。
【0021】また、請求項2の発明は、フィードバック
式加工条件補正装置において、測定機によって順に測定
される複数の測定値は補正値が測定値に反映されたとき
に大きく変化するという事実と、そのときの変化量が、
補正値が真に測定値に反映された量であるという事実と
の双方を利用して補正反映時期と補正反映量とをそれぞ
れをクローズドループ方式で検出して補正値を決定する
ことにより、実際のむだ時間および実際の補正反映量の
変動にもかかわらず精度よく補正値を決定することを課
題としてなされたものである。
【0022】加工条件をフィードバックで補正する技術
は、例えば、フィードバック式加工方法、すなわち、複
数のワークを加工機により順に加工し、その加工機によ
り加工された複数のワークを、加工機との間に少なくと
も1個の加工済ワークが存在する位置に配置された測定
機により順に測定し、その測定機による測定値に基づ
き、加工機により次に加工されるべきワークの加工条件
を補正する方法で採用される。そのため、このフィード
バック式加工方法にも、前記の場合と同様に、実際のむ
だ時間の変動や実際の補正反映量の変動があると補正精
度が低下するという問題がある。
【0023】そこで、請求項3の発明は、フィードバッ
ク式加工方法において、測定機によって順に測定される
複数の測定値は補正値が反映されたときに大きく変化す
るという事実を利用して補正反映時期を実際値を考慮し
てクローズドループ方式で検出して補正値を決定するこ
とにより、実際のむだ時間の変動にもかかわらず精度よ
く補正値を決定し、ワークの加工品質を向上させること
を課題としてなされたものである。
【0024】また、請求項4の発明は、フィードバック
式加工方法において、測定機によって順に測定される複
数の測定値は補正値が測定値に反映されたときに大きく
変化するという事実と、そのときの変化量が、補正値が
真に測定値に反映された量であるという事実との双方を
利用して補正反映時期と補正反映量とをそれぞれをクロ
ーズドループ方式で検出して補正値を決定することによ
り、実際のむだ時間および実際の補正反映量の変動にも
かかわらず精度よく補正値を決定し、ワークの加工品質
を向上させることを課題としてなされたものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】それぞれの課題を解決す
るために、請求項1の発明は、前記加工機,加工機制御
装置および測定機を備えるとともにそれら加工機と測定
機との間に少なくとも1個の待機ワークが存在する加工
システムにおいて使用されるべきフィードバック式加工
条件補正装置を、(a) 測定機による測定値の今回値と前
回値との差である測定値前後差を逐次求め、求めた測定
値前後差の変動状態が設定状態を超える毎に、測定機に
よる測定値に基づき、加工機により次に加工されるべき
ワークの加工条件の補正値を決定する補正値決定部と、
(b) 決定された補正値を加工機制御装置に供給する補正
値供給部とを含むものとしたことを特徴とする。
【0026】なお、ここに「補正値決定部」は例えば、
先頭補正ワークが測定される毎に、かつ、蓄積した測定
値の数が設定複数個になったときに新たな補正値を決定
する態様としたり、先頭補正ワークが測定される毎に、
かつ、新たな測定値を1個でも蓄積したときに新たな補
正値を決定する態様とすることができる。
【0027】請求項2の発明は、前記加工機,加工機制
御装置および測定機を備えるとともにそれら加工機と測
定機との間に少なくとも1個の待機ワークが存在する加
工システムにおいて使用されるべきフィードバック式加
工条件補正装置を、(a) 測定機による測定値を逐次蓄積
し、蓄積した複数の測定値に基づき、加工機により次に
加工されるべきワークの加工条件の補正値を決定する補
正値決定部であって、測定機による測定値の今回値と前
回値との差である測定値前後差を逐次求め、補正値の決
定時期から前記求めた測定値前後差の変動状態が設定状
態を超える時期までの間に測定機によって測定される複
数の測定値を、測定値前後差の変動状態が設定状態を超
えたときの測定値前後差の値と実質的に同じ量だけシフ
トさせ、そのシフト後の測定値に基づいて新たな補正値
を決定するものと、(b) 決定された補正値を加工機制御
装置に供給する補正値供給部とを含むものとしたことを
特徴とする。
【0028】請求項3の発明は、複数のワークを加工機
により順に加工し、その加工機により加工された複数の
ワークを、加工機との間に少なくとも1個の加工済ワー
クが存在する位置に配置された測定機により順に測定
し、その測定機による測定値に基づき、加工機により次
に加工されるべきワークの加工条件を補正するフィード
バック式加工方法を、測定機による測定値の今回値と前
回値との差である測定値前後差を逐次求め、求めた測定
値前後差の変動状態が設定状態を超える毎に、測定機に
よる測定値に基づき、加工機により次に加工されるべき
ワークの加工条件の補正値を決定する補正値決定工程を
含むものとしたことを特徴とする。
【0029】請求項4の発明は、複数のワークを加工機
により順に加工し、その加工機により加工された複数の
ワークを、加工機との間に少なくとも1個の加工済ワー
クが存在する位置に配置された測定機により順に測定
し、その測定機による測定値に基づき、加工機により次
に加工されるべきワークの加工条件を補正するフィード
バック式加工方法を、測定機による測定値を逐次蓄積
し、蓄積した複数の測定値に基づき、加工機により次に
加工されるべきワークの加工条件の補正値を決定する補
正値決定工程であって、測定機による測定値の今回値と
前回値との差である測定値前後差を逐次求め、補正値の
決定時期から前記求めた測定値前後差の変動状態が設定
状態を超える時期までの間に測定機によって測定される
複数の測定値を、測定値前後差の変動状態が設定状態を
超えたときの測定値前後差の値と実質的に同じ量だけシ
フトさせ、そのシフト後の測定値に基づいて新たな補正
値を決定するものを含むものとしたことを特徴とする。
【0030】
【作用】請求項1の発明に係るフィードバック式加工条
件補正装置においては、補正値決定部が、例えば図31
にグラフで示すように、測定機によって順に測定される
複数の測定値は先頭補正ワークが測定機によって測定さ
れたときに大きく変化するという事実を利用し、測定値
前後差の変動状態が設定状態を超える時期が最新の補正
値が測定値に反映された補正反映時期に一致するとし
て、測定値前後差の変動状態が設定状態を超える毎に新
たな補正値を決定する。
【0031】したがって、本発明によれば、実際の補正
反映時期を測定値からクローズドループ方式で把握して
補正値を決定するから、実際のむだ時間が変動しても補
正精度は低下せず、また、実際のむだ時間を測定するた
めにワーク数カウンタを設置することが不可欠ではなく
なる。
【0032】請求項2の発明に係るフィードバック式加
工条件補正装置においては、補正値決定部が、例えば図
31に示すように、測定機によって順に測定される複数
の測定値は先頭補正ワークが測定機によって測定された
ときに大きく変化するという事実と、そのときの変化量
が補正値が真に測定値に反映された量に一致するという
事実との双方を利用し、測定値前後差の変動状態が設定
状態を超える時期が補正反映時期に一致し、かつ、その
時期における測定値前後差の値が補正値が測定値に反映
された補正反映量に一致するとして、補正値の決定時期
から測定値前後差の変動状態が設定状態を超える時期ま
での間に測定機によって測定される複数の測定値を、測
定値前後差の変動状態が設定状態を超えたときの測定値
前後差の値と実質的に同じ量だけシフトさせ、そのシフ
ト後の測定値に基づいて新たな補正値を決定する。
【0033】したがって、本発明によれば、実際の補正
反映時期と実際の補正反映量とをそれぞれ測定値からク
ローズドループ方式で把握して補正値を決定するから、
実際のむだ時間が変動しても補正精度は低下せず、ま
た、実際の補正反映時期を検出するためにワーク数カウ
ンタを設置することが不可欠ではなくなり、さらに、実
際の補正反映量が変動しても補正精度は低下しない。
【0034】本発明装置においては、ある補正値が決定
されてからその補正値が測定値に反映されて測定値前後
差の変動状態が設定状態を超える時期までに別の補正値
が決定されず、測定値前後差の変動状態が設定状態を超
える時期以後に別の補正値が決定される場合には、その
別の補正値を決定する際に使用される、測定値前後差の
変動状態が設定状態を超える時期以前に蓄積された測定
値に対し、測定値前後差に基づくシフトが行われるた
め、前記のように、各補正値がそのまま測定値に反映さ
れると仮定し、各補正値に基づいてオープンループ方式
で測定値予測を行う場合に比較し、測定値予測の精度が
向上する。
【0035】また、本発明装置においては、測定値前後
差の変動状態が設定状態を超える前であっても測定値が
蓄積されて新たな補正値が決定されるため、ある補正値
が決定されてからその補正値が測定値に反映される時期
までの間に別の補正値が決定される場合もある。この場
合、その別の補正値が前記補正値供給部によって前記加
工機制御装置に供給されてしまった後には、測定値前後
差に基づくクローズドループ方式のシフトは行うことが
できず、補正値に基づくオープンループ方式のシフトし
か行うことができない。したがって、本発明装置におい
ては例えば、ある補正値の決定時期からその補正値が測
定値に反映される時期までの間に別の補正値が決定され
るか否かを問わず、ある補正値の決定時期からその補正
値が測定値に反映される前には暫定的に、補正値に基づ
くオープンループ方式のシフトを行って別の補正値を決
定可能とし、その補正値が測定値に反映された後には、
そのときに既に蓄積されていた測定値についてはその暫
定的なシフトの影響を除去することを条件に、測定値前
後差に基づくクローズドループ方式のシフトを行うこと
が望ましい。
【0036】請求項3の発明に係るフィードバック式加
工方法においては、補正値決定工程により、測定機によ
る測定値の今回値と前回値との差である測定値前後差が
逐次求められ、求められた測定値前後差の変動状態が設
定状態を超える毎に、測定機による測定値に基づき、加
工機により次に加工されるべきワークの加工条件の補正
値が決定される。
【0037】請求項4の発明に係るフィードバック式加
工方法においては、補正値決定工程により、測定機によ
る測定値が逐次蓄積され、蓄積された複数の測定値に基
づき、加工機により次に加工されるべきワークの加工条
件の補正値が決定されるとともに、測定機による測定値
の今回値と前回値との差である測定値前後差が逐次求め
られ、補正値の決定時期から前記求められた測定値前後
差の変動状態が設定状態を超える時期までの間に測定機
によって測定される複数の測定値が、測定値前後差の変
動状態が設定状態を超えたときの測定値前後差の値と実
質的に同じ量だけシフトさせられ、そのシフト後の測定
値に基づいて新たな補正値が決定される。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1または3の発明によれば、実際のむだ時間を正確に把
握しつつ補正値が決定されるから、実際のむだ時間の変
動にもかかわらず補正精度が低下せず、また、設定むだ
時間を実際のむだ時間の最大値に固定する場合に比較
し、1個の補正値決定にかかる時間が短縮され、ワーク
の実際の加工寸法の変化に対して補正値を迅速に応答さ
せることが可能となり、加工品質が向上するという効果
が得られる。
【0039】また、請求項2または4の発明によれば、
実際の補正反映時期と実際の補正値反映量とをそれぞれ
正確に把握しつつ補正値が決定されるから、実際のむだ
時間および実際の補正値反映量の変動にもかかわらず補
正精度が低下せず、加工品質が向上するという効果が得
られる。
【0040】
【発明の望ましい実施態様】以下、各請求項の発明の望
ましい実施態様のいくつかを列挙する。 (1) 各請求項の発明であって、前記補正値決定部または
補正値決定工程が、前記測定機により新たな測定値が測
定されるごとに測定値前後差変動状態判定を行い、か
つ、各回の測定値前後差変動状態判定において、そのと
き以前に順に測定された複数の測定値が、先に測定され
た少なくとも1個の測定値から成る測定値群と後に測定
された少なくとも1個の測定値から成る測定値群であっ
て最新の測定値を含むものとに分けられ、それら各測定
値群を代表する代表値がそれぞれ決定され、それら2つ
の代表値の差が測定値前後差とされ、その今回の測定値
前後差が前回の測定値前後差より小さく、かつ、その前
回の測定値前後差が前々回の測定値前後差より大きい場
合、すなわち、測定値前後差が測定ワーク数の増加に対
して極値を示す場合には、現在、測定値前後差の変動状
態が設定状態を超えたと判定するものであるフィードバ
ック式加工条件補正装置またはフィードバック式加工方
法。
【0041】この実施態様を例えば、図32に示すよう
に、先の測定値群も後の測定値群も1個の測定値(図に
おいて丸印で表す)から成るように実施した場合には、
それら2つの測定値群がいずれも先頭補正ワークの測定
値を含まないときの測定値前後差をΔHi-2 、後の測定
値群が先頭補正ワークの測定値を含むときの測定値前後
差をΔHi-1 、先の測定値群が先頭補正ワークの測定値
を含み、かつ、後の測定値群が先頭補正ワークに後続す
るワークの測定値を含むときの測定値前後差をΔHi
表せば、それら3つの測定値前後差ΔHは測定値数の増
加につれて、図33にグラフで表すように変化する。す
なわち、測定値前後差ΔHは、後の測定値群のみが先頭
補正ワークの測定値を含む時期に変動状態が設定状態を
超えるように変化し、このとき、現在、先頭補正ワーク
が測定機によって測定された直後であると判定される。
【0042】また、図34に示すように、先の測定値群
も後の測定値群も2個の測定値(図において丸印で表
す)から成るように実施した場合には、それら2つの測
定値群がいずれも、先頭補正ワークの測定値もその先頭
補正ワークに後続するワークである後続補正ワークの測
定値も含まないときの測定値前後差をΔHi-4 、後の測
定値群のみが先頭補正ワークの測定値のみを含むときの
測定値前後差をΔHi-3、後の測定値群のみが先頭補正
ワークの測定値と後続補正ワークの測定値との双方を含
むときの測定値前後差をΔHi-2 、先の測定値群が先頭
補正ワークの測定値のみを含み、かつ、後の測定値群が
2個の後続補正ワークの測定値を含むときの測定値前後
差をΔHi-1 、先の測定値群が先頭補正ワークの測定値
と後続補正ワークの測定値との双方を含み、かつ、後の
測定値群が2個の後続補正ワークの測定値を含むときの
測定値前後差をΔHi で表せば、それら5つの測定値前
後差ΔHは時間の経過につれて、図35にグラフで表す
ように変化する。すなわち、測定値前後差ΔHは、後の
測定値群のみが先頭補正ワークおよび後続補正ワークの
測定値を含む時期に変動状態が設定状態を超えるように
変化し、このときに、現在、先頭補正ワークが測定機に
よって測定された直後であると判定される。
【0043】(2) (1) の発明であって、前記補正値決定
部または補正値決定工程が、前記測定値前後差が極値を
示したならば直ちに、測定値前後差の変動状態が設定状
態を超えたと判定するものであるフィードバック式加工
条件補正装置またはフィードバック式加工方法。
【0044】(3) (1) の発明であって、前記補正値決定
部または補正値決定工程が、前記測定値前後差が極値を
示し、かつ、そのときの測定値前後差が設定値を超えて
いるときにはじめて、測定値前後差の変動状態が設定状
態を超えたと判定するものであるフィードバック式加工
条件補正装置またはフィードバック式加工方法。
【0045】この実施態様によれば、補正値が反映され
る以外の原因で測定値が変動した場合でも、それに起因
して不正確な補正値が決定されることが抑制され、補正
値の決定精度が向上するという効果が得られる。
【0046】(4) 各請求項の発明であって、前記補正値
決定部または補正値決定工程が、前記測定値前後差が設
定値以上であるときに、測定値前後差の変動状態が設定
状態を超えたと判定するものであるフィードバック式加
工条件補正装置またはフィードバック式加工方法。
【0047】この実施態様は、測定値前後差は、それの
変動状態が設定状態を超えた場合において超えない場合
におけるより一般的に大きいという事実を利用し、測定
値前後差の変動状態が設定状態を超える時期を間接的に
判定するものである。
【0048】(5) 各請求項の発明であって、前記補正値
決定部または補正値決定工程が、前記測定機により新た
な測定値が測定されるごとに測定値前後差変動状態判定
を行い、かつ、各回の測定値前後差変動状態判定におい
て、そのとき以前に順に測定された複数の測定値が、先
に測定された複数の測定値から成る測定値群と後に測定
された複数の測定値から成る測定値群であって最新の測
定値を含むものとに分けられ、それら各測定値群につい
てそれに属する複数の測定値全体としての変動幅がそれ
ぞれ決定され、それら2つの変動幅の差が前記測定値前
後差とされ、その測定値前後差が先の測定値群の変動幅
の設定数倍以上であることと後の測定値群の変動幅の設
定数倍以上であることとの少なくとも一方が満たされた
ときに、現在、測定値前後差の変動状態が設定状態を超
えたと判定するものであるフィードバック式加工条件補
正装置またはフィードバック式加工方法。
【0049】(6) 請求項2または4の発明であって、前
記補正値決定部または補正値決定工程が、各補正値の決
定時期から前記先頭補正ワークが測定機によって測定さ
れる時期までの間、測定値が取得される毎に、各測定値
を暫定的なシフト量である各補正値と同じ量だけシフト
させることによって前記測定値予測を暫定的に行い、前
記測定値前後差の変動状態が設定状態を超えたと判定さ
れた時点で、予測後の測定値の各々から前記暫定的なシ
フト量の影響を除去した後に、その除去後の測定値を最
終的なシフト量である、前記測定値前後差の変動状態が
設定状態を超えたときの測定値前後差の値と実質的に同
じ値だけシフトさせることによって前記暫定的な測定値
予測の修正を行うものであるフィードバック式加工条件
補正装置またはフィードバック式加工方法。
【0050】この実施態様においては、例えば図36に
示すように、測定値Xが90(単位は任意)として取得
されたとき、目標値が100と仮定されているため、補
正値Uが+10とされ、暫定的なシフト量として+10
が決定される。したがって、このとき、予測後の測定値
として100が蓄積されることになる。しかし、その後
測定値Xに現れた変動量は+4だけであるから、まず、
予測後の測定値Xから暫定的なシフト量+10が減算さ
れ、その値に最終的なシフト量として+4を加算するこ
とにより、測定値予測の修正が行われることになる。
【0051】(7) 請求項2または4の発明であって、前
記補正値決定部または補正値決定工程が、各補正値の決
定時期から前記先頭補正ワークが測定機によって測定さ
れる時期までの間、前記暫定的な測定値予測を行わず、
前記測定値前後差の変動状態が設定状態を超えたと判定
された時点で、それまでに蓄積された各測定値をシフト
量としての、測定値前後差のそれの変動状態が設定状態
を超えたときの値と実質的に同じ量だけシフトさせるこ
とによってはじめて前記測定値予測を行うものであるフ
ィードバック式加工条件補正装置またはフィードバック
式加工方法。
【0052】(8) (1) 〜(7) ,各請求項の発明であっ
て、前記補正値決定部または補正値決定工程が、前記待
機ワーク数について最小値が予め設定され、実際の待機
ワーク数が最小値であると仮定した場合に対応する前記
先頭補正ワークが前記測定機によって測定されることと
なる測定値そのもの、またはその測定値より1回だけ先
に測定されることとなる測定値が前記後の測定値群に最
初に含まれることとなったときに一連の前記測定値前後
差変動状態判定を開始するものであるフィードバック式
加工条件補正装置またはフィードバック式加工方法。
【0053】なお、図37には、各測定値群に属する測
定値(図において丸印で表す)の数が2個であり、か
つ、待機ワーク数が最小値であると仮定した場合の先頭
補正ワーク(図において黒色の丸印で表す)が測定機に
よって測定されることとなる測定値そのものが後の測定
値群に最初に含まれることとなったときに一連の測定値
前後差変動状態判定が開始される場合の一例が概念的に
示されている。
【0054】(9) (1) 〜(8) ,各請求項の発明であっ
て、前記補正値決定部または補正値決定工程が、前記待
機ワーク数について最大値が予め設定され、実際の待機
ワーク数が最大値であると仮定した場合に対応する前記
先頭補正ワークが測定機によって測定されることとなる
測定値そのもの、またはその測定値より1回だけ後に測
定されることとなる測定値が前記先の測定値群に最後に
含まれることとなったときに一連の前記測定値前後差変
動状態判定を終了するものであるフィードバック式加工
条件補正装置またはフィードバック式加工方法。
【0055】なお、図38には、各測定値群に属する測
定値(図において丸印で表す)の数が2個であり、か
つ、待機ワーク数が最大値であると仮定した場合の先頭
補正ワーク(図において黒色の丸印で表す)が測定機に
よって測定されることとなる測定値そのものが先の測定
値群に最後に含まれることとなったときに一連の測定値
前後差変動状態判定が開始される場合の一例が概念的に
示されている。
【0056】(10)(1) 〜(9) ,各請求項の発明であっ
て、前記補正値決定部または補正値決定工程が、前記待
機ワーク数について最大値と最小値とが予め設定され、
実際の待機ワーク数が最小値であると仮定した場合に対
応する前記先頭補正ワークが測定機によって測定された
測定値そのもの、またはその測定値より1回だけ先に測
定されることとなる測定値が前記先の測定値群に含まれ
ることとなったときに一連の前記測定値前後差変動状態
判定を開始し、実際の待機ワーク数が最大値であると仮
定した場合に対応する前記先頭補正ワークが測定機によ
って測定された測定値そのもの、またはその測定値より
1回だけ後に測定されることとなる測定値が前記後の測
定値群に含まれることとなったときに一連の前記測定値
前後差変動状態判定を終了するものであるフィードバッ
ク式加工条件補正装置またはフィードバック式加工方
法。
【0057】(11)(10)の発明であって、前記補正値決定
部または補正値決定工程が、一連の前記測定値前後差変
動状態判定において測定値前後差の変動状態が設定状態
を超えなかったと判定された場合には、実際の前記待機
ワーク数が最小値または最大値であると仮定した場合に
対応する先頭補正ワークが測定機によって測定されるこ
ととなる時期が、実際に先頭補正ワークが測定機によっ
て測定された時期であると判定するものであるフィード
バック式加工条件補正装置またはフィードバック式加工
方法。
【0058】なお、この実施態様は特に、補正値決定部
または補正値決定工程が、一連の測定値前後差変動状態
判定において測定値前後差の変動状態が設定状態を超え
なかったと判定された場合に、実際の待機ワーク数が最
大値であると仮定した場合の先頭補正ワークが測定機に
よって測定されることとなる時期が、実際に先頭補正ワ
ークが測定機によって測定された時期であると判定する
ように実施する場合には、新たな補正値が決定されるま
での時間がかかるという問題はあるものの、未だ補正値
が反映されていない測定値に基づいて新たな補正値が決
定される事態から回避され、補正値の信頼性が向上する
という利点がある。
【0059】(12)(1) 〜(11),各請求項の発明であっ
て、さらに、前記待機ワーク数を直接に測定するワーク
数カウンタであって、前記加工機からワークが搬出され
る毎にカウント値を1ずつ増加させ、測定機に搬入され
る毎に1ずつ減少させるものを有し、前記補正値決定部
または補正値決定工程が、そのワーク数カウンタによる
カウント値を、前記測定値前後差変動状態判定の判定結
果に基づいて校正するものであるフィードバック式加工
条件補正装置またはフィードバック式加工方法。
【0060】(13)(12)の発明であって、前記補正値決定
部または補正値決定工程が、前記ワーク数カウンタによ
るカウント値に基づき、前記先頭補正ワークが前記測定
機によって測定されることなる時期を判定するものであ
るフィードバック式加工条件補正装置またはフィードバ
ック式加工方法。
【0061】この実施態様では、補正値決定部または補
正値決定工程が、先頭補正ワークが測定機によって測定
されることとなる時期を、ワーク数カウンタを利用して
オープンループ方式で判定するため、本発明による、む
だ時間変動に対する正確性向上という、クロードズルー
プ方式の利点のみならず、早期に先頭補正ワークの測定
時期を決定できるという、オープンループ方式の利点を
も享受することができる。
【0062】(14)請求項1または3の発明であって、前
記補正値決定部または補正値決定工程が、前記測定機に
よる測定値を逐次蓄積し、蓄積された測定値の数が設定
複数個になったときに、蓄積された設定複数個の測定値
に基づき、加工機により次に加工されるべきワークの加
工条件の補正値を逐次決定するとともに、前記先頭補正
ワークが測定機により測定される毎に測定値の蓄積を無
蓄積状態から再開するものであるフィードバック式加工
条件補正装置またはフィードバック式加工方法。
【0063】(15)請求項2または4の発明であって、前
記補正値決定部または補正値決定工程が、前記測定機に
よる測定値を逐次蓄積し、蓄積された測定値の数が設定
複数個になったときに、蓄積された設定複数個の測定値
に基づき、加工機により次に加工されるべきワークの前
記加工条件の補正値を逐次決定するものであるフィード
バック式加工条件補正装置またはフィードバック式加工
方法。
【0064】(16)(1) 〜(15),各請求項の発明であっ
て、図4に機能ブロック図で概念的に示すように、
前記加工機が、それの加工中にワークの寸法を測定する
インプロセス測定機12を備えた加工機10であり、
前記加工機制御装置が、インプロセス測定機12によ
り測定された加工中測定値が定寸点(加工終了時期を規
定する寸法値)に達したときに加工機10による加工を
終了させるとともに、その定寸点が外部からの補正値U
に応じて補正される定寸装置14であり、 前記測定
機が、加工後のワークの寸法を測定して測定値Xを出力
するポストプロセス測定機16であり、 前記補正値
決定部および補正値供給部が、前記ポストプロセス測定
機16と前記定寸装置14とにそれぞれ接続され、少な
くともワークの加工寸法の目標値A0 とポストプロセス
測定機16による測定値Xとの誤差値Rに基づいて定寸
点の補正値Uを決定し、決定した補正値Uを前記定寸装
置14に供給する制御装置20であるフィードバック式
加工条件補正装置またはフィードバック式加工方法。
【0065】(17)(1) 〜(16),各請求項の発明であっ
て、前記補正値決定部または補正値決定工程が、測定値
Xとワークの加工寸法の目標値A0 との差である誤差値
Rのみならずそれの変化傾向(誤差値Rが測定値数の増
加につれて変化する傾向であり、例えば、微分値T)に
も基づいて補正値を決定するものであるフィードバック
式加工条件補正装置またはフィードバック式加工方法。
【0066】(18)(1) 〜(17),各請求項の発明であっ
て、前記補正値決定部または補正値決定工程が、互いに
直交する2座標軸の一方が、測定機により測定された測
定値の数の変化を表し、他方が、各測定値を表すグラフ
上において、測定機により順に測定された複数の測定値
を1本の直線で近似した場合のその直線の勾配を決定
し、その勾配を前記微分値Tとして取得するものである
フィードバック式加工条件補正装置またはフィードバッ
ク式加工方法。
【0067】(19)(18)の発明であって、前記補正値決定
部または補正値決定工程が、前記測定機による測定値に
基づいて直接に補正値を決定するのではなく、蓄積され
た複数の測定値について移動平均値を求め、その移動平
均値に基づいて間接に補正値を決定するものであるフィ
ードバック式加工条件補正装置またはフィードバック式
加工方法。
【0068】(20)(a) 複数のワークを順に加工する加工
機と、(b) 外部から供給された補正値に基づいて前記加
工機の加工条件を決定し、その決定した加工条件に従っ
て前記加工機を制御する加工機制御装置と、(c) 前記加
工機により加工された複数のワークの寸法を順に測定す
る測定機とを備え、それら加工機と測定機との間にその
測定機による測定を待つ少なくとも1個のワークが存在
する加工システムにおいて使用されるべきフィードバッ
ク式加工条件補正方法であって、前記測定機による測定
値の今回値と前回値との差である測定値前後差を逐次求
め、求めた測定値前後差の変動状態が設定状態を超える
毎に、前記測定機による測定値に基づき、前記加工機に
より次に加工されるべきワークの前記加工条件の補正値
を決定する補正値決定工程と、決定された補正値を前記
加工機制御装置に供給する補正値供給工程とを含むこと
を特徴とするフィードバック式加工条件補正方法。
【0069】(21)(a) 複数のワークを順に加工する加工
機と、(b) 外部から供給された補正値に基づいて前記加
工機の加工条件を決定し、その決定した加工条件に従っ
て前記加工機を制御する加工機制御装置と、(c) 前記加
工機により加工された複数のワークの寸法を順に測定す
る測定機とを備え、それら加工機と測定機との間にその
測定機による測定を待つ少なくとも1個のワークが存在
する加工システムにおいて使用されるべきフィードバッ
ク式加工条件補正方法であって、前記測定機による測定
値を逐次蓄積し、蓄積した複数の測定値に基づき、前記
加工機により次に加工されるべきワークの前記加工条件
の補正値を決定する補正値決定工程であって、前記測定
機による測定値の今回値と前回値との差である測定値前
後差を逐次求め、補正値の決定時期から前記求めた測定
値前後差の変動状態が設定状態を超える時期までの間に
前記測定機によって測定される複数の測定値を、前記測
定値前後差のそれの変動状態が設定状態を超えたときの
値と実質的に同じ量だけシフトさせ、そのシフト後の測
定値に基づいて新たな補正値を決定するものと、決定さ
れた補正値を前記加工機制御装置に供給する補正値供給
工程とを含むことを特徴とするフィードバック式加工条
件補正方法。
【0070】
【実施例】以下、各請求項の発明を図示の実施例である
フィードバック式の定寸点補正装置に基づいて具体的に
説明する。
【0071】この定寸点補正装置は、自動車のエンジン
のクランクシャフトを加工すべきワークとし、それに予
め形成されている複数のジャーナル面の各々を加工部位
として円筒研削する加工システムと共に使用される。こ
こにクランクシャフトとは、図1に示すように、互いに
同軸的に並んだ7個の外周円筒面(以下単に「円筒面」
という)であるジャーナル面を有するワークである。
【0072】加工システムは、図2に示すように、加工
ライン,加工機10,2個のインプロセス測定機12
(図には1個として示す),定寸装置14,モータコン
トローラ15,ポストプロセス測定機16,制御装置2
0,補助記憶装置22等から構成されている。すなわ
ち、加工機10が各請求項の発明における「加工機」の
一例であり、定寸装置14およびモータコントローラ1
5が「加工機制御装置」の一例であり、ポストプロセス
測定機16が「測定機」の一例であり、制御装置20が
「フィードバック式加工条件補正装置」の一例なのであ
る。以下、それら各要素について具体的に説明する。
【0073】加工ラインは、図において矢印付きの太い
実線で表されており、複数のワークが一列に並んで上流
側から下流側に向かって(図において左側から右側に向
かって)搬送されるものである。
【0074】加工機10は、クランクシャフトの7個の
ジャーナル面の各々に対し、加工具としての円形状の砥
石により、円筒研削を行うものである。具体的には、図
3に示すように、複数の砥石が同軸的に並んだ砥石群3
0とクランクシャフトとを接触回転させることにより、
7個のジャーナル面すべてに対して同時に円筒研削を行
うマルチ研削盤である。以下、その構成を簡単に説明す
る。
【0075】加工機10は、ワークのためのワークテー
ブル32を備えている。このワークテーブル32は加工
機10の図示しない主フレームに取り付けられている。
ワークテーブル32には、ワークをそれの軸線回りに回
転可能に保持する保持装置(図示しない)とその保持さ
れたワークを回転させるワークモータ34とが設けられ
ている。
【0076】加工機10はさらに、砥石群30のための
前進・後退テーブル36とスイングテーブル38とを備
えている。前進・後退テーブル36は前記主フレーム
に、前記ワークテーブル32に保持されているワークに
対する直角な方向における往復運動が可能な状態で取り
付けられている。一方、スイングテーブル38は、その
前進・後退テーブル36に、砥石軸線(図において一点
鎖線で示す)上にそれに直交する状態で設定されたスイ
ング軸線(図において紙面に直角な方向に延びる直線)
を中心としたスイングが可能(右回転も左回転も可能)
な状態で取り付けられている。前進・後退テーブル36
の前進・後退は主フレームに固定の前進・後退モータ4
0により、スイングテーブル38のスイングは前進・後
退テーブル36に固定のスイングモータ42によりそれ
ぞれ実現される。すなわち、この加工機10において
は、砥石軸線とワークの回転軸線との成す角度(以下
「切込み角」という)がスイングモータ42により調整
可能なのである。
【0077】前記2個のインプロセス測定機12はこの
加工機10に取り付けられている。それらインプロセス
測定機12はそれぞれ、図1に示すように、1個の円筒
面を外周両側から挟む一対の測定子を有し、電気マイク
ロメータ方式によりその円筒面の直径を測定するもので
ある。それらインプロセス測定機12は、7個のジャー
ナル面について個々に用意されているわけではなく、同
図に示すように、両端のジャーナル面、すなわち第1ジ
ャーナル面と第7ジャーナル面(以下「2個の端円筒
面」ともいう)についてのみ用意されている。
【0078】前記定寸装置14は、図3に示すように、
それらインプロセス測定機12にそれぞれ接続されてい
る。定寸装置14は、CPU,ROM,RAMおよびバ
スを含むコンピュータを主体として構成されていて、図
4に構成ブロック図で概念的に示すように、加工機10
による研削中、2個の端円筒面のそれぞれの直径を各イ
ンプロセス測定機12を介して監視し、それら各端円筒
面における残存切込み量(最終寸法に到達するまでに切
り込むことが必要な量)が各設定量(各端円筒面ごとに
存在する)に到達したときにはその旨の信号(以下「設
定量到達信号」という)を、各最終寸法すなわち各定寸
点(各端円筒面ごとに存在する)に到達したときにはそ
の旨の信号(以下「定寸点到達信号」という)を前記モ
ータコントローラ15に各端円筒面に関連付けてそれぞ
れ出力する。
【0079】定寸装置14はまた、各定寸点の補正が可
能に設計されている。具体的には、前記制御装置20か
ら各補正値U(各端円筒面ごとに存在する)が供給され
れば、現在の各定寸点にその各補正値Uを加算すること
によって現在の各定寸点を変更し、供給されなければ現
在の各定寸点をそのままに維持するように設計されてい
る。すなわち、定寸装置14は、制御装置20により定
寸点が自動補正されるようになっているのである。定寸
装置14はまた、図2に示すように、キーボード50に
より作業者からの指令,情報等が入力されるようにも設
計されている。
【0080】前記モータコントローラ15は図3に示す
ように、それら定寸装置14,前進・後退モータ40等
に接続されている。モータコントローラ15は、作業者
からの指令や定寸装置14からの信号等に基づき、前進
・後退モータ40等を制御する。
【0081】ところで、加工機10は、粗研,精研,ス
パークアウト等のいくつかの段階を順に経て一回の円筒
研削を終了する。粗研は、前記残存切込み量が前記設定
量に達するまで実行され、精研は、直径が前記定寸点に
達するまで実行される。定寸装置14から各端円筒面ご
とに供給されるべき2個の設定量到達信号はその供給時
期が一致しないのが普通であり、モータコントローラ1
5は、粗研段階では、信号供給時期の不一致量に応じて
前進・後退モータ40およびスイングモータ42を制御
し、これにより、前記切込み角を適正に制御する。ま
た、精研においては、それに先立つ粗研において切込み
角が適正となっているはずであるから、モータコントロ
ーラ15は、前進・後退モータ40のみを運転させるこ
とにより、砥石群30のワークへの切込みを続行し、2
個の端円筒面のいずれかについてでも定寸点到達信号が
供給されれば、前進・後退モータ40を停止させ、スパ
ークアウトを行った後に、前進・後退モータ40を逆回
転させることにより砥石群30をワークから後退させ
る。
【0082】前記ポストプロセス測定機16は、図2に
示すように、加工ラインの、加工機10の下流側に配置
されている。ポストプロセス測定機16は、1個のワー
クにおける円筒面の数と同数設けられており、前記イン
プロセス測定機12と同じ方式により、加工機10から
搬出されたワークすべてについて順に、円筒面すべてに
ついて個々に直径を測定する。このポストプロセス測定
機16が前記制御装置20の入力側に接続されている。
【0083】前記制御装置20は、CPU,ROM,R
AMおよびバスを含むコンピュータを主体として構成さ
れており、そのROMにおいて定寸点補正ルーチンを予
め記憶させられている。また、この制御装置20は、前
記補助記憶装置22にも接続されていて、ポストプロセ
ス測定機16から入力された測定値X,それに基づいて
決定した補正値U等をすべて保存するように設計されて
いる。一連の加工の終了後に作業者がその加工状況を診
断する際などに使用するためである。なお、RAMに
は、後述の補正値演算用メモリ,補正反映情報演算用メ
モリ等の各種メモリや、後述の補正反映前フラグ等の各
種フラグが設けられている。
【0084】上記定寸点補正ルーチンの主要部が図5〜
9にフローチャートで表されており、それら図に基づい
て制御装置20の構成を説明するが、まず、概略的に説
明する。
【0085】この制御装置20は、図4に機能ブロック
図で概念的に示すように、ポストプロセス測定機16に
よる測定値Xをフィードバックすることにより、加工機
10により次に加工されるべきワークについての定寸点
の補正値Uを決定するものである。この加工システムに
おいては、加工機10とポストプロセス測定機16との
間にそのポストプロセス測定機16による寸法測定を待
つ少なくとも1個のワークが存在する。そのため、この
制御装置20は、補正値Uが入力信号、寸法情報が出力
信号であるとともにそれら入力信号と出力信号との間に
むだ時間MSが存在する制御システムを想定し、フィー
ドバック式で定寸点を補正する。すなわち、本実施例に
おいては、定寸点が各請求項の発明における「加工条
件」の一態様なのである。
【0086】この制御装置20における処理の流れを簡
単に説明すれば、図10に示すようになる。
【0087】まず、第1ステップとして、ポストプロセ
ス測定機16から測定値Xが入力され、続いて、第2ス
テップとして、その測定値Xから隣接間ばらつきを除去
するために、今回までに取得された測定値Xに対して移
動平均値Pが算出される。測定値Xからポストプロセス
測定機16から出力される毎に前記補正値演算用メモリ
に蓄積され、それに蓄積された複数の測定値Xに基づい
て移動平均値Pが算出されるのである。
【0088】次に、第3ステップとして、その移動平均
値Pに対して両端直径補正(後に詳述する)が行われ、
さらに、第4ステップとして、その両端直径補正が行わ
れた移動平均値P(これも補正値演算用メモリに蓄積さ
れる)に基づき、その移動平均値Pとワークの加工寸法
の目標値A0 との差である誤差値Rとその誤差値Rの微
分値Tとがそれぞれ寸法情報として算出される。その
後、第5ステップとして、それら寸法情報に基づき、フ
ァジィ推論を用いて補正値Uを演算するファジィ演算が
行われる。続いて、第6ステップとして、その演算され
た補正値Uが、それの連続性が考慮されることによって
補正される。その後、第7ステップとして、補正値Uが
定寸装置14に送信される。そして、その補正値Uに基
づき、加工機10がワークを加工する。
【0089】すなわち、本実施例においては、図10の
第1〜第7ステップおよび補正値Uに基づく加工工程全
体が、請求項3および4の各発明に係る「フィードバッ
ク式加工方法」の一例なのである。
【0090】なお、この制御装置20には、ワークの7
個のジャーナル面すべてについて個々に測定値Xが入力
されるが、基本的には、第1ジャーナル面および第7ジ
ャーナル面のそれぞれの測定値X、すなわち、各端円筒
面の測定値Xに基づいて、前記定寸装置14における各
端円筒面に対応する補正値Uがそれぞれ決定される。
【0091】以上、この制御装置20の全体の流れを簡
単に説明したが、以下、この流れにおける各概念につい
て個々に説明する。
【0092】まず、移動平均値Pの算出(図10の第2
ステップ)について説明する。測定値Xはポストプロセ
ス測定機16により時系列データとして取得され、多く
の隣接間ばらつきを含んでいる。そこで、本実施例にお
いては、隣接間ばらつきを除去してワークの真の寸法を
推定するために、今回の測定値Xおよび前回までに取得
された最新の少なくとも1個の測定値Xにつき、重み付
きの移動平均値Pが算出され、それが測定値Xの真の値
として使用される。
【0093】この移動平均値Pは、次のようにして算出
される。すなわち、今回までに取得された最新のK(2
以上の固定値)個の測定値Xに基づき、次式(K=5の
場合)で表される如き計算式を用いて今回の移動平均値
i が算出されるのである。
【0094】
【数1】
【0095】ここに「i」は、ポストプロセス測定機1
6により測定されたワークの数(以下「測定ワーク数」
という)を表す。
【0096】また、「bi-4 」〜「bi 」が、今回の移
動平均値Pi の算出に必要な測定値Xの数(=K)と同
数の重み係数である。
【0097】次に、両端直径補正(図10の第3ステッ
プ)について説明する。この制御装置20が接続される
加工システムにおいては、前述のように、ワークの全円
筒面のうちの2個の端円筒面の直径にのみ基づいて砥石
群30が作動させられる。そのため、2個の端円筒面の
測定値Xのみを考慮し、それ以外の円筒面の測定値Xを
考慮しないで定寸点を補正する場合には、各円筒面の加
工精度がそれの全体において十分に均一にならない場合
がある。
【0098】そこで、本実施例においては、この問題を
解決するために次のような技術が採用されている。すな
わち、図11にグラフで概念的に示すように、ワークに
おける各円筒面の軸方向位置(図に「1J」〜「7J」
で表す)と各円筒面の直径(すなわち、移動平均値P)
とが比例関係にあると仮定し、2個の端円筒面の測定値
Xをそれぞれ補正するという両端直径補正という技術が
採用されているのである。
【0099】この両端直径補正の一具体例は、次のよう
である。すなわち、両端直径補正計算式として、
【0100】
【数2】
【0101】なる式、すなわち、1次回帰線を表す式が
採用され、これを用いることにより、各端円筒面の移動
平均値Pの修正値が算出されるのである。ただし、 x:ジャーナル面の番号(第1ジャーナル面から第7ジ
ャーナル面に向かって1から7まで付されている) x′:7個のxの値の平均値 y:xの各値における移動平均値Pの修正値 P:xの各値における移動平均値Pの計算値 P′:7個の移動平均値Pの計算値の平均値
【0102】具体的には、第1ジャーナル面について
は、上記式の「x」に1を代入することによって、移動
平均値Pの修正値y1 が取得され、また、第7ジャーナ
ル面については、「x」に7を代入することによって、
移動平均値Pの修正値y7 が取得される。
【0103】なお、本実施例においては、この両端直径
補正の実行の許否が作業者によって指令されるようにな
っている。
【0104】次に、寸法情報取得(図10の第4ステッ
プ)について説明する。ワークについて取得する寸法情
報には、誤差値Rのみならずそれの微分値Tもある。誤
差値Rは「寸法誤差」の一態様であり、微分値Tは「寸
法誤差の変化傾向」の一態様である。
【0105】このように、誤差値R以外のパラメータに
も基づいて補正値Uを決定することとしたのは、誤差値
Rのみに基づいて補正値Uを決定する場合より、それの
微分値Tにも基づいて補正値Uを決定する場合の方が、
加工機10およびワークの実際の状態をより正確に推定
することができ、定寸点の補正精度が向上するからであ
る。
【0106】ここで、微分値Tの算出について説明す
る。微分値Tは、図12にグラフで概念的に示すよう
に、原則として、今回取得された誤差値Rおよび前回ま
でに取得された最新の少なくとも1個の誤差値Rから成
るL(2以上の固定値)個の誤差値Rが測定ワーク数i
の増加に対してほぼ比例すると仮定し、それらL個の誤
差値Rが適合する1次回帰線を特定し、それの勾配を微
分値T(1次回帰線の傾きをθラジアンとした場合のta
n θに一致する)として取得される。具体的には、1次
回帰線の式として、例えば、
【0107】
【数3】
【0108】なる式が採用される。ただし、 x:測定ワーク数iの値 x′:L個のxの値の平均値 y:xの各値における誤差値Rの真の値 R:xの各値における誤差値Rの計算値 R′:L個の誤差値Rの計算値の平均値 そして、
【0109】
【数4】
【0110】の値が、微分値Tとなる。
【0111】次に、ファジィ演算(図10の第5ステッ
プ)について説明する。本実施例においては、誤差値R
および微分値Tをそれぞれ入力変数としたファジィ推論
が採用されている。そのため、制御装置20のROMに
はファジィ推論のためのデータも予め記憶させられてい
る。ファジィ推論のためのデータとは具体的に、(a) 推
論プログラム,(b) 誤差値R,微分値Tおよび補正値U
の各々に関する複数のメンバーシップ関数,(c) それら
誤差値R,微分値Tおよび補正値U相互の関係を規定す
る複数のファジィルール等である。
【0112】誤差値Rについては、それが負から正に向
かって増加するにつれて『NB』,『NM』,『N
S』,『ZO』,『PS』,『PM』および『PB』に
順に変化する7個のファジィラベルが用意されており、
それぞれのメンバーシップ関数は図13にグラフで表さ
れるようになっている。
【0113】微分値Tについては、それが負から正に向
かって増加するにつれて『NB』,『NS』,『Z
O』,『PS』および『PB』に順に変化する5個のフ
ァジィラベルが用意されており、それぞれのメンバーシ
ップ関数は図14にグラフで表されるようになってい
る。
【0114】補正値Uについては、それが負から正に向
かって増加するにつれて『NB』,『NM』,『N
S』,『ZO』,『PS』,『PM』および『PB』に
順に変化する7個のファジィラベルが用意されており、
それぞれのメンバーシップ関数は図15にグラフで表さ
れるようになっている。なお、補正値Uが増加すれば定
寸点が高くなってクランクシャフトのジャーナル部が大
径化され、逆に、補正値Uが減少すれば定寸点が低くな
ってジャーナル部が小径化されることになる。ファジィ
ルール群の内容を表1に示す。
【0115】
【表1】
【0116】ファジィルールの一例は、表1から明らか
なように、 If R=NB and T=NS then U=PB である。このファジィルール群の設計思想について説明
する。このファジィルール群は、誤差値Rのファジィラ
ベルが増加する(以下「誤差値Rが増加する」という。
他のファジィ変数についても同じとする)につれて補正
値Uが減少するのは勿論、微分値Tが増加するにつれて
補正値Uが減少するように設計されている。
【0117】そして、このことは具体的に、例えば表1
のファジィルール表において次のように現れている。す
なわち、例えば、微分値Tが『NS』である場合には、
誤差値Rが増加するにつれて補正値Uが『PB』,『P
M』,『PS』,『ZO』,『ZO』,『NS』および
『NM』の順に減少し、また、誤差値Rが『NM』であ
る場合には、微分値Tが『NS』,『ZO』および『P
S』の順に増加するにつれて補正値Uが『PM』,『P
M』,『PS』と減少するのである。
【0118】インプロセス測定機12は何らかの事情で
故障することがあり、この場合にはそれの測定精度が急
にかつ大きく低下し、ワークの寸法精度も急に大きく低
下することになる。それにもかかわらずインプロセス測
定機12が正常であるとして補正値Uを決定すると、ワ
ークの実際の寸法精度が許容公差範囲から逸脱してしま
う恐れがある。
【0119】このような事情に鑑み、各ファジィルール
群は、ポストプロセス測定機16による測定値Xが急に
減少してかなり小さくなった場合と、急に増加してかな
り大きくなった場合とにはそれぞれ、補正量Uが十分に
0に近づくようにも設計されている。このようにすれ
ば、インプロセス測定機12が故障した場合には、それ
からの出力信号が無視されて前回までの定寸点が今回も
適当であるとして加工が行われるから、インプロセス測
定機12の故障の影響をそれほど強く受けることなくワ
ークの寸法精度を高く維持することが可能となる。
【0120】このことは具体的に、例えば表1のファジ
ィルール表において次のように現れている。すなわち、
誤差値Rが『NB』または『NM』であり、かつ、微分
値Tが『NB』である場合と、誤差値Rが『PM』また
は『PB』であり、かつ、微分値Tが『PB』である場
合とにはそれぞれ、補正値Uが『ZO』となっているの
である。
【0121】また、この第5ステップであるファジィ演
算においては、むだ時間MSの存在にもかかわらず補正
値Uを精度よく決定するために、補正値決定の方式とし
て第1の補正値決定方式と第2の補正値決定方式とが採
用されている。
【0122】第1の補正値決定方式においては、図16
に示すように、ポストプロセス測定機16による測定値
Xが逐次蓄積され、蓄積された測定値Xの数が設定複数
個以上になったときに、それら蓄積された設定複数個の
測定値Xに基づき、加工機10により次に加工されるべ
きワークの定寸点の補正値Uが決定される。さらに、こ
の方式においては、決定された最新の補正値Uの影響を
受けた定寸点に従って最初に加工されたワークである先
頭補正ワークがポストプロセス測定機16により測定さ
れる毎に、その測定開始時から測定値Xの蓄積が無蓄積
状態から再開され、蓄積された設定複数個の測定値Xに
基づいて新たな補正値Uが決定される。
【0123】また、本実施例においては、作業者からの
指令に応じ、上記の補正である主補正に後続して補助補
正を行うことが可能とされている。本来であれば互いに
隣接した2回の主補正の間には全く補正が行われないは
ずであるが、主補正の精度を向上させる意味において、
ある回の主補正の直後に一定期間に限り、補正値演算用
メモリをクリアすることなく補正値決定が続行されるの
である。
【0124】ここにおいて、「主補正」は、測定値Xを
逐次蓄積し、蓄積された測定値Xの数が設定複数個とな
ったときに、蓄積された設定複数個の測定値Xに基づい
て今回の暫定補正値UP を決定し、それをそのまま最終
補正値UF とするものである。
【0125】これに対し、「補助補正」は、その主補正
の終了後にも測定値Xの蓄積を続行し、新たな測定値X
が取得される毎に、補正値演算用メモリに蓄積されてい
る複数の測定値Xのうち最新の設定複数個の測定値Xに
基づき、主補正におけると同じ規則に従って各回の暫定
補正値UP を決定し、その決定した各回の暫定補正値U
P から前回の暫定補正値UP を引いたものを各回の最終
補正値UF に決定するものである。この補助補正におい
ては、主補正におけると同様な規則に従って決定された
補正値Uである暫定補正値UP がそのまま定寸装置14
に送信されず、前回の暫定補正値UP からの差として供
給されるようになっているが、以下、この理由を説明す
る。
【0126】補助補正においては、本来であれば、それ
に先立って行われる主補正の影響を受けたワークの測定
値Xに基づいて最終補正値UF が決定されるべきであ
る。しかし、主補正の影響を受けたワークが、加工直後
にポストプロセス測定機16により測定されるとは限ら
ず、いくつか別のワークの測定を経た後にはじめて測定
される場合もある。そこで、本実施例においては、主補
正の影響が重複して、次に加工されるべきワークに対応
する定寸点に反映されてしまわないように、主補正に係
る先頭補正ワークより1回だけ先に加工されたワークに
ついて測定が終了する時期以前まで、各回の測定値Xに
基づいて主補正におけると同じ規則に従って決定した補
正値Uが暫定補正値UP とされ、それから主補正の最終
補正値UFの影響が除去されたものが最終補正値UF
されている。以上、主補正と補助補正との関係について
説明したが、補助補正におけるある回とその次の回との
関係についても同様である。
【0127】また、本実施例においては、ある回の主補
正に後続する補助補正の実行回数が制限されている。す
なわち、一連の補助補正における最終補正値UF の決定
回数が測定され、その測定された決定回数が設定値に達
したときにその一連の補助補正が終了するようにされて
いるのである。
【0128】しかし、このようにしただけでは、主補正
および補助補正の実行時期が測定値Xの変動時期に十分
には合致せず、主補正および補助補正が本当に必要な時
期に実行されないことがある。このような事態を回避す
るため、本実施例においては、作業者からの指令に応
じ、一連の補助補正における最終補正値UF の決定回数
が設定値に達したときに、主補正およびその一連の補助
補正のうち少なくともその一連の補助補正において決定
された複数の最終補正値UF の和が実質的に0でない場
合には、その一連の補助補正を終了するが、実質的に0
である場合には、少なくとも今回の補助補正の実行時期
が適当ではなかったと推定されるから、今回の補助補正
を続行するとともに最終補正値UF の決定回数の測定を
0から再開するようにされている。
【0129】そして、本実施例においては、補正値決定
の方式として、主補正のみで補助補正を行わない方式と
主補正のみならず補助補正をも行う方式とのいずれかが
作業者の指令に応じて選択されるようになっている。す
なわち、補助補正指令が出されれば後者の方式が選択さ
れ、出されなければ前者の方式が選択されるようになっ
ているのである。また、その補助補正の方式として、補
助補正の続行を行う方式と行わない方式とのいずれかが
作業者の指令に応じて選択されるようにもなっている。
【0130】次に、第2の補正値決定方式について説明
する。この第2の補正値決定方式においては、第1の方
式におけると同様に、測定値Xが逐次蓄積され、蓄積さ
れた測定値Xの数が設定複数個となったときに、それら
蓄積された設定複数個の測定値Xに基づいて新たな補正
値が決定される。ただし、この方式においては、各補正
値Uの決定時期から、測定値Xの蓄積が無蓄積状態から
再開され、その再開時期から、各補正値Uの影響を受け
た先頭補正ワークがポストプロセス測定機16により測
定される時期までの間は、新たな測定値Xが取得される
毎に、各測定値Xと各補正値Uとに基づき、それら各ワ
ークがその各補正値Uの影響を受けた定点寸に従って加
工されたと仮定した場合にそれら各ワークについて測定
される値が予測され、その予測後の測定値Xを実際の測
定値Xとみなして蓄積され、蓄積された設定複数個の測
定値Xに基づいて今回の補正値が決定される。
【0131】具体的には、図17にグラフで示すよう
に、むだ時間の経過中にもデータ蓄積が行われ、そのデ
ータ蓄積段階においては、測定値Xがそのまま蓄積され
るのではなく、グラフにおいて破線で示すようにシフト
させられて蓄積される。データシフト処理が行われるの
である。そのシフト量は、それ以前に決定された補正値
Uのうち未だ測定値Xに反映されていないものの和に暫
定的に決定される。図の例では、補正値Uの決定時期か
らその補正値Uが測定値Xに反映される時期までに別の
補正値Uが決定されないため、その暫定的なシフト量は
補正値Uに一致する。しかし、図22や図23に示すよ
うに、ある補正値U1 が決定されてからそれが測定値X
に現れるまでの間に別の補正値U2 が決定される場合に
は、その別の補正値U2 の決定時期以後にあっては、補
正値U1 とU2 との和が暫定的なシフト量とされる。
【0132】さらに、この第2の補正値決定方式におい
ては、各補正値Uの影響を受けた先頭補正ワークがポス
トプロセス測定機16によって測定される時期が判明し
た後には、以前に予測された測定値Xの各々から前記暫
定的なシフト量を引くことにより、もとの測定値Xに復
元され、さらに、その復元されたもとの各測定値Xに最
終的なシフト量を加算することにより、測定値予測の修
正が行われる。すなわち、実質的には、予測前の測定値
Xすなわちもとの測定値Xに直ちに最終的なシフト量を
加算したのと同じになるのである。最終的なシフト量の
決定については後に詳述する。
【0133】なお、この第2の補正値決定方式もまた、
前記第1の補正値決定方式の場合と同様に、作業者から
の指令に応じて各種の方式が選択可能とされている。
【0134】次に、連続性考慮(図10の第6ステッ
プ)について説明する。前述のように、測定ワーク数i
の増加につれてワークの寸法誤差がほぼ比例的に増加す
るのが一般的であるため、定寸点の補正値Uに連続性を
持たせること、すなわち、加工の進行につれて滑らかに
変化させることがワークの寸法ばらつきを抑制するのに
望ましい。
【0135】そこで、本実施例においては、その事実に
着目し、図18にグラフで概念的に示すように、まず、
連続性を無視して補正値Uが決定され、それが暫定値
(以下「暫定補正値U」という。なお、後述の暫定補正
値UP とは異なる)とされ、今回までに取得された最新
のM(2以上の固定値)個の暫定補正値Uが測定ワーク
数iの増加に対してほぼ比例すると仮定され、それらM
個の暫定補正値Uについて前記の場合と同様な1次回帰
線の式が特定される。そして、その式を用いて現在の補
正値Uの真の値が推定され、それが補正値Uの最終値
(以下「最終補正値U* 」という。なお、後述の最終補
正値UF とは異なる)とされる。具体的には、1次回帰
線の式として、例えば、
【0136】
【数5】
【0137】なる式が採用される。ただし、 x:測定ワーク数iの値 x′:M個のxの値の平均値 y:xの各値における暫定補正値Uの真の値 U:xの各値における暫定補正値Uの計算値 U′:M個の暫定補正値Uの計算値の平均値 そして、上記式の「x」に今回の測定ワーク数iの値を
代入すれば、今回の最終補正値U* が取得されることに
なる。
【0138】なお、本実施例においては、この連続性考
慮型補正の実行の許否も作業者によって指令されるよう
になっている。
【0139】また、作業者からその連続性考慮型補正指
令が出された場合に測定値Xから最終補正値U* が取得
されるまでの過程を代表的に、図19に概念的に図示す
る。この図は、それの左側から右側に向かうにつれて、
測定ワーク数iの値が増加することとして表されてい
る。図から明らかなように、補正値演算用メモリへの測
定値Xの蓄積を無蓄積状態から開始する場合には、(K
+L+M−2)個の測定値Xが蓄積されたときに初めて
1個の最終補正値U* が取得されることになるであり、
これが測定値Xの蓄積に係る「設定複数個」の一例なの
である。
【0140】以上、制御装置20による定寸点補正の内
容を概略的に説明したが、以下、定寸点補正ルーチンを
表す図5〜9のフローチャートに基づき、具体的に説明
する。
【0141】まず、図5のステップS1(以下単に「S
1」で表す。他のステップについても同じとする)にお
いて、キーボード50や補助記憶装置22から数値や指
令がパラメータとして入力される。次に、S2におい
て、ポストプロセス測定機16から新たな測定値Xが入
力される。測定値Xは、7個のジャーナル面すべてにつ
いて個々に入力される。測定値Xは、補正値演算用メモ
リと補正反映情報演算用メモリとにそれぞれ蓄積され
る。
【0142】S3において、補正反映前フラグがONで
あるか否かが判定される。補正反映前フラグは、定寸装
置14における定寸点であって補正値Uの影響を受けた
ものに従って加工された少なくとも1個のワークのうち
先頭のものである先頭補正ワークがポストプロセス測定
機16により測定され、その測定値Xに補正値Uが反映
されたか否かを示すフラグである。この補正反映前フラ
グは、OFFでその先頭補正ワークが測定を終了したこ
と、すなわち補正反映後であることを示し、一方、ON
で先頭補正ワークが測定を終了しないこと、すなわち補
正反映前であることを示す。
【0143】なお、一連の加工が開始されても、最初の
加工済ワークがポストプロセス測定機16に最初に到達
するまでは測定値Xは存在しない。また、一連の加工当
初においては、作業者によりマスタワーク等を用いて定
寸点が手動で補正されるのが通常である。したがって、
本実施例においては、最初の加工済ワークがポストプロ
セス測定機16に最初に到達するまでは、定寸点につい
て後述の自動補正は行われず、最初の加工済ワークがポ
ストプロセス測定機16に最初に到達したときにはじめ
て自動補正が行われ、最初の補正値Uが決定されて、そ
の補正値Uが定寸装置14に送信されることとなる。そ
して、このとき補正反映前フラグがONされる。以下、
現在そのようにして補正反映前フラグがONにされたと
仮定し、定寸点補正ルーチンの実行内容を説明する。
【0144】現在補正反映前フラグがONであるから、
S3の判定がYESとなり、S4以下のステップに移行
する。S4〜6のステップ群においては、先頭補正ワー
クがポストプロセス測定機16によって測定されたか否
かが判定される。
【0145】先頭補正ワークがポストプロセス測定機1
6によって測定されたか否かの判定は、新たな測定値X
が測定されるごとに測定値前後差変動状態判定を行うこ
とによって行われる。
【0146】各回の測定値前後差変動状態判定において
は、そのとき以前に順に取得された複数の測定値Xが、
先に取得された設定個数の測定値Xから成る先の測定値
群と後に取得された設定個数の測定値Xから成る後の測
定値群であって最新の測定値Xを含むものとに分けられ
る。次に、先の測定値群を代表する代表値として移動平
均値HF 、後の測定値群を代表する代表値として移動平
均値HR がそれぞれ算出される。各移動平均値HF ,H
R の算出は、各測定値群に属する複数の測定値Xに対
し、前記移動平均値Pの算出と同様にして行われる。
【0147】さらに、各回の測定値前後差変動状態判定
においては、先の移動平均値HF から後の移動平均値H
R を差し引いた値が測定値前後差ΔHとして算出され
る。続いて、今回の測定値前後差ΔHi の絶対値が前回
の測定値前後差ΔHi-1 の絶対値より小さく、かつ、そ
の前回の測定値前後差ΔHi-1 の絶対値が前々回の測定
値前後差ΔHi-2 の絶対値より大きいか否か、すなわ
ち、前回の測定値前後差ΔHi-1 が測定ワーク数iの増
加に対して極値を示すか否かが判定される(図31の
(b) 参照)。極値を示すと判定した場合には、さらに、
極値を示す前回の測定値前後差ΔHi-1 の絶対値が設定
値以上であるか否かが判定される。すなわち、測定値前
後差ΔHが一時的に大きく変動したか否かが判定される
のであり、一時的に大きく変動した場合には、測定値前
後差ΔHの変動状態が設定状態を超えたと判定される。
【0148】また、本実施例においては、図24にグラ
フで示すように、加工機10とポストプロセス測定機1
6との間に存在する待機ワークの数について最大値と最
小値とが予め設定されている。そして、例えば図37に
示すように、待機ワーク数が最小値であると仮定した場
合の先頭補正ワークがポストプロセス測定機16によっ
て測定された測定値Xが後の測定値群に最初に含まれる
こととなった時期に一連の測定値前後差変動状態判定が
開始され、また、例えば図38に示すように、待機ワー
ク数が最大値であると仮定した場合の先頭補正ワークが
ポストプロセス測定機16によって測定された測定値X
が先の測定値群に最後に含まれることとなったときに一
連の測定値前後差変動状態判定が終了するように設計さ
れている。
【0149】さらに、本実施例においては、一連の測定
前後値差変動状態判定において一度も、測定値前後差Δ
Hの変動状態が設定状態を超えたと判定されなかった場
合には、待機ワーク数が最大値であると仮定した場合の
先頭補正ワークがポストプロセス測定機16によって測
定されることとなる時期が先頭補正ワークがポストプロ
セス測定機16によって測定された時期であると判定さ
れるようにも設計されている。
【0150】なお、この測定値前後差変動状態判定につ
いて付言すれば、各測定値群に属する測定値Xの数が多
いほど、すなわち、移動平均値Hの算出範囲が広いほ
ど、例えば図25にグラフで表すように、測定値前後差
ΔHが測定値Xの変化に対して敏感に変化しなくなる。
しかし、各測定値群に属する測定値Xの数を余りに少な
くしたのでは、移動平均値Hの精度が低下し、ひいては
変動状態判定の信頼性も低下する。したがって、各測定
値群に属する測定値Xの数は、応答性と正確性とができ
る限り両立するように設定すべきであり、場合によって
は、可変値とすることが望ましい。
【0151】測定値前後差変動状態判定は具体的には、
まず、図5のS4において、補正反映情報演算用メモリ
から、先の測定値群に属する複数の測定値Xが読み出さ
れ、それら測定値Xについて先の移動平均値HF が算出
される。算出された先の移動平均値HF は補正反映情報
用演算メモリに保存される。次に、S5において、S4
におけると同様にして、後の測定値群についての後の移
動平均値HR が算出される。算出された後の移動平均値
R も補正反映情報演算用メモリに保存される。
【0152】その後、S6において、それら移動平均値
F と移動平均値HR との測定値前後差ΔHが算出され
る。さらに、同ステップにおいて、補正反映情報演算用
メモリから前回の測定値前後差ΔHi-1 と前々回の測定
値前後差ΔHi-2 とがそれぞれ読み出され、前回の測定
値前後差ΔHi-1 が極値を示し、かつ、そのときの値が
設定値以上であるか否か、すなわち、測定値前後差ΔH
が大きく変動したか否かが判定される。今回は、測定値
前後差ΔHが大きく変動しなかったと仮定すれば、この
S6の判定がNOとなり、今回は、先頭補正ワークがポ
ストプロセス測定機16に到達した後ではないと判定さ
れ、直ちに図6のS7に移行する。
【0153】このS7においては、作業者からデータシ
フト処理指令が出されているか否かが判定される。今回
は出されていないと仮定すれば、判定がNOとなり、S
8において、補正反映前フラグがONであるか否かが判
定される。今回はONであるから判定がYESとなり、
S9において、補正値演算用メモリのみがクリアされ
る。その後、S2に戻る。
【0154】その後、S2〜9のステップ群が何回も繰
り返されるうちに、測定値前後差ΔHが大きく変動する
に至ったと仮定すれば、図5のS6の判定がYESとな
り、今回は、先頭補正ワークがポストプロセス測定機1
6に到達した後であると判定され、S10において、補
正反映前フラグがOFFされる。その後、S11におい
て、測定値前後差ΔHの前回値ΔHi-1 が補正値Uが測
定値Xに反映された補正反映量ΔUとして補正反映情報
演算用メモリに記憶される。その後、図6のS7に移行
する。
【0155】今回もこのS7の判定がNOとなり、S8
において、補正反映前フラグがONであるか否かが判定
されれば、今回はOFFであるから、判定がNOとな
り、S12に移行する。したがって、今回は、S9にお
いて補正値演算用メモリがクリアされることはなく、今
回の測定値Xが蓄積されたままとなる。
【0156】S12においては、その補正値演算用メモ
リから過去の測定値X(すなわち、既に蓄積されている
測定値X)が入力され、S13において、移動平均値P
を算出することができるか否か、すなわち、補正値演算
用メモリに蓄積されている測定値Xの数がK個以上であ
るか否かが判定される。今回は、蓄積されている測定値
Xの数がK個以上ではないと仮定すれば、判定がNOと
なり、S2に戻る。
【0157】その後、このS2において新たな測定値X
が入力され、S3において補正反映前フラグがONであ
るか否かが判定される。今回はOFFであるから判定が
NOとなり、直ちに図6のS7に移行する。S7の判定
はNOとなり、S8の判定もNOとなり、S12におい
て、再び補正値演算用メモリから過去の測定値Xが入力
され、S13において、移動平均値Pを算出することが
できるか否かが判定される。今回は算出することができ
ると仮定すれば判定がYESとなり、S14において、
前述のようにして移動平均値Pが算出され、補正値演算
用メモリに蓄積される。
【0158】その後、S15において、作業者から両端
直径補正指令が出されているか否かが判定され、出され
ていなければ判定がNOとなり、直ちにS16に移行す
るが、出されていれば判定がYESとなり、S17にお
いて、前記2個の端円筒面の移動平均値Pについて前記
両端直径補正が行われ、その結果に応じて、補正値演算
用メモリの内容が変更される。その後、S16に移行す
る。
【0159】S16においては、今回の移動平均値Pか
らワークの寸法の目標値A0 を引いた値が今回の誤差値
Rとされ、補正値演算用メモリに蓄積される。その後、
S18において、微分値Tを算出することができるか否
かが判定される。補正値演算用メモリに蓄積されている
移動平均値Pの数がL個以上であるか否かが判定される
のである。今回は、移動平均値Pの数が不足していると
仮定すれば、判定がNOとなり、図5のS2に移行す
る。その後、S2,3,7,8,12〜18のステップ
群の実行が何回も繰り返された結果、補正値演算用メモ
リに蓄積されている移動平均値Pの数がL個以上となっ
たと仮定すれば、S18の判定がYESとなり、S19
において、前述のようにして微分値Tが算出され、補正
値演算用メモリに蓄積される。その後、図7のS20に
移行する。
【0160】このS20においては、移動平均値Pと微
分値Tとに基づき、前述のファジィ推定によって暫定補
正値Uが算出される。続いて、S21において、作業者
から連続性考慮型補正指令が出されているか否かが判定
され、出されていなければ判定がNOとなり、S22に
おいて、暫定暫定値Uがそのまま最終補正値U* とさ
れ、その後、S25に移行する。これに対して、作業者
から連続性考慮型補正指令が出されていれば、S21の
判定がYESとなり、S23において、連続性考慮型補
正を考慮することができるか否かが判定される。補正値
演算用メモリに蓄積されている暫定補正値Uの数がM個
以上であるか否かが判定されるのである。今回は、蓄積
されている暫定補正値Uの数がM個以上ではないと仮定
すれば、判定がNOとなり、直ちにS2に戻る。その
後、本ルーチンの実行が何回も繰り返されるうちに、補
正値演算用メモリに蓄積されている暫定補正値Uの数が
M個以上となったと仮定すれば、S23の判定がYES
となり、S24において、補正値演算用メモリに蓄積さ
れているM個の暫定補正値Uに基づき、前述のようにし
て最終補正値U* が算出され、補正値演算用メモリに蓄
積される。その後、図8のS25に移行する。
【0161】このS25においては、作業者から補助補
正指令が出されているか否かが判定される。今回は出さ
れていないと仮定すれば判定がNOとなり、S27にお
いて、今回の最終補正値U* が定寸装置14に送信され
る。その後、S28において、作業者から補助補正指令
が出されているか否かが判定され、今回は出されていな
いと仮定されているから、判定がNOとなり、S29に
移行する。
【0162】このS29においては、再び、作業者から
補助補正指令が出されているか否かが判定されるが、今
回は出されていないと仮定されているため、判定がNO
となり、S30に移行する。このS30において、補正
反映前フラグがONされる。補正値Uが定寸装置14に
送信され、その補正値Uの影響を受けた先頭補正ワーク
がポストプロセス測定機16に到達してその補正値Uが
測定値Xに反映されることを待つ状態に移行したからで
ある。その後、S31において、補正値演算用メモリが
クリアされる。その後、S2に戻る。
【0163】以上、データシフト処理指令も補助補正指
令も出されていない場合について説明したが、次に、デ
ータシフト処理指令は出されないが補助補正指令は出さ
れた場合について説明する。
【0164】この場合、図8のS25において、作業者
から補助補正指令が出されているか否かが判定されれ
ば、判定がYESとなり、S50において、補助補正の
実行中であるか否かが判定される。補助補正の実行回数
を表す補助補正カウンタの値が1以上であるか否かが判
定されるのである。今回は0であると仮定すれば、判定
がNOとなり、前記S27以下のステップ群に移行して
前記主補正が行われる。このステップ群のうちS28に
おいては、作業者から補助補正指令が出されているか否
かが判定され、今回は出されていると仮定されているか
ら、判定がYESとなり、S51において、補助補正カ
ウンタの値が1だけインクリメントされる。その後、S
29以下のステップに移行する。
【0165】その後、再び同図のS50が実行されれ
ば、今回は補助補正カウンタの値が0ではないから、判
定がYESとなり、S52以下のステップ群に移行して
補助補正が行われる。まず、S52において、最終補正
値U* の今回値から前回値を引いた値が今回の送信値と
される。なお、ここにおいて「最終補正値U* の今回
値」は前記今回の暫定補正値UP に、「最終補正値U*
の前回値」は前記前回の暫定補正値UP に、「今回の送
信値」は前記今回の最終補正値UF にそれぞれ相当す
る。その後、S53において、その送信値が定寸装置1
4に送信され、補助補正が行われる。その後、S54に
おいて、補助補正カウンタが1だけインクリメントさ
れ、その後、S29に移行する。このS29において
は、作業者から補助補正指令が出されているか否かが判
定され、今回は出されているから、判定がYESとな
り、図9のS55に移行する。
【0166】このS55においては、今回の補助補正を
終了させるべきであるか否かが判定される。具体的に
は、補助補正カウンタの現在値が設定値(図5のS1に
おいて補助記憶装置22から入力される)以上となった
か否かが判定される。今回はそうではないと仮定すれ
ば、判定がNOとなり、直ちにS2に戻る。
【0167】その後、本ルーチンの実行が何回も繰り返
されるうちに、補助補正カウンタの現在値が設定値以上
となったと仮定すれば、S55の判定がYESとなり、
S56において、今回の補助補正において定寸装置14
に送信された補正値すべての和(以下「合計補正値」と
いう)が算出される。その後、S57において、その合
計補正値が0であるか否か、すなわち、今回の補助補正
が本当に必要な時期に行われなかったと推定されるから
今回の補助補正を続行する必要があるか否かが判定され
る。今回はその必要がないと仮定すれば、判定がNOと
なり、S58において、補正反映前フラグがONされ、
S59において、補正値演算用メモリがクリアされ、そ
の後、S2に戻る。これに対して、今回の補助補正を続
行する必要があると仮定すれば、S57の判定がYES
となり、直ちにS2に戻る。
【0168】以上、データシフト処理指令が出されてい
ない場合について説明したが、次に、データシフト処理
指令が出された場合について説明する。ただし、データ
シフト処理の内容は、ある補正値U1 が決定されてから
その補正値U1 が測定値Xに反映されるまでの間に別の
補正値U2 が決定されない場合と決定される場合とで異
なる。しかも、ある補正値U1 が決定されてからその補
正値U1 が測定値Xに反映されるまでの間に別の補正値
2 が決定される場合におけるデータシフト処理の内容
は、作業者から補助補正指令が出されている場合と出さ
れていない場合とで異なる。したがって、それぞれの場
合に分けて説明する。
【0169】まず、ある補正値U1 が決定されてからそ
の補正値U1 が測定値Xに反映されるまでの間に別の補
正値U2 が決定されず、補正値U1 が測定値Xに反映さ
れた後に補正値U2 が決定される場合を図21の例を参
照して説明する。
【0170】現在、補正反映前フラグがON、すなわ
ち、最新の補正値U1 を定寸装置14に送信した後、そ
の補正値U1 の影響を受けた先頭補正ワークがポストプ
ロセス測定機16に到達するのを待っている状態にある
と仮定する。したがって、図5のS3の判定がYESと
なり、前記の場合と同様にして、S4〜6が実行され
る。今回は測定値前後差ΔHが大きく変動しなかったと
仮定すれば、S6の判定がNOとなり、図6のS7に移
行する。このS7においては、データシフト処理指令が
出されているか否かが判定され、今回は出されているか
ら、判定がYESとなり、S70において、データシフ
ト処理が行われる。
【0171】データシフト処理の詳細は図20にフロー
チャートで表されている。まず、S200において、補
正反映前フラグがONであるか否かが判定される。今回
はONであるから、判定がYESとなり、S201にお
いて、補正値演算用メモリから今回の測定値Xが読み込
まれ、その測定値Xに暫定的なシフト量が加算されるこ
とにより、測定値予測が行われる。暫定的なシフト量
は、現時点までに決定された補正値Uであって未だ測定
値Xに現れていないものの和(=ΣUi )に決定され
る。図21の例では、未だ測定値Xに現れていない補正
値UはU1 のみであるため、結局、暫定的なシフト量は
1 とされることになる。その後、S202において、
RAMに設けられている修正済フラグがOFFされる。
修正済フラグの機能については後に説明する。以上でS
70の一回の実行が終了する。
【0172】その後、このS70は測定値Xが取得され
るごとに実行され、その結果、図21において破線で示
すように、データシフト処理すなわち測定値予測が行わ
れることになる。
【0173】その後、図5のS10において補正反映前
フラグがOFFされれば、図20のS200の判定がN
Oとなり、S203において修正済フラグがONである
か否かが判定される。今回はOFFであるから、判定が
NOとなり、S204に移行する。このS204におい
ては、補正反映情報演算用メモリから補正反映量ΔUが
読み込まれ、その補正反映量ΔUと先に決定した補正値
Uとの関係に基づき、前記測定値予測が十分に正確では
なかったか否かが判定される。具体的には、補正反映前
フラグがOFFにされたときの測定値Xに対応する補正
値Uとその補正値Uが測定値Xに反映された補正反映量
ΔUとが設定値以上異なっているか否かが判定される。
測定値予測は、前記のように、補正値Uがそのまま測定
値Xに現れると仮定し、補正値Uそのものを暫定的なシ
フト量に決定して行われるからである。
【0174】なお、ここにおいて「補正反映前フラグが
OFFにされたときの測定値Xに対応する補正値U」
は、必ずしも最新の補正値Uには一致しない。ある補正
値U1の決定時期からその補正値U1 が測定値Xに反映
される時期までの間に別の補正値U2 が決定される場合
があるからである。したがって、「補正反映前フラグが
OFFにされたときの測定値Xに対応する補正値U」と
は、補正反映前フラグがOFFにされる前に未だ測定値
Xに反映されていなかった補正値Uのうち最も先に決定
されたもの、すなわち、前記最先未反映補正値を意味す
ることとなる。
【0175】今回は測定値予測が十分に正確であったと
仮定すれば、このS204の判定がNOとなり、直ちに
S70の実行が終了するが、十分に正確ではなかったと
仮定すれば、S204の判定がYESとなり、S205
に移行する。このS205においては、補正反映情報演
算用メモリから補正反映量ΔUが読み込まれ、また、補
正値演算用メモリからそれに蓄積されている測定値X
(予測後の値)がすべて読み込まれる。さらに、同ステ
ップにおいては、それら各測定値Xから前記暫定的なシ
フト量が減算されてもとの測定値X(予測前の値)に復
元された後、そのもとの測定値Xに最終的なシフト量と
しての補正反映量ΔUが加算される。これにより、図2
1において二点鎖線で示すように、測定値予測の修正が
行われることになる。その後、S206において修正済
フラグがONされる。すなわち、修正済フラグはONで
測定値予測の修正が行われたことを示し、OFFで行わ
れていないことを示すフラグなのである。
【0176】その後、新たに測定値Xが取得され、再び
S70が実行されれば、現在補正反映前フラグがOFF
であるから、S200の判定がNOとなり、S203に
おいて、修正済フラグがONであるか否かが判定されれ
ば、現在ONであるから、判定がYESとなり、S20
4〜206がスキップされて直ちにS70の実行が終了
する。したがって、補正反映前フラグがOFFである間
は、測定値Xがそのまま補正値演算用メモリに蓄積さ
れ、図21に示すように、測定値予測もそれの修正も行
われない。
【0177】その後、補正値演算用メモリに蓄積されて
いる測定値Xの数が設定複数個になったならば、S20
において別の補正値U2 が決定される。補正値U2 は結
局、図21にハッチングした領域で示すように、過去の
複数の測定値Xに基づいて決定されることとなる。
【0178】次に、ある補正値U1 が決定されてからそ
れが測定値Xに反映されるまでの間に別の補正値U2
決定される場合について説明する。ただし、補助補正指
令が出されていない場合と出されている場合とに分けて
それぞれ説明する。
【0179】まず、補助補正指令が出されていない場合
を図22の例を参照して説明する。この場合、補正値U
1 が決定されて定寸装置14に送信された後、図8のS
29の判定が行われれば、今回は補助補正指令が出され
ていないから、判定がNOとなり、S30において、補
正反映前フラグがONされ、S31において、補正値演
算用メモリがクリアされる。その後、図5のS2に戻
る。
【0180】その後、S2において、新たな測定値Xが
補正値演算用メモリに蓄積され、続いて、S7におい
て、データシフト処理指令が出されているか否かが判定
される。今回は出されているから、判定がYESとな
り、S9がスキップされる。すなわち、データシフト処
理指令が出されていない場合と異なり、補正反映前フラ
グがONであっても補正値演算用メモリがクリアされ
ず、測定値Xが順に蓄積されることになる。
【0181】各測定値Xが蓄積される毎に図6のS7の
判定がYESとなり、S70が実行される。S70にお
いてはまず、図20のS200において、補正反映前フ
ラグがONであるか否かが判定され、現在ONであるか
ら、判定がYESとなり、S201において、補正値演
算用メモリから今回の測定値Xが読み込まれ、その今回
の測定値Xに暫定的なシフト量が加算される。今回は、
未だ測定値Xに現れていない補正値UとしてU1 のみ存
在するから、結局、今回の暫定的なシフト量はU1 とさ
れる。これにより、図22の(a) に破線で示すように、
測定値予測が行われることになる。その後、S202に
おいて修正済フラグがOFFされる。以上でS70の実
行が終了する。
【0182】その後、ポストプロセス測定機16からの
測定値Xの入力と測定値予測とがそれぞれ繰り返され、
その結果、補正値演算用メモリに蓄積されている測定値
Xの数が設定複数個に達したときに、図22の(b) に示
すように、S20において補正値U2 が決定される。図
においてハッチングした領域は、補正値U2 を決定する
ために利用された予測後の測定値Xを示している。
【0183】補正値U2 が決定されれば、今回は補助補
正指令が出されていないから、図8のS29の判定がN
Oとなり、S30において補正反映前フラグがONにさ
れ(ただし、現在ONであるから、補正反映前フラグに
変化はない)、S31において、補正値演算用メモリが
クリアされる。したがって、その後、測定値Xが入力さ
れれば、無蓄積状態で補正値演算用メモリに蓄積される
こととなる。
【0184】その後、S70が実行されれば、現在補正
反映前フラグがONであるから、図20のS200の判
定がYESとなり、S201において、補正値演算用メ
モリから今回の測定値Xが読み込まれ、その今回の測定
値Xに暫定的なシフト量が加算される。今回は、未だ測
定値Xに現れていない補正値UとしてU1 とU2 とが存
在するから、結局、今回の暫定的なシフト量は(U1
2 )とされる。これにより、図22の(c) に破線で示
すように、測定値予測が行われることになる。その後、
S202において修正済フラグがOFFされる。以上で
S70の実行が終了する。
【0185】その後、補正値U1 が測定値Xに反映さ
れ、補正反映前フラグがOFFされたと仮定すれば、S
200の判定がNOとなり、S203において、修正済
フラグがONであるか否かが判定される。今回はOFF
であるから、判定がNOとなり、S204において、測
定値予測が十分に正確ではなかった否かが判定される。
今回は十分に正確ではなかったと判定すれば、判定がY
ESとなり、S205において、前記の場合と同様にし
て測定値予測の修正が行われる。その結果、予測後の測
定値Xは、図22の(d) に太い実線で示すように、修正
されることになる。
【0186】その後、新たに測定値Xが取得され、S7
0が実行されれば、現在補正反映前フラグがONである
から、S200の判定がYESとなり、S201におい
て、図22の(e) に破線で示すように、測定値予測が行
われる。測定値Xに暫定的なシフト量として補正値U2
が加算されるのである。その後、補正値演算用メモリに
蓄積されている測定値Xの数が設定複数個に達したとき
に、図22の(f) に示すように、S20において補正値
3 が決定される。図においてハッチングした領域は、
補正値U3 を決定するために利用された予測後の測定値
Xを示している。
【0187】次に、補助補正指令が出されている場合を
図23の例を参照して説明する。補正値U1 についても
補助補正(図において補助補正用の補正値を「USB」
で表す)が行われ、現在その補助補正が図23の(a) に
示すように終了したと仮定する。したがって、図9のS
55の判定がYESとなり、S57の判定もYESとな
り、S58において、補正反映前フラグがONされ(直
前にONであるから、変化なし)、S59において、補
正値演算用メモリがクリアされ、S2に戻る。
【0188】その後、新たに測定値Xが取得され、図6
のS7の判定が実行されれば、今回はデータシフト処理
指令が出されているから、判定がYESとなり、S70
が実行される。S70においては、現在補正反映前フラ
グがONであるから、図20のS200の判定がYES
となり、S201において、補正値演算用メモリから今
回の測定値Xが読み込まれ、その今回の測定値Xに暫定
的なシフト量が加算される。今回は、未だ測定値Xに現
れていない補正値UとしてU1 のみが存在するから、結
局、今回の暫定的なシフト量はU1 とされる。これによ
り、図23の(b) に破線で示すように、測定値予測が行
われることになる。その後、S202において修正済フ
ラグがOFFされる。以上でS70の実行が終了する。
【0189】その後、ポストプロセス測定機16からの
測定値Xの入力と測定値予測とがそれぞれ繰り返され、
その結果、補正値演算用メモリに蓄積されている測定値
Xの数が設定複数個に達したときに、図23の(c) に示
すように、S20において補正値U2 が決定される。図
においてハッチングした領域は、補正値U2 を決定する
ために利用された予測後の測定値Xを示している。
【0190】補正値U2 が決定されれば、今回は補助補
正指令が出されているから、図8のS29の判定がYE
Sとなり、図9のS55において、補助補正を終了させ
るべきであるか否かが判定される。今回は終了させるべ
きではと仮定すれば、判定がNOとなり、直ちにS2に
戻る。
【0191】その後、S2において、新たな測定値Xが
取得され、続いて、S70が実行されれば、現在補正反
映前フラグがONであるから、図20のS200の判定
がNOとなり、S201において、測定値予測が行われ
る。今回は、未だ測定値Xに現れていない補正値Uとし
てU1 とU2 があるため、今回の暫定的なシフト量は
(U1 +U2 )とされる。その後、S20が実行されれ
ば、図23の(d) に示すように、補助補正用の補正値U
SBが決定される。今回もその補助補正を終了させるべ
きではないと仮定すれば、図9のS55の判定がNOと
なり、直ちにS2に戻り、新たな測定値Xが取得され
る。その後、S70が実行されれば、現在補正反映前フ
ラグがONであるから、S200の判定がNOとなり、
S201において、前回の場合と同様に、測定値予測が
行われる。
【0192】その後、補助補正が終了しないうちに、先
頭補正ワークがポストプロセス測定機16に到達し、補
正反映前フラグがOFFになったと仮定する。この場
合、S70においては、現在補正反映前フラグがOFF
であるから、S200の判定がNOとなり、S203に
おいて、修正済フラグがONであるか否かが判定され
る。現在OFFであるから、判定がNOとなり、S20
4において、測定値予測が十分に正確ではなかったか否
かが判定される。今回は十分に正確ではなかったと仮定
すれば判定がYESとなり、S205において、測定値
予測の修正が行われる。図23の(e) に示すように、前
回の補助補正の終了時から補正値U2 の決定時までに取
得された測定値Xと、補正値U2 の決定時から補正反映
前フラグがOFFになるまでに取得された測定値Xとの
それぞれが、図において太い実線で示すように、修正さ
れる。
【0193】なお、本実施例においては、補助補正の実
行時には、図23の(e) に示すように、測定値予測の修
正が行われるべき複数の測定値Xの中に、補正値U2
決定前であって暫定的なシフト量が補正値U1 であるも
のと、補正値U2 の決定後であって暫定的なシフト量が
(U1 +U2 )であるものとが混在し、その結果、測定
値予測の修正が行われても、次の補正値U3 の決定に際
して使用される予測後の測定値Xが十分に一様なものと
ならない。そこで、それら測定値Xを十分に一様なもの
とする必要がある場合には、例えば、同図の(f) に示す
ように、補正値U2 が測定値Xに現れた時点で、その補
正値U2 の決定前に既に補正値演算用メモリに蓄積され
ていた測定値Xであって既に暫定的なシフト量U1 でシ
フトされているものを、さらに、暫定的なシフト量U2
でシフトさせることにより、再度測定値予測を行えばよ
い。
【0194】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、制御装置20のうち定寸点補正ルーチンの
図8のS27とS53とを除くステップを実行する部分
が請求項1または2の発明における「補正値決定部」の
一例であり、制御装置20のうちそれらS27とS53
とを実行する部分が「補正値供給部」の一例なのであ
る。また、定寸点補正ルーチンの図8のS27とS53
とを除くステップが請求項3または4の発明における
「補正値決定工程」の一例なのである。
【0195】なお、本実施例は、クランクシャフトをワ
ークとし、それの複数のジャーナル面(外周円筒面)を
それぞれ加工部位として円筒研削する加工システムと共
に使用される定寸点補正装置に本発明を適用した場合の
一例であったが、他の加工システムと共に使用される定
寸点補正装置に本発明を適用することができるのはもち
ろんである。他の加工システムには例えば、自動車のエ
ンジンのシリンダブロックを加工すべきワークとし、そ
れに予め形成された複数のシリンダボア(内周円筒面)
をそれぞれ加工部位としてホーニングする加工システム
を選ぶことができる。
【0196】以上、各請求項の発明を図示の実施例に基
づいて具体的に説明したが、この他にも特許請求の範囲
を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の変
形,改良を施した態様で各発明を実施することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1および2の発明に共通の一実施例であ
るフィードバック式の定寸点補正装置が使用される加工
システムにおいて、および請求項3および4の発明に共
通の一実施例であるフィードバック式加工方法を実施す
る際において、クランクシャフトが砥石により研削され
る状態を示す斜視図である。
【図2】上記加工システム全体を示すシステム図であ
る。
【図3】上記加工システムにおける加工機の構成を示す
図である。
【図4】上記定寸点補正装置を概念的に示す機能ブロッ
ク図である。
【図5】図2における制御装置20のコンピュータによ
り実行される定寸点補正ルーチンの一部を示すフローチ
ャートである。
【図6】その定寸点補正ルーチンの別の一部を示すフロ
ーチャートである。
【図7】その定寸点補正ルーチンのさらに別の一部を示
すフローチャートである。
【図8】その定寸点補正ルーチンのさらにまた別の一部
を示すフローチャートである。
【図9】その定寸点補正ルーチンのさらにまた別の一部
を示すフローチャートである。
【図10】その定寸点補正ルーチンの処理全体の流れを
概念的に示す図である。
【図11】図10における両端直径補正の原理を概念的
に示すグラフである。
【図12】図10における寸法情報取得において誤差値
Rから微分値Tが算出される過程を概念的に示すグラフ
である。
【図13】図10におけるファジィ演算において誤差値
Rについて用いられるメンバーシップ関数を示すグラフ
である。
【図14】そのファジィ演算において微分値Tについて
用いられるメンバーシップ関数を示すグラフである。
【図15】そのファジィ演算において補正値Uについて
用いられるメンバーシップ関数を示すグラフである。
【図16】上記実施例において、補正値が測定値に反映
される毎に新たな補正値が決定される様子を概念的に説
明するためのグラフである。
【図17】上記実施例において、補正値が測定値に反映
されるまでの間にそれ以前に存在する測定値をその補正
値の分だけシフトさせるデータシフト処理の内容を概念
的に説明するためのグラフである。
【図18】図10における連続性考慮の内容を概念的に
示すグラフである。
【図19】図5〜9の定寸点補正ルーチンにおいて測定
値Xから最終補正値U* が誘導される過程の一例を説明
するための図である。
【図20】図6のS70の詳細を示すフローチャートで
ある。
【図21】上記実施例において、ある回の補正値U1
測定値Xに現れた後に次の補正値U2 が決定される場合
に、データシフト処理により予測された測定値Xが修正
される様子を概念的に説明するためのグラフである。
【図22】上記実施例において、ある回の補正値U1
測定値Xに現れる前に別の補正値U2 が決定される場合
であって補助補正が行われない場合に、データシフト処
理により予測された測定値Xが修正される様子を概念的
に説明するためのグラフである。
【図23】上記実施例において、ある回の補正値U1
測定値Xに現れる前に別の補正値U2 が決定される場合
であって補助補正が行われる場合に、データシフト処理
により予測された測定値Xが修正される様子を概念的に
説明するためのグラフである。
【図24】上記実施例における測定値前後差変動状態判
定の実行期間と待機ワーク数の最小値および最大値との
関係を説明するためのグラフである。
【図25】上記実施例における測定ワーク数と測定値前
後差とその測定値前後差の算出に用いたサンプル値の数
との関係を概念的に説明するためのグラフである。
【図26】本出願人が本発明に先立って開発した補正装
置において、実際のむだ時間が設定むだ時間より長い場
合に補正誤差が低下する原因を概念的に説明するための
グラフである。
【図27】加工システムにおける加工機と測定機との関
係の一例を示すブロック図である。
【図28】本出願人が本発明に先立って開発した補正装
置において、実際のむだ時間が設定むだ時間より短い場
合に補正誤差が低下する原因を概念的に説明するための
グラフである。
【図29】本出願人が本発明に先立って開発した補正装
置において補正値Uが測定値Xにそのまま反映されない
場合の一例を説明するためのグラフである。
【図30】本出願人が本発明に先立って開発した補正装
置において補正値Uが測定値Xにそのまま反映されない
ために補正精度が低下する原因を概念的に説明するため
のグラフである。
【図31】むだ時間存在式の加工システムにおいて測定
値Xが測定値数iの増加に対して変化する様子を概念的
に説明するためのグラフである。
【図32】各請求項の発明における測定値前後差変動状
態判定の一実施態様を概念的に説明するための図であ
る。
【図33】図32の実施態様における測定ワーク数iと
測定値前後差ΔHとの関係を説明するためのグラフであ
る。
【図34】各請求項の発明における測定値前後差変動状
態判定の別の実施態様を概念的に説明するための図であ
る。
【図35】図34の実施態様における測定ワーク数iと
測定値前後差ΔHとの関係を説明するためのグラフであ
る。
【図36】請求項2または4の発明における測定値のシ
フト処理の一実施態様を概念的に説明するためのグラフ
である。
【図37】各請求項の発明における測定値前後差変動状
態判定の開始条件の一例を説明するための図である。
【図38】各請求項の発明における測定値前後差変動状
態判定の終了条件の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
10 加工機 12 インプロセス測定機 14 定寸装置 15 モータコントローラ 16 ポストプロセス測定機 20 制御装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) 複数のワークを順に加工する加工機
    と、(b) 外部から供給された補正値に基づいて前記加工
    機の加工条件を決定し、その決定した加工条件に従って
    前記加工機を制御する加工機制御装置と、(c) 前記加工
    機により加工された複数のワークの寸法を順に測定する
    測定機とを備え、それら加工機と測定機との間にその測
    定機による測定を待つ少なくとも1個のワークが存在す
    る加工システムにおいて使用されるべきフィードバック
    式加工条件補正装置であって、 前記測定機による測定値の今回値と前回値との差である
    測定値前後差を逐次求め、求めた測定値前後差の変動状
    態が設定状態を超える毎に、前記測定機による測定値に
    基づき、前記加工機により次に加工されるべきワークの
    前記加工条件の補正値を決定する補正値決定部と、 決定された補正値を前記加工機制御装置に供給する補正
    値供給部とを含むことを特徴とするフィードバック式加
    工条件補正装置。
  2. 【請求項2】(a) 複数のワークを順に加工する加工機
    と、(b) 外部から供給された補正値に基づいて前記加工
    機の加工条件を決定し、その決定した加工条件に従って
    前記加工機を制御する加工機制御装置と、(c) 前記加工
    機により加工された複数のワークの寸法を順に測定する
    測定機とを備え、それら加工機と測定機との間にその測
    定機による測定を待つ少なくとも1個のワークが存在す
    る加工システムにおいて使用されるべきフィードバック
    式加工条件補正装置であって、 前記測定機による測定値を逐次蓄積し、蓄積した複数の
    測定値に基づき、前記加工機により次に加工されるべき
    ワークの前記加工条件の補正値を決定する補正値決定部
    であって、前記測定機による測定値の今回値と前回値と
    の差である測定値前後差を逐次求め、補正値の決定時期
    から前記求めた測定値前後差の変動状態が設定状態を超
    える時期までの間に前記測定機によって測定される複数
    の測定値を、前記測定値前後差の変動状態が設定状態を
    超えたときの測定値前後差の値と実質的に同じ量だけシ
    フトさせ、そのシフト後の測定値に基づいて新たな補正
    値を決定するものと、 決定された補正値を前記加工機制御装置に供給する補正
    値供給部とを含むことを特徴とするフィードバック式加
    工条件補正装置。
  3. 【請求項3】複数のワークを加工機により順に加工し、
    その加工機により加工された複数のワークを、加工機と
    の間に少なくとも1個の加工済ワークが存在する位置に
    配置された測定機により順に測定し、その測定機による
    測定値に基づき、加工機により次に加工されるべきワー
    クの加工条件を補正するフィードバック式加工方法であ
    って、 前記測定機による測定値の今回値と前回値との差である
    測定値前後差を逐次求め、求めた測定値前後差の変動状
    態が設定状態を超える毎に、前記測定機による測定値に
    基づき、前記加工機により次に加工されるべきワークの
    前記加工条件の補正値を決定する補正値決定工程を含む
    ことを特徴とするフィードバック式加工方法。
  4. 【請求項4】複数のワークを加工機により順に加工し、
    その加工機により加工された複数のワークを、加工機と
    の間に少なくとも1個の加工済ワークが存在する位置に
    配置された測定機により順に測定し、その測定機による
    測定値に基づき、加工機により次に加工されるべきワー
    クの加工条件を補正するフィードバック式加工方法であ
    って、 前記測定機による測定値を逐次蓄積し、蓄積した複数の
    測定値に基づき、前記加工機により次に加工されるべき
    ワークの前記加工条件の補正値を決定する補正値決定工
    程であって、前記測定機による測定値の今回値と前回値
    との差である測定値前後差を逐次求め、補正値の決定時
    期から前記求めた測定値前後差の変動状態が設定状態を
    超える時期までの間に前記測定機によって測定される複
    数の測定値を、前記測定値前後差の変動状態が設定状態
    を超えたときの測定値前後差の値と実質的に同じ量だけ
    シフトさせ、そのシフト後の測定値に基づいて新たな補
    正値を決定するものを含むことを特徴とするフィードバ
    ック式加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8215883B2 (en) 2006-08-22 2012-07-10 Komatsu Machinery Corporation Ltd. Method for machining crankshaft, apparatus for machining crankshaft, control apparatus and program

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JP2007090511A (ja) * 2005-09-05 2007-04-12 Mitsubishi Materials Corp 切削工具の加工方法及び加工装置
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