JP3214121B2 - フィードバック式加工条件補正装置 - Google Patents

フィードバック式加工条件補正装置

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JP3214121B2
JP3214121B2 JP35934392A JP35934392A JP3214121B2 JP 3214121 B2 JP3214121 B2 JP 3214121B2 JP 35934392 A JP35934392 A JP 35934392A JP 35934392 A JP35934392 A JP 35934392A JP 3214121 B2 JP3214121 B2 JP 3214121B2
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  • Numerical Control (AREA)
  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)
  • Automatic Control Of Machine Tools (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、直接定寸方式の加工シ
ステムと共に使用され、加工されたワークの寸法誤差に
関する情報をフィードバックすることにより、次に加工
されるべきワークの加工条件を補正するフィードバック
式加工条件補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記直接定寸方式の加工システムの一例
として本出願人は次のようなものを案出した。それは、
加工具群,2個のインプロセス測定機およびポストプロ
セス測定機を含む加工システムであって、複数のワーク
であってそれぞれに複数の外周円筒面が互いに同軸的に
並んで形成されたものを、1個ずつ順に加工し、ワーク
個々については、それの複数の外周円筒面に同時に係合
する加工具群を一体的に運動させることによりそれら複
数の外周円筒面を同時に加工するとともに、加工中に2
個のインプロセス測定機により、各ワークの複数の外周
円筒面のうち両端近傍に位置する2個の端外周円筒面に
ついてのみ個々に直径を測定し、それら各測定値と予め
設定された各加工基準値との関係に基づき、加工具群の
ワークに対する角度を調整することとワークの一回の加
工を終了させることとを行い、加工されたワークについ
ては、ポストプロセス測定機によりそれの全外周円筒面
について個々に直径を測定するものである。
【0003】なお、ここに「複数の外周円筒面」は、互
いに直径が等しい複数の外周円筒面である場合に限ら
ず、互いに直径が等しくはない複数の外周円筒面である
場合もある。
【0004】また「両端近傍に位置する端外周円筒面」
は、真に端に位置する外周円筒面である場合に限らず、
端に十分に近い外周円筒面である場合もある。
【0005】また「予め設定された各加工基準値」は、
各端外周円筒面ごとに予め設定された1個以上の加工基
準値であり、少なくとも加工終了値を含むものとされ
る。
【0006】また「それら各測定値と予め設定された各
加工基準値との関係に基づき、加工具群のワークに対す
る角度を調整することとワークの一回の加工を終了させ
ること」は具体的には、次のような態様で実現すること
ができる。
【0007】すなわち、一回の角度調節と一回の加工と
を同時に終了させる態様であって、具体的には、2個の
端外周円筒面の直径がそれぞれ各加工終了値(各端外周
円筒面ごとに設定される)に到達した時期相互の関係に
基づき、加工具群のワークに対する角度調整を行うとと
もに、2個の端外周円筒面の直径が共に各加工終了値に
到達するのを待って一回の加工を終了させる態様で実現
することができるのである。
【0008】さらに、次のような態様でも実現すること
ができる。すなわち、先に一回の角度調整を、後に一回
の加工を終了させる態様であって、具体的には、各端外
周円筒面について加工終了値に加えて、ワークを加工し
続ける際にその加工終了値に到達する前に到達する加工
中間値を設定し、各端外周円筒面の直径がそれぞれ各加
工中間値に到達した時期相互の関係に基づいて加工具群
の角度調節を行い、その後、2個の端外周円筒面の直径
の一方が先に各加工終了値に到達した時期に、または、
2個の端外周円筒面が共に直径が各加工終了値以上とな
るのを待って、一回の加工を終了させる態様でも実現す
ることができるのである。
【0009】そして、本出願人は先に、この加工システ
ムと共に使用されるフィードバック式加工条件補正装置
として次のようなものを案出した。それは、(a) 前記ポ
ストプロセス測定機により前記2個の端外周円筒面につ
いて個々に測定された2個の測定値の各々に基づき、次
に加工されるべきワークの各端外周円筒面の加工基準値
の補正値を決定する補正値決定手段と、(b) 決定された
補正値を前記加工システムに供給する補正値供給手段と
を含むフィードバック式加工条件補正装置である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この装置にお
いては、各端外周円筒面の測定値にのみ基づいてその各
外周円筒面の加工基準値が補正されるため、全外周円筒
面のうち2個の端外周円筒面を除くものの測定値は無視
されて加工基準値が補正され、ひいては加工具群が制御
されることとなる。そのため、ワークの各外周円筒面に
おける加工精度がその全体において十分には均一になら
ないという問題がある。
【0011】このような事情を背景とし、本発明は、ワ
ークの2個の端外周円筒面の測定値のみならずそれ以外
の外周円筒面の測定値をも勘案して加工基準値を補正す
ることにより、上記の問題を解決することを課題として
なされたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明は、図1に示すように、前記加工具群1,2
個のインプロセス測定機2およびポストプロセス測定機
3を含む加工システムと共に使用されるフィードバック
式加工条件補正装置であって前記補正値決定手段4およ
び補正値供給手段5を含むものにおいて、その補正値決
定手段4を、ポストプロセス測定機3により各ワークの
全外周円筒面について個々に測定された複数の測定値に
基づき、次に加工されるべきワークの各端外周円筒面の
前記各加工基準値の補正値を決定するものとしたことを
特徴とする。
【0013】なお、ここにおける「補正値決定手段4」
は種々な態様で実施することができる。
【0014】すなわち、例えば、(a) ポストプロセス測
定機3により各ワークの全外周円筒面について個々に測
定された複数の測定値に基づき、それら全外周円筒面の
うち2個の端外周円筒面について個々に測定された2個
の測定値をそれぞれ補正する両端直径補正手段と、(b)
それぞれ補正された測定値に基づき、各端外周円筒面の
寸法誤差に関する情報を取得する寸法情報取得手段とを
含み、かつ、それら各寸法情報を各端外周円筒面ごとに
フィードバックすることにより、次に加工されるべきワ
ークの各端外周円筒面の各加工基準値の補正値を決定す
る態様で実施することができるのである。
【0015】また、(a) ポストプロセス測定機3により
各ワークの全外周円筒面について個々に測定された複数
の測定値の各々に基づき、それら全外周円筒面について
個々に寸法誤差に関する情報を取得する寸法情報取得手
段と、(b) それら全外周円筒面の複数の寸法情報に基づ
き、それら全外周円筒面のうち2個の端外周円筒面の寸
法情報を補正する両端寸法情報補正手段とを含み、か
つ、それぞれ補正された寸法情報を各端外周円筒面ごと
にフィードバックすることにより、次に加工されるべき
ワークの各端外周円筒面の各加工基準値の補正値を決定
する態様で実施することもできる。
【0016】さらにまた、(a) ポストプロセス測定機3
により各ワークの全外周円筒面について個々に測定され
た複数の測定値の各々に基づき、それら全外周円筒面に
ついて個々に寸法誤差に関する情報を取得する寸法情報
取得手段と、(b) それら全外周円筒面の複数の寸法情報
の各々に基づき、それら全外周円筒面について個々に加
工基準値が設定されていると仮定した場合のそれら各加
工基準値の補正値を暫定補正値として決定する暫定補正
値決定手段と、(c) それら全外周円筒面の複数の暫定補
正値に基づき、それら全外周円筒面のうちの2個の端外
周円筒面のそれぞれの暫定補正値を補正することによ
り、各端外周円筒面の加工基準値の最終補正値を決定す
る最終補正値決定手段とを含む態様で実施することもで
きる。
【0017】なお、それら態様における「寸法情報」は
例えば、寸法誤差のみを採用したものとすることも、さ
らにそれの変化傾向をも同時に採用したものとすること
も、さらにその変化傾向の変化傾向をも同時に採用した
ものとすることもできる。
【0018】
【作用】本発明に係るフィードバック式加工条件補正装
置においては、補正値決定手段4により、ポストプロセ
ス測定機3により各ワークの全外周円筒面について個々
に測定された複数の測定値に基づき、次に加工されるべ
きワークの各端外周円筒面の各加工基準値の補正値が決
定される。すなわち、各端外周円筒面の加工基準値の補
正値が、その各端外周円筒面の測定値のみならず、それ
以外の外周円筒面の測定値にも基づいて決定されるので
ある。
【0019】
【発明の効果】このように、本発明によれば、自身以外
の外周円筒面の測定値をも勘案されて各端外周円筒面の
加工基準値が補正されるため、ワークの各外周円筒面の
加工誤差をそれの全体との関係において適正とすること
が容易となるという効果が得られる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の一実施例であるフィードバッ
ク式の定寸点補正装置を図面に基づいて詳細に説明す
る。
【0021】この定寸点補正装置は、自動車のエンジン
のクランクシャフトを加工すべきワークとし、それに予
め形成されている複数のジャーナル面の各々を加工部位
として円筒研削する加工システムと共に使用される。こ
こにクランクシャフトとは、図2に示すように、互いに
同軸的に並んだ7個の外周円筒面(以下、単に「円筒
面」という)であるジャーナル面を有するワークであ
る。
【0022】加工システムは、具体的には、図3に示す
ように、加工ライン,加工機10,2個のインプロセス
測定機12(図には1個として示す),定寸装置14,
モータコントローラ15,全数計測機16,ワーク数カ
ウンタ18,制御装置20,補助記憶装置22等から構
成されており、以下、それら要素について個々に説明す
る。
【0023】加工ラインは、図において矢印付きの太い
実線で表されており、ワークが複数、一列に並んで上流
側から下流側に向かって搬送されるものである。
【0024】加工機10は、クランクシャフトの7個の
ジャーナル面の各々に対し、加工具としての円形状の砥
石により、円筒研削を行うものである。具体的には、図
4に示すように、クランクシャフトと複数の砥石が同軸
的に並んだ砥石群30とを接触回転させることにより、
7個のジャーナル面すべてに対して同時に円筒研削を行
うマルチ研削盤である。以下、その構成を簡単に説明す
る。
【0025】加工機10は、ワークのためのワークテー
ブル32を備えている。このワークテーブル32は加工
機10の図示しない主フレームに取り付けられている。
ワークテーブル32には、ワークをそれの軸線回りに回
転可能に保持する保持装置(図示しない)とその保持さ
れたワークを回転させるワークモータ34とが設けられ
ている。
【0026】加工機10はさらに、砥石群30のための
前進・後退テーブル36とスイングテーブル38とを備
えている。前進・後退テーブル36は前記主フレーム
に、前記ワークテーブル32に保持されているワークに
対する直角な方向における往復運動が可能な状態で取り
付けられている。一方、スイングテーブル38は、その
前進・後退テーブル36に、砥石軸線(図において一点
鎖線で示す)上にそれに直交する状態で設定されたスイ
ング軸線(図において紙面に直角な直線)を中心とした
スイングが可能(右回転も左回転も可能)な状態で取り
付けられている。前進・後退テーブル36の前進・後退
は主フレームに固定の前進・後退モータ40により、ス
イングテーブル38のスイングは前進・後退テーブル3
6に固定のスイングモータ42によりそれぞれ実現され
る。
【0027】すなわち、この加工機10においては、砥
石軸線とワークの回転軸線との成す角度(以下、「切込
み角」という)がスイングモータ42により調整可能な
のである。
【0028】前記2個のインプロセス測定機12もこの
加工機10に取り付けられている。それらインプロセス
測定機12はそれぞれ、図2に示すように、1個の円筒
面を外周両側から挟む一対の測定子を有し、電気マイク
ロメータ方式によりその円筒面の直径を測定するもので
ある。それらインプロセス測定機12は、7個のジャー
ナル面について個々に用意されているわけではなく、同
図に示すように、両端のジャーナル面、すなわち第1ジ
ャーナル面と第7ジャーナル面(以下、「2個の端円筒
面」ともいう)についてのみ用意されている。
【0029】前記定寸装置14は、図4に示すように、
それらインプロセス測定機12にそれぞれ接続されてい
る。定寸装置14は、研削中、2個の端円筒面のそれぞ
れの直径を各インプロセス測定機12を介して監視し、
それら各端円筒面における残存切込み量(最終寸法に到
達するまでに切り込むことが必要な量)が各設定量(各
端円筒面ごとに存在する)に到達したときにはその旨の
信号(以下、「設定量到達信号」という)を、各最終寸
法すなわち各定寸点(各端円筒面ごとに存在する)に到
達したときにはその旨の信号(以下、「定寸点到達信
号」という)を前記モータコントローラ15に各端円筒
面に関連付けてそれぞれ出力する。すなわち、本実施例
においては、残存切込み量の設定量が前記加工中間値の
一態様であり、定寸点が前記加工終了値の一態様であ
り、それら残存切込み量の設定量と定寸点とがそれぞ
れ、本発明における「加工基準値」の一態様なのであ
る。
【0030】定寸装置14はまた、各定寸点の補正が可
能に設計されている。具体的には、前記制御装置20か
ら各補正値U(各端円筒面ごとに存在する)が供給され
れば、現在の各定寸点にその各補正値Uを加算すること
によって現在の各定寸点を更新し、供給されなければ現
在の各定寸点をそのままに維持するように設計されてい
る。
【0031】前記モータコントローラ15は定寸装置1
4,前進・後退モータ40等に接続されている。モータ
コントローラ15は、作業者からの指令や定寸装置14
からの信号等に基づき、前進・後退モータ40等を制御
する。
【0032】ところで、加工機10は、粗研,精研,ス
パークアウト等のいくつかの段階を順に経て一回の円筒
研削を終了する。粗研は、前記残存切込み量が前記設定
量に達するまで実行され、精研は、直径が前記定寸点に
達するまで実行される。定寸装置14から各端円筒面ご
とに供給されるべき2個の設定量到達信号はその供給時
期が一致しないのが普通であり、モータコントローラ1
5は、粗研段階では、信号供給時期の不一致量に応じて
前進・後退モータ40およびスイングモータ42を制御
し、これにより、前記切込み角を適正に制御する。ま
た、精研においては、それに先立つ粗研において切込み
角が適正となっているはずであるから、モータコントロ
ーラ15は、前進・後退モータ40のみを運転させるこ
とにより、砥石群30のワークへの切込みを続行し、2
個の端円筒面のいずれかについてでも定寸点到達信号が
供給されれば、前進・後退モータ40を停止させ、スパ
ークアウトを行った後に、前進・後退モータ40を逆回
転させることにより砥石群30をワークから後退させ
る。なお、精研段階でも切込み角を制御するようにする
こともできる。
【0033】前記全数計測機16は、図3に示すよう
に、加工ラインの、加工機10の下流側に配置されてい
る。全数計測機16は、ワークが持つ円筒面の数と同数
のポストプロセス測定機44を有し、前記インプロセス
測定機12と同じ方式により、加工機10から搬出され
たワークすべてについて順に、円筒面すべてについて個
々に直径を測定する。この全数計測機16が前記制御装
置20の入力側に接続されている。
【0034】前記ワーク数カウンタ18は、同図に示す
ように、加工ライン上において加工機10と全数計測機
16との間にその全数計測機16による計測を待つワー
クの数を測定するものである。ワーク数カウンタ18
は、加工機10からのワークの搬出を検出する第1セン
サ(例えば、リミットスイッチ等)46と、全数計測機
16へのワークの搬入を検出する第2センサ(例えば、
リミットスイッチ等)48とに接続されていて、第1セ
ンサ46によりワーク搬出が検出されるごとに待機ワー
ク数のカウント値を1ずつ加算し、一方、第2センサ4
8によりワーク搬入が検出されるごとにそのカウント値
を1ずつ減算し、これにより、待機ワーク数の現在値を
測定する。
【0035】前記制御装置20は、図示しないCPU,
ROM,RAMおよびバスを含むコンピュータを主体と
して構成されており、そのROMにおいて定寸点補正ル
ーチンを予め記憶させられている。また、この制御装置
20は、前記補助記憶装置22にも接続されていて、全
数計測機16から入力された測定値X,それに基づいて
決定した補正値U等をすべて保存するように設計されて
いる。一回の加工の終了後に作業者がその加工状況を診
断する際に使用するためである。
【0036】上記定寸点補正ルーチンの主要部が図5〜
8にフローチャートで表されており、それら図に基づい
て制御装置20の構成を説明するが、まず、概略的に説
明する。
【0037】この制御装置20は、全数計測機16によ
り計測された寸法(加工後のワークの寸法)に基づく寸
法情報をフィードバックすることにより、加工機10に
より次に加工されるべきワークについての定寸点の補正
値Uを決定するものである。この加工システムにおいて
は、加工機10と全数計測機16との間に寸法測定を待
つワークが存在することを許容するように設計されてい
る。そのため、この制御装置20は、入力信号が補正値
U、出力信号が寸法情報であるとともにそれら入力信号
と出力信号との間にむだ時間MSが存在する制御システ
ムを想定し、フィードバック式で定寸点を補正する。
【0038】この制御装置20における処理の流れを、
簡単に説明すれば、図9に示すようになる。
【0039】まず、第1ステップとして、全数計測機1
6から測定値Xが入力され、続いて、第2ステップとし
て、その測定値Xから隣接間ばらつきを除去するため
に、今回までに取得された測定値Xに対して移動平均値
Pが算出される。コンピュータのRAMには、測定値X
等を蓄積する演算データメモリ(図示しない)が設けら
れており、それに蓄積されている複数の測定値Xに基づ
いて移動平均値Pが算出される。
【0040】次に、第3ステップとして、その移動平均
値Pに対して両端直径補正(後に詳述する)が行われ、
さらに、第4ステップとして、そのようにして補正され
て今回までに取得された複数の移動平均値P(これも演
算データメモリに蓄積される)に基づき、今回の誤差値
R,微分値Tおよび2回微分値Dがそれぞれ寸法情報と
して算出される。その後、第5ステップとして、その寸
法情報と、ワーク数カウンタ18により測定された待機
ワーク数(前記むだ時間MSに相当する)とに基づき、
ファジィ演算によって補正値Uが算出される。続いて、
第6ステップとして、その補正値Uが、それの連続性が
考慮されることによって補正され、さらに、第7ステッ
プとして、その補正値Uが、定寸装置14との関係にお
いて設定された不感帯内にあるか否かが判定され、なけ
れば、第8ステップとして、その補正値Uが定寸装置1
4に送信される。
【0041】また、この制御装置20においては、全数
計測機16によりワークが計測されるごとに今回の補正
値Uを決定する連続的補正ではなく、前回の補正値Uの
影響を受けた定寸点の下で加工されたワークが計測され
るごとに今回の補正値Uを決定する間欠的補正が採用さ
れている。また、補正値Uが間欠的に補正されるに伴っ
て、演算データメモリも間欠的にクリアされる。
【0042】なお、この制御装置20には、ワークの7
個のジャーナル面すべてについて個々に測定値Xが入力
されるが、基本的には、第1ジャーナル面および第7ジ
ャーナル面のそれぞれの測定値X、すなわち、各端円筒
面の測定値Xに基づいて、前記定寸装置14の各端円筒
面に対応する補正値Uがそれぞれ決定される。
【0043】以上、この制御装置20の全体の流れを簡
単に説明したが、以下、この流れにおける各概念につい
て個々に詳しく説明する。
【0044】まず、移動平均値Pの算出について説明す
る。
【0045】測定値Xは全数計測機16により時系列デ
ータとして取得され、多くの隣接間ばらつきを含んでい
る。そこで、本実施例においては、隣接間ばらつきを除
去してワークの真の寸法を推定するために、今回の測定
値Xおよび前回までに取得された最新の少なくとも1個
の測定値Xにつき、図10にグラフで概念的に示すよう
に、重み付き移動平均値Pを算出し、それを測定値Xの
真の値として使用する。
【0046】この重み付き移動平均値Pは原則として、
次のようにして算出される。すなわち、今回までに取得
された最新のK(2以上の固定値)個の測定値Xに基づ
き、次式(K=5の場合)で表される如き計算式を用い
て今回の移動平均値Pi が算出されるのである。
【0047】
【数1】 Pi =(1・Xi-4 +2・Xi-3 +3・Xi-2 +4・Xi-1 +5・Xi )/15
【0048】しかし、この原則を貫くときは、演算デー
タメモリに蓄積されている測定値Xの数がK個に達しな
い間は、移動平均値Pを算出することができず、図11
に示すように、これを用いて算出されるべき誤差値Rも
微分値Tも算出することができないこととなり、ひいて
は、新たな補正値Uを決定することができない時間が長
くなってしまう。
【0049】そこで、本実施例においては、今回までに
取得された測定値Xの数がK個に達しない場合には、達
する場合とは異なる特別の規則に従って、移動平均値P
が算出される。
【0050】その特別の規則には置換型移動平均値算出
規則と可変型移動平均値算出規則とがある。以下、詳し
く説明する。
【0051】まず、置換型移動平均値算出規則は、図1
2に示すように、存在する予定のK個の移動平均値Pの
うち実際には存在しないものの各々を、各移動平均値P
が取得されるべき回と同じ回に取得された測定値Xその
もので置換するという規則である。これは、同じ回に取
得される測定値Xと移動平均値Pとは本来互いに近似す
るという性質に基づくものであって、この規則に従って
移動平均値Pを算出することを置換型移動平均値算出と
いう。
【0052】この置換型移動平均値算出においては、各
回の移動平均値Pの置換が行われた時期が、その後にお
いてはじめて原則通りに移動平均値Pが算出された時期
から少し前であるか、かなり前であるかを問わず、移動
平均値Pを測定値Xで置換することによって仮想的に取
得することは可能である。しかし、この場合には、次の
ような問題がある。すなわち、1個の微分値Tを算出す
るのに使用されるL個の移動平均値Pにおいて仮想的に
算出された移動平均値Pが占める割合が多いほど、その
微分値Tの精度が低下し、ひいては補正値Uの精度も低
下するおそれがあるという問題があるのである。
【0053】したがって、この置換型移動平均値算出に
おいては、1個の微分値Tを算出するのに使用される仮
想的な移動平均値Pの数を制限することが望ましい。同
図の例は、そのような制限が付された例であって、この
場合には、最新の正規の移動平均値Pより過去に3回の
間に限り(すなわち、置換制限数Zが3個)、仮想的な
移動平均値Pの算出が許容されている。このように制限
を付された場合には、たとえ置換型移動平均値算出をし
ても、演算データメモリに蓄積されている測定値Xの数
が小さい間は、移動平均値Pを算出することができな
い。
【0054】一方、可変型移動平均値算出規則は、測定
値Xの数(Kより小さい数)の各々について個別に重み
付き移動平均値計算式を用意し、今回までに取得された
測定値Xの数(すなわち、演算データメモリに蓄積され
ている測定値Xの数)に合致する計算式を選択し、それ
を用いて移動平均値Pを取得するという規則である(図
13参照)。この規則に従って移動平均値Pを算出する
ことを可変型移動平均値算出という。ここに個別に用意
される重み付き移動平均値計算式には例えば次のような
ものを選ぶことができる。
【0055】
【数2】 測定値Xの数 移動平均値計算式(ただし、K=5) 1 P1 =X1 2 P2 =(1・X1 +2・X2 )/3 3 P3 =(1・X1 +2・X2 +3・X3 )/6 4 P4 =(1・X1 +2・X2 +3・X3 +4・X4 )/10
【0056】この例においては、演算データメモリに蓄
積されている測定値Xの数が1個であっても、移動平均
値Pの算出が可能である。したがって、この例において
は、演算データメモリに蓄積されている測定値Xの数が
少ないから移動平均値Pを算出することはできないとい
う事態は起こらない。
【0057】なお、本実施例においては、以上のような
移動平均値Pの特別な手法による算出(以下、「特別移
動平均値算出」という)の実行の許否が作業者によって
指令され、さらに、その特別移動平均値算出が指令され
る場合には、その種類の選択も作業者からの指令に応じ
て行われるようになっている。すなわち、特別移動平均
値算出指令が出されている場合には必ず、置換型移動平
均値算出指令と可変型移動平均値算出指令とのいずれか
が出されるようになっているのである。
【0058】この制御装置20が接続される加工システ
ムにおいては、前述のように、加工されたワークの全円
筒面のうちの2個の端円筒面のみに関する寸法情報に基
づいて砥石群30が作動させられる。そのため、2個の
端円筒面の測定値Xのみを考慮し、それ以外の円筒面の
測定値Xを考慮しないで定寸点を補正する場合には、各
円筒面の加工精度がそれの全体において十分に均一にな
らない場合がある。
【0059】このような事態を回避するために、本実施
例においては、次のような技術が採用されている。すな
わち、図14にグラフで概念的に示すように、ワークに
おける各円筒面の軸方向位置(図に「1J」〜「7J」
で表す)と各円筒面の直径(すなわち、移動平均値P)
とが比例関係にあると仮定し、2個の端円筒面の測定値
Xをそれぞれ補正するという両端直径補正という技術が
採用されているのである。
【0060】この両端直径補正の一具体例は、次のよう
である。すなわち、両端直径補正計算式として、
【0061】
【数3】
【0062】を採用するのである。ただし、 x:ジャーナル面の番号(第1ジャーナル面から第7ジ
ャーナル面に向かって1から7まで付されている) x′:7個のxの値の平均値 y:xの各値における移動平均値Pの修正値 P:xの各値における移動平均値Pの計算値 P′:7個の移動平均値Pの計算値の平均値
【0063】そして、第1ジャーナル面については、上
記式の「x」に1を代入することによって、移動平均値
Pの修正値y1 を取得し、また、第7ジャーナル面につ
いては、「x」に7を代入することによって、移動平均
値Pの修正値y7 を取得するのである。
【0064】なお、本実施例においては、この両端直径
補正の実行の許否も作業者によって指令されるようにな
っている。
【0065】また、本実施例においては、移動平均値P
に対して両端直径補正が行われるようになっているが、
移動平均値Pの基礎となる測定値Xそのものに対して両
端直径補正を行うこともできる。
【0066】ワークについて取得する寸法情報には、前
述のように、誤差値Rのみならず、それの微分値Tとそ
の微分値Tの微分値である2回微分値Dとがある。誤差
値Rは「寸法誤差」の一態様であり、微分値Tは「寸法
誤差の変化傾向」の一態様であり、2回微分値Dは「変
化傾向の変化傾向」の一態様である。
【0067】このように、誤差値R以外のパラメータに
も基づいて補正値Uを決定することとしたのは、誤差値
Rのみに基づいて補正値Uを決定する場合より、それの
微分値Tまたは2回微分値Dにも基づいて補正値Uを決
定する場合の方が、加工機10の実際の状態をより正確
に推定することができ、定寸点の補正精度が向上するか
らである。なお、誤差値Rのみならず微分値Tにも基づ
いて補正値Uを決定する技術は、本出願人の特願平4−
61305号として出願されており、また、さらに2回
微分値Dにも基づいて補正値Uを決定する技術は、本出
願人の特願平4−235402号として出願されてい
る。
【0068】微分値Tは、図15にグラフで概念的に示
すように、原則として、今回取得された誤差値Rおよび
前回までに取得された最新の少なくとも1個の誤差値R
から成るL(2以上の固定値)個の誤差値Rが計測ワー
ク数iの増加に対して比例すると仮定し、それらL個の
誤差値Rが適合する1次回帰線を特定し、それの勾配を
微分値T(1次回帰線の傾きをθラジアンとした場合の
tan θに一致する)として取得される。
【0069】具体的には、1次回帰線の式として、例え
ば、
【0070】
【数4】
【0071】なる式が採用される。ただし x:計測ワーク数iの値 x′:L個のxの値の平均値 y:xの各値における誤差値Rの真の値 R:xの各値における誤差値Rの計算値 R′:L個の誤差値Rの計算値の平均値 そして、
【0072】
【数5】
【0073】の値が、微分値Tとなる。
【0074】しかし、この原則を貫くと、移動平均値P
の算出の場合と同様に、演算データメモリに蓄積されて
いる誤差値Rの数がL個に達しない場合には、微分値T
を算出することができない。
【0075】そこで、本実施例においては、移動平均値
Pの算出の場合に準じて、移動平均値Pの数(Lより小
さい数)の各々について個別に1次回帰線の式を用意
し、今回までに取得された最新の誤差値Rの数(すなわ
ち、演算データメモリに蓄積されている誤差値Rの数)
に合致する式を選択し、それを用いて微分値Tを取得す
るという技術が採用されている。
【0076】なお、本実施例においては、可変型微分値
算出の実行の許否も作業者によって指令されるようにな
っている。
【0077】2回微分値Dは微分値Tと同様にして算出
される。すなわち、今回までに取得された最新のQ(2
以上の固定値)個の微分値Tが計測ワーク数iの増加に
対して比例すると仮定し、それらQ個の微分値Tが適合
する1次回帰線を特定し、それの勾配を2回微分値D
(1次回帰線の傾きをθラジアンとした場合のtan θに
一致する)として取得する。
【0078】なお、本実施例においては、2回微分値D
の使用の許否も作業者によって指令されるようになって
いる。
【0079】また、本実施例においては、この2回微分
値Dについては、微分値Tに係る可変型微分値算出に相
当する技術は採用されていないが、採用することはもち
ろん可能である。
【0080】この制御装置20においては、補正値Uの
決定のために、前述のように、間欠的補正,むだ時間考
慮型補正,ファジィ演算を用いた補正値Uの決定,連続
性考慮型補正および補正値Uの不感帯なる技術が採用さ
れている。以下、それらについて個々に説明する。
【0081】(1) 間欠的補正 連続的補正の問題点および間欠的補正を採用した背
景 定寸点補正に際し、全数計測機16によりワークの寸法
が計測されるごとに、加工機10により次に加工される
べきワークの定寸点の補正値Uを決定する連続的補正な
る補正手法を採用することができる。この連続的補正は
例えば、図16に概念的に示すように、全数計測機16
により計測されたばかりの寸法情報に基づく補正値U
(図においては、時期t1 においては「a」、時期t2
においては「b」で表す)を、加工機10により次に加
工されるべきワークに対応する定寸点の補正値Uとして
定寸装置14に送信し、このことを全数計測機16にワ
ークが到達して計測が終了するごとに行う態様として実
現される。
【0082】しかし、この連続的補正を採用する場合に
は次のような問題がある。すなわち、全数計測機16に
より計測されるワークすべてについて個々に補正値Uを
決定しなければならないため、制御装置20に大きな負
担がかかってしまうという問題があるのである。
【0083】この問題を解決するために、本実施例にお
いては、加工機10と全数計測機16との間に待機ワー
クが存在するという事実に着目して、間欠的補正なる補
正手法が採用されている。以下、詳しく説明する。
【0084】 間欠的補正の基本的な内容 間欠的補正とは、前回の補正値Uの影響を受けた定寸点
の下で加工された少なくとも1個のワーク(以下、「補
正対象ワーク」という)が全数計測機16により測定さ
れるごとに今回の補正値Uを決定することをいう。以
下、この間欠的補正の内容を、より具体的に、図17に
示す一具体例に基づいて説明する。
【0085】この間欠的補正においては、前回の補正値
Uに係る補正対象ワークの先頭のもの(以下、「先頭補
正対象ワーク」という)が全数計測機16により計測さ
れたときから、全数計測機16による測定値X等が逐次
前記演算データメモリに蓄積し始められる。そして、そ
の蓄積数が1個の補正値Uを演算するのに必要な数(以
下、「演算必要数」という)に達したときに(図におい
て「t1 」で示す時期に)、その蓄積されているデータ
に基づいて今回の補正値U(図において「a」で示す)
が決定され、それが定寸装置14に送信されるととも
に、演算データメモリがクリアされる。
【0086】その後、その今回の補正値U(=a)に係
る先頭補正対象ワーク(図において「◎」で示す)が全
数計測機16により計測されたとき(図の例では、「t
8 」で示す時期)から、全数計測機16により計測が行
われるごとにそれの測定値X等が演算データメモリに蓄
積し始められ、その蓄積数が一定値に達したときに、そ
の蓄積されているデータに基づいて次回の補正値Uが決
定され、それが定寸装置14に送信されるとともに、演
算データメモリがクリアされる。
【0087】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、前回の補正値Uに係る少なくとも1個の補
正対象ワークが全数計測機16により計測され、かつ、
演算データメモリに蓄積されているデータの数が演算必
要数に到達したときに、今回の補正値Uが決定されるの
である。
【0088】 間欠的補正の一具体例およびその問題
点 本出願人は、この間欠的補正の一具体例として次のよう
なものを提案した。すなわち、例えば、図17において
「t2 」で示す時期におけるように、前回の補正値U
(図の例では「a」)の送信時期(図の例では
「t1 」)から今回の補正値U(図示しない)の送信時
期までの間、補正値Uを0とし、定寸装置14の定寸点
を同じ値に固定する提案をしたのである。ここで、ある
回のデータの蓄積開始からその次の回のデータの蓄積開
始の直前までを、一回の間欠的補正と定義すれば、その
提案は結局、各回の間欠的補正において、演算データメ
モリのデータ蓄積数が演算必要数に到達したときに限っ
て一回だけ補正値Uを定寸装置14に送信する提案とい
うことができる。
【0089】しかし、間欠的補正をこの態様で実施した
場合には次のような問題が生ずるおそれがある。各回の
間欠的補正において、補正値Uを送信した後から測定値
Xが予定外の変化をすることがある。このような予定外
の変化は、次回の間欠的補正において演算データメモリ
に蓄積され、最終的には次回の補正値Uの反映されるこ
とになる。しかし、その次回の補正値Uが決定される前
には、その予定外の変化がたとえ大きなものであって
も、それに応じて直ちには定寸点を補正することができ
ない。つまり、間欠的補正を上記の態様で実施した場合
には、測定値Xの変化に迅速に対応して定寸点を補正す
ることができないという問題があるのである。
【0090】 間欠的補正の一改良例およびその問題
点 この問題を解決するために、本出願人は、各回の間欠的
補正に連続的補正という思想を部分的に取り入れること
により、測定値Xの変化に迅速かつ正確に対処する提案
をした。以下、この内容を、図18に概念的に示す一具
体例に基づいて説明する。
【0091】前記の場合と同様に、前回の補正値Uに係
る先頭補正対象ワークが全数計測機16により計測され
たときから、全数計測機16による測定値X等が逐次演
算データメモリに蓄積し始められる。そして、その蓄積
数が演算必要数に達したときに(図において「t1 」で
示す時期に)、その蓄積されているデータに基づいて今
回の補正値U(図において「a」で示す)が決定され、
それが定寸装置14に送信される。ただし、前回の場合
とは異なり、このとき、演算データメモリはクリアされ
ない。
【0092】その後、ワークの計測が1工程ずつ進行す
るごとに、補正値Uが決定される。例えば、同図の例で
は、時期t2 では「b」、時期t3 では「c」、時期t
4 では「d」がそれぞれ決定される。しかし、それら補
正値Uはそのまま定寸装置14に送信されるわけではな
く、各回の補正値Uから前回の補正値Uを差し引いたも
のが定寸装置14に送信される。補正値Uの、前回から
の変化分のみが定寸装置14に送信されるのである。し
たがって、時期t2 では「b−a」、時期t3では「c
−b」、時期t4 では「d−c」なる補正値Uがそれぞ
れ定寸装置14に送信されることになる。
【0093】さらに、本出願人は、この実施態様に次の
ような技術を付加することを提案した。それは、各回の
間欠的補正において連続的補正を行う回数を制限すると
いう技術(同図の例では、連続的補正制限数が3回であ
る)である。これは、各回の間欠的補正において連続的
補正を最後まで繰り返すことは可能なのであるが、測定
値Xの予定外の変化は一時的なものであるのが普通であ
るため、その期間に限って連続的補正が行われるように
し、それ以外は連続的補正を省略して、補正の頻度を低
減させるためである。なお、この技術においては、制限
された回数だけ連続的補正が実行されたとき(図の例で
は、「t4 」で示す時期)に、演算データメモリがクリ
アされる。
【0094】しかし、それら2つの技術を同時に採用し
て間欠的補正を実施した場合にも問題があることが判明
した。この間欠的補正においては、一連の連続的補正の
開始時期が各回の間欠的補正の開始直後に固定され、か
つ、その一連の連続的補正の終了時期も固定されてい
る。そのため、その実行中に測定値Xに変化が現れれ
ば、その変化を反映させて補正値Uを決定することがで
きるが、その実行後に変化が発生した場合には、補正値
Uを精度よく決定することができないという問題がある
のである。
【0095】 間欠的補正の別の改良例およびその問
題点 この問題を解決するために、本出願人はさらに、間欠的
補正の別の改良例を提案した。すなわち、補正値Uに、
定寸装置14との関係における不感帯を設け、一連の連
続的補正の当初において決定した補正値Uがその不感帯
内にある場合には、その補正値Uを定寸装置14に送信
せず、事実上その一連の連続的補正の実行を開始せず、
その後決定された補正値Uが不感帯から外れた場合に初
めて、その補正値Uを送信し、その一連の連続的補正の
実行を開始することを提案したのである。このようにす
れば、測定値Xに変化が現れない限り、回数的制限付き
の連続的補正が開始されないから、本当に必要な時期に
タイムリーに連続的補正が開始されることになる。な
お、補正値Uに不感帯を設定するという技術は、本出願
人の特願平4−278146号として出願されている。
【0096】しかし、この改良例を用いても、各回の主
補正および補助補正が本当に必要な時期に実行されると
は限らないという問題がある。
【0097】 間欠的補正のさらに別の改良例および
その問題点 この問題を解決するために、本出願人はさらに、間欠的
補正のさらに別の改良例を提案した。
【0098】一連の連続的補正の終了予定時期において
定寸点が、その連続的補正の属する間欠的補正の開始前
の値に戻ってしまう場合があり、この場合には、今回の
間欠的補正(その連続的補正およびそれに先行する初回
の補正から成る)は、測定値Xに実質的な変化が現れな
い時期に実行されており、無駄に終わったとともに、そ
れ以後に測定値Xに変化が現れても次回の間欠的補正が
開始されるまで、その変化を補正値Uに反映させること
ができない。
【0099】そこで、本出願人は、一連の連続的補正が
終了予定時期に達したならば、それの属する間欠的補正
の当初から現時点までに決定された複数の補正値Uの合
計値が0であるか否かを判定し、これにより、定寸点が
その間欠的補正の開始前の値に戻ってしまったか否かを
判定し、そうであれば、その連続的補正を続行するとい
う提案をした。この提案を採用すれば、回数制限付きの
連続的補正が本当に必要な期間実行されるようになる。
【0100】そして、本実施例においては、補正値決定
の方式として、間欠的補正のみで連続的補正を行わない
方式と、間欠的補正のみならず連続的補正をも行う方式
とのいずれかが作業者の指令に応じて選択されるように
なっている。すなわち、連続的補正指令が出されれば後
者の方式が選択され、出されなければ前者の方式が選択
されるようになっているのである。
【0101】また、本実施例においては、その連続的補
正の方式として、連続的補正の続行を行う方式と、行わ
ない方式とのいずれかが作業者の指令に応じて選択され
るようにもなっている。
【0102】さらにまた、本実施例においては、その連
続的補正の続行方式として、一連の連続的補正の終了予
定時期において定寸点が、それの属する間欠的補正の開
始前の値に戻ってしまった場合には、続行されるべき連
続的補正の初回の補正値Uについて不感帯を考慮して連
続的補正を続行する方式(以下、「連続的補正再開方
式」という)と、不感帯を考慮しないで続行する方式
(以下、「連続的補正延長方式」という)とのいずれか
が作業者の指令に応じて選択されるようにもなってい
る。前者の方式を選択するための指令を連続的補正再開
指令といい、後者の方式を選択するための指令を連続的
補正延長指令といい、それら指令のいずれも出されてい
ない場合には、連続的補正の続行許可指令が出されてい
ないと判断されるようになっている。
【0103】(2) むだ時間考慮型補正 全数計測機16による計測を待つワークの数すなわち待
機ワーク数が変動する場合には、その数に応じて補正値
Uの決定規則を変更すれば、ワークの加工精度のばらつ
きが抑制されるという事実がある。そこで、本実施例に
おいては、その事実に着目し、その待機ワーク数がむだ
時間MSとして測定され、それをも勘案して各回の補正
値Uが決定される。なお、この技術は、本出願人の特願
平4−158787号として出願されている。
【0104】なお、本実施例においては、このむだ時間
考慮型補正の実行の許否も作業者によって指令されるよ
うになっている。
【0105】(3) ファジィ演算を用いた補正値Uの決定 補正値Uは、寸法情報を入力変数としてファジィ演算を
行うことによって決定される。
【0106】また、本実施例においては、補正値Uの決
定方式として、 誤差値Rおよび微分値Tをそれぞれ
入力変数としたファジィ演算により決定する第1の方式
と、 誤差値R,微分値Tおよび2回微分値Dをそれ
ぞれ入力変数としたファジィ演算により決定する第2の
方式と、 誤差値R,微分値Tおよびむだ時間MSを
それぞれ入力変数としたファジィ演算により決定する第
3の方式とがある。前記2回微分値使用指令が出された
場合には第2の方式、前記むだ時間考慮型補正指令が出
された場合には第3の方式が選択され、それら指令のい
ずれも出されない場合には第1の方式が選択されるよう
になっている。なお、第1の方式の一具体例は本出願人
の特願平4−61305号明細書に既に開示されてお
り、また、第2の方式の一具体例は本出願人の特願平4
−235402号明細書に既に開示されており、また、
第3の方式の一具体例は本出願人の特願平4−1587
87号明細書に既に開示されている。
【0107】(4) 連続性考慮型補正 誤差値Rは本来、加工の進行につれて滑らかに変化する
ものであるから、補正値Uに連続性を持たせること、す
なわち、加工の進行につれて補正値Uを滑らかに変化さ
せることがワークの寸法ばらつきを抑制するのに望まし
い。そこで、本実施例においては、その事実に着目し、
図19にグラフで概念的に示すように、まず、連続性を
無視して補正値Uが決定され、それが暫定値(以下、
「暫定補正値U」という)とされ、今回までに取得され
た最新のM個(2以上の固定値)の暫定補正値Uが計測
ワーク数iに対して比例すると仮定され、それらM個の
暫定補正値Uについて前記の場合と同様な1次回帰線の
式が特定される。そして、その式を用いて現在の補正値
Uの真の値が推定され、それが補正値Uの最終値(以
下、「最終補正値U* 」という)とされる。なお、この
技術は、本出願人の特願平4−61306号として出願
されている。
【0108】具体的には、1次回帰線の式として、例え
ば、
【0109】
【数6】
【0110】なる式が採用される。ただし、 x:計測ワーク数iの値 x′:M個のxの値の平均値 y:xの各値における暫定補正値Uの真の値 U:xの各値における暫定補正値Uの計算値 U′:M個の暫定補正値Uの計算値の平均値
【0111】そして、上記式の「x」に今回の測定ワー
ク数iの値を代入すれば、今回の最終補正値U* が取得
されることになる。
【0112】なお、本実施例においては、この連続性考
慮型補正の実行の許否も作業者によって指令されるよう
になっている。
【0113】(5) 補正値Uの不感帯 各回決定した補正値Uをそれの大小を問わず定寸装置1
4に送信すると、ワークの加工精度のばらつきがやや大
きくなってしまうという現象が発生する。そこで、本実
施例においては、そのような現象の発生を抑制するため
に、図20にグラフで概念的に示すように、補正値U
に、定寸装置14の送信との関係における不感帯が設定
され、各回に決定した最終補正値U* がその不感帯内に
ある場合には、その最終補正値U* の定寸装置14への
送信が省略される。
【0114】なお、この技術は、前述の、連続的補正の
開始時期適否判定に採用されているものと同じものであ
り、本実施例においては結局、連続的補正の開始時期適
否判定のみならず間欠的補正の開始時期適否判定にも採
用されていることになる。
【0115】以上、制御装置20による定寸点補正の内
容を概略的に説明したが、以下、定寸点補正ルーチンを
表す図5〜8のフローチャートに基づき、具体的に説明
する。
【0116】まず、図5のステップS1(以下、単に
「S1」で表す。他のステップについても同じとする)
において、補助記憶装置22から数値や指令がパラメー
タとして入力される。ここに「数値」とは、前述の、移
動平均値算出に係る重み係数の値,置換制限数Z,連続
的補正制限数S等を意味し、また、「指令」とは、前述
の、特別移動平均値算出指令等を意味する。続いて、S
2において、全数計測機16により測定された測定値X
であって未だ制御装置20に送信されていないものの有
無が判定される。今回は、そのような測定値Xはないと
仮定すれば、判定がNO(図において「N」で表す。他
のステップについても同じとする)となり、S3に移行
する。
【0117】このS3においては、作業者によるキー入
力の有無が判定される。無ければ判定がNOとなって直
ちにS2に戻るが、有れば判定がYES(図において
「Y」で表す。他のステップについても同じとする)と
なり、S4において、この制御装置20に接続されてい
る図示しないキーボードからデータが入力され、S5に
おいて、そのデータに応じて前記パラメータが変更さ
れ、S6において、変更されたパラメータが補助記憶装
置22に保存され、S7において、後述のRAMの演算
データメモリがクリアされた後、S2に戻る。いずれの
場合にも、本ルーチンの今回の実行時には、補正値Uが
定寸装置14に送信されず、結局、定寸装置14は定寸
点を現在のままに維持することとなる。
【0118】これに対して、全数計測機16において送
信すべき測定値Xがあると仮定すれば、S2の判定がY
ESとなり、S8において、今回の測定値Xが入力され
る。測定値Xは、7個のジャーナル面すべてについて個
々に入力される。続いて、S9において、それが前記演
算データメモリに蓄積されるとともに、補助記憶装置2
2に保存される。
【0119】その後、S10において、現在、前回の間
欠的補正当初に送信された補正値Uの下で加工されたワ
ークが全数計測機16に到達するのを待っているワーク
待ち状態にあるか否かが判定される。具体的には、ワー
ク待ちフラグがONであるか否かが判定される。
【0120】このワーク待ちフラグは、OFFでワーク
待ち状態にないことを示し、ONでワーク待ち状態にあ
ることを示すフラグであり、RAMに設けられている。
また、このワーク待ちフラグは、コンピュータの電源の
投入に伴ってONされ、図示しない別のプログラムの実
行により、前回の間欠的補正当初に送信された補正値U
の下で加工されたワークが全数計測機16に到達して寸
法計測が終了したときに、OFFされる。また、連続的
補正指令が出されていない場合には、後述の図8のS5
4において、各回の間欠的補正当初に補正値Uが送信さ
れたときにONされ、一方、連続的補正指令が出されて
いる場合には、同図のS64において、一連の連続的補
正が終了したときにONされる。今回はOFFされてい
ると仮定すれば、このS10の判定がNOとなり、S1
1に移行し、一方、今回はONされていると仮定すれ
ば、S10の判定がYESとなり、S7において演算デ
ータメモリがクリアされた後、S2に戻る。
【0121】S11においては、演算データメモリから
過去の測定値Xが入力される。その後、S12におい
て、今回の移動平均値Pの算出の可否が判定される。演
算データメモリに蓄積されている測定値Xの数がK個以
上であるか否かが判定されるのである。今回は、蓄積さ
れている測定値Xの数がK個以上ではないと仮定すれ
ば、判定がNOとなり、S13において、特別移動平均
値算出指令の有無が判定される。無ければ判定がNOと
なり、直ちにS2に戻る。したがって、本ルーチンの今
回の実行においては、結局、補正値Uが0とされること
になる。
【0122】これに対して、特別移動平均値算出指令が
有れば、S13の判定がYESとなり、S14におい
て、可変型移動平均値算出指令の有無が判定される。無
ければ判定がNOとなり、S15に移行する。なお、可
変型移動平均値算出指令と置換型移動平均値算出指令と
は択一される指令であるから、可変型移動平均値算出指
令が無ければ必ず置換型移動平均値算出指令が有ること
になる。
【0123】このS15においては、置換型移動平均値
算出の可否が判定される。具体的には、演算データメモ
リに蓄積されている測定値Xの数がK(原則通り移動平
均値Pを算出するのに必要な測定値Xの数)−Z(置換
制限数)より小さいか否かが判定され、そうであれば、
置換型移動平均値算出が不可能である(正確には、禁止
されている)と判定され、そうでなければ可能である
(正確には、許可されている)と判定される。不可能で
あればS2に戻るが、可能であればS16において、今
回の測定値Xがそのまま今回の移動平均値Pとされ、S
17において、それが演算データメモリに蓄積されると
ともに、補助記憶装置22に保存される。その後、S1
8に移行する。
【0124】これに対して、可変型移動平均値算出指令
が有れば、S14の判定がYESとなり、S19におい
て、前記可変型移動平均値算出手法により移動平均値P
が算出され、S20において、それが演算データメモリ
に蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存され
る。その後、S18に移行する。
【0125】このS18においては、両端直径補正指令
の有無が判定され、無ければ直ちに図6のS22に移行
するが、有ればS21において、前記2個の端円筒面の
移動平均値Pについて前記両端直径補正が行われ、その
結果に応じて、演算データメモリの内容が更新される。
その後、図6のS22に移行する。
【0126】このS22においては、今回の移動平均値
Pから、ワークの寸法の目標値A0を引いた値が今回の
誤差値Rとされ、続いて、S23において、それが演算
データメモリに蓄積されるとともに、補助記憶装置22
に保存される。
【0127】その後、S24において、微分値Tの算出
の可否が判定される。演算データメモリに蓄積されてい
る移動平均値Pの数がL個以上であるか否かが判定され
るのである。今回は、蓄積されている移動平均値Pの数
がL個以上ではないと仮定すれば、判定がNOとなり、
S25に移行する。このS25においては、可変型微分
値算出指令の有無が判定され、無ければ直ちに図5のS
2に戻って、本ルーチンの今回の実行が終了するが、有
ればS26において、前記可変型微分値算出手法により
今回の微分値Tが算出され、S27において、それが演
算データメモリに蓄積されるとともに、補助記憶装置2
2に保存される。
【0128】その後、S28において、2回微分値使用
指令の有無が判定され、有れば、S29において、2回
微分値Dの算出の可否が判定される。演算データメモリ
に蓄積されている微分値Tの数がQ個以上であるか否か
が判定されるのである。今回は、蓄積されている微分値
Tの数がQ個以上ではないと仮定すれば、判定がNOと
なり、直ちにS2に戻って、本ルーチンの今回の実行が
終了する。これに対して、2回微分値使用指令が無けれ
ば、S30において、むだ時間考慮型補正指令の有無が
判定され、無ければ直ちにS33に移行するが、有れ
ば、S31において、ワーク数カウンタ18からむだ時
間MSが入力され、S32において、それが演算データ
メモリに蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存
される。その後、S33に移行する。
【0129】このS33においては、ファジィ演算によ
り暫定補正値Uが算出される。今回は、演算データメモ
リにむだ時間MSが蓄積されているから、このステップ
においては、誤差値R,微分値Tおよびむだ時間MSに
基づき、前述のようにして暫定補正値Uが算出されるこ
とになる。その後、S34において、それが演算データ
メモリに蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存
される。その後、図7のS35に移行する。
【0130】このS35においては、連続性考慮型補正
指令の有無が判定され、無ければS36において、暫定
暫定値Uがそのまま最終補正値U* とされ、S37にお
いて、それが補助記憶装置22に保存される。これに対
して、連続性考慮型補正指令が有れば、S35の判定が
YESとなり、S38において、連続性考慮型補正の可
否が判定される。演算データメモリに蓄積されている暫
定補正値Uの数がM個以上であるか否かが判定されるの
である。今回は、蓄積されている暫定補正値Uの数がM
個以上ではないと仮定すれば、判定がNOとなり、図5
のS2に戻り、本ルーチンの今回の実行が終了する。
【0131】その後、本ルーチンの実行(S2以下のス
テップの実行)が何回か繰り返されたために、演算デー
タメモリに測定値Xも移動平均値Pも暫定補正値Uも十
分な数蓄積されたと仮定すれば、S12の判定がYES
となり、同図のS39において、原則通り、移動平均値
Pが算出され、S40において、それが演算データメモ
リに蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存され
る。その後、S18に移行する。
【0132】その後、図6のS24において、微分値T
の算出の可否が判定されれば、今回は上記仮定から、判
定がYESとなり、S41において、原則通り、微分値
Tが算出され、S42において、それが演算データメモ
リに蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存され
る。その後、S28に移行する。
【0133】2回微分値使用指令が有ると仮定すれば、
このS28の判定がYESとなり、S29において、2
回微分値Dの算出の可否が判定される。今回は上記仮定
から、判定がYESとなり、S43において、演算デー
タメモリに蓄積されている最新のQ個の微分値Tに基づ
き、前述のようにして2回微分値Dが算出される。続い
て、S44において、それが演算データメモリに蓄積さ
れるとともに、補助記憶装置22に保存される。
【0134】その後、S33において、ファジィ演算に
より暫定補正値Uが算出されることになるが、今回は、
演算データメモリに2回微分値Dが蓄積されているか
ら、誤差値R,微分値Tおよび2回微分値Dに基づき、
前述のようにして暫定補正値Uが算出されることにな
る。
【0135】その後、図7のS35において、連続性考
慮型補正指令の有無が判定され、無ければS36に移行
するが、有れば、S38において、連続性考慮型補正の
可否が判定される。今回は、上記仮定から、判定がYE
Sとなり、S45において、演算データメモリに蓄積さ
れている最新のM個の暫定補正値Uに基づき、最終補正
値U* が算出される。その後、S46において、それが
演算データメモリに蓄積されるとともに、補助記憶装置
22に保存される。
【0136】S37または46の実行が終了すれば、S
47において、連続的補正指令の有無が判定される。今
回は無いと仮定すれば、この判定がNOとなり、S48
において、今回の最終補正値U* を定寸装置14に送信
すべきか否か、すなわち、その最終補正値U* が不感帯
から外れているか否かが判定される。今回は不感帯内に
あると仮定すれば、判定がNOとなり、S49におい
て、前記ファジィ演算において適合したファジィルール
が補助記憶装置22に保存される。その後、S2に戻っ
て、本ルーチンの今回の実行が終了する。
【0137】これに対して、最終補正値U* が不感帯か
ら外れていると仮定すれば、S48の判定がYESとな
り、S50において、最終補正値U* が定寸装置14に
送信され、S51において、連続的補正指令が有るか否
かが判定される。今回は無いと仮定されているから、判
定がNOとなり、S52において、前記S49と同様
に、適合したファジィルールが補助記憶装置22に保存
される。
【0138】S52の実行後は、図8のS53におい
て、連続的補正指令の有無が判定される。今回は無いと
仮定されているから、今回の判定はNOとなり、S54
において、前記ワーク待ちフラグがONされ、S55に
おいて、演算データメモリがクリアされ、その後、S2
に戻って、本ルーチンの今回の実行が終了する。次回の
間欠的補正に備えて、過去の測定値X等を演算データメ
モリから消去するのである。
【0139】その後、本ルーチンが実行され、図5のS
10において、ワーク待ちフラグがONであるか否かが
判定されれば、現在そうであるから、判定がYESとな
り、S7において演算データメモリがクリアされた後、
S2に戻る。その後、ワーク待ちフラグがOFFになる
まで、S2〜10の実行が繰り返され、これにより、補
正値Uが0とされつつ、事実上補助記憶装置22への測
定値Xの保存のみが繰り返されることになる。
【0140】以上、連続的補正指令が出されていない場
合について説明したが、出されている場合には、図7の
S47の判定がYESとなり、S56において、連続的
補正の実行中であるか否かが判定される。具体的には、
連続的補正カウンタの値が0ではないか否かが判定され
る。この連続的補正カウンタはRAMに設けられてい
て、一回の間欠的補正における連続的補正の回数(ワー
クの数)を表すものである。現在は連続的補正が一度も
行われていないと仮定すれば、連続的補正カウンタの値
が0となり、S48に移行する。
【0141】今回の最終補正値U* は不感帯内に有ると
仮定すれば、このS48の判定がNOとなり、S49に
移行し、結局、その最終補正値U* が送信されることな
く、本ルーチンの今回の実行が終了し、連続的補正は開
始されない。これに対し、最終補正値U* が不感帯から
外れていると仮定すれば、S48の判定がYESとな
り、S50において、最終補正値U* が送信され、S5
1において、連続的補正指令の有無が判定される。今回
は有ると仮定されているから、判定がYESとなり、S
57において、連続的補正カウンタの値が1だけインク
リメントされる。その後、S52に移行する。
【0142】その後、図8のS53において、連続的補
正指令の有無が判定されれば、今回は有ると仮定されて
いるから、判定がYESとなり、S58において、今回
の連続的補正を終了させるべきであるか否かが判定され
る。具体的には、連続的補正カウンタの現在値が設定値
(図5のS1において補助記憶装置22から入力された
もの)以上となったか否かが判定される。今回はそうで
はないと仮定すれば、判定がNOとなり、S2に戻る。
【0143】本ルーチンのその後の実行においては、図
7のS56において、連続的補正の実行中であるか否か
が判定されれば、今回はそうであるから、判定がYES
となり、S59において、今回の最終補正値U* から前
回の最終補正値U* を引いた値が今回の送信値とされ、
S60において、それが定寸装置14に送信される。そ
の後、S61において、それが補助記憶装置22に保存
される。
【0144】その後、S57および52が実行され、続
いて、図8のS53において、連続的補正指令の有無が
判定されれば、今回は有ると仮定されているから、判定
がYESとなり、S58において、今回の連続的補正を
終了させるべきであるか否かが判定される。連続的補正
カウンタの現在値が設定値以上となったか否かが判定さ
れるのである。今回は、そうであると仮定すれば、判定
がYESとなり、S62に移行する。
【0145】このS62においては、今回の間欠的補正
(初回の補正およびそれに後続する連続的補正から成
る)において現時点までに定寸装置14に送信された補
正値すべての和(以下、「合計補正値」という)が算出
される。その後、S63において、その合計補正値が0
であるか否かが判定される。すなわち、合計補正値が0
であるということは、今回の間欠的補正が本当に必要な
時期にタイムリーに行われなかったことを意味すると考
えることができるから、合計補正値が0であるか否かを
判定することによって、演算データメモリをクリアし、
新たに測定値Xの演算データメモリへの蓄積を開始して
次回の間欠的補正に備えるべきであるか否かを間接に判
定するのである。今回は0ではないと仮定すれば、判定
がNOとなり、S64において、ワーク待ちフラグがO
Nされ、S65において、演算データメモリがクリアさ
れる。その後、S2に戻る。
【0146】これに対して、今回は合計補正値が0であ
ると仮定すれば、S63の判定がYESとなり、S66
において、連続的補正再開指令の有無が判定される。今
回は連続的補正再開指令ではなく、連続的指令延長指令
があると仮定すれば、判定がNOとなり、S67におい
て、連続的補正カウンタの値が1とされ、その後、S2
に戻る。したがって、本ルーチンの次回の実行時には、
連続的補正カウンタの現在値が0ではないため、図7の
S56の判定がNOとなり、S48に移行することにな
る。
【0147】これに対し、今回は連続的補正延長指令で
はなく、連続的補正再開指令が有ると仮定すれば、図8
のS66の判定がYESとなり、S68において、連続
的補正カウンタの値が0とされ、その後、S2に戻る。
したがって、本ルーチンの次回の実行時には、連続的補
正カウンタの現在値が0であるから、図7のS56の判
定がYESとなり、S59に移行することになる。
【0148】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、砥石群30が本発明における「加工具群
1」の一態様を構成し、2個のインプロセス測定機12
が本発明における「2個のインプロセス測定機2」の一
態様を構成し、ポストプロセス測定機44が本発明にお
ける「ポストプロセス測定機3」の一態様を構成し、制
御装置20のうち、定寸点補正ルーチンのS8〜29,
33〜44,51,53〜59,61〜68を実行する
部分が、本発明における「補正値決定手段4」の一態様
を構成し、制御装置20のうち、定寸点補正ルーチンの
S50および60を実行する部分が、本発明における
「補正値供給手段5」の一態様を構成しているのであ
る。
【0149】なお、本実施例は、クランクシャフトをワ
ークとし、それの複数のジャーナル面(外周円筒面)を
それぞれ加工部位として円筒研削する加工システムと共
に使用される定寸点補正装置に本発明を適用した場合の
一例であったが、他の加工システムと共に使用される定
寸点補正装置に本発明を適用することができるのはもち
ろんである。
【0150】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、この他にも特許請求の範囲を逸脱す
ることなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良
を施した態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を概念的に示す図である。
【図2】本発明の一実施例であるフィードバック式の定
寸点補正装置と共に使用される加工システムにおいてク
ランクシャフトが砥石により研削される状態を示す斜視
図である。
【図3】上記加工システム全体を示すシステム図であ
る。
【図4】上記加工システムにおける加工機の構成を示す
図である。
【図5】図4における制御装置20のコンピュータによ
り実行される定寸点補正ルーチンの一部を示すフローチ
ャートである。
【図6】その定寸点補正ルーチンの別の一部を示すフロ
ーチャートである。
【図7】その定寸点補正ルーチンのさらに別の一部を示
すフローチャートである。
【図8】その定寸点補正ルーチンのさらにまた別の一部
を示すフローチャートである。
【図9】その定寸点補正ルーチンの処理全体の流れを概
念的に示す図である。
【図10】図9における隣接間ばらつき除去の内容を概
念的に示すグラフである。
【図11】その隣接間ばらつき除去の一例を説明するた
めの図である。
【図12】図11における隣接間ばらつき除去の一例を
改良した一例を説明するための図である。
【図13】図12における隣接間ばらつき除去の一改良
例をさらに改良した一例を説明するための図である。
【図14】図9における両端直径補正の内容を概念的に
示すグラフである。
【図15】図9における寸法情報取得において、誤差値
Rから微分値Tが算出される手法を概念的に示すグラフ
である。
【図16】定寸点補正の一例である連続的補正を説明す
るための図である。
【図17】定寸点補正の別の一例である間欠的補正の一
例を説明するための図である。
【図18】その間欠的補正の別の一例を説明するための
図である。
【図19】図9における連続性考慮の内容を概念的に示
すグラフである。
【図20】図9における不感帯考慮の内容を概念的に示
すグラフである。
【符号の説明】
10 加工機 12 インプロセス測定機 14 定寸装置 15 モータコントローラ 16 全数計測機 20 制御装置 44 ポストプロセス測定機
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23Q 15/00 - 15/28 B23Q 17/00 - 23/00 G05B 19/18 - 19/46 B24B 41/00 - 51/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のワークであってそれぞれに複数の
    外周円筒面が互いに同軸的に並んで形成されたものを、
    1個ずつ順に加工し、ワーク個々については、それの複
    数の外周円筒面に同時に係合する加工具群を一体的に運
    動させることによりそれら複数の外周円筒面を同時に加
    工するとともに、加工中に2個のインプロセス測定機に
    より、各ワークの複数の外周円筒面のうち両端近傍に位
    置する2個の端外周円筒面についてのみ個々に直径を測
    定し、それら各測定値と予め設定された各加工基準値と
    の関係に基づき、前記加工具群のワークに対する角度を
    調整することとワークの一回の加工を終了させることと
    を行い、加工されたワークについては、ポストプロセス
    測定機によりそれの全外周円筒面について個々に直径を
    測定する加工システムと共に使用されるフィードバック
    式加工条件補正装置であって、 前記ポストプロセス測定機により各ワークの全外周円筒
    面について個々に測定された複数の測定値に基づき、そ
    れら全外周円筒面のうち前記2個の端外周円筒面の各々
    の前記加工基準値の補正値を決定する補正値決定手段
    と、 決定された補正値を前記加工システムに供給する補正値
    供給手段とを含むことを特徴とするフィードバック式加
    工条件補正装置。
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